JP3802145B2 - 構造物表面の切削機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート、石、アスファルトなどで構成された構造物の表面を所定の深さだけ削り落とす切削機、特に構造物の表面全体を薄く切削し、且つ平坦な仕上げ面とすることができる切削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、既設のコンクリート製橋脚が耐震強度に問題のある場合、その橋脚の周りに鋼板を巻付け、それらの隙間に接着剤であるセメントモルタル、エポキン樹脂などを充填して接着することにより橋脚の耐震補強をすることが行われている。
【0003】
この耐震補強工事において、橋脚の古いコンクリートと接着剤との接着を良好とし、鋼板を橋脚と一体化して耐震強度を高めるためには、橋脚の表面を清浄にする必要があり、そのために切削機を用いて橋脚の表面を削り落とすことが行われている。
【0004】
切削機としては、円筒形ドラムの外側周面に超硬チップを埋込んだ切削ビットの多数を取付けた平フライス様の切削工具を油圧モータなどの原動機により回転させる構成のものが用いられている。そして、橋脚の表面に沿い切削しながらほぼ全高に亘って移動させることにより広い面を能率よく削り落とすため、一般的に切削機をバックホーのアーム先端に取付け、切削工具を橋脚表面に押し付けた状態で回転させ切削しながらブームとアームを回動操作して移動させる、という手段を採っている。
【0005】
バックホーは切削作業用の足場が不要となるほかに、ブームとアームおよびバケットに代わる切削機を運転台で操作することにより、切削工具を常に橋脚表面に押し付けた状態で移動させる作業がきわめて容易となる、高い橋脚にも充分対応することができる、という利点があり高所から低所に亘る切削作業を連続的に行うのに好適な移動用機械である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、円筒形ドラムの外側周面に多数の切削ビットを取付けてなる前記の切削工具は、回転方向が構造物の表面に直角の成分をもっているため、切削ビットが表面に喰い込んだとき切削抵抗の背分力の反力によって表面から離れる方向へブームやアームがたわみ、切削を終わったときブームやアームは表面に近づく方向へ戻る、という動きをする。この動きは円周方向に並べられた切削ビットが表面に喰い込んで切削するたびに繰返され、凹凸のある仕上げ面となりやすい。
【0007】
また、切削工具の回転中心線を構造物の表面に対して平行に保持することが困難であるため、切削工具の一端側が浅く他端側が深く喰い込んで切削し、段のある仕上げ面となりやすい。
【0008】
このように、粗さおよび平面度がきわめて不良の仕上げ面とされた構造物である橋脚と鋼板との隙間に接着剤を注入したとき、仕上げ面のくぼんだ部分に接着剤が行き亘らず空隙が残存した状態で鋼板が接着され、期待した耐震強度を得ることができない、という心配がある。
【0009】
一方、コンクリート製橋脚などの構造物の表面を見ると、塗装が施されているものと施されていないものとがある。塗装が施されているものについては塗装被膜を、塗装が施されていないものについては自動車の排気や大気中の塵埃などの付着汚れをそれぞれ剥ぎ取って除去することにより、構造物の表層部分を殆ど削り落とすことなく清浄で接着良好な仕上げ面を得ることができる。
【0010】
即ち、構造物自身に比べて著しく軟かい塗装被膜や付着汚れで覆われている構造物表面を薄く切削すればよいにもかかわらず、構造物表面に直角の力成分を発生するために強く押し付けて回転させる必要のある前記従来の切削工具では構造物の表層部分を必要以上に深く削り落とすのを避けられず、そのために大出力の原動機が必要とされる、切削ビットの寿命が短くなる、という問題を伴っていた。
【0011】
そこで、本発明の目的は、構造物表面を浅く削り落とすことができるとともに凹凸や段のない平坦な仕上げ面とすること、構造物表面の状態に応じて適切な切削を行うことができる切削機を提供すること、構造物表面の洗浄や凹凸の修正を行うこともできる切削機を提供することにある。
