JP3829511B2 - 自動車の走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は自動車の走行制御装置に関し、特に先行車に追従走行する場合や走行車線を維持して走行する場合の自動運転制御や警報制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ドライバの疲労の軽減や交通事故の減少を図るため、自動車運転の全体もしくは一部を自動的に行う自動運転装置の開発が進められている。
例えば、特開平7−47862号公報に記載の自動車の走行制御装置は、レーザレーダ装置により先行車両との相対距離および相対速度を検出し、先行する車両が存在する場合には、先行する前方車両にほぼ一定の車間距離を保ち追従走行を行わしめる制御を行い、先行する車両が存在しない場合にはあらかじめ設定された速度で走行を行わしめる制御を行う、いわゆる、オートクルーズ装置である。
また、特開平7−81602号公報に記載の車両用自動操舵装置は、車両にテレビカメラを設け、画像処理技術により走行車線を検出し、油圧や電動モータ等により操舵機横を自動的に操舵しつつ自動車の走行を行わしめる、いわゆる、自動操舵装置、またはレーンキープ制御装置である。
従来装置では、レーザレーダ装置やテレビカメラなどを利用した車間距離や車線の検出は、道路形状や明るさ、天候等の時々刻々と変化する動作状況の影響により、常に正確に行うことは困難であり、また、その機構上、各検出装置は自身の検出結果に対してエラーであるか否かの判断はできないものとなっている。このため、最終的な自動制御による制御実施の可否判断はドライバに委ねられているのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、自動車運転中のドライバによる検出装置の検出エラー判断は困難な作業であり、例えば、正常に稼働している自動制御を検出エラーが生起している状態と判断して誤って切断してしまったり、検出エラーが生起しているにも関らず検出エラーの生起に気づかない状態で自動制御に運転を委ねてしまう可能性がある。結果として、身体的な負荷を低減する代わりとして、判断の負荷を増大させ、ドライバの精神的な疲労を招いてしまう可能性がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、前方車両に追従して走行を行っている際、過去の自動制御の事例に基づき、その環境情報の検出の確信度を算出し、その確信度に基づいた警報情報をドライバに提供する機構を備えることにより、検出エラーの有無の判断指標を与え、判断の負荷を低減した車両の走行制御装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の自動車の走行制御装置は、図1のクレーム対応図に示すように、走行環境から環境情報を検出する環境情報検出手段1と、自動車の運転操作手段をアクチュエータにより駆動する駆動手段2と、前記環境情報検出手段1により検出した環境情報に基づき、前記駆動手段2の駆動量を算出する自動走行制御手段3と、前記自動車の車速を検出する車速検出手段4と、前記自動車の操舵角を検出する操舵角検出手段5と、を有する自動車の走行制御装置において、過去の制御履歴に基づく走行履歴情報を保持する保持手段6と、前記走行履歴情報,環境情報,車速,及び操舵角に基づき、前記環境情報検出手段1の確信度を算出する確信度算出手段7と、前記駆動手段2が前記運転操作手段を前記アクチュエータにより駆動するときに、前記確信度算出手段7によって算出された確信度が低いほど警報レベルを高く設定し、当該警報レベルに基づき、ドライバに対して図形、もしくは色、もしくは音のいずれかによる警報情報の作成と提供を行う警報情報制御手段9と、を有することを特徴としている。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の自動車の走行制御装置において、前記自動車の周囲の照度を検出する照度検出手段8を有し、前記確信度算出手段7は、前記走行履歴情報,環境情報,車速,操舵角,及び照度に基づき、前記環境情報検出手段1の検出確信度を算出することを特徴としている。
請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の自動車の走行制御装置において、前記環境情報検出手段1に、テレビカメラまたはレーザレーダのいずれかが用いられていることを特徴としている。
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3記載の自動車の走行制御装置において、前記確信度算出手段7の確信度算出方式は、ベイジアンネットによる手法であることを特徴としている。
