JP3877873B2 - 灌流吸引装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、手術部位に灌流液を供給し、これを除去組織とともに吸引する灌流吸引装置に関する。
【0002】
【従来技術】
患部に灌流液を注入し、これを更に患部の除去組織と共に吸引除去する灌流吸引装置が知られている。特に眼科分野においては、白内障手術や硝子体手術等でこの灌流吸引装置が使用される。白内障手術では、装置は患者眼に供給された灌流液とともに、吸引孔を持つチップが先端に取り付けられたハンドピースにより除去組織を吸引し、吸引チューブの他端から廃液を排出する。
【0003】
ところで、この種の装置では手術中の吸引圧を制御する機構が不可欠で、このため吸引チューブの途中には吸引圧検出系と接続部を設け、この接続部を通して圧力センサにより吸引圧を制御しているものがよく知られている。しかし、圧力センサは吸引チューブ内の圧力を直接検出するので、患者眼より吸引した除去組織が吸引圧センサ部に侵入することがある。吸引圧検出系に廃液が侵入すると、その部分に雑菌が繁殖し、チューブ内に逆流して術中の院内感染の可能性が皆無とは言えない。この対策として、圧力センサと吸引チューブの接続部に使い捨てのフィルタ等を装着して、雑菌及び体内組織の移動を防ぐ方法が採られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接続部にフィルタ等を装着する方法は、フィルタの抵抗及びフィルタに付着した組織等の目詰まりにより、吸引圧を正確に検出することが難しい。
【0005】
また、吸引チューブを装置から取り外す際、患者眼より吸引した組織や液が装置との接続部より流出し、装置及びその周辺を汚すおそれもあった。
【0006】
本発明は上記問題点を鑑み、吸引圧検出系への吸引液の侵入を防止しつつ精度良く吸引圧を検出できる灌流吸引装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
また、吸引圧検出系に対する吸引チューブの着脱が容易な灌流吸引装置を提供することを技術課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0009】
(1) 手術部位に灌流液を供給し、これをハンドピースの吸引孔から吸引して吸引チューブを通して廃液袋に排出する灌流吸引装置において、ハンドピースに接続された吸引チューブ及び廃液袋に至る吸引チューブに接続されたチャンバであって、ピストン及びピストンロッドがダイヤフラムにより密封された状態で移動可能に配置されたチャンバと、該チャンバを装着するためのケースであって、吸引チューブの軸方向と直交する方向からピストン及びピストンロッドのいずれかを所定の荷重で押圧する押圧手段と , 押圧されない他方のピストン又はピストンロッドと接触する荷重検出素子を吸引チューブに対して押圧手段と反対側に配置し , チャンバを押圧手段と荷重検出素子との間に装着するチャンバ装着ケースと、を備え、ピストンが廃液流と接する面をピストン又はピストンロッドが押圧手段と接する面に対して大きくした、ことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態である灌流吸引装置の外観略図、図2は主要部の概略構成図である。
【0016】
1は灌流吸引装置の装置本体であり、2は術者に把持されるUSハンドピースである。USハンドピース2の先端には、吸引孔を持つ管状の破砕用チップ2aが取り付けられており、破砕用チップ2aに超音波振動を与えることにより水晶体の核を破砕乳化する。3は灌流圧や吸引圧等の各種の設定を行うための入力部である操作パネル、4はUSハンドピース2の破砕用チップ2aに超音波振動を生じさせるための電力を供給するケーブルである。本体1には装置全体の制御を行う制御部5が収納されている。
【0017】
10は患者眼Eに供給するための生理食塩水等の灌流液が入れられた灌流瓶であり、11は灌流液を患者眼Eへ導くための灌流チューブである。灌流瓶10はポール12に吊り下げられており、ポール12は上下動され、灌流瓶10の高さを変化できるようになっている。灌流瓶10の高さは患者眼E内の圧力を適度に維持するように設定される。
【0018】
灌流チューブ11の途中には制御弁14が設けられており、制御弁14の開閉により灌流液の流出制御が行われる。灌流チューブ11の一端は灌流瓶10側に接続され、他端は破砕用のUSハンドピース2側に接続される。USハンドピース2は手術段階や術式等により灌流吸引用ハンドピース等の各種ハンドピースが選択され、繋ぎ換えて使用される。
【0019】
