JP3890796B2 - 高分子発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロキサン系正孔輸送性高分子および高分子蛍光体の混合物を発光体として用いた高分子発光素子(以下、高分子EL素子ということがある。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックライトや平面ディスプレイとして、有機蛍光色素を発光層とし、有機電荷輸送化合物とを積層した二層構造を有する素子(特開昭59−194393号公報)や、高分子を発光材料とした素子(WO9013148号公開明細書、特開平3−244630号公報)が報告されている。これら有機材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子は、低電圧直流駆動、高輝度に加えて多色の発光が容易に得られるという特徴がある。
【0003】
これらの中で積層構造を有する素子において、低分子系化合物を発光材料としたものでは、用いる材料によっては材料の結晶化により素子の発光効率が低下する問題が、また高分子を発光材料としたものでは、効率が低いなどの問題が指摘されていた。
これらを改良するため、特開平8−231951号公報には低分子の正孔輸送材料へ低分子発光材料をドーピングすることも提案され、高い発光効率が達成されている。この場合、色素のドーピング量は5重量%程度であるが、ドーピング量の制御には共蒸着などの手法が必要であり、大面積化した場合に均一にドーピングすることが困難であり、作成が容易ではなかった。
そこで、これら高発光効率の達成および作成の容易化を達成するため、正孔輸送性高分子に発光材料や電荷輸送材料を混合すること(特開平4−212286号公報)や高分子発光材料に電荷輸送材料を添加すること(特開平5−247460号公報)が提案されている。
さらに、WO9501871号公開明細書において、正孔輸送性高分子と共役系高分子発光材料とのブレンド物が知られており、それを用いた高分子発光素子も提案されている。共役系高分子の重合度は2〜2000が、また、正孔輸送性高分子と共役系高分子発光材料を混合比率が1:1以上で混合することにより、発光効率が向上することが開示されている。また、正孔輸送性高分子としてカルバゾール基を側鎖に有するシロキサン高分子が開示されている。
【0004】
しかしながら、正孔輸送性高分子に、低分子の発光材料や電荷輸送材料を混合する方法では、混合膜中で低分子の発光材料が分離、凝集して濃度消光を起こす場合もあるという問題点があった。
また、正孔輸送性高分子と共役系高分子発光材料をブレンドする方法においてもさらなる高発光効率に加え、高耐熱性、長寿命特性が求められていた。
従って、作成が容易であるという高分子の特徴を有し、高発光効率で高耐熱性、長寿命な素子が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、作成が容易であるという高分子の特徴を有し、高発光効率で高耐熱性、長寿命な高分子発光素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような事情を鑑みて、高分子発光素子の耐熱性および発光特性を向上させるために鋭意検討した結果、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子に、高分子蛍光体を特定の混合比率で混合することで、発光効率および耐熱性、寿命特性に優れた高分子発光素子を与えることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記[1]〜[5]に係るものである。
[1]少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、シロキサン系正孔輸送性高分子、および高分子蛍光体を含む有機層を少なくとも1層有する高分子発光素子において、該シロキサン系正孔輸送性高分子がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子であり、該高分子蛍光体がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で、固体状態で蛍光を示す高分子蛍光体であり、かつ該シロキサン系正孔輸送性高分子の該高分子蛍光体に対する重量比が99:1〜60:40の範囲である高分子発光素子。
[2]高分子蛍光体が、下記式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれらの繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上である共役系高分子である[1]記載の高分子発光素子。
【化2】
−Ar1−CR1=CR2− ・・・・・(1)
〔ここで、Ar1は、主鎖の共役結合に含まれる炭素原子数が4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化合物基である。R1、R2は、それぞれ独立に水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、4〜20個の炭素原子を有する複素環化合物基およびシアノ基からなる群から選ばれる基を示す。〕
[3]陽極と有機層との間に、該有機層に隣接して正孔輸送層および/または正孔注入層を設けてなる[1]または[2]記載の高分子発光素子。
[4]陰極と有機層との間に、該有機層に隣接して電子輸送層および/または電子注入層を設けてなる[1]または[2]記載の高分子発光素子。
[5]陽極と有機層との間に、該有機層に隣接して正孔輸送層および/または正孔注入層を設けてなり、かつ陰極と有機層との間に、該有機層に隣接して電子輸送層および/または電子注入層を設けてなる[1]または[2]記載の高分子発光素子。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の高分子発光素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、シロキサン系正孔輸送性高分子、および高分子蛍光体を含む有機層を少なくとも1層有する高分子発光素子において、該シロキサン系正孔輸送性高分子がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子であり、該高分子蛍光体がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で、固体状態で蛍光を示す高分子蛍光体であり、かつ該シロキサン系正孔輸送性高分子の該高分子蛍光体に対する重量比が99:1〜60:40の範囲であることを特徴とするものである。
