JP3794683B2 - 流量計測装置およびガスメータ - Google Patents

流量計測装置およびガスメータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流量計測装置およびガスメータに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガスヒートポンプのような脈動の発生要因となり得るガス機器を使用する場合、それに起因して、そのガス機器の上流に設けられたガスメータを流れているガスや、そのガスメータの配管に接続されている隣家のガスメータにおける導通路中に静止状態で存在しているガスに、いわゆる脈動と呼ばれるような疎密波または流量波が発生する場合がある。また、脈動よりも緩やかな周期の流量波である、いわゆるうねりが発生する場合がある。
【0003】
このような脈動やうねりが発生すると、従来の熱線式や超音波伝搬方式などのような、いわゆる電子式ガスメータと呼ばれる種類のガスメータでは、吹子の容積変化に基づいて計測対象の流体の体積流量を計測するという膜式ガスメータとは異なり、本来の計測対象の流体の本来の流量または流速以外にも、脈動やうねりに起因した疎密波または流量波に因る流量変動を本来の計測対象である流量や流速の一部として検出してしまい、延いてはそれが当該ガスメータにおける計測誤差の要因となる場合がある。このような誤差は、ガスメータ以外にも、一般に電子式の流量計測用または流速計測用のセンサを用いた流量計測装置などでも同様に発生する可能性がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、電子式ガスメータのような電子式の流量計測用または流速計測用のセンサを用いた種類の流量計測装置は、特に膜式ガスメータのような機械的な容積変化に基づいて流量を計測する方式の流量計測手段を用いた流量計測装置と比較して、微少な流量または流速であっても極めて高感度に(精確に)流量や流速を検知することが可能な性能を備えており、本来は極めて高精度な計測が可能なものであるが、そのような高感度であることがむしろ不利に働いて、計測対象のガスのような流体に生じた脈動やうねりを誤差として拾ってしまう確率が高いという問題があった。
【0005】
また、体積流量の積算値を得るように設定されたガスメータの場合などには、長期間に亘って体積流量の瞬間値や所定のサンプリングタイミングごとの流量計測値(または流速計測値)を積算することで、単純な理論的には、脈動やうねりの流量波の振動に因って正方向に出現する誤差と負方向に出現する誤差とが相殺されて、積算流量値に混入する誤差はほぼ0(ゼロ)になる筈であると考えられるが、実際には、微細な偏流の存在や計測の偏り誤差等の要因が累積するなどして、流量計測結果に誤差が混入することを回避することは困難である。
【0006】
また、上記のような脈動やうねりに起因した計測誤差の問題を改善または解消するために、例えば脈動やうねりの流量波程度の微少な流量や流速については敢えて検出しないように、電子式の流量計測用または流速計測用のセンサの計測精度をデチューンすることなども考えられるが、そのようにすると、電子式の流量計測用または流速計測用のセンサが本来備えている、高精度な流量計測が可能であるという特長を生かすことができない。従って、このようなセンサの計測精度を低下させるといった対策は有効ではない。
【0007】
また、ガスメータや流量計測装置が接続された配管中や、ガスメータ内部の導通路中におけるガスに脈動やうねりが発生すること自体を抑止することなども考えられるが、実際には、そのような脈動やうねりの発生それ自体を解消するためには、ガスメータの上流側や下流側に接続される全てのガス機器自体から脈動やうねりが発生しないようにすることが必要となるが、そのようなことを完全に達成することは現実的ではない(現実問題として不可能に近い)。
【0008】
このように、従来の電子式ガスメータのような電子式の流量計測用または流速計測用のセンサを用いた種類のガスメータや流量計測装置では、計測対象のガスのような流体に脈動やうねりが発生すると、それを高精度な流量計測(または流速計測)が可能な計測用センサによって誤差として拾ってしまう虞があるという問題があった。そしてそのような誤差の問題を、計測用センサの計測精度を低下させることなしに(または計測性能をデチューンすることなしに)解消することは、従来の技術では困難あるいは不可能であった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、計測対象の流体を導通させる導通路と、その導通路における流体の流量または流速を計測するための計測用センサとを有する流量計測装置やガスメータにおいて、計測対象の流体に脈動やうねりが発生しても、それに起因した誤差を拾うことなく、常に精確(精細で確実)な流量計測を行うことが可能である流量計測装置およびガスメータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による流量計測装置またはガスメータは、計測対象の流体を導通させる導通路と、その導通路における流体の流量または流速を計測するための計測用センサとを有する流量計測装置であって、前記流体に疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その疎密波または流量波の波動に節を形成するための固定端部材を、前記計測用センサの上流または下流に備えている。
