JP3842858B2 - 電子部品実装最適化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板などの基板に複数種類の電子部品を複数のフィーダからマウンタヘッドで供給し、実装する電子部品実装機におけるマウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間を最適化する電子部品実装最適化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の小型化、高集積化にあわせて、プリント基板(以下単に基板という)に実装される電子部品の数が非常に多くなってきており、製造時間の短縮化を図ってコストの低減を行うためには、電子部品実装機が電子部品を基板に実装する時間が重要な要件であり、生産性を左右する。
ここで、この実装時間を短縮するためには電子部品実装機のマウンタヘッドの移動速度の向上も有効であるが、この方法は電子部品実装機自体のコスト上昇を伴うために、マウンタヘッドに無駄な動きをなるべくさせないようにして実装時間を短縮する方法が非常に有効である。
【0003】
そしてマウンタヘッドの無駄な動きを少なくするためには、複数のフィーダ(フィーダからは一種類の電子部品が供給される)が所定の位置に配置されて成る電子部品供給部内でのフィーダの配置と、基板に実装される電子部品の実装順番の双方若しくは少なくとも一方を最適化して、基板に電子部品を電子部品実装機が実装し終わるまでのマウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間を最も少なくするようにすればよい。
【0004】
そこで従来は、フィーダの配置と、電子部品の実装順番の双方若しくは一方の最適な組み合わせを求めるため、総移動距離若しくは総移動時間を算出する評価関数を決定しておき、全ての組み合わせに対して評価を行って総移動距離若しくは総移動時間が最小となる組み合わせを求めていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の最適化方法では、一つの基板に実装される電子部品の数も種類も非常に多くなってきている現在では、組み合わせの数が無数に存在し、計算に時間がかかり実用的ではないという課題が生じた。
一例として、フィーダの配置の決定において、電子部品供給部内でのフィーダの配置可能な位置の数がa個、フィーダの数がb個(a≧b)とした場合には、その組み合わせの数は、 aCb ×b!個となり、a=10、b=5の場合でも30240通り存在する。さらに電子部品数をc個とし、実装順番も合わせた組み合わせの数は例えばc=20の場合、 aCb ×b!×c!個となり、約7.4×1022通りにもなる。現実には、基板によっては部品は1000〜2000以上あり、その種類も100種類以上あることから、その組み合わせは非常に多く全てについて評価を行って総移動距離若しくは総移動時間が最小となる組み合せを見つけることは非現実的である。
【0006】
従って、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、現実的な時間内で、マウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間をより短くできるより最適に近いフィーダの配置および/または電子部品の実装順番を決定可能な電子部品実装最適化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、複数のフィーダが所定の位置に配置されて成る電子部品供給部と複数種類の電子部品が実装される基板との間をマウンタヘッドが移動して電子部品供給部の電子部品を基板に実装する電子部品実装機における前記マウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間を最適化する電子部品実装最適化方法において、前記複数のフィーダの前記電子部品供給部内での配置位置を連結して該配置位置の配列からなる個体を所定の数だけ生成し、生成された各個体に対して前記総移動距離若しくは総移動時間を評価値として遺伝的アルゴリズムを適用して複数のフィーダの電子部品供給部内での配置位置の最適化を図る方法であって、前記生成された各個体に対して遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作を行って次世代の個体を生成する際に、1または2以上の所定の個体に対して前記配列を所定方向に所定の数だけ移動させ、移動方向の先端部に達した個体を構成する要素は移動方向の後端部に回るローテーションにより、新たな個体を生成することを特徴とする。
このように、大域的な探索に敵している遺伝的アルゴリズムを適用することによって、膨大なフィーダの電子部品供給部内での配置位置の配列の中から実用的に十分な配列を現実的な時間で探索することができる。