【0009】
該シロキサン系正孔輸送性高分子の該高分子蛍光体に対する重量比は95:5〜70:30の範囲であることが好ましい。
該シロキサン系正孔輸送性高分子の該高分子蛍光体に対する重量比が99:1より大きい場合は、十分な発光特性が得られない場合がある。また、60:40より小さい場合は、該高分子蛍光体と該シロキサン系正孔輸送性高分子が相分離する場合がある。
さらに、該有機層における該シロキサン系正孔輸送性高分子および該高分子蛍光体の重量の合計は、該有機層の重量に対して60重量%〜100重量%の範囲であることが好ましい。
また、該シロキサン系正孔輸送性高分子および該高分子蛍光体を含む該有機層において、該シロキサン系正孔輸送性高分子および該高分子蛍光体は、それぞれ1種類ずつ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0010】
本発明に用いるシロキサン系正孔輸送性高分子は、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子であることが必要である。
芳香族アミン化合物基を側鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子としては、(A)芳香族アミン化合物基の芳香族環が、主鎖をなすシロキサン高分子のケイ素原子に直接結合している高分子があげられる。
また、芳香族アミン化合物基を主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子としては(B)芳香族アミン化合物基の芳香族環が主鎖をなすもの及び(C)芳香族アミン化合物基の窒素原子および芳香族環が主鎖をなすもの等があげられる。
これらの中で、(A)芳香族アミン化合物基の芳香族環が、主鎖をなすシロキサン高分子のケイ素原子に直接結合している高分子及び(C)芳香族アミン化合物基の窒素原子および芳香族環が主鎖をなすものが好ましい。
これらの中で、下記一般式(2)(上記(A)に含まれる)および(6)(上記(C)に含まれる)で示されるものが好ましく、さらに好ましくは下記一般式(6)で示されるシロキサン系正孔輸送性高分子が例示される。
【化3】
{式中、R3は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。Ar2は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、または下記一般式(3)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基であり、Ar3およびAr4は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、下記一般式(4)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または、下記一般式(5)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar2とAr3の間、またはAr2とAr4の間、またはAr3とAr4の間に環を形成していてもよい。
【化4】
(式中、Ar5およびAr6は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)
【化5】
(式中、Ar7は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R6およびR7は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar7とR6の間、Ar7とR7の間、またはR6とR7の間に環を形成していてもよい。)
【化6】
(式中、Ar8は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、Ar9は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を示す。)}
【化7】
[式中、Ar10およびAr12は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、下記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または下記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar11は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、下記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または下記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar10とAr11の間、Ar10とAr12の間、またはAr11とAr12の間に環を形成していてもよい。R10、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、下記一般式(11)、(13)で表される基、または分子内で架橋して分子内のケイ素原子と結合していてもよい、あるいは分子間で架橋して隣接する分子のケイ素原子と結合していてもよい二価の酸素原子を示す。
【化8】
(式中、Ar13およびAr14は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R14は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar13とAr14の間、Ar13とR14の間、またはAr14とR14の間に環を形成していてもよい。)
【化9】
(式中、Ar15およびAr16は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)
【化10】
