JP3836639B2 - 走査形プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カンチレバーにレーザー光を照射してカンチレバーの変位を検出する、原子間力顕微鏡や摩擦力顕微鏡などの走査形プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子間力顕微鏡(AFM)は、カンチレバーの先端に固定された探針と試料間に働く原子間力をカンチレバーのたわみを検出して測定する装置であり、光てこ方式でカンチレバーのたわみを検出する原子間力顕微鏡においては、レーザー光がカンチレバーの背面に照射される。そして、カンチレバーの背面で反射したレーザー光は光検出器で検出されて、カンチレバーの変位が検出される。
【0003】
このようなカンチレバーは、通常長さ0.2mm、幅0.03mm程度の非常に小さいものなので、肉眼でレーザー光をカンチレバーの先端に合わせるのは不可能である。そこで、従来の原子間力顕微鏡は、カンチレバーを拡大して観察するための光学顕微鏡やCCDカメラ付光学顕微鏡を備えており、オペレータは、それらを用いてカンチレバーを観察しながら、レーザー光をカンチレバーの先端に合わせていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような光学顕微鏡やCCDカメラ付光学顕微鏡を備えた装置のコストは高かった。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みて成されたもので、その目的は、レーザー光のカンチレバーへの位置合わせを正確に行える低コストの走査形プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明の走査型プローブ顕微鏡は、レーザー光源からのレーザー光をカンチレバーの背面に照射し、カンチレバーの背面で反射したレーザー光を光検出器で検出して、カンチレバーの変位を測定するようにした走査型プローブ顕微鏡において、前記レーザー光の、前記カンチレバーへの照射位置を調整する手段と、前記カンチレバーと前記光検出器の間に配置された、カンチレバーからのレーザー光を光検出器の方へ反射させるハーフミラー又はビームスプリッタと、該ハーフミラー又はビームスプリッタを透過したレーザー光のスポット形状を映し出すスクリーンからなるスポット形状観察手段と、該スポット形状確認手段とは別に設けられ、前記カンチレバーに前記レーザー光が当たっているかどうかを確認するための当該カンチレバーの上方に位置する凸レンズからなるレーザー光照射位置確認手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の走査形プローブ顕微鏡の一例として示した、原子間力顕微鏡の概略図である。
【0009】
まず、図1の構成について説明する。
【0010】
図1において、1は試料室チャンバーであり、試料室2の底部には、x,yおよびz軸方向に移動可能な試料ステージ3が配置されている。試料ステージ3上には試料4がセットされている。
【0011】
5は、試料4に対向するカンチレバーであり、カンチレバー5は、試料室2の底部に固定されたカンチレバー保持部材6に支持されている。また、カンチレバー5の試料側の端部には、探針7が固定されている。
【0012】
8は、試料室チャンバー1の天井に開けられた取付穴であり、取付穴8は、カンチレバー5の真上に位置している。この取付穴8には、拡大鏡である凸レンズ9と青色フィルター(ガラス)10が上下にはめ込まれて固定されており、青色フィルター10が試料室側に位置している。なお、青色フィルター10の両面は鏡面となっている。
【0013】
前記青色フィルター10とカンチレバー5の間には、ハーフミラー11が配置されており、ハーフミラー11はレーザー光源12に固定されている。このハーフミラー11は、レーザー光源12からのレーザー光をカンチレバー5の方へ反射させるものである。レーザー光源12は照射位置調整手段13に取り付けられており、照射位置調整手段13は試料室チャンバー1に取り付けられている。
【0014】
この照射位置調整手段13は、x軸のまわりに回転可能に構成されていると共に、x軸に直交しy軸に平行なy’軸のまわりに回転可能に構成されている。このような構成により、照射位置調整手段13をx軸のまわりに回転させれば、その回転に伴ってレーザー光源12とハーフミラー11が一体的にx軸のまわりに回転し、また、照射位置調整手段13をy’軸のまわりに回転させれば、その回転に伴ってレーザー光源12とハーフミラー11が一体的にy’軸のまわりに回転する。
【0015】
14は、試料室の側壁に取り付けられた光検出器であるフォトダイオードである。このフォトダイオード14と前記カンチレバー5の間には、ハーフミラー15が配置されており、ハーフミラー15は、カンチレバー5の背面で反射したレーザー光をフォトダイオード14の方へ反射させるものである。
【0016】
16は、試料室チャンバー1に開けられた取付穴であり、取付穴16には、赤色スクリーン17がはめ込まれて固定されている。この赤色スクリーン17は、前記ハーフミラー15を透過したレーザー光の形状を映し出すものであり、赤色スクリーン17は、赤色フィルターガラスのレーザー光が当たる部分、すなわち試料室側の面を磨りガラス加工して作られる。なお、赤色スクリーン17の磨りガラス面と反対側の面は、鏡面となっている。
【0017】
18は制御手段であり、制御手段18は、前記試料ステージ3とフォトダイオード14に接続されている。
【0018】
以上、図1の装置構成について説明したが、次にこのような装置において、レーザー光をカンチレバーの先端に合わせる場合について説明する。
【0019】
まず、オペレータは、レーザー光源12の電源を入れる。すると、レーザー光源12で赤色レーザー光(波長670nm程度)が発生し、レーザー光源12からのレーザー光はハーフミラー11に当たる。そして、ハーフミラー11に当たったレーザー光のうち、その半分はハーフミラー11で反射されてカンチレバー5の方へ向かう。
