JP3900512B2 - 脱水ケーキの臭気発生防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱水ケーキの臭気発生防止方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場、し尿処理場などの脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を長時間にわたって防止することができる脱水ケーキの臭気発生防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥は、次いで脱水機により脱水され、得られた脱水ケーキは埋め立てや、焼却のために搬出される。
脱水後の脱水ケーキは、腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などである。これらの中で、硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策は重要である。すなわち、脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
本出願人は、特開2000−202494号公報において、非塩素系、非金属系の処理剤を用いて、低コストで効果的に脱水ケーキの臭気の発生を防止する方法として、亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法を提案し、特開2000−288592号公報において、脱水ケーキ中に窒素分を残留させる亜硝酸塩の添加量を少なくして十分な消臭効果が発現する脱水ケーキの臭気発生防止方法として、酸化剤、金属塩又は有機系殺菌剤と亜硝酸塩を併用して汚泥スラリーに添加する方法を提案した。また、脱水ケーキに静菌剤を添加して、混合することなく防臭効果を発現させ、しかもその効果を持続することができる脱水ケーキの臭気発生防止方法として、脱水ケーキに、25℃において水100mLに20g以上溶解する静菌剤を添加する方法を見いだした。しかし、この方法によっても臭気発生防止効果の持続時間は48時間程度であり、さらに長時間にわたって臭気発生を防止し得る方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水処理場、し尿処理場などの脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を長時間にわたって防止することができる脱水ケーキの臭気発生防止方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水機により固液分離し、さらに固液分離後の脱水ケーキに静菌剤を添加するか、あるいは、汚泥に亜硝酸塩と水不溶性若しくは汚泥固形物質に吸着される静菌剤を添加して脱水機により固液分離することにより、脱水ケーキの臭気発生を長時間にわたって防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水機により固液分離し、固液分離後の脱水ケーキに静菌剤を添加することを特徴とする脱水ケーキの臭気発生防止方法、及び、
(2)静菌剤が亜硝酸塩である請求項1記載の脱水ケーキの臭気発生防止方法、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の脱水ケーキの臭気発生防止方法においては、汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水機により固液分離し、固液分離後の脱水ケーキに静菌剤を添加する。
本発明方法を適用する汚泥に特に制限はなく、例えば、下水処理汚泥、し尿処理汚泥、用水処理汚泥、紙パルプ工場などの工場排水処理汚泥などに適用することができ、また、凝集処理汚泥、生物処理汚泥のいずれにも適用することができる。
本発明方法において、汚泥に添加する亜硝酸塩に特に制限はなく、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。これらの中で、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム及び亜硝酸カルシウムは、入手と取り扱いが容易であり、脱水ケーキの二次利用の支障とならないので、好適に使用することができる。
【0006】
本発明方法において、汚泥への亜硝酸塩の添加量は、汚泥1L当たり30〜300mgであることが好ましく、汚泥1L当たり50〜200mgであることがより好ましい。亜硝酸塩の添加量が汚泥1L当たり30mg未満であると、臭気発生防止効果が不十分となるおそれがある。亜硝酸塩の添加量は、汚泥1L当たり300mg以下で72時間程度の臭気発生防止効果が十分に発現し、通常は汚泥1L当たり300mgを超える亜硝酸塩を添加する必要はない。
