JP3812839B2 - 無線メッシュネットワークの通信方法およびシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッシュ状ネットワークにおける通信方法およびシステムに係り、特に、各無線リンクを終端する一対の無線ノードを上位および下位のいずれかに排他的に位置付けし、上位および下位の一方に位置付けられた無線ノードが、当該無線リンクにTDD方式の無線チャネルを自律的に立ち上げる通信方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
リンクのトポロジがメッシュ状である無線ネットワークにおいて、対向するノード間でのトラフィック量が非対称性であっても通信資源を有効に割り当てられる通信方式としてTDD(Time Division Duplex)方式の採用が検討されている。TDD方式とは、1つの周波数帯域(周波数スロット)において時間軸を一定周期で時分割し(タイムスロット)、これを上り回線および下り回線に割り当てることで相互通信を実現するアクセス方式であり、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)等の多重化方式において一般に用いられている。
【0003】
このようなTDD方式では、各無線チャネルに割り当てる周波数スロット(FID)を決定し、上り回線および下り回線のトラヒック量に応じてタイムスロットの割当境界(TDD Boundary:TDDバウンダリ)を設定するなどの、各種のTDD属性に関する設定が必要となる。
【0004】
ここで、メッシュ網上の一つの制御ノードが、メッシュ網に存在する全てのノードのトラフィック情報およびネットワークトポロジを把握して各リンクごとにTDD属性やFIDを決定し、これを全てのノードへ配信することは、制御ノードの負荷増大、瞬時変動するトラフィック量への追従性、あるいはネットワークのスケーラビリティなどの点から非現実的である。
【0005】
そこで、特定の制御ノードが集中制御するのではなく、各ノードが近隣の情報を得ながら自身でTDD属性やFIDを決定する自律分散方式が有効と考えられる。しかしながら、TDD方式を採用し、かつ複数のFIDを活用する無線通信システムでは、以下のような技術課題があった。
【0006】
(1)メッシュ網では、一つのノードが複数の無線リンクを所有することがあり、各ノードには複数のアンテナおよび無線局が設置されている。このとき、複数のリンクで同一のFIDを使用し、各リンクでTDDバウンダリが異なると、同一ノードの隣接アンテナからの回り込みによる干渉が生じ得る。したがって、同一のFIDを使用する隣接リンクではTDDバウンダリを共通にする必要があり、各リンクごとに、そのトラヒック量に応じて最適なTDDバウンダリを設定することができない。
【0007】
(2)無線リンクに割り当てるFIDを更新する場合、この無線リンクを共有する一対の無線ノードが、そのTDDバウンダリやFIDに関して共通の認識を有していないと、各ノードが同一のリンクに異なったFIDを割り当てることとなり、齟齬が生じて通信が不可能になる。
【0008】
このような技術課題を解決するために、本発明の発明者等は、TDDタイムスロットに関する割当属性として、対向する一対の無線ノードごとに、タイムスロットIDの若番(TDDフレームの開始からTDDバウンダリまで)を送信期間、老番(TDDバウンダリからTDDフレームの終了まで)を受信期間とするノードを「上位」に位置付け、その逆に、タイムスロットIDの老番を送信期間、若番を受信期間とするノードを「下位」に位置付け、各無線リンクに対して、当該無線リンクから上位または下位に位置付けられた無線ノードの一方が周波数スロットを割り当てるようにすることで、各無線リンクに無線チャネルを齟齬無く割り当てられるようにしたシステムを発明し、特許出願した(特願2001−149535号)。
【0009】
さらには、各ノードに対して、自ノードを上位に位置付ける無線リンクのみならず、自ノードを下位に位置付ける無線リンクも同時に終端することを許容することで、ネットワークが複数のノードを頂点とする奇数多角形の閉路を含む場合にも、各無線リンクに無線チャネルを齟齬無く割り当てられるようにしたシステムを発明し、特許出願した(特願2002−70259号)。
【0010】
