JP3849726B2 - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、発光素子や表示素子として利用される有機EL(Electroluminescence ;電界発光)素子の製造方法に係り、特にレーザアブレーシヨン法を用いて微細加工を行う有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、CRT(Cathode Ray Tube)に代わる次世代のフラットパネルディスプレイが多くの関心を集めている。そしてフラツトパネルディスプレイ用の表示素子として有機EL素子が注目され、研究が進められている。
有機EL素子は、一対の電極と、その間に挟まれた発光性物質を含む少なくとも1層の有機層とにより構成される。そして通電時に各電極から注入されたホールと電子が有機層内を移動し、再結合することにより一重項励起子が生成し、この励起子から光が発せられると考えられている。
【0003】
また、こうした有機EL素子の構造としては、例えば陽極/ホール輸送層/発光層/陰極、又は陽極/発光層/電子輸送層/陰極といった2層積層構造や、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極といった3層積層構造がある。
【0004】
また、これらの積層構造を有する有機EL素子の製造方法において、電極の形成には、例えば真空蒸着法、イオンビームスパッタ法等が用いられ、ホール輸送層、発光層、電子輸送層等の有機層の形成には、例えば真空蒸着法、スピンコート法、LB法等が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、有機EL素子が多数配置されたフラツトパネルディスプレイを作製する場合、各有機EL素子を精度よく形成することが要求される。
しかし、上記従来の真空蒸着法等を用いて有機EL素子を形成する場合、パターニングされたマスクと基板との僅かな隙間によるパターンずれが生じるため、各有機EL素子を精度よく作製することは非常に困難であった。また、各有機EL素子を微細化しようとする場合においても、パターニングするマスクのパターンの微細化にも限界があるために、有機EL素子を微細化することも困難であった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、微細な素子パターンを有する有機EL素子を高精度に形成することが可能な有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、レーザアブレーション法を用い、各有機EL素子を分離すべき微小領域に高出力のレーザを照射して、その微小分離領域に設けた物質を蒸発させることにより、各有機EL素子を分離し、微細な素子パターンを有する有機EL素子を高精度に形成することが可能になることを想到した。従って、上記課題は、以下の本発明に係る有機EL素子の製造方法により達成される。
【0008】
即ち、請求項1に係る有機EL素子の製造方法は、透明電極上に、所定の形状にパターニングしたレジストを形成する第1の工程と、前記透明電極及び前記レジスト上に、発光層を含む有機層を形成する第2の工程と、前記発光層を含む有機層上に、金属電極層を形成する第3の工程と、前記透明電極側からこの透明電極を透過して前記レジストに光を照射して、前記レジストを蒸発させると共に、前記レジスト上の前記発光層を含む有機層及び前記金属電極層のみを選択的に除去し、前記透明電極上に積層した前記発光層を含む有機層及び前記金属電極層を分離する第4の工程とを有することを特徴とする。
【0009】
このように本発明に係る有機EL素子の製造方法においては、透明電極上に所定の形状にパターニングしたレジストを形成し、これら透明電極及びレジスト上に発光層を含む有機層及び金属電極層を順に積層した後、透明電極側からこの透明電極を透過してレジストに光を照射してレジストを蒸発させ、同時にこのレジスト上の発光層を含む有機層及び金属電極層のみを選択的に除去して、発光層を含む有機層及び金属電極層を分離することにより、各有機EL素子の分離を行うことができる。即ち、各有機EL素子が分離される精度はレジストのパターニング精度に依存し、このレジスト層のパターニングはフォトリソグラフィ法を用いて微細かつ高精度に行うことが可能であるため、各有機EL素子を高精度に微細化することが可能となる。
【0010】
また、上記請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層は、順に積層されたホール輸送層及び発光層であるのが好ましい。従って、本発明に係る有機EL素子の製造方法は、陽極/ホール輸送層/発光層/陰極という2層積層構造の有機EL素子に適用することが可能である。
また、請求項3に係る有機EL素子の製造方法は、上記請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層が、順に積層された発光層及び電子輸送層である、ことを特徴とする。従って、本発明に係る有機EL素子の製造方法は、陽極/発光層/電子輸送層/陰極という2層積層構造の有機EL素子に適用することが可能である。
【0011】
