JP3781925B2 - 分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器 - Google Patents

分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器に関し、特に、波長多重伝送用に分散スロープを補償しながら小型化も可能とする分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エルビウム(Er)添加光ファイバ増幅器の出現により、波長1.55μm帯では超長距離無再生中継、光加入者多分配網など、光増幅器を用いたシステムが実用化に向けて盛んに検討されている。
高速伝送を前提とすると、これらの伝送線路としては波長1.55μmで波長分散値が小さくなる1.55μm分散シフトファイバの使用が望ましいが、既に敷設してある1.3μm帯シングルモード光ファイバを用いて波長1.55μm帯での伝送を行う場合には、大きな波長分散が生じて光信号が劣化する。そのため、1.3μm帯シングルモード光ファイバを用いて波長1.55μm帯で伝送を行う際に、この波長分散を抑える技術手段が必要となる。この技術手段のひとつとして、1.3μm帯シングルモード光ファイバとは逆符号の大きな波長分散を有する分散補償光ファイバを用いて、波長1.55μm帯における波長分散値を補償する方法がある。
【0003】
また、1.55μm帯分散シフトファイバを用いて波長多重伝送を行う場合、使用波長帯での波長分散が小さいと、非線形効果の一つの4波混合という現象が発生し、伝送特性が劣化するという問題が生じる。この非線形効果を抑制するために、始めから1.3μm帯シングルモード光ファイバと分散補償光ファイバとを用いて1.55μm伝送を行う伝送方法も提案されている。
光ファイバを用いた分散補償方法としては、比屈折率差の大きな単峰型構造の分散補償光ファイバを用いる方法や、分散スロープの補償を可能とする二重クラッド型屈折率分布構造の分散補償光ファイバを用いる方法など、いくつかの提案がなされている。
この分散補償光ファイバは、伝送路の損失を補償する光増幅用希土類ドープ光ファイバと同様に、使用の際には装置内に組み込まれるため、通常、小型のリールにコイル状に巻かれた小型モジュールとして使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この分散補償光ファイバは、単位長さあたりの分散値を大きくし、またマイナス側に大きく分散スロープを取るために比較的曲げの弱いところ(分散スロープ値の小さいところ)で設計する必要がある。特に、マイナス側に大きな分散スロープ補償を得るためには、非常に曲げに弱い屈折率分布構造となる。この分散スロープ補償効果の高い分散補償光ファイバは、小さな曲率半径に曲げられていない状態では伝送損失が小さいが、モジュール化のために小型のリールに巻くと、伝送損失が大きくなるという問題が生じることとなる。このため、分散スロープ補償効果が高く、かつ小型のリールに巻き込んでも伝送損失特性の劣化が生じない分散補償光ファイバを製造することは、極めて困難であった。そのため、コイルの胴径を大きくして曲げ損失特性の劣化が生じない径で巻き込むことが考えられるが、巻き容積が大きくなってしまうので、モジュールの小型化が困難になるという問題が生じることとなる。
【0005】
本発明の分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器は、上記事情を鑑みてなされたものであって、下記をその目的としている。
すなわち、分散スロープ補償効果が高く、かつ小型コイル状に巻き込んでも伝送損失特性の劣化が生じない分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の分散補償光ファイバ及び光ファイバ型分散補償器は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわち、請求項1記載の分散補償光ファイバは、小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm/kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の分散補償光ファイバは、請求項1記載の分散補償光ファイバにおいて、センタコアと、該センタコアの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコアと、該サイドコアの外周上に設けられて前記センタコアよりも低屈折率かつ前記サイドコアよりも高屈折率のクラッドとを備えた屈折率分布形状を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の分散補償光ファイバは、請求項1記載の分散補償光ファイバにおいて、センタコアと、該センタコアの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコアと、該サイドコアの外周上に設けられてこれよりも高屈折率かつ前記センタコアよりも低屈折率のリング層と、該リング層の外周上に設けられて前記センタコアと前記リング層よりも低屈折率かつ前記サイドコアよりも高屈折率のクラッドとを備えた屈折率分布形状を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の分散補償光ファイバの製造方法は、小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm /km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm /kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれている分散補償光ファイバの製造方法において、長手方向に均一な母材を製造後、予め該母材をテーパ状に加工してから一定の光ファイバ径をなすように線引きする工程を、少なくとも具備したことを特徴とする。
