JP3807018B2 - 有機電界発光素子及び蛍光材料 - Google Patents

有機電界発光素子及び蛍光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機電界発光素子及び蛍光材料に関するものであり、詳しくは、有機化合物から成る正孔輸送層と有機発光層との組み合わせにより、電界をかけて光を放出する薄膜型デバイス、並びにこのような有機電界発光素子の発光材料として有用な蛍光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜型の電界発光(EL)素子としては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZnS、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子は、
1)交流駆動が必要である(一般に、50〜1000Hz)。
2)駆動電圧が高い(一般に〜200 V程度)。
3)フルカラー化が困難であり、特に青色に問題がある。
4)周辺駆動回路のコストが高い。
という問題点を有している。
【0003】
しかし、近年、上記問題点の改良のため、有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになった。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリアー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設けた有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51 巻, 913 頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなされ、実用特性に近づいている。
【0004】
上記の様な低分子材料を用いた電界発光素子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(Nature, 347 巻, 539 頁, 1990年他)、ポリ[2-メトキシ-5- (2-エチルヘキシルオキシ)-1,4- フェニレンビニレン](Appl. Phys. Lett., 58 巻, 1982頁, 1991年他)、ポリ(3-アルキルチオフェン)(Jpn. J. Appl. Phys, 30巻, L1938 頁, 1991年他)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移動材料を混合した素子(応用物理, 61巻, 1044頁, 1992年)の開発も行われている。
【0005】
また、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys.,65巻,3610頁,1989年)等も行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでに開示されている有機電界発光素子では、可視短波長領域、特に、青色領域での発光効率が未だ不十分であり、更なる改良検討が望まれているのが現状である。
【0007】
有機電界発光素子のダークスポットによる劣化が改善されず発光特性が不安定であることは、ファクシミリ、複写機、液晶ディスプレイのバックライト等の光源としては大きな問題となり、フラットパネル・ディスプレイ等の表示素子としても望ましくない。
【0008】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、短波長領域、特に青色領域で高発光効率で駆動させることができる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた、特に青色発光特性に優れた蛍光材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極により挟持された正孔輸送層及び有機発光層が形成された有機電界発光素子において、該有機発光層が、下記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体を含有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の蛍光材料は、下記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体よりなることを特徴とする。
【0012】
【化10】
Figure 0003807018
【0013】
((I)式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は水素原子、メチル基、メトキシ基又は水酸基を表す。Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar4 は、フェニル基、置換基としてメチル基を有するフェニル基、置換基としてメトキシ基を有するフェニル基、置換基としてフェニル基を有するフェニル基、又はフェニルエチニル基を表す。R1〜R6 及びAr1 〜Ar4 はそれぞれ互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。)
上記アントラセン誘導体を有機発光層にドープすることにより、有機電界発光素子の発光効率を著しく高めることができる。このアントラセン誘導体は有機発光層の薄膜状態の構造的な安定化にも有効であるため、有機電界発光素子の長期安定性を高めることができる。
【0014】
本発明において、このアントラセン誘導体のドープ量は、0.01〜20重量%であることが好ましい。
【0015】
また、アントラセン誘導体は、次のような特定のホスト材料中にドープするのが好ましい。
【0016】
▲1▼ 下記一般式(II)で表される化合物、特に、Xが下記一般式(III) 又は(IV)で表される化合物。
【0017】
【化11】
Figure 0003807018
【0018】
((II)式中、R1A,R2A,R3A,R4A,R5A,R6Aは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1A〜R6Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。Xはアルキル基、アルコキシル基、アルキルカルボキシル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよいアリールアルコキシル基又は置換基を有していてもよいアリールカルボキシル基等の官能基を示す。)
【0019】
【化12】
Figure 0003807018
【0020】
((III) 式中、R1B,R2B,R3B,R4B,R5Bは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1B〜R5Bは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
【0021】
【化13】
Figure 0003807018
【0022】
((IV)式中、R1C,R2C,R3Cは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1C〜R3Cは互いに同一でも異なるものであってもよい。)▲2▼ 下記一般式(V)で表される化合物。