また、上記請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層は、順に積層されたホール輸送層、発光層、及び電子輸送層であるのが好ましい。従って、本発明に係る有機EL素子の製造方法は、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極という3層積層構造の有機EL素子に適用することが可能である。
【0012】
また、上記の有機電界発光素子の製造方法において、前記第1の工程における、前記透明電極上に形成する前記レジストは、所定の波長の光を吸収する色素を含有し、前記第4の工程における、前記レジストに照射する光は、前記所定の波長を有しているのが好ましい。
このように本発明に係る有機EL素子の製造方法においては、所定の波長の光を吸収する色素を含有するレジストを用い、このレジストに所定の波長を有している光を照射することにより、この所定の波長を有している光が照射されると、レジストに含有されている色素が光を吸収してレジストの分子同士の結合を開裂するため、容易にレジストを分解、蒸発させることが可能である。また、このレジストは有機EL素子の作製において透明電極表面の清浄化を目的として一般的に用いられる酸素プラズマ処理の際に分解、蒸発しないものが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図5は、それぞれ本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図である。
先ず、図1に示すように、透明ガラス基板10上に、例えば真空蒸着法を用いてITO(Indium Tin Oxide)膜を蒸着して、ITO陽極12を形成する。続いて、このITO陽極12上に、例えば塗布法を用いて、フォトレジスト層14を形成する。このフォトレジスト層14の材料としては、例えば耐熱性のポリイミド系レジストに、レーザ色素として知られるローダミン系色素やクマリン系色素等を混入したものを用いる。
【0014】
その後、フォトリソグラフィ法を用いて、UV(ultra-violet rays;紫外線)照射による露光及び現像を行い、フォトレジスト層14を所望のパターンにパターニングする。このとき、フォトレジスト層14はフォトリソグラフィ法を用いてパターニングされるため、微細なパターンのフォトレジスト層14を高精度に形成することが可能である。
【0015】
次いで、図2に示すように、ITO陽極12及び所望のパターンにパターニングしたフォトレジスト層14上に、例えば真空蒸着法を用いて、例えばホール輸送層の材料としてのTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル)、例えば発光層の材料としてのAlq3(トリス(8−キノリノ一ル)アルミニウム)、例えば陰極の材料としてのΑl(アルミニウム)を順に積層して、TPDからなるホール輸送層16、Alq3からなる発光層18、Αl陰極20を形成する。こうして、透明ガラス基板10上に、ITO陽極12、ホール輸送層16、発光層18、及びAl陰極20が順に積層され、各有機EL素子に共通の構造が形成される。
【0016】
次いで、図3に示すように、光源として高出力のレーザ、例えばKr(クリプトン)イオンレーザ又はAr(アルゴン)イオンレーザを用い、透明ガラス基板10の裏側からフォトレジスト層14にレーザ光を照射する。
【0017】
このとき、透明ガラス基板10及びITO陽極12は、Krイオンレーザ又はArイオンレーザが出力する可視領域の波長のレーザ光を透過する。また、ホール輸送層16をなすTPDや発光層18をなすAlq3等の有機物は、レーザ光によっては分解、蒸発し難い。しかし、フォトレジスト層14に含有されているローダミン系色素やクマリン系色素等のレーザ色素は可視領域の波長のレーザ光を吸収する特性をもっている。その結果、こうしたレーザ色素を含有しているフォトレジスト層14は、可視領域の波長のレーザ光の照射により、その分子同士の結合が開裂して、分解、蒸発する。
【0018】
従って、図4に示すように、このフォトレジスト層14の分解、蒸発に伴い、フォトレジスト層14上に積層されたホール輸送層16、発光層18、Al陰極20もフォトレジスト層14と一緒に除去される。即ち、所望のパターンにパターニングしたフォトレジスト層14上のホール輸送層16、発光層18、Al陰極20のみが選択的に除去されて、例えばホール輸送層16はホール輸送層16aとホール輸送層16bに、発光層18は発光層18aと発光層18bに、Al陰極20はAl陰極20aとAl陰極20bにそれぞれ切り離される。
【0019】
そして図5に示すように、ITO陽極12並びにその上に積層されたホール輸送層16a、発光層18a、及びAl陰極20aからなる有機EL素子22aと、ITO陽極12並びにその上に積層されたホール輸送層16b、発光層18b、及びAl陰極20bからなる有機EL素子22bとが分離して形成される。即ち、所望のパターンに従って各有機EL素子が分離して形成されることになる。
【0020】
このように本実施の形態に係る有機EL素子の製造方法によれば、各有機EL素子の分離領域のパターンにパターニングしたフォトレジスト層14をITO陽極12上に形成し、これらITO陽極12及びフォトレジスト層14上にホール輸送層16、発光層18、及びΑl陰極20を順に積層した後、フォトレジスト層14にレーザ光を照射して分解、蒸発させるというレーザアブレーション法を用いて、フォトレジスト層14と共にその上に積層されたホール輸送層16、発光層18、Al陰極20をも除去することにより、各有機EL素子の分離を行うことができる。
