JP3832212B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることができる燃料噴射装置が知られている。この種の燃料噴射装置の例としては、例えば特開平7−158535号公報に記載されたものがある。特開平7−158535号公報に記載された燃料噴射装置では、噴孔開閉弁の開弁動作時に噴孔開閉弁リフト量が一時的に減少されることにより、主燃料噴射初期の燃料噴射率が低下せしめられるようになっている。このように主燃料噴射初期の燃料噴射率が低下せしめられることにより、筒内温度が低下せしめられ、NOx発生量が抑制される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平7−158535号公報に記載された燃料噴射装置のように主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるとNOx発生量が抑制されるものの、主燃料噴射初期の燃料噴霧の拡散度合いが低下するのに伴ってスモーク発生量が増加してしまう。一方で、特開平7−158535号公報には、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときにスモーク発生量の増加を抑制する必要性について開示されていない。また、特開平7−158535号公報には、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときにスモーク発生量の増加を抑制する方法についても開示されていない。
【0004】
前記問題点に鑑み、本発明は、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときにスモーク発生量が増加してしまうのを抑制することができる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関排気通路内に排気ガス中のNOxを浄化するためのNOx触媒が配置された内燃機関の燃料噴射装置であって、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることができると共に主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うときには主燃料噴射後に副燃料を噴射する燃料噴射装置において、排気ガス中のNOxを前記NOx触媒によって浄化することができないときには主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うようにした、燃料噴射装置が提供される。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、排気ガス中のNOxを前記NOx触媒によって浄化することができるときには主燃料噴射初期に燃料噴射率を低下させない態様で主燃料噴射を行うようにした、請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、機関排気通路内に排気ガス中の煤を捕集するためのパティキュレートフィルタが配置された内燃機関の燃料噴射装置であって、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることができると共に主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うときには主燃料噴射後に副燃料を噴射する燃料噴射装置において、排気ガス中の煤を前記パティキュレートフィルタによって浄化することができないときには、排気ガス中の煤を前記パティキュレートフィルタによって浄化することができるときに比べ、主燃料噴射の噴射期間のうち主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させている期間を短くするようにした、燃料噴射装置が提供される
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、燃料噴射用噴孔と、前記燃料噴射用噴孔を開閉するための噴孔開閉弁と、噴孔開閉弁リフト速度が高速の高速モードと噴孔開閉弁リフト速度が低速の低速モードとを切り換えるための噴孔開閉弁リフト速度切換手段とを具備し、前記主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様での主燃料噴射は前記噴孔開閉弁リフト速度切換手段により低速モードを選択することによって行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置が提供される
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する圧力制御室と、前記圧力制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、圧力制御室用第一出口通路と、圧力制御室用第二出口通路とを具備し、噴孔開閉弁リフト速度を高速にするために、前記圧力制御室内の燃料が前記圧力制御室用第一出口通路及び前記圧力制御室用第二出口通路の両方を介して排出されるように前記圧力制御弁を配置して、前記圧力制御室内の圧力を第一の圧力まで減少させることにより、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する力を第一の値まで減少させ、噴孔開閉弁リフト速度を低速にするために、前記圧力制御室内の燃料が前記圧力制御室用第一出口通路を介して排出されず、前記圧力制御室用第二出口通路を介して排出されるように前記圧力制御弁を配置して、前記圧力制御室内の圧力を前記第一の圧力よりも高い第二の圧力まで減少させることにより、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する力を前記第一の値よりも大きい第二の値まで減少させるようにした請求項4に記載の燃料噴射装置が提供される