図10は、上記した従来技術(特願2002−70259号)を採用して、TDD方式に基づく無線チャネル(本実施形態では、周波数スロット)を自律分散的に割り当てる無線ネットワークの構成を示した図である。
【0011】
各無線リンクL1〜Lnを終端する一対のノードNは、その一方が「上位」、他方が「下位」に位置付けられ、上位および下位のいずれであるかにかかわらず、その一方のノードのみが、その無線リンクに周波数スロットを割り当て得る。例えば、無線リンクL1であれば、これを終端する一方のノードN1が上位(●)に位置付けられれば、他方のノードN4は下位(○)に位置付けられる。同様に、無線リンクL2であれば、これを終端する一方のノードN1が上位に位置付けられ、他方のノードN2が下位に位置付けられる。
【0012】
ここでは、無線ノードN1,N7のように、自ノードで終端する無線リンクの全てから上位に位置付けられるノードを「上位ノード」と定義し、ノードN2,N4のように、終端する無線リンクの全てから下位に位置付けられるノードを「下位ノード」と定義している。
【0013】
ところで、複数の無線ノードで構成される閉路の全てが偶数多角形であれば、図11に示したように、全てのノードを上位ノードまたは下位ノードのいずれかに定義できる。しかしながら、図10のように奇数多角形の閉路(例えば、ノードN1,N3,N4を頂点とする三角形)を含む場合には、一部のノードは上位および下位の双方に位置付けられることを余儀なくされる。
【0014】
例えば、図10のノードN3に関しては、無線リンクL4からは上位に位置付けられるが、他の無線リンクL3,L5,L6からは下位に位置付けられる。同様に、ノードN5に関しても、無線リンクL8からは上位に位置付けられるが、他の無線リンクL7,L9からは下位に位置付けられる。前記ノードN3,N5のように、自ノードで終端している無線リンクから上位および下位の双方に位置付けられるノードは、前記「上位ノード」、「下位ノード」(これらを総称して「ピュアノード」と表現する場合もある)と区別して「ハイブリッドノード」と定義している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ピュアノードであれば、隣接リンクで同一のFIDを利用しても、そのTDDバウンダリが一致している限り干渉等の問題が発生しない。これに対して、ハイブリッドノードでは、自ノードを「上位」に位置付ける無線リンクで利用されているFIDと同一のFIDを、自ノードを「下位」に位置付ける隣接リンクでは利用できない。したがって、ハイブリッドノードではピュアノードに較べて、割当可能な周波数スロットの制約が多くなり、周波数利用効率の低下を余儀なくされる。このようなハイブリッドノードの発生は可能な限り抑えるべきであり、発生が避けられない場合でも、トラヒック量の少ないところに配置すべきである。
【0016】
しかしながら、上記した従来技術ではハイブリッドノードが固定的に配置されていたので、何らかの原因でハイブリッドノードのトラヒック量が増えても、これに対応することができなかった。
【0017】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、トラヒック変動に応じて無線チャネルを適正に確立できる無線メッシュネットワークの通信方法およびシステムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、複数の無線ノードが分散配置されたメッシュ状のネットワーク上で、各無線リンクを終端する一対の無線ノードを上位および下位のいずれかに排他的に位置付けし、 当該無線リンクにTDD方式の無線チャネルを自律的に立ち上げる無線通信システムにおいて、各無線ノードが以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0019】
(1) 自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替える要求を検知する手段と、切り替え要求に応答して、自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替える手段とを含むことを特徴とする。
【0020】
