JP3800945B2 - ソフトウエア無線機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はソフトウエア無線機(Software Defined Radio)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DSPの処理能力向上によって、無線機の機能の一部をソフトウエアで実現した、いわゆるソフトウエア無線機が登場してきた。この種の無線機5は、典型的には、図4に示すように、アナログ部51と、ADC(Analog to Digital Converter)・DAC(Digital to Analog Converter)部52と、ディジタル部53と、メモリ部54からなる。
【0003】
アナログ部51は、複数の通信方式それぞれに対応した複数のハードウエアを含んでおり、状況に応じて上記複数の通信方式のうち所望の方式に切り換えて使用される。メモリ部54には、上記複数の通信方式それぞれに対応した複数のプログラムを記憶している。これらのプログラムは、上記メモリ部54の差し替えや同図には示されない外部装置からの書き込み、あるいは上記ソフトウエア無線機が外部からアンテナ50を通じて受信したデータをディジタル部53が書き込むことにより随時更新されうるものである。
【0004】
ディジタル部53は、DSP531を有しており、所望の通信方式に応じて必要なプログラムを上記メモリ部54からダウンロードし、上記プログラムを実行することによって上記所望の通信方式に必要な信号処理手段を実現する。このようなソフトウエア無線機5は、プログラムの入替えによって少ないハードウエア規模で複数の通信方式に対応できるほか、個々の方式のバグフィックスや新機能追加に容易に対応できるなどの特徴を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ソフトウエア無線機が端末装置などとして普及し、新規プログラムの入替えの頻度が増加してくると、ソフトウエア無線機が電波法を遵守することをプログラムのみで保証することが困難となる。このために、ソフトウエア無線機がプログラムを新規に実行した場合に法的に妥当な無線機となることを保証すること、とりわけ隣接チャネルに対して電力を漏洩しない、法的に妥当な無線機となることを保証することが課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、本発明のソフトウエア無線機は、外部の入力パラメタである単数ないし複数の規格項目に基づいて、上記ソフトウエア無線機が含む機能要素の特性を確定するためのパラメタを決定するテーブルを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明によるソフトウエア無線機の概要について図1を用いて説明する。図1において本発明によるソフトウエア無線機1が図4の従来のソフトウエア無線機5と比較して特徴的に異なる箇所はメモリ部14内に含まれるテーブル141である。このテーブル141は電波法上で定められるような無線局の一つもしくは複数の規格項目に対して、ソフトウエア無線機内部の機能要素の特性を確定するためのパラメタを決定するデータを含んでいる。
【0008】
以下では、上記規格項目を変調方式、信号伝送速度、占有周波数帯域幅および隣接チャネル漏洩電力に関する情報とし、上記機能要素をフィルタとした場合について例示するものとする。ただし、本発明は上述の場合に制限されるものではなく、他の規格項目に対して別の機能要素の特性を確定するためのパラメタを決定する記載を含む場合についても容易に適用されうる。
【0009】
表1および表2は本発明のソフトウエア無線機において上記フィルタパラメタを与えるテーブル141の構成例を示す。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
上記表1は外部から得るプログラムによって指示されるフィルタ特性を含んだ形の変調方式、信号伝送速度および隣接チャネル漏洩電力に関する情報に基づいて、ソフトウエア無線機内部のFIRフィルタを決定するための記載を含む。この表1の内容はソフトウエア無線機1を構成するアナログ部11、ADC・DAC部12、ディジタル部13などのハードウエア仕様に基づいて各製造業者の供給する端末装置毎に予め用意されるものである。なお、表1ではFIRフィルタを例としているが、IIRフィルタに適用してもよい。
【0013】
例えば、外部から得るプログラムにおいて、次の(1)(2)(3)を要求パラメタとして与えられたものとする。
【0014】
(1)変調方式={π/4シフトQPSK(ただし、ロールオフ率0.5のルートコサインロールオフ特性)}
(2)信号伝送速度={1024kbps}
(3)隣接チャネル漏洩={1024kHz離調1536kHz幅における漏洩電力−45dBc}
すると、これらを最小に満たすために、ディジタル部13で実現すべきFIRフィルタ(タップ数23、各タップの係数W01=F3h、W02=EFh、...W23=F3h)が、表1によって決定される。