(式中、Ar17は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R17およびR18は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar17とR17の間、Ar17とR18の間、またはR17とR18の間に環を形成していてもよい。)
【化11】
(式中、Ar18は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、Ar19は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を示す。)
【化12】
{式中、Ar20およびAr22は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、上記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または、上記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、式中、Ar21は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、上記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar20とAr21の間、Ar20とAr22の間、またはAr21とAr22の間に環を形成していてもよい。また、R21およびR22は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、または分子内で架橋して分子内のケイ素原子と結合していてもよい、あるいは分子間で架橋して隣接する分子のケイ素原子と結合していてもよい二価の酸素原子を示す。また、式中、R23は、水素原子または下記一般式(12)を示す。
【化13】
(式中、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)}
【化14】
{式中、R27、R28およびR29は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基、または下記一般式(14)で表される芳香族アミン骨格を有する基を示す。
【化15】
(式中、Ar23は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、上記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar24およびAr25は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、上記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。)}]
【0011】
本発明に用いるシロキサン系正孔輸送性高分子の分子量については、高分子蛍光体との混合状態に影響することから、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲であることが必要であり、好ましくは103〜106、さらに好ましくは103〜5x105の範囲である。一方、重量平均分子量については制限はないが、103〜107の範囲が例示され、好ましくは103〜106の範囲である。
【0012】
また、本発明における高分子発光素子に用いられる高分子蛍光体として、高分子で固体状態で蛍光を示すものであれば特に制限はないが、有機溶媒に可溶な共役系高分子が例示される。可溶性の共役系高分子ではポリフェニレンおよびその誘導体、複素5員環化合物の2,5位での重合体およびその誘導体、多環芳香族化合物が炭素−炭素結合で結合した重合体およびその誘導体、またはポリアリーレンビニレンおよびその誘導体であり、特にポリアリーレンビニレンおよびその誘導体が好ましい。共役系高分子が可溶性であるためには側鎖に長鎖の置換基を有するそれぞれの誘導体が好ましい。ポリアリーレンビニレンおよびその誘導体では前記式(1)で示される繰り返し単位を1種類以上含み、かつそれの繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上含む重合体が挙げられる。該繰り返し単位の構造にもよるが、式(1)で示される繰り返し単位が全繰り返し単位の70モル%以上であることが好ましい。該共役系高分子は、式(1)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、2価の芳香族化合物基もしくはその誘導体、2価の複素環化合物基もしくはその誘導体、またはそれらを組み合わせて得られる基などを含んでいてもよい。また、式(1)で示される繰り返し単位や他の繰り返し単位が、エーテル基、エステル基、アミド基、イミド基などを有する非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。
【0013】
高分子蛍光体が式(1)の繰り返し単位を含む共役系高分子の場合、式(1)のAr1としては、共役結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化合物基である。
また、式(1)の繰り返し単位中のビニレン基に結合したR1、R2は、それぞれ独立に水素、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、6〜20個の炭素原子を有するアリール基、4〜20個の炭素原子を有する複素環化合物基並びにシアノ基からなる群から選ばれる基である。
具体的には、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、4−C1〜C14アルコキシフェニル基(ここでC1〜C14は炭素原子の数が1〜14であることを示す。以下も同様の意味で用いる。)、4−C1〜C14アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。複素環化合物基としては2−ピリジル基、2−キノリル基などが例示される。
式(1)の繰り返し単位を含む共役系高分子の具体例については、特開平3−244630号公報、特開平5−202355号公報、特開平6−73374号公報、特開平7−147190号公報、特開平7−278276号公報、特開平7−300580号公報、特開平9−35870号公報、特開平9−45478号公報、特開平9−111233号公報、特開平10−114891号公報、特開平10−324870号公報、WO9429883号公開明細書、WO9821262号公開明細書、WO9818996号公開明細書およびWO9827136号公開明細書に記載されるポリアリーレンビニレン類や特開平10−36487号公報に記載されるフルオレン系重合体等が好適に使用できる。