【0020】
さて、図1の装置においては、レーザー光がカンチレバー5の先端を照射したときには、レーザー光がカンチレバー5の背面で焦点を結ぶように、レーザー光源12とハーフミラー11が予め調整されており、オペレータは、凸レンズ9を覗いて、レーザー光がカンチレバー5の先端に当たっているかどうかを確認する。凸レンズ9の倍率は10倍程度であり、このような凸レンズ9を使用すればカンチレバー5の位置を特定できる。なお、この倍率を超える凸レンズは、周辺部の歪みが大きくて実用上使用できない。
【0021】
ところで、図1の装置は青色フィルター10を備えているが、青色フィルター10が配置されていないと、カンチレバー5上で乱反射したレーザー光でまぶしくて、オペレータはカンチレバー5を見えなくなる。この結果、オペレータは、カンチレバー上のレーザー光照射位置を確認できなくなる。
【0022】
しかし、図1の装置においては、レーザー光を数%程度まで減衰させる青色フィルター10が配置されているので、オペレータは、カンチレバー上で乱反射したレーザー光を見ることはなくなり、カンチレバー上において強度の最も高いレーザースポット中心点のみを見ることができる。このため、オペレータは、カンチレバー上のレーザー光照射位置を正確に確認することができる。
【0023】
そしてオペレータは、レーザー光がカンチレバー5の先端に当たっていない場合には、レーザー光がカンチレバー5の先端に当たるように照射位置調整手段13を操作する。
【0024】
このようにして、レーザー光がカンチレバー5の先端に当たると、カンチレバー5の背面で反射したレーザー光はハーフミラー15に当たる。そして、ハーフミラー15に当たったレーザー光のうち、その半分はハーフミラー15で反射してフォトダイオード14に入射し、残りの半分はハーフミラー15を透過して赤色スクリーン17に当たる。
【0025】
上述したように、赤色スクリーン17のレーザー光が当たる面は磨りガラス加工されているので、磨りガラスの反対側から覗いたときにオペレータはまぶしくなく、また、赤色スクリーン上でのレーザー光の大きさは2〜3mm程度なので、オペレータは、赤色スクリーン17に映し出されるレーザースポットの形状を肉眼ではっきりと観察することができる。そして、オペレータは赤色スクリーン17を見ながら、そのスポット形状が円もしくは楕円となり、かつレーザー光の強度がもっとも強くなるように、前記照射位置調整手段13を微調整する。
【0026】
以上、図1の装置において、レーザー光をカンチレバーに位置合わせする場合について説明したが、光学顕微鏡やCCDカメラ付光学顕微鏡を備えない図1の装置においても、レーザー光をカンチレバーの先端に正確に位置合わせすることができる。また、図1の装置は、光学顕微鏡やCCDカメラ付光学顕微鏡を備えなくて済むので、装置のコストは従来よりもかなり低くなる。
【0027】
なお、図1の装置において試料4の原子間力像を得る場合には、制御手段18は、フォトダイオード14からの信号に基づき、探針7と試料4間に働く原子間力が一定になるように試料ステージ3のz動をフィードバック制御しながら試料ステージ3をxy方向に走査し、前記フィードバック制御情報から試料の原子間力像を得る。
【0028】
以上、図1の装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図1の装置において、ハーフミラー11や15の代わりにビームスプリッタを用いるようにしてもよい。
【0029】
また、本発明は、原子間力顕微鏡に限らず、カンチレバーを備えた摩擦力顕微鏡や磁気力顕微鏡などの走査形プローブ顕微鏡にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の走査形プローブ顕微鏡の一例として示した、原子間力顕微鏡の概略図である。
【符号の説明】
1…試料室チャンバー、2…試料室、3…試料ステージ、4…試料、5…カンチレバー、6…カンチレバー保持部材、7…探針、8、16…取付穴、9…凸レンズ、10…青色フィルター、11、15…ハーフミラー、12…レーザー光源、13…照射位置調整手段、14…フォトダイオード、17…赤色スクリーン、18…制御手段

Claims (3)

  1. レーザー光源からのレーザー光をカンチレバーの背面に照射し、カンチレバーの背面で反射したレーザー光を光検出器で検出して、カンチレバーの変位を測定するようにした走査型プローブ顕微鏡において、
    前記レーザー光の、前記カンチレバーへの照射位置を調整する手段と、
    前記カンチレバーと前記光検出器の間に配置された、カンチレバーからのレーザー光を光検出器の方へ反射させるハーフミラー又はビームスプリッタと、
    該ハーフミラー又はビームスプリッタを透過したレーザー光のスポット形状を映し出すスクリーンからなるスポット形状観察手段と、
    該スポット形状確認手段とは別に設けられ、前記カンチレバーに前記レーザー光が当たっているかどうかを確認するための当該カンチレバーの上方に位置する凸レンズからなるレーザー光照射位置確認手段とを備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 前記レーザー光源とカンチレバーとの間に、レーザー光源からのレーザー光をカンチレバーの方へ反射させるハーフミラーまたはビームスプリッタを備えたことを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 前記レーザー光は赤色レーザーであり、前記凸レンズとカンチレバーとの間には青色フィルターが配置され、前記スクリーンは赤色スクリーンであることを特徴とする請求項1または2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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