【0012】
尚、本発明において、切削は構造物自身の表層部を削り落とすことのみを意味するものでなく、構造物表面に存在する塗装被膜や汚れを削り落とすことも意味していることは前述の説明から明らかである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成させるため、本発明は前記刃物が基端に支軸を有したコニカルビット状で前記円盤の回転方向へ向かって斜め前方へ傾け、且つ切削方向に対して中心軸線を少し外側方へ向けた姿勢で保持台の取付孔に前記支軸を回転可能に嵌込まれていることを特徴とする。
【0014】
従って、刃物は、円盤を回転させたとき表面に喰い込んで自転しながら切削をすることとなり、喰い込み部分の全周面が均等に磨耗して先端を常に尖った形状とし良好な切削が行われる、という利点があり、平行移動させることによって凹凸や段のない平坦な仕上げ面を得ることができる。
【0015】
また、前記コニカルビット状の刃物の複数個を一列に植付けた保持台の多数を円盤の正面に放射状に配置されている場合には、切屑の排出が刃物の間隙によって良好に行われ、比切屑抵抗が小さいために所要動力が少なくなり、或いは高速回転させて能率向上を計ることが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明すると、少なくとも先端部分が超硬合金で作られているコニカルビット状の切刃からなる刃物2の複数個が一列に互いにほぼ隙間なく並んで保持台3に植付けられており、円盤4の正面の中心附近を除いた外側周縁近くに保持台3の多数個が円周方向等間隔で放射状に固定されているとともに、円盤4の中心にボス5が固着されて切削工具1を構成している。
【0017】
切削工具1は後述する減速機31の出力軸である中空の駆動軸7の軸端にボス5を嵌装しキイ結合などの適宜手段によって一体に回転可能且つ取外し可能とされており、刃物2の先端は駆動軸7に直角の一平面上に揃えられている。
【0018】
前記中空の駆動軸7には案内軸9が貫通しており、その円盤4の正面に突出している先端部に取付板10が固着されているとともに、それよりも先端側に円板状のストッパ11が中心を緩く嵌装して設置されている。また、ストッパ11に案内軸9を囲んで植設した複数本の頭付き規制軸12が支持板10を貫通しているとともに、取付板10とストッパ11との間に皿ばねからなるばね部材13が装入されている。
【0019】
ストッパ11はばね部材13のばね力によって規制軸12の頭が取付板10の背面に当たった位置に置かれ、そのとき刃物2の先端とほぼ同一の平面上に位置する。ストッパ11はその正面に押圧力が加えられると、ばね部材13を圧縮しながらその最大圧縮位置まで平行移動して後退する。このストッパ11は構造物表面に接して刃物2の構造物表面への喰い込み深さを規制するものであり、最大ストロークは一般に数ミリメートル程度に設置される。
【0020】
規制軸12はボルトで構成されていてその先端がねじ込みによってストッパ11に植設されている。このため、刃物2の先端とストッパ11との位置関係を微調整することができ、またストッパ11が磨耗したとき新しいものと容易に交換することができる。
【0021】
次に、移動用機械に結合される支持構体15は後部ブラケット16と前部ブラケット18とからなり、後部ブラケット16は平面コ形であって後方へ延びる互いに平行な側部片16a,16aに二本の取付軸17a,17bが互いに平行且つ取外し可能に架設されている。移動用機械がバックホーの場合、後方の取付軸17aがアームの先端に結合され、前方の取付軸17bがバケット操作用油圧シリンダのピストンリンクに結合される。
【0022】
前部ブラケット18は側面コ形であって、その底部片18bが後部ブラケット16の底部片16bに重ねてボルトにより結合されており、前方へ延びる互いに平行な側部片18a,18aの先端部に先端縁へ開放した軸収容溝孔19および規制長孔20が設けられている。