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は本発明の燃料噴射装置の第一の実施形態の概略断面図、図2は図1の一部を拡大した拡大図である。図1及び図2において、1は燃料噴射用噴孔、2は燃料噴射用噴孔1を開閉するニードル弁、3はニードル弁2を開弁側(図1及び図2の上側)に付勢する燃料だまり室、4はニードル弁2を閉弁側(図1及び図2の下側)に付勢する圧力制御室である。5はニードル弁2を閉弁側(図1及び図2の下側)に付勢するためのスプリング、6は圧力制御室4内の圧力を制御するための圧力制御弁、7は圧力制御弁6が内部に配置されている圧力制御弁室である。8は高圧燃料供給通路、9は高圧燃料供給通路8と圧力制御室4とを連通する入口通路、10は入口通路9に形成された絞り部である。11は圧力制御室4と圧力制御弁室7とを連通する第一出口通路、12は第一出口通路11に形成された絞り部、13は圧力制御室4と圧力制御弁室7とを連通する第二出口通路、14は第二出口通路13に形成された絞り部、15は低圧燃料リーク通路である。16は圧力制御弁6を駆動するためのピエゾ式アクチュエータ、17は圧力制御弁6とピエゾ式アクチュエータ16との間に配置された作動油である。詳細には、燃料噴射用噴孔1から噴射されなかった燃料が作動油17として使用される。17は圧力制御弁6が全閉時に着座するシート部、18は圧力制御弁6を閉弁側(図1及び図2の上側)に付勢するためのスプリングである。
【0019】
図2は圧力制御弁が全閉位置(圧力制御弁リフト量=ゼロ)に配置されている第一モードを示している。図2に示すように、圧力制御弁6が全閉せしめられると、圧力制御弁室7から低圧燃料リーク通路15への燃料の流れが遮断され、圧力制御弁室7内の燃料は圧力制御弁室7から低圧燃料リーク通路15に流出できなくなる。従って、圧力制御弁室7内が燃料で満たされた以降においては、高圧燃料供給通路8から入口通路9を介して圧力制御室4内に供給された燃料は、圧力制御室4から第一出口通路11及び第二出口通路13を介して圧力制御弁室7に流出できなくなる。そのため、圧力制御室4内の圧力が上昇せしめられ、ニードル弁2を閉弁側(図1及び図2の下側)に付勢する圧力制御室4内の油圧(燃料圧)とスプリング5のばね圧との和が、ニードル弁2を開弁側(図1及び図2の上側)に付勢する燃料だまり室3内の油圧よりも大きくなる。その結果、ニードル弁2が閉弁側に移動せしめられるか、全閉位置に維持される。つまり、圧力制御弁6が全閉され続けると、ニードル弁2は全閉せしめられる。
【0020】
図3は圧力制御弁が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)に配置されている第二モードを示した図2と同様の拡大図である。図3に示すように、圧力制御弁6が中間リフト位置に配置されると、圧力制御室4から第一出口通路11を介して圧力制御弁室7への燃料の流れが許容されると共に、圧力制御室4から第二出口通路13を介して圧力制御弁室7への燃料の流れが許容され、かつ、圧力制御弁室7から低圧燃料リーク通路13への燃料の流れが許容される。従って、高圧燃料供給通路8から入口通路9を介して圧力制御室4内に供給された燃料は、圧力制御室4から第一出口通路11及び第二出口通路13の両方を介して流出せしめられる。そのため、圧力制御室4内の圧力が所定の圧力まで低下せしめられ、ニードル弁2を閉弁側(図1及び図2の下側)に付勢する圧力制御室4内の油圧(燃料圧)とスプリング5のばね圧との和が、ニードル弁2を開弁側(図1及び図2の上側)に付勢する燃料だまり室3内の油圧よりもかなり小さくなる。その結果、ニードル弁2が開弁側に迅速に移動せしめられる、つまり、ニードル弁リフト速度が高速になるか、あるいは、全開位置に維持される。すなわち、圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)に維持されると、ニードル弁2は全開せしめられる。
【0021】
図4は圧力制御弁が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)に配置されている第三モードを示した図2と同様の拡大図である。図4に示すように、圧力制御弁6が全開位置に配置されると、圧力制御室4から第一出口通路11を介して圧力制御弁室7への燃料の流れが圧力制御弁6によって遮断されると共に、圧力制御室4から第二出口通路13を介して圧力制御弁室7への燃料の流れが許容され、かつ、圧力制御弁室7から低圧燃料リーク通路13への燃料の流れが許容される。従って、高圧燃料供給通路8から入口通路9を介して圧力制御室4内に供給された燃料は、圧力制御室4から第二出口通路13のみを介して流出せしめられる。そのため、圧力制御室4内の圧力が第二モード時の圧力よりも高い所定の圧力まで低下せしめられ、ニードル弁2を閉弁側(図1及び図2の下側)に付勢する圧力制御室4内の油圧(燃料圧)とスプリング5のばね圧との和が、ニードル弁2を開弁側(図1及び図2の上側)に付勢する燃料だまり室3内の油圧よりもわずかに小さくなる。その結果、ニードル弁2が開弁側にゆっくり移動せしめられる、つまり、ニードル弁リフト速度が低速になるか、あるいは、全開位置に維持される。すなわち、圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)に維持されると、ニードル弁2は全開せしめられる。