さらに、請求項5記載の分散補償光ファイバの製造方法は、小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm /km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm /kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれている分散補償光ファイバの製造方法において、長手方向に均一な母材を製造後、線引き時に光ファイバの外径を変化させる工程を、少なくとも具備したことを特徴とする。分散補償光ファイバの製造方法。
【0010】
また、請求項6記載の光ファイバ型分散補償器は、小型コイル状に巻かれた分散補償光ファイバを備えた光ファイバ型分散補償器において、前記分散補償光ファイバは、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm/kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれており、1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続された状態で、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯での残留波長分散が−8〜+8ps/nm/kmとされ、かつ残留分散スロープが−0.03〜+0.03ps/nm/kmとされていることを特徴とする。
【0011】
以上請求項1〜5記載の分散補償光ファイバ及び請求項6記載の光ファイバ型分散補償器によれば、前記分散補償光ファイバは、分散スロープが大きい方が曲げに強く、散スロープが小さい方が曲げに弱いので、比較的曲げに強い分散スロープが大きい方を曲げ径の小さな巻き始め部とし、比較的曲げに弱い分散スロープが小さ方を曲げ径の大きくなる外周部として巻いてある。このことにより、分散スロープ補償率を維持しながら、小型のコイルを1本の光ファイバで構成することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の分散補償光ファイバ及びこれを備えた光ファイバ型分散補償器の一実施形態について説明を行うが、本発明がこれに限定解釈されるものでないことはもちろんである。
【0013】
本実施形態の分散補償光ファイバは、小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられるものであり、1.55μm帯(1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯)での波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープ値が0ps/nm2/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する屈折率分布(後述される図1や図2に示す屈折率分布)構造を有し、長手方向での分散スロープ値が0〜−1.0ps/nm2/kmの範囲で変化する構成を採用している。更には、この分散補償光ファイバを巻く際には、分散スロープ値が径方向内側から外側に向かって小さくなるように小型コイル状にする巻き方を採用している。
【0014】
すなわち、本実施形態の分散補償光ファイバは、1.55μm帯、すなわち1.53μmから1.61μmの範囲の少なくとも一つの波長において長手方向に分散スロープ値が0〜−1.0ps/nm2/kmの範囲で変化している分散補償光ファイバを製造し、胴に巻き始める部分を、分散スロープ補償効果が比較的低くて曲げ特性の強い部分とし、外周に向かう部分を比較的曲げ特性が弱くて分散スロープ補償効果の高い部分とすることで、全体として分散スロープ補償効果を高くできる分散補償光ファイバを、複数本の接続ではなく1本の光ファイバで実現させようとするものである。
【0015】
特性を長手方向に変化させるための手段としては、後述する実施例1のように、線引き前に、あらかじめ母材をテーパ状に加工してから一定の光ファイバ径で線引きしても、また、一定外径の母材を、径がテーパ状に変化するように線引きしても良い。すなわち、屈折率分布形状が同じでも、コア径を変化させることで波長分散と共に分散スロープを変化させることが可能である。この場合、分散スロープが小さい方、すなわちコア径が小さい方が曲げ損失が大きいので、コイル化時には曲げ径を自然に大きく取れるファイバ外周部側に用いるのが好ましい。このコア径を変化させる方法としては、長手方向に均一な母材を製造後、実施例1で説明する加工処理を施した後、これを一定径で線引きすることで、外径は一定でコア径の変化している光ファイバを製造することができる。また、長手方向に均一な母材を製造後、線引き時にファイバ外径を変化させることでも作製可能である。
