JP3826663B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口からインク滴を吐出させて画像や文字を記録用紙に記録するインクジェット式記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電振動子を用いたインクジェット式記録ヘッド(以下「記録ヘッド」という)は、一般に、図16に示すように、インク滴を吐出する複数のノズル開口51が穿設されたノズルプレート52と、上記ノズルプレート52の下面に貼着され上記ノズル開口51に連通する流路が形成された流路形成部材(図では隠れて見えない)と、上記流路形成部材の下面に貼着されて圧電振動子(図では隠れて見えない)を収容するヘッドケース53とを備えている。そして、記録ヘッドには、上記ノズルプレート52のノズル面の周縁部からヘッドケース53の側面の上側部にかけてを保護する保護カバー54が取りつけられている。図において、55は圧電振動子に入力される駆動信号を発生する駆動回路基板、56は接着剤である。
【0003】
上記記録ヘッドでは、上記保護カバー54は、金属製の薄板を深絞り加工することによって形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記記録ヘッドでは、保護カバー54が金属薄板の深絞り加工によって形成されているため、加工コストが高いのが難点であった。また、深絞り加工であるがゆえ、加工用のダイスとポンチに抜け勾配が設けられたり加工後のスプリングバック作用等により、保護カバー54自体が多少下広がり状に形成されることがある。したがって、この状態の保護カバー54をそのままノズルプレート52およびヘッドケース53に冠着させると、多少のがたつきが避けられない。このため、接着剤56で固定したり、側面部の内側にがたつき防止のための突起を設けたりする必要があり、コストをさらに引き上げていた。
【0005】
しかも、保護カバー54の全周にわたって側面部があるため、例えば、図17に示すように、インクカートリッジのインクをヘッドケース53に導くインク流路58がノズル面に対して斜めに設けられた記録ヘッド等においては、ヘッドケース53と保護カバー54の干渉を避けるため、ヘッドケース53に切欠き57を形成させる必要があった。ヘッドケース53に上記のような切欠き57があると、上記切欠き57近傍が偏肉となり、成形時に樹脂のまわりが悪くなったりボイドが発生しやすくなり、ヘッドケース53の品質が不安定になりやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、コストを節減できるとともに、ヘッドケースの品質を安定化することのできるインクジェット式記録ヘッドの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のインクジェット式記録ヘッドは、複数のノズル開口が形成されたノズルプレートを備えたヘッド本体と、上記ヘッド本体がノズルプレートを外側にして取付けられるヘッドケースと、上記ノズルプレートのノズル面の周縁部からヘッドケースの側面の一部にかけてを保護する保護部材とを備えたインクジェット式記録ヘッドであって、上記保護部材の側面部の各角部に、ノズル面と反対側の端縁からノズル面側に向かって延びる切れ込みが形成されていることを要旨とする。
【0008】
すなわち、本発明のインクジェット式記録ヘッドは、保護部材の側面部の各角部に、ノズル面と反対側の端縁からノズル面側に向かって延びる切れ込みが形成されている。このため、上記保護部材を、深絞り加工ではなく、例えば曲げ加工等によって形成することができ、加工コストの節減が可能となる。また、上記切れ込みの存在により、側面部をノズル面に対して直角またはそれ以下に形成することも可能となり、従来のような取りつけ時のがたつきがほとんどなくなる。したがって、がたつき防止のための突起等を設る必要もなくなり、コスト低減に有利となる。
【0009】
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、上記保護部材の切れ込みが切欠部である場合には、上記切欠部によりヘッドケースと保護部材の干渉が防止され、ヘッドケースに切欠きを設ける必要がなくなる。したがって、ヘッドケースを成形する際の樹脂の流動性を悪化させず、ボイド等も発生しにくくなってヘッドケースの品質が安定化する。
【0010】
