JP3857974B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸引した含塵空気中の塵を分離する第1塵分離部の下流側に、この第1塵分離部を通過した塵を分離する第2塵分離部を設けた電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から電気掃除機ではその電動送風機が塵を吸込むことを抑制するために、第1塵分離部の下流側に第2塵分離部を設けている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
前記特許文献1の電気掃除機は、円筒状の集塵機胴の内部を水平状の仕切板で下部集塵室と上部集塵室とに区画するとともに、これら両室を仕切板の中央部の排気筒により連通させ、かつ、上部集塵室の上端開口に排気ファン(電動送風機)を取付けている。下部集塵室の上部に接線方向の吸引口を設けて、この吸引口と下部集塵室とでサイクロン式の第1塵分離部を形成している。排気ファンの吸気側を覆うフィルタを上部集塵室に設けて、このフィルタと上部集塵室とで第2塵分離部を形成している。
【0004】
この電気掃除機では、排気ファンの運転により吸引口から吸引された含塵空気中の塵が、第1塵分離部で遠心分離されて下部集塵室の下端に取付けられたゴミ回収容器を兼ねる底蓋内に溜められるとともに、第1塵分離部内の空気は排気筒から第2塵分離部の上部集塵室に流入し、フィルタを通過して排気ファンに吸込まれた後、外部に排出される。この場合、フィルタは空気中に含まれる粉塵を濾過する。
【0005】
このように第1塵分離部を通った塵を捕捉するフィルタの上流側に第1塵分離部を設けた構成は、以下の点で好ましい。つまり、第1塵分離部がない構成では、第1塵分離部で除去すべき大きな塵がフィルタに付着するので、この大きな塵を原因としてフィルタが目詰まりしたと等価の状態になってしまう。しかし、第1塵分離部を備えることにより、この分離部で事前に大きな塵を除去できるので、フィルタの見掛け上の目詰まりを防止することが可能である。
【0006】
【特許文献1】
実願昭60−157686号(実開昭62−66755号)のマイクロフィルム(第3−5頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のサイクロン式の第1塵分離部とここで分離された塵を溜める底蓋とは、分かれることなく作られているが、上下方向には並んでおり、この並び方向に、この方向と直交する姿勢で第2塵分離部としてのフィルタが配置されている。この構成では、第1塵分離部、底蓋、及びフィルタの径は、いずれも円筒状の集塵機胴の径によって制限されていて、ほぼ同じ大きさとなっている。
【0008】
このように特許文献1の電気掃除機では、第1塵分離部を通過した塵を濾過するフィルタは、円筒状の集塵機胴、ひいては掃除機本体を大形にしない限り、大きくできないため、比較的早期にフィルタの目詰まりが起こり易い。これにより、フィルタを水洗いして再生したり、或いは新たなフィルタに交換する等、使用者に求められるメンテナンスの間隔が短く、その改善が求められている。更に、特許文献1のように慣性分離の一種であるサイクロン式分離を行う電気掃除機では、フィルタの目詰まりを原因とする風路抵抗の増大により、下部集塵室の吸引口に含塵空気を吸込む力が低下するに伴って塵を分離する作用が低下してしまい、したがって、掃除性能が低下し易い。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、第1塵分離部での慣性分離作用に基づく掃除性能の低下を抑制しつつ、第2塵分離部での濾過分離を行うフィルタ要素のメンテナンス性を改善できる電気掃除機を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、掃除機本体の吸込み口から電動送風機の吸気口に至る風路中に、この風路を流れる空気と塵とを慣性分離作用で分離する第1塵分離部を内部に設けた負圧室部と、この負圧室部に対し前記掃除機本体の上下方向又は左右方向或いは斜め方向に並設されかつ前記第1塵分離部で分離された塵を溜める塵溜め部と、この塵溜め部と前記負圧室部とを区画しかつ接続穴を有するとともにフィルタで覆われて前記負圧室部と塵溜め部を連通する通気開口を有した壁と、マット状