JP3832973B2 - ヒト転写関連蛋白質とこの蛋白質をコードするcDNA - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ヒト核蛋白質Npw38と結合する新規なヒト転写関連蛋白質と、この蛋白質をコードしているヒト遺伝子、この遺伝子のcDNA、および上記蛋白質に対する抗体に関するものである。この発明の蛋白質および抗体は、各種疾患の診断および治療に有用であり、ヒトcDNAは遺伝子診断用プローブや遺伝子治療用遺伝子源として有用である。また、cDNAは、この発明の蛋白質を大量生産するための遺伝子源として用いることが出来る。
【0002】
【従来の技術】
ヒト核蛋白質Npw38は、WWドメインを有する38kDaの核蛋白質として見いだされた[小室ら、第70回日本生化学会大会講演要旨集、p.548 ]。WWドメインとはSH2、SH3、PH、PTBドメインと類似した蛋白質−蛋白質相互作用モチーフの新しいファミリーである。このドメインは、2個の保存されたトリプトファンを持つ約40アミノ酸残基からなり、SH3ドメインと同様にプロリンリッチなアミノ酸配列に結合することが知られている[H. I. Chen and M. Sudol. (1995 ) Proc. Natl. Sci.92, 7819-7823]。Npw38のWWドメインは、転写活性促進作用を有することが示されている[小室ら、第20回日本分子生物学会年会講演要旨集、p.369]。したがって、このWWドメインに結合する蛋白質が、転写活性化に関与していると考えられる。
【0003】
転写活性に関与する因子は、発生・分化などの生命現象のみならず、癌等の疾患とも密接に関係している[村松正寛編、NEW メディカルサイエンス、「転写のしくみと疾患」]。従って、これらの蛋白質は特定遺伝子の転写・翻訳を調節する低分子医薬品を開発するためのターゲット蛋白質としての可能性を秘めており、できるだけ多くの転写関連蛋白質を得ることが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、医薬品などの開発に有用なヒト蛋白質、特に、ヒト核蛋白質Npw38と結合する新規な転写関連蛋白質を提供することを課題としている。
またこの出願の発明は、この蛋白質をコードするヒト遺伝子、この遺伝子のcDNAおよび蛋白質に対する抗体などの遺伝子操作材料を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願は、上記の課題を解決する発明として、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むヒト転写関連蛋白質を提供する。
また、この出願は、配列番号1のアミノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が、欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含むヒト転写関連蛋白質を提供する。
【0006】
さらに、この出願は、上記のヒト転写関連蛋白質をコードするヒト遺伝子、この遺伝子のcDNAであって、配列番号2の塩基配列を含むcDNA、および配列番号2の一部配列からなるDNA断片を提供する。
さらにまた、この出願は、上記cDNAを保有する組換えベクター、および上記のヒト転写関連蛋白質に対する抗体を提供する。
【0007】
以下、この発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明のヒト転写関連蛋白質は、公知の方法、すなわちヒトの臓器、細胞株などから単離する方法、この発明によって提供されるのアミノ酸配列に基づき化学合成によってペプチドを調製する方法、あるいはこの発明によって提供されるcDN断片を用いて組換えDNA技術で生産する方法などにより取得することができる。例えば、組換えDNA技術によって蛋白質を取得する場合には、この発明のcDNA断片を有するベクターからインビトロ転写によってRNAを調製し、これを鋳型としてインビトロ翻訳を行なうことによりインビトロで発現できる。また翻訳領域を公知の方法により適当な発現ベクターに組換えてやれば、大腸菌、枯草菌、酵母、動物細胞等で、コードしている蛋白質を大量に発現させることができる。
【0009】
この発明の蛋白質をインビトロ翻訳でDNAを発現させて生産させる場合には、このcDNAの翻訳領域をRNAポリメラーゼプロモーターを有するベクターに組換え、プロモーターに対応するRNAポリメラーゼを含む、ウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加してやれば、この発明の蛋白質をインビトロで生産することができる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6などが例示できる。これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA1、pCDM8、pT3/T7
