JP3800525B2 - 地盤の飽和度測定方法および液状化防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤の飽和度を測定する方法、およびそれを用いた地盤の液状化防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、地盤の液状化とは、含水率の高い地盤が地震により衝撃や振動を受けて変形することに伴い、土粒子間に飽和状態で存在している間隙水の水圧が急激に上昇し、その結果、土粒子間の摩擦抵抗が消失して地盤があたかも液体のように挙動して耐力を失ってしまう現象をいう。
【0003】
そのような液状化を防止するためには、地盤強度を高める、あるいは地盤に細粒分を注入するといった手法が知られているが、最近においては地下水の揚水による液状化防止方法も有効であると考えられている。これは、図6に示すように対象地盤にスクリーン1aを有する井戸1を設けてそこから地下水を連続的に汲み上げて地下水位を低く維持することにより、液状化の根本原因である土粒子中の間隙水を地盤から排除してしまうというものである。
【0004】
しかし、上記のような地下水揚水による液状防止方法では、地下水位を常に低く維持するために地下水を常時連続的にしかも恒久的に揚水し続けなければならないから、それに要する運転費と維持管理費は膨大になるし、地下水位低下による圧密沈下が生じてしまう懸念もある。
【0005】
そのため、地下水を常時揚水して地下水位を常に低く維持するのではなく、地下水位を一時的に低下させて地盤の飽和度を低下させることで液状化を防止するという方法も提案されている。
【0006】
ここで、地盤の飽和度とは、土粒子間の間隙中に存在する間隙水の体積の割合(地盤中の地下水の体積/地盤の間隙体積)を示す指標であり、間隙全体に間隙水が完全に満たされている状態が飽和度100%であり、その状態では容易に液状化を生じてしまうものであり、通常の液状化地盤はこのような飽和状態にあると考えられる。しかし、土粒子の間隙中に多少なりとも気泡などの気相を混在させると飽和度が100%未満に低下し、そのような不飽和状態では液状化は格段に生じ難いものとなり、たとえば飽和度が95%の場合には飽和度100%の飽和状態の場合に比べて液状化に対する強度が1.5倍程度にまで高まり、飽和度90%では2倍程度に高まると考えられている。しかも、土粒子の間隙中に積極的に気泡などの気相を混在させて飽和度を低下させると、その気泡などの気相部分は土粒子の間隙中に封じ込まれて容易に抜けてしまうことなくそこにそのまま長期にわたって留まり、そのため一度低下させた飽和度が自ずと長期にわたって維持される性質を有する。
【0007】
そこで、液状化を防止するべき地盤から地下水の揚水を行って地下水位を一時的に低下させれば、地盤中の間隙水に気泡などの気相が混在して飽和度が低下し、もって液状化に対する強度を高めて液状化を防止することができるのであり、しかも、そのようにして飽和度を一度低下させれば不飽和状態は自ずと長く維持されるから、その後は揚水を停止しても支障がなく、図6に破線で示すように地下水位が自然に回復してもそのまま液状化防止効果を長期にわたって維持できるというのであり、極めて有効な方法であると考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような地盤の飽和度を低下させることで液状化を防止する方法においては、地盤の飽和度を長期にわたって低く維持するためには地下水位の上昇を抑制することが好ましいことは当然であり、そのために対象地盤の周囲を止水壁2により取り囲んで地下水位の自然上昇を抑制することが好ましいが、そのようにしたところでいずれは地下水位が回復して再び飽和状態に戻ることも想定されるため、このような液状化防止方法を真に有効なものとするためには、飽和度を定期的に監視し、飽和度が上昇して液状化が発生する懸念が生じた際には再揚水を行って地下水位を再び低下させることで飽和度を再び低下させる必要がある。
【0009】
その場合、飽和度を測定する必要が生じるが、現時点では飽和度を測定するための有効適切な手法はなく、そのため地盤から定期的にサンプリングを行って室内試験により飽和度を測定するか、あるいは図7に示すように比誘電率測定用のプローブ3および測定装置本体4により地盤の比誘電率を測定してそれから飽和度を推定することが考えられているが、いずれも面倒な手間と時間を要するばかりでなく、必ずしも高精度の測定ができないものであり、飽和度を測定するための有効適切な手法の開発が望まれていた。
【0010】
上記事情に鑑み、本発明は地盤の飽和度を簡便に測定する方法、およびその測定方法を利用した有効な液状化防止方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、地盤の液状化に対する強度の指標となる飽和度を測定する方法であって、地盤の各深度におけるP波伝搬速度を測定し、その測定値から飽和度を求めることを基本とする。
【0012】
そして、請求項1の発明においては、地盤に設けた測定孔内にP波伝搬速度測定用のプローブを挿入して各深度におけるP波伝搬速度を測定することとし、その測定孔内には、形状保持用のリングを間隔をおいて装着した柔軟材料からなる蛇腹状の井戸管を設けることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明の液状化防止方法は、請求項1の発明の方法により地盤の飽和度を測定し、その結果に応じて地盤から揚水を行って地下水位を低下させることにより、地盤の飽和度を低下させて液状化に対する強度を高めることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の飽和度測定方法の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の飽和度測定方法は、地下水面下の各位置におけるP波伝搬速度(以下ではVPと記す)を測定し、その測定値から飽和度を求めるようにしたものである。
