JP3894652B2 - 静電チャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等においてウエハを静電的に吸着保持して処理したり、搬送するための静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、半導体製造用装置において、シリコンウエハに対して成膜を行ったり、エッチングを施す場合には、シリコンウエハを平坦に保持することが必要である。このような保持手段としては、機械式、真空吸着式、静電吸着式が提案されている。
【0003】
これらの保持手段の中で静電的にシリコンウエハを保持することのできる静電チャックは、シリコンウエハの加工を行うに際して要求される加工面の平坦度や平向度を容易に実現することができ、さらにシリコンウエハを真空中で加工処理することができるため、半導体の製造に際して最も多用されている。
【0004】
従来の静電チャックは、電極板の上にアルミナ、サファイヤ等からなる絶縁層を形成したもの(特開昭60−261377号)、絶縁基板の上に電極層を形成しその上に絶縁層を形成したもの(特開平4−34953号)、絶縁基板内部に電極層を組み込んだもの(特開昭62−94953号)等が提案されている。
【0005】
近年、半導体素子の集積回路の集積度が向上するに従い、静電チャックの高精度化とともに、耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性に優れたセラミックス製静電チャックが要求されている。特に、窒化アルミニウムは他のセラミックス材料に比べて耐プラズマ性に優れていることから、これを用いた静電吸着面を窒化アルミニウムセラミックスからなる静電チャックが検討されている。
【0006】
一般に、絶縁体の体積固有抵抗値は温度が上昇するに伴い低下する。例えば窒化アルミニウムの場合には室温では1016Ω・cmから300℃で1011Ω・cm以下に減少するため、250℃の雰囲気で使用すると残留吸着などの問題が発生して安定した動作を得るのは困難であり、使用温度範囲に制限があった。特に、需要が多い150℃以下の使用温度では抵抗が1016Ω・cm以上であるために大きな吸着力が得られないという問題があった。
【0007】
これに対して、150℃以下の温度でも安定して静電チャックを使用するために、特開平2−160444号には、絶縁層を2層以上積層するとともにそれぞれの層に対応する電極層及び電気回路、スイッチングを設けて、室温から400℃までの広い温度領域の使用に耐えられるような構造が提案されている。また、特開平4−300137号には、静電チャック内にヒータ、熱電対などの温度検出器を取付け、外部に制御部を設けて温度変化にともなって電源部を制御して吸着力を安定させ、使用温度範囲を広げることも提案されている。さらに、特開平5−315435号は、誘電体層を複数の抵抗率の異なる材質で形成し、使用温度によって電圧印加の切り替えを行う方法を提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
静電チャックの静電吸着面を形成する誘電性絶縁体として、主として用いられている窒化アルミニウムやアルミナなどのセラミック系誘電性絶縁体では、低温から高温まで安定した吸着力を得るには至っておらず、上述のように静電チャックの構造を変えたり、電気的な制御により使用できる温度範囲を広げようとしてきた。
【0009】
しかし、前述したような絶縁層を2層以上積層して電極層を増やしたものや複数の抵抗率の異なる材質を誘電体層として用いた場合、電気回路も複雑となり、静電チャック自体の構造が複雑になるために製造工程が煩雑であり、そのために製品の信頼性が低下したり、コストが高くなるといった欠点があった。
【0010】
また、ヒータを内蔵してその温度を検知し、印加電圧を制御する方法においても静電チャック内に熱電対などの温度検知器を内蔵するために検知器が故障すると使用不可能になるという問題があり、またこの方法においてもセラミック材料の持つ特性は本質的に変化しないことから、その使用範囲には自ずと限界があることには変わりがない。
【0011】
従って、本発明は、簡易な構造を有しながらも、0〜100℃の温度範囲で優れた吸着特性を有する静電チャックを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点に対して静電チャックの表面を形成するセラミック抵抗体について特に静電チャックを構成する材料の観点から検討を重ねた結果、BaTiO3 結晶を主成分とするセラミックスを使用し、そのセラミックス中にSrを所定量含有せしめ、BaサイトをSrで置換し、半導体化することにより体積固有抵抗の変化を小さく抑えることができ、その結果として0〜100℃の温度範囲でも安定した吸着力が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0013】
即ち、本発明の静電チャックは、静電吸着面が、Ba、SrおよびTiを含有するペロブスカイト型結晶相を主体とするPTCセラミックスからなり、該PTCセラミックス中におけるSr/(Ba+Sr)原子比が0.3〜0.8であり、且つ且つ0〜100℃の体積固有抵抗が107〜1012Ω・cmであることを特徴とするものであり、さらに、前記PTCセラミックスが、周期律表第3a族元素あるいはAlを酸化物換算で10重量%以下の割合で含有すること、および厚み0.5mmの前記PTCセラミックスに500Vの電圧を印加して138g/cm 2 以上の吸着力が発生し得ることを特徴とするものである。
【0014】
【作用】