【0023】
また、保持構体22は前部ブラケット18の側部片18a,18aに挟み込まれた正面長方形の板枠からなる外側構体23と、この外側構体23に周囲に隙間を有して嵌込まれた箱形の内側構体32とからなる。
【0024】
外側構体23の側部片18a,18aと平行な壁部23a,23aにはそれぞれ外側方へ向けて支軸24が同一中心線上に位置させて突設されているとともに、これらと直角の壁部23b,23bにはそれぞれ先端縁へ開放した軸収容溝28および規制長孔29が設けられている。そして、支軸24に回転自由に嵌装したブッシュ25が側部片18aの軸収容溝19に嵌込まれボルトによって固定されることにより、外側構体23が前部ブラケット18に揺動自由に保持されている。
【0025】
加えて、壁部23a,23aには支軸24を中心とする円上に位置させてボルトからなる二本の規制軸27a,27bが90度の位相で突設されており、その一方の規制軸27aが規制長孔20に嵌込まれて支軸24を中心とする外側構体23の揺動角度θHを一般的には約16度以下に限定させている。規制長孔20にもう一方の規制軸27bを嵌込むと、外側構体23は方向を90度変えて前部ブラケット18に保持される。
【0026】
内側構体32は減速機31のケーシングで構成されており、その後面に油圧モータからなる原動機33が固結されているとともに、前面に前述の駆動軸7が突出している。
【0027】
この内側構体32の互いに平行な二つの壁部32a,32aにはそれぞれ外側方へ向けて支軸34が同一中心線上に位置させて突設されており、これらの支軸34に回転自由に嵌装したブラッシュ35が壁部23aの軸収容溝28に嵌込まれボルトによって固定されることにより、内側構体32が外側構体23に揺動自由に保持されている。
【0028】
これに加えて、壁部32a,32aには規制軸37が突設されており、規制長孔29に嵌込まれて支軸34を中心とする内側構体32の揺動角度θVを一般的には約20度以下に限定させている。
【0029】
即ち、支持構体15は外側構体23を支軸24を回動中心とする揺動自由状態に保持するとともに、外側構体23は内側構体32を支軸24に直角の支軸34を回動中心とする揺動自由状態に保持している。
【0030】
減速機31は原動機33の出力軸の回転を適度に減速して駆動軸7に伝達する周知の歯車減速機であり、最終段の従動歯車31aが駆動軸7に固着されている。また、駆動軸7を貫通した案内軸9の基端部は内側構体32に固定されている。
【0031】
図7は前記実施の形態をバックホー71に取付けてコンクリート製橋脚85の切削を行わせる状態を示している。即ち、油圧パワー装置72および運転台73を載せた回転台74にブーム75の基端が回動可能に取付けられているとともに、ブーム75の先端にアーム77の基端が回動可能に取付けられており、アーム77の先端にバケットに代えて支持構体15が取付軸17aにより回動可能に結合されている。ブーム75,アーム77は油圧シリンダ76,78によって回動するとともに所定の回動位置に保持され、本発明の切削機は取付軸17bにピストンリンク79を結合した油圧シリンダ80によって回動するとともに所定の回動位置に保持される。
【0032】
バックホー71の前進後退、回転台74の回転、油圧シリンダ76,78,80の伸縮、および原動機33の作動は油圧パワー装置72からの作動油によって行われるものであり、油圧シリンダ76,78,80を適宜に伸縮して切削工具1を橋脚85の表面86に平行な姿勢とし、その姿勢で表面86に強く押付ける。すると、ストッパ11の正面が表面86に接してばね部材13を圧縮しながら後退し、相対的に前進する刃物2が表面に喰い込むこととなる。
【0033】
切削工具1を回転させることにより、刃物2の喰い込み深さだけ表面が切削されるので、回転させながら表面に沿い平行移動させると切削個所が次第に移動する。ストッパ11は切削によって作られた仕上げ面の上に移動し、以後はばね部材13の復元力によって仕上げ面に接した状態となる。必要な切削深さが最初の切削深さのままでよいときはストッパ11を仕上げ面に軽く押付けた状態を保持して平行移動させ切削を進める。
