JP3876185B2 - 可変容量タービン及びこれを用いた可変容量ターボチャージャ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流量特性を変化させる機能を有する可変容量タービンに関し、特に、低コストで高い信頼性を有し、かつ流量切り替えによる性能低下を抑えることのできる可変容量タービン及びこれを用いた可変容量ターボチャージャに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンの出力を増し燃費を低減させる目的でターボ型過給機(ターボチャージャ)が用いられている。かかるターボチャージャは、大きくコンプレッサとタービンから構成され、エンジンの排気によってタービンが回転し、それによりコンプレッサが回転して大気を高圧空気としてエンジンへ送り込む。
【0003】
そして、エンジンの様々な運転状態に適した過給を行うために、エンジンの運転条件に応じてターボチャージャの流量特性(一定の圧力条件において流れる作動ガスの流量)を変えることのできるターボチャージャが望まれており、従来から、かかる流量特性を変化させる機能を有するターボチャージャが提案されている。
【0004】
図4及び図5は、かかる機能を有する従来のターボチャージャに用いられるタービンを例示した図である。まず、図4は、従来のVG(Variable Geometry)タービンの軸直角断面を示している。かかるVGタービン10は、一般のタービンと同様に、外周壁11、それに囲われたスクロール15、及び動翼12等で構成されているが、図に示すように、スクロール15内に複数の可動ノズル13が設けられている点に特徴がある。
【0005】
このVGタービン10では、エンジンの排気がタービン入口10aから前記スクロール15に流れ込み(図4の矢印イ)、その後スクロール15内を流れながら順次前記ノズル13間を通って(図4の矢印ロ)動翼12へ流れる。図に示した状態は、前記ノズル13間の面積(矢印ロの部分の面積)が広い状態であり、タービンに流れるガスの流量を大きくしている場合である。かかるガスの流量を小さくする場合には、前記ノズル13を図の矢印ハの方向へ動かし、前記前記ノズル13間の面積を小さくすることにより、タービンに流れるガス量を制御する。このように、従来のVGタービン10では、複数のノズル13を動かすことにより、流量を変化させる機能を達成している。
【0006】
次に、図5は、従来のVI(Variable Inlet)タービンの軸直角断面を示している。かかるVIタービンも同様に、外周壁21、スクロール25、及び動翼22等を有するが、可動なベーン24を設けたことを特徴としている。VIタービンでは、このベーン24を動かして排気ガスが流れるスクロール25の面積を変化させ、流量の制御を行っている。図に示す状態は、流量を小さくしている場合であり、タービン入口20aから入ったガス(図の矢印ニ)は、ベーン24によって面積を小さくされたスクロール25内を流れる(図の矢印ホ)。流量を大きくする場合には、ベーン24を図の矢印ヘの方向に動かす。これにより、ガスの流れる面積が図のa1からa2に広がり、ガスが多く流れるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のVGタービン10では、流量の切り替え性能は良いものの、複数のノズル13を動かす機構となっているため、構造が複雑であり、部品点数も多い。従って、コスト的に高く、また、部品集積誤差によるガタ、ノズル開閉操作でのヒステリシス、ノズルにかかる力の方向の逆転等の課題により信頼性が低下するという問題がある。
【0008】
また、上述した従来のVIタービン20では、構造が簡単であるため信頼性は高いものの、流量を1枚あるいは2枚のベーン24で制御するため、流量切り替え性能に劣り、更にベーン後流で流路が拡大して剥離やウェーク等が発生するので効率が低下する。
【0009】
そこで、本発明の目的は、流量特性を変化させる機能を有する可変容量タービンであって、低コスト、高信頼性、及び高性能を実現することのできる可変容量タービン、及びこれを用いた可変容量ターボチャージャを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、導入部においては完全に区切られており、内部においては動翼の高さ方向に両側から突き出して設けられた板状のフローガイドによって区切られている複数のスクロールと、当該スクロールへの流体の流入を制御するベーンとを設け、小流量制御時に最も内周の前記スクロールを使用するようにすると共に、前記複数のスクロールの巻き終わり位置をそれぞれ周方向にずらすことである。従って、本発明によれば、流量の変更を比較的簡単な構造で実現しているので、部品点数が少なく、低コストでかつ高信頼性を有することができる。