JP3826523B2 - 燃焼装置およびこの燃焼装置を用いたボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、予混合気を使用する燃焼装置に関し、さらに、この燃焼装置を用いて好適なボイラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予混合式の燃焼装置には、多数の小孔から予混合気を噴出することにより火炎を生じさ
せるものがある。予混合気を噴出する小孔(以下、「噴出孔」という)を形成する部材を一般に保炎体というが、この保炎体は平板形状や筒形状など種々の形状のものが提案されている。
【0003】
ところで、このような保炎体において、家庭用給湯器や家庭用温風発生器に利用されるような小型で筒形状のものは、比較的容易に構成することができるが、ボイラに利用できるような大型で大容量のものを構成するのは保炎性や燃焼性の点で難しい。とくに、筒形状の保炎体は、小型のものであれば容易に構成可能であるが、大型となると強度の点から難しい。
【0004】
さらに、このような燃焼装置は、ボイラ(蒸気ボイラや温水ボイラ)や給湯器のような熱機器に装着して使用されるが、この場合、燃焼装置単体では所定の性能を発揮しても、熱機器の缶体とのマッチングによっては燃焼に振動を伴ったり、NOx の排出量が多くなったりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題の第一は、所望の大きさの筒形状の保炎体を容易に得ることのできる大容量の燃焼装置を提供することである。また、この発明が解決しようとする課題の第二は、この燃焼装置を用いたボイラを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の燃焼装置は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、波打たせたリング状部材をその厚み方向に複数枚積層し、この各リング状部材間に予混合気の噴出孔を形成するとともに、この積層方向の両端に保持部材を配置して、この各保持部材と前記各リング状部材とを一体化することにより、保炎体モジュールを構成し、この保炎体モジュールを適宜の個数積層することによって保炎体を構成したことを特徴としており、請求項2に記載の発明は、波打たせたリング状部材をその厚み方向に複数枚積層することによって、前記各リング状部材間に予混合気の噴出孔を形成した保炎体を構成し、前記保炎体には、その周面を前記保炎体の軸線方向に分割する第一遮蔽部材を前記軸線方向に適宜の間隔で配置するとともに、前記保炎体の途中の適宜の複数箇所と両端とに配置された仕切部材の外周と一体的に形成し、前記各リング状部材および前記各仕切部材を貫通するように締付部材によって前記各リング状部材および前記各仕切部材を一体的に構成したことを特徴としており、請求項3に記載の発明は、前記保炎体には、その周面を前記保炎体の周方向に分割する第二遮蔽部材を前記周方向に適宜の間隔で配置したことを特徴としている。
【0007】
さらに、この発明のボイラは、前記構成の燃焼装置の周囲を取り囲むように複数の水管を環状に配置して第一水管列を形成し、この第一水管列の隣り合う水管間に、前記燃焼装置からの火炎を含む燃焼反応中ガスの噴出を許容する隙間を設け、前記第一水管列の周囲に、燃焼反応を継続する領域を設けている。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の燃焼装置は、予混合気を使用する燃焼装置として実施される。この燃焼装置は、筒形状の保炎体を備えている。この保炎体の基本構成は、複数枚の波打たせたリング状部材をその厚み方向に積層し、各保持部材と前記各リング状部材とを一体化することにより、保炎体モジュールを構成し、この保炎体モジュールを適宜の個数積層することによって保炎体を構成したものである。この構成によると、前記保炎体モジュールの個数を適宜変更することで、前記保炎体の大きさを自在に調整できる。さらに、前記各リング状部材の形状や寸法を適宜に選択して積層することにより、予混合気の噴出形態を調整でき、熱機器の要求する火炎形状の燃焼装置とすることができる。ここで、火炎は、燃焼反応中の予混合気(以下、「燃焼反応中ガス」という)のうち、燃焼反応が活発に行われている部分に生じる現象である。この火炎は、目視できる場合もあるし、目視し難い場合や目視できない場合もある。