(2)前記切り替え要求として、前記無線リンクへの無線チャネルの追加要求を検知する手段と、追加要求に応答して、追加する無線チャネルで利用する周波数スロットを選択する手段と、選択された周波数スロットが所定の割当条件を満足しているか否かを判定する手段と、割当条件を満足している周波数スロットを利用して無線チャネルを追加する手段と、前記周波数スロットが割当条件を満足できないときに、自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替えれば前記割当条件が満足されるか否かを判断する手段とを含み、前記位置付けを切り替えれば前記割当条件が満足されるときに、自ノードの位置付けを上位および下位の一方から他方へ切り替えると共に、切り替え後の位置付けで無線チャネルを追加することを特徴とする。
【0021】
(3)ネットワークのトポロジ構成を認識してトポロジ情報を生成する手段と、各無線リンクに対する各ノードの標準的な位置付けを前記トポロジ情報に基づいて規定するデフォルトTDDプランを生成する手段と、前記デフォルトTDDプランで規定された位置付けと自ノードの位置付けを比較し、両者が異なることを前記切り替え要求として検知する手段とを含み、前記切り替え要求に応答して、自ノードの位置付けを前記デフォルトTDDプランに合わせて、上位および下位の一方から他方へ切り替えることを特徴とする。
【0022】
上記した特徴(1)によれば、各ノードは各無線リンクに対する自ノードの位置付け(TDD位置付け属性)を上位および下位の一方から他方へ切り替えることができるので、ハイブリッドノードからピュアノードへの移行およびその逆が可能になる。
【0023】
上記した特徴(2)によれば、各ノードは自ノードがハイブリッドノードの時にトラヒック需要が増大し、FID不足により無線チャネルを追加できない場合に、自ノードのTDD位置付け属性を切り替えることでピュアノードとなれる。そして、ピュアノードではハイブリッドノードよりも割当可能なFIDが増えるので、トラヒック需要の増大に応じて無線チャネルを追加できるようになる。
【0024】
上記した特徴(3)によれば、各ノードは自ノードのTDD位置付け属性をデフォルトTDDプランで規定されたTDD位置付け属性に戻すことができるので、TDD位置付け属性の切り替えが頻発しない環境を簡単に再現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る無線ノードの主要部の構成を示したブロック図であり、「上位ノード」、「下位ノード」および「ハイブリッドノード」のいずれもが同等の構成を有する。
【0026】
無線ノードNは、屋外無線装置2および屋内無線装置3を含む。屋外無線装置2は、複数の屋外無線ユニット(#1〜#n)21を含む。屋内無線装置3は、複数の無線チャネルユニット(#1〜#n)33、スイッチ31、無線チャネルマネージャ(CHM)32およびネットワーク制御装置34を含む。
【0027】
前記ネットワーク制御装置34は、トポロジ情報生成部34aおよびデフォルトTDDプラン生成部34bを含む。トポロジ情報生成部34aは、ネットワークのトポロジ構成を認識してトポロジ情報を生成する。デフォルトTDDプラン生成部34bは、後に詳述するように、各無線リンクに対する各ノードの標準的な位置付け(上位または下位)を前記トポロジ情報に基づいて求め、これをデフォルトTDDプランとして無線チャネルマネージャ32へ通知する。
【0028】
前記無線チャネルマネージャ32は、各無線チャネルユニット33(#1〜#n)を、前記ネットワーク制御装置34からの通知に応じて各無線リンクL1〜L4に動的に割り当てる。前記各無線チャネルユニット33は、対向ノードの無線チャネルユニットとの間でTDD方式の無線チャネルを確立し、そのTDDフレームやTDDバウンダリを制御する。前記スイッチ31は、各無線チャネルユニット33(#1〜#n)を前記割り当て結果に基づいて各無線リンクL1〜L4に接続する。
【0029】
次いで、フローチャートを参照して各無線ノードの動作を詳細に説明する。図2は、無線ノードの主要な動作を示したフローチャートであり、ステップS1では、前記ネットワーク制御装置34のトポロジ生成部34aにおいてネットワークトポロジが認識される。ステップS2では、この認識結果に基づいて上記したデフォルトTDDプランが生成される。以下、デフォルトTDDプランの生成手順を説明する。
【0030】