本発明に用いる高分子蛍光体の分子量については、シロキサン系正孔輸送性高分子との混合状態に影響することから、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲であり、好ましくは103〜106、さらに好ましくは103〜5x105の範囲である。一方、重量平均分子量については制限はないが、103〜107の範囲が例示され、好ましくは103〜106の範囲である。
【0014】
次に、本発明の高分子EL素子の構造としては、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子、および高分子蛍光体を含む有機層を少なくとも一層有しておればよく、公知の構造が採用される。
例えば本発明の高分子EL素子の構造として、▲1▼発光層の両面に一対の電極を有する素子構造、▲2▼正孔輸送層と発光層を積層し、該正孔輸送層の表面に陽極、該発光層の表面に陰極を有する素子構造、▲3▼発光層と電子輸送層を積層し、該発光層の表面に陽極、該電子輸送層の表面に陰極を有する素子構造、または▲4▼正孔輸送層と発光層と電子輸送層をこの順に積層し、該正孔輸送層の表面に陽極、該電子輸送層の表面に陰極を有する素子構造があげられる。ここで本発明の有機層は発光層に使用されるが、複数の有機層を用いてもよい。
【0015】
ここで、いずれの素子構造においても、発光層は、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子、および高分子蛍光体を含み、正孔輸送層は正孔輸送性材料を含み、電子輸送層は電子輸送性材料を含む。
これらの構造からなる本発明の高分子EL素子の形状、大きさ、材質、製造方法等は該有高分子EL素子の用途等に応じて適宜選択され、これらについては特に制限はない。
また、発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよく、さらに界面からの電荷注入の効率向上、界面の密着性向上や混合の防止等のためにいずれかの界面にバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、および各層の厚さについては特に制限はないが、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
これらの構造からなる本発明の高分子EL素子の形状、大きさ、材質、製造方法等は該高分子EL素子の用途等に応じて適宜選択され、これらについては特に制限はない。
【0016】
該シロキサン系正孔輸送性高分子および該高分子蛍光体を混合する方法に特に制限はないが溶液から行うことが一般的である。両者に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0017】
高分子EL素子作成の際に、これらの有機溶媒可溶性の該シロキサン系正孔輸送性高分子および該高分子蛍光体を用いることにより、溶液から成膜する場合、この両者の混合溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、またさらに電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0018】
発光層に例えば該高分子蛍光体以外の発光材料を混合使用してもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0019】
本発明の高分子EL素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、特に制限はないが、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、前記シロキサン系正孔輸送性高分子、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体が例示される。
【0020】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、前記シロキサン系正孔輸送性高分子、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、前記シロキサン系正孔輸送性高分子である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
本発明において、高分子EL素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体等が例示される。
【0021】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムがさらに好ましい。
【0022】
電荷輸送層の成膜方法に制限はないが、低分子電荷輸送材料では、真空蒸着法、溶液からの成膜による方法、高分子バインダーとの混合溶液から成膜する方法が例示される。また、高分子電荷輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電荷輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0023】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0024】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0025】
本発明において、透明または半透明の陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、ZnO、SnO2が好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0026】
次に、本発明で用いる陰極の材料としては、イオン化エネルギー仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金、グラファイト、またはグラファイト層間化合物等が用いられる。