のフィルタ要素を備えて前記第1塵分離部の下流側に配置されてこの第1塵分離部を通過した塵を分離する第2塵分離部とを夫々設けるとともに、前記第2塵分離部が、前記第1塵分離部と前記塵溜め部との並び方向に延びていて、前記塵溜め部の後方への投影領域の少なくとも一部と前記第1塵分離部の後方への投影領域内とにわたって配設され、前記第1塵分離部を通過しかつ前記塵溜め部を通らずに前記掃除機本体の後方に向けて流れる気流と前記接続穴を介して前記塵溜め部を通り前記通気開口から前記負圧室部に吸引された気流とを、前記フィルタ要素にその前側から通過させて、このフィルタ要素で細塵を捕捉することを特徴としている。
【0011】
本発明で、第1塵分離部は、濾材を用いないで慣性分離作用により空気と塵とを分離できるものであればよいが、この分離後に濾過分離をする濾材を第1塵分離部に補助的に付設することは妨げるものではない。ここに慣性分離作用をなす塵分離部には、空気と塵との運動エネルギーが異なることに基づく慣性力の差を利用して分離を行う直進流式の慣性分離装置、又は、前記慣性力の差を利用して遠心分離を行うサイクロン式の慣性分離装置等を挙げることができる。そして、後者のサイクロン式の慣性分離装置には、旋回流の進行方向に気流を流出させる直進流サイクロン式のものが含まれる。更に、本発明で、マット状のフィルタ要素には、紙、綿、布、グラスウール、不織布、発泡合成樹等の濾材を、単層又は複数種積層して、平板状フィルタ又は拡張型のプリーツフィルタとしたもの等を好適に使用できるとともに、このフィルタ要素の少なくとも上流側表面に、この表面への塵の付着を抑制する低摩擦係数の表面加工層を設けることも妨げない。又、本発明で、第1塵分離部と塵溜め部との並び方向は、掃除機本体の上下(縦)方向、左右(幅)方向、或いは斜め方向のいずれであっても差し支えない。しかも、本発明で、第1塵分離部の投影領域内とは、投影領域全体の場合も、一部の場合も包含するものである。なお、本発明で、第2塵分離部のフィルタ要素に対する塵落とし手段を設けることは妨げない。
【0012】
本発明では、第1塵分離部に対して塵溜め部が並べられていることに着目し、この並び方向に第2塵分離部を延ばして、この第2塵分離部を、第1塵分離部の投影領域内だけではなく塵溜め部の投影領域の少なくとも一部にも配設した構成であるので、第1塵分離部を通過した塵を濾過するマット状のフィルタ要素を備えている第2塵分離部を大きくできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図6を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0014】
図1中符号10で示す電気掃除機が備える掃除機本体20には、可撓性の吸塵ホース21の一端部が着脱可能に接続され、このホース21は他端部に手元操作部22を備えている。手元操作部22には伸縮可能な延長管23が着脱可能に接続され、延長管23の先端部には吸込み口体24が着脱可能に接続される。手元操作部22はハンドル22Aを有し、このハンドル22Aには遠隔操作用の操作スイッチ22Bが設けられている。
【0015】
図1ないし図3に示すように掃除機本体20は、本体ケース30と、本体ケース30に着脱自在に取付けられる集塵容器(ダストカップ)50と、蓋体40とを備えている。蓋体40はその後部が本体ケース30の前部にヒンジ結合されて上下方向に開閉可能に設けられている。
【0016】
本体ケース30は、後側の電動部34と前側の載置部35とを備えている。図2に示すように電動部34には電動送風機33が内蔵されていて、この電動送風機33の吸気口33Aはその大方が電動部34の上部側に寄っている。載置部35は、電動部34の下部から前方へ一体に突出されていて、上方に開放する凹状をなす皿状に形成されている。この載置部35には集塵容器50が着脱自在に載置される。蓋体40が閉じられることによって、蓋体40と載置部35とが集塵容器50を挟持して固定するようになっている。
【0017】
図3(B)に示すように電動部34の前面は開口され、この開口34Aは電動送風機33の吸気口33Aに対向するとともに連通している。開口34Aには後述するフィルタ80をその下流側から押えるためのリブを放射状に有したフィルタ押え34Bが設けられている。
【0018】