【0034】
切削工具1は刃物2が表面86に平行な面で移動しているとき、表面86から離れる方向の反力を殆ど発生しないため凹凸のない仕上げ面を得ることができる。
【0035】
尚、ストッパ11の前後方向ストロークによって設定される刃物2の喰い込み深さよりも深く切削するときは、仕上げ面にストッパ11を強く押付けて更に切削を繰返す。
【0036】
また、切削工具1を駆動軸7により回転可能に支持している内側構体32およびこれを囲んだ外側構体23は支持構体15に対してそれぞれ互いに直角の軸線を回動中心として揺動自由とされているので、切削工具1およびストッパ11を表面86に平行に位置させることができ、このため段のない仕上げ面を得ることができるばかりか、ストッパ11の押付け力を調節して刃物2を表面86に僅か喰い込ませた状態でごく薄く切削することが可能となる。
【0037】
殊に、図示の形態では支軸24の中心線と支軸34の中心線とが直角に交叉しており、駆動軸7の中心線がこの交点を通ってこれらの中心線に対し直角に延びているとともに、円板形のストッパ11が駆動軸7と同心に配置されている構成となっている。このため、表面86に沿って切削しながら移動させるとき、支持構体15の横揺れや表面86の鉛直度の変化などによってストッパ11が表面86に片当りしたとき、押付け力によって直ちに全面で面接触するように内側構体32と外側構体23のいずれかまたは両方が揺動し、切削工具1を常に表面86に平行に位置させることができ、且つどの方向に揺動しても回転モーメントが同じであるのでブッシュ25,35に過荷重を作用させることなくストッパ11を表面86に追従させることができる。
【0038】
尚、内側構体32は減速機31のケーシングとすることなく別の板枠で構成してもよく、また揺動の中心はトラニオン構造に限らずころがり軸受などの適宜の軸支持手段で構成することができる。
【0039】
更に、図4を参照して、図示の形態ではコニカルビット状の刃物2は基端に支軸2aを有しており、この刃物2を円盤4の回転方向Rへ向かって斜め前方へ傾け、且つ切削方向Sに対して中心軸線を少し外側方へ向けた姿勢で保持台3の取付孔3aに支軸2aを回転可能に嵌込んだ構成となっている。このため、円盤4を回転させたとき刃物2は表面86に喰い込んで自転しながら切削をすることとなり、喰い込み部分の全周面が均等に磨耗して先端を常に尖った形状とし良好な切削が行われる、という利点があり、前述のように平行移動させることによって凹凸や段のない平坦な仕上げ面87を得ることができるものである。
【0040】
加えて、図示の形態ではコニカルビット状の刃物2の複数個を一列に植付けた保持台3の多数を円盤4の正面に放射状に配置した構成としている。このため、切屑の排出が刃物2の間隙によって良好に行われ、比切屑抵抗が小さいために所要動力が少なくなり、或いは高速回転させて能率向上を計ることが可能になる、という利点がある。もっとも、刃物2としてバイト状のものを使用しても実用上は何の支障もない。
【0041】
前述の切削工具は構造物表面の塗装被膜を剥ぎ取ることや、構造物の表層部を削り落とすのに適しているが、先に説明したように構造物表面の付着汚れを削り落として清浄な表面とする場合もある。そのために、本発明では刃物を切刃ではなくワイヤブラシとした切削工具を使用するものとした。
【0042】
図8はブラシ付きの切削工具41の一形態を示すものであって、金屑線条の束で作られているワイヤブラシからなる刃物42が保持台43に植設されており、円盤44の正面の中心附近を除いた外側周縁近くに保持台43の多数個が円周方向等間隔で放射状に固定されている構成である。
【0043】
本発明の切削機が汚れの削り落としのみに使用される場合は、前述の切刃からなる刃物2を有する切削工具1ではなく、ワイヤブラシからなる刃物42を有する切削工具41が駆動軸7に取付けられ、前記形態のものと同様のストッパによって刃物42の喰い込み深さを調整しながら汚れを削り落とす。