ネットワークが偶数多角形の閉路以外を含む場合にはハイブリッドノードの発生を余儀なくされる。ハイブリッドノードにおいてトラヒック需要が増加した場合には、これをピュアノード化してFIDの利用効率を高めることが望ましく、そのためには、各ノードは自ノードのTDD位置付け属性を無線リンクごとに動的に切り替えられるようにする必要がある。
【0031】
ただし、TDD位置付け属性の切り替えが頻発すると伝送効率が低下するので、TDD位置付け属性の切り替えを許容する場合であっても、その発生を最小限に抑える必要があり、そのためには各ノードの位置付けを常に適正に設定しておくことが望ましい。そこで、本実施形態ではトラヒック需要に依存せずにネットワークトポロジー情報のみから決定される「デフォルトTDDプラン」を定義している。
【0032】
「デフォルトTDDプラン」は、ネットワーク上の全ての無線ノードに対してTDD位置付け属性に関する基準設定を与えるもので、瞬時瞬時における割り当てを固定的に定めるものではなく、TDD位置付け属性の動的な切り替えを不必要に発生させることなく、また切り替えが発生しても効率的に実施できるようにガイドする役割も果たす。したがって、本実施形態では運用開始直後のみならず、トラヒック変動に応じて一部のTDD位置付け属性を切り替えた後も、トラヒック量が少なくなった場合には、「デフォルトTDDプラン」に戻すような指導原理が働くようにしている。
【0033】
本発明者等は、任意のネットワークトポロジーに対して、全てのリンクにおけるTDD位置付け属性を、可能な限りハイブリッドノードを発生させないように設定できる「デフォルトTDDプラン」の作成アルゴリズムを考案し、次世代広帯域FWAの研究開発の過程で作成した通信放送機構向け「研究成果報告書」で紹介している。以下、その内容を簡単に説明する。
【0034】
「デフォルトTDDプラン」の課題自身はグラフ理論における無向グラフを有向化するという課題に属すものの、調査の結果、目的関数の定義そのものについて従来に類似例がない。単純な有向グラフにおいて、着目した一つの点Viに入射する辺および出射する辺の数(すなわち、入次数および出次数)を、それぞれDEGin(Vi)およびDEGout(Vi)で表す。ここで、下位ノードから上位ノードへ向かう方向を入射、その逆を出射と仮に定義すれば、ハイブリッドノード以外では、入射辺または出射辺しか存在しないので、
DEGin(Vi)=0
または、
DEGout(Vi)=0
が成立する。したがって、ハイブリッドノードの定義としては、
DEGin(Vi)DEGout(Vi)>0
を満足する点Viと表現できる。
【0035】
そこで、TDD位置付け属性が最適化されるのは、
【数1】
Figure 0003812839
あるいは
【数2】
Figure 0003812839
但し、
【数3】
Figure 0003812839
が小さいように有向化されたグラフと考えるのが妥当と考えられる。ここで、指標2はネットワーク内のハイブリッドノードの総数に相当し、指標1はハイブリッドノードにおいて、これを上位に位置付けるリンクの数と下位に位置付けるリンクの数との積の総和である。この総和が多ければ、ハイブリッドノードにより終端されるリンク数が多く、このリンク数が多ければトラヒック量の合計も多く、周波数繰り返し利用の要請も高いと想定するのが自然と考え、また、このハイブリッドノードをピュアノード化するために切り替えなければならないリンク数も多いとの観点から、ノード数に重みをつけたものと位置付けられる。
【0036】
図6,7,8,9に示した具体例を参照して説明する。図6,7は、指標1が同じで指標2が異なる簡単な例であり、ハイブリッドノード数が、図6では「1」であるのに対して図7では「2」なので、図6が図7よりも好ましい。
【0037】
一方、図8,9は、指標1と指標2の大小関係が異なる簡単な例である。図8では指標2が「1」であり、図9の「2」に比較して小さいが、指標1に関しては、図8の「4」に対して図9は「2」と小さい。図8,9の例では、中心のノードがハブ的な役割を果たしており、このノードにおける周波数利用効率を高めることを優先させるべきとみなせるので、図8を図9よりも好ましいとするのが妥当である。
【0038】
これらを踏まえて、性能指標として指標1を第1優先度とし、これが等しい条件では、指標2を第2優先度として用いるのが適切と考えられる。
【0039】
