JP3788005B2 - 可変容量型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出容量を変化させることができる可変容量型圧縮に関するもので、エンジン(内燃機関)と電動モータとを有して走行する、いわゆるハイブリッド車両用の冷凍サイクルに適用して有効である。
なお、本明細書でいうハイブリット車両とは、エンジンと電動モータとを切換えて走行するハイブリット車両は勿論、エンジンを走行に用いず、発電のみに用い、車両走行は電動モータのみで行うハイブリット車両も含むものである。
【0002】
【従来の技術】
特開昭63−50693号公報に記載の発明では、ローリングピストン型圧縮機において、ローリングピストンを一の向きに回転(正転)させることにより吐出容量が最大となるようにし、一方、ローリングピストンを他の向きに回転(逆転)させることにより吐出容量が最小となるようにして可変容量型圧縮機を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載の可変容量型圧縮機では、正転時には、流体が吸入ポートから流入して吐出ポートから吐出するのに対して、逆転時には、流体が吐出ポートから流入して吸入ポートから吐出するので、正転時と逆転時とでは流体の流通の向きが反対となる。
【0004】
このため、上記公報に記載の可変容量型圧縮機を冷凍サイクルに適用した場合には、冷房運転のみ又は暖房運転のみの空調運転を行っているときに、吐出容量を変化させることができない。
また仮に、いずれかの空調運転を行っているときに、吐出容量を変化させるには、外部に四方弁などの切換弁を設けて通路を切換える必要があるるので、冷凍サイクルの構成部品の増加を招き、冷凍サイクルの製造原価上昇を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、圧縮機の回転の向きに依らず、流体の流通の向きが変化することのない可変容量型圧縮機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1〜4に記載の発明では、吸入ポート(130)は、シャフト(120)が正転するときに体積が拡大していく状態の作動室(V)に連通し、かつ、シャフト(120)が逆転するときに体積が縮小していく状態の作動室(V)に連通する位置のみに形成され、
第1吐出ポート(151)は、シャフト(120)が正転するときに体積が縮小していく状態の作動室(V)に連通し、
第2吐出ポート(152)は、シャフト(120)が正転するときに体積が拡大していく状態の作動室(V)に連通していることを特徴とする。
【0007】
これにより、シャフト(120)が正転するときの吐出容量は、作動室(V)の体積が最大となるときの体積に一致するとともに、流体は第1吐出ポート(151)から吐出することとなる。
一方、シャフト(120)が逆転するときは、作動室(V)の体積が縮小していくときに流体が吸入されて第2吐出ポート(152)から吐出することとなる。したがって、シャフト(120)が逆転するときの吐出容量を、シャフト(120)が正転するときの吐出容量より小さくすることができるとともに、シャフト(120)の回転の向きに依らず、流体の流通の向きを一定とすることができる。
【0008】
なお、正転とは、シャフト(120)の回転の向きのうち一の向きの回転を言い、逆転とは正転と逆向きに回転することを言う。
請求項2に記載の発明では、シャフト(120)が回転するときに体積が拡大していく状態の作動室(V)に開口する連通ポート(141、142)を形成するととともに、連通ポート(141、142)から吸入ポート(130)側に至る通路(143)に、連通ポート(141、142)から吸入ポート(130)側に流体が逆流することを防止する逆止弁(144)を設けることを特徴とする。
【0009】
これにより、作動室(V)の体積が拡大していくときに、作動室(V)内が負圧となることを防止できるので、可変容量型圧縮機が不必要な仕事をすることを防止できる。
請求項5に記載の発明では、シャフト(120)を正転させるときは、エンジンより駆動力を得てシャフト(120)を回転させ、シャフト(120)逆転させるときには、電動モータ(510)より駆動力を得て前記シャフト(120)を回転させることを特徴とする。
【0010】
