JP3864800B2 - コネクタ及び雄端子金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタ及び雄端子金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハウジングに雄端子金具を挿入してなるコネクタとして、実開平6−9073号公報に開示されているものがある。これは、ハウジングのキャビティ内に後方から雄端子金具を挿入し、正規挿入位置において雄端子金具を前止まりするとともにランスにより抜け止めするようにしたものである。雄端子金具は、ランスとの係止孔を形成するための角筒部を有すると共に、雌端子金具との接続部として角筒部の前端からタブを突出させた形態となっている。そして、角筒部の前端面のうちタブの形成されていない領域が、キャビティの前端の前止まり用受け面に突き当たる前止まり部となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように角筒部の前端からタブを突出させた形態の雄端子金具は、所定形状に打ち抜いた板材を曲げ加工することによって成形されるが、加工上の理由から、角筒部の前端の前止まり部は雄端子金具の挿入方向に対して傾斜した面になることは避けられない。また、キャビティの内側壁と雄端子金具の外側面との間には寸法公差を考慮したクリアランスが設けられるため、雄端子金具がキャビティ内において挿入方向と交差する方向へガタ付きを生じることも避けられない。そのため、前止まり用受け面に対して前止まり部が当接して一旦前止まり状態になっても、その傾斜に沿って雄端子金具が斜めに変位しつつ更に前方へ遊動する虞があった。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、雄端子金具を確実に前止まりさせることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、角筒部の前端から先細りのテーパ状をなす連結部を突出させるとともに、前記連結部の前端から細長いタブを突出させた形態の雄端子金具を、ハウジング内のキャビティに後方から挿入し、正規位置まで挿入された前記雄端子金具を前止まりさせるようにしたコネクタにおいて、前記キャビティ内には、前記雄端子金具の挿入方向と概ね直交する受け面を設け、前記連結部を、下面板の両側縁から一対の側板を立ち上げるとともに一方の前記側板の上縁から内側へ上面板を延出させた形態の略角錘状とし、前記タブを、前記連結部の上下両面板及び前記一方の側板から前方へ延出させることで上下二つ折りの横向き略U字形とし、前記角筒部の上面を構成する壁部を、外板と内板とを重ね合わせた二重板構造とし、前記外板の前端から滑らかに斜め下方へ屈曲するように延出させた重ね板を、前記連結部の上面板の外面に重ね合わせ、前記重ね板の前端面を、前記雄端子金具の挿入方向と概ね直交する当接面とし、前記当接面を前記受け面に突き当てることで前記雄端子金具を前止まりする構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記角筒部における前記二重板構造の壁部には、互いに重なり合う前記外板と前記内板の後端縁によって抜止部が形成され、この抜止部に前記キャビティの樹脂ランスを係止させることで正規挿入位置の前記雄端子金具を抜け止めする構成とした。
請求項3の発明は、角筒部の前端から先細りのテーパ状をなす連結部を突出させるとともに、前記連結部の前端から細長いタブを突出させた形態であり、ハウジング内のキャビティに後方から挿入されるとともに、正規位置まで挿入されたところで前止まりされるようになっている雄端子金具において、前記連結部を、下面板の両側縁から一対の側板を立ち上げるとともに一方の前記側板の上縁から内側へ上面板を延出させた形態の略角錘状とし、前記タブを、前記連結部の上下両面板及び前記一方の側板から前方へ延出させることで上下二つ折りの横向き略U字形とし、前記角筒部の上面を構成する壁部を、外板と内板とを重ね合わせた二重板構造とし、前記外板の前端から滑らかに斜め下方へ屈曲するように延出させた重ね板を、前記連結部の上面板の外面に重ね合わせ、前記重ね板の前端面を、前記キャビティに対する挿入方向と概ね直交する当接面とし、前記キャビティへの挿入方向と概ね直交するように前記キャビティに設けた受け面に対し、前記当接面を突き当てることで前止まりされる構成とした。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記角筒部における前記二重板構造の壁部には、互いに重なり合う前記外板と前記内板の後端縁によって抜止部が形成され、この抜止部に前記キャビティの樹脂ランスを係止させることで正規挿入位置に抜け止めされる構成とした。