【0009】
さらに、この発明のボイラは、多数の水管を備えた、所謂多管式水管ボイラとして実施される。この水管ボイラには、強制循環式や自然循環式の水管ボイラのほか、貫流ボイラを含むものである。このボイラは、前述したこの発明の燃焼装置を用いるもので、この燃焼装置の周囲を取り囲むように複数の水管を環状に配置して第一水管列を形成し、この第一水管列の隣り合う水管間に、前記燃焼装置からの火炎を含む燃焼反応中ガスの噴出を許容する隙間を設け、前記第一水管列の周囲に、燃焼反応を継続する領域を設けた構成である。この構成によると、前記保炎体からの火炎を含む燃焼反応中ガスは、前記各水管によって冷却されるため高温領域を形成することなく燃焼が行われ、結果としてサーマルNOxの低減が図られる。そして、前記各水管間の隙間から噴出する火炎を含む燃焼反応中ガスは、前記第一水管列の周囲の燃焼反応を継続する領域(以下、「燃焼反応継続領域」という)でさらに燃焼反応を継続する。この燃焼反応の際には、COからCO2 への酸化反応が促進されるほか、前記中間生成物や前記未燃分などの酸化反応も行われる。
【0010】
【実施例】
以下、この発明の第一実施例について図1および図2を参照しながら説明する。図1は、この発明に係る燃焼装置の第一実施例の一部を破断して示す説明図、図2は、図1におけるリング状部材の形状の概略を示す説明図である。
【0011】
図1において、燃焼装置1は、保炎体2とウィンドボックス3とで構成される。前記保炎体2は、ほぼ筒形状をなすもので、複数のリング状部材4,4,…を積層して構成している。前記各リング状部材4は、図1および図2に示すように、波板形状である。前記各リング状部材4の形状について詳細に説明すると、波板形状の凹部5,5,…は、図2に細線で示すように、前記各リング状部材4の放射方向に添って形成してある。また、波板形状の凸部6,6,…は、図2に放射方向の太線で示すように、前記各リング状部材4の周方向に前記各凹部5と交互に形成される。そして、前記各リング状部材4を積層することにより、前記各凹部5のそれぞれは、前記保炎体2の内周縁と外周縁とを連通する通路となるため、後述するように、この通路は予混合気の噴出孔7,7,…として機能する。ここで、前記各リング状部材4を積層するにあたっては、隣り合うリング状部材4間において、一方の前記リング状部材4の前記各凹部5に、他方の前記リング状部材4の前記各凸部6が嵌まり込んで、前記各噴出孔7を塞がないようにする必要がある。そこで、この第一実施例では、前記各凹部5と前記各凸部6との嵌まり込みを防止するために、隣り合う前記両リング状部材4間に平板状のスペーサ部材8,8,…を介在させてある。前記各スペーサ部材8は、第一実施例においては、前記各リング状部材4と外径および内径をほぼ同じとしてある。
【0012】
さらに、前記保炎体2は、その途中の適宜の複数箇所とに仕切部材9,9,…を配置してある。前記各仕切部材9のうち、前記保炎体2の途中に位置する仕切部材9は、リング状とし、前記各リング状部材4を積層する際に前記各リング状部材4間に挟み込む。そして、前記ウィンドボックス3に対面する仕切部材9は、リング状とし、前記ウィンドボックス3の隔壁10との間にダクト部材11を配置して、前記保炎体2の前記ウィンドボックス3からの位置を調整する構造としてある。さらに、締付手段12,12,…によって締め付けることによって、前記各リング状部材4および前記各仕切部材9を一体的に構成する。ここで、前記各締付手段12は、この第一実施例では、それぞれ、ボルトおよびナットを利用したもので、前記各ボルトは、前記各リング状部材4および前記各仕切部材9を貫通するように取り付けられている。
【0013】
以上の構成によると、前記ウィンドボックス3から前記保炎体2の中心部の空洞13へ予混合気を供給すると、この予混合気は、前記各噴出孔7を通って前記保炎体2の表面から噴出する。そして、前記保炎体2から噴出する予混合気は、燃焼反応により前記保炎体2の周囲に火炎を生じる。さらに、以上の構成によると、燃焼装置の燃焼量や、火炎の形成範囲を変更する場合には、前記各リング状部材4の積層枚数を増減することで対応できる。