本体ケース30の幅方向両側壁には、本体ケース30の前側上部から後側下部にわたる斜状の膨出部36(一方のみ図示)が夫々一体に形成され、これら膨出部36の下端部に後輪37が回転自在に取付けられている。両膨出部36と本体ケース30の両側壁の前側部分には複数の排気孔からなる排気部38が設けられている。これらの排気部38は図示しない排気風路を介して電動送風機33の排気口33B(図2参照)と連通している。電動送風機33の排気口33Bから排気される空気は排気風路を介して排気部38から外に排気される。
【0019】
本体ケース30の電動部34には電動送風機33の下側に位置して図示しないバッテリー39が内蔵されている。バッテリー39の電力は電動送風機33等に供給される。なお、図示のバッテリーに代えて同部分にコードリールを配置して、このリールを介して商用交流電源の電力を電動送風機33等に供給することも可能である。
【0020】
蓋体40は、平面視がほぼ楕円形に形成された天板41と、この天板41の周囲に一体に形成された周壁42とを有している。周壁42の前部には吸塵ホース21を着脱可能に接続する吸込み口43を有した接続パイプ44(図2参照)が設けられている。接続パイプ44は、前後方向に延びており、その一端開口(前端)は吸込み口43をなし、他端(後端)45は開口している。
【0021】
図4ないし図6に示すように集塵容器50は、一面例えば図4において右側に位置する後面の略全体を開放してなる開口51を有している。更に、集塵容器50は、開口51と対向する例えば前面の壁50aに吸気入口52を有する容器ケース体53と、この容器ケース体53に設けられた把手部54とを有している。把手部54は例えば吸気入口52の下方に位置して壁50aに一体形成されている。
【0022】
容器ケース体53は、このケース体53の下部で形成した塵溜め部(集塵部)55と、この塵溜め部55の主として上方に並ぶように形成された負圧室部(負圧空間)56と、この負圧室部56内に設けられた第1塵分離部61と、この塵分離部61で分離された塵埃を塵溜め部55へ導く案内部63とを有している。第1塵分離部61と塵溜め部55とは上下に並設されている。
【0023】
塵溜め部55の底面は開放されている。塵溜め部55の底部には、底板57が軸J回りに開閉可能に取付けられており、この底板57を開けることにより塵溜め部55内に蓄積された塵埃を捨てることができる。底板57の閉じ状態は、把手部54に設けた操作釦の押し込みに連動する図示しない機構を介して解除されるようになっている。図4中符号74は底板57の内面に固定された環状のシール材を示し、これにより底板57を閉じた状態での塵溜め部55の下端部の気密が図られている。
【0024】
塵溜め部55と負圧室部56とは、開口51に寄った起立壁60とこの壁60の上端から折れ曲がって壁50aに連続する天井壁58とで区画されている。起立壁60及びこの上方の負圧室部56は、いずれも開口51に臨んでいる。塵溜め部55の天井壁58には塵溜め部55と負圧室部56とを連通する通気開口59が形成されている。通気開口59は塵溜め部55の略中央部に対向して設けられている。この通気開口59には図6に示すように例えばネットで作られたフィルタF1が取付けられている。
【0025】
天井壁58の起立壁60側には接続穴58A(図5参照)が形成されている。この接続穴58Aの下方には塵溜め部55内で旋回流を発生させるためのガイド壁55G(図4参照)が設けられている。
【0026】
第1塵分離部61は、慣性分離作用で空気と塵とを分離する直進流式の慣性分離装置をなすものであって、分離風路62aを形成する筒状の風路形成体62と、案内部63とを有している。
【0027】
図5及び図6に示すように風路形成体62は、一端及び他端をともに開口した中空円錐台状であって、その全周にわたって複数の分離開口64を等間隔に有しているとともに、これらの分離開口64を塞ぐフィルタF2(図2及び図4参照)を有している。詳しくは、風路形成体62は、大小一対の円形枠部W1、W2と、これら枠部W1、W2を連結した複数のリブW3とで構成されたフレームを備えている。各分離開口64は両枠部W1、W2及びリブW3によって囲まれた空間で作られている。フィルタF2は、例えばネットで作られていて、前記フレームの内周面に沿って筒状に取付けられている。したがって、風路形成体62はあたかもざるの軸方向両端を開口した構造をなしていて、この形成体62によって囲まれた分離風路62aが形成されている。