【0015】
上記表2は、外部から得るプログラムによって指示されるフィルタ特性を含んだ形の変調方式、信号伝送速度および占有周波数帯域幅に関する情報に基づいて、ソフトウエア無線機内部のFIRフィルタを決定するための記載を含む。本テーブルも、ソフトウエア無線機1を構成するアナログ部11、ADC・DAC部12、ディジタル部13などのハードウエア仕様に基づいて各製造業者の供給する端末装置毎に予め用意されるものである。
【0016】
例えば、外部から得るプログラムにおいて、次の(1)(2)(4)を要求パラメタとして与えられたものとする。
【0017】
(1)変調方式={π/4シフトQPSK(ただし、ロールオフ率0.5のルートコサインロールオフ特性)}
(2)信号伝送速度={1024kbps}
(4)占有周波数帯域幅={768kHz以下}
すると、これらを最小に満たすために、ディジタル部13で実現すべきFIRフィルタ(タップ数15、各タップの係数W01=00h、W02=11h、...W15=00h)が、表2から決定される。
【0018】
また、例えば、テーブル141において、外部から得るプログラムにおいて、次の(1)(2)(3)(4)を要求パラメタとして与えられたものとする。
【0019】
(1)変調方式={π/4シフトQPSK(ただし、ロールオフ率0.5のルートコサインロールオフ特性)}
(2)信号伝送速度={1024kbps}
(3)隣接チャネル漏洩={1024kHz離調1536kHz幅における漏洩電力−45dBc}
(4)占有周波数帯域幅={768kHz以下}
すると、これらを最小に満たすために、ディジタル部13で実現すべきFIRフィルタ(タップ数23、各タップの係数W01=F3h、W02=EFh、...W23=F3h)が、前記表1および表2により決定される。
【0020】
続いて、図2および図3を用いて、テーブル141から得られるフィルタパラメタをディジタル部13が活用する例について述べる。
【0021】
第1の活用例は、図1のソフトウエア無線機1において、ディジタル部13内のDSP131に、予めパラメタを更改するだけで所望のフィルタ処理が実現できるように設計されているフィルタ処理サブルーチンブロックがプログラミングされている場合の例である。
【0022】
外部装置もしくはアンテナ10を通じて、ディジタル部13用ソフトウエアのプログラムが取り込まれ、メモリ部14に一時記憶される。上記プログラムは変調方式、信号伝送速度、隣接チャネル漏洩および占有周波数帯域幅に関する情報を含む。
【0023】
図2に示すように、DSP131に予めプログラミングされているダウンロード制御ブロックは、メモリ部14から上記プログラムとテーブル141から得られるサンプル倍率、タップ数および各タップの係数をDSP131内に予めプログラミングされているフィルタ処理サブルーチンブロック3に設定してフィルタ処理方法を確定する。
【0024】
すなわちこのフィルタ処理サブルーチンブロック3において、変調処理サブルーチンブロックからの変調出力信号のサンプリング速度を、サンプリング部31によってテーブル141から決定したサンプル倍率に従って調整する。
【0025】
次にフィルタリング部32によって、隣接チャネル漏洩や占有周波数帯域幅が要求を満たすように、テーブル141から決定したタップ数と、各タップの係数とに従ってフィルタ処理を実行し、ADC・DAC部12に向けて出力する。
【0026】
なお、本活用例において、フィルタ処理高速化のためにフィルタリング部32をフィルタ処理専用のPLD(Programmable Logic Device)に置き換えてもよい。
【0027】
第2の活用例は、図3に示すようなコード生成部15を備えるソフトウエア無線機1’における例である。ソフトウエア無線機1’において、外部装置もしくはアンテナ10を通じてディジタル部13用ソフトウエアのソースプログラムが取り込まれ、メモリ部14に一時記憶される。上記ソースプログラムは変調方式、信号伝送速度、隣接チャネル漏洩および占有周波数帯域幅に関する情報を含んでいる。
【0028】
コード生成部15は、上記ソースプログラムとテーブル141に基づいて、ディジタル部13における実行用プログラムを生成し、これをメモリ部14に一時記憶する。上記実行用プログラムは上記ソースプログラムに含まれる変調方式、信号伝送速度、隣接チャネル漏洩および占有周波数帯域幅に関する情報に従って、テーブル141から得たフィルタパラメタに基づくフィルタ処理ルーチンを含んでいる。ディジタル部13におけるDSP131は上記実行用プログラムをメモリ部14からダウンロードして実行する。
【0029】
以上により、隣接チャネル漏洩と占有周波数帯域幅の要求にかなうフィルタ処理がなされる。
【0030】
【発明の効果】
本発明のソフトウエア無線機は、ソフトウエア無線機内部の機能要素の特性を確定するためのパラメタを決定するためのテーブルを備え、電波法上で定められる無線局の規格項目を外部プログラムより直接的に指定し、上記テーブルを参照してから内部の機能要素の特性を確定できるので、本発明のソフトウエア無線機は、新規にプログラムを実行した場合においても、電波法を遵守することを事前に保証することができる。