【0016】
また、このような分散補償光ファイバを備える光ファイバ型分散補償器としては、小型コイル状に巻かれた分散補償光ファイバが、1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続された状態で、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における残留波長分散が−8〜+8ps/nm/kmとされ、かつ残留分散スロープが−0.03〜+0.03ps/nm/kmとされていることが、分散補償器の小型化と広帯域での伝送特性向上の両立という観点から好ましい。
【0017】
以上説明の構成を採用することにより、分散スロープ補償効果が高く、かつ小型コイル状に巻き込んでも伝送損失特性の劣化が生じない分散補償光ファイバを容易に製造することが可能である。
したがって、このように分散スロープ補償効果が高く、かつ小型コイル状に巻き込んでも伝送損失特性の劣化が生じない分散補償光ファイバを採用することによって、小型化が可能な光ファイバ型分散補償器を容易に製造することも可能となる。
【0018】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
なお、図1は実施例1で用いられ、図2は実施例2で用いられる分散補償光ファイバの屈折率分布を示すグラフであり、図3は実施例1の、図4は実施例2の分散補償光ファイバのコア径を変化させたときの分散特性図であり、図5は実施例1で用いられるテーパ状ロッドの説明図であり、図6は実施例1や実施例2で用いられる延伸装置の概略説明図である。
【0019】
[実施例1]
本実施例1の分散補償光ファイバ1は、前述した分散補償光ファイバの諸条件を満足するものである。以下に、その製造方法を示す。
まず、VAD法によりGeO2添加コア−SiO2クラッド構造を有する多孔質体を作製した。この多孔質体をおよそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、5l/minのHeと1000cc/minのSiF4の雰囲気でフッ素添加及び透明ガラス化を同時に行った。このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して図1に示すようなプロファイル(屈折率分布)を有するW型分散補償光ファイバ母材を作製した。
【0020】
図1について説明すると、このW型分散補償光ファイバ母材1(あるいは、これを用いて製造された分散補償光ファイバ)は、センタコア1aと、該センタコア1aの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコア1bと、該サイドコア1bの外周上に設けられてセンタコア1aよりも低屈折率かつサイドコア1bよりも高屈折率のクラッド1cとを備えた屈折率分布形状を有している。符号r1は、センタコア1aの軸線からの半径(従い、r1の2倍がセンタコア1aの外径となる)、符号r2は、同軸線からサイドコア1bの半径(従い、r2の2倍がサイドコア1bの外径となる)、Δ2はクラッド1cとサイドコア1bとの比屈折率差、Δ1はクラッド1cとセンタコア1aとの比屈折率差を示す。なお、この図1では紙面上方向に向かうほど高屈折率であることを示す。このサイドコア1bの内半径r2を、センタコア1aの半径r1で割った比を、横軸にコア半径、縦軸に波長分散と分散スロープとをとったグラフにプロットしたものが図3である。なお、図3における波長分散及び分散スロープは、全て波長1550nmにおける値を示すものである。本実施例1においては、図3に記述してあるように、Δ1=2.3%、Δ2=−0.40%である。また、r2/r1が2.5〜4.5の範囲であれば前述の諸特性を良好に得ることができることが分かる。
【0021】
このW型分散補償光ファイバ母材1を、図5のようにテーパ状に加工し、次いで図6のような延伸装置3で同じファイバ外径125μmになるように線引きして分散補償光ファイバ(図示せず)を得た。このときの一方の端のコア径(r2×2)が4.3μm、他方の端のコア径(r2×2)が4.05μmであった。なお、図6の符号4はダミーのロッドであり、符号5は上部チャックであり、符号6は下部チャックであり、符号7は加熱炉であり、符号8は炉心管である。
【0022】
作製された前記分散補償光ファイバは、全長7.35kmであり、全長での1.55μmにおける伝送損失が0.45dB/km、波長分散が−125ps/nm/km、分散スロープが−0.40ps/nm/kmである。これを波長分散が+17ps/nm/km、分散スロープが+0.06ps/nm/kmの1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバ54kmと接続して使用すると、伝送路全体での波長分散は略零となり、分散スロープは伝送路全体で0.30ps/nm、単位長さ当たりに換算して+0.005ps/nm/kmと低分散スロープな伝送路を構築することができ。また、この分散補償光ファイバを、胴径60mmのアルミリールに巻いて小型コイル状に巻き込んだが、このとき、コア径が大きくて曲げ特性の強い方から巻いたので、曲げ損失特性が劣化せず、コイル自体の曲げ損失特性も劣化しなかった。そのため、1.55μm帯において1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続して波長1.55μmでの分散補償を行ったとき、波長1.53μm〜1.61μmの広帯域で分散が殆ど零であり、低損失で、広帯域での分散が小さいため、良好な伝送を行うことができた。
