JP3800526B2 - パネルの取付工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海中構造物の壁面に海生生物の付着を防止するためのパネルを取り付けるための工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の海中構造物、たとえば発電所における海水取水施設等においては、その表面にフジツボやイガイ等の海生生物が多量に付着し、それに起因する機能低下や機能障害を引き起こす懸念がある。従来においては付着した海生生物を定期的に掻き落として除去するしかなかったが、最近においては海生生物が嫌う各種の忌避物質が開発され、これを海中構造物の表面に予め塗布することで海生生物の付着自体を防止し抑制することが行われるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来において実用化されている海生生物の忌避物質はいずれも防汚塗料として海中構造物の表面に直接的に塗布するものであるため、その塗布作業は海中(水中)では行うことができず、そのため塗布作業に際しては塗布面全体をドライにする必要があり、それが不可能な場合には適用できないものである。
【0004】
また、ドライにして塗布作業を行うことが可能であっても、通常は大がかりな足場を必要とするし、忌避物質の効果を長期にわたって持続させるためには防汚塗料を充分な厚さに重ね塗りする必要があるため施工期間が長期に及んでしまい、しかも、いずれにしても1年ないし数年程度で防汚塗料の塗り直しが必要となるのでそのたびにドライにする必要があるし、その際には既に付着している海生生物を掻き落とすという面倒な準備作業も必要である。
【0005】
以上のことから、海生生物の付着防止材を防汚塗料として海中構造物の表面に直接的に塗布するという従来の塗布工法では、工費や施工性の点で必ずしも容易に実施できるものではなく、有効な改善策が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑み、請求項1の発明は、海中構造物の壁面に海生生物の付着を防止するためのパネルを取り付けるようにしたものであり、特に、海生生物付着防止材を塗布した多数のパネルを予め連結しておき、そのパネル連結体を海中構造物の上方から壁面の前面側に吊り下げていって各パネルをそれぞれ取付位置に導いた後、各パネルをアンカーにより海中構造物の壁面に固定することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、パネル連結体を海中に吊り下げていき、海中に没したパネルを固定するためのアンカーを水中工具により打ち込むことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、各パネルを柔軟な連結具により連結することによりパネル連結体を折り畳み可能としておき、かつ連結具を切断することで各パネルを切り離し可能としておくことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図3を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態の工法は、各種の海中構造物1を対象としてその壁面1aに海生生物付着防止用のパネル2を取り付けるようにしたものであり、特に、多数のパネル2をパネル連結体3として予め一方向に長く連結しておき、そのパネル連結体3を海中構造物1の上方から海中に吊り下げていき、潜水夫4による海中作業により各パネル2を壁面1aに固定するようにしたものである。
【0010】
本実施形態におけるパネル2は、FRP等の樹脂成形板からなるパネル本体2aの表面に海生生物付着防止材としての防汚塗料2bを予め塗布したものである。防汚塗料2bの成分は特に限定されないが、亜酸化銅とマイナスイオンを発生するものが好適に採用可能である。防汚塗料2bの塗膜の厚みも適宜で良いが、通常の防汚塗料の耐用年数(有効期間)は0.06mm(60μm)程度の厚みの場合で約1年程度であるので、本実施形態のパネル2としては0.6〜1mm(600〜1000μm)程度の厚塗りとして耐用年数を充分に長くすることが好ましい。勿論、パネル2の大きさや厚さは適宜で良いし、パネル本体2aの素材も適宜であるが、海水に対する腐食性に優れ、軽量で取扱性に優れ、安価に製作できることからFRPの採用が現実的であり最適である。なお、図2〜図3に示すように、パネル2の四隅部にはアンカー取付孔5を形成しておき、そのアンカー取付孔5にはアンカー6の頭部が係合するザグリを設けておく。
【0011】
本実施形態の工法では、図2に示すように上記のパネル2を予め連結具7を介して一方向に長く連結してパネル連結体3としておくのであるが、図示例のものでは連結具7として柔軟なテープ状のものを採用し、それをパネル2の背面側に取り付けることでパネル連結体3を折り畳み可能としておいて、運搬時や施工時に容易に取り扱うことができるものとなっている。なお、連結具7はパネル2の前面側に取り付けることでも良いし、連結具7としてはパネル2どうしを折り畳み可能な状態で連結できるものであれば他の素材や形態のもの、たとえば針金(番線)や金具等も採用可能である。ただし、いずれにしても、必要に応じてパネル連結体3を所望の位置で切断したり、あるいは所望のパネル2のみをパネル連結体3から切り離すことが可能なように、連結具7はカッター等の簡易な工具類で容易に切断ないし破断可能なもの、もしくは容易に連結を解除できる構成としておくことが好ましい。
【0012】
本実施形態の工法は、図1に示すように、予め折り畳んでおいたパネル連結体3を海中構造物1の上方から順次繰り出して海中に吊り下げていくことにより壁面1aの前面側に配置する。その際、パネル連結体3の下端部に錘8を取り付けることでパネル連結体3の浮き上がりを防止して支障なく吊り下げていくことができる。