【0014】
ここで、前記各スペーサ部材8は、平板状のものとするほか、線材を前記各凸部6と交差するように配置したものとすることもできる。さらに、このような前記各スペーサ部材8を用いるほか、適宜の位置規制手段を用いて、前述の嵌まり込みを防止することもできる。たとえば、前記各ボルトを利用して、前記各リング状部材4と対面する前記各凸部6同士が接触するように位置規制することもできる。
【0015】
さらに、前記各リング状部材4においては、前記各凹部5および前記各凸部6は、図2に示すように、前記各リング状部材4の放射方向に形成したものであるが、図3に示すように、放射方向に対して傾斜させて形成したものを用いることができる。前記各リング状部材4を図3に示すような形状とした場合、前記各リング状部材4を隣り合うもの同士の表裏が互いに逆になるように積層すると、前記各スペーサ部材8や位置規制手段を省略することができる。すなわち、図3に示すように、隣り合う各リング状部材4,4'間において、一方のリング状部材4の凸部6,6,…と他方のリング状部材4'の凸部6',6',…とが交差することにより、一方の前記リング状部材4の前記各凹部5に他方の前記リング状部材4'の前記各凸部6'が嵌まり込み、予混合気の噴出孔7が小さくなるのが防止されるためである。
【0016】
さらに、前記各凹部5および前記各凸部6は、図4に示すように、前記各リング状部材4の径方向に平行に形成することもできる。この場合にも、積層方向に隣り合う各リング状部材4,4'間において、一方のリング状部材4の凸部6,6,…と他方のリング状部材4'の凸部6',6',…とが交差するように配置する。このような前記各リング状部材4は、平板をプレス加工等でリング状に打ち抜いて作成することも、歯車状ローラー間を通すことによって波板状に形成することもできる。この場合、前記各リング状部材4には、前記各リング状部材4の径方向の両側2箇所の領域に各噴出孔7,7,…が形成され、この領域の間には前記各噴出孔7が形成されない領域となる。そのため、前記保炎体2における前記リング状部材4ごとに噴出方向が異なることになる。ここで、この図4に示す例においては、隣り合う前記各リング状部材4を45度ずつ位相を変えて積層している。
【0017】
また、前記各リング状部材4の積層方向において、予混合気は、前記各リング状部材4を4枚積層するごとに同じ箇所から噴出されることになり、前述の前記各噴出孔7が形成されない領域についても同様である。前記保炎体2の内外を連通しない前記各凹部5については、このリング状部材4と隣り合うリング状部材4'における中心に近い箇所の凹部5'と部分的に交差するため、この部分から若干の予混合気が流入し噴出する。そのため、前記保炎体2全体としての予混合気の分布(あるいは火炎の形成状況)は、図5に示すように、主に予混合気が噴出されるのは8方向となり、その間についても僅かながら予混合気が噴出し、火炎も形成される。
【0018】
また、図4に示すリング状部材4の場合においては、前述のように予混合気の噴出方向は、8箇所が主であり、その間の8箇所については、予混合気の噴出量が少なくなっているので、後述のような燃焼反応を開始する領域の拡大が行われ、保炎性が高くなる。さらに、前記保炎体2の周方向の8箇所には、予混合気の噴出量の少ない箇所が形成されるため、前述の第二遮断部材15,15,…を配置することもできる。この場合、火炎の分割が確実に行われるため、後述の火炎分割による効果が得られる。
【0019】
ここで、予混合式の燃焼装置において、保炎体へ供給する予混合気は、供給圧力が低いほど噴出する速度が小さく、保炎体の表面に近いところに火炎を生じる。一方、予混合気の供給圧力が高いほど噴出する速度が大きく、保炎体の表面から離れたところに火炎を生じる。供給圧力が低い場合は、燃焼面負荷(保炎体の表面当りの発熱量)の小さい状態であり、供給圧力が高い場合は、燃焼面負荷の大きい状態である。後者の供給圧力が高い場合には、保炎体からの予混合気の噴出速度が高まり、保炎体表面の微小火炎は互いに一体化し、ついには保炎体の表面全体から遠く離れるように延びる1つの火炎となってしまう。