【0044】
従って、請求項1に記載した発明における切削工具は刃物が切刃である場合とワイヤブラシである場合とを包含している。
【0045】
しかし、一台の移動用機械に本発明の切削機を取付けて異なる路線の橋脚の表面清浄作業を行わせるような場合、路線によって橋脚に塗装が施されているものと施されていないものとについて一台の切削機で作業を行うこととなる。
【0046】
その対応策として、前記二種類の切削工具1,41を具えさせ、その一方を駆動軸7に取付け内側構体32に取外し可能に支持させているとき、もう一方を交換品として準備させることとした。
【0047】
図示の二種類の切削工具1,41を具えさせ、現場の状況に応じて使い分けするようにした構成は、請求項2に記載した発明の形態である。
【0048】
一方、前記二種類の切削工具1,41で切削作業を行っているとき、円盤4,44の正面に配置されている刃物2,42は円周方向一部が構造物表面に喰い込んで切削を行うが、残りは切削済みの仕上げ面上をすべるように移動している。このとき表面に小さな凹凸や段差があると、切削抵抗の急変によって切削工具1,41が支軸24,34の軸線回りに振動することがある。
【0049】
このような振動は刃物2,42の切損、仕上げ面の粗雑化の原因となるので、本発明では外側構体23および内側構体32のそれぞれに油圧ダンパからなる緩衝器47,48を結合し、前記各軸線回りの振動を吸収して切削工具1,41,ストッパ11が構造物表面に対して平行な状態を安定よく維持するようにした。
【0050】
外側構体23のための緩衝器47は支軸24の軸線を挟んだ両壁部23bに外側方へ突設した腕片23cに一端が結合されて後方へ延び、後述する取付け板21に設けた取付腕21aにもう一端が結合されている。この二個の緩衝器47は、外側構体23が支軸24を中心に回動したとき一方が伸長してもう一方が収縮し、どちらへ回動しようとしても切削工具1,41,ストッパ11を構造物表面に対して平行な状態に維持するように働く。
【0051】
また、内側構体32のための緩衝器48は支軸34を突設した両壁部32aの附近から後方へ突設した腕片32bに一端が結合されて支軸24のほぼ軸線方向であって互いに反対の方向へ延び、外側構体23に後方へ突設した腕片23d,23eにもう一端がそれぞれ結合されている。この二個の緩衝器48は、内側構体32が支軸34を中心に回動したとき一方が伸長してもう一方が収縮し、どちらへ回動しようとしても切削工具1,41,ストッパ11を構造物表面に対して平行な状態に維持するように働く。
【0052】
腕片23bは支軸24の一方を突設した壁部23aから取付け板21に重なって後方へ延びる張出し縁23fに設けられているが、腕片23bと同様に壁部23a,23bに直接突設してもよく、いずれにしても各二個の緩衝器47,48はそれぞれ支軸24,34の軸線を挟んで両側対称位置に配置され、各軸線回りの振動を敏感に吸収する。
【0053】
取付け板21は扇状の平板からなり、一方の側部片18aと外側構体23の一方の壁部23aとの間に挟み込まれて支軸24を貫通させ回動可能とされているとともに、直角の二位置において図示しないボルト・ナットなどからなるよく知られた固着手段、ばね落としなどからなるよく知られた係止手段によって側部片18aに固定されるようになっており、保持構体22は緩衝器47を連結手段として取付け板21と一緒に90度以上回動する。このようにすると、橋脚85の正面にバックホー71を置いて側方に大きくはみ出すことなく側面の切削を行うことができる。
【0054】
図示のように外側構体23および内側構体32のそれぞれに各二個の緩衝器47,48を取付けた構成は、請求項3に記載した発明の実施の形態である。
【0055】
尚、図示の形態では緩衝器47,48として片効きのものを用いたため、全方向の動きに対応できるように二個ずつ装備したが、両効きのものを用いて一個ずつ装備した構成であってもよい。また、このような緩衝器47,48を具えた場合、外側構体23および内側構体32の揺動を制限する規制長孔20,29,規制軸27a,27b,37はなくてもよい。