以上の検討結果から、指標1、指標2を最小とするように無向グラフを有向化するアルゴリズムを検討した。しらみつぶし的に探索した場合には、組み合わせ数が「辺の数(グラフのSize)−1」のかい乗(n!)となるので、辺の数が10程度を超えた途端に計算時間が爆発的に増加してしまい、現実的でない。そこで、本実施形態では次のような方針に基づき、ヒューリスティックなアルゴリズムを開発した。
【0040】
方針:奇数辺の閉路がある場合には、幾つかの辺を除去して、これを取り除き、まず得られたサブグラフを(指標は0のままで)有向化する。取り除いた辺について、指標の増加が小さい向きを選びつつ、追加していく。
【0041】
具体的なアルゴリズムの骨子は次の通りである。
▲1▼ステップ1:基準となる点を1つ選ぶ。選んだ点から他の点への最短到達ホップ数を計算しておく。
▲2▼ステップS2:グラフの辺全てについて、その両端の点における上記ホップ数をチェックし、一方が偶数で、他方が奇数であれば、その辺を偶数の点から奇数の点に向かうように有向化する。もし、両方が偶数または奇数の場合には、その辺はグラフから一時取り除いておく。
▲3▼ステップ3:前記ステップS1,2を、基準点のループとして点の数だけ繰り返し、得られた結果の中で、取り除いた辺の数が最小のものを候補として選択する。同点の場合には、取り除いた辺を要素とするサブグラフの木の数が最大のものを選択する。(これも同点の場合には、さらなる基準を設けることなく、最初に見つかったものを候補とする)
▲4▼ステップ4:取り除いた辺からなるサブグラフに含まれる木をひとつ選び、これを有向化して、すでに有向化されたグラフに追加する。向きのつけ方は、木の辺数をStとして2^Stだけ存在するが、追加後の目的関数が最小となるものを選ぶ(全数探索)。
▲5▼ステップS5:前記ステップS3で取り除かれていた辺がすべて追加されるまで前記ステップS4を繰り返す。これにより、デフォルトTDDプランが生成される。
【0042】
図2に戻り、ステップS3では、前記デフォルトTDDプランで規定されたTDD位置付け属性と自ノードの現在のTDD位置付け属性とが異なるときに、自ノードのTDD位置付け属性を前記デフォルトTDDプランに合わせて、上位および下位の一方から他方へ切り替える「デフォルトTDDプランの反映処理」が実行される。
【0043】
図3は、前記「デフォルトTDDプランの反映処理」の手順を示したフローチャートであり、ステップS10では、自ノードで終端される各無線リンクL1,L2,L3,L4に関する現在のTDD位置付け属性が、前記デフォルトTDDプランで規定されたTDD位置付け属性と比較され、TDD位置付け属性の切り替えが必要な無線リンクの有無が判別される。ここでは、デフォルトTDDプランで規定されたTDD位置付け属性と異なる属性の無線リンクが全て切替対象リンクと認識される。切替対象となる無線リンクが存在すればステップS11へ進む。
【0044】
ステップS11では、切替対象リンクに関して、その回線品質が求められる。本実施形態では、回線品質としてCNR{C:キャリア、N:ノイズ、R:レシオ、すなわちC/N}を採用し、これが基準値CNRrefと比較される。CNR>CNRrefであればステップS12へ進み、TDD位置付け属性を切り替える無線リンクが選択される。なお、対象リンクが複数存在する場合には、そのうちの一つがランダムに選択される。
【0045】
ステップS13では、選択された切替対象リンクが所定の切替条件を満足しているか否かが判別される。本実施形態では、切替対象リンクと隣接し、当該切替対象リンクとTDD位置付け属性が同一の隣接リンクにおいて、当該切替対象リンクで利用されているFIDと同一のFIDが使用されていないことが切替条件として設定されている。同一FIDが使用されていれば、TDD位置付け属性の切り替え後に干渉が生じてしまうので、当該切替対象リンクに関しては、TDD位置付け属性の切り替えを中止する。これに対して、同一FIDが使用されていなければ、切替条件が満足されたものとしてステップS14へ進む。
【0046】
ステップS14では、TDD位置付け属性の切替指示および切替タイミングが対向ノードへ通知される。ステップS15では、今回の切り替え対象リンクのTDD位置付け属性が切り替えられ、当該無線リンクに含まれる全ての無線チャネルに関して、そのTDD位置付け属性が、上位から下位、または下位からた上位へと切り替えられる。
【0047】