18、pT7/3 19、pBluescript IIなどが例示できる。
【0010】
この発明の蛋白質を大腸菌などの微生物でDNAを発現させて生産させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、cDNAクローニング部位、ターミネーター等を有する発現ベクターに、この発明のcDNAの翻訳領域を組換えた発現ベクターを作成し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換したのち、得られた形質転換体を培養してやれば、このcDNAがコードしている蛋白質を微生物内で大量生産することができる。この際、任意の翻訳領域の前後に開始コドンと停止コドンを付加して発現させてやれば、任意の領域を含む蛋白質断片を得ることができる。あるいは、他の蛋白質との融合蛋白質として発現させることもできる。この融合蛋白質を適当なプロテアーゼで切断することによってこのcDNAがコードする蛋白質部分のみを取得することもできる。大腸菌用発現ベクターとしては、pUC系、pBluescript II、pET発現システム、pGEX発現システムなどが例示できる。
【0011】
この発明の蛋白質を真核細胞でDNAを発現させて生産させる場合には、このcDNAの翻訳領域を、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに組換え、真核細胞内に導入してやれば、この発明の蛋白質を動物細胞内で生産することができる。発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pBK−RSV、EBVベクター、pRS、pYES2などが例示できる。真核細胞としては、サル腎臓細胞COS7、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOなどの哺乳動物培養細胞、出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞などが一般に用いられるが、この蛋白質を発現できるものであれば、いかなる真核細胞でもよい。発現ベクターを真核細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。
【0012】
この発明の蛋白質を原核細胞や真核細胞で発現させたのち、培養物から目的蛋白質を単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS−PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0013】
この発明の蛋白質には、配列番号1で表されるアミノ酸配列のいかなる部分アミノ酸配列を含むペプチド断片(5アミノ酸残基以上)も含まれる。これらのペプチド断片は抗体を作製するための抗原として用いることができる。この発明の蛋白質には、他の任意の蛋白質との融合蛋白質も含まれる。例えば、実施例に挙げたグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質などである。
【0014】
この発明の遺伝子は、上記蛋白質をコードするヒトの遺伝子であって、例えば、この発明のcDNAまたはその一部配列をプローブとして、既存のゲノムライブラリーから単離することができる。
この発明のcDNAは、例えばヒト細胞由来cDNAライブラリーからクローン化することができる。cDNAはヒト細胞から抽出したポリ(A)+RNAを鋳型として合成する。ヒト細胞としては、人体から手術などによって摘出されたものでも培養細胞でも良い。cDNAは、岡山−Berg法[Okayama, H and Berg, P., Mol. Cell. Biol. 2:161-170 (1982)]、Gubler−Hoffman 法[Guler, U. and Hoffman, J. Gene 25:263-269 (1983)]等、いかなる方法を用いて合成してもよいが、完全長クローンを効率的に得るためには、実施例にあげたようなキャッピング法[Kato, S. et al. Gene 150:243-250 (1994) ]を用いることが望ましい。また市販のヒトcDNAライブラリーを用いることもできる。cDNAライブラリーからこの発明のcDNAをクローン化するには、この発明のcDNAの任意の部分の塩基配列に基づいてオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブとして用いて、公知の方法によりコロニーあるいはプラークハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行えばよい。また、目的とするcDNA断片の両末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを合成し、これをプライマーとして用いて、ヒト細胞から単離したmRNAからRT−PCR法により、この発明のcDNA断片を調製することもできる。