【0027】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また陰極作製後、該高分子EL素子を保護する保護層を装着していてもよい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<数平均分子量の測定>
数平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
【0029】
参考例1
<高分子蛍光体1の合成>
2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩(1)を合成した。得られたホスホニウム塩47.75重量部、およびテレフタルアルデヒド5.5重量部を、エチルアルコール/クロロホルム混合溶媒に溶解させた。5.4重量部のリチウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液をホスホニウム塩とジアルデヒドのエチルアルコール/クロロホルム混合溶液に滴下し、重合した。引き続き、この反応溶液に1−ピレンカルバルデヒドのクロロホルム溶液を加えた後、さらにリチウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液を反応溶液に滴下し、室温で3時間撹拌しながら重合させた。一晩室温で放置した後、沈殿を濾別し、エチルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶解、これにエタノールを加え再沈生成した。これを減圧乾燥して、重合体8.0重量部を得た。これを高分子蛍光体1という。
モノマーの仕込み比から計算される高分子蛍光体1の繰り返し単位とそのモル比を下記に示す。分子末端にはピレニル基を有することを1H−NMRより確認した。
【化16】
(上式において、二つの繰り返し単位のモル比は、50:50であり、二つの繰り返し単位は、交互に結合している。)
該高分子蛍光体1のポリスチレン換算の数平均分子量は、4.0×103であった。該高分子蛍光体1の構造については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。
【0030】
参考例2
<高分子蛍光体2の合成>
2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩4.78重量部と、同じようにして得た、2−メトキシ−5−オクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドのホスホニウム塩4.28重量部とテレフタルアルデヒド1.01重量部と1−ピレンカルボキシアルデヒド1.15重量部とを、エチルアルコール80重量部/クロロホルム100重量部混合溶媒に溶解させた。12%リチウムメトキシドメタノール溶液10重量部とエタノール40重量部とを混合した溶液を、ホスホニウム塩とアルデヒドのエチルアルコール/クロロホルム混合溶液に滴下した後、引き続き室温で4時間反応した。一夜室温で放置した後、沈殿を回収し、エチルアルコールで洗浄後、この沈殿をトルエンに溶解し、これにエタノールを加え再沈精製した。2回再沈精製した後、これを減圧乾燥して、高分子蛍光体2.0重量部を得た。
これを高分子蛍光体2という。モノマーの仕込み比から計算される高分子蛍光体2の繰り返し単位とそのモル比を下記に示す。分子末端にはピレニル基を有することを1H−NMRより確認した。
【化17】
該高分子蛍光体2のポリスチレン換算の数平均分子量は、2.5×103であった。該高分子蛍光体2の構造については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。
【0031】
参考例3
<高分子蛍光体3の合成>
2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成した。得られたホスホニウム塩4.78重量部と、同じようにして得た、2−メトキシ−5−オクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドのホスホニウム塩4.28重量部とテレフタルアルデヒド0.51重量部、イソフラルアルデヒド0.51重量部と1−ピレンカルボキシアルデヒド1.15重量部とを、エチルアルコール80重量部/クロロホルム100重量部混合溶媒に溶解させた。12%リチウムメトキシドメタノール溶液10重量部とエタノール40重量部とを混合した溶液を、ホスホニウム塩とアルデヒドのエチルアルコール/クロロホルム混合溶液に滴下した後、引き続き室温で4時間反応した。一夜室温で放置した後、沈殿を回収し、エチルアルコールで洗浄後、この沈殿をトルエンに溶解し、これにエタノールを加え再沈精製した。2回再沈精製した後、これを減圧乾燥して、高分子蛍光体2.0重量部を得た。
これを高分子蛍光体3という。モノマーの仕込み比から計算される高分子蛍光体3の繰り返し単位とそのモル比を下記に示す。分子末端にはピレニル基を有することを1H−NMRより確認した。
【化18】
該高分子蛍光体3のポリスチレン換算の数平均分子量は、2×103であった。該高分子蛍光体3の構造については赤外吸収スペクトル、NMRで確認した。
【0032】
参考例4
<シラン化合物1の合成>
乾燥アルゴン雰囲気下、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンのジブロモ誘導体8.0gの乾燥テトラヒドロフラン溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液17mlを加えてリチウム化し、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンのジリチウム誘導体を生成した。
【0033】
乾燥アルゴン雰囲気下、ジメトキシメチルクロロシラン7.0gの乾燥テトラヒドロフラン溶液に、−78℃で、前記N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンのジリチウム誘導体の溶液を滴下して反応させた。−78℃で1時間攪拌した後、室温に戻し、過剰のジメトキシメチルクロロシランと溶媒を留去したのち、乾燥トルエンを加えて、乾燥アルゴン雰囲気下ガラスフィルターでリチウム塩を除いた。溶媒を留去し、粘稠な固体7.1gを得た。得られた反応物の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)より、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンのジメトキシメチルシリル誘導体およびビス(ジメトキシメチルシリル)誘導体が生成していることが確認された。以下、これをシラン化合物1という。