【0056】
次に、前述のように塗装被膜や付着汚れ、更には構造物表層部分を切削工具で削り落としているとき、粉塵状の切屑が大量に発生してこれが周囲に広く飛散すると、環境を悪化させたり作業者の健康を害したりする原因となるので、本発明では切削工具1,41の背面および外側周面を覆う背壁50aおよび周壁50bからなる防塵カバー50を内側構体32の正面に背壁50aを重ねてボルトにより固定した。
【0057】
周壁50bは円形であって切削工具1,41と同心に配置されており、その先端縁はストッパ11の最大後退位置よりも少し後方へ位置していて切削の邪魔にならないようになっている。切削により発生した切屑は防塵カバー50で封じられて殆ど飛散しなくなるものである。
【0058】
一方、例えば切削工具1,41を回転させながら構造物表面に離れた状態から接近させて刃物2,42を食い込ませようとするとき、切削工具1,41が構造物表面に傾いて接近することがある。このような場合、最接近部分で刃物2,42が喰い込んでその反力により外側構体23,内側構体32が回動し平行となるが、特に切刃である刃物2は必要以上に喰い込んで仕上げ面を不良にしやすい。
【0059】
図示の形態では切刃をコニカルビット状としたので一刃あたりの切削量がきわめて少なく、仕上げ面を不良にする程度が小さいが、防塵カバー50を設置した本発明によると、構造物表面に傾いて接近したとき刃物2よりも外側方に位置している周壁50bの先端縁が構造物表面に衝るため、必要以上の喰い込みを完全に防止することができる。
【0060】
本発明の切削機を橋脚の耐震補強のための表面切削に使用するとき、ストッパ11の正面は刃物2,42の先端よりも1〜2ミリメートル後方に位置させられてそれより後方へ最大で5ミリメートル程度ストローク可能であるようにされ、また周壁50bの先端縁は刃物2,42の先端から5〜10ミリメートル後方に位置するようにされる。
【0061】
このような周壁50bを有する防塵カバー50を具えた構成は、請求項4に記載した発明の実施の形態である。
【0062】
この形態において、ストッパ11は切削工具1,41の中心部に配置する代りに、外側方に円周方向適宜間隔で複数個配置して防塵カバー50に保持させてもよく、この場合はストッパ11は例えばクッション性をもたせた棒状部材で構成することができる。
【0063】
更にまた、発生した切屑の飛散を防止する手段として、本発明では防塵カバー50に代え或いはこれと併用させて散水装置52を装備し、切削工具1,41の前方へ向かって洗浄水を噴射させるようにした。
【0064】
この散水装置52は主に図6,図7を参照して、地上に置かれた水槽、ポンプ、電動機を内蔵している洗浄ユニット53および電動機駆動電力を発生させる発電機54と、ポンプの吐出口からブーム75,アーム77に沿って延び案内軸9の後端に結合された送水ホース55と、案内軸9に形成した孔通路56と、駆動軸7の内側周面に形成した環通路56aと、ボス5を貫通して駆動軸7にねじ込んだ接手57と、円盤4,44の適所に取付けた散水ノズル59と、接手57と散水ノズル59とを接続した連結管58とからなる構成とされている。
【0065】
洗浄ユニット53のポンプで加圧した洗浄水は送水ホース55,孔通路56,環通路56a,接手57,連結管58からなる水通路を通って散水ノズル59に入り、前方へ向いた噴口から構造物表面へ向かって噴射される。切屑は噴射された洗浄水と混合し泥水状となって構造物表面を流下して周囲に広く飛散することが防止され、且つ洗浄水の一部は仕上げ面に吹付けられて切屑を流下させ表面を充分に清浄な状態とする。
【0066】
また、洗浄水は刃物2,42を冷却してその熱的劣化を防止する、という効果をもたらす。
【0067】
