JP3900938B2 - 掘削機械の折畳み構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤に鉛直方向の孔を掘削しつつその内部に管状部材を挿入する同時埋設方式により合成杭を築造する基礎杭工法に用いる掘削機械の折畳み構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成杭を築造する基礎杭工法に用いる前記掘削機械は、回転軸をなす鋼管ロッドの下部に地盤を掘削するための掘削翼を備え、鋼管ロッドを中心として回転し、管状部材を挿入するための鉛直方向の孔を掘削する。このため、管状部材の外径寸法より大きな外径寸法を有する掘削翼を備えることが必要である。また、この鉛直方向の孔を掘削しつつ管状部材を該鉛直方向の孔内に挿入していく同時埋設方式の場合には、管状部材を埋設可能な所定の深さの孔を掘削した後に、管状部材の内側を通して掘削機械を引き上げる必要がある。
【0003】
このため、掘削翼は、掘削時には鋼管から外方に長く突出させ、掘削後に引き上げるときには、管状部材の内径寸法より小さくなるように、折畳み構造としたものがある。これは、鋼管ロッドに設けられた掘削翼の保持部に対し、水平軸回りに掘削翼を回動可能な構成とし、前記保持部と、掘削翼とにそれぞれ開孔を設け、これら開孔を掘削翼が水平方向に開いた状態で、連通するように配置し、この連通した開孔に、掘削翼の回り止めとなるシアピンを挿入して掘削翼が水平方向に開いた状態を維持していた。
【0004】
そして、所定深さの孔を掘削し終わると、掘削機械を引き上げる際には、掘削翼を管状部材の下端に衝突させてシアピンを切断することによって、掘削翼が回動可能な状態となり、掘削翼の自重によって折り畳まれる掘削機械が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の掘削機械では、地盤の硬度により掘削翼に設定値以上の多大な負荷が作用する場合があり、この場合には、多大な負荷によってシアピンが切断され、掘削翼が折り畳まれてしまうため、掘削作業を継続することができなくなってしまう場合がある。
【0006】
また、シアピンは施工箇所ごとに切断しなければならないため、使いまわすことができず、所定の箇所に合成杭を築造した後に、新たな合成杭を施工する場合には、シアピンを挿通し直す必要があり、手間がかかるとともに、施工コストが高騰するという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑みて、掘削時には掘削翼を水平方向に広げた状態に保持し、引き上げ時には確実に折り畳むことができ、且つ、安価な掘削機械の折畳み構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の掘削機械の折畳み構造は、回転軸に設けられた掘削翼が回転して地盤に鉛直方向の孔を掘削しつつ、当該回転軸が挿通されこの回転軸に保持された管状部材を前記孔に挿入する同時埋設方式により合成杭を築造する基礎杭工法に用いる掘削機械の折畳み構造において、前記掘削翼は、水平軸を回転中心として回動可能に前記回転軸に設けられるとともに、この回動を抑止し、掘削翼を水平方向に広げた状態を保持するための切り欠き部を備え、前記回転軸は、前記切り欠き部と係脱自在に設けられた係止部材と、この係止部材を前記切り欠き部に対して近づく方向、又は、離れる方向に移動させるジャッキとを備え、前記ジャッキにより、前記係止部材が前記切り欠き部と係合されて前記掘削翼の回動が抑止され、前記係止部材と前記切り欠き部との係合が解除されて、前記掘削翼が回動して前記管状部材の内径より小さく折り畳まれることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ジャッキによって係止部材を切り欠き部に近づける方向に移動させることにより係止部材が切り欠き部と係合して、前記掘削翼の回動が抑止される。一方、前記ジャッキによって前記係止部材を切り欠き部から離れる方向に移動させることにより係止部材と切り欠き部との係合が解除される。よって、ジャッキを操作するだけで、掘削翼を水平方向に広げた状態に保持すること、及び、管状部材の内径より小さく折り畳むことが可能となる。従って、掘削時には、掘削翼を水平方向に広げた状態に保持して、所望の内径を有する孔を掘削することが可能となり、掘削機械を引き上げる時には、その外周を囲む管状部材の内径より小さく折り畳むことにより、容易に引き上げることが可能となる。