【0011】
すなわち、本発明による流量計測装置またはガスメータでは、計測対象のガスなどの流体に生じる脈動やうねりのような疎密波または流量波に波動としての節を形成するための固定端部材を計測用センサの近傍の上流または下流に設けたことで、どのような周波数や周期の疎密波または流量波が生じても、その固定端部材が設けられた位置に計測対象の流体中の疎密波または流量波の節(換言すれば疎密波または流量波の縦波状の波動としての振動変位がほぼ0の状態)が形成され、そのような振動変位がほぼ0の状態で、計測用センサによる流量計測(または流速計測)が行われる。
【0012】
ここで、前記固定端部材と前記計測用センサとの相対的な位置関係としては、前記固定端部材と前記計測用センサとの距離を、前記計測用センサによる計測結果における前記疎密波または流量波に起因した誤差が当該流量計測装置として予め定められている許容範囲内に収まるような範囲内の距離に設定することが望ましい。
【0013】
すなわち、このような至近距離内に固定端部材と計測用センサとを近付けて配置することにより、疎密波または流量波の縦波状の波動としての振動変位が確実にほぼ0となっている状態で、計測対象の流体の流量または流速を計測することが可能となる。
【0014】
また、前記固定端部材は、前記流体の下流側への流れに対しては、予め設定されている最低計測可能流量以上を流すことが可能な開いた状態となり、上流側への流れに対しては、閉じた状態となってその流れを抑止する、逆止弁状のものであるようにすることが望ましい。なお、このとき、逆止弁状の固定端部材は、前記流体に疎密波または流量波が生じた場合には、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その振動としての節(縦波における節および腹のうちの節)を形成するものであることは既述の通りである。
【0015】
すなわち、上記の逆止弁状の固定端部材は、本来の流量計測または流速計測を精確に行うことが要請される上流側から下流側へと流れる(正方向の)流れに対しては、例えばガスメータのような当該流量計測装置として所定の精度で流量計測または流速計測を行うために予め設定されている最低計測可能流量以上を流すことが可能な開状態となり、また流体に疎密波または流量波が生じた場合には、その疎密波または流量波に対して固定端として機能してその波動としての節を形成する、というように、それら両方の機能を果たすことが可能となるように重量または完成質量や全圧を受ける面積などの諸条件を設定することが望ましい。
【0016】
なお、上記の逆止弁状の固定端部材としては、さらに詳細には、逆止弁の重量または慣性質量と、前記流体から受ける全圧とによって、弁が開閉するように設定することが望ましい。
【0017】
すなわち、逆止弁状の固定端部材の開閉する弁本体自体の重量または慣性質量がこの弁を閉じるように作用し、正方向に流れる流体から受ける全圧がこの逆止弁を開状態にするように作用し、それらの均衡によって、弁本体が開閉する。例えば流体の正方向の流れから受ける全圧による力が逆止弁状の固定端部材(の弁本体)の重量または慣性質量に打ち勝つ場合には、その弁本体は開状態となり、流体が負方向(下流側から上流側へと向かう方向)に流れる場合、または流体が正方向に流れる場合にその流体の流れから受ける全圧による力が逆止弁の重量または慣性質量よりも弱い場合には、この逆止弁は閉状態となる。ここまでは一般的な逆止弁と同様の動作であるが、本発明に係る流量計測装置またはガスメータが備えている逆止弁状の固定端部材は、流体に疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その疎密波または流量波の波動としての節を形成するように、その逆止弁状の固定端部材(弁本体)の重量または慣性質量および流れに正対する面積などの諸要素が設定されている。
【0018】
あるいは、上記1の逆止弁状の固定端部材は、弁本体を閉じる方向に付勢するための弾性部材を備えており、その弾性部材による付勢力と前記流体から受ける全圧とによって開閉するように設定することなども可能である。なお、このとき弁を閉じる方向には、さらに弁本体自体の重量が寄与するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0019】