1H−NMR:0.40〔s〕(ケイ素原子に結合したメチル基)、2.28〔s〕(メチル基)、2.40〔s〕(メチル基)、3.60〔s〕(メトキシ基)、6.8〜7.6〔m〕(芳香族基)
【0034】
<正孔輸送性高分子1の合成>
シラン化合物1(6.5g)のテトラヒドロフラン溶液10mlに、攪拌しながらトリエチルアミン3.5ml、水0.65mlを加え、60℃で攪拌した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン/2―プロパノールで再沈精製して白色固体3.17gを得た。
得られた白色固体の核磁気共鳴吸収スペクトル(1H−NMR)には、0.0〜0.7ppm付近にケイ素原子に結合したメチル基のシグナル、1.8〜2.4ppm付近にフェニル環上のメチル基の幅広いシグナル、3.4〜3.7ppm付近にメトキシ基のシグナルおよび6.2〜7.6ppm付近に芳香族環のプロトンの幅広いシグナルが観察された。また、赤外吸収スペクトルには、1100cm-1、800cm-1付近にシロキサン結合由来の幅広いシグナル、3300cm-1付近に水酸基由来の幅広いシグナルが観測され、得られた高分子にN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−1、1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン基が繰り返し単位の一部として取り込まれていること、および、加水分解により生成した水酸基が一部、未反応のまま残っていることを確認した。また、分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィにて測定したところ、ポリスチレンに換算した重量平均分子量は、2.2×104、数平均分子量は6.2×103であった。
【0035】
上記で得られた白色固体(1.0g)のテトラヒドロフラン溶液15mlに、トリエチルアミン3mlを加えた後、トリフェニルクロロシラン1.7gを加え、55℃で攪拌した。過剰のトリフェニルクロロシランを失活させるために水を加えた。溶媒を留去後、トルエンに溶解し、分液ロートを用いて水と振ったのち、トルエン層を分離して溶媒を留去した。得られた固体をテトラヒドロフラン/2−プロパノールで再沈精製して白色固体0.85gを得た。
この白色固体の核磁気共鳴吸収スペクトル(1H−NMR)におけるシグナルの積分値比より、トリフェニルシリル基が取り込まれていることを確認した。また、赤外吸収スペクトルでは、3300cm-1付近に強度は弱いが、水酸基由来の幅広いシグナルが観測され、水酸基がまだ残っていることを確認した。分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィにて測定したところ、ポリスチレンに換算した重量平均分子量は、2.4×104、数平均分子量は7.9×103であった。
【0036】
さらに、トリフェニルクロロシランと反応させて得られた上記の白色固体(0.65g)のテトラヒドロフラン溶液20mlに、トリエチルアミン4mlを加えた後、ジフェニルメチルクロロシラン0.43gを加え、室温で攪拌した。前記のトリフェニルクロロシランとの反応の時と同様に反応の後処理をして得られた固体をテトラヒドロフラン/エタノールで再沈精製して白色固体0.48gを得た。以下、これを正孔輸送性高分子1という。
【0037】
得られた正孔輸送性高分子1の核磁気共鳴吸収スペクトル(1H−NMR)には、0.4〜0.6ppm付近にジフェニルメチルシリル基のメチルのシグナルが観測され、ジフェニルメチルシリル基が取り込まれていることを確認した。また、赤外吸収スペクトルでは、3300cm-1付近にシグナルが観測されず、水酸基が残っていないことを確認した。また、正孔輸送性高分子1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィにて測定したところ、ポリスチレンに換算した重量平均分子量は、2.9×104、数平均分子量は9.5×103であった。
【0038】
参考例5
<正孔輸送性高分子2の合成>
トリエチルアミンの代わりに水酸化テトラメチルアンモニウムを用いた以外は正孔輸送性高分子1と同様に、合成し正孔輸送性高分子2を得た。
【0039】
<素子の作成および評価>
実施例1
スパッタリングによって、200nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、高分子蛍光体2と正孔輸送性高分子1(重量比で1:4)のトルエン混合溶液を用いて、スピンコーティング法により80nmの厚みで成膜し発光層とした。均質な膜が得られた。次にこれを減圧下120℃で1時間乾燥した後、該発光層の上に、電子輸送層として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を40nm蒸着した。最後にその上に、陰極としてアルミニウム−リチウム合金(Al:Li=99:1重量比)を100nm蒸着して、2層構造の高分子発光素子を作製した。蒸着の時の真空度はすべて8×10-6Torr以下あった。
この素子に4V程度の電圧を印加すると、高分子蛍光体2のEL発光が観察された。ELピーク波長は534nmであった。輝度200cd/m2での発光効率は、5.0cd/Aであった。
この素子を25mA/cm2の電流密度で窒素気流中で連続駆動したところ、5時間エージング後の、輝度は704cd/m2であって、100時間後の輝度は、380cd/m2程度であった。また、このとき、駆動電圧は、10.3Vから13.1Vにわずかに上昇したのみであった。
実施例2
