JP3807603B2 - 車両用発電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用発電装置に関し、特に変速ショック緩和可能な車両用発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、オルタネータと呼ばれる車両用交流発電機やアイドルストップ車両に用いられる車両用発電電動機では、エンジン始動後は、車載電気負荷への給電、エンジン始動乃至エンジン停止中の車載機器駆動で費やされたバッテリ蓄電電力の回復などのために、走行中は常に発電状態が維持される。
【0003】
特開2000−204995は、車両減速中でバッテリが十分に電力受け入れ可能なレベルである場合に発電電流を増加して回生制動効果を高め、車両減速中でバッテリが十分に電力受け入れることができないレベルである場合に発電電流の増加を回避することを提案している。これにより、バッテリ異常を招くことなく回生制動を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車両のエンジンは変速機を通じて車軸に結合されるのが通常であるが、車両走行中にこの変速機が減速側(ロー側)すなわち大減速比がシフトされると、エンジン回転数がアップしてエンジンのポンピング抵抗や摩擦抵抗が増大し、これは車軸に対して制動力の増大として機能する。このような状況は、車輪とエンジンとの回転数比が上記新しい変速比率にマッチした値になるまで持続する。また、上記したエンジン回転数のアップは、フィードバック制御によるその抑制が利くまでの一時期だけではあるが発電中の発電電圧のアップによる発電電流の増大とそれによる制動力の一時的なアップも招く。
【0005】
その結果、上記シフト直後の制動力の一時的なアップにより、車両安定性や運転快適性が損なわれる可能性があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、簡素な構成で上記変速時のショックを減らして車両安定性や運転快適性を向上することをその目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の車両用発電装置は、変速機を通じて車輪を駆動するエンジンにより駆動されて発電する発電機と、前記発電機の発電量を制御する発電制御手段とを備える車両用発電装置において、
前記発電制御手段は、入力される前記変速機の変速比変更情報及び車両制動操作情報に基づいて前記変速比が小減速比から大減速比へ変更された場合に車両制動操作が行われない状態でのみ前記発電制御部に前記発電量の低減を指令することを特徴としている。
【0008】
これにより、変速直後の車両走行慣性エネルギー変化がエンジン加速し、車軸側からみて制動力の急増が生じる現象を発電機の発電負荷低減により部分的又は完全に補償することができ、変速時のショックを減らして車両安定性や運転快適性を向上することができる。
【0009】
なお、ここでいう「発電量の低減」とは、発電量0の状態を超えて電動出力の状態にまで移行することを含むものとする。
【0010】
請求項2記載の構成によれば請求項1記載の車両用発電装置において更に、前記発電制御手段が、前記変速比変更情報、車速情報及び車両制動操作情報に基づいて所定車速以上にて前記変速比が小減速比から大減速比へ変更された場合に車両制動操作が行われない状態でのみ前記発電制御部に前記発電量の低減を指令することを特徴としている。
【0011】
これにより低車速時に上記変速が生じて変速ショックが小さい場合に発電能力の低下によるバッテリ放電の増大を防止することができる。
【0012】
請求項1記載の構成について更に説明すると、発電制御手段は、前記変速比変更情報及び車両制動操作情報に基づいて車両制動操作が行われない状態でのみ前記変速比が小減速比から大減速比へ変更された場合に前記発電制御部に前記発電量の低減を指令することを特徴としている。
【0013】
これにより、車両制動操作がおこなわれる場合には、上記発電量の低減を中止又は弱化するので、車両制動操作がおこなわれた時に十分な車両制動力を得ることができる。
【0014】