【0023】
【化14】
Figure 0003807018
【0024】
((V)式中、R1D,R2D,R3D,R4D,R5D,R6Dは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1D〜R6Dは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
▲3▼ 下記一般式(VI)で表されるベンゾイミダゾール誘導体。
【0025】
【化15】
Figure 0003807018
【0026】
((VI)式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、Aはハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E,R2E,R3E,R4E,R5E,R6E,R7E,R8Eは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E〜R8Eは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数を示す。)
▲4▼ 下記一般式(VII) で表されるベンゾオキサゾール誘導体。
【0027】
【化16】
Figure 0003807018
【0028】
((VII) 式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、R1F,R2F,R3F,R4F,R5F,R6F,R7F,R8Fは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1F〜R8Fは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数を示す。)
▲5▼ 下記一般式(VIII)で表されるジスチリルアリーレン誘導体。
【0029】
【化17】
Figure 0003807018
【0030】
((VIII)式中、Ar1A,Ar2A,Ar3A,Ar4A,Ar5Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar1A〜Ar5Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
まず、本発明の蛍光材料及び本発明の有機電界発光素子の有機発光層にドープされるドーパントとしてのアントラセン誘導体について説明する。
【0033】
本発明に係るアントラセン誘導体を示す前記一般式(I)において、R1 〜R 6 は、水素原子、水酸基、メチル基、又はメトキシ基である。R 1 〜R6 としては、特に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基が挙げられる。
【0034】
Ar1 〜Ar4 は、互いに同一でも異なるものであってもよく、フェニル基;置換基としてメチル基を有するフェニル基;置換基としてメトキシ基を有するフェニル基;置換基としてフェニル基を有するフェニル基;フェニルエチニル基である。Ar1 〜Ar4 は、特に好ましくは、無置換のフェニル基である。
【0035】
このようなアントラセン誘導体を合成するには、まず下記一般式(IX)を出発原料として、ジアゾ化を経るアミノ基の芳香族置換反応を行って、下記一般式(X)の化合物を得る。
【0036】
次に、これにリチオ化試薬を反応させて下記一般式(XI)の化合物を得、更に還元を行う。反応終了後、得られた沈殿を濾別し、昇華精製を行えば、目的のアントラセン誘導体を得ることができる。
【0037】
【化18】
Figure 0003807018
【0038】
【化19】
Figure 0003807018
【0039】
【化20】
Figure 0003807018
【0040】
本発明に好適なアントラセン誘導体の具体例を、以下の表1〜8に示すが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0041】
【表1】
Figure 0003807018
【0042】
【表2】
Figure 0003807018
【0043】
【表3】
Figure 0003807018
【0044】
【表4】
Figure 0003807018
【0045】
【表5】
Figure 0003807018
【0046】
【表6】
Figure 0003807018
【0047】
【表7】
Figure 0003807018
【0048】
【表8】
Figure 0003807018
【0054】
このような本発明に係るアントラセン誘導体は、分散状態で蛍光強度が強く、耐光性、耐熱性も良好で、このようなアントラセン誘導体を有機電界発光素子の有機発光層にドープすることにより、安定した発光特性を得ることができるようになる。
【0055】
なお、このアントラセン誘導体は、有機電界発光素子の他、各種の蛍光材料、樹脂の蛍光染料、レーザ色素、シンチレーター色素等にも使用し得る良好な蛍光性化合物である。
【0056】
以下に本発明の有機電界発光素子の構成を、図面を参照しながら説明する。
【0057】
図1,2は本発明の有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は有機バッファ層、4は正孔輸送層、5は有機発光層、6は電子注入層、7は陰極を各々表す。
【0058】
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。即ち、基板のガスバリヤ性が低すぎると、基板を通過する外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密なシリコン酸化膜等を設けるなどしてガスバリア性を確保するのが好ましい。
【0059】
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。更に、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl. Phys. Lett., 60 巻, 2711頁, 1992年)。陽極2は異なる物質の積層構造とすることも可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、陽極2の厚みは、通常、5〜1000nm、好ましくは10〜500nm 程度である。不透明でよい場合は陽極2は基板1と同一でもよい。また、更には上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
【0060】
陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層4の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることである。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には更に耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度Tgとして70℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0061】