通常、燃焼反応は、予混合気の噴出速度と燃焼速度が釣り合う領域で開始される(以下、この領域のことを「燃焼反応開始領域」という)。また、予混合気の噴出速度は、予混合気の供給圧力の平方根に比例することが知られている。そのため、予混合気の供給圧を高めるにしたがい、火炎が一体化して燃焼反応開始領域は平坦面状となる。この状態では、供給された予混合気の量に対して燃焼反応開始領域が小さくなっており、火炎の安定性が悪く、燃焼に振動を伴う。とくに、予混合気の供給圧力の変動により、予混合気の噴出速度に変化が生じると、上述の釣り合い状態が容易にくずれ、火炎にリフトや吹き消えが生じる。また、この種の燃焼装置における着火時には、火炎が瞬時に保炎体の全面に拡がるため、着火時の衝撃が大きくなってしまう。
【0020】
そこで、第一実施例では、前記保炎体2に、前記保炎体2の外周面を前記保炎体2の軸線方向に分割する第一遮蔽部材14,14,…を適宜の間隔で配置し、予混合気が噴出しない個所を前記保炎体2の表面に適宜形成して火炎を分割する構成としている。この第一実施例においては、前記各第一遮蔽部材14は、前記各仕切部材9の外周に一体的に形成してある。そのため、前記各第一遮蔽部材14の取付位置は、前記各リング状部材4を積層する際に、前記各リング状部材4間へ挟み込む位置を変更することで適宜に設定できる。
【0021】
このように前記保炎体2の表面に前記各噴出孔7の存在しない領域を適宜に設け、前記保炎体2の周囲に生じる火炎を分割することにより、前述のような火炎のリフトや吹き消え、着火時の衝撃の問題を解消することができ、保炎性が高まる。とくに、分割された後の火炎の大きさを適宜異ならせると、各火炎の固有振動数が互いに異なるため、燃焼装置全体として見ると固有振動数が分散し、燃焼振動の発生を有効に防止できる。また、着火時においては、前記各噴出孔7の各グループごとに順次に火炎が生じるため、着火音,衝撃も小さく抑えることができる。したがって、この発明に係る燃焼装置は、保炎性が高く、振動燃焼を防止することができるため、燃焼面負荷の大きい、大容量の燃焼装置とすることが容易である。ここで、前記各第一遮蔽部材14は、前記保炎体2を構成した後に、前記保炎体2に巻き付けるようにして設けることもできる。
【0022】
さらに、この発明においては、前記保炎体2の外周面を前記保炎体2の周方向に分割する第二遮蔽部材15,15,…を設けている。前記保炎体2の外周面に、前記軸線方向へ延びる前記各第二遮蔽部材15を4枚配置してある。前記各第二遮蔽部材15により、前記保炎体2は周方向に4箇所に分割された状態で火炎を生じる。このように、前記保炎体2の外周面を分割する場合、大きな火炎を形成する個所の隣りには小さな火炎を形成する箇所を設けるのが、保炎性を向上し、燃焼性を向上させる点で好ましい。
【0023】
さらに、この発明においては、前記各リング状部材4を所定枚数積層して保炎体モジュール17,17,…を形成し、この保炎体モジュール17を適宜の個数積層することによって、前記保炎体2を構成する。前記各リング状部材4を所定枚数積層するとともに、この積層方向の両側に保持部材16,16を配置し、前記各保持部材16と前記各リング状部材4とを一体化することにより、前記各保炎体モジュール17を構成したものである。前記各保炎体モジュール17において、前記各保持部材16と前記各リング状部材4とを一体化するには、前記各締付手段12を用い、前記各保持部材16間で前記各リング状部材4を挟み込むように締め付けることによって行う。
【0024】
ここで、第一実施例においては、前記各締付手段12は、前記各保炎体モジュール17を前記ウィンドボックス3に固定する手段として使用している。この構成によると、前記保炎体2の組立性が向上するほか、この燃焼装置の容量の調整を前記各保炎体モジュール17の増減によって簡単に行うことができる。また、前記各保炎体モジュール17を周方向に区画するには、前記第二遮蔽部材15によって前記各保持部材16間を固定することによって、前記各保持部材16間に前記各リング状部材4を締め付けた状態で固定する。ここで、前記保炎体2の先端側に位置する保炎体モジュール17については、先端側の保持部材16の中央部を適宜な蓋部材18で閉鎖しておく。
【0025】