【0010】
また、掘削翼の折り畳み機構を油圧ジャッキを用いて構成したので、一度折り畳んだ掘削翼を広げることは容易であり、他の施工場所に移動して即座に使用することが可能となる。更に、シアピン等により掘削翼を保持する方法と比べ、破壊する部品を有しないため、使い回すことができ、安価に施工することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の掘削機械の折畳み構造は、前記回転軸には、前記孔内に注入される固化材を撹拌するための撹拌翼が設けられ、前記撹拌翼は、水平軸を回転中心として回動可能に前記回転軸に設けられるとともに、この回動を抑止し、撹拌翼を水平方向に広げた状態を保持するための切り欠き部を備え、前記回動軸は、前記切り欠き部と係脱自在に設けられた係止部材と、この係止部材を前記切り欠き部に対して近づく方向、又は、離れる方向に移動させるジャッキとを備え、前記ジャッキにより、前記係止部材が前記切り欠き部と係合されて前記撹拌翼の回動が抑止され、前記係止部材と前記切り欠き部との係合が解除されて、前記撹拌翼が回動して前記管状部材の内径より小さく折り畳まれることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ジャッキによって、撹拌翼を水平方向に広げた状態に保持すること、及び、管状部材の内径より小さく折り畳むことが可能となる。よって、掘削時には撹拌翼を水平方向に広げた状態に保持し、掘削機械を引き上げる時には、その外周を囲む管状部材の内径より小さく折り畳むことにより、容易に引き上げることが可能となる。このため、形成される孔の内径と同等の大きさの撹拌翼を備えることが可能となり、撹拌性能が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1は本発明の折畳み構造を有する掘削機械を用いた合成杭の築造方法を示す説明図であり、(a)は掘削機械に鋼管及び鉄筋篭をセットした状態を示す図、(b)は掘削途中の状態を示す図、(c)は掘削作業が終了した状態を示す図、(d)は掘削翼及び撹拌翼を折り畳んだ状態を示す図、(e)は掘削機械及び鋼管を引き上げた状態を示す図である。
【0014】
本発明に適した掘削機械10は、地盤14を掘削して鉛直方向の孔12を形成するとともに、その孔12内に管状部材をなす鉄筋篭16を挿入しつつ、セメントミルク18を注入し、鉄筋篭16の下部を地盤14の支持層14aに埋設することにより合成杭20を築造する合成杭20の築造に用いるものである。
【0015】
この掘削機械10は、地盤14を掘削するための2種類の掘削翼22、24と、この掘削翼22,24の回転軸をなす鋼管ロッド26と、前記孔12内に注入されたセメントミルク18を撹拌するための撹拌翼28と、撹拌翼28及び掘削翼22,24が共回りすることを防止する共回り防止翼30と、合成杭20の鉄筋として埋設される鉄筋篭16等を支持するための支持板32とを備えている。また、掘削翼22,24、撹拌翼28、共回り防止翼30は、それぞれ対をなし、対をなす各翼22,24,28,30は鋼管ロッド26を挟んで相反する方向に突出させて設けられ、水平方向に広げられている。
【0016】
掘削機械10は、図1に示す如く、築造する合成杭20の長さより十分に長く、鋼管でなる鋼管ロッド26が鉛直方向に向けられて上方で支持され、下端部には築造する合成杭20の直径より狭い幅に広げられた第1の掘削翼22が設けられている。
【0017】
第1の掘削翼22の上には、第2の掘削翼24、共回り防止翼30、撹拌翼28の順で、適宜間隔を隔てて設けられている。また、これら第2の掘削翼24と撹拌翼28とは、築造する合成杭20の直径と同じ幅以上に広げられ、共回り防止翼30は、掘削翼22,24及び撹拌翼28より広い幅に形成されている。また、第2の掘削翼24、共回り防止翼30、撹拌翼28には、鋼管ロッド26との接合部分に、各翼22,24,28,30を前記鉄筋篭16より狭い幅に折り畳むことを可能とする折り畳み機構を有している。