図2へ戻り、ステップS4では、ネットワーク制御装置34から通知された要求チャネル数が判別される。前記ネットワーク制御装置34は、ネットワークトポロジやトラヒック量に基づいて、一端が自ノードで終端される各無線リンクL1,L2,L3,L4に適正なチャネル数を定期的または不定期に演算し、演算結果を要求チャネル数Lreq(Lreq(1)〜Lreq(4))として無線チャネルマネージャ32に通知する。
【0048】
ステップS5では、通知された要求チャネル数Lreqと現在の無線チャネル数Lrefとが比較され、Lreq>Lrefの無線リンクに関してはステップS6へ進む。ステップS6では、「チャネル追加の前処理」が実行され、追加する無線チャネルに割り当てるFIDが決定され、さらには、必要に応じてTDD位置付け属性の切り替えが実行される。
【0049】
図4は、「チャネル追加の前処理」の手順を示したフローチャートであり、ステップS31では、いずれの無線チャネルにも割り当てられていない未割当FIDの中に、割当条件を満足するFIDが存在するか否かが判別される。本実施形態では、割当条件として以下の3つを設定している。
【0050】
(1)条件1:TDD位置付け属性の異なる他の無線リンクに割り当てられていないこと。
【0051】
(2)条件2:ある一定期間連続して所定の回線品質を満足すること
【0052】
(3)条件3:互いに隣接リンクとならないリンク同士(つまり、互いに異なるノードに終端されるリンク同士)がTDDバウンダリを一致させなければならなくなるようなFIDは選択できない。
【0053】
すなわち、図12に示したように、ノードN1,N2間にFIDがF1の無線リンクL1が確立され、ノードN1で終端される他の無線リンクL2のFIDがF1のとき、リンクL1,L2のTDDバウンダリは、相互の干渉を回避すべく同一に設定される。この状態で、ノードN2で終端される他の無線リンクL3にチャネルを追加する際、そのFIDをF1に設定してしまうと、ノードL3とノードL1との干渉を避けるためには両者のTDDバウンダリを一致させなければ成らず、これがノードL2にも波及するので、ノードL3とノードL2とは隣接リンクではないにもかかわらずTDDバウンダリを一致させなければならなくなる。
【0054】
同様に、無線リンクL2,L3は隣接しないので、両者が同一のFID(例えば、F1)を利用していてもTDDバウンダリを一致させる必要はない。しかしながら、このような状態で無線リンクL1にチャネルを追加する際、そのFIDをF1に設定してしまうと、無線リンクL1に隣接する無線リンクL2,L3は、そのTDDバウンダリを無線リンクL1のそれと一致させなければならないので、結局、ノードL3とノードL2とは隣接リンクではないにもかかわらずTDDバウンダリを一致させなければならなくなる。
【0055】
このように、複数のノードをまたいでTDDバウンダリを一致させるための制御を行おうとすれば、TDDバウンダリを決定するために必要なトラヒックの情報の伝達が煩雑となる。本実施形態では、このような事態を回避すべく、互いに隣接リンクとならないリンク同士(図12では、リンクL2,L3)がTDDバウンダリを一致させなければならなくなるようなFIDは選択できないことが第3の条件となる。そして、この割当条件を満足するFIDが存在すればステップS32へ進み、その中の一つが選択される。
【0056】
これに対して、割当条件を満足するFIDが存在しなければステップ33へ進み、未割当FIDのいずれかが任意に選択される。ステップS34では、TDD位置付け属性を切り替えても割当条件を満足できるFIDであるか否かが判定され、満足されるのであればステップS35へ進む。ステップS35では、無線チャネルを追加しようとしている無線リンクのTDD位置付け属性を切り替えても、既設の無線チャネルで利用中のFIDが全て割当条件を満足できるか否かが判定される。満足できるのであればステップS36へ進み、無線チャネルが追加される無線リンクのTDD位置付け属性が切り替えられ、ここに無線チャネルが追加される。
【0057】
一方、前記ステップS34において、TDD位置付け属性を切り替えても割当条件が満足されないと判定されるか、あるいはステップS35において、TDD位置付け属性を切り替えてしまうと既設の無線チャネルで利用中のFIDが割当条件を満足できなくなると判定されるとステップS37へ進む。ステップS37では、他の未割当FIDが存在するか否かが判定され、存在すればステップS33へ戻って上記各処理が他のFIDに関して繰り返される。他の未割当FIDが存在しなければそのまま終了する。