汚泥への亜硝酸塩の添加方法に特に制限はなく、例えば、亜硝酸塩をそのまま添加することができ、あるいは、亜硝酸塩を水溶液として添加することもできる。亜硝酸塩を水溶液として添加する方法は、定量ポンプなどを使用することができ、作業性が良好で運転管理が容易になるので、好適に用いることができる。
汚泥に亜硝酸塩を添加したのち、脱水するまでの時間は15分以上必要で、好ましくは1時間ないし5時間である。脱水するまでの時間すなわち接触時間が短いと、汚泥中の臭気発生に関与する微生物活動を抑制できない。
本発明方法において、汚泥の固液分離に用いる脱水機に特に制限はなく、例えば、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、真空脱水機、フィルタープレス脱水機などを挙げることができる。
【0007】
本発明方法において、静菌剤とは、細菌の発育あるいは増殖を阻止する薬剤である。本発明方法においては、一般に殺菌剤と称されている薬剤も、低濃度で用いることにより静菌作用を発現させ、静菌剤として使用することができる。本発明方法に用いる静菌剤としては、例えば、亜硝酸塩、次亜塩素酸塩、第四級アンモニウム塩、エタノール、ホルムアルデヒド、ピリチオン又はその誘導体、ソルビン酸などを挙げることができる。これらの中で、亜硝酸塩及びピリチオン又はその誘導体を好適に用いることができる。亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。ピリチオン又はその誘導体としては、例えば、ピリチオン、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、ジピリチオンなどを挙げることができる。
【0008】
本発明方法において、脱水ケーキに静菌剤を添加する方法に特に制限はなく、例えば、固体又は液体の静菌剤をそのまま脱水ケーキに添加することができ、あるいは、静菌剤の水溶液又は水分散液を脱水ケーキに添加することもできる。静菌剤を水溶液又は水分散液として添加する場合は、希釈倍率が大きいと、水分を多く加えることになり、ケーキ含水率を上昇させることになる。したがって、水溶液又は水分散液の濃度は、20重量%以上であることが好ましい。静菌剤を脱水ケーキに添加する場所に特に制限はなく、例えば、静菌剤を高濃度の水溶液又は水分散液とし、散布器を用いて、脱水ケーキの搬送部、ケーキホッパーへの落ち口などに散布することができる。
本発明方法において、脱水ケーキへの静菌剤の添加量に特に制限はなく、静菌剤の静菌力などに応じて適宜選択することができる。例えば、静菌剤として亜硝酸塩を用いるときは、その添加量は、脱水ケーキ1kg当たり500〜5,000mgであることが好ましく、脱水ケーキ1kg当たり1,000〜4,000mgであることがより好ましい。静菌剤としてピリチオン又はその誘導体を用いるときは、その添加量は、脱水ケーキ1kg当たり50〜500mgであることが好ましく、脱水ケーキ1kg当たり100〜300mgであることがより好ましい。
【0009】
亜硝酸塩は、汚泥及び脱水ケーキに対して臭気成分を分解する効果と臭気成分の発生を抑制する効果を有するが、汚泥中の微生物により分解され、その濃度が減少する。脱水ケーキ中に亜硝酸イオンが残存しなくなると、その時点から臭気発生が始まる。脱水ケーキでの亜硝酸塩の分解は、微生物濃度が高いために汚泥に比較してかなり大きく、また、経時的にその速度が速まる傾向がある。
本発明方法においては、汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水機により固液分離し、固液分離後の脱水ケーキに静菌剤、例えば、亜硝酸塩を添加する。亜硝酸塩を脱水前の汚泥に添加することにより、亜硝酸イオンの初期分解速度を低くし、その結果、脱水ケーキ中の亜硝酸イオンの分解速度は著しく低下して、亜硝酸イオンが長時間にわたって残存するために、脱水ケーキの臭気発生防止時間を大きく延長することが可能になると考えられる。亜硝酸塩の添加量が同じであっても、亜硝酸塩の全量を汚泥に添加して脱水機により固液分離する方法、あるいは、汚泥を固液分離して得られる脱水ケーキに亜硝酸塩の全量を添加する方法に比べて、亜硝酸塩を汚泥と固液分離後の脱水ケーキに分けて添加する本発明方法の方が、長時間にわたって脱水ケーキ中に亜硝酸イオンが残存し、臭気発生防止時間が顕著に延長され、72時間以上の臭気発生防止が可能となる。
脱水ケーキに添加する亜硝酸塩以外の静菌剤に関しては、その分解や機能低下については不明であるが、脱水前の汚泥に添加された亜硝酸塩によって、亜硝酸塩の分解能のみならず、臭気発生に係わる蛋白分解に関与する微生物の活性を低下させているものと推定される。
本発明方法によれば、脱水前の汚泥に添加する亜硝酸塩は、脱水ケーキに添加する静菌剤、又は、汚泥から脱水ケーキに伴われる水不溶性又は汚泥固形物に吸着される静菌剤の効果を高めるのみならず、脱水前の汚泥自体から発生する硫化水素、メチルメルカプタンなどの臭気を防止する。したがって、本発明方法によれば、汚泥貯留槽、脱水工程、脱水ケーキ貯留槽、脱水ケーキの搬出、運搬工程に至る広範な工程のすべてにおいて、臭気発生を防止することができる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