好適態様によれば、交流発電機である前記発電機と前記バッテリとの間に介設されるインバータを有し、前記発電制御手段は、前記インバータの制御により前記発電機の位相制御により前記発電量を低減する。
【0015】
上記変速ショックが変速直後に急激に生じるが発電機の界磁電流低減に伴う界磁電流の低下では、レスポンスよく変速ショックの低減ができない。これに対して、本構成では、同期機の電機子電流の位相制御により発電量を低減するので、変速ショック抑止をレスポンス良く実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な態様を以下の実施例により説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本発明の車両用発電装置の一実施例を示すブロック図である。
【0018】
1は、エンジン7のクランク軸に連結されて本発明でいう発電機をなす界磁巻線型同期機、2は電流制御回路、3はコントローラ(本発明で言う発電制御手段)、4は高圧バッテリ、5は低圧バッテリ、6はエンジン制御ECU、8は降圧型DC−DCコンバータである。
【0019】
界磁巻線型同期機1は、ステータコアに巻装された三相の電機子巻線11、ロータコアに巻装された界磁巻線12、ロータ角度位置を検出する磁極位置センサ13、界磁巻線11と逆並列接続されたフライホイルダイオード14を有するが、構成自体は通常の界磁巻線型同期機であるので更なる詳細説明は省略する。
【0020】
電流制御回路2は、6個のパワーMOSトランジスタ(スイッチング素子)211〜216で構成された三相のインバータ21、ハイサイドスイッチ構成をもつ界磁電流スイッチ22、電機子電流を検出する電流センサ23、高圧バッテリ4と並列接続された平滑コンデンサ24をもつが、回路構成自体はもはや周知であるので更なる詳細説明は省略する。
【0021】
コントローラ3は、マイコン内蔵の制御装置31と、制御装置31からの界磁電流及び電機子電流の各指令値を各デューテイのPWM電圧G1〜G7に変換してパワーMOSトランジスタ211〜216及び界磁電流スイッチ22に出力する駆動回路32とを有するが、回路構成自体はもはや周知であるので更なる詳細説明は省略する。なお、G1〜G6は、インバータ21の各パワーMOSトランジスタ211〜216のゲート端子に印加されるPWM制御電圧であり、G7は、界磁電流スイッチ22のゲート端子に印加されるPWM制御電圧である。また、コントローラ3により行われるインバータ21の制御による三相電機子電流の制御及び界磁電流スイッチ22の制御による界磁電流制御自体は従来の界磁巻線型同期機のものと本質的に同じであり周知であるので説明を省略する。また、コントローラ3は、エンジン制御ECU6と通信し、また外部より必要な情報を授受し、この情報に基づいてエンジン始動制御、発電制御、トルクアシスト制御、回生制動制御などの回転電機制御モードに従って界磁巻線型同期機(本発明で言う発電機)を制御する。これらの制御自体は周知であるので、本発明に関連する部分のみを後で詳細説明するものとする。
【0022】
エンジン制御ECU6は、エンジン始動後は、コントローラ3から受信した要求電力と、他から受信した出た車両要求出力との合計としてエンジン出力の要求値を算出し、このエンジン出力の要求値に相当するエンジン出力を発生するようにエンジン7を制御する。エンジン制御ECU6は、変速機のシフト情報、車速情報、制動操作情報(ブレーキペダル踏み込み量情報やブレーキブースター圧情報)、エンジン回転数情報などを図示しない検出センサ群から読み込んで、これらの情報に基づいて、エンジン出力制御、エンジン自動停止制御やその後のエンジン再始動制御などのエンジン制御を行う。これらの制御自体は周知であり、本発明に関連が薄いので詳細説明を省略する。
【0023】
降圧型DC−DCコンバータ8は、高圧バッテリ4から低圧バッテリ5へ送電する。コントローラ3は受信した低圧バッテリ5の電圧に基づいて降圧型DC−DCコンバータ8の動作を制御して高圧バッテリ4から低圧バッテリ5への送電をフィードバック制御し、低圧バッテリ5の電圧を一定範囲に維持する。
【0024】
(発電制御)