静電チャックにおける静電吸着面において、優れた静電吸着特性を発揮する上では、静電吸着面の体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmの範囲にあることが必要である。
【0015】
従来より、BaTiO3 は誘電体として広く用いられており、室温では約100Ω・cmの抵抗を有する。これに、Srを添加してBaのサイトに置換することによって、PTC(正特性サーミスタ)になることが知られている。そして、SrとBaとの比率を調整することにより、0〜100℃、特に−50℃から150℃の広い範囲で体積固有抵抗を107 〜1012Ω・cmの範囲に制御できる。
【0016】
本発明によれば、上記のような(Ba,Sr)TiO3 系誘電体材料により静電吸着面を形成することにより、格別に複雑な構造をとる必要がなく、広い温度範囲で優れた吸着特性を発揮することができる。
【0017】
これにより、静電チャック自体の構造や電気回路が簡単で、低コストで広範囲な温度領域で優れた静電吸着性を発揮し得る、安価で信頼性、長期安定性に優れた静電チャックを提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の静電チャックの一例の概略断面図を示す図1をもとに説明する。図1の静電チャックの静電チャックによれば、室温における体積固有抵抗が1014Ω・cm以上の絶縁体からなる絶縁基体1の表面に、所定の電圧が印加される電極層2が形成され、さらにその電極層2上にセラミック抵抗体からなる誘電体3(以下、誘電体層という。)が形成されている。
【0019】
誘電体層3は、少なくともシリコンウエハ4を吸着するための静電吸着面5を形成し、場合によっては、半導体製造装置内に露出している絶縁基体1の全表面に形成されている。なお、絶縁基体1内には、適宜、発熱抵抗体6を内蔵させたり、さらには冷却媒体を接触させたり冷却媒体の流路(図示せず)を設けて静電チャックを所定温度に維持するための温度保持手段を設けてもよい。
【0020】
本発明によれば、上記誘電体層3を、Ba、SrおよびTiを含有するペロブスカイト型結晶相を主体とするセラミックスからなり、セラミックス中におけるSr/(Ba+Sr)原子比が0.3〜0.8、特に0.45〜0.65のセラミックスによって形成する。
【0021】
BaTiO3 はペロブスカイト型結晶からなるものであるが、Srを含有せしめBaサイトをSrによって置換することによりセラミックスの抵抗の温度依存性を小さくすることができる結果、幅広い温度領域で安定した吸着力が得られる。
【0022】
Sr/(Ba+Sr)原子比を上記範囲に限定したのは、0.3よりもより少ないと体積固有抵抗の温度変化が大きくなり、広い温度範囲で目的の吸着力が得られず、0.8より多いと体積固有抵抗自体が大きくなって吸着力が得られなくなるためである。
【0023】
本発明によれば、上記の構成によって少なくとも0〜100℃、好ましくは−50〜150℃の体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmであることが必要である。この体積固有抵抗が107 Ω・cmよりも低いと流れる電流が大きすぎて吸着力が低下するとともに半導体素子を破壊してしまう。逆に1012Ω・cmより高いと応答性が悪くなり、電極層への電圧印加を停止してもウエハが離れず、スループットに影響を及ぼす。
【0024】
また、本発明によれば、(Ba,Sr)TiO3 の電気特性を安定化するため、Ce,Yなどの周期律表第3a族元素やAlを酸化物換算で10重量%以下、特に5重量%以下の割合で添加することもできる。なお、上記周期律表第3a族元素やAl量が酸化物換算で10重量%よりも多いと抵抗が大きくなり、0〜100℃の温度領域での吸着特性が得られない。
【0025】
上記のような誘電体層は、通常の粉末焼結法で製造することができる。例えば、BaCO3 、SrCO3 およびTiO2 を所定の割合で秤量した粉末を水で混合してボールミルで20時間混合後、乾燥し、1000〜1200℃で仮焼する。その後、仮焼粉末を振動ミルで72時間粉砕して平均粒径が0.6〜0.8μmの(Ba,Sr)TiO3 粉末を得る。得られた粉体を所望の成形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押出し成形等により任意の形状に成形したり、上記粉末を用いてスラリーを調製し、所定の基体の表面に塗布乾燥した後、大気などの酸化性雰囲気、あるいは窒素、窒素+水素などの非酸化性雰囲気中で1300〜1500℃で常圧焼成することにより作製することができる。
【0026】
また、緻密化を促進するために、周知のホットプレス法やガス圧焼結法また熱間静水圧焼成法を用いても構わない。例えば、ホットプレスでは250kg/cm2 の圧力で1250〜1350℃の温度で焼結させることが出来る。
【0027】
また、本発明による(Ba,Sr)TiO3 の電気特性を安定化するため、該材料に対して酸化物換算で10重量%以下の割合で、Ce,Yなどの周期律表第3a族元素を添加することができる。これらはCeO2 やY2 O3 として仮焼前の混合粉末に添加混合すればよい。
【0028】
【実施例】
BaCO3 、SrCO3 およびTiO2 を表1の割合で秤量後、これに水を混合してボールミルで20時間混合、乾燥後、1150℃で3時間仮焼した。また、混合の際にY2 O3 、CeO2 、Sm2 O3 、La2 O3 、Er2 O3 等の表1に記載の割合で添加した。
【0029】
次に、仮焼原料を振動ミルで72時間粉砕した。得られた粉体を60mmの円板にプレス成形し、1400℃で焼成して相対密度98%以上に緻密化した。なお、試料厚みは0.5mmに統一した。