また、動翼の高さ方向に両側から突き出して設けられた板状のフローガイドを設けること、小流量時に最内周のスクロールを用いること、及び各スクロールの巻き終わり位置をずらしたことにより、タービン効率の低下を抑制することができ、高性能を実現できる。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、導入した流体を旋回させながら動翼の半径方向に流入させて当該動翼を駆動するタービンにおいて、前記流体が導入した直後である導入部においては、互いに前記動翼の半径方向に区別されており、当該導入部以降の部分においては、互いに前記動翼の半径方向に貫通している、前記流体の通路となる複数のスクロールと、同スクロール間に動翼の高さ方向に両側から突き出して設けられた板状のフローガイドと、前記複数のスクロールの入口部を開閉することにより、当該タービンに導入する前記流体の容量を変化させる可動に設けられたベーンとを有することを特徴とする。
【0013】
また、上記の発明において、好ましい態様は、前記流体の容量が小さい場合に、前記ベーンによって、前記複数のスクロールのうちの最も前記動翼に近いスクロールに当該流体が導入されることを特徴とする。
【0014】
更にまた、上記の発明において、好ましい態様は、前記スクロールが終了する前記スクロールの巻き終わりの位置が、前記各スクロール毎に前記動翼の周方向に異なっていることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、可変容量ターボチャージャが、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可変容量タービンを有することである。
【0016】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0018】
図1は、本発明を適用した可変容量タービンの実施の形態例に係る軸直角断面図である。また、図2は、同タービンの軸心線に沿った断面図である。図1に示す可変容量タービン30が、本実施の形態例に係るタービンであり、可変容量ターボチャージャに用いられ、エンジンの運転条件に応じて流量を制御し、エンジンへの適切な過給を行おうとするものである。特に、本可変容量タービン30は、以下に詳述する、3つのスクロールを有する点、フローガイド37を有する点、各スクロールの巻き終わり位置をずらしてある点等に特徴を有し、低コスト、高信頼性、及び高性能を実現しようとするものである。
【0019】
図1に示すように、本可変容量タービン30は、外周壁31、当該外周壁31に囲われたスクロール35、可変ベーン34、及び動翼32等で構成されている。スクロール35は、図に示すように、タービン入口30a付近では、一つの空間であるが、その先においては3つのスクロール、即ち小スクロール35a、中スクロール35b、及び大スクロール35cに分かれている。また、これら3つのスクロールは、図1のXで示す導入部においては、仕切壁36によって完全に区切られているが、その内部(図1のYで示す部分)においては、半径方向に互いに貫通した形状となっている。
【0020】
更に、かかる内部における3つのスクロール間には、図1及び図2に示すように、フローガイド37が設けられる。かかるフローガイド37は、図2に示すように、動翼12の高さ方向(図2のZ)に延びた鍔状の板であり、その高さ(図2のh1)は境界層厚さ程度となっている。具体的には、各スクロール間の境界部分の長さ(図2のh2)の10〜20%の高さを有している。なお、図2は、図1におけるB―B断面図であるが、前述した導入部(図1のX部)での断面では、図2の点線で表した仕切壁36が各スクロール間に現れ、3つのスクロールは、完全に区切られた形状となる。
【0021】
また、上記3つのスクロール35a、35b、35cは、先に(図1のθ方向に)進むにつれ、流路面積が小さくなり、その面積がなくなった時点で終了するが、この終了する位置、即ち各スクロールの巻き終わりの位置が、それぞれ周方向(図1のθの方向)に異なった位置となっている。図1に示す例では、小スクロール35a、中スクロール35b、及び大スクロール35cの巻き終わり位置が、それぞれα、β、及びγで示す位置となっており、各巻き終わり位置が周方向にずらされている。
【0022】