次に、発電制御のうち、この実施例の特徴をなす変速時発電量低減制御の部分について図2のフローチャートを参照して以下に説明する。なお、図2に示すルーチンは、上記発電を行っている(言い換えればエンジン7が稼働している)間中、運転に支障がない短時間間隔で繰り返し実行される。
【0025】
図2では、まず高圧バッテリ4の電圧(又は推定容量)や車載電気負荷の稼働状態などに基づいて界磁巻線型同期機1が発電するべき電力である要求電力Pを算出する(S101)。この要求電力とは、本質的にバッテリを所定容量レベルに維持するためのバッテリ充放電電力と車載電気負荷の消費電力との合計であるが、簡易的に高圧バッテリ4の電圧又は残存容量を一定範囲に保持するために界磁巻線型同期機1が発生するべき電力としてもよい。
【0026】
次に、図示しないブレーキペダル踏み量センサ(又はブレーキブースター圧検出センサ)からの検出信号に基づいて、ブレーキペダルが踏み込まれたか(すなわち車両制動操作が行われたか)どうかを判定し(S102)、踏み込まれた場合には、後述する発電量の低減による車両制動力の削減は好ましくないので、後述のステップを迂回して図示しないメインルーチンにリターンする。
【0027】
次に、図示しない車速センサからの検出信号に基づいて、車速が所定しきい値Vth以上かどうかを判定する(S103)。これは、車速が所定しきい値Vth以上であれば低速向けシフト(小減速比から大減速比へのシフト)による変速ショックが大きいためである。車速が所定しきい値Vth未満なら変速ショックが小さく後述の発電量低減は不要であるとしてメインルーチンにリターンし、車速が所定しきい値Vth以上なら次のステップS104へ進む。
【0028】
S104では、変速機のシフト位置を検出する図示しないシフト位置センサからの検出信号に基づいて小減速比のシフト位置から大減速比のシフト位置への変速(以下、低速向けシフトともいう)がなされたかどうかを検出し、この変速がなされたと判定した場合には、シフトフラグFを1として(S105)、発電量低減制御のためにステップS107へ進む。この変速がなされなかったと判定した場合には、シフトフラグFが1かどうかを判定し(S106)、シフトフラグFが1であれば発電量低減制御がまだ必要であるとしてステップS107に進み、シフトフラグFが0であればシフトがなされておらず発電量低減制御は不要なのでメインルーチンにリターンする。
【0029】
ステップS107では、上記シフトから十分時間が経過しているため後述する発電量低減制御がもはや不要であるかどうかの判定を行い、もはや不要であればシフトフラグFを0に戻してメインルーチンにリターンし、上記シフトからまだあまり時間が経過しておらず発電量低減制御が必要であれば、ステップS109へ進む。
【0030】
この実施例ではステップS107の判定は、上記シフトによりエンジンが車軸又は車輪に与える制動力の一時的増加が略0とみなせるか(所定小値以下か)どうかで判定する。更に説明すると、上記シフトを行った直後(マニュアルクラッチではその後、クラッチを繋いだ段階で)、エンジンは車軸(車体)により強く増速され、その増速率に比例して大きなエンジンから車軸に大きな制動力が加えられ、その後、エンジン回転数は、車速とシフト後の減速比とで決定される定常値に収束し、この収束後は、エンジンが車軸に与える制動力は、この定常値に対応するエンジンのポンピング損失や摩擦損失に対応する制動力の値に収束する。したがって、エンジン回転数は、シフト時点から上記収束時点までの間に増速状態となり、この増速状態において、エンジンが車軸に与える制動力は一時的に大きくなる。
【0031】
なお、この実施例では、上記S107の判定は、エンジン回転数の微分値が所定正値以上かどうかで判定したが、単純にタイマーなどで決定してもよい。
【0032】
ステップS109では、上記した増速中のエンジンが車軸に与える制動力の一時的な増加量ΔFeをキャンセルするために発電量を低減するべく要求電力を低減する。
【0033】