【0010】
【発明の作用及び効果】
[請求項1及び請求項3の発明]
挿入された雄端子金具は、その当接面をキャビティ内の受け面に対し、雄端子金具の挿入方向と概ね同じ方向に突き当てることによって前止まりされるので、雄端子金具を所定の正規挿入位置で確実に前止まりさせることができる。
【0011】
また、連結部は、プレスにより角筒部の前端部をテーパ状に変形させて形成されるために強度的に弱いのであるが、連結部の外面に重ね合わせられた重ね板によって補強される。また、当接面の外縁はエッジ状となるのであるが、この当接面は、先細りテーパ状の連結部の前端に位置していることから角筒部の外面よりも内側に配される。したがって、雄端子金具を挿入する際に、当接面の外縁がキャビティの内壁部(例えば、防水コネクタの場合においては防水用ゴム栓が密着されるシール面や、雄端子金具を抜け止めするためにキャビティの内壁に沿って設けられた樹脂ランス等)に傷を付ける虞はない。
【0012】
さらに、角筒部の外板と重ね板とは一枚板で構成されているので、その境界部、即ち角筒部の前端縁はエッジのない比較的滑らかに屈曲した面となっている。したがって、雄端子金具を挿入する際に、角筒部の前端縁がキャビティの内壁部(例えば、防水コネクタの場合においては防水用ゴム栓が密着されるシール面や、雄端子金具を抜け止めするためにキャビティの内壁に沿って設けられた樹脂ランス等)に傷を付ける虞はない。
【0013】
[請求項2及び請求項4の発明]
二重板部分にランスを係止させるようにしたので、一枚板を切欠した部分にランスを係止させる場合に比べて、係止代が大きく確保される。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図16を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、ハウジング10、フロントリテーナ30及び端子金具40(雄端子金具)を備えて構成されている。
【0015】
ハウジング10は合成樹脂製であって、その内部には複数のキャビティ11がハウジング10の前後両端面に開口して形成されている。これらのキャビティ11は、上下2段に分かれるとともに、各段において横に並ぶ形態で配置されている。キャビティ11の後端部内周面は円形断面のシール面12となっている。また、キャビティ11のシール面12よりも前方は方形断面をなし、その上面壁には段差状の受け部13が形成されている。この受け部13は、キャビティ11の長さ方向における中央よりも後方、即ち端子金具40の挿入口の近くに位置している。
【0016】
さらに、キャビティ11の前端部には、そのキャビティ11の下面壁の前端から立ち上がるように前面壁14が形成されており、この前面壁14には、端子金具40のタブ49を突出させるための開口15が形成されている。また、この前面壁14の後面における開口15の上縁部は、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向に対して直交する平坦な受け面16とされており、この受け面16は端子金具40を前止まりする機能を有している。尚、キャビティ11を構成する上下左右の壁部のうちランス17の基端部と概ね対応する位置よりも前方の部分は、各キャビティ11毎に独立して前方へ突出する形態となっている。
【0017】
また、キャビティ11の上面壁における前端部には、その上面壁に沿って前方へ片持ち状に延出した形態のランス17が形成されている。このランス17は、横断面形状が左右対称な凸字形をなしており、幅方向(左右方向)中央は上下の厚さ寸法の大きい肉厚部17Aとされ、その肉厚部17Aの左右両側は上下の厚さが肉厚部17Aよりも薄い肉薄部17Bとされている。ランス17の下面(端子金具40と対応する面)においては肉厚部17Aと肉薄部17Bの下面同士が面一状に連続するが、ランス17の上面(後述する撓み空間18,19A,19Bに臨む面)においては、肉厚部17Aが肉薄部17Bよりも上方へ突出した形態となっている。かかるランス17の前端下縁部は、端子金具40に係止してその端子金具40を抜止めするための係止部17Cとなっている。