【0023】
[実施例2]
VAD法によりGeO2添加コア−SiO2クラッド構造を有する多孔質体を作製した。この多孔質体をおよそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、5l/minのHeと1000cc/minのSiF4の雰囲気でフッ素添加及び透明ガラス化を同時に行った。このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにリング部分を形成するGeO2−SiO2からなる多孔質体とクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を順次外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して図2に示すようなプロファイル(屈折率分布)を有する分散補償光ファイバ母材を作製した。
図2について説明すると、分散補償光ファイバ母材2は、センタコア2aと、該センタコア2aの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコア2bと、該サイドコア2bの外周上に設けられてこれよりも高屈折率かつセンタコア2aよりも低屈折率のリング層2cと、該リング層2cの外周上に設けられてセンタコア2aとリング層2cよりも低屈折率かつサイドコア2bよりも高屈折率のクラッド2dとを備えた屈折率分布形状を有している。
符号r21は、センタコア2aの軸線からの半径(従い、r21の2倍がセンタコア2aの外径となる)、符号r22は、同軸線からサイドコア2bの半径(従い、r22の2倍がサイドコア2bの外径となる)、符号r23は、同軸線からリング層2cの半径(従い、r23の2倍がリング層2cの外径となる)、△21はクラッド2dとセンタコア2aとの比屈折率差、△22はクラッド2dとサイドコア2bとの比屈折率差、△23はクラッド2dとリング層2cとの比屈折率差を示す。なお、この図2では紙面上方向に向かうほど高屈折率であることを示す。
サイドコア2bの内半径r22を、センタコア2aの半径r21で割った比を、横軸にコア半径、縦軸に波長分散と分散スロープとをとったグラフにプロットしたものが図4である。なお、図4における波長分散及び分散スロープは、全て波長1550nmにおける値を示すものである。本実施例2においては、図4に記述してあるように、△21=2.3%、△22=−0.40%、△23=0.4%、r23−r22=2r21である。また、r22/r21は4.5とした。更に、図4から、r22/r21が2.5〜4.5の範囲であれば、前述の諸特性を良好に得ることができることが分かる。
【0024】
この分散補償光ファイバ母材1を、実施例1の図5のようにテーパ状に加工し、次いで前記延伸装置3でファイバ外径125μmになるように線引きして分散補償光ファイバ(図示せず)を得た。このときの一方の端のコア径(r23×2)が5.1μm、他方の端のコア径(r23×2)が5.3μmであった。
【0025】
作製された前記分散補償光ファイバは、全長4.0kmであり、全長での1.55μmにおける伝送損失が0.45dB/km、波長分散が−135ps/nm/km、分散スロープが−0.44ps/nm/kmである。これを波長分散が+17ps/nm/km、分散スロープが+0.06ps/nm/kmの1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバ31.8kmと接続して使用すると、伝送路全体での波長分散は略零となり、分散スロープは伝送路全体で0.15ps/nm、単位長さ当たりに換算して+0.004ps/nm/kmと低分散スロープな伝送路を構築することができた。また、この分散補償光ファイバを、胴径60mmのアルミリールに巻いて小型コイル状に巻き込んだが、このとき、コア径が大きくて曲げ特性の強い方から巻いたので、曲げ損失特性が劣化せず、コイル自体の曲げ損失特性も劣化しなかった。そのため、1.55μm帯において1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続して波長1.55μmでの分散補償を行ったとき、波長1.53μm〜1.61μmの広帯域で分散が殆ど零であり、低損失で、広帯域での分散が小さいため、良好な伝送を行うことができた。
【0026】
[比較例1]
上記実施例1と同様に、VAD法によりGeO2添加コア−SiO2クラッド構造を有する多孔質体を作製した。この多孔質体をおよそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、5l/minのHeと1000cc/minのSiF4の雰囲気でフッ素添加及び透明ガラス化を同時に行った。このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して、実施例1と同じプロファイル(屈折率分布)を有する別のW型分散補償光ファイバ母材を作製した(図示せず)。
【0027】