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、上記ケースヘッドの上記切欠部に対応する部分に、上記切欠部のエッジを覆うカバー突片が形成されている場合には、ノズル面に付着したインクをワイパー部材でワイピング等する際に、切欠部のエッジにワイパー部材が擦れることによるワイパー部材の損傷や保護部材の浮き上がりが防止できる。また、エッジ部にインクが溜まってキャリッジの往復移動等の振動によって記録紙上にインクが垂れることによる印刷品質の悪化も防止できる。
【0011】
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、上記保護部材の側面部内面側に突起が形成されていない場合には、保護部材の側面部内面側に、ケースヘッドと流路形成部材の少なくともいずれかに当接する突起を形成させる工程が不要となり、コスト節減に有利となる。
【0012】
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、上記保護部材が曲げ加工によって形成されている場合には、加工コストを節減することができるうえ、側面部をノズル面に対して略直角またはそれ以下に形成することも容易である、したがって、従来のような取りつけ時のがたつきがほとんどなくなり、がたつき防止のための突起を設る必要もなく、コスト低減に有利となる。
【0013】
本発明のインクジェット式記録ヘッドにおいて、インクカートリッジからヘッドケースにインクを導くインク流路がノズル面に対して斜め方向に設けられている場合には、上記インク流路が斜め方向に設けられている記録ヘッドにおいて特に、上記インク流路と保護部材との干渉が激しく、ヘッドケースに切欠きを設ける必要があったため、ヘッドケースの切欠きをなくしてヘッドケースの品質を安定化させる効果が顕著で効果的である。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明のインクジェット式記録ヘッドが使用されるインクジェット式記録装置の周辺構造の一例を示す図である。この装置は、上部にインクカートリッジ2が搭載され、下面に記録ヘッド15が取り付けられたキャリッジ25を備えている。
【0016】
上記キャリッジ25は、タイミングベルト26を介してステッピングモータ27に接続され、ガイドバー28に案内されて記録紙29の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。また、上記キャリッジ25には、記録紙29と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッド15が取り付けられている。
【0017】
そして、この記録ヘッド15にインクカートリッジ2からインクが供給され、キャリッジ25を移動させながら記録紙29上面にインク滴を吐出させて記録紙29に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。図において、30はキャリッジ25の移動範囲内の非印刷領域に設けられ、印刷休止中に記録ヘッド15のノズル開口を封止することによりノズル開口の乾燥をできるだけ防ぐキャップである。また、24は記録ヘッド15のノズル面をワイピングしてノズル面に付着したインクを拭うワイパー部材である。
【0018】
図2〜図5は、本発明の記録ヘッド15の一実施の形態を示す。この記録ヘッド15は、インクカートリッジ2からインクの供給を受けてインク滴を吐出するヘッド本体1と、上記ヘッド本体1が収容されるとともに、インクカートリッジ2のインクをヘッド本体1に供給するインク流路3が形成されたヘッドケース4とを備えている。そして、上記記録ヘッド15は、上記ヘッド本体1のノズル面の周縁部からヘッドケース4の側面の上側部にかけてを保護する保護部材5が冠着されている。
【0019】
上記ヘッド本体1は、例えば、図6に示すようなものが用いられる。上記ヘッド本体1は、上面に圧電振動子36が貼着され、上記圧電振動子36に対応する複数の圧力発生室32が形成されたアクチュエータユニット31と、ノズル開口33およびインク貯留室34が形成され上記アクチュエータユニット31の下面に貼着された流路ユニット35とを備え、上記圧電振動子36の振動により圧力発生室32に圧力を発生させ、ノズル開口33からインク滴を吐出させるようになっている。
【0020】
上記アクチュエータユニット31は、圧力発生室32を形成する空間が形成された圧力室形成板40と、この圧力室形成板40の上面に位置して上記空間の上面開口を塞ぐ振動板41と、上記圧力室形成板40の下面に位置する連通孔形成板44とを備えている。この連通孔形成板44には、インク貯留室34と圧力発生室32を連通させる第1連通孔42と、圧力発生室32とノズル開口33を連通させる第2連通孔43とが形成されている。