【0030】
得られた試料に対して抵抗測定を行った。抵抗測定は試料を真空中150℃で1時間熱処理した後、乾燥した空気を導入し、さらに300℃まで昇温した後に乾燥した空気雰囲気中で測定を行った。また、室温以下は液体窒素で冷却した乾燥した空気を流して試料を冷却して、−50℃から150℃の温度範囲での体積固有抵抗と、0℃から100℃の温度範囲での体積固有抵抗を測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
また、静電チャックとして、上記の誘電体材料の表面に銀ペーストを電極パターンに印刷塗布し焼き付け処理した。そして、この銀電極を形成した誘電体材料を、電極形成面をAl2 O3 絶縁基板の表面に樹脂を用いて接着し、直径が60mmの円板状の静電チャックを作製した。なお、静電チャックの静電吸着面は、表面粗さ(Rmax)が0.4〜0.6μmになるように表面研磨した。そして、作製した静電チャックに対して、電極層に対して500Vの電圧を印加し、その時の静電吸着力を測定した。また、500g/cm2 の吸着力が発生し得る電圧を印加し、電圧遮断後、5秒後の吸着力を測定してこれを残留吸着力として表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1の結果から明らかなように、セラミックスの抵抗と吸着力は組成によって変化し、Sr/(Sr+Ba)比が0.3より小さい試料No.1では、抵抗変化が大きく、0.8よりも大きい試料No.5では、抵抗値が小さかった。
【0034】
これに対して、Sr/(Sr+Ba)比が0.3〜0.8の試料のうち、周期律表第3a族元素あるいはAl量が10重量%よりも多い試料No.13、14を除き、いずれも0〜100℃における体積抵抗が107〜1012Ω・cmの範囲を示し、特にSr/(Sr+Ba)比が0.45〜0.65であり、且つ周期律表第3a族元素あるいはAl量が酸化物換算で5重量%以下の試料No.3、6〜11、15では、−50℃から150℃の幅広い温度範囲において、107〜1012Ω・cmの範囲の抵抗を示し、その結果、いずれも138g/cm 2 以上の高い吸着特性と、低い残留吸着性を示した。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、静電チャックの材料として(Ba,Sr)TiO3 系セラミックスを用いることによって、0〜100℃において安定した抵抗特性を得ることができる結果、少なくとも0〜100℃の温度範囲内において静電チャックとして優れた吸着特性を有し、残留吸着力がなく吸着力も大きい静電チャックを提供できる。したがって、静電チャックとして優れた信頼性と長期安定性が得られるとともに、静電チャックの製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基体
2 電極層
3 誘電体層
4 シリコンウエハ
5 静電吸着面
6 発熱抵抗体
Claims (3)
- 静電吸着面が、Ba、SrおよびTiを含有するペロブスカイト型結晶相を主体とするPTCセラミックスからなり、該PTCセラミックス中におけるSr/(Ba+Sr)原子比が0.3〜0.8であり、且つ0〜100℃の体積固有抵抗が107〜1012Ω・cmであることを特徴とする静電チャック。
- 前記PTCセラミックスが、周期律表第3a族元素あるいはAlを酸化物換算で10重量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
- 厚み0.5mmの前記PTCセラミックスに500Vの電圧を印加して138g/cm 2 以上の吸着力が発生し得ることを特徴とする請求項1または2記載の静電チャック。
Priority Applications (1)
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| JP08638698A JP3894652B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 静電チャック |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP08638698A JP3894652B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 静電チャック |
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| JPH11284058A JPH11284058A (ja) | 1999-10-15 |
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Family Applications (1)
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| JP (1) | JP3894652B2 (ja) |
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1998
- 1998-03-31 JP JP08638698A patent/JP3894652B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH11284058A (ja) | 1999-10-15 |
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