【0018】
上段のキャビティ11のランス17の上方には、そのランス17の上方への弾性撓みを許容するための撓み空間18が、ハウジング10の前端面に開口する形態で形成されている。一方、下段のキャビティ11のランス17については、そのランス17の上方への弾性撓みを許容するための撓み空間19A,19Bが、上下両キャビティ11の間を区画する隔壁20を部分的に切欠することによって形成されている。この下段のランス17は隔壁20の一部を構成するものであって、この下段のランス17のための撓み空間19A,19Bは、肉厚部17Aと対応する撓み空間19Aと肉薄部17Bと対応する撓み空間19Bとから構成されている。肉厚部17A用の撓み空間19Aは、隔壁20の幅方向中央を上下両キャビティ11間を連通させるように貫通されるとともに、ハウジング10の前端面に開放された形態となっており、肉厚部17Aの上面が上段のキャビティ11に直接面している。一方、肉薄部17B用の撓み空間19Bは、隔壁20の下面側部分を切欠して隔壁20の厚さを薄くするとともに、ハウジング10の前端面に開放された形態となっている。そして、この隔壁20のうちの肉薄部17Bと対応する領域は左右一対の過度撓み規制部21となっており、ランス17が上方へ弾性撓みしたときには、この過度撓み規制部21に肉薄部17Bを当接させることでそのランス17の弾性限度を越えた過度の撓みが規制されるようになっている。
【0019】
フロントリテーナ30は合成樹脂製であって、ハウジング10の前端部に組み付けられる。上述したランス17及びその撓み空間18,19A,19Bの前方には、金型成形に伴ってハウジング10の前端面に開放するように形成される型抜き空間が存在しているが、フロントリテーナ30には、この型抜き空間に嵌入される嵌入部31が形成されている。そして、この嵌入部31には、ランス17の撓み空間18,19A,19Bへの弾性撓み(端子金具40から解離する方向への弾性撓み)を規制するための撓み規制部32が、各撓み空間18,19Bと対応して突出形成されている。撓み規制部32は、ランス17の両肉薄部17Bと対応するように、各ランス17に対して夫々左右一対ずつ設けられている。
【0020】
上段側の撓み空間18に嵌入した撓み規制部32は、肉薄部17Bの上面と撓み空間18の天井面とに当接することによってランス17を撓み規制する。下段側の撓み空間19Bに嵌入した撓み規制部32は、肉薄部17Bの上面と隔壁20の下面の過度撓み規制部21とに当接することによってランス17を撓み規制する。このように、撓み規制部32は、ランス17の肉厚部17Aと肉薄部17Bとの厚さの差によって形成される段差空間内に進入される。
【0021】
端子金具40は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工して成形されたものであって、全体として前後方向に細長い形態となっている。端子金具40の長さ方向における略中央部分は角筒部41となっている。角筒部41は、下面板の左右両側縁ら一対の側板を立ち上げ、一方の側縁の上縁における前後両端部から内向きに延出した内板42の上面(外面)に、他方の側板の上縁における前後両端から内向きに延出した外板43を重ね合わせた形態となっている。また、一方の側板の上縁における両内板42の中間からは、受け板44が内向きに延出されて他方の側板の上縁に係止されている。また、角筒部41のうち前側の内板42と外板43とによる二重板構造の壁部においては、その内板42の後面と外板43の後面とが上下方向に略面一状に連続しており、この互いに重なり合う両板42,43の後端縁により抜止め部45が形成されている。
【0022】