前記可変ベーン34は、図1に示すように、前記3つのスクロール35a、35b、35cの入口に設けられ、図の矢印のように動くことが可能である。かかる可変ベーン34の位置により本可変容量タービン30の流量が変化し、図に示した位置(図の▲1▼)では、流量が最も小さくなる。かかる小流量制御時に、本可変容量タービン30では、最も内周側(半径方向の最も内側)に設けられている前記小スクロール35aが用いられることとなり、この点も本可変容量タービン30の特徴の一つである。また、可変ベーン34が、図の▲2▼あるいは▲3▼の位置に移動することにより、流路面積が大きくなり、可変容量タービン30の流量が大きくなる。なお、可変ベーン34の長さを図1に示す例よりも長くし、ベーンの先端が外周壁31の内側(図1のC部)に届くようにしても良い。
【0023】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係る可変容量タービン30は、以下のような作用及び効果を有している。本可変容量タービン30においても、その主な作用は従来のタービンと同様であり、タービン入口30aから入った排気が(図1の矢印ト)、スクロール35内を周方向に進みながら動翼32側に流れ(図1の矢印チ)、動翼32を回転させて大気放出される。これにより、本可変容量タービン30が用いられている可変容量ターボチャージャのコンプレッサが回転し、高圧空気がエンジンに供給される。
【0024】
本可変容量タービン30における流量の変更は、前述した3つのスクロール35a、35b、35cと可変ベーン34によって実現され、主に小、中、大の3段階の流量制御を行うことができる。下記表1は、かかる3段階の流量制御時の状態をまとめて表示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1の「ポジション」は、可変ベーン34の位置を意味し、小流量制御時では、その位置は、前述の通り、図1における▲1▼となり、可変容量タービン30に入った排気は、小スクロール35aにのみ流れることができ、その流路面積はA1となる。その際の排気の流れは、図2に示すF1のみとなる。
【0027】
流量を大きくし、中流量あるいは大流量に制御する場合には、表1に示すとおり、それぞれ可変ベーン34の位置を図1の▲2▼、▲3▼の位置とする。すると、それぞれ、表1に示されている流路面積と排気の流れが得られ、流量が増加する。
【0028】
このように、本可変容量タービン30では、1枚の可変ベーン34で流量を制御するため、構造が比較的簡単であり部品点数が少ないことから、低コストで信頼性の高いタービンを実現することができる。一方、流量も大きく3段階に切り替えることが可能であり、さらに各スクロールの中間位置で可変ベーン34を止めることにより、中間の流量にも調整可能であり、流量切り替え性能も悪いものではない。
【0029】
また、前述の通り、小流量制御時に最も内周側(半径方向の最も内側)に設けられている前記小スクロール35aを用いていることにより、小流量時の周方向の旋回距離を短くでき、壁面との接触による摩擦損失を低減できるので、タービン効率の低下を抑制することができる。
【0030】
次に、本可変容量タービン30における特徴の一つである前記フローガイド37の効果について説明する。図3は、従来のスクロール内における流体の流動を示した図である。即ち、本可変容量タービン30のように前記フローガイド37を有していない場合の一般的な流動を示している。図の(a)は、流体の半径方向の速度CR及び周方向の速度Cθを3次元グラフに表したものであり、(b)及び(c)は、それぞれ前記半径方向の速度CRの周方向(θ)の分布と翼(動翼32)高さ方向(Z)の分布を表したものである。
【0031】
通常、前記半径方向速度CRは、翼高さ方向において、図3の(a)及び(c)に示されるように、その両側の部分において発生する境界層で大きい値をとる傾向にある。図の(a)におけるEは、その境界層の厚さを示しており、図の(c)におけるH部は、境界層における速度CRを示している。このように翼高さ方向において速度が変化していることは、タービンの効率上好ましくなく、極力均一な速度分布が望まれる。
【0032】
本可変容量タービン30では、前述したように、上記境界層の厚さ(図3のE)程度の高さを有するフローガイド37がスクロール間に設けられているので、上述した境界層の発達を抑制でき、従って、速度の大きい部分がカットされるので翼高さ方向の速度の均一性を高めることができる。
【0033】
また、通常、スクロール内にフローガイド37のようなものがない場合には、半径方向(図3のR)の内側の流れは、その遠心力により外側へ移動しようとするため、中々動翼32側へ移動しない傾向がある。従って、スクロールの巻き終わり周辺でまとまって動翼32側へ移動する傾向となっている。よって、動翼32側へ移動する速度、即ちCRは、図3の(b)に示すように、周方向(θ)の最後の部分(図3の(b)のG部)で大きくなる。このような、速度変化は、前述した翼高さ方向と同様に、タービンの効率上好ましくなく、周方向においても極力均一な速度分布が望まれる。