このような正孔輸送材料としては、例えば、1,1-ビス(4-ジ-p- トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4'- ビス[N-(1-ナフチル)-N- フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774 号)、N,N'- ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625 号)、α, α, α',α'-テトラメチル- α, α'-ビス(4-ジ-p- トリルアミノフェニル)-p- キシレン(特開平3−269084号公報)、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473 号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,950 号公報)、シラナミン誘導体(特開平6−49079 号公報)、ホスファミン誘導体(特開平6−25659 号公報)、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料としては、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl. Phys. Lett. ,59巻,2760頁,1991年)、ポリフォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953 号公報)、トリフェニルアミン骨格を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synthetic Metals,55-57 巻,4163頁,1993年)、芳香族アミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed.,21巻,969 頁,1983年)等の高分子材料も挙げられる。
【0063】
正孔輸送層4は、これらの正孔輸送材料を塗布法あるいは真空蒸着法により前記陽極2上に積層することにより形成される。
【0064】
塗布法の場合は、正孔輸送材料の1種又は2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。この場合、バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂はその添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
【0065】
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層4を形成させる。
【0066】
上記正孔輸送層4を形成する場合、更に、アクセプタとして、芳香族カルボン酸の金属錯体及び/又は金属塩(特開平4−320484号公報)、ベンゾフェノン誘導体及びチオベンゾフェノン誘導体(特開平5−295361号公報)、フラーレン類(特開平5−331458号公報)等を10-3〜10重量%の濃度でドープして、フリーキャリアとしての正孔を生成させることにより、低電圧駆動を可能にすることができる。
【0067】
正孔輸送層4の膜厚は、通常、10〜300nm 、好ましくは30〜100nm である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
【0068】
なお、陽極2と正孔輸送層4とのコンタクトを向上させるために、図2に示す様に、陽極バッファ層3を設けることが考えられる。陽極バッファ層3に用いられる材料に要求される条件としては、陽極2とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、即ち、融点及びガラス転移温度Tgが高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上が要求される。更に、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。この目的のために、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平4−320483号公報)、アルコキシ置換の芳香族ジアミン誘導体(特開平4−220995号公報)、p-(9-アントリル)-N,N- ジ-p- トリルアニリン(特開平3−111485号公報)、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニレンビニレン(特開平4−145192号公報)、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64 巻,1245 頁, 1994年参照)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8− 31573号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が報告されている。
【0069】
上記陽極バッファ層材料としてよく使用される化合物としては、ポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。
【0070】
好ましいこれらの化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0071】
ポルフィン
5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン
5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィンコバルト(II)
5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン銅(II)
5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン亜鉛(II)
5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィンバナジウム(IV)オキシド
5,10,15,20- テトラ(4-ピリジル)-21H,23H- ポルフィン
29H,31H-フタロシアニン
銅(II)フタロシアニン
亜鉛(II)フタロシアニン
チタンフタロシアニンオキシド
マグネシウムフタロシアニン
鉛フタロシアニン
銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H- フタロシアニン
陽極バッファ層3も、正孔輸送層4と同様にして薄膜形成可能であるが、陽極バッファ層材料が無機物の場合には、更に、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法を用いることができる。
【0072】
この様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、通常、3〜100nm、好ましくは10〜50nmである。
【0073】
正孔輸送層4の上には有機発光層5が設けられる。有機発光層5は、電界を与えられた電極間において陰極からの電子を効率よく正孔輸送層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。