このW型分散補償光ファイバ母材をコア径=4.3μm、ファイバ外径=125μmとなるように線引きして分散補償光ファイバを得た。作製された分散補償光ファイバは、1.55μmにおいて伝送損失が0.45dB/km、波長分散が−100ps/nm/km、分散スロープが−0.13ps/nm/kmであったため、実施例1と同じ1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続して波長1.55μmでの分散補償を行ったとき、残留分散スロープが+0.032ps/nm/km程度残ったため、さらに波長毎の分散補償が必要となった。また、この分散補償光ファイバを胴径60mmのアルミリールに巻いて小型のコイルにしても曲げ損失特性は劣化しなかった。
【0028】
[比較例2]
上記実施例1と同様に、VAD法によりGeO2添加コア−SiO2クラッド構造を有する多孔質体を作製した。この多孔質体をおよそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、5l/minのHeと1000cc/minのSiF4の雰囲気でフッ素添加及び透明ガラス化を同時に行った。このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して実施例1と同じプロファイルを有する別のW型分散補償光ファイバ母材(図示せず)を作製した。
【0029】
このW型分散補償光ファイバ母材をコア径=4.1μm、ファイバ外径=125μmとなるように線引きして分散補償光ファイバを得た。作製された分散補償光ファイバは、1.55μmにおける伝送損失が0.45dB/km、波長分散が−133ps/nm/km、分散スロープが−0.42ps/nm/kmであったので、実施例1と同じ1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続して波長1.55μmでの分散補償を行ったとき、波長1.53μmから1.61μmの広帯域で分散が殆ど零となり、分散スロープは伝送路全体で単位長さ当たりに換算して+0.006ps/nm/kmと低分散スロープであり、良好な伝送を行うことができた。しかし、この分散補償光ファイバを胴径60mmのアルミリールに巻いて小型のコイルにすると急激に曲げ損失特性が劣化し、コイル自体の曲げ損失特性が悪化した。そのため、良好な伝送を行うことができなくなった。
【0030】
[比較例3]
VAD法によりGeO2添加コア−SiO2クラッド構造を有する多孔質体を作製した。この多孔質体をおよそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、その後、5l/minのHeと1000cc/minのSiF4の雰囲気でフッ素添加及び透明ガラス化を同時に行った。このロッドを延伸してコア母材とし、その周りにリング部分を形成するGeO2−SiO2からなる多孔質体とクラッディング用のSiO2からなる多孔質体を順次外付けし、およそ1000℃の雰囲気においてHeと塩素系ガスで脱水処理し、さらに、He雰囲気で透明ガラス化して実施例2と同じプロファイルを有する分散補償光ファイバ母材を作製した。
【0031】
このW型分散補償光ファイバ母材をコア径=5.15μm、ファイバ外径=125μmとなるように線引きして分散補償光ファイバを得た。作製された分散補償光ファイバは、全長4.0kmであり、全長での1.55μmにおける伝送損失が0.45dB/km、波長分散が−135ps/nm/km、分散スロープが−0.44ps/nm/kmであった。これを、実施例2と同じ1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバと接続して使用すると、伝送路全体での波長分散は略零であり、分散スロープは伝送路全体で0.15ps/nm、単位長さ当たりに換算して+0.004ps/nm/kmと低分散スロープな伝送路を構築することができた。しかし、この分散補償光ファイバを胴径60mmのアルミリールに巻いて小型のコイルにすると急激に曲げ損失特性が劣化し、コイル自体の曲げ損失特性が悪化した。そのため、良好な伝送を行うことができなくなった。
【0032】
したがって、以上に説明したように、上記比較例1の分散補償光ファイバでは更なる波長毎の分散補償が必要となり、また、上記比較例2及び上記比較例3の分散補償光ファイバではこれを小型のコイルにすると急激に曲げ損失特性が劣化してコイル自体の曲げ損失特性が悪化することとなった。これに対し、本発明の構成から成る上記実施例の分散補償光ファイバでは、これを巻いて小型コイルにしても曲げ損失特性が劣化せず、コイル自体の曲げ損失特性も劣化することがなかった。これにより、1.55μm帯において1.3μm用シングルモード光ファイバに接続した場合においても、広帯域で分散が殆ど零であり、低損失で、良好な伝送を行えるという優れた性能を得ることが可能となった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1〜記載の分散補償光ファイバ及びその製造方法によれば、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm/kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれている構成を採用したことにより、分散スロープ補償効果が高く、かつ小型コイル状に巻き込んでも伝送損失特性の劣化が荘司ない分散補償光ファイバを容易に製造することが可能となった。