【0034】
本可変容量タービン30では、フローガイド37がスクロール間に設けられているので、半径方向の内側の流れが外側に移動することを抑制することができる。言い換えれば、小スクロール35a及び中スクロール35b内の流れが、その外側のスクロールに移動することを抑制することができる。従って、従来よりも、流体を早く動翼32側に移動させられ、周方向の最終部分でまとまって動翼32側に移動することが軽減されるので、速度CRの周方向の分布の均一化を図ることができる。
【0035】
以上説明したように、フローガイド37を設けることにより、翼高さ方向及び周方向の流体速度の均一化を図ることができ、流動歪みを抑制できるので、タービン効率を従来よりも向上できる。
【0036】
更に、本実施の形態例に係る可変容量タービン30では、前述したように、各スクロールの巻き終わり位置が周方向にずらしてある。これにより、巻き終わり部分で発生するウェークの影響を周方向に分散することができ、周方向の流動歪みが低減し、当該歪みによるタービン効率の低下を抑制することができる。
【0037】
以上説明したように本実施の形態例に係る可変容量タービン30は、その簡単な構造から低コストでかつ信頼性が高い。また、フローガイド37等の特徴によりタービン効率の低下を極力防止することができ、性能的にも優れている。
【0038】
なお、上記実施の形態例では、スクロール35の数を3つとしたが、複数であれば3つでなくても良い。また、上記可変容量タービン30は、可変容量ターボチャージャに用いられるものとして説明したが、小型ガスタービンやエキスパンダタービン等他の用途に利用されても良い。
【0039】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0040】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、可変容量タービンにおいて流量の変更を比較的簡単な構造で実現しているので、部品点数が少なくなり、低コストかつ高信頼性を達成することができる。また、動翼の高さ方向に両側から突き出して設けられた板状のフローガイドを設けること、小流量時に最内周のスクロールを用いること、及び各スクロールの巻き終わり位置をずらしたことにより、タービン効率の低下を抑制することができ、可変容量タービン及びこれを用いた可変容量ターボチャージャの高性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した可変容量タービンの実施の形態例に係る軸直角断面図である。
【図2】図1に示すタービンの軸心線に沿った断面図である。
【図3】従来のスクロール内における流体の流動を示した図である。
【図4】従来のVGタービンを説明するために図である。
【図5】従来のVIタービンを説明するために図である。
【符号の説明】
10 VGタービン
10a タービン入口
11 外周壁
12 動翼
13 ノズル
15 スクロール
20 VIタービン
20a タービン入口
21 外周壁
22 動翼
24 ベーン
25 スクロール
30 可変容量タービン
30a タービン入口
31 外周壁
32 動翼
34 可変ベーン
35 スクロール
35a 小スクロール
35b 中スクロール
35c 大スクロール
36 仕切壁
37 フローガイド
Claims (4)
- 導入した流体を旋回させながら動翼の半径方向に流入させて当該動翼を駆動するタービンにおいて、前記流体が導入した直後である導入部においては、互いに前記動翼の半径方向に区別されており、当該導入部以降の部分においては、互いに前記動翼の半径方向に貫通している、前記流体の通路となる複数のスクロールと、同スクロール間に、前記動翼の高さ方向に両側から突き出して設けられた板状のフローガイドと、前記複数のスクロールの入口部を開閉することにより、当該タービンに導入する前記流体の容量を変化させる可動に設けられたベーンとを有することを特徴とする可変容量タービン。
- 請求項1に記載の可変容量タービンにおいて、前記流体の容量が小さい場合に、前記ベーンによって、前記複数のスクロールのうちの最も前記動翼に近いスクロールに当該流体が導入されることを特徴とする可変容量タービン。
- 請求項1又は請求項2に記載の可変容量タービンにおいて、前記スクロールが終了する前記スクロールの巻き終わりの位置が、前記各スクロール毎に前記動翼の周方向に異なっていることを特徴とする可変容量タービン。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可変容量タービンを有することを特徴とする可変容量ターボチャージャ。
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