これにより、電動モータ(510)によりシャフト(120)を駆動する際の駆動力(トルク)を小さくすることができるので、電動モータ(510)の大型化を防止できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る可変容量型圧縮機(以下、圧縮機と略す)100をハイブリッド車両用の冷凍サイクルに適用したものであり、図1は冷凍サイクルの模式図である。
【0012】
図1中、200は圧縮機100から吐出した冷媒(流体)を凝縮させる凝縮器(放熱器)であり、300は凝縮器200から流出した冷媒を減圧する減圧器であり、400は減圧器300にて減圧された液相冷媒を蒸発させる蒸発器である。
次に、圧縮機100について述べる。
【0013】
図2は圧縮機100の軸方向断面図であり、図2中、110はアルミニウム製のハウジングである。このハウジング110はフロントハウジング111、ミドルハウジング112、シリンダハウジング113およびリアハウジング114から構成されており、これらハウジング111〜114はボルト(図示せず)により固定されている。
【0014】
120は車両走行用のエンジン(図示せず)から駆動力を得て回転するシャフトであり、このシャフト120の一端側(フロントハウジング111側)には、エンジンからの駆動力が伝達されるプーリ(図示せず)および電磁クラッチ(図示せず)が装着されるスプライン121が形成されている。
また、ミドルハウジング112、シリンダハウジング113およびリアハウジング114によって形成された空間122内には、シャフト120に一体形成されたロータ123が配設されており、このロータ123には、図3に示すように、ロータ123の径方向に摺動可能(出没可能)にロータ123内に挿入された板状のベーン124a、124b(以下、両ベーン124a、124bを総称してベーン124と記す。)が、その端部を空間122(シリンダハウジング113)の内壁113aに接触させた状態で配設されている。
【0015】
なお、ロータ123の径寸法は空間122の径寸法より小さく、かつ、ロータ123の一部をシリンダハウジング113の内壁113aに接触させているので、空間122は、ベーン124により仕切られた部分も含めて5つの作動室V1 〜V5 に仕切られている。このため、ロータ123(シャフト120)が回転すると、各作動室V1 〜V5 は、その体積を拡大縮小させながら、ロータ123の回転の向きに移動していく。
【0016】
具体的には、ロータ123が、図3に示す一の向きに回転する(以下、この向き回転する状態を正転と呼ぶ。)ときには、作動室V1は、その体積を拡大させながら、作動室V2の位置、作動室V3の位置へ移動していく。
その後は、作動室V1は、その体積を縮小させながら、作動室V4の位置、作動室V5の位置へ移動していく。
【0017】
逆に、ロータ123が、図4に示す他の向き回転する(以下、この向き回転する状態を逆転と呼ぶ。)ときには、作動室V5は、その体積を拡大させながら、作動室V4の位置、作動室V3の位置へ移動していく。その後は、作動室V5は、その体積を縮小させながら、作動室V2の位置、作動室V1の位置へ移動していく。
【0018】
また、ミドルハウジング112には、作動室V1 〜V5 (以下、これらを総称して作動室Vと記す。)に吸入される冷媒を作動室Vに供給する吸入ポート130が開口しており、この吸入ポート130は、ロータ123(シャフト120)が正転するときに、体積が拡大していく状態の作動室V(本実施形態では、作動室V2 の位置)に連通するように形成されている。なお、吸入ポート130は、フロントハウジング111に形成された吸入室131(図2参照)に連通しており、この吸入室131は、蒸発器400の出口側に接続されている。
【0019】
また、ミドルハウジング112には、吸入ポート130に加えて、吸入ポート130側に連通する第1、2連通ポート141、142が形成されており、第1連通ポート141は、ロータ123が正転するときに体積が拡大していく状態の作動室V(本実施形態では作動室V1 の位置)に連通するように開口し、第2連通ポート142は、ロータ123が逆転するときに体積が拡大していく状態の作動室V(本実施形態では作動室V5 の位置)に連通するように開口している。
【0020】
そして、両連通ポート141、142から吸入ポート130側に至る通路143には、両連通ポート141、142から吸入ポート130側に冷媒が逆流することを防止する逆止弁144が設けられている。