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4記載の自動車の走行制御装置において、前記警報情報制御手段9の作成する警報情報は、前記警報レベルが高くなるほど前記警報情報である図形を大きくすること、色を強調すること、音を大きくすること、のいずれかによることを特徴としている。
請求項6記載の発明では、請求項1ないし項5記載の自動車の走行制御装置において、前記確信度が低い場合に前記自動走行制御手段3を解除する自動走行解除手段10を有することを特徴としている。
【0005】
【作用】
請求項1記載の自動車の走行制御装置では、環境情報検出手段1が検出した環境情報、および車速検出手段4によって検出した自車の車速を基に、自動走行制御手段3が、自動走行に必要なデータ、例えば操舵角、スロットル量、およびブレーキ量を算出し、このデータに基づき、駆動手段2は自車に備えられた各種アクチュエータ、例えば、操舵アクチュエータ、スロットルアクチュエータ、およびブレーキアクチュエータを駆動することにより自動走行が行われる。
一方、環境情報検出手段1が検出した環境情報と車速検出手段4が検出した自車速と、操舵角検出手段5が検出した操舵角の各データ、および保持手段6が持つ過去の走行履歴情報に基づき、確信度算出手段7では環境情報検出手段1の検出した環境情報に対する確信度が算出される。
そして、確信度算出手段7が算出した確信度が低いほど警報レベルを高く設定し、この警報レベルに基づいて、警報情報制御手段9は図形、もしくは色、もしくは音のいずれかにより警報情報を作成し、ドライバへ提供する。
請求項2記載の自動車の走行制御装置では、照度検出手段8を加え、環境情報検出手段1が検出した環境情報と車速検出手段4が検出した自車速と、操舵角検出手段5が検出した操舵角と、照度検出手段8が検出した照度の各データ、および保持手段6が持つ過去の走行履歴情報に基づき、確信度算出手段7では環境情報検出手段1の検出した環境情轡に対する確信度が算出される。
請求項3記載の自動車の走行制御装置では、環境情報検出手段1として、テレビカメラまたはレーザレーダのいずれかを用い、走行車線の白線や車間距離を検出する。
請求項4記載の自動車の走行制御装置では、確信度算出手段7の確信度算出方式は、公知の確率的推論手法であるベイジアンネットを用い、確信度算出手段7への入力情報および保持手段6に保存された情報に対して、この推論方式を用いることにより、確信度の算出を行う。
請求項5記載の自動車の走行制御装置では、警報情報制御手段9の作成する警報情報は、警報レベルが高くなるほど警報情報である図形を大きくしたり、色を強調したり、音を大きくしたりしたうえで、ドライバに対して提供される。
請求項6記載の自動車の走行制御装置では、自動走行解除手段10は確信度算出手段7が算出した確信度が低い場合、自動走行装置を解除する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1の自動車の走行制御装置、具体的には自動操舵装置の概略構成を示す図である。この図において、11は白線等を認識するためのテレビカメラ、12は自車速を検出する車速センサ、13は自車周辺の明るさを検出する照度センサ、14は自車の操舵角を検出する操舵角センサである。これらの信号は、演算処理装置15に入力されている。この演算処理装置15は、操舵制御量演算部16、確信度演算部17、および警報演算部18により構成される。前記操舵制御量演算部16では、上述のテレビカメラ11、車速センサ12から供給される車速信号を入力として、自車の操舵輪の転舵量を算出する。算出された転舵量は操舵アクチュエータ20に出力され、操舵輪は転舵される。一方、確信度演算部17では、車速センサ12が供給する車速信号、照度センサ13が供給する照度信号、操舵角センサ14が供給する操舵角信号、および過去の操舵履歴に基づくデータが保存された記憶装置19の情報を基に、前記操舵制御量演算部16が算出した転舵量の正当性、すなわち車線検出の確信度の算出を行う。この確信度の情報は警報演算部18に送られ、この確信度の情報を基に表示装置21を用いた警報表示の表示内容の決定や、音源装置22およびスピーカ23を用いた警報音の音圧や周波数の決定が行われる。従って、本実施の形態における演算処理装置15は、図1のクレーム対応図における自動走行制御手段3、確信度算出手段7、および警報情報制御手段9を構成するものである。
【0007】
次に、図3のフローチャートを用いてこの自動車の走行制御装置の制御稼働時の処理動作を説明する。
まず、処理がスタートすると最初のステップ100ではタイマカウンタtの初期化(t=0)を行う。
続いて、ステップ101では、自動操舵の処理を行う。具体的には、テレビカメラ11からの画像を基に走行路の曲率の推定を行い、推定された曲率と車速センサ12からの車速を基に、目標操舵角の算出を行う。更に、操舵アクチュエータ20には、算出された目標操舵角のデータが送られ、操舵アクチュエータ20は送られてきたデータに基づき操舵輪を転舵する。