【0021】
上記アクチュエータユニット31には、その振動板41の上面に、下部電極49が形成されている。そして、上記下部電極49の上面に、それぞれ平板状の圧電振動子36が形成され、上記圧電振動子36の上面には、個別の上部電極50が形成されている。また、上記アクチュエータユニット31の上面両端部には、各圧電振動子36の上部電極50に導通する端子21が形成されている。上記端子21の上面には、フレキシブル回路板22が張設され、端子21および上部電極50を介して圧電振動子36に駆動信号を印加するようになっている。
【0022】
一方、上記流路ユニット35は、インク貯留室34を形成する空間が形成された貯留室形成基板46と、ノズル開口33が穿設され、上記貯留室形成基板46の下面に位置するノズルプレート47と、上記貯留室形成基板46の上面に位置する流路形成板48とから構成されている。上記貯留室形成基板46には、ノズル開口33に連通する第1流路39が形成されている。また、上記流路形成板48には、インク貯留室34から第1連通孔42を介して圧力発生室32にインクを供給するインク供給口45が穿設されるとともに、圧力発生室32および第2連通孔43と第1流路39ならびにノズル開口33とを連通させる第2流路38が形成されている。
【0023】
そして、上記ヘッド本体1では、圧電振動子36に駆動信号が入力されることにより、圧電振動子36が横方向に収縮して下方にたわんで圧力発生室32を圧縮し、圧力発生室32内の圧力上昇により、圧力発生室32内のインクがノズル開口33からインク滴として吐出され、記録紙等にドットが形成されて印刷が行われる。ついで、圧電振動子36が放電されて元の状態に戻ると、圧力発生室32内が減圧され、インク貯留室34からインク供給口45を通して圧力発生室32へ新しいインクが供給される。
【0024】
上記ヘッドケース4は、図7〜図10に示すように、インクカートリッジ2が搭載されるカートリッジホルダ部6の下面に、ヘッド本体1が収容されるケース部7が設けられている。また、上記ヘッドケース4には、上記カートリッジホルダ部6の底部からケース部7に向かって斜め方向に延びる略パイプ状のインク流路3が4本設けられている。
【0025】
上記ケース部7は、下面に開口部を有する略四角筒状で、内部にヘッド本体1が収容されるようになっている。また、上記ケース部7の周壁の左右側面の前後両端部には、それぞれ、後述する保護部材5の切欠部12に嵌合されて上記切欠部12のエッジを覆うカバー突片8が形成されている。図において、9は保護部材5取り付け用の取付ピンであり、10はノズルプレート47等の位置決めする位置決めピンである。
【0026】
上記保護部材5は、図11〜図14に示すように、金属製の薄板が折り曲げ加工されることにより形成され、全体として上面に開放する略浅箱状を呈している。上記保護部材5の下面には、ヘッド本体1のノズル面に形成されたノズル開口33を露呈させる窓部11が形成されている。そして、上記保護部材の左右側面には、その前後に上記ヘッドケース4のカバー突片8が嵌合される切欠部(切れ込み)12が形成されている。
【0027】
上記保護部材5の左右には、上記ヘッドケース4の取付けピン9に挿通される取付け穴13が穿設された取付け片14が設けられ、上記保護部材5のノズル面に対面する面には、上記ヘッドケース4の位置決めピン10に挿通される挿通穴16が穿設されている。
【0028】
そして、上記記録ヘッド15は、図15に示すように、ヘッドケース4のケース部7に、ヘッド本体1がノズルプレート47のノズル面を下にして収容され、上記ヘッド本体1が収容されたケース部7に保護部材5が冠着される。このとき、保護部材5の取付け穴13にヘッドケース4の取付けピン9が挿通されるとともに、保護部材5の挿通穴16にヘッドケース4の位置決めピン10が挿通される。そして、上記取付けピン9の先端が加熱押圧されることにより溶融されてつぶれ、保護部材5がヘッドケース4に取付けられ固定される。なお、位置決めピン10の先端は、同様に加熱押圧されてつぶされるが、保護部材5の表面にはみ出すことはない。
【0029】
そして、上記取付け状態で、ヘッドケース4のカバー突片8が保護部材5の切欠部12に嵌合し、切欠部12のエッジがカバー突片8によって覆われる。これにより、ノズル面に付着したインクをワイパー部材24でワイピング等する際に、切欠部12のエッジにワイパー部材24が擦れることによるワイパー部材24の損傷や保護部材5の浮き上がりが防止できる。また、エッジ部にインクが溜まってキャリッジ25の往復移動等の振動によって記録紙29上にインクが垂れることによる印刷品質の悪化を防止できる。