さらに、角筒部41の下面板には、その幅方向中央であって前端に近い位置を下方(外面側)へ切り起こすことによって、逆挿入規制突起46が形成されている。この逆挿入規制突起46の前面は、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向に対して概ね直交する面となっている。また、前後方向における逆挿入規制突起46の位置については、端子金具40が正規挿入位置まで挿入された状態におけるキャビティ11の前面壁14から逆挿入規制突起46までの距離が、前面壁14からランス17の前端までの距離よりも小さくなるように設定されている。即ち、上段のキャビティ11に挿入された端子金具40の逆挿入規制突起46は隔壁20の撓み空間19Aを介して下段側のキャビティ11側に直接臨むようになるのであるが、この逆挿入規制突起46は、正規挿入状態において下段側のランス17と非干渉となるように配置されていることになる。
【0023】
角筒部41の前端部には先細りのテーパ状(略角錐状)をなす連結部47が形成されている。連結部47の下面板及び両側板は、角筒部41の下面板及び両側板に連なり、連結部47の上面板は、連結部47の一方の側板の上縁から内側へ延出されている。かかる連結部47の上面板の外面(上面)には、角筒部41の前側の外板43の前端から滑らかに斜め下前方へ延出された重ね板48が重ね合わせられている。この重ね板48の前端は、連結部47の前端、即ち連結部47から前方へ突出するタブ49の基端と対応する位置に達している。この重ね板48の前端部は、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向と平行となるように僅かに曲げられており、その前端面が、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向と直交する当接面50となっている。
【0024】
この連結部47の前端からは細長いタブ49が前方へ突出されている。タブ49は、連結部47の上下両面板及び一方の側板から前方に延出して上下二つ折り(横向きU字形)に形成したものであって、図示しない相手側の雌端子に接続される。さらに、角筒部41の後端からは電線接続部52が延出されている。電線接続部52は、底板の左右両側縁からカシメ片を立ち上げたオープンバレル状をなすものであって、電線53の絶縁被覆53aを剥いて露出させた芯線53bの端部がこの電線接続部52に圧着により接続されている。また、電線53における電線接続部52よりも後方には防水用のゴム栓54が嵌着されている。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のコネクタの組付けに際しては、まず、ハウジング10に対してフロントリテーナ30を仮係止状態に組み付ける。この仮係止状態では、図4に示すように、撓み規制部32はランス17の前端よりも前方に離れているため、ランス17の撓み空間18,19A,19B側への弾性撓みは許容されている。この状態から各キャビティ11に端子金具40を挿入する。挿入が進んで正規挿入位置に近くなると、角筒部41の上面の前端がランス17の下面に当接し、それ以降は、端子金具40の挿入が進むのに伴ってランス17が上方へ弾性撓みさせられて撓み空間18,19A,19B内に進出する。このとき、角筒部41の外板43の前端は斜め下向きに延出する重ね板48に対して滑らかに連なっているので、ランス17の下面を傷つけることはない。
【0026】
この半挿入状態を経た端子金具40が正規挿入位置に到達すると、ランス17が弾性復帰し、その前端の係止部17Cが角筒部41の上面の抜止め部45に対して後方から係止し、この係止によって端子金具40が後方への遊動を規制された抜止め状態とされる。また、端子金具40の当接面50がキャビティ11の受け面16に当接することによって、端子金具40は正規挿入位置において前止まりされる。このとき、当接面50と受け面16の双方が、キャビティ11に対する端子金具40の挿入方向に対して直交する面となっているので、端子金具40の前止まり位置は高い精度で決まる。
【0027】
尚、挿入の際には、角筒部41の下面に突成されている逆挿入規制突起46は、キャビティ11の底面に形成した逃がし溝24内を移動する。尚、上段のキャビティ11の逃がし溝24の前端側部分は撓み空間19Aと空間を共有している。また、正規挿入状態では、タブ49がキャビティ11の先端の開口15からハウジング10外へ突出される。また、ゴム栓54はキャビティ11の後端部のシール面12対して密着することにより、後方からキャビティ11内への浸水が防止される。
【0028】