続いて、ステップ102では、車速センサ12によって自車の車速v、操舵角センサ14によって操舵角θ、照度センサ13によって照度lを計測する。
続いて、ステップ103では、ステップ102で計測した車速v、操舵角θ、照度lと、記憶装置19に保存された走行情報に基づき、ステップ101で実施した走行路の曲率推定の確信度CUを求める。なお、本実施の形態では、確信度CUを求める方法として、公知の確率的推論手法であるベイジアンネットを適用する。
【0008】
確信度CUを求めるにあたり、まず、本実施の形態で適用の記憶装置19内の走行情報の構築方法について説明する。
本実施の形態では自動操舵装置の車線検出のエラーの直接的要因として、車速v、操舵角θ、照度lと仮定している。この時のベイジアンネットは図4に示すものとなる。
つまり、図4は自動操舵装置稼働時の車速v、操舵角θ、照度l(図中第1層)と、車線検出状態(図中第2層)との関連性を示したものとなる。なお、本実施の形態では車線検出状態のクラスとして、H=(H11,H12,H13)=(頻繁にエラー,時々エラー,エラーしない)の3段階を用意する(以下、本クラスをエラークラスとする)。
なお、本実施の形態では、車線検出状態のクラスを3段階としたが、適用に応じて何段階でも良い。
【0009】
以上を踏まえて、P(Hi )=P(H11,H12,H13)で表記される確率値を求める。この確率値は走行実験等によって統計的に求めることが可能である。例えば、自動操舵装置を搭載した自動車を自動操舵装置を稼働させた状態で走行せしめ、一定間隔の時間、車線検出のエラーの生起状態を収集し、前記のエラークラスに分類することにより、確率値の算出が可能である。
例として、本実施の形態における確率値P(Hi )をP(Hi )=P(H11,H12,H13)=(0.05,0.1,0.85)とする。
また、車速v、操舵角θ、照度lのそれぞれに関してクラスを用意する。本実施の形態では、車速vのクラスはe1 =(e111 ,e112 ,e113 )=(遅い,中,速い)の3段階、操舵角θのクラスはe2=(e211 ,e212 ,e213 )=(小,中,大)の3段階、照度lのクラスはe3=(e311 ,e312,e313 )=(暗,中,明)の3段階とした。なお、速度クラスは車速v1 に関して(遅い,中速,速い)=(V11≦v1 <V12,V12≦v1 <V13,V13≦v1 <V14)、操舵角クラスは操舵角θ1 に関して(小,中,大)=(0≦|θ1 |<θ11,θ11≦|θ1 |<θ12,θ12≦|θ1 |<θ13)、照度クラスは照度l1 に関して(暗,中,明)=(L11≦l1 <L12,L12≦l1 <L13,L13≦l1 <L14)と区分する。
なお、本実施の形態では、車速v、操舵角θ、照度lのクラスをそれぞれ3段階としたが、適用に応じて何段階でも良い。
【0010】
以上を踏まえて、Mkj=P(ekj|Hi )(i=11,12,13 j=11,12,13 k=1,2,3)で表記されるマトリックスを求める。このマトリックスは走行実験等によって統計的に求めることが可能である。つまり、自動操舵装置を搭載した自動車を自動操舵装置を稼働させた状態で走行せしめ、車線検出のエラーが生起した時の車速v、操舵角θ、照度lを記録し、それぞれ前記の車速クラス、操舵角クラス、照度クラスに分類することにより、マトリックスの生成が可能である。
例として、本実施の形態におけるマトリックスを図5の(a),(b),(c)に示す。ここで、図5の(a)はM1j=P(e1j|Hi )であり、すなわち、車線検出エラーが起きた時の車速vの確率の集合である。また、図5の(b)はM2j=P(e2j|Hi )であり、すなわち、車線検出エラーが起きた時の操舵角θの確率の集合である。図5の(c)はM3j=P(e3j|Hi )であり、すなわち、車線検出エラーが起きた時の照度lの確率の集合である。
以上、本実施の形態では先に述べた確率値P(Hi )と3種のマトリックスMkj=P(ekj|Hi )を走行情報として記憶装置19内に保有する。
【0011】
次に、確信度CUを求める方法について述べる。
一般に、ベイズの定理によれば、
【数1】
Figure 0003829511
が成り立つ。ここで、
【数2】
Figure 0003829511
である。
図5の(a),(b),(c)、および数1、数2により、ある走行状況における自動操舵装置の車線検出の検出エラーの確率を求めることが可能である。
なお、本実施の形態では算出された確率値の最大値をもつクラスを確信度CUとして使用する。
【0012】
続けて、ステップ103では、ステップ102で計測した車速v、操舵角θ、照度lを先述のクラスに分類する。例として、分類した結果、(v、θ、l )=(速い,中,暗)であったとする。図5の(a),(b),(c)、数1、数2によって、P(Hi |速い,中,暗)=(0.4,0.6,0)が求まり、確信度CUは最大確立を示すクラスである「時々エラー」となる。