【0015】
この発明のcDNAは、配列番号2で表される塩基配列を含むことを特徴とするものであり、1926bpのオープンリーディングフレームを有している。このオープンリーディングフレームは、641 アミノ酸残基からなる蛋白質をコードしている。
この発明の蛋白質は、いかなる組織でも発現しているので、配列番号2に記載のcDNAの塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドプローブを用いて、ヒト細胞から作製したヒトcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、この発明のcDNAと同一のクローンを容易に得ることができる。あるいは、これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて、目的cDNAを合成することもできる。
【0016】
この発明の蛋白質は、転写活性化能を有するヒト核蛋白質Npw38と結合するものであり、また、ポリリボGや一本鎖DNAとも結合する。従って、この発明の蛋白質は、転写調節において重要な役割を有していると考えられる。
一般にヒト遺伝子は個体差による多型が頻繁に認められる。従って配列番号2において、1または複数個のヌクレオチドの付加、欠失および/または他のヌクレオチドによる置換がなされているcDNAもこの発明のcDNAに含まれる。
【0017】
同様に、これらの変更によって生じる、1または複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他のアミノ酸による置換がなされている蛋白質も、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の活性を有する限り、この発明の蛋白質に含まれる。
この発明のDNA断片には、配列番号2で表される塩基配列のいかなる部分塩基配列を含むcDNA断片(10bp以上)も含まれる。また、センス鎖およびアンチセンス鎖からなるDNA断片もこの範疇に入る。これらのDNA断片は遺伝子診断用のプローブとして用いることができる。
【0018】
この発明の蛋白質に対する抗体は、蛋白質それ自体、またはその部分ペプチドを抗原として、公知の方法によりポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得ることができる。
【0019】
【実施例】
次に実施例を示しこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、DNAの組換えに関する基本的な操作および酵素反応は、文献["Molecular Cloning. Laboratory Manual" Cold Spring Harbor Laboratory, 1989”]に従った。制限酵素および各種修飾酵素は特に記載の無い場合は宝酒造社製のものを用いた。各酵素反応の緩衝液組成、並びに反応条件は付属の説明書に従った。cDNA合成は文献[Kato, S. et al.,Gene 150:243-250, (1994)]に従った。
実施例1:ヒトNpw38cDNAのクローニング
ヒト胃癌細胞cDNAライブラリー(WO97/03190記載)から選択したcDNAクローンの大規模塩基配列決定の結果、クローンHP10345 を得た。このクローンは、170bp の5’非翻訳領域、798bp のオープンリーディングフレーム、52bpの3’非翻訳領域からなる構造を有していた(配列番号3)。オープンリーディングフレームは265 アミノ酸残基からなる蛋白質をコードしていた。
【0020】
モチーフ配列検索を行ったところ、46番目から78番目までの領域が、WWドメインと類似性を有していた。52番目と75番目のトリプトファン、78番目のプロリンが、これまで知られている全てのWWドメインに保存されているアミノ酸残基である。この蛋白質のアミノ酸配列における他の特徴として、21番目から41番目までの酸性アミノ酸残基(アスパラギン酸とグルタミン酸)に富む領域、104 番目から176 番目までの酸性アミノ酸残基と塩基性アミノ酸残基が交互に並ぶ領域があることなどが挙げられる。
実施例2:大腸菌によるGST融合蛋白質の発現