【0074】
有機発光層5に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極7からの電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、更に安定性に優れトラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
【0075】
このような条件を満たす材料としては、テトラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10- ヒドロキシベンゾ[h] キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、混合配位子アルミニウムキレート錯体(特開平5−198377号公報、特開平5−198378号公報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ペリノン誘導体(特開平2−289676号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特開平2−191694号公報、同3− 792号公報)、希土類錯体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラジン誘導体(特開平2−252793号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジン誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン誘導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導体(特開平3−203982号公報)、シロール誘導体(日本化学会第70春季年会,2D1 02及び2D1 03,1996年)などが挙げられる。
【0076】
具体的には、まず、前記一般式(II)で表されるような8−キノリノールないしその誘導体、その他の配位子を有するアルミニウム錯体が挙げられる。(II)式中、R1A〜R6Aは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1A〜R6Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。Xは、例えば、−R、−Ar、−OR、−ORX Ar、−OAr、−OC(O)R、−OC(O)Ar、−OP(O)RR’、−OP(O)ArAr’、−OS(O)RR’、−OS(O)ArAr’、−SAr、−SeAr、−TeAr、−OSiRR’R”、−OSiArAr’Ar”、−OB(OR)(OR’)、−OB(OAr)(OAr’)等で表される官能基である。なお、R、R’、R”は互いに同一でも異なるものであってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基等を示す。Ar,Ar’,Ar”は互いに同一であっても異なるものであっても良く、置換置を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基等を示す。RX は炭素数1〜6の二価の炭化水素基であるアルキレン基、アルキリデン基等を示す。
【0077】
このようなものとして、具体的にはビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリス(4,4−ビフェニル)シラノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等があり、特に好ましくは、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム(III) が挙げられる。
【0078】
また、前記一般式(V)で表される8−キノリノールないしその誘導体を配位子として有するアルミニウム二核錯体であってもよい。(V)式中、R1D〜R6Dは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1D〜R6Dは互いに同一でも異なるものであってもよい。
【0079】
このようなものとして、具体的にはビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2,4−ジメチル−8−キノリラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(5−クロロ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(5−クロロ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等があり、特に好ましくは、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム(III) が挙げられる。
【0080】
また、前記一般式(VI)で表されるベンゾイミダゾール誘導体の金属錯体であってもよい。(VI)式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E〜R8Eは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E〜R8Eは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数である。このようなものとして、具体的には(N−フェニル−2−(o −ヒドロキシフェニル)ベンゾイミダゾール亜鉛錯体、(N−メチル−2−(o −ヒドロキシフェニル)ベンゾイミダゾール亜鉛錯体等が挙げられる。
【0081】
更に、前記一般式(VII) で表されるベンゾイミダゾール誘導体の金属錯体であってもよい。(VII) 式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、R1F〜R8Fは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1F〜R8Fは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数である。このようなものとしては、具体的には特開平6-336586号公報に記載のベンゾオキサゾール誘導体、2−(o −ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾール亜鉛錯体等があげられる。
【0082】
また、更に前記一般式(VIII)で表されるようなジスチリルアリーレン誘導体であってもよい。(VIII)式中、Ar1A〜Ar5Aは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、置換基を有する場合、単一置換されていても、複数置換されていていてもよい。また、Ar1A〜Ar5Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。このようなものとしては、具体的には、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル等、特開平4-332723号公報に記載のジスチリルアリーレン誘導体等が挙げられる。