散水ノズル59は一個または任意の複数個を設けることができ、特に微粉状の切屑を発生する付着汚れ向けのワイヤブラシ付き切削工具41については複数個設けることが好ましく、環通路56aに連通させて複数個の接手57を駆動軸7にねじ込み、各散水ノズル59とそれぞれ連結管58で接続する。また、複数個の散水ノズル59の内で一部を現場の状況に応じて使用しないこともできる。その場合、使用しない散水ノズル59に対応する接手57を外してそのねじ込み個所にプラグ61をねじ込んで洗浄水が流出しないようにする。従ってまた、複数個の散水ノズル59を有する切削工具1,41に対応するように接手57のねじ込み個所を駆動軸7に複数設けておいても、プラグ61を使用することによって一個の散水ノズル59を有する切削工具1,41を水漏れの心配なく取付けることができる。
【0068】
このような散水装置52を具えた構成は請求項5に記載した発明の実施の形態である。
【0069】
尚、緩衝器47,48を具えること、防塵カバー50を具えること、散水装置52を具えることは、先に述べた本発明の目的を達成するうえでの補助的手段であり、任意に採択して効果を向上させる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、前記刃物が基端に支軸を有したコニカルビット状で前記円盤の回転方向へ向かって斜め前方へ傾け、且つ切削方向に対して中心軸線を少し外側方へ向けた姿勢で保持台の取付孔に前記支軸を回転可能に嵌込んだ本発明によれば、喰い込み部分の全周面が均等に磨耗して先端を常に尖った形状とし良好な切削が行われ、平行移動させることによって凹凸や段のない平坦な仕上げ面を得ることができる。
【0071】
また、前記コニカルビット状の刃物の複数個を一列に植付けた保持台の多数を円盤の正 面に放射状に配置した場合には、切屑の排出が刃物の間隙によって良好に行われ、比切屑抵抗が小さいために所要動力が少なくなり、或いは高速回転させて能率向上を計ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す一部記載した平面図。
【図2】 図1に示した形態の一部記載した側面図。
【図3】 図1に示した形態の正面図。
【図4】 図1に示した形態における刃物の取付けと切削を説明する図。
【図5】 図2のX−X線に沿う拡大断面図。
【図6】 図1に示した形態の拡大縦断面部分図。
【図7】 図1に示した形態の使用状態を説明する側面略図。
【図8】 切削工具の異なる形態を示す正面図。
【符号の説明】
1,41切削工具,2,42刃物,4,44円盤,7駆動軸,11ストッパ,15支持構体,22保持構体,23外側構体,24.34支軸,32内側構体,33原動機,47.48緩衝器,50防塵カバー,52散水装置,59ノズル

Claims (2)

  1. 円盤の正面に多数の刃物を配置した切削工具およびその駆動用原動機と;
    前記切削工具に並んで前後可動に配置され、前記刃物の切込み深さを規制するストッパと;
    前記切削工具を所望方向へ移動させる移動用機械に結合される支持構体と;
    前記原動機を装備するとともに前記切削工具を前方へ突出させて回転可能に支持した内側構体、およびその外側周面を囲んだ外側構体からなる保持構体と;
    を具え、前記支持構体は前記外側構体を一つの軸線を回動中心とする揺動自由状態に保持するとともに、前記外側構体は前記内側構体を前記軸線に直角の軸線を回動中心とする揺動自由状態に保持し、前記切削工具およびストッパが構造物表面にこれと平行な状態で押付けられる構成とした構造物表面の切削機において
    前記刃物が基端に支軸を有したコニカルビット状で前記円盤の回転方向へ向かって斜め前方へ傾け、且つ切削方向に対して中心軸線を少し外側方へ向けた姿勢で保持台の取付孔に前記支軸を回転可能に嵌込まれている;
    ことを特徴とする構造物表面の切削機。
  2. 請求項1に記載した切削機において;
    前記コニカルビット状の刃物の複数個を一列に植付けた保持台の多数を円盤の正面に放射状に配置されている;
    ことを特徴とする構造物表面の切削機。
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