以上の説明において、この発明の燃焼装置は、予混合気として、気体燃料と燃焼用空気を混合して用いているが、液体燃料を気化させて、気体燃料と同等の扱いをすることもできる。
【0026】
つぎに、この発明の燃焼装置を用いたボイラの実施例を図6および図7を参照しながら、以下に説明する。図6は、ボイラの実施例の縦断面の説明図、図7は、図6のVII−VII線に沿う断面の説明図である。ここで、図示するボイラは、貫流ボイラであるが、このほか、自然循環式水管ボイラや強制循環式水管ボイラなどの水管ボイラ全般に適用することができる。また、このボイラは、蒸気ボイラや温水ボイラのほか、熱媒を加熱する熱媒ボイラなどとして適用されるものである。
【0027】
図6および図7において、ボイラの缶体19は、所定の距離を離して配置した上部管寄せ20および下部管寄せ21を有している。前記上部管寄せ20および前記下部管寄せ21の外周間には外壁22を配置している。この上部管寄せ20と下部管寄せ21との間には、複数(この実施例では10本)の水管23,23,…を環状に配置してある。前記各水管23は、環状の第一水管列24を構成している。さらに、前記上部管寄せ20と前記下部管寄せ21との間であって、前記外壁22の内周側近くには、複数(この実施例では24本)の熱回収水管25,25,…を環状に配置して、第二水管列26を形成している。この第二水管列26は、前記第一水管列24とで二重の環状水管列を構成している。さらに、前記各水管23および前記各熱回収水管25は、それらの各端部を前記上部管寄せ20および前記下部管寄せ21のそれぞれと接続してある。
【0028】
ボイラの燃焼室27は、前記上部管寄せ20および前記下部管寄せ21と、前記第二水管列26によって画成されている。そして、この燃焼室27には、この発明の燃焼装置1を前記上部管寄せ20の内方(中央部)から挿入して取り付けてあり、この燃焼装置1の軸線と前記各水管23とは、ほぼ平行になっている。この燃焼装置1は、前述のように噴出孔(図示省略)を多数その周面に備えた円筒形状の保炎体2と、前記ウィンドボックス3とで構成してある。前記保炎体2は、前記ウィンドボックス3の下端に接続された状態で前記燃焼室27内に位置している。
【0029】
さて、前記燃焼装置1によって、前記燃焼室27内には、燃焼反応中ガスの存在する領域,すなわち燃焼反応領域が形成されるが、この燃焼反応領域の内の火炎の存在する領域(以下、「火炎存在領域」という)に前記第一水管列24が位置している。また、前記第一水管列24は、前記各水管23に接触した後の燃焼反応中ガスの温度が1400度以下となるように、燃焼反応領域に配置してある。したがって、前記第一水管列24は、前記保炎体2に近接した状態で、かつ前記保炎体2を取り巻くように配置された状態となっている。さらに、前記第一水管列24において、前記各水管23間には、燃焼反応中ガスの流通を許容する隙間28が形成されている。ここで、燃焼反応中ガスとは、前記燃焼室27内において、燃焼反応を生じている最中の高温のガスをいう。また、燃焼反応領域としては、好ましくは燃焼反応中ガスに火炎が生じている領域または燃焼反応中ガスの温度が900度以上の高温の燃焼反応中ガスが存在する領域とする。
【0030】
そして、前記第一水管列24と前記第二水管列26との間には、COやHCのような燃焼反応の中間生成物および燃料の未燃分の燃焼反応が行われる燃焼反応継続領域29を設けている。この燃焼反応継続領域29内には、前記各水管23のような熱を吸収する部材は存在しない。
【0031】
前記第二水管列26において、隣り合う熱回収水管25間の隙間(以下、「第二隙間」という)30は狭く、通常1〜4mmに設定してある。さらに、前記外壁22には、排ガス出口31を設けてある。この排ガス出口31は、前記外壁22と前記第二水管列26との間の環状の排ガス流路32と連通している。
【0032】
以上の構成のボイラにおいて、前記燃焼装置1を作動させると、前記燃焼室27内には燃焼反応中ガスが発生する。そして燃焼反応が終わった燃焼反応終了ガスは、排ガスとして缶体19から排出される。前記燃焼反応が活発に行われている領域では、通常火炎が生じる。
【0033】