【0034】
また、上記請求項記載の光ファイバ型分散補償器によれば、分散スロープ補償効果が高く、かつ小型コイルに巻き込んでも伝送損失特性の劣化が生じない分散補償光ファイバを採用したことにより、小型化が可能な光ファイバ型分散補償器を容易に製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1で用いられる分散補償光ファイバの屈折率分布を示すグラフである。
【図2】 本発明の実施例2で用いられる分散補償光ファイバの屈折率分布を示すグラフである。
【図3】 実施例1の分散補償光ファイバのコア径を変化させたときの分散特性図である。
【図4】 実施例1の分散補償光ファイバのコア径を変化させたときの分散特性図である。
【図5】 実施例1で用いられるテーパ状ロッドを示す図であって、軸線を通る断面での断面図である。
【図6】 実施例1及び実施例2で用いられる延伸装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1a、2a・・・センタコア、1b、2b・・・サイドコア、1c、2d・・・クラッド、2c・・・リング層

Claims (6)

  1. 小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、
    1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm/kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれていることを特徴とする分散補償光ファイバ。
  2. 請求項1記載の分散補償光ファイバにおいて、
    センタコア(1a)と、該センタコアの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコア(1b)と、サイドコアの外周上に設けられて前記センタコアよりも低屈折率かつ前記サイドコアよりも高屈折率のクラッド(1c)とを備えた屈折率分布形状を有することを特徴とする分散補償光ファイバ。
  3. 請求項1記載の分散補償光ファイバにおいて、
    センタコア(2a)と、該センタコアの外周上に設けられてこれより低屈折率のサイドコア(2b)と、該サイドコアの外周上に設けられてこれよりも高屈折率かつ前記センタコアよりも低屈折率のリング層(2c)と、該リング層の外周上に設けられて前記センタコアと前記リング層よりも低屈折率かつ前記サイドコアよりも高屈折率のクラッド(2d)とを備えた屈折率分布形状を有することを特徴とする分散補償光ファイバ。
  4. 小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm /km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm /kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれている分散補償光ファイバの製造方法において、
    長手方向に均一な母材を製造後、予め該母材をテーパ状に加工してから一定の光ファイバ径をなすように線引きする工程を、少なくとも具備したことを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法。
  5. 小型コイル状に巻かれて光ファイバ型分散補償器として用いられる分散補償光ファイバであって、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm /km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm /kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれている分散補償光ファイバの製造方法において、
    長手方向に均一な母材を製造後、線引き時に光ファイバの外径を変化させる工程を、少なくとも具備したことを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法。
  6. 小型コイル状に巻かれた分散補償光ファイバを備えた光ファイバ型分散補償器において、
    記分散補償光ファイバは、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯における波長分散が−80ps/nm/km以下であり、かつ分散スロープが0ps/nm/km以下であり、かつその使用長において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する1本の分散補償光ファイバから構成され、その長手方向における分散スロープが0〜−1.0ps/nm/kmの範囲で変化し、前記分散スロープが径方向内側から外側に向かって小さくなるように前記小型コイル状に巻かれており、
    1.3μm帯伝送用シングルモード光ファイバに接続された状態で、1.53〜1.61μmから選択される使用波長帯での残留波長分散が−8〜+8ps/nm/kmとされ、かつ残留分散スロープが−0.03〜+0.03ps/nm/kmとされていることを特徴とする光ファイバ型分散補償器。
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