ステップ104では、ステップ103で求めた確信度CUに応じた警報処理を行うための判断を行う。警報処理は確信度の段階に応じて3段階で行い、確信度CU=「エラーしない」であれば、ステップ105に、確信度CU=「時々エラー」であれば、ステップ106に、確信度CU=「頻繁にエラー」であれば、ステップ107に進む。
ステップ105では、確信度CUが「エラーしない」である。すなわち、現在の自車の自動操舵装置の稼働環境が過去の走行経歴より判断して、比較的安定であると判断された。従って、この場合、ドライバへの警報レベルは低い。
ステップ106では、確信度CUが「時々エラー」である。すなわち、現在の自車の自動操舵装置の稼働環境が過去の走行経歴より判断して、時々エラーする可能性があると判断された。従って、この場合、ドライバへの警報レベルは中程度に設定する。
ステップ107では、確信度CUが「頻繁にエラー」である。すなわち、現在の自車の自動操舵装置の稼働環境が過去の走行経歴より判断して、頻繁にエラーする可能性があると判断された。従って、この場合、ドライバへの警報レベルは高い。
【0013】
なお、前記3段階の警報は車室内に設けられたスピーカ23や表示装置21を介して音や表示で行うが、ドライバにとって警報の認識を行いやすくするため、次のように設定する。
i.警報音
警報レベルが低いほど音の大きさを小さく、警報レベルが高いほど音の大きさを大きく設定する。なお、警報レベルが低いほど音の周波数を低く、警報レベルが高いほど音の周波数を高くしてもよい。
ii.警報表示
警報レベルが低い時には「青」、警報レベルが中程度の時には「黄」、警報レベルが高い時には「赤」で表示する。
ステップ108では、タイマカウンタの値によりメインルーチンの1周期の終了判断を行う。すなわち、もしタイマカウンタが一定の周期時間(T1 :例えば50ミリ秒)経過していなければ、周期時間の到達まで処理を待ち、周期時間を経過すれば、メインルーチンのステップ100に戻り、上述した一連の処理を繰り返す。
【0014】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2のオートクルーズ装置の概略構成を示す図である。この図において、24は車間距離を計測するためのレーザレーダ、12は自車速を検出する車速センサ、14は自車の操舵角を検出する操舵角センサである。これらの信号は、演算処理装置15に入力されている。この演算処理装置15は、車間距離制御量演算部27、確信度演算部17、警報演算部18により構成される。車間距離制御量演算部27では、上述のレーザレーダ24により検出される車間距離、車速センサ12から供給される車速を入力信号として、自車のスロットルおよびブレーキの操作量を算出する。算出された各操作量はスロットルアクチュエータ25およびブレーキアクチュエータ26に出力され、スロットルおよびブレーキは操作される。一方、確信度演算部17では、レーザレーダ24が供給する車間距離、車速センサ12が供給する車速、操舵角センサ14が供給する操舵角、および、過去の操舵履歴に基づくデータが保存された記憶装置19の情報を入力信号として、前記車間距離制御量演算部27が算出した車間距離の正当性の確信度の算出を行う。この確信度の情報は警報演算部18に送られ、この確信度の情報を基に表示装置21を用いた警報表示の表示内容の決定や音源装置22およびスピーカ23を用いた警報音の大きさや周波数の決定が行われる。従って、本実施の形態における演算処理装置15は、図1のクレーム対応図における自動走行制御手段3、確信度算出手段7、および警報情報制御手段9を構成するものである。
【0015】
次に、図7のフローチャートを用いてこの自動車の走行制御装置の制御稼働時の処理動作を説明する。
まず、処理がスタートすると最初のステップ200ではタイマカウンタtの初期化(t=0)を行う。
ステップ201では、先行車の有無の判断を行う。具体的には、レーザレーダ24の検出範囲内に自動車が存在すれば、先行車があるとみなし、検出範囲内に自動車が存在しなければ、先行車は存在しないとみなす。
【0016】
続いて、ステップ202、およびステップ203では、それぞれ、追従走行制御、および定速走行制御の処理を実施する。具体的には、先行車が存在するときには(ステップ202:追従走行制御)、レーザレーダ24が提供する自車と先行車の車間距離と目標車間距離との差から、目標スロットル量もしくは目標ブレーキ量の算出を行う。更に、スロットルアクチュエータ25もしくはブレーキアクチュエータ26には、算出された目標スロットル量もしくは目標ブレーキ量のデータが送られ、スロットルアクチュエータ25もしくはブレーキアクチュエータ26は送られてきたデータに基づきスロットルもしくはブレーキの開閉を行う。先行車両が存在しないときには(ステップ203:定速走行制御)、自車の車速があらかじめ設定された設定車速と一致するように目標スロットル量の算出を行う。更に、スロットルアクチュエータ25には、算出された目標スロットル量のデータが送られ、スロットルアクチュエータ25は送られてきたデータに基づきスロットルの開閉を行う。