全ての端子金具40を挿入したら、仮係止位置のフロントリテーナ30を押し込んで図1に示すように本係止位置とする。すると、撓み規制部32が撓み空間18,19B内に進入してランス17の肉薄部17Bと対応し、ランス17は、その肉薄部17Bと撓み規制部32との当接によって撓み空間18,19A,19B側への弾性撓みを規制され、端子金具40に係止した状態に保持される。これにより、端子金具40は二重係止状態となって確実な抜止めがなされる。
【0029】
さて、フロントリテーナ30を本係止位置に押し込むときに、半挿入のままの端子金具40が存在している場合、この端子金具40によって弾性撓みさせられたランス17が撓み空間18,19Bに進出しているので、そのランス17に撓み規制部32が突き当たることでフロントリテーナ30の押し込みが阻止され、これによって半挿入状態の端子金具40が存在している、ということが判る。
また、端子金具40を上下逆向きの姿勢で挿入した場合には、図6に示すように、端子金具40の逆挿入規制突起46がキャビティ11の受け部13に対して後方から係止し、これにより、それ以上の端子金具40の挿入動作が阻止される。この挿入阻止により作業者は端子金具40の向きが上下逆であることが判る。また、この挿入阻止状態では、タブ49の前端はキャビティ11の前面壁14には到達していないが、これは、キャビティ11の前面壁14から受け部13までの距離を、逆挿入規制突起46からタブ49の先端までの距離よりも大きく設定したことによる。
【0030】
さて、挿入した端子金具40を抜き取る際には、まず、ハウジング10からフロントリテーナ30を外し、この状態で抜き治具Jを前方からハウジング10内に差し込む。抜き治具Jは、前後方向に長い縦長の基板Jaの側面に、押動部Jbを突成したものであって、その押動部Jbにおけるハウジング10への差込方向先端にはテーパ状の誘導面Jcが形成されている。一方、コネクタ側においては、図8〜図10に示すように、ランス17の幅は端子金具40の幅よりも大きい寸法とされ、ランス17の肉薄部17Bが端子金具40よりも外側方へ突出している。さらに、キャビティ11を構成する側壁の上端縁は端子金具40の上面よりも低く切欠した形態とされており、この側壁の上端と肉薄部17Bの下面との間には、抜き用空間25がハウジング10の前端面に開放する形態で構成されている。この抜き用空間25に押動部Jbを進入させると、誘導面Jcが肉薄部17Bの下面に当接し、その後、抜き治具Jの差込みを進めるのに伴い、ランス17は、誘導面Jcの傾斜により案内されつつ上方へ弾性撓みさせられ、その前端の係止部17Cが端子金具40の抜止め部45から解離される。これにより、端子金具40の抜止め状態が解除されるから、あとは、電線53を摘んで端子金具40をキャビティ11から後方へ引き抜けばよい。
【0031】
上述のように本実施形態においては、キャビティ11に挿入された雄端子金具40が、その当接面50をキャビティ11内の受け面16に対し、雄端子金具40の挿入方向と概ね同じ方向に突き当てることによって前止まりされるので、雄端子金具40を所定の正規挿入位置で確実に前止まりさせることができる。
また、端子金具40の連結部47は、プレスにより角筒部41の前端部をテーパ状に変形させて形成されるために強度的に弱いのであるが、連結部47の外面に重ね合わせられた重ね板48によって補強され、変形防止が図られている。
【0032】
また、端子金具40の当接面50の外縁(上縁)はエッジ状となっているのであるが、この当接面50は、先細りテーパ状の連結部47の前端に位置していることから角筒部41の外面よりも内側(低い位置)に配されている。したがって、雄端子金具40を挿入する際に、当接面50の外縁がキャビティ11の内壁部(防水用のゴム栓54が密着されるシール面12や、雄端子金具40を抜け止めするためにキャビティ11の内壁に沿って設けられたランス17等)に傷を付ける虞はない。
【0033】
また、角筒部41の外板43と重ね板48とは一枚板で構成されているので、その境界部、即ち角筒部41の前端縁はエッジのない比較的滑らかに屈曲した面となっている。したがって、雄端子金具40を挿入する際に、角筒部41の前端縁がキャビティ11の内壁部(シール面12やランス17)に傷を付ける虞はない。
また、角筒部41の内板42と外板43からなる二重板部分にランス17を係止させるようにしたので、一枚板を切欠した部分にランスを係止させる場合に比べて、係止代が大きく確保されている。