【0028】
この分離風路62aは掃除機本体20の軸方向(本実施形態では前後方向)に直線状に延びている。分離風路62aは、風路形成体62の分離開口64、容器ケース体53の負圧室部56、及び本体ケース30の電動部34の開口34Aを、順次介して電動送風機33の吸気口33Aに連通している。
【0029】
図4に示すように風路形成体62の大径な一端開口62Aの径は容器ケース体53の吸気入口52の径より大きく形成されている。風路形成体62はその一端開口62Aの内側に吸気入口52が位置するように容器ケース体53に接続されている。風路形成体62の小径な他端開口62Bの径は吸気入口52の径とほぼ同一に形成されている。これにより、風路形成体62の径は一端から他端に行くにしたがって直線的に漸減している。なお、風路形成体62の他端開口62Bの径は吸気入口52の径より小さくてもよい。
【0030】
風路形成体62の軸線と、蓋体40の接続パイプ44の軸線とはほぼ一直線状に連続し、これらの軸線延長線上に電動送風機33の吸気口33Aが向き合うように設けられている。蓋体40の接続パイプ44と、容器ケース体53の吸気入口52と、風路形成体62と、容器ケース体55の開口51と、電動送風機33の吸気口33Aとは、ほぼ同一高さ位置において掃除機本体20の軸方向(本実施形態では前後方向)に沿って順次配設されている。
【0031】
図4ないし図6に示すように案内部63は風路形成体62の他端開口62Bに連続して設けられている。詳しくは、案内部63は、風路形成体62の他端開口62Bの上部から斜め下方に向かって延びた傾斜壁部63Aと、この傾斜壁部63Aの一端から湾曲して下方に延びるとともに風路形成体62の他端開口62Bに対向する風当て壁部63Bと、傾斜壁部63A及び風当て壁部63Bの両側に形成された側壁部63Cとを有している。この案内部63は、風路形成体62の他端開口62Bに接合された開口63Dを有している。
【0032】
この案内部63の下部は、筒状をなして例えば上下方向に延びているとともに、接続穴58Aを覆って天井壁部58と起立壁60とにわたって接続されている。この接続により、案内部63は分離風路62aと塵溜め部55とを連通している。
【0033】
前記起立壁60は容器ケース体53の開口51より少し内側(前側)に設けられて、開口51に所定の深さH(図4参照)を与えている。この深さHを利用して開口51内に第2塵分離部をなすフィルタ80が着脱可能に装着されるようになっている。
【0034】
図4ないし図6に示すようにフィルタ80は、フィルタ枠81と、この枠81の内側全体を塞いで装着されるフィルタ要素82とを備えている。フィルタ要素82は濾材をマット状にしたものであり、特に本実施形態では濾過面積を拡張するためにプリーツ加工を施したプリーツ形のフィルタ要素を用いている。このフィルタ要素82のメッシュは、前段のフィルタF1、F2のメッシュより細かい。
【0035】
フィルタ80は容器ケース体53の開口51にちょうど嵌入可能な大きさに作られている。したがって、フィルタ80は、第1塵分離部61が内蔵された負圧室部56とこの下側に並んだ塵溜め部55との並び方向に延びているとともに、開口51への嵌め込みによる取付けによって、第1塵分離部61が内蔵された負圧室部56の後方への投影領域全体と、塵溜め部55の後方への投影領域の大部分とにわたって配設されている。言い換えれば、容器ケース体53に取付けられたフィルタ80の上部は、負圧室部56及びこの中の第1塵分離部61と対向し、かつ、同フィルタ80の下部は、起立壁60の大部分と近接し対向している。更に、図5及び図6に示すようにフィルタ80は、そのプリーツ形フィルタ要素82の折り目が上下方向に延びる姿勢で開口51内に配置されている。
【0036】
このフィルタ80の容器ケース体53の開口51内への嵌め込み深さは、容器ケース体53に設けた規制手段、例えば図4に示すように容器ケース体53の天井部に形成した段部53A及び起立壁60の根元53Bで規制され、この規制によりフィルタ80は、立てて、より好ましくは傾斜して例えば垂直に近い角度で前傾して装着される。ここに、前傾とは、フィルタ80全体若しくは後述のフィルタ要素82の上端が下端より、このフィルタ80を通過する気流を基準に上流側にせり出すように傾斜された状態を指している。前記嵌め込みの規制により、フィルタ80の下部と起立壁60の間には、上方の負圧室部56に比較して遥かに狭くしかも風路断面積が小さい空隙Gが形成される。