【0058】
図2へ戻り、以上のようにして追加するチャネルに割り当てるFIDが決定されると、ステップS7では、対向ノードとTDDバウンダリやフレーム同期に関するネゴシエーションが行われ、その後、所定のタイミングで無線チャネルが追加される。
【0059】
図5は、前記TDD位置付け属性の切り替えによってFIDの利用効率が向上する様子を模式的に表現した図であり、ここでは、システムで利用可能なFIDの集合を「Fn」で表現し、ハイブリッドノードを上位に位置付ける無線リンクのみで利用可能なFIDの集合を「Fa」で表現し、ハイブリッドノードを下位に位置付けるリンクのみで利用可能なFIDの集合を「Fn-a」で表現している。したがって、「Fn」、「Fa」、「Fn-a」は、「Fn=Fa+Fn-a」の関係を有する。
【0060】
同図左側に示したように、ノードN1,N4が上位ノード(●)、ノードN2,N5が下位ノード(○)、ノードN3がハイブリッドノードの状態では、ノードN1−N3間の無線リンクL1で利用可能なFIDの集合はFn-aであり、ノードN2−N3間の無線リンクL2およびN3−N5間の無線リンクL3で利用可能なFIDの集合はFaである。したがって、これらの無線リンクで利用可能なFIDには制約が多く、無線チャネルの追加が難しい。
【0061】
この状態でリンクL1,L3に対してチャネル追加が要求されると、ノードN3では、リンクL2,L3に関してTDD位置付け属性の切り替えが実行され、その結果、同図右側に示したように、ノードN3がハイブリッドノードから下位ノードに切り替わり、これに応答して、ノードN5が下位ノードから上位ノードに切り替わり、ノードN2が下位ノードからハイブリッドノードに切り替わる。
【0062】
この結果、トラヒック需要の増加した無線リンクL1,L3で利用可能なFIDの集合が、いずれもFnとなるので、トラヒック需要の増大に応じて無線チャネルを追加できるようになる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
(1)各ノードは各無線リンクに対する自ノードの位置付け(TDD位置付け属性)を上位および下位の一方から他方へ切り替えることができるので、ハイブリッドノードからピュアノードへの移行およびその逆が可能になる。
(2)各ノードは自ノードがハイブリッドノードの時にトラヒック需要が増大し、FID不足により無線チャネルを追加できない場合に、自ノードのTDD位置付け属性を切り替えることでピュアノードとなれる。そして、ピュアノードではハイブリッドノードよりも割当可能なFIDが増えるので、トラヒック需要の増大に応じて無線チャネルを追加できるようになる。
(3)各ノードは自ノードのTDD位置付け属性をデフォルトTDDプランで規定されたTDD位置付け属性に戻すことができるので、TDD位置付け属性の切り替えが頻発しない環境を簡単に再現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各無線ノードに搭載される無線通信システムの主要部の構成を示したブロック図である。
【図2】 各無線ノードの動作を示したフローチャートである。
【図3】 デフォルトTDDプラン反映処理のフローチャートである。
【図4】 チャネル追加前処理のフローチャートである。
【図5】 DD位置付け属性の切り替えによってFIDの利用効率が向上する様子を模式的に表現した図である。
【図6】 デフォルトTDDプランの作成方法を説明するための図(その1)である。
【図7】 デフォルトTDDプランの作成方法を説明するための図(その2)である。
【図8】 デフォルトTDDプランの作成方法を説明するための図(その3)である。
【図9】 デフォルトTDDプランの作成方法を説明するための図(その4)である。
【図10】 奇数多角形の閉路を含むネットワークの構成を模式的に示した図である。
【図11】 偶数多角形の閉路のみを含むネットワークの構成を模式的に示した図である。
【図12】 割当条件を説明するための図である。
【符号の説明】
2…屋外無線装置,3…屋内無線装置,31…スイッチ,32…無線チャネルマネージャ,33…無線リンク制御装置,34…ネットワーク制御装置