また、上記の弁本体の外周部、またはその弁本体の開閉や計測用センサの計測動作に支障の無い位置に、少なくとも前記流体の正方向の流れに対して当該流量計測装置として予め設定されている最低計測可能流量を流すことができる隙間を設けるようにしてもよい。
【0020】
このようにすることにより、例えば疎密波または流量波に節を形成する機能を確保するために逆止弁状の固定端部材の重量または慣性質量や弾性部材をその逆止弁が最低計測可能流量に対応した正方向の流れから受ける全圧よりも打ち勝つように設定せざるを得なくなり、微少流量の流れが逆止弁によって妨げられてしまう場合などには、上記のような隙間を設けることによって、その隙間に微少流量をバイパスさせて流して、ガスメータのような当該流量計測装置としての最低計測可能流量を確保することが可能となる。
【0021】
また、上記の固定端部材は、計測用センサよりも下流側に設けることが望ましい。これは、固定端部材として例えば逆止弁状のものを計測用の導通路に設けると、その固定端部材(弁本体)の存在に起因して、その下流側に乱流や渦などが発生する確率が高くなる。しかも、その乱流や渦の様相は、流体の流速やレイノルズ数の変化などに起因して不規則的に変化する場合が多い。このため、計測用センサを固定端部材よりも下流側に設けると、固定端部材に起因した乱流や渦などが外乱として計測に悪影響を与えてしまう虞がある。しかし、固定端部材を計測用センサよりも下流側に設ける(換言すれば計測用センサを固定端部材よりも上流側に設ける)ことで、計測用センサによる計測が固定端部材に起因した乱流や渦などによる悪影響を受けることが回避される。
【0022】
ここで、計測対象の流体に生じる疎密波または流量波に、その波動としての節を設ける手段としては、上記のような逆止弁の他にも、金網のようなメッシュを用いることなども可能である。但し、このようなメッシュを用いる場合には一般に、流量または流速が大きくなるにつれて、流れの損失ヘッドも大きくなってしまう傾向にあるので、メッシュの網目の大きさや網の太さなどを、当該流量計測装置またはガスメータとして所定の最大計測可能流量を流すことが可能であるように設定しておくことが望ましいことは言うまでもない。
【0023】
なお、上記の疎密波または流量波の典型的な具体例としては、例えば当該ガスメータの上流側または下流側に設置されたガス機器の動作に起因した脈動および/またはうねりなどがある。
【0024】
また、上記の計測用センサとしては、さらに詳細には、計測対象の流体の流速または流量に関与する物理量に対応した信号を出力するものなどが適用可能である。その典型的な具体例としては、計測対象の流体が流れることによって所定の熱源から奪われる熱量または低下する温度等に対応した出力をセンサが行って、その熱量または温度に対応した出力に基づいて、そのときの計測対象の流体の流量または流速を計測するという、いわゆる熱式流量計測用のセンサや、いわゆる超音波伝播方式の流量計測用のセンサ、あるいはフルイディック方式の流量計測用のセンサ、計測対象の流体の導通路中における全ヘッドが一定であるとして、その計測対象の流体の圧力ヘッドに対応した出力をセンサが行って、その圧力ヘッドの出力に基づいて、そのときの計測対象の流体の流量または流速を計測する方式の流量計測用のセンサなどが適用可能である。但し、上記のようなもののみには限定されないことは言うまでもない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態に係るガスメータの概要構成を表したものである。なお、このガスメータは、本発明の一実施の形態に係る流量計測装置の典型例としてここに詳細に説明するものであって、その主要部の構成はガスメータ以外の流量計測装置にも適用可能なものであることは言うまでもない。また、以下の説明では、図示および説明の繁雑化を避けるために、計測対象の流体であるガスの導通路やその内部に設けられた逆止弁についてを中心として説明するものとし、それらの構成や機能とは関係性の薄い部位についての詳細な説明や図示は省略する。
【0027】
このガスメータは、ガスを導通させる導通路1と、その導通路1内に設けられた流量計測用センサ3と、その流量計測用センサ3の位置から所定の距離内に設けられて、脈動やうねりのような疎密波または流量波に節を形成するための逆止弁状の固定端部材20とを備えている。
【0028】
導通路1は、都市ガスまたはLPG(液化プロパンガス)のような計測対象の流体であるガスを導通させる管状のものである。この導通路1の断面形状としては、長方形状や円状などの一般的なものである。但し、下記に詳述する逆止弁状の固定端部材20の本体(以下、これを弁本体とも呼ぶ)の開閉動作を妨げることのないような断面形状に設定することが必要である。
【0029】