この要求電力の低減は、種々の方式で行うことができる。たとえばほとんどの場合、増加量ΔFeは、発電中の発電機が車軸に与える制動力よりも大きいので、上記エンジン増速期間中発電を0として発電機が車軸に与える制動力をその摩擦損失及び風損に対応する制動力だけとしてもよい。あるいは、上記増加量ΔFeはシフト直後に極大値となり、その後、緩やかに減少する特性をもつので、発電機の発電量(要求電力)をシフト直後に0とし、その後、緩やかに(たとえば一定増加率で)本来の要求電力値まで増加させてもよい。その他、発電機の発電量(要求電力)をシフト直後に0を超えて所定の電動出力として、更に上記増加量ΔFeを補償してもよい。更に高度の制御として、予め記憶するエンジン回転数と今回のシフトのパターンと上記ΔFeとのマップにエンジン回転数と今回のシフトのパターンとを代入して、今回のΔFeを推定し、このΔFeに見合う可能な発電量削減や電動出力増大を行ってもよい。更に、エンジン回転数の微分値からΔFeを算出し、このΔFeを最大限補償可能な発電量削減や電動出力増大を行ってもよい。
【0034】
なお、図示しないメインルーチンでは、上記ステップS101又はS109で決定した要求出力に見合う発電を行うように好適にはインバータ21の制御(界磁電流の制御でもよい)が行われる。
【0035】
上記制御により、高速走行時に低速向けのシフトが行われ、かつ、制動操作が行われない場合における変速ショックを低減乃至解消することができる。一例における高速走行時に低速向けのシフトが行われ、かつ、ブレーキ制動操作が行われない場合のエンジン制動力(エンジンが車軸に与える制動力)と発電機制動力(発電機が車軸に与える制動力)とそれらの合計制動力との時間変化を図3に示す。
【0036】
また、高速走行時に低速向けのシフトが行われ、その後、ブレーキ制動操作が行われた場合におけるエンジン制動力(エンジンが車軸に与える制動力)と発電機制動力(発電機が車軸に与える制動力)とブレーキ制動力とそれらの合計制動力との時間変化を図4に示す。
【0037】
なお、図3、図4において、シフト前にはアクセルペダルは踏み込まれておらず、エンジンはその摩擦損失とポンピング損失とに見合う制動力を車軸に与えているものとする。図3、図4における破線は、上記実施例の変速時発電量低減制御を行わない場合の回転機制動力及び合計制動力の変化を示す。図3、図4において、シフトにより回転機制動力がステップ的に増大しているのは、エンジン回転数が増大したために回転機の回転数が増大したため、発電電圧が増大して発電出力が増大したためである。
【0038】
(変形態様)
上記実施例では、発電機として界磁巻線型同期機を用いたが、発電機として従来の発電専用の発電機を用いる場合も実質的に同じである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用発電装置の回路構成を示すブロック回路図である。
【図2】図1のおける変速時発電量低減制御を示すフローチャートである。
【図3】ブレーキ制動を行わない場合の各制動力の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】ブレーキ制動を行う場合の各制動力の変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 界磁巻線型同期機(発電機)
3 コントローラ(発電制御手段)
7 エンジン
21 インバータ
22 界磁電流スイッチ
Claims (2)
- 変速機を通じて車輪を駆動するエンジンにより駆動されて発電する発電機と、
前記発電機の発電量を制御する発電制御手段と、
を備える車両用発電装置において、
前記発電制御手段は、
入力される前記変速機の変速比変更情報及び車両制動操作情報に基づいて前記変速比が小減速比から大減速比へ変更された場合に車両制動操作が行われない状態でのみ前記発電制御部に前記発電量の低減を指令することを特徴とする車両用発電装置。 - 請求項1記載の車両用発電装置において、
前記発電制御手段は、
前記変速比変更情報、車速情報及び車両制動操作情報に基づいて所定車速以上にて前記変速比が小減速比から大減速比へ変更された場合に車両制動操作が行われない状態でのみ前記発電制御部に前記発電量の低減を指令することを特徴とする車両用発電装置。
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