スパッタリングによって、200nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、高分子蛍光体1を21.2重量%と正孔輸送性高分子2を78.8重量%を含むトルエン溶液(固形分濃度3重量%)を用いて、スピンコーティング法により成膜し有機層とした。次にこれを減圧下120℃に昇温し、そのまま真空中で一晩放置し、71℃とした。引き続き該有機層の上に電子輸送層として、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを0.1〜0.2nm/sの速度で50nm蒸着した。最後に、その上に陰極としてアルミニウム−リチウム合金(Al:Li=99:1重量比)を50nm蒸着して、2層構造の高分子発光素子を作製した。蒸着の時の真空度はすべて8×10-6Torr以下あった。
この素子を2.5mA/cm2で定電流密度で、窒素雰囲気下で駆動し、発光スペクトルを測定したところ、ピーク波長538nmであり、高分子蛍光体1の蛍光スペクトルにほぼ一致した。さらに25mA/cm2で定電流駆動を連続的に行なった。5時間エージング後の輝度は732cd/m2であり、その輝度からの半減寿命は約118時間であった。また、5時間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率は0.032V/hrであった。
【0040】
実施例3
高分子蛍光体3を20重量%と正孔輸送性高分子2を80重量%を含むトルエン溶液(固形分濃度3重量%)を用いて、スピンコーティング法により成膜し有機層とした。次にこれを減圧下50℃に昇温し、そのまま真空中で一晩放置し、38℃とした。引き続き該有機層の上に電子輸送層として、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを0.1〜0.2nm/sの速度で50nm蒸着した。最後に、その上に陰極としてアルミニウム−リチウム合金(Al:Li=99:1重量比)を50nm蒸着して、2層構造の高分子発光素子を作製した。蒸着の時の真空度はすべて8×10-6Torr以下あった。
この素子を2.5mA/cm2で定電流密度で、窒素雰囲気下で駆動し、発光スペクトルを測定したところ、ピーク波長536nmであり、高分子蛍光体3の蛍光スペクトルにほぼ一致した。さらに25mA/cm2で定電流駆動を連続的に行なった。5時間エージング後の輝度は822cd/m2であり、その輝度からの半減寿命は約47時間であった。また、5時間エージングした後における駆動中の駆動電圧の上昇率は0.044V/hrであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の高分子発光素子は、作成が容易であるという高分子の特徴を有し、高発光効率で高耐熱性、長寿命なので、バックライトとしての面状光源,フラットパネルディスプレイ等の装置として好ましく使用できる。
Claims (7)
- 少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、シロキサン系正孔輸送性高分子、および高分子蛍光体を含む有機層を少なくとも1層有する高分子発光素子において、該シロキサン系正孔輸送性高分子がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で、芳香族アミン化合物基を側鎖および/または主鎖中に有し、かつ該芳香族アミン化合物基の芳香族環とケイ素原子が直接結合してなるシロキサン系正孔輸送性高分子であり、該高分子蛍光体がポリスチレン換算の数平均分子量が103〜107の範囲で、固体状態で蛍光を示す高分子蛍光体であり、かつ該シロキサン系正孔輸送性高分子の該高分子蛍光体に対する重量比が99:1〜60:40の範囲であることを特徴とする高分子発光素子。
- 前記シロキサン系正孔輸送性高分子が、(A)芳香族アミン化合物基の芳香族環が、主鎖をなすシロキサン高分子のケイ素原子に直接結合している高分子、(B)芳香族アミン化合物基の芳香族環が主鎖をなすもの並びに(C)芳香族アミン化合物基の窒素原子および芳香族環が主鎖をなすものからなる群から選ばれる少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1記載の高分子発光素子。
- 前記シロキサン系正孔輸送性高分子が、下記一般式(2)および(6)で示されるものであることを特徴とする請求項1記載の高分子発光素子。
{式中、R 3 は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。Ar 2 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、または下記一般式(3)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基であり、Ar 3 およびAr 4 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、下記一般式(4)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または、下記一般式(5)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar 2 とAr 3 の間、またはAr 2 とAr 4 の間、またはAr 3 とAr 4 の間に環を形成していてもよい。
(式中、Ar 5 およびAr 6 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)
(式中、Ar 7 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar 7 とR 6 の間、Ar 7 とR 7 の間、または R 6 とR 7 の間に環を形成していてもよい。)
(式中、Ar 8 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 8 およびR 9 は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、Ar 9 は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を示す。)}