【0030】
このように、上記記録ヘッド15によれば、上記保護部材5が深絞り加工ではなく曲げ加工によって形成されているため、加工コストが低下する。また、保護部材5の側面部をノズル面に対して直角またはそれ以下に形成することも容易であり、従来のような取りつけ時のがたつきがほとんどなくなる。したがって、がたつき防止のための突起等を設る必要もなくなり、コスト低減に有利となる。さらに、上記保護部材5に切欠部12が形成されているため、ヘッドケース4と保護部材5の干渉が防止され、ヘッドケース4のインク流路3等に切欠きを設ける必要がなくなる。したがって、ヘッドケース4を成形する際の樹脂の流動性を悪化させず、ボイド等も発生しにくくなってヘッドケース4の品質が安定化する。
【0031】
なお、上記実施の形態では、本発明を、たわみ振動モードの圧電振動子36が用いられた記録ヘッド15に適用した例を示したが、縦振動モードの圧電振動子が用いられた記録ヘッドに適用することもできるし、圧力発生素子として圧電振動子ではなく、インクを加熱する加熱素子が用いられた記録ヘッドに適用することもできる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクジェット式記録ヘッドによれば、保護部材を、深絞り加工ではなく、例えば曲げ加工等によって形成することができ、加工コストの節減が可能となる。また、上記切れ込みの存在により、側面部をノズル面に対して直角またはそれ以下に形成することも可能となり、従来のような取りつけ時のがたつきがほとんどなくなる。したがって、がたつき防止のための突起等を設る必要もなくなり、コスト低減に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録ヘッドが用いられる記録装置の周辺構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態のインクジェット式記録ヘッドを下から見た斜視図である。
【図3】上記インクジェット式記録ヘッドの底面図である。
【図4】上記インクジェット式記録ヘッドの側面図である。
【図5】上記インクジェット式記録ヘッドの正面図である。
【図6】ヘッド本体の基本構造を示す断面図である。
【図7】ヘッドケースを下から見た斜視図である。
【図8】上記ヘッドケースの底面図である。
【図9】上記ヘッドケースの正面図である。
【図10】上記ヘッドケースの側面図である。
【図11】保護部材を下から見た斜視図である。
【図12】上記保護部材の底面図である。
【図13】上記保護部材の正面図である。
【図14】上記保護部材の側面図である。
【図15】上記インクジェット式記録ヘッドの要部拡大図である。
【図16】従来例のインクジェット式記録ヘッドを下から見た斜視図である。
【図17】他の従来例のインクジェット式記録ヘッドを下から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 ヘッド本体
4 ヘッドケース
5 保護部材
12 切欠部
15 記録ヘッド
33 ノズル開口
47 ノズルプレート
Claims (4)
- 複数のノズル開口が形成されたノズルプレートを備えたヘッド本体と、上記ヘッド本体がノズルプレートを外側にして取付けられるヘッドケースと、上記ノズルプレートのノズル面の周縁部からヘッドケースの側面の一部にかけてを保護する保護部材とを備えたインクジェット式記録ヘッドであって、上記保護部材の側面部の各角部に、ノズル面と反対側の端縁からノズル面側に向かって延びる切れ込みが形成されていて、上記切れ込みが切欠部であり、上記切欠部のエッジを覆うカバー突片が形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 上記保護部材の側面部内面側に突起が形成されていない請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
- 上記保護部材が曲げ加工によって形成されている請求項1または2に記載のインクジェット式記録ヘッド。
- インクカートリッジからヘッドケースにインクを導くインク流路がノズル面に対して斜め方向に設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット式記録ヘッド。
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