EcoRI 認識部位を付加した翻訳開始コドンから始まる25 merのセンスプライマー(5'-CCGAATTCATGCCGCTGCCCGTTGC-3') とEcoRI 認識部位を付加した停止コドンまでを含む25 merのアンチセンスプライマー(5'-CCGAATTCTCAATCCTGCTGCTTGG-3') を用い、pHP10345 を鋳型としてPCRにより翻訳領域を増幅した。PCR産物を EcoRIで消化し、pGEX−5X−1(Pharmacia社製) の EcoRI部位に挿入した。塩基配列を確認した後、宿主大腸菌BL21の形質転換を行った。LB培地中で37℃で5時間培養し、IPTGを最終濃度が0.4 mMになるように加え、さらに37℃で2.5 時間培養した。菌体を遠心により分離し、溶解溶液(50 mM Tris-HCl(pH7.5 ), 1mM EDTA-1 % Triton X-100 , 0.2% SDS, 0.2 mM PMSF )に溶かし、一度-80 ℃で凍結させ融解させた後、超音波破砕を行った。1000 x gで30分遠心し、上清にグルタチオンセファロース4Bを加え、4℃で1時間インキュベートした。ビーズを十分洗浄した後、溶出溶液(10 mM Tris-50 mMグルタチオン)で融合蛋白質を溶出した。その結果、分子量約 60 kDa の GST-HP10345融合蛋白質を得た。
(3)Npw38結合蛋白質の精製
HeLa-S3 細胞(1 x 1010個)に低張バッファー(20 mM Hepes (pH7.4), 10 mM KCl, 1.5 mM MgCl2)を加え、4 ℃で10分間放置し、ダウンス型ホモジェナイザーにより均一化した。1000 x g, 15分の遠心により核画分を得た。核画分を0.5 %NP-40 を含む低張バッファーで2回洗浄した後、高張バッファー(20 mM Hepes (pH7.4), 250 mM NaCl, 1.5 mM MgCl2, 0.5% NP-40)により4℃、30分間抽出し、核抽出液とした。
【0021】
上記の核抽出物40 ml にGST-Npw38融合蛋白質25 mg を加え、4℃、ローテーターにて2時間攪拌した。グルタチオンセファロース4Bを加え、さらに、4℃、2時間インキュベートし、ビーズを十分洗浄した後、10 mM Tris、50 mM グルタチオンで溶出した。溶出液をSDS-PAGEにかけたところ、約100kDaの蛋白質が含まれていた。この蛋白質をNpw38BP1と命名した。SDS-PAGEゲル上のバンドをPVDF膜に転写後、100 kDa のバンドをプロテインシーケンサーG1000A (HEWLETT PACKARD 社) にのせ、N末端アミノ酸配列を決定した。その結果、配列番号4で表されるアミノ酸配列が得られた。
実施例4:Npw38BP1をコードするcDNAのクローニング
決定したアミノ酸配列25残基を用いてデータベースをサーチしたところ、この配列はESTクローン(GenBankTM登録番号AA206624)がコードする蛋白質のアミノ酸配列と一致した。このESTクローンの塩基配列をもとにして、6アミノ酸残基をコードする領域に対するアンチセンスプライマー(5'-TGTAGATCTCCGTCCCAT-3')を合成した。ヒトフィブロサルコーマ細胞株HT−1080cDNAライブラリー(WO98/11217に記載)を鋳型とし、アンチセンスプライマーとT7プライマーを用い、Npw38BP1cDNAの5'上流領域をPCRにより増幅したところ約200bp のcDNA断片を得た。このcDNA断片をプローブとしてヒトフィブロサルコーマ細胞株HT−1080cDNAライブラリー(WO98/11217記載)をスクリーニングした結果、クローンHP00169 を得た。このクローンは、配列番号2に示したとおり、1,926 bpのオープンリーディングフレームを有していた。また、オープンリーディングフレームは配列番号1に示した641アミノ酸残基からなる蛋白質をコードしていた。
実施例5:インビトロ翻訳による蛋白質合成
Npw38BP1cDNAを有するプラスミドベクターを用いて、TNTウサギ網状赤血球溶解物キット(プロメガ社製)によるインビトロ転写/翻訳を行なった。その際に[35S]メチオニンを添加し、発現産物をラジオアイソトープでラベルした。いずれの反応もキットに付属のプロトコールに従って行なった。プラスミド2μg を、TNTウサギ網状赤血球溶解物12.5μl 、緩衝液(キットに付属)0.5 μl 、アミノ酸混合液(メチオニンを含まない)2μl 、[35S]メチオニン(アマーシャム社)2μl (0.3 MBq/μl )、T7RNAポリメラーゼ0.5 μl 、RNasin20Uを含む総量25μl の反応液中で30℃で90分間反応させた。反応液3μl にSDSサンプリングバッファー(125mM トリス塩酸緩衝液、pH6.8 、120mM 2−メルカプトエタノール、2%SDS溶液、0.025 %ブロモフェノールブルー、20%グリセロール)2μl を加え、95℃3分間加熱処理した後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。オートラジオグラフィーを行なったところ、約100kDaの翻訳産物のバンドが得られた。オープンリーディングフレームから予想されるNpw38BP1の分子量は、約70kDa である。翻訳産物の分子量はそれよりも大きい値を示すが、細胞から単離したNpw38BP1の分子量も約100kDaであることから、この蛋白質の見かけの分子量は約100kDaであることが判明した。