16は柔軟性を持つ吸引チューブであり、USハンドピース2に取り付けられた破砕用チップ2aの吸引孔から吸引される灌流液とともに破砕乳化した白内障核等の組織を体外に排出するために使用される。吸引チューブ16の後方の途中には、吸引圧を検出する圧力検出部30(この詳細は後述する)、吸引圧を発生するための蠕動型の吸引ポンプ部20が設けられている。吸引ポンプ部20は制御部5により制御され、その吸引流量が調整される。吸引された廃液は廃液袋17に排出投入される。
【0020】
また、灌流チューブ11の制御弁14の手前と吸引チューブ16とはバイパスチューブ15により接続されており、その途中には灌流液を吸引チューブ16側に導いて吸引圧を下げるためのベント弁18が設けられている。
【0021】
6はフットスイッチであり、そのポジション位置の信号に対応して制御部5は装置を駆動制御する。例えば、USハンドピース2を使用する際には、灌流のみを行う灌流モード、灌流及び吸引を行う灌流/吸引モード、灌流、吸引及び超音波破砕を行う灌流/吸引/破砕モードの3つのポジション位置がある。
【0022】
次に、圧力検出部30の構成を図3に示す断面図に基づいて説明する。吸引チューブ16にはピストン42が組み込まれたチャンバ40が接続され、ピストン42はチャンバ40内を貫通するピストンロッド41と結合している。ピストン42及びピストンロッド41はそれぞれダイヤフラム43a、43b(本形態ではゴム膜を使用した。)によりチャンバ40内で密封された状態で、かつ図3上の上下方向に移動可能になっている。
【0023】
吸引チューブ16が接続されたこのチャンバ40は、装置本体1の側面から突出した下部ケース31と上部ケース32(図1参照)の間に装着するようになっている。下部ケース31には、付与される荷重を電圧の変化として出力する荷重検出素子であるロードセル45が固定配置されており、チャンバ40は下部ケース31に形成された凹部31aにその下端を差し込むことにより、ピストン42の下面がロードセル45の検出面に当接するように装着される。
【0024】
上部ケース32内には、チャンバ40が持つピストンロッド41をロードセル45側に所定の荷重で押圧する押圧ユニット50が設けられている。押圧ユニット50はロードセル45との間でチャンバ40を保持するためのチャンバ押え51、チャンバ押え51をチャンバ40側に付勢するための第1バネ52、チャンバ押え51と第1バネ52とを保持するホルダ53、このホルダ53内で上下動可能に保持されピストンロッド41を押圧するための押圧ロッド54、押圧ロッド54をピストンロッド41側に付勢する第2バネ55、押圧ロッド54の押圧力を調節するための調節ネジ56、により構成される。この押圧ユニット50は上部ケース32に設けられたレバー33を回すことにより図3の状態に下降するように構成されている。押圧ユニット50を下降させることにより、チャンバ40がロードセル45とチャンバ押え51との間で保持される。同時に、ピストンロッド41は第2バネ55のバネ力を受ける押圧ロッド54によりロードセル45側に押される。この押圧荷重は、上部ケース32のカバーを取り外して調節ネジ56を回すことにより、予め既知の値に調節しておくことができる。
【0025】
以上のような構成を備える装置において、その動作を以下に説明する。手術に際し、灌流瓶10の位置、USハンドピース2や吸引ポンプ部20への各チューブ類の取り付けやその他必要な準備を行う。吸引チューブ16の途中に接続されたチャンバ40は、その下端を前述のように下部ケース31の凹部31aに差込みして位置決めし、レバー33を手前に倒すことにより、押圧ユニット50を下降させて装着する。
【0026】
装置側の必要なセッティングができたら、術者はUSハンドピース2のチップ2aを眼内に差込み、フットスイッチ6の踏み込みにより、灌流液の供給動作、吸引動作及び超音波振動の動作をコントロールしながら超音波乳化吸引法による手術を行う。制御部5は、フットスイッチ6からの吸引用の信号が入力されると、吸引ポンプ20を駆動する。吸引ポンプ20により発生された吸引圧は吸引チューブ16を介してUSハンドピース2に至り、破砕用チップ2aの吸引孔から眼内の廃液が吸引される。
【0027】
圧力検出部30は常時吸引チューブ16内の吸引圧を検出している。以下に吸引圧の検出について説明する。チャンバ40内のピストン42は、ピストンロッド41を介して押圧ユニット50により一定の荷重でロードセル45の検出面に押さえ付けられている。吸引ポンプ20による吸引動作により吸引チューブ16内が陰圧の状態になると、ピストン42が吸引流と接する面はピストンロッド41が押圧ロッド54と接する面より広いため、ピストン42は作動板としての役割を果たしロードセル45を引っぱる方向の荷重が発生する。しかし、押圧ロッド54がピストンロッド41を介してピストン42を一定の荷重で押圧している為、ロードセル45からピストン42が引き離れることはない(そのような荷重に調整しておく)。このとき、ロードセル45にはパスカルの法則により次式で示される荷重が作用する。
【0028】