燃焼反応中ガスは、前記保炎体2の周面のほぼ全域においてほぼ均等に発生し、前記各隙間28を介して前記燃焼反応継続領域29内へ流入する。したがって、火炎は図6および図7に示すように、燃焼反応中ガスの流動に伴って前記第一水管列24の外側にまで形成される。そのため、前記各水管23は、燃焼反応領域中の火炎存在領域内に位置する。そして、火炎を生じている燃焼反応中ガスは、前記各隙間28を通過する際に前記各水管23内部の被加熱流体との間で熱交換を行う。火炎を生じている燃焼反応中ガスは、この熱交換により急激に冷却されて温度が低下するため、サーマルNOx の発生が抑制される。
【0034】
そして、前記各隙間28を通過した燃焼反応中ガスは、前記燃焼反応継続領域29内を前記第二水管列26へ向けて流通する。この流通の際、燃焼反応中ガスは、前記第二水管列26に到達するまでは、前記各水管23のような熱交換を行う部材との接触が無く、温度はあまり低下しない。そのため、燃焼反応中ガスは、燃焼反応を継続しながら前記燃焼反応継続領域29を流通し、その間にCOからCO2 への酸化反応が促進される。このとき、前記燃焼反応継続領域29内では、前記酸化反応のほか、前記中間生成物や前記未燃分などの酸化反応も行われる。
【0035】
そして、燃焼反応中ガスは、前記第二水管列26に到達するまでに燃焼反応をほぼ終了した高温のガスとなり、前記各第二隙間30を通って前記排ガス流路32へ流入する。そして、前記各第二隙間30を通過し、前記排ガス流路32へ流入した燃焼反応終了ガスは、前記第二水管列26の外側から前記各熱回収水管25内の被加熱流体に伝熱を行った後、前記排ガス出口31から排ガスとしてボイラ外へ排出される。ここで、この実施例は、貫流ボイラであるため、被加熱流体が前記下部管寄せ21から前記各水管23および前記各熱回収水管25内へ供給され、前記各水管23および前記各熱回収水管25内を加熱されながら上昇し、前記上部管寄せ20から蒸気として取り出される。
【0036】
以上の説明において、燃焼反応中ガスの流れは、前記第一水管列24の径方向についてのものであるが、前記第一水管列24の軸線方向については、燃焼反応中ガスが前記保炎体2の前記軸線方向にもほぼ均等に形成されるため、サーマルNOx の低減作用は、前記第一水管列24の軸線方向についてもほぼ均一に発揮される。
【0037】
また、この発明に係るボイラは、前記各水管23が全てほぼ同じ方向に延びる直管形状のものであるが、このほかに、図8に示すような缶体構成としたボイラに適用することもできる。図8に示すボイラは、各水管23を傾斜させて配置し、第一水管列24をほぼテーパ形状としたものである。この変形例における前記各水管23は、その上端側を前記缶体19の外側へ向けて傾斜させたもので、前記第一水管列24は下方側ほど狭まる先細り形状となっている。また、この変形例では、前記保炎体2の形状を、前記第一水管列24に合わせて先細りのテーパ形状とし、また前記空洞部13の内部も前記保炎体2の形状に合わせて先細りのテーパ形状としている。この変形例では、前記保炎体2の表面と前記第一水管列24との間隔を、前記軸線方向においてほぼ均一に設定している。そして、前記保炎体2と前記第一水管列24とを近接状態で配置することにより、前記保炎体2からの燃焼反応中ガスを前記第一水管列24によってほぼ均等に冷却し、サーマルNOx の生成を抑制する。以上のように、この発明の燃焼装置によれば、前記缶体19の形状に合わせて、前記保炎体2の形状を自在に変更することができ、前記各水管23と火炎を含む燃焼反応中ガスとの接触形態を自在に設定できる。
【0038】
とくに、前記保炎体2をこのように先細りのテーパ形状とすると、予混合気は上流側の太い側から下流側の細い側へ流れる際に、内部の予混合気の速度低下を防止できるため、前記保炎体2からの予混合気の噴出速度をその軸線方向にほぼ均一にでき、安定した燃焼状態を得ることができる。さらに、この変形例のように、前記保炎体2および前記第一水管列24をテーパ形状とすると、前記燃焼装置1の取付位置を上下方向へ移動することにより、前記保炎体2表面と前記第一水管列24との間隔を適宜に調整できる。このことにより、前記保炎体2からの燃焼反応中ガスの形成状態や温度分布に応じて、前記第一水管列24と火炎を含む燃焼反応中ガスとの接触状態を適切な状態に調整できる。