【0021】
そして各有機EL素子が分離される精度はフォトレジスト層14のパターンの精度に依存し、このフォトレジスト層14のパターンはフォトリソグラフィ法を用いて微細かつ高精度に形成することが可能であるため、各有機EL素子を高精度に微細化することが可能となる。従って、有機EL素子を用いたフラツトパネルディスプレイにおいて、その画素の高精度な微細化を実現することができる。
【0022】
なお、上記実施の形態に係る有機EL素子の製造方法においては、KrイオンレーザやArイオンレーザ等の高出力のレーザを用い、透明ガラス基板10の裏側からフォトレジスト層14にレーザ光を照射したが、フォトレジスト層14を分解、蒸発するために照射する光の光源としては、レーザに限られるものではなく、例えばフラッシュランプ等を利用することも可能である。また、有機EL素子の微小領域に限らず素子全面の広い範囲に照射してもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明に係る有機EL素子の製造方法によれば、透明電極上に所定の形状にパターニングしたレジストを形成し、これら透明電極及びレジスト上に、発光層を含む有機層及び金属電極層を順に積層した後、透明電極側からこの透明電極を透過してレジストに光を照射してレジストを蒸発させ、同時にこのレジスト上の発光層を含む有機層及び金属電極層のみを選択的に除去して、発光層を含む有機層及び金属電極層を分離することにより、各有機EL素子の分離を行うことができる。このとき、各有機EL素子が分離される精度はレジストのパターニング精度に依存し、このレジスト層のパターニングはフォトリソグラフィ法を用いて微細かつ高精度に行うことが可能であるため、各有機EL素子を高精度に微細化することが可能となる。従って、有機EL素子を用いたフラットパネルディスプレイにおいて、その画素の高精度な微細化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【符号の説明】
10……透明ガラス基板、12……ITO陽極、14……フォトレジスト層、16、16a、16b……ホール輸送層、18、18a、18b……発光層、20、20a、20b……Al陰極、22a、22b……有機EL素子。

Claims (7)

  1. 透明電極上に、所定の形状にパターニングしたレジストを形成する第1の工程と、前記透明電極及び前記レジスト上に、発光層を含む有機層を形成する第2の工程と、前記発光層を含む有機層上に、金属電極層を形成する第3の工程と、前記透明電極側からこの透明電極を透過して前記レジストに光を照射して、前記レジストを蒸発させると共に、前記レジスト上の前記発光層を含む有機層及び前記金属電極層のみを選択的に除去し、前記透明電極上に積層した前記発光層を含む有機層及び前記金属電極層を分離する第4の工程とを有することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層が、順に積層されたホール輸送層及び発光層であることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  3. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層が、順に積層された発光層及び電子輸送層であることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  4. 請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記発光層を含む有機層が、順に積層されたホール輸送層、発光層、及び電子輸送層であることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記第1の工程における、前記透明電極上に形成する前記レジストが、所定の波長の光を吸収する色素を含有し、前記第4の工程における、前記レジストに照射する光が、前記所定の波長を有していることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  6. 請求項5記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記レジストの材料として、耐熱性のポリイミド系レジストに、レーザー色素であるローダミン系色素やクマリン系色素を混入したものを用いることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  7. 請求項5記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記レジストに照射される光は、Krイオンレーザ又はArイオンレーザであること を特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
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