また、シリンダハウジング113には、凝縮器200の入口側に接続される吐出室150が形成されているとともに、吐出室150と空間122(作動室V)とを連通させる第1、2吐出ポート151、152が形成されている。そして、第1吐出ポート151は、ロータ123(シャフト120)が正転するときに体積が縮小していく状態の作動室(本実施形態では作動室V5 の位置)に連通するように開口し、第2吐出ポート152は、ロータ123(シャフト120)が正転するときに体積が拡大していく状態の作動室(本実施形態では作動室V1 の位置)に連通するように開口している。
【0021】
因みに、153は、両吐出ポート151、152を経由して吐出室150から作動室V側に冷媒が逆流することを防止する吐出弁である。また、図2中、120aは、シャフト120を回転可能に支持する軸受である。
次に、本実施形態に係る圧縮機100の作動および特徴を述べる。
1.ロータ123を正転させるとき(最大容量運転)
ロータ123が正転すると、図3に示すように、作動室V1は、その体積を拡大して吸入ポート130から冷媒を吸入しながら、作動室V3の位置へと移動していく。したがって、最大吸入量は、体積が最大となる作動室V3の体積である。
【0022】
そしてその後、作動室V1 は体積を縮小させながら冷媒を圧縮していき、作動室V5 の位置に到達した時に、第1吐出ポート151より冷媒を吐出する。
なお、作動室V1 が作動室V2 の位置に移動する際に、その体積を拡大していくが、第1連通ポート141より冷媒が供給されているので、作動室V1 が負圧となることを防止できる。したがって、圧縮機100が、不必要な仕事をすることを防止できる。
【0023】
2、ロータ123を逆転させるとき(最小容量運転)
ロータ123が逆転すると、図4に示すように、作動室V5 は、その体積を拡大させて第2連通ポート142から冷媒を吸入しながら、作動室V3 の位置へと移動していく。したがって、正転時と同様に、作動室V5 の体積が拡大していくときに、作動室V5 が負圧になることが防止できるので、圧縮機100が、不必要な仕事をすることを防止できる。
【0024】
その後、作動室は、体積を縮小させていくが、作動室Vは吸入ポート130と連通しているので、冷媒を圧縮することなく、冷媒を吸入室131側に戻しながら作動室V1の位置へ移動していき、作動室V1では第2吐出ポート152より冷媒が吐出される。したがって、最終的に作動室V1に吸入された冷媒の吸入量は、作動室V1の体積となり、最小容量運転となる。
【0025】
以上に述べたように、本実施形態に係る圧縮機100によれば、外部に四方弁などの切換弁を設けることなく、第2吐出ポート152を新たに設けるといった簡便な手段で、圧縮機100(シャフト120)の回転の向きに依らず、冷媒の流通の向きが変化することを防止できる。延いては、冷凍サイクルの製造原価上昇を防止できる。
【0026】
なお、本実施形態では、第2連通ポート142を作動室V5 の位置のみに設けたが、第2連通ポート142の数および大きさはこれに限定されるものでなく、圧縮機100の容量に応じて適宜選定されるものである。
(第2実施形態)
本実施形態は、図5に示すように、圧縮機100と電動モータ510とを一体化したもの(以下、この一体化されたものを圧縮装置500と呼ぶ。)である。
【0027】
そして、圧縮装置500は、正転させるとき(最大容量運転時)には、エンジンによりシャフト120を回転させて圧縮機100を稼動させ、逆転させるとき(最小容量運転時)には、電動モータ510によりシャフト120を回転させて圧縮機100を稼動させる。
ところで、電動モータ510から得られる駆動力(トルク)と、エンジンから得られる駆動力(トルク)と同等にしようとすると、電動モータ510の大型化を招いてしまう。
【0028】
これに対して、本実施形態のごとく、電動モータ510にて圧縮機100を稼動させるときには、逆転させて最小容量運転状態とすれば、電動モータ510で必要とされる駆動力を小さくすることができるので、電動モータ510の大型化を防止できる。
なお、最小容量運転時に最大容量運転時(エンジンにより圧縮機100を稼動させるとき)と同等な冷凍能力を得るときには、電動モータ510の回転数を増大させればよい。
【0029】