【0037】
次に、上記のように構成された電気掃除機10の動作を説明する。
【0038】
図3(A)に示すように集塵容器50を本体ケース30の載置部35に載置した後、図2に示すように蓋板40を閉じてから、図1に示すように吸塵ホース21を蓋体40の吸込み口43に接続する。この吸塵ホース21には、既に延長管23を介して吸込み口体21が接続されている。
【0039】
この状態で、手元操作部22Aの操作スイッチ22Bを操作して、電動送風機33を駆動させると、本体ケース30の開口34Aを通じて容器ケース体53の負圧室部56が負圧となる。この負圧は、風路形成体62の分離開口64、風路形成体62の分離風路62a、容器ケース体53の吸気入口52、蓋体40の接続パイプ44、吸塵ホース21、延長管23、及び吸込み口体21に順次作用するので、吸込み口体21から空気とともに塵埃が吸引される。
【0040】
吸引された塵埃及び空気は延長管23及び吸塵ホース21を介して蓋体40の吸込み口43へ吸引される。吸込み口43へ吸引された塵埃及び空気は、集塵容器50の吸気入口52を通って第1塵分離部61の風路形成体62の分離風路62aに吸引される。
【0041】
分離風路62aに吸引された空気の一部は、風路形成体62の分離開口64の第1フィルタF2を通って容器ケース体53の負圧室部56に吸引され、更に容器ケース体53の開口51に装着したフィルタ80を通って電動送風機33の吸気口33Aに吸引される。
【0042】
以上の空気の吸引において、掃除機本体20の前後方向に直線状に延びている分離風路62aに吸引された所定以上の質量のある塵は、その慣性により急激に方向を転換して分離開口64を通過することはできない。このため、前記質量のある塵は、分離開口64を通る空気と分離されて分離風路62aを直進し、案内部63の風当て壁部63Bに衝突するとともに案内部63に沿って塵溜め部55内へ導入される。
【0043】
これとともに、空気の一部は、前記質量のある塵と同様に案内部63を介して塵溜め部55内へ導入される。こうして導入された空気は、ガイド壁55Gによって塵溜め部55の内周面に沿って回転する下向きの旋回流となる。このため、塵溜め部55内へ導入された塵は前記旋回流により塵溜め部55の下部内周面に沿って圧縮されながら蓄積される。そして、塵溜め部55内に導入されて旋回流となった空気は、塵溜め部55内の中央部で上昇反転して、塵溜め部55の天井壁58の通気開口59を通って容器ケース体53の負圧室部56に吸引される。
【0044】
一方、重さの軽い塵は、第1塵分離部61の風路形成体62内の分離風路62aを直進することなく、電動送風機33の吸気負圧によって分離開口64のフィルタF2を通る空気に乗って流れていくので、フィルタF2の内周面に付着される。こうした軽い塵の付着によりフィルタF2の目詰まりが大きくなると、フィルタF2を通る風量は減少する。しかし、この減少分だけ負圧室部56の負圧が大きくなリ、天井壁58の通気開口59を通じて塵溜め部55内の負圧も大きくなる。このため、分離風路62aを直進する空気の風速及び風量が増加する。
【0045】
このように分離風路62aを直進する風速が大きくなると、その直進する空気がフィルタF2に付着した塵を剥がし易くなる。この際、筒状の風路形成体62の径が上流側の開口62Aから下流側の開口62Bに行くにしたがって漸減していることにより、分離風路62aを直進する風は、フィルタF2の全面に一様に当たって分離風路62aの中央部に寄せられながら流動する。このため、フィルタF2の内面に付着した塵をより剥し易くできる。これにより剥された塵は、質量の大きい塵と同様に案内部63を通って塵溜め部55内へ導入され、この塵溜め部55内で空気から遠心分離されて蓄積される。
【0046】
既述のようにフィルタF2を通る風量が目詰まりにより減少しても、分離風路62aを直進する風量が増加するので、電動送風機33が吸引する風量は略一定に保たれる。このため、フィルタF2の目詰まりに拘りなく、常に所定の吸引力で塵埃を吸引することが可能である。
【0047】