【0022】
図5は圧力制御弁を全閉位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。図5に示すように、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が増加せしめられて圧力制御弁6が全閉位置(圧力制御弁リフト量=0)(図2)から中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に移動せしめられると、ニードル弁2が迅速に開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=高速)。つまり、ニードル弁リフト量が迅速に増加する。その結果、燃料噴射率が迅速に増加する。次いで、圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に維持されると、ニードル弁2が全開せしめられる(ニードル弁リフト量=full)。その結果、燃料噴射率が最大(max)になる。
【0023】
図6は圧力制御弁を全閉位置から全開位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。図6に示すように、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が増加せしめられて圧力制御弁6が全閉位置(圧力制御弁リフト量=0)(図2)から全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に移動せしめられると、ニードル弁2がゆっくり開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=低速)。つまり、ニードル弁リフト量がゆっくり増加する。その結果、燃料噴射率がゆっくり増加する。次いで、圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に維持されると、ニードル弁2が全開せしめられる(ニードル弁リフト量=full)。その結果、燃料噴射率が最大(max)になる。
【0024】
図7は圧力制御弁を全閉位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持し、次いで中間リフト位置から全開位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。図7に示すように、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が増加せしめられて圧力制御弁6が全閉位置(圧力制御弁リフト量=0)(図2)から中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に移動せしめられると、ニードル弁2が迅速に開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=高速)。つまり、ニードル弁リフト量が迅速に増加する。その結果、燃料噴射率が迅速に増加する。次いで、圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に維持されると、ニードル弁2が迅速に開弁され続ける。その結果、燃料噴射率が迅速に増加し続ける。次いで、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が更に増加せしめられて圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)から全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に移動せしめられると、ニードル弁2がゆっくり開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=低速)。つまり、ニードル弁リフト量がゆっくり増加する。その結果、燃料噴射率がゆっくり増加する。次いで、圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に維持されると、ニードル弁2が全開せしめられる(ニードル弁リフト量=full)。その結果、燃料噴射率が最大(max)になる。
【0025】