【0083】
本発明において、有機発光層5にドープするドーパントとしての前記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体は、溶液状態で強い蛍光を示し、上述のような電子輸送性化合物をホスト材料としてドープされた場合、素子の発光効率を向上させることができる。更に、このアントラセン誘導体はホスト材料の薄膜状態を構造的に安定化することができ、有機電界発光素子に長期に亘る安定性を与える。
【0084】
前記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体がドープされる領域は有機発光層5の全体、或いはその一部分であってもよく、このアントラセン誘導体がホスト材料に対してドープされる量は10-3〜10モル%、有機発光層5中のアントラセン誘導体の割合は0.01〜20.0重量%であることが好ましい。アントラセン誘導体の割合がこの範囲よりも少ないと、アントラセン誘導体をドープしたことによる改善効果が十分に得られず、多いと濃度消光が起こり、十分な輝度が得られない。
【0085】
前記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体を有する有機発光層5にドープするには、塗布法あるいは真空蒸着法により次のようにして行えば良い。
【0086】
即ち、塗布法の場合は、前述の電子輸送性化合物と、前記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体、更に必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥してアントラセン誘導体を含む有機発光層5を形成する。この場合、バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂はその添加量が多いと電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
【0087】
真空蒸着法の場合には、前述の電子輸送性化合物を真空容器内に設置されたルツボに入れ、前記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体を別のルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-6Torr程度にまで排気した後、各々のルツボを同時に加熱して蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた基板上の正孔輸送層4上に有機発光層5を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のルツボを用いて蒸発させてもよい。
【0088】
有機発光層5はこのように塗布法又は真空蒸着法で形成されるが、一般的には真空蒸着法が採用される。
【0089】
このようにして形成される有機発光層5の膜厚は、通常、10〜200nm好ましくは30〜100nmである。
【0090】
このようなドーパントが有機発光層中にドープされる場合、一般には、各有機発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、陰極界面近傍にのみドープしてもよい。
【0091】
本発明は、このように、前述一般式(I)で表されるアントラセン誘導体を有機発光層5にドープするものであるが、更に他の蛍光色素を併せてドープしても良い。即ち、前述の如く、素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等は既に行われている。この方法の利点としては、
1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上、
2)蛍光色素の選択により発光波長が可変、
3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能、
4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能、
等が挙げられ、本発明においても、このような手法を採用しても良い。
【0092】
また、素子の駆動寿命を改善する目的においても、前記電子輸送材料をホスト材料として、蛍光色素をドープすることは有効である。例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体をホスト材料として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体(特開平4−335087号公報)、キナクリドン誘導体(特開平5− 70773号公報)、ペリレン等の縮合多環芳香族環(特開平5−198377号公報)を、ホスト材料に対して0.1〜10重量%ドープすることにより、素子の発光特性、特に駆動安定性を大きく向上させることができる。
【0093】
この場合、ホスト材料としては、例えば、有機発光層5がその役割を果たす場合、前述の電子輸送性化合物が挙げられ、正孔輸送層4がホスト材料としての役割を果たす場合、前述の芳香族アミン化合物やヒドラゾン化合物が挙げられる。
【0094】
有機電界発光素子の発光効率を更に向上させるために、必要に応じてこの有機発光層5の上に更に電子注入層6を積層する。この電子注入層6に用いられる化合物には、陰極7からの電子注入が容易で、電子の輸送能力が更に大きいことが要求される。この様な電子輸送材料としては、既に電子輸送層材料として挙げた8−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキサジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55 巻, 1489頁, 1989年他)やそれらをポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Lett. ,61巻,2793頁, 1992年)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'- ジシアノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol. (a),142 巻, 489 頁, 1994年)、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
【0095】
電子注入層6の膜厚は、通常、5 〜200nm 、好ましくは10〜100 nmである。
【0096】
陰極7は、有機発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極7として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。陰極7の膜厚は通常、陽極2と同等である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す上で有効である。この目的のための金属としては、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
【0097】