【0034】
また、本実施形態のコネクタは、小型化を図るために下段側のランス17がキャビティ11間の隔壁20を兼ねる構造となっているのであるが、逆挿入規制突起46とランス17とが端子金具40の挿入方向において非干渉となるように配置した。したがって、逆挿入規制突起46とランス17の両方を前端近くに配置するとともに逆挿入規制突起46とランス17とを互いに上下反対側の面に振り分けて配置する構成としていても、その逆挿入規制突起46は隣接する下段側のランス17と干渉する虞がない。このように本実施形態によれば、ランス17にキャビティ11間の隔壁20を兼用させることによって小型化を図った上で、逆挿入規制突起46とランス17とを前端近くに配置することを可能にすることで、挿入抵抗の低減と逆挿入の早期検知とが実現されている。
【0035】
また、端子金具40が上下逆向きの姿勢で挿入されて逆挿入規制突起46が受け部13に当接することによってその端子金具40の挿入が規制された状態では、タブ49の前端は前面壁14には到達していない。したがって、タブ49が前面壁14に突き当たることに起因してそのタブ49に変形を来すことが防止される。
また、ランス17に肉薄部17Bを形成するとともに、キャビティ11間の隔壁20に過度撓み規制部21を形成したので、ランス17の弾性撓みを許容しつつ、ランス17の弾性限度を越えた過度の撓みを規制することができる。
【0036】
また、ランス17に、その撓み空間18,19A,19Bに臨む上面を幅方向において部分的に切欠した形態の肉薄部17Bと、この肉薄部17Bよりも厚い肉厚部17Aとを形成し、その肉厚部17Aと肉薄部17Bとの厚さの差によって形成される段差空間に撓み規制部32を進入させて、その撓み規制部32を肉薄部17Bに当接させることでランス17の弾性撓みを規制する構成としたので、ランス17と撓み規制部32とがその厚さの少なくとも一部を共有する形態となり、その共有した寸法分だけ、全体的に小型化(低背化)されている。
【0037】
また、ランス17は全幅に亘って肉薄にするのではなく部分的に肉薄にしているだけなので、ランス17全体としての強度が確保されている。さらに、肉薄部17Bに対応する撓み空間19Bは高さ寸法が大きいので、この肉薄部17Bに当接される撓み規制部32の厚さ寸法を大きくすることができ、これにより、撓み規制部32の強度も確保されている。
また、キャビティ11間の隔壁20のうち肉厚部17Aとの対応部分を部分的に切欠することで肉厚部17A用の撓み空間19Aを確保し、肉薄部17Bとキャビティ11間の隔壁20との間に形成された肉薄部17B用の撓み空間19B内に撓み規制部32を嵌入させる構成としたので、下段側のランス17の肉厚部17Aのための撓み空間19Aと、キャビティ11間の隔壁20とが、その厚さの少なくとも一部を共有するようになり、その共有寸法分だけ小型化(低背化)されている。
【0038】
また、肉厚部17Aは肉薄部17Bよりも撓み空間側へ突出しているためにランス17の弾性撓み量の制約となるのであるが、本実施形態では、肉厚部17A用の撓み空間19Aをキャビティ11間の隔壁20に確保しているので、ランス17の弾性撓み量を大きく設定することができ、これにより、ランス17と端子金具40との係止代を大きくして抜止めの信頼性が向上している。
また、肉厚部17A用の撓み空間19Aは、隔壁20の上下に位置するキャビティ11間を連通させる形態なので、隔壁を溝状に切欠した形態の撓み空間に比べて、ランス17の弾性撓み量を大きく確保することが可能となっている。また、キャビティ11間を連通させる形態であると、肉厚部17Aを隔壁20に当接させてランス17の撓みを制限するということはできないのであるが、本実施形態では、隔壁20のうち肉薄部17Bと対応する領域に過度撓み規制部21を設けているので、ランス17の過度撓みを確実に規制することができる。
【0039】
また、ランス17は左右対称なので、剛性の点でも左右対称となり、端子金具40の挿入過程などで弾性撓みするときに、ランス17の姿勢が左右いずれかに片寄る虞がない。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0040】
(1)上記実施形態では受け面をテーパ状の連結部に配したが、本発明によれば、受け面は、角筒部の外面に設けてもよい。