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明によれば、保炎体の大きさを自在に調整できるため、所望の容量の燃焼装置を容易に得ることができる。また、燃焼装置の容量の調整を保炎体モジュールの増減によって簡単に行うことができる。さらに、この発明によれば、積層するリング状部材の形状や寸法を適宜に選択することにより、熱機器の要求する火炎形状の燃焼装置とすることができる。そして、前記保炎体の周面を、第一遮蔽部材や第二遮蔽部材によって、その軸線方向やその周方向に分割することにより、前記保炎体の周囲に火炎を分割して生じさせることにより、保炎性を高め、振動燃焼を防止することができる。さらに、この発明に係る燃焼装置は、保炎性が高く、振動燃焼を防止することができるため、燃焼面負荷の大きい、大容量の燃焼装置を得ることができる。
【0040】
さらに、この発明に係る前記燃焼装置を用いたボイラにおいては、前記燃焼装置の保炎体に近接させて水管を配置してあるので、燃焼装置の大容量化に関係無く小型の缶体とすることができる。また、このように燃焼装置の保炎体に水管を近接させて配置してあるため、前記保炎体の周囲に形成される火炎を含む燃焼反応中ガスを冷却し、低NOx 化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る燃焼装置の第一実施例の一部を破断して示す説明図である。
【図2】 図1におけるリング状部材の形状の概略を示す説明図である。
【図3】 リング状部材の他の形状の例と、このリング状部材を積層した構成の一部を破断して示す説明図である。
【図4】 リング状部材のさらに他の形状の例と、このリング状部材を積層した構成の一部を破断
して示す説明図である。
【図5】 図4に示すリング状部材を積層してなる燃焼装置における予混合気の噴出量の分布の説明図である。
【図6】 この発明に係るボイラの実施例の縦断面の説明図である。
【図7】 図6のVII−VII線に沿う断面の説明図である。
【図8】 この発明に係るボイラの変形例の縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2 保炎体
4 リング状部材
7 予混合気の噴出孔
14 第一遮蔽部材
15 第二遮蔽部材
23 水管
24 第一水管列
28 隙間
29 燃焼反応を継続する領域(燃焼反応領域)
Claims (4)
- 波打たせたリング状部材4,4,…をその厚み方向に複数枚積層し、この各リング状部材4間に予混合気の噴出孔7,7,…を形成するとともに、この積層方向の両端に保持部材16,16を配置して、この各保持部材16と前記各リング状部材4とを一体化することにより、保炎体モジュール17,17,…を構成し、この保炎体モジュール17を適宜の個数積層することによって保炎体2を構成したことを特徴とする燃焼装置。
- 波打たせたリング状部材4,4,…をその厚み方向に複数枚積層することによって、前記各リング状部材4間に予混合気の噴出孔7,7,…を形成した保炎体2を構成し、前記保炎体2には、その周面を前記保炎体2の軸線方向に分割する第一遮蔽部材14,14,…を前記軸線方向に適宜の間隔で配置するとともに、前記保炎体2の途中の適宜の複数箇所と両端とに配置された仕切部材9,9,…の外周と一体的に形成し、前記各リング状部材4および前記各仕切部材9を貫通するように締付部材12によって前記各リング状部材4および前記各仕切部材9を一体的に構成したことを特徴とする燃焼装置。
- 前記保炎体2には、その周面を前記保炎体2の周方向に分割する第二遮蔽部材15,15,…を前記周方向に適宜の間隔で配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃焼装置。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃焼装置1の周囲を取り囲むように複数の水管23,23,…を環状に配置して第一水管列24を形成し、この第一水管列24の隣り合う水管23間に、前記燃焼装置1からの火炎を含む燃焼反応中ガスの噴出を許容する隙間28を設け、前記第一水管列24の周囲に、燃焼反応を継続する領域29を設けたことを特徴とするボイラ。
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