図8は圧力制御弁を全閉位置から全開位置に移動させてそこに維持し、次いで全開位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。図8に示すように、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が増加せしめられて圧力制御弁6が全閉位置(圧力制御弁リフト量=0)(図2)から全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に移動せしめられると、ニードル弁2がゆっくり開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=低速)。つまり、ニードル弁リフト量がゆっくり増加する。その結果、燃料噴射率がゆっくり増加する。次いで、圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に維持されると、ニードル弁2がゆっくり開弁され続ける。その結果、燃料噴射率がゆっくり増加し続ける。次いで、ピエゾ式アクチュエータ16の伸長量が減少せしめられて圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)から中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に移動せしめられると、ニードル弁2が迅速に開弁せしめられる(ニードル弁リフト速度=高速)。つまり、ニードル弁リフト量が迅速に増加する。その結果、燃料噴射率が迅速に増加する。次いで、圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に維持されると、ニードル弁2が全開せしめられる(ニードル弁リフト量=full)。その結果、燃料噴射率が最大(max)になる。
【0026】
図9は本実施形態の燃料噴射装置によるNOx発生量を抑制しつつスモーク発生量を抑制した燃料噴射制御方法を示した図である。図9に示すように、本実施形態の燃料噴射装置では、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に圧力制御弁6が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)(図4)に配置され、燃料噴射率がゆっくり増加せしめられる。そのため、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に圧力制御弁6が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)(図3)に配置されて燃料噴射率が迅速に増加せしめられる場合(図中一点鎖線)に比べ、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)の燃料噴射率が低下せしめられる。その結果、燃焼初期の筒内温度が低下せしめられてNOx発生量が抑制されると共に燃焼騒音が低減される。一方で、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)の燃料噴射率が低下せしめられると、燃料噴射初期の燃料噴霧の拡散度合いが低下してしまい、スモーク発生量が増加してしまう。
【0027】
そこで、本実施形態の燃料噴射装置では、主燃料が噴射された後(時間T4以降)に副燃料が噴射される。その結果、主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)の燃料噴射率を低下させたことに伴って発生したスモークが、副燃料によって再燃焼せしめられる。そのため、主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)の燃料噴射率を低下させるのに伴ってスモーク発生量(詳細には、スモーク排出量)が増加してしまうのが抑制されることになる。
【0028】
図10は本実施形態の燃料噴射装置による機関高負荷運転時及び機関低負荷運転時の燃料噴射制御方法を示した図である。図10に示すように、機関高負荷運転時、つまり、機関要求負荷が高い時には、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第二モード(図3)が選択され、燃料噴射率が迅速に増加せしめられる。そのため、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に比較的多量の燃料が供給され、要求通りの高出力が発生されることになる。一方、機関低負荷運転時、つまり、機関要求負荷が低い時には、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、第二モード(図3)を選択するのが禁止され、第三モード(図4)が選択されて燃料噴射率がゆっくり増加せしめられる。そのため、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、要求通りの出力が発生されつつ、第二モード(図3)が選択されるのに伴ってNOx発生量及び燃焼騒音が増加してしまうのが回避される。更に機関低負荷運転時には、主燃料噴射後(時間T4以降)に副燃料が噴射される。そのため、主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第三モード(図4)が選択されるのに伴ってスモーク発生量(詳細には、スモーク排出量)が増加してしまうのが抑制される。
【0029】
本実施形態によれば、図10(B)に示したように機関低負荷運転時の主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に燃料噴射率を低下させるときには、主燃料噴射後(時間T4以降)に副燃料が噴射される。そのため、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときに発生するスモークが、主燃料噴射後に噴射される副燃料によって再燃焼せしめられる。それゆえ、機関低負荷運転時の主燃料噴射初期に燃料噴射率を低下させる場合に、主燃料噴射後に副燃料が噴射されないのに伴ってスモーク発生量(詳細には、スモーク排出量)が増加してしまうのを抑制することができる。つまり、機関低負荷運転時の主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に燃料噴射率を低下させることによってNOx発生量を抑制しつつ、主燃料噴射後(時間T4以降)に副燃料を噴射することによってスモーク発生量(詳細には、スモーク排出量)を抑制することができる。