【0018】
図2は本発明の掘削機械の折り畳み機構を示す説明図であり、(a)は掘削翼を広げた状態を示す図、(b)は(a)の側面図、(c)はABCD断面図、(d)は掘削翼を折り畳む途中の状態を示す図、(e)は掘削翼を折り畳んだ状態を示す図である。この折り畳み機構は、第2の掘削翼、共回り防止翼、撹拌翼とも同様の機構であるため、ここでは、第2の掘削翼を例に説明する。
【0019】
鋼管ロッド26の掘削翼取り付け部には、第2の掘削翼24の高さと同じ間隔を隔てて配置された2枚の水平板34が突設され、この水平板34の左右端部には上下の水平板34と連結して枠状をなす2枚の側板36が設けられている。この側板36間の幅は、掘削翼24の厚さより十分に広く形成されている。前記2枚の側板36には、中心より下側に位置させて、掘削翼24を回動可能に保持するための回動ピン38が挿通される開孔40が設けられている。さらに、下側の水平板34には、掘削翼24の回動を許容するためのスリット42が形成されている。
【0020】
第2の掘削翼24の鋼管ロッド26との接合部は、その端部24aが円弧状をなし、前記回動ピン38が挿通されるピン穴24bが設けられている。そして、掘削翼24は、前記2枚の側板36間に挿入されるとともに2枚の側板36に設けられた開孔40と、ピン穴24bとに回動ピン38が挿通されて、前記スリット42に入り込んで回動可能に構成されている。
【0021】
また、掘削翼24の円弧状をなす端部24aには、掘削翼24が水平に広げられた状態で、前記回動ピン38より下方に位置させて、鋼管ロッド26側と、下方とに開放された切り欠き部44を有し、この切り欠き部44は、水平面44aと鉛直面44bとを有している。
【0022】
鋼管ロッド26内には、例えば油圧ジャッキ46が設けられ、前記下側の水平板34a上で油圧ジャッキ46のロッド46aが、鋼管ロッド26の内外方向、即ち、切り欠き部44に近づく方向、又は、離れる方向に伸縮するように設けられている。この油圧ジャッキ46に油を供給するパイプ48は鋼管ロッド26内を通ってその上端から外部に引き出され、外部からの油圧ジャッキ46の操作を可能としている。油圧ジャッキ46の前記ロッド46aの先端には、水平板34a上でスライドし、前記掘削翼24の切り欠き部44と係脱自在に形成され、係止部材をなす抑止ブロック50が設けられている。この抑止ブロック50は、上部に水平面50aと、掘削翼24側に鉛直面50bを備えており、前記油圧ジャッキ46に押し出されて、前記切り欠き部44の水平面44a及び鉛直面44bと係合し、引き戻されて切り欠き部44から外れるように構成されている。
【0023】
即ち、掘削時には、掘削翼24を水平に保持した状態で、油圧ジャッキ46によって抑止ブロック50が切り欠き部44に係合されている。このとき、掘削翼24の上部24cは上側の水平板34bで抑止され、下部24dは抑止ブロック50によって抑止されている。即ち、掘削翼24は、回動ピン38を挟んで上方と下方とから支持されているため、確実に固定されている。また、地盤14の硬さに対応させて油圧ジャッキ46の圧力を上げることにより、硬い岩盤等を掘削することが可能となる
また、掘削が終了し、掘削機械10を引き上げる際には、油圧ジャッキ46によって、抑止ブロック50を引き戻すことにより、抑止ブロック50と切り欠き部44との係合が外れ、掘削翼24が支持力を失い、自重によって回動ピン38を中心に回動し、掘削軸24はスリット42に入り込んで鉛直方向に吊り下げられる。このとき、対をなす掘削翼24間の幅は、前記鉄筋篭16の内径より十分に狭くなるため、容易に掘削機械10を引き上げることが可能となる。
【0024】
そして、この掘削機械10を用いて合成杭20を築造する場合には、まず図1(a)のように、合成杭20を築造する位置に掘削機械10を周知の手段によって配置する。このとき、掘削機械10に設けられた支持板32には、埋設するための鉄筋篭16と、この鉄筋篭16を形成した孔12内に挿入するためのガイドをなす鋼管52とを載置しておく。また、鋼管ロッド26を鋼管52及び鉄筋篭16の中心に保持するするためのスタビライザを設けておくことが望ましい。
【0025】