本発明では、陰極7と電子注入層6又は有機発光層5(電子注入層6がない場合)とのコンタクトを向上させるために、両者の間に更に界面層を設けてもよい。この陰極界面層に用いられる化合物としては、芳香族ジアミン化合物(特開平6−267658号公報)、キナクリドン化合物(特開平6−330031号公報)、ナフタセン誘導体(特開平6−330032号公報)、有機シリコン化合物(特開平6−325871号公報)、有機リン化合物(特開平5−325872号公報)、N−フェニルカルバゾール骨格を有する化合物(特開平8− 60144号公報)、N−ビニルカルバゾール重合体(特開平8− 60145号公報)等が挙げられる。
【0098】
界面層の膜厚は、通常、2〜100nm 、好ましくは5〜30nmである。
【0099】
このような界面層を設ける代わりに、電子注入層6又は有機発光層5の陰極界面近傍に上記界面層の材料を50重量%以上含む領域を設けてもよい。
【0100】
なお、図1,2は本発明の有機電界発光素子の一実施例を示すものであって、本発明は何ら図示のものに制限されるものではない。例えば、図1とは逆の積層構造、即ち、基板上に陰極7、電子注入層6、有機発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2の有機電界発光素子についても各構成層を逆に積層した構造であってもよい。
【0101】
本発明の有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造の素子のいずれにおいても適用することができる。
【0102】
【実施例】
以下に合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0103】
合成例1
下記構造式で表されるアントラセン誘導体(前記表1の番号(1)の化合物)(XII) を合成した。
【0104】
【化21】
Figure 0003807018
【0105】
まず、下記に示す構造式の1,5−ジアミノアントラキノン8.5g(36mmol) (XIII)をベンゼン300ml に溶解し、その溶液中に亜硝酸ナトリウム9.9g(144mmol )を投入し、続いて、氷酢酸14ml滴下した。室温で10時間、50℃で3時間攪拌をした後、トルエンで2回抽出、水洗をし、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去し、トルエンを溶媒としてカラム精製による粗精製を行った。得られた粗精製物をアセトンで再結晶して、ジフェニル置換体0.51g を得た(収率3.95%)。
【0106】
【化22】
Figure 0003807018
【0107】
次に、このジフェニル置換体をベンゼン30ml、エーテル50mlに溶解し、窒素雰囲気下でフェニルリチウム100ml を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30分、還流下1時間攪拌を行った。放冷後、水浴上で希塩酸を滴下し、反応液を中和した。中和後、有機層を分液し、水で3回、飽和食塩水で1回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、ヘキサンで洗浄して、ジオール体0.49g を得た(収率67.8%)。
【0108】
次に、50%ヨウ化水素酸1.3g、氷酢酸50ml、50%次亜リン酸6mlの混合液を50℃まで加熱攪拌し、そこに先ほど得られたジオール体を投入した。投入を完了した後、80℃で20分間加熱攪拌を行い、反応を終了した。放冷後、析出した沈殿を濾別し、よく乾燥させて、黄色結晶0.38gを得た。
【0109】
この結晶を昇華精製したところ、黄色の結晶(0.34g )を得た(収率74.3%)。融点を測定したところ、240.6 ℃であった。この化合物の質量分析を行ったところ分子量が 482であり、更にIRスペクトル(図3に示す。)、NMRスペクトル(図4に示す。)により、目的化合物であることを確認した。
【0110】
このアントラセン誘導体(XII) をクロロホルム溶媒中に1.5 mmol/mlの濃度で溶かした溶液を、水銀ランプ(波長350nm )で励起して測定した蛍光測定の結果は475nm であった。
【0111】
実施例1
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
【0112】
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を 120nm堆積したもの(ジオマテック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線/オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)以下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した。
【0113】
上記装置内に配置されたセラミックルツボに入れた、以下に示す、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(H−1)をルツボの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。このときルツボの温度は、220 〜240 ℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度2.0 ×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)、蒸着時間2分50秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
【0114】
【化23】
Figure 0003807018
【0115】
引続き、有機発光層5の電子輸送性化合物(ホスト材料)として、下記構造式に示すビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム(III) (C10H9 NO)2 Al −O−Al(C10H9 NO)2(E−1)、ドープ色素として前記合成例1で合成したアントラセン誘導体(XII) を、各々、別々のルツボを用いて二元蒸着を行った。この時のビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム(III) のルツボは 210〜220 ℃の範囲で、アントラセン誘導体(XII) のルツボは160 〜170 ℃の範囲でそれぞれ制御し、蒸着時の真空度は2.0 ×10-6Torr(約2.6 ×10-4Pa)、蒸着時間は2分30秒で、膜厚45nmの有機発光層5を形成した。
【0116】
なお、アントラセン誘導体(XII) のドープ量は、ホスト材料に対して0.76モル%、有機発光層中の割合で1.1重量%であった。
【0117】
【化24】
Figure 0003807018
【0118】
更に、引続き、電子注入層材料として、以下の構造式に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体Al (C9 H6 NO)3 (E−2)を用い、前記正孔輸送層4の場合と同様に蒸着を行った。このとき、ルツボの温度は、270 〜300 ℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は2.0 ×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)、蒸着時間は1分40秒で膜厚45nmの電子注入層6を得た。
