JP3900948B2 - 金属缶の巻締め部の検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、食品等の缶詰容器として使用する金属缶の巻締め部の欠陥の有無を検査する検査方法に関し、特に、疑似巻締めや舌出し等の有無の検査に適した巻締め部の検査方法及び検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品等の缶詰容器として使用する金属缶は、缶胴,缶蓋,缶底の各部分で形成されている。そして、いわゆるスリーピース缶の場合は、缶胴に缶蓋と缶底を巻締めることにより形成し、ツーピース缶の場合は、缶胴と缶底とを一体に形成した後、前記缶胴に缶蓋を巻締めることによって形成している。
前記缶胴と前記缶蓋(以下、缶底を含めて「缶蓋」と総称する)の巻締め部の良否は、金属缶に充填された内容物の品質保持に大きな影響を与える。すなわち、巻締め部に欠陥のある金属缶は、密封不良により内容物を腐敗させる等の問題を引き起す。このため、巻締め工程の終了した金属缶の巻締め部の欠陥と内部欠陥を検査して、巻締め部に欠陥のある金属缶が発生しないように工程管理を行なう必要がある。
【0003】
前記した欠陥には、密封性の良否に大きな影響を与える疑似巻締めや舌出しが含まれ、これら欠陥を有する金属缶は、確実に検査して、工程から取り除く必要がある。
図9は、欠陥の一例である疑似巻締めを説明する図で、図9(b)は図9(a)のX1-X1方向の断面を、図9(c)は図9(a)のX2-X2方向の断面を示している。
【0004】
図9(a)に示すように、缶蓋C1と缶胴C2のフランジとからなる巻締め部C2の一部に、疑似巻締めからなる欠陥Cfが存在するものとする。巻締め部のうち、欠陥が存在しない部分では、図9(b)に示すように、缶蓋C1の周縁と缶胴C2のフランジとは適切に嵌合していて、シール部材C3を介して安定した密封状態に保たれている。欠陥Cfに疑似巻締めが発生すると、缶蓋C1の周縁と缶胴C2のフランジとが適切に嵌合せず、図9(c)に示すように缶胴C2のフランジに缶蓋C1の周縁が覆い被さった状態になる。
【0005】
このような欠陥Cfでは、缶胴C2のフランジと缶蓋C1の周縁とが入れ替わって、缶胴C2が巻締め部の外側に露出するため、缶蓋C1の周縁と缶胴C2のフランジに大きな変形が認められるのが一般的である。そして、疑似巻締めが重度のものになると、缶胴C2のフランジの一部が巻締め部から大きく露出した、いわゆる舌出しの状態になる。
図9に示すような疑似巻締めや舌出しのような欠陥は、金属缶Cの製造直後においては缶胴C2のフランジと缶蓋C1の周縁とがシール部材C3を介して密着していて、その後にゆっくりと内容物の漏洩が生じるため、内容物充填後の缶詰の打検(缶内圧検査)では、容易に検出することはできないのが現状である。
【0006】
従来、このような巻締め部の欠陥を検査する方法としては、カメラ等の光学装置を用いる検査方法が、例えば、特開平7−218453号等で提案されている。この検査方法では、テレビカメラによって外観を撮像し、巻締め部上端のリング幅の変化から、画像処理によって欠陥の有無を検査するものである。
【0007】
しかしながら、カメラ等の光学装置を用いた金属缶の欠陥検査方法は、光学装置が高価な上、装置全体が大型化して金属缶の搬送ラインに簡単に取り付けることができない等、実用上の問題があった。また、上記した従来の検査装置は、大型で価格も高く、専用の検査ラインが必要となって検査コストを引き上げているという問題があった。さらに、金属缶を一つずつ所定位置に停止させながら検査を行う必要があるため、高速化しつつある近年の金属缶製造ラインにおいて、全ての金属缶について検査を行うことが困難になっているという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、欠陥の有無を巻締め部の全周にわたって高精度に行うことができる低コストの検査方法及び検査装置を提供すること、さらには、高速で搬送される金属缶を停止させることなく、前記欠陥の有無について全数検査を行うことができる金属缶の巻締め部の検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を達成するための手段】