続いて、ステップ204では、レーザレーダ24によって自車と先行車の車間距離d’と、車速センサ12によって自車の車速v’と、操舵角センサ14によって操舵角θ’とを計測する。
【0017】
続いて、ステップ205では、ステップ204で計測した車間距離d’,車速v’,操舵角θ’,記憶装置19に保存された走行情報に基づき、ステップ201で行った先行車有無の確信度CUを求める。なお、本実施の形態では、確信度CUを求める方法として、公知の確率的推論手法であるベイジアンネットを適用する。
本実施の形態ではオートクルーズ装置の先行車検出エラーの直接的要因として、車間距離、車速v’、操舵角θ’と仮定している。この時のベイジアンネットは図8に示すものとなる。つまり、図8はオートマチック・クルーズ・コントロール装置稼働時の車間距離、車速v’、操舵角θ’(図中第1層)と、先行車検出状態(図中第2層)との関連性を示したものとなる。なお、本実施の形態では先行車検出状態のクラスとして、H=(H21,H22,H23)=(エラーなし,検出せず,誤検出)の3段階を用意する(以下、本クラスをエラークラスとする)。ここで、「検出せず」とは、先行車両が存在するにも関わらず、先行車両がないという判断をするエラーであり、「誤検出」とは、先行車両が無いにも関わらず、先行車両を有ると判断するエラーである。
なお、本実施の形態では、先行車検出状態のクラスを3段階としたが、適用に応じて何段階でも良い。
【0018】
以上を踏まえて、P(Hi )=P(H21,H22,H23)で表記される確率値を求める。この確率値は走行実験等によって統計的に求めることが可能である。
例として、本実施の形態における確率値P(Hi )をP(Hi )=P(H21,H22,H23)=(0.5,0.3,0.2)とする。
また、車速v’、操舵角θ’、照度l’のそれぞれに関してクラスを用意する。本実施の形態では、車間距離クラスはe1 =(e121 ,e122 ,e123 ,e124 )=(近,中,遠,無し)の4段階、車速クラスはe2 =(e221 ,e222 ,e223 )=(速い,中,遅い)の3段階、操舵角クラスはe3 =(e321 ,e322 ,e323 )=(大,中,小)の3段階とした。なお、車間距離クラスは車間距離d2 に関して(近,中,遠,無し)=(D21≦d2 <D22,D22≦d2 <D23,D23≦d2 <D24,∞)と区分する。車速クラスは車速v2 に関して(遅い,中速,速い)=(V21≦v2 <V22,V22≦v2 <V23,V23≦v2 <V24)、操舵角クラスは操舵角θ2 に関して(小,中,大)=(0≦|θ2 |<θ21,θ21≦|θ2 |<θ22,θ22≦|θ2 |<θ23)と区分する。
【0019】
以上を踏まえて、Mkj=P(ekj|Hi )(1=21,22,23 j=21,22,23,(24) k=1,2,3)で表記されるマトリックスを求める。このマトリックスは走行実験等によって統計的に求めることが可能である。
例として、本実施の形態におけるマトリックスを図9の(a),(b),(c)に示す。
ここで、図9の(a)はM1j=P(e1j|Hi )であり、すなわち、先行車検出エラーが起きた時の先行車両との車間距離の確率の集合である。また、図9の(b)はM2j=P(e2j|Hi )であり、すなわち、先行車検出エラーが起きた時の車速v’の確率の集合である。図9の(c)はM3j=P(e3j|Hi )であり、すなわち、先行車検出エラーが起きた時の操舵角θ’の確率の集合である。
以上、本実施の形態では先に延べた先行車検出エラーの確率値P(Hi )および3種のマトリックスMkj=P(ekj|Hi )を走行情報として記憶装置19内に保有し、確信度CUを求めるための情報とする。
【0020】
続いて、ステップ205では、確信度CUを求める。まず、ステップ204で計測した車間距離d’、車速v’、操舵角θ’を先述のエラークラスに分類する。例として、分類した結果、(d’,v’θ’)=(遠,速い,大)であったとする。図9の(a),(b),(c),数1、数2により、P(Hi |速い,中,暗)=(0.087,0.913,0)が求まる。本実施の形態では、P(Hi |速い,中,暗)の確率値が最大を示すエラークラスを確信度CUとする。すなわち、確信度CUは「検出せず」となる。