また、一般的な遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作である淘汰、交叉、突然変異に加えて上記のようなローテーションという新たな遺伝的操作が加わるため、より大域的な探索が可能となる。このローテーションという操作は、個体の重要な部分が保存されるという効果があり、局所解に陥ることを防止できたり、また最適解へ収束するまでの時間が短くなる可能性が高まる。
【0008】
また、前記個体は、前記配置位置の配列と前記基板への前記電子部品の実装順番の配列とを連結して構成し、前記生成された各個体に対して遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作を行って次世代の個体を生成する際には、各個体の前記配置位置の配列と前記実装順番の配列の一方若しくは両方に対して独立して前記遺伝的操作を行うようにすると、フィーダの電子部品供給部内での配置位置と共に、電子部品の実装順番の最適化も併せて図ることが可能となり、マウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間をより最適なものにすることが可能となる。
【0009】
前記ローテーションは、前記評価値の内の最高評価値からn番目(nは自然数)までの評価値を持つ個体に対して行うようにするとよい。これにより、高い評価値を有する個体の配列の重要な部分が大幅に変更されないために最適解へ収束するまでの時間が短くなる可能性が一層高まる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子部品実装最適化方法の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明に係る電子部品実装最適化方法が用いられる電子部品実装機(マウンタ)10の概要構造について図1〜図3を用いて説明する。
電子部品供給部12は、複数のフィーダ14が所定の位置に配置されて形成されている。
詳細には、基板16を挟むようにしてフィーダ14を装着可能な複数のフィーダ装着部18が2列平行に並設されている。この複数のフィーダ装着部18の内の任意のフィーダ装着部18にフィーダ14が取り付けできる。
なお、基板16はレール20上を移動しながら電子部品実装機10に定寸送りで送り込まれ、所定の電子部品が実装された後に同じくレール20上を移動して後工程へ送られる。
【0011】
マウンタヘッド22は、電子部品供給部12にあるフィーダ14と複数種類の電子部品24が実装される基板16との間を移動して電子部品供給部12の電子部品24を基板16に実装する。
詳細には、マウンタヘッド22には電子部品24を吸着する1又は2以上の吸着ユニット26が取り付けられている。この吸着ユニット26は電子部品吸着用のノズル28を有し、このノズル28は吸着ユニット26内に設けられたノズル駆動部(不図示)によりZ方向(上下方向)に移動され、かつZ方向の回動軸を中心として回動される。吸着および吸着解除動作はノズル28からのエアの吸引・排出により行われる。吸着ユニット26が複数の場合には、フィーダ14が隣接したフィーダ装着部18に配置されていることを条件に、一度に複数種類の電子部品24を吸着して基板16上へ移動することが可能となる。
【0012】
また、マウンタヘッド22は基台30上面に配されたXYユニット32上に取り付けられ、基台30上部の空間内でX方向、Y方向へ水平移動可能となっている。詳細にはXYユニット32は、X軸32aとY軸32bとを有し、一例としてY軸32b上でX軸32aがY方向へ、またX軸32a上でマウンタヘッド22がX方向へ移動可能に構成され、XYユニット32内に設けられた不図示の駆動機構によって駆動されて任意の位置に移動可能である。なお、この駆動機構は吸着ユニット26をZ方向へ移動したり、回動させる機能も有している。
【0013】
吸着ユニット26とXYユニット32は、マイクロコンピュータ(マイコン)34とメモリ36と入力インターフェース(入力I/F)38等により構成される制御部40により所定のパターンで動作するように制御される。
詳細には、入力I/F38からは、種々のデータ(フィーダ14の種類と数、基板16上の電子部品24の実装位置とその種類、吸着ユニット26の数、基板16と電子部品供給部12にあるフィーダ装着部18との位置関係等)からなる基礎データが入力される。マイクロコンピュータ34は、入力されたデータをメモリ36内の基礎データ領域36aに記憶し、その後予めメモリ36のプログラム領域36cに記憶されたフィーダ14の電子部品供給部12内での配置位置および/若しくは基板16への電子部品24の実装順番を求める遺伝的アルゴリズムに基づいた演算プログラムを実行する。そして求めた配置位置と実装順番をメモリ36内の最適値領域36bに記憶させ、この配置位置と実装順番のデータに基づいて吸着ユニット26やXYユニット32を制御して電子部品24を基板に実装する。