これは、さらに具体的には、例えば弁本体2がこの導通路1の断面ほぼ全面に近い大きさの円板状で、その上部に設けられた回動軸4によって導通路1中に吊り下げられて回動可能であるように設定されている場合などには、この導通路1の断面形状が円状である(換言すればこの導通路1が円筒状である)と、弁本体2は導通路1の側壁に動きが妨げられてしまい、十分な開度が得られなくなる虞がある。
【0030】
また、この導通路1内には流量計測用センサ3が設けられて流量計測が行われるのであるから、この導通路1の概形は、計測対象であるガスの流れに計測誤差の要因となる不規則的な外乱的変動等が生じることのないようにすることが要請される。これについては一般的な流量計測装置の場合と同様であることは言うまでもない。具体的には、例えばこの導通路1の前後には上流側からガスを導入するための入口屈管部と下流側へとガスを導入するための出口屈管部とが設けられる場合が多いが、一般にこのような入口屈管部や出口屈管部の付近ではガスの流れの様相が不規則になりやすい傾向にあるので、そのような計測に対する外乱となる要因を避けるためには、入口屈管部や出口屈管部から適度な距離を隔てた位置に流量計測用センサ3を配置することができるように、この導通路1の長さをそれに見合ったものにすることなどが望ましい。
【0031】
流量計測用センサ3は、導通路1における流体の流量(または流速)を計測するセンサである。さらに詳細には、計測対象のガスの流量それ自体、または計測対象のガスの流量のディメンジョンを含んだ物理量、または所定の換算則に基づいた換算を行うなどしてガスの流量に換算可能なディメンジョンを含んだ物理量に対応した信号を出力するものなどが適用可能である。あるいは、上記の流量の代りに、流速に対応した信号を出力するものなども適用可能である。後者の場合、上記のように導通路1の断面積は一定なのであるから、その導通路1を流れるガスの流速が測定できれば、その流速値に導通路1の断面積を乗算することによって、そのときの流量値を得ることができるからである。従って、本実施の形態では、流速に対応した信号を出力することで計測対象のガスの流量を計測するセンサなどについても、実質的に流量計測用センサ3の種類に含まれるものとして、そのような流速センサも流量計測用センサ3と見做すものとする。
【0032】
さらに具体的には、流量計測用センサ3としては、計測対象の流体が流れることによって所定の熱源から奪われた熱量または低下した温度等に対応した出力をセンサが行って、そのセンサからの出力に基づいて、そのときの計測対象の流体の流量または流速を計測するという、いわゆる熱式流量計測用のセンサや、いわゆる超音波伝播方式の流量計測用のセンサ、あるいはフルイディック方式の流量計測用のセンサ、計測対象の流体の導通路1中における全ヘッドが一定であるとして、その計測対象の流体の圧力ヘッドに対応した出力をセンサが行って、その圧力ヘッドの出力に基づいて、そのときの計測対象の流体の流量または流速を計測する方式の流量計測用のセンサなどが適用可能である。但し、これらのみには限定されないことは言うまでもない。
【0033】
いずれの種類のセンサを用いる場合でも、高精度な流量計測が可能である流量計測用センサ3を用いることが望ましい。これは、本実施の形態のガスメータでは、下記に詳述するような固定端部材20によって脈動やうねりに起因した誤差を抑制または解消することができるので、そのような脈動やうねりに起因した誤差に制約されることなく、高精度な流量計測用センサ3を用いることが可能となるからである。
【0034】
逆止弁状の固定端部材20は、計測対象の流体である導通路1中のガスに脈動やうねりのような疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その疎密波または流量波の波動に節を形成するためのもので、流量計測用センサ3の下流側に設けられている。
【0035】
この逆止弁状の固定端部材20の本体(弁本体2)は、図2にその前方をカット(切断除去)して示したように、導通路1内に、回動軸4によって回動可能に吊り下げられている。その上流側には逆止用の係止爪5が設けられており、ガスの逆流などによって弁本体2が上流側に向かって回動しようとする場合には、その弁本体2の上流側への動きが係止爪5によって停止される。また、この弁本体2は、下流側への流れに対しては、ガスメータとして予め設定されている最低計測可能流量以上を流すことができるように開いた状態となり、上流側への流れに対しては、前述の係止爪5によって回動が停止されて閉じた状態となってその逆流を抑止することができるように閉じた状態となり、かつ導通路1中のガスに疎密波または流量波が生じた場合には、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その振動としての節を形成することができるように、その重量および面積が設定されている。
【0036】