本発明の発明者は、巻締め部に磁界を加え、この磁界の磁束変化を検出することで、疑似巻締めや舌出し等の欠陥を精密に検出することができることを見出した。さらに、本発明の発明者は、金属缶を搬送させながら磁束変化を検出した場合においても、磁束変化グラフの中から、全ての金属缶に共通した特定の領域を抽出し、この領域内の磁束変化に基づいて、巻締め部の検査を行うことが可能であることを見出した。
【0010】
具体的には、請求項1に記載の発明は、金属缶の巻締め部に磁界発生手段によって磁界を加え、前記磁界の磁束変化を磁気検出手段によって検出して金属缶の巻締め部の欠陥を検査する方法において、前記金属缶を搬送させながら、かつ、前記金属缶及び前記磁気検出手段の少なくとも一方を前記巻締め部の周方向に回転させ、前記磁気検出手段によって前記巻締め部の前記磁束変化を検出し、前記金属缶が所定位置にきて前記検出した磁束変化が一定範囲内になる領域を抽出し、この抽出領域内で得た前記磁束変化に基づくデータを、あらかじめ設定してある基準データと比較して、前記巻締め部の欠陥を検出する方法としてある。
【0011】
この方法によれば、微小な欠陥であっても当該部分で磁束が大きく変化するので、欠陥の検出を精密かつ確実に行うことができる。
なお、磁束変化をともなう欠陥としては、疑似巻締めや舌だし,フランジ切れ等の巻締め欠陥が含まれる。
また、磁束変化に基づくデータには、磁束密度の変化のほか、磁束変化に起因して発生する誘導電圧や電流の大きさ、前記誘導電圧の大きさに対応した周波数等が含まれる。
【0012】
また、金属缶を搬送させながら前記磁気検出手段で前記磁束変化を検出させ、前記金属缶が所定位置にきたときの前記磁束変化に基づくデータによって、前記巻締め部の欠陥を検出しているので、金属缶を高速で搬送させながら巻締め部の検査を行うことができる。
さらに、検出された前記磁束変化が一定範囲内になる領域を抽出し、この抽出領域内で前記磁束変化に基づくデータの比較を行っているので、正確な検査を行うことができる。
【0013】
また、請求項2に記載するように、欠陥の存在しない巻締め部を有する金属缶について、予め、前記抽出領域内において前記磁束変化が全て含まれる許容範囲を設定し、検査時に、前記抽出領域内で前記許容範囲内に含まれる前記磁束変化の時間を計測し、計測された前記時間を予め設定された時間と比較して、前記欠陥の有無を判断するようにするとよい。
このようにすることで、確実かつ正確に欠陥の有無を検査することができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載するように、前記金属缶を検出する検出手段を設け、この検出手段が前記金属缶を検出している間に前記磁気検出手段が検出した前記巻締め部の磁束変化に基づいて、前記検査を行うようにしてもよい。
このようにすることで、一定のタイミングで前記検査を行うことが可能になる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記磁気検出手段を、前記巻締め部に対応する同一円周上に複数配置し、各前記磁気検出手段によって検出された磁束変化に基づくデータを合成して、予め設定された基準データと比較を行う検査方法としてある。
このようにすることで、巻締め部の全周にわたる磁束変化の検出を複数の磁気検出手段に分担させることができ、巻締め部の検査を短時間で終了させることができる。
【0016】
本発明の検査装置は、請求項5に記載するように、金属缶の巻締め部の欠陥を検出する検査装置において、前記巻締め部に対応する位置に磁界を加える磁界発生手段及び前記磁界の磁束変化を検出する磁気検出手段と、前記金属缶を搬送する搬送手段と、前記金属缶及び前記磁気検出手段の少なくとも一方を、前記巻締め部の周方向に回転させる回転駆動手段と、前記搬送手段によって前記金属缶が所定位置へ搬送され、前記磁気検出手段で検出した磁束変化が一定範囲内になる領域を抽出するとともに、この抽出領域内で得た前記磁束変化に基づくデータを、あらかじめ設定された基準データと比較して巻締め部の欠陥を検出する比較手段と、を有する構成としてある。