【0014】
各フィーダ14には同一種類の電子部品24が、図2の拡大図に示すようにテープ42に所定の間隔で設けられた凹部に収納されており、テープ42が定寸で送り出されることによって電子部品24が吸着ユニット26の吸着位置に順次供給される構成となっている。またフィーダ14のテープ42の送り出し動作は制御部40により制御されて吸着ユニット26の動きと連動する。
上記の構成により、マウンタヘッド22はフィーダ14へ移動し、吸着位置に供給された電子部品24を吸着ユニット26を下方へ移動させて吸着して上方へ持ち上げ、基板16への取付角度を考慮しつつ電子部品を回転させながら基板16上方へ搬送する。その後、吸着ユニット26を下方へ移動させて基板16の所定の位置に電子部品24を搭載し、吸着を解除した後に上方へ移動し、次の電子部品24を吸着すべく次のフィーダ14方向へ移動する。
この動作を繰り返すことによって、電子部品実装機10は搬送されてきた基板16上の電子部品装着部位に順次所定の電子部品24を実装することができる。
【0015】
ここで、基板16上に電子部品24を効率よく短時間で実装するためには、基板16上への電子部品24の実装順番、フィーダ14の電子部品供給部12内での配置を考慮する必要がある。これらの内の少なくとも一方を最適化することによって、マウンタヘッド22の総移動距離若しくは総移動時間をより短縮でき、効率のよい電子部品24の実装が可能となる。さらに双方を最適化すれば、より一層総移動距離若しくは総移動時間を短縮できる。
【0016】
続いて、電子部品実装機10の動作をマイクロコンピュータ34の動作を中心にして図4や図5のフローチャートを用いて説明する。
最初に、電子部品実装機10の全体動作を 図4のフローチャートを用いて説明する。
ステップ101において、上述したように入力I/F38から基礎データが電子部品実装機10に入力される。入力された基礎データ(フィーダ14の種類と数、基板16上の電子部品24の実装位置とその種類、吸着ユニット26の数、基板16と電子部品供給部12にあるフィーダ装着部18との位置関係等のデータから成る)は、マイクロコンピュータ34によりメモリ36内の基礎データ領域36aに記憶される。
【0017】
ステップ102において、マイクロコンピュータ34はメモリ36に記憶された演算プログラムを実行して基礎データを基に、より最適なものに近いフィーダ14の電子部品供給部12内での配置位置および/若しくは基板16への電子部品24の実装順番を求め、メモリ36内の最適値領域36bに記憶する。
ステップ103において、マイクロコンピュータ34はメモリ36内の最適値領域36bに記憶されたフィーダ14の電子部品供給部12内での配置位置および/若しくは基板16への電子部品24の実装順番に基づいてXYユニット32を動かしてマウンタヘッド22を電子部品供給部12と基板16との間で移動させると共に、吸着ユニット26を作動させて電子部品24をフィーダ14で吸着して基板16上に実装する。基板16に予め決められた電子部品24がすべて実装されたら当該基板16の実装動作を終了し、基台30上に搬送されてくる新たな基板16に同様の順番で電子部品24を実装する。この実装動作を繰り返す。
【0018】
続いて、本発明の特徴点であるステップ102における遺伝的アルゴリズムを適用した演算プログラムについて図5のフローチャートを用いて説明する。なお、電子部品実装機10内でのフィーダ装着部18(B00 〜B11 )と基板16内の電子部品24の実装位置(J00 〜J23 )の平面的位置関係が一例として図6に示すような位置関係にあるモデルを用いて説明する。また、基板16に実装される電子部品24の種類は一例として(P、Q、R、S、T)の5種類であるとする。
【0019】
まず、ステップ201において初期個体群を生成させる。ここで個体は、電子部品24の基板16への実装順番とフィーダ14の電子部品供給部12内での配置位置を示す文字データ(要素)を連結して、実装順番の配列と配置位置の配列とで表現される。
つまり、実装順番は、実装する順番に実装位置(J00 〜J23 )を並べて表現する。
配置位置は、5種類の電子部品24(P、Q、R、S、T)が装着されるフィーダ装着部18(B00 〜B11 )の配列で表現する。
個体の具体例を下記に一つ示す。J が付く前半の配列は実装順番を示す配列(第1配列、24個の要素で構成される)であり、B が付く後半の配列は配置位置の配列(第2配列、5個の要素で構成される)である。
(J01 ,J08 ,J15 ,・・・,J02 ,J03 :B01 ,B04 ,B09 ,B05 ,B07 )