例えば計測対象の流体である導通路1中のガスの正方向の流れから受ける全圧による力が、この弁本体2の重量(重力によって弁を垂下姿勢に保つ力)または慣性質量による制止力に打ち勝つ場合には、この弁本体2は開状態となる。また、ガスが正方向(上流側から下流側へと向かう方向)に流れる場合にその流体の流れから受ける全圧による力が逆止弁の重量または慣性質量よりも弱い場合、またはガスが負方向(正方向とは逆方向に、下流側から上流側へと向かう方向)に流れる場合には、この逆止弁は閉状態となる。その弁としての開度(弁の開きの度合い)は、この弁本体2がガスの流れから受ける全圧による力と、重量などによる制止力との均衡によって定まり、一般に全圧が大きくなるほど弁の開度は大きくなり、また弁本体2の重量が小さいほど微少流量でも弁が開いた状態になりやすい。
【0037】
この固定端部材20は、上記のような係止爪5を設けたことによる、いわゆる逆止弁的な機能によって、導通路1内のガスに例えば逆流を伴ったうねりや緩慢な逆流などが生じることを抑止することができる。このような機能については、一般的ないわゆる逆止弁とほぼ同様の機能であって、本実施の形態の固定端部材20が逆止弁状であることによって付帯的(副次的)に得られる機能であるとも言えるが、さらに重要な機能として、本実施の形態の固定端部材20は、導通路1中のガスに疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となり、その波動としての節を形成するという機能を備えている。
【0038】
すなわち、本実施の形態の実質的な固定端部材20である弁本体2は、図3に模式的に示したように、ガスに生じる脈動やうねりのような疎密波または流量波に対して固定端として機能して、その波動30に節を形成することによって、どのような周波数や周期の疎密波または流量波が生じた場合にも、その固定端部材20が設けられた位置およびその近傍における疎密波または流量波の縦波状の波動としての振動変位をほぼ0の状態にして、常に流量計測用センサ3による精確な流量計測が行われるようにすることができる。しかもこのとき、導通路1中のガスの流速が0ではない場合であっても、その流れの全圧による力を受けて、実質的な固定端部材20である弁本体2は、例えば図4に一例を示したように半開きに開いた状態になるので、この固定端部材20(弁本体2)が計測対象のガスの流れの実用的な妨げになることはない。但し、弁本体2が半開きの状態となることで、弁本体2が閉じた状態の場合とは節の形成される位置が若干ずれることになるが、その程度のずれは実用上、何ら問題ないもので、無視することが可能であることは言うまでもない。
【0039】
また、この逆止弁状の固定端部材20の弁本体2は、上記のように脈動などの疎密波または流量波と共振してしまうと、理論的にはこの固定端部材20を設けなかった場合とほぼ同様に、脈動などの波動に節(実質的な流量がほぼ0の点)を形成することができなくなる。従って、本実施の形態の固定端部材20は、脈動などの疎密波または流量波の波動に対して、固定端として非共振的に作用して、そのときの波動を抑止することができると共に、そのときのガスの流れの全圧に対応した開度で弁本体2が開いた状態になって、そのときのガスの流れを下流側へと流すことができるように、弁本体2の重量および面積ならびに形状等の諸要素が設定されている。
【0040】
すなわち、ここで仮に、逆止弁状の固定端部材20(弁本体2)の重量および面積ならびに形状等が、脈動のような疎密波または流量波の振動数に対して共振する設定となっていた場合などには、その固定端部材20は脈動のような疎密波または流量波に対して固定端として機能することができず、この固定端部材20を設けなかった場合とほぼ同様に、導通路1中のガスに脈動のような顕著な疎密波または流量波等の発生を防止することができなくなる。従って、この固定端部材20の重量および面積ならびに形状は、計測対象のガスに発生することが予め想定される脈動のような疎密波または流量波に対して十分に効果的に固定端として機能することができるように設定されていることが必要である。これは換言すれば、弁本体2の流体振動に関する固有振動数を、導通路1内のガスに発生することが予め想定される脈動のような疎密波または流量波の固有振動数から可能な限り離れた値に設定することが望ましいということである。
【0041】
ここで、上記の固定端部材20と流量計測用センサ3との相対的な位置関係としては、固定端部材20と流量計測用センサ3との距離が、流量計測用センサ3による計測結果における疎密波または流量波に起因した誤差がガスメータとして予め定められている許容範囲内に収まるような範囲内となるように設定することが望ましい。
【0042】
すなわち、このような至近距離内に固定端部材20と流量計測用センサ3とを近付けて配置することによって、疎密波または流量波の縦波状の波動としての振動変位が確実にほぼ0となっている状態で、計測対象の流体の流量または流速を精確に計測することが可能となる。