【0031】
上記テーブルを参照してから内部の機能要素の特性を確定する際に、電波法上で定められている規格項目を用いる。この普遍的な確定パラメタをプログラムが含んでいることによって次の副次的な効果がある。
【0032】
(1)複数の異なる製造業者がソフトウエア無線機を端末装置として供給する場合、各自の製造上のノウハウに違いがあるために、インフラ側は端末装置毎に異なるプログラムの提供を要する非効率な事態になる。しかし、本発明のソフトウエア無線機を適用すれば、上記普遍的な確定パラメタをプログラムの記述に用いることができるので、プログラムを共有できる部分が増加し、効率的になる。
【0033】
(2)本発明のソフトウエア無線機を適用した端末装置を提供する製造業者にとっては、上記普遍的な確定パラメタをプログラムの記述に用いることができるので、ハードウエアの作り込み技術を外部に公開する必要性を低減できる。
【0034】
本発明のソフトウエア無線機が、ソフトウエア無線機内部のフィルタを決定するためのテーブルを備える実施例において、上記テーブルは外部プログラムより隣接チャネル漏洩と占有周波数帯域幅を指定して内部のフィルタ処理を確定するので、本発明のソフトウエア無線機が新規にプログラムを実行した場合においても、隣接チャネルへ漏洩する電力と、信号電力の占有周波数帯域幅とを事前に保証することができる。
【0035】
また、上記テーブルからは、外部プログラムに応じた必要な分のフィルタタップを知り得るので、上記所要のフィルタタップによるフィルタ処理を実行することによって、消費電力の浪費を抑制できる。さらに、上記テーブルからフィルタパラメタを特定する際に、変調方式と信号伝送速度と隣接チャネル漏洩と占有周波数帯域幅といった普遍性の高いパラメタを用いている。これにより、インフラ側の提供するプログラムの機種毎の相違性を低減できるほか、本発明のソフトウエア無線機を適用した端末装置を提供する製造業者にとっては、ハードウエアの作り込み技術を外部へ公開する必要性も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるソフトウエア無線機の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例におけるフィルタパラメタの設定の一例を示す流れ図。
【図3】本発明の別の実施例によるソフトウエア無線機の構成を示すブロック図。
【図4】従来のソフトウエア無線機の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1、…ソフトウエア無線機、10…アンテナ部、11…アナログ部、12…ADC・DAC部、13…ディジタル部、131…DSP、14…メモリ部、15…コード生成部、3…フィルタ処理サブルーチンブロック、31…サンプリング部、32…フィルタリング部。
Claims (5)
- 外部装置よりダウンロードしたプログラムに基づいて動作するソフトウエア無線機であって、
少なくとも変調方式と信号伝送速度と隣接チャネルの定義と隣接チャネルへの許容漏洩電力とを含む、通信規格により要求される仕様に対応付けて、当該ソフトウエア無線機において送信ディジタル信号をフィルタリングしてDAC部へ出力するディジタルフィルタを構成するために、該ソフトウェア無線機のハードウェア仕様に基づいて決定される、少なくとも該ディジタルフィルタに設定するサンプル倍率とフィルタタップ数と該各タップの係数とを格納するテーブルを備え、
上記ダウンロードしたプログラムを実行して無線送信を行うためのフィルタリング処理は、該プログラムに付随してダウンロードされる規格に関する情報により上記テーブルを参照し、該規格に関する情報に対応するサンプル倍率とフィルタタップ数と該各タップの係数により構成されたディジタルフィルタによって行われることを特徴とするソフトウエア無線機。 - 上記規格に関する情報は、さらに、無線送信信号の占有周波数帯域幅に関する情報を含むことを特徴とする請求項1記載のソフトウエア無線機。
- 上記ソフトウエア無線機に含まれるDSP(Digital Signal Processor)において、特性パラメタを更改することにより所望のフィルタ処理が実現できるように設計したフィルタ処理サブルーチンブロックを実行することを特徴とする請求項1記載のソフトウエア無線機。
- 上記ソフトウエア無線機に含まれるディジタル部に予めパラメタを更改するだけで所望のフィルタ処理が実現できるよう設計したPLD(Programmable Logic Device)を実装したことを特徴とする請求項1記載のソフトウエア無線機。
- 通信方式の規定情報を含むソースプログラムと、上記ソースプログラムから上記無線機の備えるテーブルによって決定される該ソフトウェア無線機の機能要素の上記特性パラメタとに基づいて実行用プログラムを生成するためのコード生成部を備えることを特徴とする請求項1記載のソフトウエア無線機。
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