このような個体を、実装位置(J00 〜J23 )、フィーダ装着部18(B00 〜B11 )を独立して組み合わせて異なった第1配列、第2配列をそれぞれm個(mは2以上の自然数)作って連結することで、m個生成する。生成された各個体は文字列データとしてメモリ36の演算領域36dに記憶される。
【0020】
次に、ステップ202において、各m個の個体に対して、それぞれの実装順番と配置位置を示す要素に基づいて総移動距離若しくは総移動時間を評価値として演算して求める。この場合には評価値が小さい、つまり移動距離若しくは移動時間が少ない個体の方が評価が高くなり、最も評価が高い、つまり評価値が最小の個体がその時点での最適個体となる。
ステップ203において、この最適個体の評価値が予め決められた移動距離若しくは移動時間より小さくなったか否か、または予め決められた世代数を繰り返したか否かを判断し、この条件を満たす場合には演算プログラムを終了する。
また、条件を満たさない場合にはステップ204に移り、例えば評価の低い、つまり評価値の大きい個体を淘汰したり、個体同士を交叉したり、一つの個体を構成する要素に対して突然変異の手法を適用して要素を変更したりして、次の個体群を生成させ、ステップ202に移る。
【0021】
以下、ステップ203の条件を満たすまでステップ202〜ステップ204を繰り返す。遺伝的アルゴリズムにおいて、この繰り返す単位を世代と呼ぶ。そして、最後の評価において最も評価値が小さいものが最終的な最適個体となる。なお、ステップ204において次の個体群を生成させる際に、例えば評価の高い個体をその高い順に少なくともa個(aは自然数)を残し、残りのm−a個の個体に対して淘汰、交叉、突然変異を適用して次の個体群を構成するm−a個の個体を生成し、残したa個の個体を加えて次のm個の個体とすると、世代を重ねる毎に最良個体の評価値が同じか若しくは改善されるために適当である。
【0022】
ここで、遺伝的アルゴリズムにおいて、個体を変更させる遺伝的操作である交叉、突然変異について説明する。
まず、交叉は、例えば一様乱数により選択した2つの個体A、Bの第1配列、第2配列のそれぞれにおいて、各配列ごとに共通の位置を一様乱数により決定する。そして第1配列と第2配列のそれぞれに対して、例えば決定された位置より右側の要素列を交換して次の個体を2つ生成する操作をいう。
図7は交叉の動作の例を示すものである。一様乱数により選択した2個の個体A、Bにおいて、第1配列、第2配列ごとに共通の位置を一様乱数により決定し、各配列のそれぞれに対してその位置(破線)より右側の要素列を交換し、次の個体を生成している。なお図7における個体の配列表現は交叉及び突然変異により解となりえない個体(1つの配列内に同じ要素が含まれる個体)が生成される事を防ぐために前述した配列例を順序表現化した例である。
次に、突然変異は、予め設定された確率(突然変異率)に従い、各個体に対して要素の一部若しくは全部を他の要素に変換し、次の個体を生成させる操作をいう。
【0023】
このように、マウンタヘッド22の総移動距離若しくは総移動時間を最適化する問題のように、目的関数が定義できない、いわゆる離散値をとる変数で表されるシステムの最適化を図る場合には、上述したような遺伝的アルゴリズムを用いてフィーダ14の配置位置や基板16の電子部品24の実装順番の最適値を求めるようにすると、膨大なフィーダの電子部品供給部12内での配置位置の配列の中から実用的に十分な配列を現実的な時間で探索することができる。
【0024】
また上記の実施の形態では、個体を実装順番の配列とフィーダの配置位置の配列を連結して表現しているが、例えば基板16への電子部品24の実装順番が予め決まっている場合には、フィーダの配置位置の配列のみで個体を表現すれば良いし、またフィーダの配置位置が予め決まっている場合には、電子部品24の実装順番の配列のみで個体を表現すれば良い。
【0025】
実際に下記条件の基で、探索を30世代に渡り行った結果を図8に示すが、個体群の評価値(この例では総移動距離、つまり経路長である)の平均と共に最良個体の評価値も順次下がり、最適解に収束している。
ここでは、電子部品数24個、電子部品供給部12内でのフィーダ14のフィーダ装着部18の数が12個、フィーダ14の数が5個、マウンタヘッド22に取り付けられる吸着ヘッド26の数が1個とし、あらかじめ電子部品の実装順番を決めた上で、フィーダ14の配置位置の最適な組み合わせを探索した。まず、最初に一様乱数で58個の個体群を生成し、経路長を評価値として図5に示す遺伝的アルゴリズムの処理を施したものである。
経路長の計算をする際の基板16と電子部品供給部12内にあるフィーダ装着部18との位置関係、基板16上での電子部品の種類および電子部品の位置等は図6に示す通りとし、マウンタヘッド22がスタート位置44からスタートして、決められた実装順番で該当するフィーダ14の位置と基板16上の電子部品位置との移動を繰り返す際の、その総経路長を位置スケール46を基に計算している。また、この時の電子部品の実装順番は J00から J23まで添数字の小さい順に実装していくこととした。