【0043】
具体的に、その許容可能な距離としては、ガスの含有成分比や音速や疎密波または流量波の波長など諸条件によって異なったものとなることは言うまでもないが、許容可能な最長距離としては、例えば数センチメートルから数10センチメートル以下であることが望ましい。但し、これのみには限定されないことは言うまでもない。
【0044】
また、上記の固定端部材20は、流量計測用センサ3よりも下流側に設けることが望ましい。すなわち、本実施の形態のような逆止弁状の固定端部材20(弁本体2)を導通路1の中に設けると、その弁本体2の存在に起因して、その弁本体2の下流側に乱流や渦などが発生する確率が高くなる。しかも、その乱流や渦の様相は、流体の流速やレイノルズ数の変化などに起因して不規則的に変化する場合が多い。このため、流量計測用センサ3を固定端部材20よりも下流側に設けると、固定端部材20に起因した乱流や渦などが外乱として計測に悪影響を与えてしまう虞がある。しかし、固定端部材20を流量計測用センサ3よりも下流側に設ける(換言すれば流量計測用センサ3を固定端部材20よりも上流側に設ける)ことによって、固定端部材20が存在していることでその下流側に生じる乱流や渦などに起因した流量計測用センサ3への悪影響を回避することができる。従って、このような観点に基づいて、本実施の形態では、固定端部材20は流量計測用センサ3よりも下流側に設けられている。
【0045】
ところで、上記の疎密波または流量波の典型的な具体例としては、例えば当該ガスメータの下流側やそのガスメータの上流側に同じ配管で繋がっている隣家などに設置されたガスヒートポンプのようなガス機器(いずれも図示省略)の運転などに起因した脈動やうねりなどがある。ここで、「脈動」とは、ガスのような計測対象の流体に生じる周波数の高い疎密波または流量波状の(縦波状の)波動であり、「うねり」とは、計測対象の流体の流体に生じる緩慢な流量変動や緩慢な流量波を意味するものとする。
【0046】
このような疎密波または流量波の区分に則して言えば、逆止弁状の固定端部材20の場合には、導通路1中のガスに脈動が生じたときに、その脈動の波動としての固定端となって節を形成することで、その脈動に起因した計測誤差を改善または解消することができるだけでなく、うねりのような緩慢な流量変動や緩慢な逆流などについても改善または解消することができる。
【0047】
また、逆止弁状ではなく、逆流方向にも開いた状態となり得る固定端部材20の場合には、導通路1の中のガスに脈動が生じたときに、その脈動の波動としての固定端となって節を形成することで、その脈動に起因した計測誤差を改善または解消することについては確実に達成することができるが、うねりのような緩慢な流量変動や緩慢な逆流などについては、必ずしもすべての場合で改善または解消することができるとは限らない。但し、うねりや緩慢な逆流などに起因した計測誤差については無視できるものである場合には、逆止弁状ではない固定端部材20を用いて、計測誤差の改善または解消を十分に効果的に達成することが可能である。
【0048】
なお、逆止弁状の固定端部材20としては、上記のような概要構成のものの他にも、例えば図5の内部透視図に一例を示したように、弁本体2を閉じる方向に付勢するためのコイルばねのような弾性部材6を備えており、その弾性部材6による付勢力とガスの流れから弁本体2が受ける全圧との均衡によって、その弁本体2が開閉するように設定することなども可能である。なお、このとき弁を閉じる方向に加わる力としては、さらに弁本体2自体の重量が寄与するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、例えば図6に一例を示したように、上記の弁本体2の外周部、あるいはその弁本体2の開閉や計測用センサの計測動作に支障の無い位置(例えば計測用センサが導通路1の上側(天井側)壁面に設置されている場合に、それと距離が十分に離れた位置である例えば下側(底面側)壁面に近い位置など)や左右両脇に、少なくともガスの正方向の流れにおいて予め設定されている最低計測可能流量を流すことができる、いわゆるサイドゲート7のような隙間を設けるようにしてもよい。
【0050】
例えば疎密波または流量波に節を形成する機能を確保するために逆止弁状の固定端部材20の重量(あるいは慣性質量または弾性部材6による付勢力)を、その固定端部材20が最低計測可能流量に対応した正方向の流れから受ける全圧よりも打ち勝つように設定せざるを得なくなって、この固定端部材20の存在に因って、計測可能な最低限度の流量程度の微少流量の流れが妨げられてしまう場合などには、上記のようなサイドゲート7に微少流量をバイパスさせて流すようにすることにより、ガスメータとしての最低計測可能流量を確保することが可能となる。