懸濁物質濃度22,000mg/L、懸濁物質中の有機分比率83.2重量%、pH5.1の下水混合生汚泥の処理を行った。
汚泥300mLに、亜硝酸ナトリウム45mgを添加し、2時間経過したのちカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.8重量%の脱水ケーキ27.3gを得た。
得られた脱水ケーキに亜硝酸ナトリウム54.5mgを加えて均一に混合し、テトラパックに窒素ガス675mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度をガス検知管[ガステック(株)]を用いて測定した。
汚泥への亜硝酸ナトリウムの添加量は150mg/Lであって、脱水ケーキに対しては1,650mg/kg−ケーキに相当し、脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量は2,000mg/kg−ケーキである。
24時間後、48時間後ともに、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。72時間後、硫化水素の濃度は5ppmであり、メチルメルカプタンの濃度は20ppmであった。
実施例2
脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量を3,000mg/kg−ケーキとして以外は、実施例1と同じ操作を行った。
24時間後、48時間後、72時間後のいずれにおいても、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。
実施例3
脱水ケーキに、亜硝酸ナトリウムの代わりに、ナトリウムピリチオン5.5mgを加えた以外は、実施例1と同じ操作を行った。脱水ケーキへのナトリウムピリチオンの添加量は、200mg/kg−ケーキである。
24時間後、48時間後、72時間後のいずれにおいても、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。
実施例4
ナトリウムピリチオンの代わりに亜鉛ピリチオンを用いた以外は、実施例3と同じ操作を行った。
24時間後、48時間後ともに、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。72時間後に、硫化水素は検出されなかったが、メチルメルカプタンの濃度は5ppmであった。
【0011】
比較例1
実施例1と同じ汚泥300mLに、亜硝酸ナトリウム45mgを添加し、2時間経過したのちカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.8重量%の脱水ケーキ27.3gを得た。
得られた脱水ケーキをテトラパックに窒素ガス675mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。
汚泥への亜硝酸ナトリウムの添加量は150mg/Lであって、脱水ケーキに対しては1,650mg/kg−ケーキに相当する。
24時間後、硫化水素の濃度は30ppm、メチルメルカプタンの濃度は100ppmであった。48時間後、硫化水素の濃度は900ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,500ppmであった。72時間後、硫化水素の濃度は1,200ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,800ppmであった。
比較例2
汚泥への亜硝酸ナトリウムの添加量を300mg/Lとした以外は、比較例1と同じ操作を行った。
比較例3
汚泥への亜硝酸ナトリウムの添加量を450mg/Lとした以外は、比較例1と同じ操作を行った。
比較例4
実施例1と同じ汚泥300mLに、カチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.8重量%の脱水ケーキ27.3gを得た。
得られた脱水ケーキに亜硝酸ナトリウム81.8mgを加えて均一に混合し、テトラパックに窒素ガス675mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。
脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量は、3,000mg/kg−ケーキである。
24時間後、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。48時間後、硫化水素の濃度は5ppm、メチルメルカプタンの濃度は20ppmであった。72時間後、硫化水素の濃度は800ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,500ppmであった。
比較例5
脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量を5,000mg/kg−ケーキとした以外は、比較例4と同じ操作を行った。
比較例6
亜硝酸ナトリウムの代わりに、ナトリウムピリチオン200mg/kg−ケーキを添加した以外は、比較例4と同じ操作を行った。
比較例7
亜硝酸ナトリウムの代わりに、亜鉛ピリチオン200mg/kg−ケーキを添加した以外は、比較例4と同じ操作を行った。
比較例8
実施例1と同じ汚泥300mLに、カチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.8重量%の脱水ケーキ27.3gを得た。
得られた脱水ケーキをテトラパックに窒素ガス675mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。
24時間後、硫化水素の濃度は300ppm、メチルメルカプタンの濃度は450ppmであった。48時間後、硫化水素の濃度は800ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,300ppmであった。72時間後、硫化水素の濃度は1,000ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,500ppmであった。
実施例1〜4及び比較例1〜8の結果を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
第1表に見られるように、汚泥に亜硝酸ナトリウムを添加して固液分離し、固液分離後の脱水ケーキに亜硝酸ナトリウム、ナトリウムピリチオン又は亜鉛ピリチオンを添加した実施例1〜4では、48時間後までは硫化水素もメチルメルカプタンも全く検出されず、72時間後も硫化水素とメチルメルカプタンは発生しないか、あるいは、発生してもごく微量である。
これに対して、汚泥にのみ亜硝酸ナトリウムを添加して固液分離した比較例1〜3では、短時間で硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。また、脱水ケーキに亜硝酸ナトリウムを添加した比較例4〜5は、比較例1〜3よりは良好な結果であるが、72時間後には多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。実施例2と比較例5を比べると、添加した亜硝酸ナトリウムの量は実施例3の方が少ないにもかかわらず、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、亜硝酸ナトリウムを汚泥と脱水ケーキに分けて添加する本発明方法により、効果的に臭気の発生を防止し得ることが分かる。脱水ケーキにのみナトリウムピリチオン又は亜鉛ピリチオンを添加した比較例6〜7では、24時間後にすでに硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。
【0014】
実施例5
懸濁物質濃度24,300mg/L、懸濁物質中の有機分比率84.4重量%、pH5.4の下水混合生汚泥の処理を行った。
汚泥300mLに、亜硝酸ナトリウム45mgを添加し、2時間経過したのちカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.7重量%の脱水ケーキ30.0gを得た。
得られた脱水ケーキに亜硝酸ナトリウム60.0mgを加えて均一に混合し、テトラパックに窒素ガス750mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度をガス検知管[ガステック(株)]を用いて測定した。
汚泥への亜硝酸ナトリウムの添加量は150mg/Lであって、脱水ケーキに対しては1,500mg/kg−ケーキに相当し、脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量は2,000mg/kg−ケーキである。
24時間後、48時間後ともに、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。72時間後、硫化水素の濃度は2ppmであり、メチルメルカプタンの濃度は10ppmであった。
同様にして、亜硝酸ナトリウムを添加した脱水ケーキを調製し、密封して30℃に保管し、24時間後、48時間後、72時間後に10gずつを取り出して純水各100mLに分散し、JIS K 0102 43.1.2にしたがって亜硝酸イオン濃度を測定し、汚泥ケーキ1kg当たりの亜硝酸イオンの濃度を算出した。亜硝酸イオンの濃度は、24時間後900mg/kg−ケーキ、48時間後400mg/kg−ケーキ、72時間後0mg/kg−ケーキであった。
実施例6
脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量を3,000mg/kg−ケーキとした以外は、実施例5と同じ操作を行った。