ところで、上述の実施形態では、ロータ123およびベーン124により、空間122を複数個の作動室Vに仕切るとともに、それら作動室Vの体積をシャフト120の回転に連動して拡大縮小させる可動部材を構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図6に示すように、ロータ123およびベーン124に代えて、空間122内でシャフト120と一体に回転するローリングピストン160により可動部材が構成されたローリングピストン型の圧縮機としてもよい。
【0030】
また、本発明に係る可変容量型圧縮機は、ハイブリット車両にその適用が限定されるものではなく、車両停止時には、エンジンを停止させる車両(いわゆるエコラン車)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷凍サイクルの模式図である。
【図2】第1実施形態に係る可変容量型圧縮機の軸方向断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】第1実施形態に係る可変容量型圧縮機の軸方向断面図である。
【図6】本発明の変形例に係る可変容量型圧縮機の断面図である。
【符号の説明】
123…ロータ、124…ベーン、130…吸入ポート、
141…第1連通ポート、142…第2連通ポート、
151…第1吐出ポート、152…第2吐出ポート。

Claims (5)

  1. ハウジング(110)と、
    前記ハウジング(110)内に回転可能に配設されたシャフト(120)と、
    前記ハウジング(110)内に形成された空間(122)内で可動し、かつ、前記空間(122)を複数個の作動室(V)に仕切るとともに、それら作動室(V)の体積を前記シャフト(120)の回転に連動して拡大縮小させる可動部材(123、124、160)とを有し、
    前記ハウジング(110)には、前記作動室(V)に吸入される流体を前記作動室(V)に供給する吸入ポート(130)、前記作動室(V)にて圧縮された流体を前記作動室(V)外に吐出する第1、2吐出ポート(151、152)、および前記両吐出ポート(151、152)に連通する吐出室(150)が形成されており、
    前記吸入ポート(130)は、前記シャフト(120)が正転するときに前記体積が拡大していく状態の前記作動室(V)に連通し、かつ、前記シャフト(120)が逆転するときに前記体積が縮小していく状態の前記作動室(V)に連通する位置のみに形成され、
    前記第1吐出ポート(151)は、前記シャフト(120)が正転するときに、前記体積が縮小していく状態の前記作動室(V)に連通し、
    前記第2吐出ポート(152)は、前記シャフト(120)が正転するときに、前記体積が拡大していく状態の前記作動室(V)に連通していることを特徴とする可変容量型圧縮機。
  2. 前記ハウジング(110)には、前記シャフト(120)が回転するときに、前記体積が拡大していく状態の前記作動室(V)に開口するとともに、前記吸入ポート(130)側に連通した連通ポート(141、142)が形成されており、
    前記連通ポート(141、142)から前記吸入ポート(130)側に至る通路(143)には、前記連通ポート(141、142)から前記吸入ポート(130)側に流体が逆流することを防止する逆止弁(144)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
  3. 前記可動部材は、前記空間(122)内で前記シャフト(120)と一体的に回転するロータ(123)、および前記ロータ(123)から出没するベーン(124)を有して構成されていることを特徴する請求項1または2に記載の可変容量型圧縮機。
  4. 前記可動部材は、前記空間(122)内で前記シャフト(120)と一体的に回転するローリングピストン(160)を有して構成されていることを特徴する請求項1または2に記載の可変容量型圧縮機。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の可変容量型圧縮機を車両用冷凍サイクルの圧縮装置に適用したものであって、
    前記シャフト(120)を正転させるときは、前記エンジンより駆動力を得て前記シャフト(120)を回転させ、
    前記シャフト(120)逆転させるときには、電動モータ(510)より駆動力を得て前記シャフト(120)を回転させることを特徴とする圧縮機装置。
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