【0051】
また、固定端部材20の主要部(弁本体2の部分など)の形状としては、上記のようなもののみには限定されない。その他にも、例えば図7に示したような円筒状の導通路1の中に、周囲に若干の隙間を持たせて回動可能に吊り下げられた円板状のものや、例えば図8に示したような回動軸4が中心部に設けられていてその回動軸4を中心として折れ曲がるようにして開いたり閉じたりできるようにした半円板状の弁体21A,21Bを2枚組み合わせてなるもなども用いることが可能である。なお、図8に示した構造の場合には、半円板状の弁体21A,21Bを閉じる方向に付勢するための、ばね部品(図示省略)等を備えるようにすることが望ましいことは言うまでもない。
【0052】
あるいは、逆止弁状ではない固定端部材20としては、上記の実施の形態で説明した構造の逆止弁状の固定端部材20から逆止用の係止爪5を無くした板体状の弁本体2の形状のものや、それ以外にも、例えば図9に示したような、流れの方向に沿った厚みの大きな(厚み方向に顕著に立体的である)形状のものなどを用いることも可能である。このような厚み方向に立体的な固定端部材20の本体(以下これを立体的固定端部材22と呼ぶ)を採用する場合には、その厚み方向の形状を、例えばガスの流れに対していわゆる紡錘形のような形状などにすることによって、この立体的固定端部材22がガスの流れの途中に存在することに起因してその下流側に発生する可能性のあった不規則な乱流や渦などを緩和ないし解消することができる。そしてその結果、立体的固定端部材22よりも下流側に流量計測用センサ3を設置しても、不規則な乱流や渦などに起因した計測誤差を防止して、精確な流量の計測を実現することが可能となる。
【0053】
ここで、計測対象の流体に生じる疎密波または流量波にその波動としての節を設ける手段としては、上記のような逆止弁状などの固定端部材20の他にも、金網のようなメッシュ(図示省略)を用いることなども可能である。但し、このようなメッシュを用いる場合には一般に、流量または流速が大きくなるにつれて流れの損失ヘッドも大きくなってしまう傾向にあるので、メッシュの網目の大きさや網の太さなどを、当該ガスメータとして所定の最大計測可能流量を流すことができるように設定しておくことが望ましいことは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし8のいずれかに記載の流量計測装置または請求項9ないし16のいずれかに記載のガスメータによれば、計測対象のガスなどの流体に生じる脈動やうねりのような疎密波または流量波の波動としての節を形成するための、例えば逆止弁状などの固定端部材を、計測用センサの上流または下流に設けて、どのような周波数や周期の疎密波または流量波が生じても、その固定端部材が設けられた位置に計測対象の流体中の疎密波または流量波の節(換言すれば疎密波または流量波の縦波状の波動としての振動変位がほぼ0の状態)が形成されるようにしたので、例えば逆止弁状のような極めて簡易な構造の固定端部材を用いるだけで、計測対象の流体にどのような脈動やうねりなどの疎密波や流量波が発生しても、それに起因した誤差を計測用センサが拾うことなく、常に精確な(計測の分解能が高く、かつ誤差やノイズの少ない正確な)流量計測を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るガスメータの概要構成を表した図である。
【図2】逆止弁状の固定端部材の概要構成を抜き出して表した図である。
【図3】固定端部材である弁本体の作用を説明するための図である。
【図4】ガスの流れの全圧による力を受けて、実質的な固定端部材である弁本体が半開きになった状態の一例を表した図である。
【図5】弁本体を閉じる方向に付勢するためのコイルばねのような弾性部材を備えた、固定端部材の一例を表した図である。
【図6】弁本体の周囲などにサイドゲートのような隙間を設けた場合の一例を表した図である。
【図7】固定端部材の主要部の形状のバリエーションの一例を示した図である。
【図8】固定端部材の主要部の形状の、図7とは異なる他のバリエーションの一例を示した図である。
【図9】流れの方向に沿った厚みの大きな立体的な形状の固定端部材の一例を表した図である。
【符号の説明】
1…導通路、2…弁本体、3…流量計測用センサ、4…回動軸、5…係止爪、6…弾性部材、7…サイドゲート、20…固定端部材、22…立体的固定端部材

Claims (16)

  1. 計測対象の流体を導通させる導通路と、その導通路における流体の流量または流速を計測するための計測用センサとを有する流量計測装置であって、
    前記流体に疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その疎密波または流量波の波動に節を形成するための固定端部材を、前記計測用センサの上流または下流に備えた