[式中、Ar 10 およびAr 12 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、下記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または下記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar 11 は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、下記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または下記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar 10 とAr 11 の間、Ar 10 とAr 12 の間、またはAr 11 とAr 12 の間に環を形成していてもよい。R 10 、R 11 、R 12 およびR 13 は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、下記一般式(11)、(13)で表される基、または分子内で架橋して分子内のケイ素原子と結合していてもよい、あるいは分子間で架橋して隣接する分子のケイ素原子と結合していてもよい二価の酸素原子を示す。
(式中、Ar 13 およびAr 14 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 14 は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar 13 とAr 14 の間、Ar 13 とR 14 の間、またはAr 14 とR 14 の間に環を形成していてもよい。)
(式中、Ar 15 およびAr 16 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 15 およびR 16 は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)
(式中、Ar 17 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 17 およびR 18 は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。また、Ar 17 とR 17 の間、Ar 17 とR 18 の間、またはR 17 とR 18 の間に環を形成していてもよい。)
(式中、Ar 18 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基を示し、R 19 およびR 20 は、それぞれ独立に、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示し、Ar 19 は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を示す。)
{式中、Ar 20 およびAr 22 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、上記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または、上記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、式中、Ar 21 は、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、上記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar 20 とAr 21 の間、Ar 20 とAr 22 の間、またはAr 21 とAr 22 の間に環を形成していてもよい。また、R 21 およびR 22 は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、または分子内で架橋して分子内のケイ素原子と結合していてもよい、あるいは分子間で架橋して隣接する分子のケイ素原子と結合していてもよい二価の酸素原子を示す。また、式中、R 23 は、水素原子または下記一般式(12)を示す。
(式中、R 24 、R 25 およびR 26 は、それぞれ独立に、水酸基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルコキシ基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、または7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基を示す。)}
{式中、R 27 、R 28 およびR 29 は、それぞれ独立に、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、7〜32個の炭素原子を有するアラルキル基、上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基、または下記一般式(14)で表される芳香族アミン骨格を有する基を示す。
(式中、Ar 23 は、6〜30個の炭素原子を有するアリーレン基、上記一般式(7)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(8)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。また、Ar 24 およびAr 25 は、それぞれ独立に、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、上記一般式(9)で表される芳香族アミン骨格を有する基、または上記一般式(10)で表される芳香族エテニレン骨格を有する基を示す。)}] - 陽極と有機層との間に、該有機層に隣接して正孔輸送層および/または正孔注入層を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
- 陰極と有機層との間に、該有機層に隣接して電子輸送層および/または電子注入層を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
- 陽極と有機層との間に、該有機層に隣接して正孔輸送層および/または正孔注入層を設けてなり、かつ陰極と有機層との間に、該有機層に隣接して電子輸送層および/または電子注入層を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子発光素子。
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