【0030】
また本実施形態によれば、ニードル弁リフト速度が高速の第二モード(図3)とニードル弁リフト速度が低速の第三モード(図4)とを切り換えるための圧力制御弁6が設けられている。そのため、第二モードを選択すべきとき、つまり、機関高負荷運転時(図10(A))の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第二モードを選択し、第三モードを選択すべきとき、つまり、機関低負荷運転時(図10(B))の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第三モードを選択することができる。それゆえ、第二モードを選択するのが好ましい機関高負荷運転時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、ニードル弁リフト速度が低速に維持されるのに伴ってスモーク発生量が増加し燃費が悪化してしまうことを回避しつつ、第三モードを選択するのが好ましい機関低負荷運転時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、ニードル弁リフト速度が高速に維持されるのに伴ってNOx発生量及び燃焼騒音が増加してしまうことを回避することができる。
【0031】
更に本実施形態によれば、図10に示したように機関要求負荷が高い機関高負荷運転時(図10(A))には第二モード(図3)が選択され、機関要求負荷が低い機関低負荷運転時(図10(B))には、第三モード(図4)が選択されると共に主燃料噴射後(時間T4以降)に副燃料が噴射される。そのため、機関要求負荷が高い機関高負荷運転時に第三モードが選択されるのに伴って要求通りの機関出力を発生することができなくなってしまうのを回避しつつ、機関要求負荷が低い機関低負荷運転時に第二モードが選択されるのに伴ってNOx発生量及び燃焼騒音が増加してしまうのを抑制することができる。
【0032】
更に本実施形態によれば、ニードル弁リフト速度を高速にするために、圧力制御室4内の燃料が第一出口通路11及び第二出口通路13の両方を介して排出されるように圧力制御弁6が配置され(図3)、ニードル弁リフト速度を低速にするために、圧力制御室4内の燃料が第一出口通路11を介して排出されず、第二出口通路13のみを介して排出されるように圧力制御弁6が配置される(図4)。つまり、圧力制御弁6が第一出口通路11内の燃料の流れを遮断するか否かによってニードル弁リフト速度が低速又は高速に設定される。そのため、ニードル弁リフト速度を低速又は高速に設定するために圧力制御弁リフト量を微調整する必要性を排除することができる。
【0033】
以下、本発明の燃料噴射装置の第二の実施形態について説明する。本実施形態の燃料噴射装置の構成は、図1〜図4に示した第一の実施形態のものと同様である。従って、本実施形態の燃料噴射装置は、後述する点を除いて第一の実施形態の燃料噴射装置とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0034】
図11は本実施形態の燃料噴射装置によるNOx浄化可能時及びNOx浄化不可能時の燃料噴射制御方法を示した図である。図11に示すように、NOx浄化可能時、つまり、機関排気通路内に配置されたNOx触媒(図示せず)によって排気ガス中のNOxを浄化することができる時には、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第二モード(図3)が選択され、燃料噴射率が迅速に増加せしめられる。そのため、NOx浄化可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第三モード(図4)が選択されるのに伴って燃費が悪化してしまうのが回避される。一方、NOx浄化不可能時、つまり、例えばNOx触媒の暖機完了前のような、NOx触媒によって排気ガス中のNOxを浄化することができない時には、燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、第二モード(図3)を選択するのが禁止され、第三モード(図4)が選択されて燃料噴射率がゆっくり増加せしめられる。そのため、NOx浄化不可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、第二モード(図3)が選択されるのに伴ってNOxが浄化されることなく排出されてしまうのが回避される。更にNOx浄化不可能時には、主燃料噴射後(時間T4以降)に副燃料が噴射される。そのため、主燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第三モード(図4)が選択されるのに伴ってスモーク発生量(詳細には、スモーク排出量)が増加してしまうのが抑制される。
【0035】