Claims (4)

  1. 複数の無線ノードが分散配置されたメッシュ状のネットワーク上で、各無線リンクを終端する一対の無線ノードを、各TDDフレーム内に設定されるTDDバウンダリの前後いずれを送信期間とするかに基づいて上位および下位のいずれかに排他的に位置付けし、この位置付けに基づいて当該無線リンクにTDD方式の無線チャネルを自律的に立ち上げる無線メッシュネットワークにおいて、
    前記各無線ノードが、
    自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替える要求を検知する手段と、
    前記切り替え要求に応答して、自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替える手段とを含むことを特徴とする無線メッシュネットワークの通信システム。
  2. 前記切り替え要求として、前記無線リンクへの無線チャネルの追加要求を検知する手段と、
    前記追加要求に応答して、追加する無線チャネルで利用する周波数スロットを選択する手段と、
    前記選択された周波数スロットが所定の割当条件を満足しているか否かを判定する手段と、
    前記割当条件を満足している周波数スロットを利用して無線チャネルを追加する手段と、
    前記周波数スロットが割当条件を満足できないときに、自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替えれば前記割当条件が満足されるか否かを判断する手段とを含み、
    前記位置付けを切り替えれば前記割当条件が満足されるときに、自ノードの位置付けを上位および下位の一方から他方へ切り替えると共に、切り替え後の位置付けで無線チャネルを追加することを特徴とする請求項1に記載の無線メッシュネットワークの通信システム。
  3. ネットワークのトポロジ構成を認識してトポロジ情報を生成する手段と、
    各無線リンクに対する各ノードの標準的な位置付けを前記トポロジ情報に基づいて規定するデフォルトTDDプランを生成する手段と、
    前記デフォルトTDDプランで規定された位置付けと自ノードの位置付けを比較し、両者が異なることを前記切り替え要求として検知する手段とを含み、
    前記切り替え要求に応答して、自ノードの位置付けを前記デフォルトTDDプランに合わせて、上位および下位の一方から他方へ切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線メッシュネットワークの通信システム。
  4. 複数の無線ノードが分散配置されたメッシュ状のネットワーク上で、各無線リンクを終端する一対の無線ノードを、各TDDフレーム内に設定されるTDDバウンダリの前後いずれを送信期間とするかに基づいて上位および下位のいずれかに排他的に位置付けし、 この位置付けに基づいて当該無線リンクにTDD方式の無線チャネルを自律的に立ち上げる無線通信システムにおいて、
    各無線ノードが、
    前記無線リンクへの無線チャネルの追加要求を検知する手順と、
    前記追加する無線チャネルで利用する周波数スロットを選択する手順と、
    前記選択された周波数スロットが所定の割当条件を満足しているか否かを判定する手順と、
    前記周波数スロットが割当条件を満足できないときに、自ノードの位置付けと対向ノードの位置付けとを切り替えれば前記割当条件が満足されるか否かを判断する手順と、
    前記位置付けを切り替えれば前記割当条件が満足されるときに、自ノードの位置付けを上位および下位の一方から他方へ切り替えると共に、切り替え後の位置付けで無線チャネルを追加する手順と、
    ネットワークのトポロジ構成に基づいて、各無線リンクに対する各ノードの標準的な位置付けを規定するデフォルトTDDプランを生成する手順と、
    前記デフォルトTDDプランで規定された位置付けと自ノードの現在の位置付けを比較する手順と、
    前記デフォルトTDDプランで規定された位置付けと自ノードの位置付けとが異なるときに、自ノードの位置付けを前記デフォルトTDDプランに合わせて、上位および下位の一方から他方へ切り替える手順とを含むことを特徴とする無線メッシュネットワークの通信方法。
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