(2)上記実施形態では受け面をテーパ状の連結部の前端(タブの基端)に配したが、本発明によれば、受け面を連結部の傾斜の途中の位置に配することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における組付け状態の断面図
【図2】ハウジングの断面図
【図3】フロントリテーナの断面図
【図4】ハウジングにフロントリテーナを仮係止した状態の断面図
【図5】(a)抜き治具によりランスを撓ませて端子金具の抜止めを解除した状態の断面図(b)抜き治具の側面図
【図6】端子金具を上下逆向きに挿入した状態の断面図
【図7】(a)ハウジングのみの正面図(b)ハウジングにフロントリテーナを組み付けた状態の正面図
【図8】ハウジングの部分拡大正面図
【図9】端子金具を挿入した状態のハウジングの部分拡大正面図
【図10】ランスと抜き治具との位置関係をあらわす部分正面図
【図11】フロントリテーナの正面図
【図12】フロントリテーナの背面図
【図13】端子金具の斜視図
【図14】端子金具の斜視図
【図15】端子金具の製造過程の平面図
【図16】端子金具の底面図
【符号の説明】
10…ハウジング
11…キャビティ
16…受け面
17…ランス
40…端子金具(雄端子金具)
41…角筒部
42…内板
43…外板
45…抜止部
47…連結部
48…重ね板
49…タブ
50…当接面
Claims (4)
- 角筒部の前端から先細りのテーパ状をなす連結部を突出させるとともに、前記連結部の前端から細長いタブを突出させた形態の雄端子金具を、ハウジング内のキャビティに後方から挿入し、正規位置まで挿入された前記雄端子金具を前止まりさせるようにしたコネクタにおいて、
前記キャビティ内には、前記雄端子金具の挿入方向と概ね直交する受け面を設け、
前記連結部を、下面板の両側縁から一対の側板を立ち上げるとともに一方の前記側板の上縁から内側へ上面板を延出させた形態の略角錘状とし、
前記タブを、前記連結部の上下両面板及び前記一方の側板から前方へ延出させることで上下二つ折りの横向き略U字形とし、
前記角筒部の上面を構成する壁部を、外板と内板とを重ね合わせた二重板構造とし、
前記外板の前端から滑らかに斜め下方へ屈曲するように延出させた重ね板を、前記連結部の上面板の外面に重ね合わせ、
前記重ね板の前端面を、前記雄端子金具の挿入方向と概ね直交する当接面とし、
前記当接面を前記受け面に突き当てることで前記雄端子金具を前止まりする構成としたことを特徴とするコネクタ。 - 前記角筒部における前記二重板構造の壁部には、互いに重なり合う前記外板と前記内板の後端縁によって抜止部が形成され、この抜止部に前記キャビティのランスを係止させることで正規挿入位置の前記雄端子金具を抜け止めする構成としたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 角筒部の前端から先細りのテーパ状をなす連結部を突出させるとともに、前記連結部の前端から細長いタブを突出させた形態であり、ハウジング内のキャビティに後方から挿入されるとともに、正規位置まで挿入されたところで前止まりされるようになっている雄端子金具において、
前記連結部を、下面板の両側縁から一対の側板を立ち上げるとともに一方の前記側板の上縁から内側へ上面板を延出させた形態の略角錘状とし、
前記タブを、前記連結部の上下両面板及び前記一方の側板から前方へ延出させることで上下二つ折りの横向き略U字形とし、
前記角筒部の上面を構成する壁部を、外板と内板とを重ね合わせた二重板構造とし、
前記外板の前端から滑らかに斜め下方へ屈曲するように延出させた重ね板を、前記連結部の上面板の外面に重ね合わせ、
前記重ね板の前端面を、前記キャビティに対する挿入方向と概ね直交する当接面とし、
前記キャビティへの挿入方向と概ね直交するように前記キャビティに設けた受け面に対し、前記当接面を突き当てることで前止まりされる構成としたことを特徴とする雄端子金具。 - 前記角筒部における前記二重板構造の壁部には、互いに重なり合う前記外板と前記内板の後端縁によって抜止部が形成され、この抜止部に前記キャビティのランスを係止させることで正規挿入位置に抜け止めされる構成としたことを特徴とする請求項3記載の雄端子金具。
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