【0119】
【化25】
Figure 0003807018
【0120】
なお、上記の正孔輸送層4、有機発光層5及び電子注入層6を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
【0121】
ここで、電子注入層6までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm 幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して前記と同様にして装置内の真空度が2×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)以下になるまで排気した。続いて、陰極7として、マグネシウムと銀の合金電極を2元同時蒸着法によって膜厚44nmとなるように蒸着した。蒸着はモリブデンボートを用いて、真空度1×10-5Torr(約1.3 ×10-3Pa)、蒸着時間3分20秒で行った。また、マグネシウムと銀の原子比は10:1.4 とした。更に続いて、装置の真空を破らないで、モリブデンボートを用いてアルミニウムを40nmの膜厚でマグネシウム・銀合金膜の上に積層して陰極7を完成させた。このアルミニウム蒸着時の真空度は1.5 ×10-5Torr(約2.0 ×10-3Pa)、蒸着時間は1分20秒であった。なお、このマグネシウム・銀合金とアルミニウムの2層型陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0122】
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子を得た。
【0123】
この素子の発光特性を調べ、結果を表14に示した。なお、表14において、発光輝度は250mA /cm2 の電流密度での値、発光効率は 100cd/m2での値、輝度/電流は輝度−電流密度特性の傾きを、電圧は 100cd/m2での値を各々示す。
【0124】
比較例1
有機発光層中にアントラセン誘導体(XII) をドープしなかったこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0125】
比較例2
アントラセン誘導体(XII) の代りに下記に示す1,4,9,10−テトラフェニルアントラセン(XIV) を有機発光層中にドープしたこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0126】
【化26】
Figure 0003807018
【0127】
比較例3
下記に示す1,9,10−トリフェニルアントラセン(XV)をクロロホルム溶媒中に1.5mmol/mlの濃度で溶かした溶液を、水銀ランプ(波長350nm )で励起して蛍光を測定したところ、475nm と弱い蛍光しか示さなかった。
【0128】
【化27】
Figure 0003807018
【0129】
また、アントラセン誘導体(XII) の代りに、この1,9,10−トリフェニルアントラセン(XV)を有機発光層にドープしたこと以外は実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0130】
実施例2
有機発光層の電子輸送性化合物(ホスト材料)として、以下の構造式に示すベンゾイミダゾール亜鉛錯体(E−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0131】
【化28】
Figure 0003807018
【0132】
なお、有機発光層蒸着時のベンゾイミダゾール亜鉛錯体のルツボは200 〜210 ℃の範囲で、アントラセン誘導体(XII) のルツボは150 〜160 ℃の範囲でそれぞれ制御し、蒸着時の真空度は2.5 ×10-6Torr(約3.3 ×10-4Pa)、蒸着時間は2分20秒で、膜厚45nmの有機発光層を形成した。アントラセン誘導体(XII) のドープ量は、ホスト材料に対して0.90モル%、有機発光層中の割合で1.2重量%であった。
【0133】
比較例4
有機発光層中にアントラセン誘導体(XII) をドープしなかったこと以外は実施例2と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0134】
実施例3
有機発光層の電子輸送性化合物(ホスト材料)として、以下の構造式に示すジスチリルビフェニル(E−4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0135】
【化29】
Figure 0003807018
【0136】
なお、有機発光層蒸着時のジスチリルビフェニルのルツボは150 〜170 ℃の範囲で、アントラセン誘導体(XII) のルツボは150 〜160 ℃の範囲でそれぞれ制御し、蒸着時の真空度は2.5 ×10-6Torr(約3.3 ×10-4Pa)、蒸着時間は2分20秒で、膜厚45nmの有機発光層を形成した。アントラセン誘導体(XII) のドープ量は、ホスト材料に対して1.3モル%、有機発光層中の割合で1.4重量%であった。
【0137】
比較例5
有機発光層中にアントラセン誘導体(XII) をドープしなかったこと以外は実施例3と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0138】
実施例4
有機発光層の電子輸送性化合物(ホスト材料)として、以下の構造式に示す2−メチル−8−ヒドロキシキナルジンとトリフェニルシラノールのアルミニウム錯体(E−5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0139】
【化30】
Figure 0003807018
【0140】
なお、有機発光層蒸着時のトリフェニルシラノールのアルミニウム錯体のルツボは180 〜200 ℃の範囲で、アントラセン誘導体(XII) のルツボは150 〜160 ℃の範囲でそれぞれ制御し、蒸着時の真空度は2.0 ×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)、蒸着時間は2分50秒で、膜厚45nmの有機発光層を形成した。アントラセン誘導体(XII) のドープ量は、ホスト材料に対して1.0モル%、有機発光層中の割合で1.3重量%であった。
【0141】
比較例6
有機発光層中にアントラセン誘導体(XII) をドープしなかったこと以外は実施例4と同様にして素子を作製し、この素子の発光特性を表14に示した。
【0142】
【表14】
Figure 0003807018
【0143】
表14より、本発明の蛍光材料及び有機電界発光素子は発光特性に優れることが明らかである。
【0144】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の蛍光材料は、短波長の発光特性、特に青色発光特性が良好で、耐光性、耐熱性にも優れる。
【0145】
本発明の有機電界発光素子は、このような本発明の蛍光材料のアントラセン誘導体を含有する有機発光層を有するために、短波長の可視発光特性、特に青色発光特性及び有機発光層の薄膜構造の安定性が向上し、長期に亘り、安定かつ高い発光特性を得ることができる。