続いて、ステップ206、ステップ208、およびステップ210では、ステップ205で求めた確信度CUに応じてエラークラスに分類する。警報処理を行うため判断を行う。警報処理は確信度の段階に応じて3段階で行い、確信度CU=「エラー無し」であれば、ステップ207に、確信度CU=「検出せず」であれば、ステップ209に、確信度CU=「誤検出」であれば、ステップ211に進む。
【0021】
続いて、ステップ207、ステップ209、ステップ211では、そのエラーの影響度に応じて、評価係数εを定める。例えば、この評価係数εは続くステップ212で用いられる。
続いて、ステップ212では、警報レベルALの算出を行う。たとえば警報レベルは次式で算出可能である。
【数3】
Figure 0003829511
ここで、α、β、γは定数である。
【0022】
続いて、ステップ213では、ステップ212で算出した警報レベルALに応じて、ドライバに対して警報を行う処理を実行する。警報は音や表示で行うが、警報音および警報表示は次のように設定する。
i.警報音
警報レベルALがある閥値AL’を超えたとき警報音を発し、AL−AL’に比例して、警報音の音の大きさ{図10の(a)}、もしくは周波数{図10の(b)})を設定する。
ii.警報表示
警報レベルALがある閾値AL’を超えたとき警報表示を行い、AL’≦AL≦AL1の時には図11に示す意匠を表示し、AL1≦AL≦AL2の時には図11に示す意匠の図柄をAL’≦AL≦AL1の時の1.5倍の大きさで表示し、AL2≦AL≦AL3の時には図11に示す意匠の2倍の大きさ表示する。
【0023】
続いて、ステップ214では、タイマカウンタの値によりメインルーチンの1周期の終了判断を行う。すなわち、もしタイマカウンタが一定の周期時間(T2 :例えば50ミリ秒)経過していなければ、周期時間の到達まで処理を待ち、周期時間を経過すれば、メインルーチンのステップ200に戻り、上述した一連の処理を繰り返す。
【0024】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3の自動操舵装置の概略構成を示す図であり、図2と同一符号のものは同一のものをあらわしており、また、28は自動操舵装置のON/OFFスイッチ、29は操舵制御可否判断部である。操舵制御可否判断部29は、自動操舵装置のスイッチの状態、および確信度演算部17の提供する確信度により、自動操舵の稼働の可否を判断する。操舵制御可否判断部29の提供する稼働の可否情報は操舵制御量演算部16に送られ、操舵制御演算の実施・不実施を決める。更に、操舵制御可否判断部29の提供する稼働の可否情報は警報演算部18に送られる。また、30はワイパスイッチである。
【0025】
次に、図13のフローチャートを用いてこの自動車の走行制御装置の制御稼働時の処理動作を説明する。
まず、処理がスタートすると最初のステップ300では自動操舵装置のメインスイッチがONであるかOFFであるか検出する。ONであれば、以降の自動操舵装置の制御プロセスが実施さる。
続いて、ステップ301ではプロセスカウンタnの初期化(n=0)を行う。
続いて、ステップ302ではタイマカウンタtの初期化(t=0)を行う。
【0026】
続いて、ステップ303では、車速センサ12によって自車の車速v”、操舵角センサ14によって操舵角θ”、照度センサ13によって照度l”を計測する。また、ワイパのオン・オフにより、天気w”の判断を行う。すなわち、ワイパがオンであれば、天気w”=雨であり、ワイパがオフであれば、天気w”=雨以外とする。
続いて、ステップ304ではテレビカメラ11より撮影された画像に基づき、走行車線の検出と、それに基づく走行車線の曲率R”の推定を行う。
【0027】
続いて、ステップ305では、ステップ303で計測した車速v”、操舵角θ”、照度l”、天気w”と、記憶装置19に保存された走行履歴情報に基づき、ステップ304で実施した走行車線の検出の確信度CUを求める。
確信度CUを求めるにあたり、まず、本実施の形態で適用の記憶装置19内の走行情報の横築方法について説明する。
本実施の形態では自動操舵装置の車線検出のエラーの直接的要因として、車速v”、操舵角θ”、照度l”、天気w”と仮定し、車速v”、操舵角θ”、照度l”、天気w”のそれぞれに関してクラスを用意する。本実施の形態では、車速v”のクラスはe1 =(e131 ,e132 ,e133 )=(遅い,中,速い)の3段階、操舵角θ”のクラスはe2 =(e231 ,e232 ,e233 )=(小,中,大)の3段階、照度l”のクラスはe3 =(e331 ,e332 ,e333 )=(暗,中,明)の3段階、天気w”のクラスはe4 =(e431 ,e432 )=(雨,雨以外)の2段階とした。なお、車速クラスは車速v3 に関して(遅い,中速,速い)=(V31≦v3 <V32,V32≦v3 <V33,V33≦v3 <V34)、操舵角クラスは操舵角θ3 に関して(小,中,大)=(θ31≦θ3 <θ32,θ32≦θ3 <θ33,θ33≦θ3 <θ34)、照度クラスは照度l3 に関して(暗,中,明)=(L31≦l3 <L32,L32≦l3 <L33,L33≦l3 <L34)と区分する。なお、上述のように天気はワイパのオン・オフで判断し、よって、天気クラスは(雨,雨以外)=(ワイパオン,ワイパオフ)と区分する。