【0015】
すなわち、飽和状態にある地盤においてはVPは約1600m/sであるが、不飽和状態の地盤におけるVPはそれよりも小さく、飽和度が低いほどVPも小さいことが知られており、したがって地盤のVPを測定すればその測定値から地盤の飽和度を求めることができることになる。
【0016】
そこで、本実施形態の測定方法では、対象地盤の各位置におけるVPを測定して図4に示すようなVPの分布を求めるとともに、この地盤のVPと飽和度との関係を予め調査しておき、それに基づいて地盤の飽和度を求めることとする。具体的には、対象地盤に図1に示すような測定孔5を設けて、その内部に起振器を内蔵したVP測定用のプローブ6を挿入し、巻き上げ機構7によりプローブ6を昇降させつつ各深度でのVPを連続的に測定して図4に示すようなVPの分布を求める。そして、予め調査しておいたデータを用いてデータ解析を行い、上記の分布から各深度における飽和度を求める。
【0017】
この際、測定孔5内には図2に示すように井戸管8を設けるが、その井戸管8として通常の鋼管や塩ビ管等の剛性材料を用いた場合には、起振器の振動が地盤に正確に伝わらないのでVPの測定値に影響が及んで精度の良い測定を行うことができない。そこで、本実施形態では図3に示すように、井戸管8として柔軟材料、たとえば不織布からなる肉厚の円筒体9を採用し、その内部に形状保持用のリング10を間隔をおいて多数装着した蛇腹状のものを採用しており、それにより起振器の振動を地盤にそのまま伝えて高精度の測定を行い得るものとなっている。
【0018】
このように、本実施形態の測定方法ではVP測定用のプローブ6によりVPを測定するのみで地盤の飽和度を求めることができ、したがって従来のようにサンプリングを行って室内試験により飽和度を求めたり、あるいは比誘電率を測定して飽和度を求める場合に比較して遙かに簡便に飽和度を求めることが可能である。
【0019】
図5は上記の飽和度測定方法を用いた液状化防止方法の一実施形態を示す。本実施形態の液状化防止方法は、図6に示したものと同様に、対象地盤を止水壁2により取り囲み、その内部に井戸1を設け、井戸1からの揚水により地下水位を一時的に低下させて飽和度を低下させ、それによって地盤の液状化に対する強度を高めて液状化防止効果を得た後は、揚水を停止して地下水位の上昇を許容するようにし、その後、飽和度を定期的に測定して飽和度が所定値を越えて上昇した時点で再揚水を行うようにしたものである。そして、本実施形態では飽和度の測定を図1に示した方法により行うべく、VP測定用の測定孔5を設けておき、プローブ6により定期的にVPの測定を行って飽和度を求め、飽和度が予め設定した許容値以上になった場合には井戸1から再揚水を行って地下水位を再び低下させ、飽和度を再び低下させることで液状化に対する強度を高めるようにしている。したがって本実施形態の液状化防止方法では、VPの測定結果に基づいて飽和度が上昇した場合には自動的に再揚水を行って液状化防止効果を回復させることができ、必要最少限の手間、費用で液状化防止効果を長期にわたって確保することができる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明は、P波伝搬速度から飽和度を求めるので、従来のサンプリングによる室内試験による場合や、比誘電率の測定による場合に比べて飽和度を簡便に測定することができる。
【0021】
特に、P波伝搬速度を測定するための測定孔に、形状保持用のリングを間隔をおいて装着した柔軟材料からなる蛇腹状の井戸管を設けるようにしたので、P波伝搬速度を精度良く測定することができる。
【0022】
請求項2の発明は、P波伝搬速度を測定することで飽和度を測定し、その結果に応じて地盤から揚水を行って地下水位を低下させることで地盤の飽和度を低下させるので、飽和度が予め設定した許容値を越えた場合には速やかに再揚水を行うことのみで、地下水位を再び低下させて飽和度を再び低下させ、それによって液状化防止効果を回復させることができるから、必要最少限の手間、費用で液状化防止効果を長期にわたって確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の飽和度測定方法の一実施形態を示す概要図である。
【図2】 同、VP測定用の測定孔を示す図である。
【図3】 同、図2におけるIII部の拡大図である。
【図4】 同、VPと飽和度との関係を示す図である。
【図5】 本発明の液状化防止方法の一実施形態を示す概要図である。
【図6】 地下水位を低下させることによる液状化防止方法の概念図である。
【図7】 同、他の例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 井戸
2 止水壁
5 測定孔
6 プローブ
7 巻き上げ機構
8 井戸管
9 円筒体
10 リング
VP P波伝搬速度
Claims (2)
- 地盤の液状化に対する強度の指標となる飽和度を測定する方法であって、地盤の各深度におけるP波伝搬速度を測定し、その測定値から飽和度を求めるべく、地盤に設けた測定孔内にP波伝搬速度測定用のプローブを挿入して各深度におけるP波伝搬速度を測定することとし、その測定孔内には、形状保持用のリングを間隔をおいて装着した柔軟材料からなる蛇腹状の井戸管を設けることを特徴とする地盤の飽和度測定方法。
- 請求項1記載の方法により地盤の飽和度を測定し、その結果に応じて地盤から揚水を行って地下水位を低下させることにより、地盤の飽和度を低下させて液状化に対する強度を高めることを特徴とする地盤の液状化防止方法。
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