L= Lo− (Sp- Sr)*Pa
ここで、L:ロードセルに作用する荷重
Lo:ピストンロッドに作用する一定荷重
Sp:ピストンの面積
Sr:ピストンロッドの断面積
Pa:吸引チューブ内の吸引圧(大気圧より低い分を正の数値で表示)である。
【0029】
このような関係により、制御部5はロードセル45からの電圧変化の出力信号から、吸引チューブ16内の吸引圧を得ることができる。なお、吸引チューブ内が陽圧の状態ではピストン42がロードセル45に押付けられる方向に作用するが、上記の式の関係は保たれている。
【0030】
圧力検出部30により吸引チューブ16内の吸引圧が設定値に達したことが検出されると、制御部5は吸引ポンプ部20を停止させた後、吸引チューブ16内の圧力を設定値に保つ。必要に応じてベント弁18を開き、灌流液を吸引チューブ16側に導いて吸引圧を下げる。
【0031】
手術が終了して吸引チューブ16を取り外すときは、レバー33を起こす。この操作により、吸引チューブ16はチャンバ40とともに簡単に装置から取り外すことができる。また、吸引チューブ16内を流れる吸引液は、上記の構造により装置本体側のロードセル45とは隔離されいるので、装置側への吸引液の侵入を防止しつつ、常に精度良く吸引圧を検出することができる。吸引チューブ16の取り外し時も吸引液の漏れがないので、これによる医療従事者への感染の心配も無い。
【0032】
以上説明した実施の形態は種々の変容が可能である。図4に圧力検出部30の変容例を示す。先の形態に対して、図4の変容例ではチャンバ40内のピストン42´とピストンロッド41´の配置方向が異なっている。すなわち、吸引圧の変動を受けて移動するピストン42´が押圧ユニット50側の押圧ロッド50に当接しており、ピストンロッド41´がロードセル45の検出面に当接している。従って、吸引チューブ16内が陰圧の状態では、先の形態とは逆に、ピストン42´がロードセル45側に移動し、ピストンロッド41´をロードセル45に押付ける方向に荷重が発生する。このとき、ロードセル45にはパスカルの法則により次式で示される荷重が作用する。
【0033】
L= Lo+ (Sp- Sr)*Pa
ここで、L:ロードセルに作用する荷重
Lo:ピストンロッドに作用する一定荷重
Sp:ピストンの面積
Sr:ピストンロッドの断面積
Pa:吸引チューブ内の吸引圧(大気圧より低い分を正の数値で表示)である。
【0034】
なお、吸引チューブ16内が陽圧の状態では、ピストン42´をロードセル45より引き離す方向の荷重が発生するが、ロードセル45はピストンロッド41´により一定の荷重で押圧されている為、ピストンロッド41´がロードセル45を押す荷重は減少するものの、離れて検出不能になることはない。
【0035】
また、ロードセル45に一定の荷重を付与する手段としては、バネなどの弾性体に代えて空気圧、磁力、電気力、重力等を利用することもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、患者眼より吸引された組織及び廃液から隔離された状態で吸引圧を検出できるので、装置側へのこれらの侵入を防止しつつ精度良く吸引圧を検出できる。このため、院内感染及び装置の故障を防止できる。また、吸引圧検出系に対する吸引チューブの着脱も極めて容易に行え、その取り外し時も吸引した液が漏れる心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】灌流吸引装置の外観略図である。
【図2】灌流吸引装置の主要部の概略構成図である。
【図3】灌流吸引装置の圧力検出部の構成を示す断面図である。
【図4】灌流吸引装置の圧力検出部の変容例を示す断面図である。
【符号の説明】
16 吸引チューブ
40 チャンバ
41 ピストンロッド
42 ピストン
45 ロードセル
50 押圧ユニット

Claims (1)

  1. 手術部位に灌流液を供給し、これをハンドピースの吸引孔から吸引して吸引チューブを通して廃液袋に排出する灌流吸引装置において、ハンドピースに接続された吸引チューブ及び廃液袋に至る吸引チューブに接続されたチャンバであって、ピストン及びピストンロッドがダイヤフラムにより密封された状態で移動可能に配置されたチャンバと、該チャンバを装着するためのケースであって、吸引チューブの軸方向と直交する方向からピストン及びピストンロッドのいずれかを所定の荷重で押圧する押圧手段と , 押圧されない他方のピストン又はピストンロッドと接触する荷重検出素子を吸引チューブに対して押圧手段と反対側に配置し , チャンバを押圧手段と荷重検出素子との間に装着するチャンバ装着ケースと、を備え、ピストンが廃液流と接する面をピストン又はピストンロッドが押圧手段と接する面に対して大きくした、ことを特徴とする灌流吸引装置。
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