実施例6:Npw38BP1の大腸菌による発現
EcoRI 認識部位を付加した翻訳開始コドンから始まる26mer のセンスプライマー(5'-CCGAATTCATGGGACGGAGATCTACA-3')とSalI認識配列を付加した停止コドンまでを含む26mer のアンチセンスプライマー(5'-CCGTCGACTCACAGTAGCCCTTCCAT-3')を用い、クローンHP00169 を鋳型としてPCRにより翻訳領域を増幅した。PCR産物をEcoRI とSalIで消化し、pGEX−5X−1(Pharmacia社製) のEcoRI とSalI部位に挿入した。塩基配列を確認した後、宿主大腸菌JM109 の形質転換を行った。LB培地中で37℃で5時間培養し、IPTGを最終濃度が0.4 mMになるように加え、さらに37℃で4 時間培養した。菌体を遠心により分離し、溶解溶液(50 mM Tris-HCl pH7.5, 1mM EDTA, 0.2 mM PMSF )に溶かし、一度-80 ℃で凍結させ融解させた後、超音波破砕を行った。10,000 x gで30分遠心し、上清にグルタチオンセファロース4Bを加え、4℃で1時間インキュベートした。ビーズを十分洗浄した後、溶出溶液(10 mM Tris-HCl, 50 mM グルタチオン)で融合蛋白質を溶出した。
実施例7:抗体作製
上記の融合蛋白質を抗原として家兔に常法により免疫を行い抗血清を得た。抗血清はまず、40%飽和硫安沈殿画分をGST アフィニティーカラムによりGST 抗体を除いた。素通り画分をさらにGST-HP00169 の抗原カラムにより精製した。
実施例8:ウェスタンブロット
HeLa-S3 細胞ライセートを SDS-PAGE により分離し、PVDF膜ブロットした後、5%スキムミルクを含む0.05 % Tween20 -PBS (TPBS)で1時間室温でブロッキングし、抗体をTPBSで10,000倍希釈したものと1時間インキュベートした。TPBSで3回洗浄し、さらにTPBSで10,000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ IgGと1時間インキュベートした。TPBSで4回洗浄し、ECL 試薬(Amersham社製)により発光させて検出したところ、約100kDaの位置にシグナルが得られた。
実施例9:Npw38BP1の核酸結合能
Npw38BP1cDNAを鋳型とした、ウサギ網状赤血球インビトロ翻訳産物と種々の核酸との結合能を検討した。ポリリボAアガロース、ポリリボGアガロース、ポリリボUアガロース、ポリリボCアガロース、二本鎖DNAセルロース、一本鎖DNAセルロース(いずれもファルマシア社製)とインビトロ翻訳産物をHKN 緩衝液[Hepes(pH7.4), 150 mM NaCl, 0.01% NP40 ]中で室温、20分間インキュベートした。HKN 緩衝液で5回洗浄し、担体に結合した蛋白質をSDS-PAGEにより分析したところ、Npw38BP1はポリリボGならびに一本鎖DNAに特異的に結合することがわかった。
【0022】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、癌などの病態の診断および治療等に有用な新規なヒト転写関連蛋白質とその抗体が提供される。また、この発明のcDNA等の遺伝子操作材料を用いることによって、このヒト蛋白質を大量に製造することができる。そして、この蛋白質と結合する低分子化合物をスクリーニングすることによる、新しい型の抗腫瘍剤などの医薬を探索することが可能となる。
【0023】
【配列表】
Claims (6)
- 配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト転写関連蛋白質。
- 請求項1記載のヒト転写関連蛋白質をコードするヒト遺伝子。
- 請求項2のヒト遺伝子のcDNAであって、配列番号2の塩基配列を含むcDNA。
- 配列番号2の塩基配列における10bp以上の連続配列からなり、請求項2の遺伝子または請求項3のcDNAに対するプローブとして機能するDNA断片。
- 請求項3のcDNAを保有する組換えベクター。
- 請求項1のヒト転写関連蛋白質に対する抗体。
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