更に、第1塵分離部61では、含塵空気を旋回させるとともにこの旋回流の進行方向を反転させながら塵と空気とを遠心分離させるものではなく、粗塵などの質量が大きい塵が直進しようとする慣性力を利用して、この塵を空気から分離するので、第1塵分離部61での風路損は小さなものとなる。しかも、吸気入口52と分離風路62aと容器ケース体53の開口51と電動送風機33の吸気口33Aとが、ほぼ同じ高さ位置にあって前後方向に順次並んで配置されていることにより、空気が分離風路62aからフィルタF2を通って容器ケース体53の負圧室部56に吸引されていく際、その空気の主な流れは、図2中矢印Qで代表して示すように大きく変わることがなく、ほぼ同じ高さ位置を略直線的に流れて、電動送風機33に吸引される。
【0048】
これにより風路損は更に小さくなリ、電動送風機33の機能を十分に発揮させることが可能である。更に、蓋体40の接続パイプ44と筒状の風路形成体62とが一直線状に並んでいることにより、容器ケース体53の吸気入口52に向けて導入される空気の方向と風路形成体62の延びる方向とが略一直線状になるので、その風路損をより一層小さくできる。
【0049】
既述のように負圧室部56内の空気はフィルタ80を通過して電動送風機33に吸引されるので、フィルタF1、F2を通り抜けた微細な塵を、フィルタ80で捕捉できるとともに、これにより清浄になった空気を電動送風機33が吸引できる。
【0050】
以上の掃除動作では、濾過により塵分離をなすフィルタ80の上流側に、慣性分離作用により塵分離をなす第1塵分離部61を配置して、この第1塵分離部61で粗塵などを予め分離している。これにより、第1塵分離部61で除去すべき大きな塵がフィルタ80に付着して、この大きな塵を原因としてフィルタ80が早期に見掛け上の目詰まり状態となることを防止することが可能である。
【0051】
この場合、細塵等を濾過するフィルタ80は、第1塵分離部61を内蔵した負圧室部56とこの下に並んでいる塵溜め部55との両投影領域内にわたってこれらの並び方向に延びていて、第1塵分離部61の投影領域分だけではなく塵溜め部55の投影領域分を利用して配置されている。このため、容器ケース体53、ひいては掃除機本体20の大形化を伴うことなく、かつ、塵溜め部55の径等の大きさに制約されることなく、フィルタ80を大きくできる。
【0052】
これにより、第2塵分離部をなすフィルタ80は、その大形なフィルタ要素82全体で塵を濾過するので、フィルタ80での風路損を小さく抑制できるとともに、乱流の形成も抑制できる。したがって、フィルタ要素82が目詰まりして風路損が過大となる時期が遅くなる。言い換えれば、フィルタ要素82を水洗いして再生したり、或いは新たなフィルタ80に交換する等、使用者に求められるメンテナンスの間隔、つまり、フィルタ80の連続使用可能期間を長くできる。
【0053】
更に、以上のようにフィルタ80の大形化により風路損を小さくできるに伴い、掃除機本体20の吸込み口43に含塵空気を吸込む力が低下し難くなる。これにより、第1塵分離部61の分離風路62aを通る空気の流速の低下が抑制され、第1塵分離部61での慣性分離作用が早期に低下すること、言い換えれば、掃除性能の早期低下を抑制することが可能である。
【0054】
しかも、フィルタ80を傾斜させているので、そのフィルタ要素82の例えば上部(一端部)に吹き当たった主流Q(図2参照)の一部を、この主流Qの流れ方向を逆行させることなく、フィルタ要素82の下部、つまり、主流Qの流れ方向下流側に位置するフィルタ82の他端部側にフィルタ要素82の傾斜に沿って導くことが可能である。
【0055】
この場合に、フィルタ要素82は、プリーツ形であって、その折り目が上下方向に延びる姿勢で使用されているので、フィルタ要素82の前側(塵受け部55及び負圧室部56がある側)に開放して上下方向に延びる多数の溝(図6中符号82a参照)をガイドとして、フィルタ要素82の下部側に風を容易に行き渡らせることが可能である。
【0056】
以上のようにフィルタ要素82の一端側を通ろうとする主流Qの一部をフィルタ要素82の他端側に円滑に導いて、フィルタ要素82全体に風を行き渡らせ易いので、前記主流Qを維持しつつもフィルタ要素82の略全体を用いて細かい塵等を濾過できる点で好ましい。
【0057】