なお、本実施の形態では、車速v”、操舵角θ”、照度l”のクラスをそれぞれ3段階、天気w”のクラスを2段階としたが、適用に応じて何段階でも良く、また、連続値を用いてもよい。
【0028】
以上を踏まえて、車速v”、操舵角θ”、照度l”、天気w”の各クラスの全ての組合わせについて、それぞれのクラスの条件と車線検出エラーの可能性との関連を段階的に示したマトリックスを用意する。このマトリックスは走行実験等によって統計的に構築することが可能である。すなわち、(車速v”,操舵角θ”,照度l”,天気w”)=(速い,中,暗い,雨)などの条件下で、自動操舵装置を搭載した自動車において、自動操舵装置を稼働させた状態で一定回数走行し、車線検出のエラーが生起した回数を集計するという手法もその一例である。例として、本実施の形態におけるマトリックスを図14〜図16に示す。なお、本実施の形態では、上述の車線検出エラーの可能性の段階を確信度とし、車線検出エラーが見うけられない事例に対して確信度CUに1、車線検出エラーが度々見うけられる事例に対して確信度CUに2、車線検出エラーが頻繁に見うけられ事例に対して確信度CUに3を付与する。
以上、本実施の形態では先に延べたマトリックスを走行履歴情報として記憶装置19内に保有する。
【0029】
続いて、ステップ305では、確信度CUの算出処理を実施する。具体的には、ステップ303で求めた車速v”,操舵角θ”,照度l”,天気w”の値を先に述べた車速クラス、操舵角クラス、照度クラス、天気クラスの各区分で分類し、先に作成した記憶装置19内に保存された走行履歴情報に参照することにより、確信度CUを求める。
続いて、ステップ306では、先に求めた確信度CUの値に応じて、以降に実施する処理の分岐を行う。すなわち、確信度CU=1の場合、ステップ307の処理に進み、確信度CU=2の場合、ステップ308の処理に進み、確信度CU=3の場合、ステップ309の処理に進む。
ステップ307の処理では、確信度CU=1の警報処理を行う。具体的には、警報表示は行わず、また、警報音も発しない。しかし、プロセスカウンタnの値がn=0であれば、自動操舵装置始動手続きとみなし、制御始動メッセージ、例えば「システムが始動しました」という音声を発する。以降、ステップ310に進む。
ステップ308の処理では、確信度CU=2の警報処理を行う。具体的には、警報表示は表示装置21に「注意!」と表示し、また、警報音を発する。プロセスカウンタnの値がn=0であれば、自動操舵装置始動手続きとみなし、制御始動音、例えば「システムが始動しました」という音声を発する。以降、ステップ310に進む。
ステップ309の処理では、確信度CU=3の警報処理を行う。具体的には、警報表示は表示装置21に「危険!制御を中止」と表示し、また、警報音を発する。プロセスカウンタnの値がn=0であれば、自動操舵装置始動手続きとみなし、制御非始動音、例えば「システムは始動できません」という音声を発する。
以降、自動操舵装置の始動待ち状態(ステップ300)に移行する。
【0030】
続いて、ステップ310では、自動操舵の処理を行う。具体的には、ステップ304で算出した走行路の曲率R”とステップ303で求めた車速v”に基づき、目標操舵角の算出を行う。操舵アクチュエータ20には、算出された目標操舵角のデータが送られ、操舵アクチュエータ20は送られてきたデータに基づき操舵輪を転舵する。
続いて、ステップ311では、プロセスカウンタnに1を加える。
続いて、ステップ312では、タイマカウンタの値によりメインルーチンの1周期の終了判断を行う。すなわち、もしタイマカウンタが一定の周期時間(T3:例えば50ミリ秒)経過していなければ、周期時間の到達まで処理を待ち、周期時間を経過すれば、メインルーチンのステップ302に戻り、上述した一連の処理を繰り返す。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車の走行制御装置によれば、自動走行制御時の車間距離検出や走行斜線検出の際の検出エラーについて、過去の走行履歴より算出した確信度に基づいて警報情報の提供を行うことができ、従って、自動走行制御装置稼働時のドライバの判断負荷を軽減し、安心感のある自動車運転を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車の走行制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】本発明の実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の演算処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1のベイジアンネットの説明図である。