24時間後、48時間後、72時間後ともに、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。亜硝酸イオンの濃度は、24時間後1,700mg/kg−ケーキ、48時間後1,300mg/kg−ケーキ、72時間後600mg/kg−ケーキであった。
【0015】
比較例9
実施例5と同じ汚泥300mLに、カチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、CP604]の0.2重量%水溶液18mLを加え、直径60mmのカラムで重力ろ過し、さらに50kPaの圧力で2分間圧搾脱水して、含水率75.7重量%の脱水ケーキ30.0gを得た。
得られた脱水ケーキに亜硝酸ナトリウム105mgを加えて均一に混合し、テトラパックに窒素ガス750mLとともに入れ、ヒートシールして30℃に保管し、24時間後、48時間後及び72時間後の窒素ガス中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量は、3,500mg/kg−ケーキである。
24時間後、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。48時間後、硫化水素の濃度は200ppm、メチルメルカプタンの濃度は700ppmであった。72時間後、硫化水素の濃度は900ppm、メチルメルカプタンの濃度は1,800ppmであった。
同様にして、亜硝酸ナトリウムを添加した脱水ケーキを調製し、密封して30℃に保管し、24時間後、48時間後、72時間後に10gずつを取り出して純水各100mLに分散して亜硝酸イオン濃度を測定し、汚泥ケーキ1kg当たりの亜硝酸イオンの濃度を算出した。亜硝酸イオンの濃度は、24時間後500mg/kg−ケーキ、48時間後0mg/kg−ケーキ、72時間後0mg/kg−ケーキであった。
比較例10
脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量を5,000mg/kg−ケーキとした以外は、比較例9と同じ操作を行った。
24時間後、48時間後ともに、硫化水素もメチルメルカプタンも検出されなかった。72時間後、硫化水素の濃度は100ppm、メチルメルカプタンの濃度は400ppmであった。亜硝酸イオンの濃度は、24時間後2,100mg/kg−ケーキ、48時間後400mg/kg−ケーキ、72時間後0mg/kg−ケーキであった。
実施例5〜6及び比較例9〜10の結果を、第2表に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
第2表に見られるように、汚泥に亜硝酸ナトリウム150mg/Lを添加して固液分離し、固液分離後の脱水ケーキにさらに亜硝酸ナトリウム2,000mg/kg−ケーキを添加した実施例5では、48時間後までは硫化水素もメチルメルカプタンも全く検出されず、72時間後の硫化水素とメチルメルカプタンの発生量はごくわずかである。また、脱水ケーキ中には48時間後まで亜硝酸イオンが残存している。脱水ケーキへの亜硝酸ナトリウムの添加量を3,000mg/kg−ケーキに増加した実施例6では、72時間後まで硫化水素もメチルメルカプタンも発生せず、脱水ケーキ中には72時間後も亜硝酸イオンが残存している。
これに対して、脱水ケーキにのみ亜硝酸ナトリウムを添加した比較例9〜10では、72時間後には多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生しており、脱水ケーキ中の亜硝酸イオンの消滅も早い。実施例6と比較例10を比べると、添加した亜硝酸ナトリウムの量は実施例6の方が少ないにもかかわらず、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、残存する亜硝酸イオンの量が多く、亜硝酸ナトリウムを汚泥と脱水ケーキに分けて添加する本発明方法により、効果的に臭気の発生を防止し得ることが分かる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の脱水ケーキの臭気発生防止方法によれば、汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水したのち固液分離により得られる脱水ケーキに静菌剤を添加することにより、あるいは、汚泥に亜硝酸塩と水不溶性又は汚泥固形物に吸着される静菌剤を添加して固液分離することにより、長時間にわたって脱水ケーキ中に亜硝酸イオンを残存させ、硫化水素、メチルメルカプタンなどの悪臭物質の発生を効果的に防止することができる。
Claims (2)
- 汚泥に亜硝酸塩を添加して脱水機により固液分離し、固液分離後の脱水ケーキに静菌剤を添加することを特徴とする脱水ケーキの臭気発生防止方法。
- 静菌剤が亜硝酸塩である請求項1記載の脱水ケーキの臭気発生防止方法。
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