なお、電動送風機33の運転が停止された場合には、立てて前傾して使用されているフィルタ80の上流側表面に付着している塵の多くを、フィルタ80の前傾を利用して容易に自重で落下させることが可能である。こうして落下した塵は、フィルタ枠81の下端部及び前記空隙G内に溜められる。
【0058】
本発明は前記一実施形態には制約されない。例えば、プリーツ形のフィルタ要素82を用いた構成では、フィルタ要素82の下部(片端部)の上流側表面は、起立壁60に接触させてもよい。この場合には、前記各溝82aにより前記空隙Gを実質的に確保することが可能である。更に、前記一実施形態のフィルタF1、F2は省略できるとともに、塵溜め部55では旋回流を作るガイド壁55Gを省略することも可能である。又、第2塵分離部をなすフィルタ80の下方に、行き溜まり構造で、かつ、空隙Gと連通する他の塵溜め部を設けることは妨げない。この場合、他の塵溜め部は塵溜め部55の下端部に並べて容器ケース体53に形成し、その下端開口を底板57で塵溜め部55の下端開口と共に閉じることにより、行き止まり構造とすることが可能である。しかも、本発明では、第2塵分離部をなすフィルタ80は、前記一実施形態の本体ケース30に取外し可能に支持し、本体ケース30に集塵容器50を取付けるに伴って、この容器50の容器ケース体53が有する開口51に嵌り込むようにすることも可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、濾過分離を行うフィルタ要素が大形となり第2塵分離部でその風路損が小さくなるので、前段の第1塵分離部での慣性分離作用による掃除性能の低下を抑制できるとともに、フィルタ要素のメンテナンス性を改善できる電気掃除機を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図。
【図2】図1の電気掃除機の掃除機本体を一部断面して示す側面図。
【図3】(A)は蓋体を開けた状態で図2の掃除機本体を示す側面図。
(B)は蓋体を開けるとともに集塵容器を取外した状態で図2の掃除機本体を示す斜視図。
【図4】図1の電気掃除機が備える集塵容器にフィルタを取付けた状態を示す縦断面図。
【図5】図4の集塵容器とこれに取付けられるフィルタとを分離して後側から見て示す斜視図。
【図6】図4の集塵容器にフィルタを取付けた状態を示す横断平面図。
【符号の説明】
10…電気掃除機
20…掃除機本体
33…電動送風機
33A…吸気口
43…吸込み口
50…集塵容器(ダストカップ)
50…集塵容器の開口
55…塵溜め部
56…負圧室部(負圧空間)
57…底板
58…天井壁
59…通気開口
F1…フィルタ
60…起立壁
61…第1塵分離部
62…風路形成体
62a…分離風路
63…案内部
63B…風当て壁部
64…分離開口
80…フィルタ(第2塵分離部)
81…フィルタ枠
82…フィルタ要素
G…空隙
Claims (3)
- 掃除機本体の吸込み口から電動送風機の吸気口に至る風路中に、この風路を流れる空気と塵とを慣性分離作用で分離する第1塵分離部を内部に設けた負圧室部と、この負圧室部に対し前記掃除機本体の上下方向又は左右方向或いは斜め方向に並設されかつ前記第1塵分離部で分離された塵を溜める塵溜め部と、この塵溜め部と前記負圧室部とを区画しかつ接続穴を有するとともにフィルタで覆われて前記負圧室部と塵溜め部を連通する通気開口を有した壁と、マット状のフィルタ要素を備えて前記第1塵分離部の下流側に配置されてこの第1塵分離部を通過した塵を分離する第2塵分離部とを夫々設けるとともに、前記第2塵分離部が、前記第1塵分離部と前記塵溜め部との並び方向に延びていて、前記塵溜め部の後方への投影領域の少なくとも一部と前記第1塵分離部の後方への投影領域内とにわたって配設され、前記第1塵分離部を通過しかつ前記塵溜め部を通らずに前記掃除機本体の後方に向けて流れる気流と前記接続穴を介して前記塵溜め部を通り前記通気開口から前記負圧室部に吸引された気流とを、前記フィルタ要素にその前側から通過させて、このフィルタ要素で細塵を捕捉することを特徴とする電気掃除機。
- 前記第2塵分離部が、前記フィルタ要素を傾斜させて使用されている請求項1に記載の電気掃除機。
- 前記フィルタ要素が、プリーツ形であって、その折り目が上下方向に延びるように前記フィルタ要素が使用されている請求項1又は2に記載の電気掃除機。
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