【図5】実施の形態1の記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図6】実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2の演算処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2のベイジアンネットの説明図である。
【図9】実施の形態2の記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図10】実施の形態2の警報音のパラメータ調整方法の説明図である。
【図11】実施の形態2の警報表示の意匠の説明図である。
【図12】実施の形態3の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3の演算処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3の記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図15】実施の形態3の記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図16】実施の形態3の記憶装置に収められた情報の説明図である。
【符号の説明】
1 環境情報検出手段
2 駆動手段
3 自動走行制御手段
4 車速検出手段
5 操舵角検出手段
6 保持手段
7 確信度算出手段
8 照度検出手段
9 警報情報制御手段
10 自動走行解除手段
11 テレビカメラ
12 車速センサ
13 照度センサ
14 操舵角センサ
15 演算処理装置
16 操舵制御量演算部
17 確信度演算部
18 警報演算部
19 記憶装置
20 操舵アクチュエータ
21 表示装置
22 音源装置
23 スピーカ
24 レーザレーダ
25 スロットルアクチュエータ
26 ブレーキアクチュエータ
27 車間距離制御量演算部
28 ON/OFFスイッチ
29 操舵制御可否判断部
30 ワイパースイッチ

Claims (6)

  1. 走行環境から環境情報を検出する環境情報検出手段と、
    自動車の運転操作手段をアクチュエータにより駆動する駆動手段と、
    前記環境情報検出手段により検出した環境情報に基づき、前記駆動手段の駆動量を算出する自動走行制御手段と、
    前記自動車の車速を検出する車速検出手段と、
    前記自動車の操舵角を検出する操舵角検出手段と、を有する自動車の走行制御装置において、
    過去の制御履歴に基づく走行履歴情報を保持する保持手段と、
    前記走行履歴情報,環境情報,車速,及び操舵角に基づき、前記環境情報検出手段の確信度を算出する確信度算出手段と、
    前記駆動手段が前記運転操作手段を前記アクチュエータにより駆動するときに、前記確信度算出手段によって算出された確信度が低いほど警報レベルを高く設定し、当該警報レベルに基づき、ドライバに対して図形、もしくは色、もしくは音のいずれかによる警報情報の作成と提供を行う警報情報制御手段と、を有することを特徴とする自動車の走行制御装置。
  2. 請求項1記載の自動車の走行制御装置において、
    前記自動車の周囲の照度を検出する照度検出手段を有し、
    前記確信度算出手段は、前記走行履歴情報,環境情報,車速,操舵角,及び照度に基づき、前記環境情報検出手段の検出確信度を算出することを特徴とする自動車の走行制御装置。
  3. 請求項1または2記載の自動車の走行制御装置において、
    前記環境情報検出手段に、テレビカメラまたはレーザレーダのいずれかが用いられていることを特徴とする自動車の走行制御装置。
  4. 請求項1ないし3記載の自動車の走行制御装置
    において、
    前記確信度算出手段の確信度算出方式は、ベイジアンネットによる手法であることを特徴とする自動車の走行制御装置。
  5. 請求項1ないし4記載の自動車の走行制御装置において、
    前記警報情報制御手段の作成する警報情報は、前記警報レベルが高くなるほど前記警報情報である図形を大きくすること、色を強調すること、音を大きくすること、のいずれかによることを特徴とする自動車の走行制御装置。
  6. 請求項1ないし項5記載の自動車の走行制御装置において、
    記確信度が低い場合に前記自動走行制御手段を解除する自動走行解除手段を有することを特徴とする自動車の走行制御装置。
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