【0026】
探索結果には、一様乱数の発生状況により、ある程度のバラツキが見られるが、乱数系列を変更した30回の探索結果では最適解に収束した世代が最短で2世代目、最長でも12世代目には収束しており、平均では7.7世代目で最適解に収束している。図8にはこの平均に最も近い8世代目に収束した探索結果を示してある。フィーダ14の配置位置の全ての組み合わせは、フィーダ装着部18の数及びフィーダの数より 12C5 ×5!で計算され、95040通りあるが、探索結果において最適解に収束するまでに評価した組み合わせの数は、一世代当たりの個体数及び平均収束世代数より58×7.7で計算され、約447回となり、全ての組み合わせについて計算する場合に比べて十分に小さいことが分かる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本実施の形態における電子部品実装機の構成と動作は、上述した第1の実施の形態の電子部品実装機の構成および動作と略同じであるが、フィーダ14の配置位置や基板16の電子部品24の実装順番の最適値を求める遺伝的アルゴリズムを用いた演算プログラムの一部が相違しており、この相違部分が本実施の形態の特徴点となっている。
【0028】
この特徴点は、図9に示すフローチャートで明らかなように、次の個体群を生成するステップ204において、各個体の要素に対する操作(淘汰、交叉、突然変異)に、あらたにローテーションという操作を加える点である。
最初に、このローテーションについて 図10を用いて説明する。
まず個体を構成する要素列において、一様乱数によりシフトする要素の数を決定する。 図10においては一例としてシフトする要素の数は4である。
その後、予め設定されている方向(図10では一例として右方向)に個体を構成する各要素をそれぞれ4つずつシフトする。なお、右端に達した要素は左端に回る。つまり、個体を構成する要素が所定の方向に所定の数だけ回転移動するのである。
この操作により、新たな個体が生成できる。
【0029】
このローテーションという操作のメリットは、個体を構成する要素を変えずに、個体を構成する要素相互間の隣接関係をなるべく保持しつつ新たな個体を生成できる点にある。
特に、ある程度の最良個体が求められてきた状態においては、この最良個体をそのまま残し、残りの個体に対して新たに交叉や突然変異を適用して次の個体群を生成する第1の実施の形態の方法も良いが、最良個体の近辺にさらによい最適解が存在する可能性も高い。しかしながら、この最良個体に対して交叉や突然変異を適用しても、必ず最良個体の構成要素は変化してしまい、要素を保存することは不可能であり、また要素相互間の隣接関係をなるべく保持しながら、要素位置を変更することができない。一方、ローテーションでは、最良個体の要素を変えずにその配列を変えられ、要素相互間の隣接関係をなるべく保持しながら要素位置を変更することもできる。
よって、個体の重要な部分が保存されるという効果があり、局所解の周辺にある他の局所解を隈なく探索でき、特定の局所解に陥ることを防止できたり、また最適解へ収束するまでの時間が短くなる可能性が高まる。
【0030】
例えば、吸着ユニット26が複数の場合では、フィーダ14の配置位置の組み合わせ配列において、複数種類の電子部品の吸着を同時に行える部分的要素配列パターンが数多く存在することがマウンタヘッド22の総移動距離若しくは総移動時間を短くするのに大きな影響を与え、このような部分的要素配列パターンを内包する組み合わせ配列から成る個体が最良個体となるのである。しかしながら、上述したような部分的要素配列パターンを同じく有する個体であっても、部分的要素配列パターンが基板16に近い位置に配置されている個体と基板16から遠方に配置されている個体とでは、基板16に近い位置に配置されている個体の評価の方が高いのは当然であるが、従来の遺伝的アルゴリズムを用いた場合に上述したような部分的要素配列パターンが基板16から遠方に配置されている個体でも局所解となる場合が生ずる。よって、このような個体に対してはローテーションを用いることで、上記部分的要素配列パターンをその構成要素間の隣接関係を維持した状態でフィーダ14の配置位置の組み合わせ配列全体中を移動させることができ、より基板16に近い位置に変更することが可能となる。このことから、局所解に陥ることの防止や、より早く最適解に収束できる可能性が高められるのである。
【0031】