【0146】
従って、本発明による有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示す模式的断面図である。
【図3】合成例1で合成したアントラセン誘導体のIRスペクトルである。
【図4】合成例1で合成したアントラセン誘導体のNMRスペクトルである。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 有機発光層
6 電子注入層
7 陰極

Claims (9)

  1. 基板上に、陽極及び陰極により挟持された正孔輸送層及び有機発光層が形成された有機電界発光素子において、該有機発光層が、下記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((I)式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は水素原子、メチル基、メトキシ基又は水酸基を表す。Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar4 は、フェニル基、置換基としてメチル基を有するフェニル基、置換基としてメトキシ基を有するフェニル基、置換基としてフェニル基を有するフェニル基、又はフェニルエチニル基を表す。R1〜R6 及びAr1 〜Ar4 はそれぞれ互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。)
  2. 請求項1において、該有機発光層中の前記アントラセン誘導体の含有量が0.01〜20重量%であることを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 請求項1又は2において、前記アントラセン誘導体は、下記一般式(II)で表される化合物中に含有されていることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((II)式中、R1A,R2A,R3A,R4A,R5A,R6Aは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1A〜R6Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。Xはアルキル基、アルコキシル基、アルキルカルボキシル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよいアリールアルコキシル基又は置換基を有していてもよいアリールカルボキシル基等の官能基を示す。)
  4. 請求項3において、前記一般式(II)のXが、下記一般式(III) 又は(IV)で表されることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((III) 式中、R1B,R2B,R3B,R4B,R5Bは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1B〜R5Bは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
    Figure 0003807018
    ((IV)式中、R1C,R2C,R3Cは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1C〜R3Cは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
  5. 請求項1又は2において、前記アントラセン誘導体は、下記一般式(V)で表される化合物中に含有されていることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((V)式中、R1D,R2D,R3D,R4D,R5D,R6Dは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1D〜R6Dは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
  6. 請求項1又は2において、前記アントラセン誘導体は下記一般式(VI)で表されるベンゾイミダゾール誘導体中に含有されていることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((VI)式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、Aはハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E,R2E,R3E,R4E,R5E,R6E,R7E,R8Eは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1E〜R8Eは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数を示す。)
  7. 請求項1又は2において、前記アントラセン誘導体は、下記一般式(VII) で表されるベンゾオキサゾール誘導体中に含有されていることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((VII) 式中、MはBe、Zn、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Mg、Ca、Sr、Co、Cu、Ni、Pd、Sm、Eu又はTbを表し、R1F,R2F,R3F,R4F,R5F,R6F,R7F,R8Fは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、R1F〜R8Fは互いに同一でも異なるものであってもよい。nは1〜3の整数を示す。)
  8. 請求項1又は2において、前記アントラセン誘導体は、下記一般式(VIII)で表されるジスチリルアリーレン誘導体中に含有されていることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003807018
    ((VIII)式中、Ar1A,Ar2A,Ar3A,Ar4A,Ar5Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Ar1A〜Ar5Aは互いに同一でも異なるものであってもよい。)
  9. 下記一般式(I)で表されるアントラセン誘導体よりなることを特徴とする蛍光材料。
    Figure 0003807018
    ((I)式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は水素原子、メチル基、メトキシ基又は水酸基を表す。Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar4 は、フェニル基、置換基としてメチル基を有するフェニル基、置換基としてメトキシ基を有するフェニル基、置換基としてフェニル基を有するフェニル基、又はフェニルエチニル基を表す。R1〜R6 及びAr1 〜Ar4 はそれぞれ互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。)
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