本実施形態によれば、ニードル弁リフト速度が高速の第二モード(図3)とニードル弁リフト速度が低速の第三モード(図4)とを切り換えるための圧力制御弁6が設けられているため、第二モードを選択すべきとき、つまり、NOx浄化可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第二モードを選択し(図11(A))、第三モードを選択すべきとき、つまり、NOx浄化不可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に第三モードを選択することができる(図11(B))。それゆえ、第二モードを選択するのが好ましいNOx浄化可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、ニードル弁リフト速度が低速に維持されるのに伴ってスモーク発生量が増加し燃費が悪化してしまうことを回避しつつ、第三モードを選択するのが好ましいNOx浄化不可能時の燃料噴射初期(時間T2〜時間T3)に、ニードル弁リフト速度が高速に維持されるのに伴ってNOx発生量(詳細には、NOx排出量)及び燃焼騒音が増加してしまうことを回避することができる。
【0036】
以下、本発明の燃料噴射装置の第三の実施形態について説明する。本実施形態の燃料噴射装置の構成は、図1〜図4に示した第一の実施形態のものと同様である。従って、本実施形態の燃料噴射装置は、後述する点を除いて第一の実施形態の燃料噴射装置とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0037】
図12は本実施形態の燃料噴射装置による煤浄化可能時及び煤浄化不可能時の燃料噴射制御方法を示した図である。図12に示すように、煤浄化不可能時、つまり、機関排気通路内に配置されたパティキュレートフィルタ(図示せず)によって排気ガス中の煤を浄化することができない時(図12(B))には、煤浄化可能時、つまり、パティキュレートフィルタによって排気ガス中の煤を浄化することができる時(図12(A))に比べ、第三モード(図4)を選択する期間ΔT,ΔT’が短くされる(ΔT’<ΔT)。そのため、パティキュレートフィルタによって排気ガス中の煤を浄化することができない時(図12(B))に、パティキュレートフィルタによって排気ガス中の煤を浄化することができる時(図12(A))に比べて第三モード(図4)を選択する期間ΔT,ΔT’が短くされないのに伴ってスモークが浄化されることなく排出されてしまうのが抑制される。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときに、主燃料噴射後に副燃料が噴射されないのに伴ってスモーク発生量が増加してしまうのを抑制することができる。つまり、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることによってNOx発生量を抑制しつつ、主燃料噴射後に副燃料を噴射することによってスモーク発生量を抑制することができる。
【0039】
請求項2に記載の発明によれば、高速モードを選択するのが好ましいときに、噴孔開閉弁リフト速度が低速に維持されるのに伴ってスモーク発生量が増加し燃費が悪化してしまうことを回避しつつ、低速モードを選択するのが好ましいときに、噴孔開閉弁リフト速度が高速に維持されるのに伴ってNOx発生量及び燃焼騒音が増加してしまうことを回避することができる。更に、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させるときに、主燃料噴射後に副燃料が噴射されないのに伴ってスモーク発生量が増加してしまうのを抑制することができる。つまり、噴孔開閉弁リフト速度が低速の低速モードを選択して主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることによってNOx発生量を抑制しつつ、主燃料噴射後に副燃料を噴射することによってスモーク発生量を抑制することができる。
【0040】
請求項3に記載の発明によれば、機関要求負荷が高い時に低速モードが選択されるのに伴って要求通りの機関出力を発生することができなくなってしまうのを回避しつつ、機関要求負荷が低い時に高速モードが選択されるのに伴ってNOx発生量及び燃焼騒音が増加してしまうのを抑制することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明によれば、排気ガス中のNOxをNOx触媒によって浄化することができるときに低速モードが選択されるのに伴って燃費が悪化してしまうのを回避しつつ、排気ガス中のNOxをNOx触媒によって浄化することができないときに高速モードが選択されるのに伴ってNOxが浄化されることなく排出されてしまうのを回避することができる。
【0042】
請求項5に記載の発明によれば、排気ガス中の煤をパティキュレートフィルタによって浄化することができないときに、排気ガス中の煤をパティキュレートフィルタによって浄化することができるときに比べて低速モードが選択される期間が短くされないのに伴ってスモークが浄化されることなく排出されてしまうのを抑制することができる。
【0043】
請求項6に記載の発明によれば、噴孔開閉弁リフト速度を低速又は高速に設定するために圧力制御弁リフト量を微調整する必要性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料噴射装置の第一の実施形態の概略断面図である。
【図2】図1の一部を拡大した拡大図である。
【図3】圧力制御弁が中間リフト位置(圧力制御弁リフト量=half)に配置されている第二モードを示した図2と同様の拡大図である。