また、ローテーションは、最高評価値(つまり評価値の値が小さいもの)の個体に対してだけでなく、個体の要素が変化しないために、評価値の内の最高評価値からn番目(nは自然数)までの評価値を持つ、評価の高い複数の個体に対して行うようにしてもよい。これにより、高い評価値を有する個体の配列の重要な部分が大幅に変更されないために最適解へ収束するまでの時間が短くなる可能性が一層高まる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明は上述する実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る電子部品実装最適化方法を用いると、大域的な探索に敵している遺伝的アルゴリズムを適用することによって、膨大な数のフィーダの電子部品供給部内での配置位置の配列や電子部品の基板への実装順番の配列の中から実用的に十分な配列を現実的な時間で探索することができる。
また、個体の配列を所定方向に所定の数だけローテーションさせる方法で新たな個体を生成するようにすれば、一般的な遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作である淘汰、交叉、突然変異に加えて上記のようなローテーションという新たな遺伝的操作が加わるため、より大域的な探索が可能となる。このローテーションという操作は、個体の重要な部分が保存されるという効果があり、局所解に陥ることを防止できたり、また最適解へ収束するまでの時間が短くなる可能性が高まるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な電子部品実装機の概要構造を示す斜視図である。
【図2】 図1の平面図である。
【図3】 本発明に係る電子部品実装最適化方法を実行する電子部品実装機のブロック図である。
【図4】 図3の全体動作を示すフローチャートである。
【図5】 フィーダの配置位置および/若しくは電子部品の実装順番を求める遺伝的アルゴリズムに基づいた演算プログラムの第1の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】 電子部品実装機の一モデルにおけるフィーダ装着部と基板への電子部品の実装位置を示す説明図である。
【図7】 交叉による個体生成の操作を示す説明図である。
【図8】 図6のモデルに対して本発明に係る電子部品実装最適化方法を実行した際の評価値(マウンタヘッドの総移動距離、つまり経路長)の推移を示すグラフである。
【図9】 フィーダの配置位置および/若しくは電子部品の実装順番を求める遺伝的アルゴリズムに基づいた演算プログラムの第2の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図10】 図9の演算プログラムにおいて用いられるローテーションの動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 電子部品実装機
12 電子部品供給部
14 フィーダ
16 基板
18 フィーダ装着部
22 マウンタヘッド
24 電子部品
Claims (3)
- 複数のフィーダが所定の位置に配置されて成る電子部品供給部と複数種類の電子部品が実装される基板との間をマウンタヘッドが移動して電子部品供給部の電子部品を基板に実装する電子部品実装機における前記マウンタヘッドの総移動距離若しくは総移動時間を最適化する電子部品実装最適化方法において、
前記複数のフィーダの前記電子部品供給部内での配置位置を連結して該配置位置の配列からなる個体を所定の数だけ生成し、生成された各個体に対して前記総移動距離若しくは総移動時間を評価値として遺伝的アルゴリズムを適用して複数のフィーダの電子部品供給部内での配置位置の最適化を図る方法であって、
前記生成された各個体に対して遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作を行って次世代の個体を生成する際に、1または2以上の所定の個体に対して前記配列を所定方向に所定の数だけ移動させ、移動方向の先端部に達した個体を構成する要素は移動方向の後端部に回るローテーションにより、新たな個体を生成することを特徴とする電子部品実装最適化方法。 - 前記個体は、前記配置位置の配列と前記基板への前記電子部品の実装順番の配列とを連結して構成し、前記生成された各個体に対して遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作を行って次世代の個体を生成する際には、各個体の前記配置位置の配列と前記実装順番の配列の一方若しくは両方に対して独立して前記遺伝的操作を行い、電子部品の実装順番の最適化も併せて図ることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装最適化方法。
- 前記ローテーションは、前記評価値の内の最高評価値からn番目(nは自然数)までの評価値を持つ個体に対して行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子部品実装最適化方法。
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