【0013】
パネル連結体3を所定位置まで吊り下げたら、図3に示すように、各パネル2のアンカー取付孔5にアンカー6を打ち込むことで各パネル2を壁面1aに固定するが、その作業は潜水夫4が水中銃等の水中工具9を用いて行う。なお、必要であればアンカー6を打込むための下穴を予め壁面1aに形成すれば良い。また、アンカー6を打ち込む際におけるパネル2への衝撃吸収のため、あるいは壁面1aとのなじみを良くするために、パネル2の表面あるいは背面の少なくとも取付孔5の周囲に、発泡スチロール等の多孔質緩衝材やゴム等の弾性緩衝材を貼り付けておくことが望ましい。
【0014】
本工法によれば、防汚塗料2bを塗布したパネル2を海中の壁面1aに対して取り付けることにより、その壁面1aに対する海生生物の付着を有効に防止、抑制することができることはもとより、従来のように防汚塗料を直接的に壁面に塗布する場合のように壁面の前面側をドライとする必要がなく、また海中に足場を設けるような必要もなく、パネル2の取り付け作業を簡単にかつ短工期で行うことが可能であり、防汚塗料を塗布しようにも塗布面をドライとすることができない海中構造物を対象とする場合に適用して最適である。
【0015】
また、本工法により取り付けたパネル2における防汚塗料2bの耐用年数が過ぎたら、潜水夫による海中作業によりアンカー6を抜き取ることにより、パネル連結体3の全体をそのまま上方に引き上げることができ、したがって新たなパネル連結体3との交換作業を容易に行うことができる。なお、そのような交換作業を行うに際して交換するべきパネル2に海生生物が付着していたとしても、それはパネル連結体3を引き上げることで自ずと除去されてしまうから事前に除去するような必要はない。従来のように海中構造物の表面に直接的に防汚塗料を塗布して定期的に塗り直しを行う場合には、塗り直しに先立ってドライにする必要があるばかりでなく、既に付着している海生生物を除去する準備作業が必要であるのに対し、本工法によりパネル連結体3を交換することとすれば、ドライにする必要がないばかりでなく海生生物の除去作業も必要とせず、この点においても従来の塗布工法に較べて遙かに合理的である。
【0016】
また、パネル連結体3の全体を交換するのではなく、個々のパネル2を交換する必要が生じた場合には、連結具7を切断する等して交換対象のパネル2を上下のパネルから切り離し、それのみを引き上げてそこに新たなパネル2を取り付ければ良い。なお、取り外したパネル連結体3ないしパネル2は、付着している海生生物ごと適宜処分すれば良いが、海生生物をパネル2から掻き落とし、その表面に防汚塗料2bを塗り直してパネル2を再生し、パネル連結体3として再使用することも可能である。
【0017】
さらに、本工法において採用したパネル連結体3は、上記のように海中に吊り下げて潜水夫4による海中作業により壁面1aに固定するのみならず、気中での作業により壁面に取り付ける場合にも適用することができる。その場合は、潜水夫による海中作業に代えてゴンドラ等の吊り足場を用い、水中銃等の水中工具によるアンカー打設に代えて通常の後打ちアンカーないしアンカーボルトの締結等によりパネルを壁面に対して固定すれば良い。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明は、海生生物付着防止材を塗布した多数のパネルを予め連結しておき、そのパネル連結体を海中構造物の上方から壁面の前面側に吊り下げていって各パネルをそれぞれ取付位置に導いた後、各パネルをアンカーにより海中構造物の壁面に固定するので、海中構造物の壁面に対する海生生物の付着を有効に防止、抑制できることはもとより、壁面に対する多数のパネルの取り付け作業を効率的に行うことが可能であるし、パネル連結体全体の交換作業を効率的に行うことが可能である。
【0019】
請求項2の発明は、パネル連結体を海中に吊り下げていき、海中に没したパネルを固定するためのアンカーを水中工具により打ち込むので、海中での作業が可能であり、パネル取付面をドライにすることができない場合にも支障なく適用可能である。
【0020】
請求項3の発明は、各パネルを柔軟な連結具により連結することによりパネル連結体を折り畳み可能としておき、かつ連結具を切断することで各パネルを切り離し可能としておくので、運搬時や施工時におけるパネル連結体の取り扱いが容易であるし、個々のパネルのみを交換することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の工法の実施形態を示す概要図である。
【図2】 同、パネル連結体の概略構成図である。
【図3】 同、パネルの固定状態の詳細図である。
【符号の説明】
1 海中構造物
1a 壁面
2 パネル
2a パネル本体
2b 防汚塗料(海生生物付着防止材)
3 パネル連結体
4 潜水夫
5 アンカー取付孔
6 アンカー
7 連結具
8 錘
9 水中工具

Claims (3)

  1. 海中構造物の壁面に海生生物の付着を防止するためのパネルを取り付けるための工法であって、海生生物付着防止材を塗布した多数のパネルを予め連結しておき、そのパネル連結体を海中構造物の上方から壁面の前面側に吊り下げていって各パネルをそれぞれ取付位置に導いた後、各パネルをアンカーにより海中構造物の壁面に固定することを特徴とするパネルの取付工法。
  2. パネル連結体を海中に吊り下げていき、海中に没したパネルを固定するためのアンカーを水中工具により打ち込むことを特徴とする請求項1記載のパネルの取付工法。
  3. 各パネルを柔軟な連結具により連結することによりパネル連結体を折り畳み可能としておき、かつ連結具を切断することで各パネルを切り離し可能としておくことを特徴とする請求項1または2記載のパネルの取付工法。
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