    ことを特徴とする流量計測装置。
  2. 前記固定端部材と前記計測用センサとの相対的な位置関係として、前記固定端部材と前記計測用センサとの距離を、前記計測用センサによる計測結果における前記疎密波または流量波に起因した誤差が当該流量計測装置として予め定められている許容範囲内に収まるような範囲内の距離に設定した
    ことを特徴とする請求項1記載の流量計測装置。
  3. 前記固定端部材が、前記流体の下流側への流れに対しては、予め設定されている最低計測可能流量以上を流すことが可能な開いた状態となり、上流側への流れに対しては閉じた状態となってその流れを抑止する、逆止弁状のものである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の流量計測装置。
  4. 前記逆止弁状の固定端部材が、その重量または慣性質量と前記流体から受ける全圧とによってその弁が開閉するように設定されている
    ことを特徴とする請求項3記載の流量計測装置。
  5. 前記逆止弁状の固定端部材が、弁を閉じる方向に付勢するための弾性部材を備えており、その弾性部材による付勢力と前記流体から受ける全圧とによってその弁が開閉するように設定されている
    ことを特徴とする請求項3記載の流量計測装置。
  6. 前記逆止弁状の固定端部材の開閉動作する弁本体の外周部、またはその逆止弁状の固定端部材の開閉動作および前記計測用センサの動作に支障の無い位置に、少なくとも前記流体の下流側への流れに対して当該流量計測装置として予め設定されている最低計測可能流量を流すことができる隙間を設けたことを特徴とする請求項2ないし5のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。
  7. 前記固定端部材を、前記計測用センサよりも下流側に設けたことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。
  8. 前記固定端部材の代りに、前記流体に疎密波または流量波が生じた場合にその疎密波または流量波に節を形成するためのメッシュを備えた
    ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。
  9. 計測対象の流体を導通させる導通路と、その導通路における流体の流量または流速を計測するための計測用センサとを有するガスメータであって、
    前記流体に疎密波または流量波が生じた場合に、その疎密波または流量波に対して固定端となって、その疎密波または流量波の波動に節を形成するための固定端部材を、前記計測用センサの上流または下流に備えた
    ことを特徴とするガスメータ。
  10. 前記固定端部材と前記計測用センサとの相対的な位置関係として、前記固定端部材と前記計測用センサとの距離を、前記計測用センサによる計測結果における前記疎密波または流量波に起因した誤差が当該ガスメータとして予め定められている許容範囲内に収まるような範囲内の距離に設定した
    ことを特徴とする請求項9記載のガスメータ
  11. 前記固定端部材が、前記流体の下流側への流れに対しては、当該ガスメータとして予め設定されている最低計測可能流量以上を流すことが可能な開いた状態となり、上流側への流れに対しては閉じた状態となってその流れを抑止する、逆止弁状のものである
    ことを特徴とする請求項9または10記載のガスメータ。
  12. 前記逆止弁状の固定端部材が、その重量または慣性質量と前記流体から受ける全圧とによってその弁が開閉するように設定されている
    ことを特徴とする請求項11記載のガスメータ。
  13. 前記逆止弁状の固定端部材が、弁を閉じる方向に付勢するための弾性部材を備えており、その弾性部材による付勢力と前記流体から受ける全圧とによってその弁が開閉するように設定されている
    ことを特徴とする請求項11記載のガスメータ。
  14. 前記逆止弁状の固定端部材の開閉動作する弁本体の外周部、またはその逆止弁状の固定端部材の開閉動作および前記計測用センサの動作に支障の無い位置に、少なくとも前記流体の下流側への流れに対して当該ガスメータとして予め設定されている最低計測可能流量を流すことができる隙間を設けたことを特徴とする請求項10ないし13のうちいずれか1つの項に記載のガスメータ。
  15. 前記固定端部材を、前記計測用センサよりも下流側に設けた
    ことを特徴とする請求項9ないし14のうちいずれか1つの項に記載のガスメータ。
  16. 前記固定端部材の代りに、前記流体に疎密波または流量波が生じた場合にその疎密波または流量波に節を形成するためのメッシュを備えたことを特徴とする請求項9ないし15のうちいずれか1つの項に記載のガスメータ。
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