次に、図1(b)のように、第1,及び第2の掘削翼22,24により地盤14を掘削しつつ、鋼管ロッド26内にセメントミルク18を注入し、鋼管ロッド26の下端部から孔12内に排出する。このとき、掘削した土砂とセメントミルク18とを撹拌翼28により撹拌する。図1(c)に示すように、掘削機械10の先端が、地盤14内の支持層14aに所定量入り込み、合成杭20の強度が得られる所に到達したら、掘削を停止し、油圧ジャッキ46により、図1(d)に示すように、第2の掘削翼24、共回り防止翼30、撹拌翼28を折り畳む。
【0026】
最後に、図1(e)に示すように、鉄筋篭16を孔12内に残し、鋼管52及び掘削機械10を引き上げる。引き上げた鋼管52及び掘削機械10は、第2の掘削翼24、撹拌翼28、共回り防止翼30をそれぞれ水平方向に広げた状態に一旦保持して、抑止ブロック50を油圧ジャッキ46で切り欠き部44に係合させた後に、支持板32上に鉄筋篭16をセットすることにより他の施工箇所に移動して、使用することが可能となる。
【0027】
本実施形態では、抑止ブロック50を移動させる手段として油圧ジャッキ46を用いる例を示したが、これに限らず、モータによって回動するネジ棒を有し、このネジ棒の回動によってロッドが伸縮するジャッキ等であっても構わない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る掘削機械の折り畳み構造によれば、掘削時には掘削翼を水平方向に広げた状態に保持して所望の内径を有する孔を掘削することが可能となり、かつ、掘削機械の引き上げ時には、ジャッキにより管状部材の内径より小さく折り畳み容易に引き上げることが可能となる。また、掘削翼の折り畳み機構をジャッキを用いて構成したので、引き上げた掘削機械を他の施工場所に移動して即座に使用することが可能となり、使い回して安価に施工することが可能となる。
【0029】
撹拌翼もジャッキによって折り畳み可能とすることにより、形成される孔の内径と同等の大きさの撹拌翼を備えることが可能となり、撹拌性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の折畳み構造を有する掘削機械を用いた合成杭の築造方法を示す説明図である。
【図2】本発明の掘削機械の折り畳み機構を示す説明図である。
【符号の説明】
10 掘削機械
16 管状部材
24 掘削翼(第2の掘削翼)
26 回転軸(鋼管ロッド)
28 撹拌翼
38 水平軸(回動ピン)
44 切り欠き部
46 ジャッキ(油圧ジャッキ)
50 係止部材(抑止ブロック)
Claims (2)
- 回転軸に設けられた掘削翼が回転して地盤に鉛直方向の孔を掘削しつつ、当該回転軸が挿通されこの回転軸に保持された管状部材を前記孔に挿入する同時埋設方式により合成杭を築造する基礎杭工法に用いる掘削機械の折畳み構造において、
前記掘削翼は、水平軸を回転中心として回動可能に前記回転軸に設けられるとともに、この回動を抑止し、掘削翼を水平方向に広げた状態を保持するための切り欠き部を備え、
前記回転軸は、前記切り欠き部と係脱自在に設けられた係止部材と、この係止部材を前記切り欠き部に対して近づく方向、又は、離れる方向に移動させるジャッキとを備え、
前記ジャッキにより、前記係止部材が前記切り欠き部と係合されて前記掘削翼の回動が抑止され、前記係止部材と前記切り欠き部との係合が解除されて、前記掘削翼が回動して前記管状部材の内径より小さく折り畳まれることを特徴とする掘削機械の折畳み構造。 - 前記回転軸には、前記孔内に注入される固化材を撹拌するための撹拌翼が設けられ、
前記撹拌翼は、水平軸を回転中心として回動可能に前記回転軸に設けられるとともに、この回動を抑止し、撹拌翼を水平方向に広げた状態を保持するための切り欠き部を備え、
前記回動軸は、前記切り欠き部と係脱自在に設けられた係止部材と、この係止部材を前記切り欠き部に対して近づく方向、又は、離れる方向に移動させるジャッキとを備え、
前記ジャッキにより、前記係止部材が前記切り欠き部と係合されて前記撹拌翼の回動が抑止され、前記係止部材と前記切り欠き部との係合が解除されて、前記撹拌翼が回動して前記管状部材の内径より小さく折り畳まれることを特徴とする請求項1に記載の掘削機械の折畳み構造。
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