【図4】圧力制御弁が全開位置(圧力制御弁リフト量=full)に配置されている第三モードを示した図2と同様の拡大図である。
【図5】圧力制御弁を全閉位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。
【図6】圧力制御弁を全閉位置から全開位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。
【図7】圧力制御弁を全閉位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持し、次いで中間リフト位置から全開位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。
【図8】圧力制御弁を全閉位置から全開位置に移動させてそこに維持し、次いで全開位置から中間リフト位置に移動させてそこに維持する場合を示した図である。
【図9】第一の実施形態の燃料噴射装置によるNOx発生量を抑制しつつスモーク発生量を抑制した燃料噴射制御方法を示した図である。
【図10】第一の実施形態の燃料噴射装置による機関高負荷運転時及び機関低負荷運転時の燃料噴射制御方法を示した図である。
【図11】第二の実施形態の燃料噴射装置によるNOx浄化可能時及びNOx浄化不可能時の燃料噴射制御方法を示した図である。
【図12】第三の実施形態の燃料噴射装置による煤浄化可能時及び煤浄化不可能時の燃料噴射制御方法を示した図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射用噴孔
2…ニードル弁
3…燃料だまり室
4…圧力制御室
5…スプリング
6…圧力制御弁
7…圧力制御弁室
8…高圧燃料供給通路
9…入口通路
11…第一出口通路
13…第二出口通路
15…低圧燃料リーク通路
16…ピエゾ式アクチュエータ

Claims (5)

  1. 機関排気通路内に排気ガス中のNOxを浄化するためのNOx触媒が配置された内燃機関の燃料噴射装置であって、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることができると共に主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うときには主燃料噴射後に副燃料を噴射する燃料噴射装置において
    排気ガス中のNOxを前記NOx触媒によって浄化することができないときには主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うようにした、燃料噴射装置。
  2. 排気ガス中のNOxを前記NOx触媒によって浄化することができるときには主燃料噴射初期に燃料噴射率を低下させない態様で主燃料噴射を行うようにした、請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 機関排気通路内に排気ガス中の煤を捕集するためのパティキュレートフィルタが配置された内燃機関の燃料噴射装置であって、主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させることができると共に主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様で主燃料噴射を行うときには主燃料噴射後に副燃料を噴射する燃料噴射装置において、
    排気ガス中の煤を前記パティキュレートフィルタによって浄化することができないときには、排気ガス中の煤を前記パティキュレートフィルタによって浄化することができるときに比べ、主燃料噴射の噴射期間のうち主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させている期間を短くするようにした、燃料噴射装置。
  4. 燃料噴射用噴孔と、前記燃料噴射用噴孔を開閉するための噴孔開閉弁と、噴孔開閉弁リフト速度が高速の高速モードと噴孔開閉弁リフト速度が低速の低速モードとを切り換えるための噴孔開閉弁リフト速度切換手段とを具備し、前記主燃料噴射初期の燃料噴射率を低下させる態様での主燃料噴射は前記噴孔開閉弁リフト速度切換手段により低速モードを選択することによって行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する圧力制御室と、前記圧力制御室内の圧力を制御するための圧力制御弁と、圧力制御室用第一出口通路と、圧力制御室用第二出口通路とを具備し、噴孔開閉弁リフト速度を高速にするために、前記圧力制御室内の燃料が前記圧力制御室用第一出口通路及び前記圧力制御室用第二出口通路の両方を介して排出されるように前記圧力制御弁を配置して、前記圧力制御室内の圧力を第一の圧力まで減少させることにより、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する力を第一の値まで減少させ、噴孔開閉弁リフト速度を低速にするために、前記圧力制御室内の燃料が前記圧力制御室用第一出口通路を介して排出されず、前記圧力制御室用第二出口通路を介して排出されるように前記圧力制御弁を配置して、前記圧力制御室内の圧力を前記第一の圧力より高い第二の圧力まで減少させることにより、前記噴孔開閉弁を閉弁側に付勢する力を前記第一の値よりも大きい第二の値まで減少させるようにした請求項4に記載の燃料噴射装置。
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