【0017】
前記磁気検出手段は、請求項6に記載するように、前記金属缶の巻締め部と対向する位置に設けるとよい。このようにすることで、金属缶の製造ライン上に、検査装置を容易に設けることが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の巻締め部の検査方法の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明の巻締め検査方法の原理を説明する図で、図1は本発明の巻締め部の検査方法を実施するための検査装置の概略構成を説明する図、図2は欠陥が存在する場合(a)と存在しない場合(b)における磁束変化を説明する図、図3は、磁気センサを巻締め部に沿って走査させた場合の誘導電圧の変化を示す図である。
【0019】
なお、以下の実施形態では、鋼製の缶胴にアルミニウム製の缶蓋を巻締めたツーピース缶として説明するが、本発明の検査方法が適用可能な金属缶は、ツーピース缶,スリーピース缶の種類は問わない。また、巻締め部に磁界の変化を発生させることができる材質で形成されているものであれば、その材質は問わない。
【0020】
検査装置は、金属缶Cの巻締め部Caに磁界を加え、磁束変化を誘導電圧として検出する磁気センサ11と、磁気センサ11が検出した前記誘導電圧を増幅する増幅器12と、金属缶Cの有無を検出する光電スイッチと、この光電スイッチ17が金属缶Cを検出しているタイミングで、予め設定された前記誘導電圧の変化波形と、磁気センサ11が検出した誘導電圧の変化波形とを比較し、その結果を検査結果として出力する比較器16とを有している。
【0021】
磁気センサ11及び増幅器12は、モータ18及び回転伝達部18aを介して、所定位置に位置決めされた金属缶Cの軸線と同一の軸線を中心に回転するケース10内に収容されている。磁気センサ11は、前記軸線を中心とする巻締め部Caと同一径の円周上に配置されている。磁気センサ11が検出した磁束変化を、誘導電圧として回転するケース10から比較器16に伝達するために、この検査装置には、非接触形の情報伝達手段が採用されている。
【0022】
すなわち、増幅器12で増幅した誘導電圧を、V/F変換器13によって誘導電圧に応じた周波数に変換し、これをケース10の発信部13aからケース10の外側に設けられた固定部の受信部14aに送信する。そして、受信部14aで受信した前記周波数を、F/V変換器14によって、前記周波数に応じた誘導電圧に戻すようにしている。なお、比較器16における比較をしやすくするために、BPSフィルタを比較器16の手前に設けて、不要な変化波形を除去するようにするのが好ましい。
【0023】
図2に示すように、磁気センサ11は、巻締め部Caの磁束の変化を検出する検出部11aと、巻締め部Caに磁界を加える永久磁石や電磁石等の磁石11bとを有する公知のものである。検出部11aは、コイルを主体として構成されていて、巻締め部Caの磁束(磁束密度)に変化が生じると、前記コイルの両端に誘導電圧が生じる。検出部11aから検出される誘導電圧Vは、φを磁束,tを時間,Kを比例常数として、一般に、V=K×(dφ/dt)で表される。なお、式中のdφ/dtは磁束変化を示している。
【0024】
磁束変化dφ/dtは、磁石11bと巻締め部Caとの位置関係が変化しない限り一定(dφ/dt=0)であるから、図2(a)に示すように巻締め部Caに欠陥が存在しない状態では、理論上は誘導電圧Vも変化しない。
図2(b)に示すように、巻締め部Caに欠陥Cfが存在していると、この部分で磁石11bと巻締め部Caとの位置関係が変化するから、磁束変化dφ/dtが生じ、誘導電圧Vが生じる。したがって、理論上は、誘導電圧Vが生じているかどうかで、巻締め部Caに欠陥Cfが存在しているか否かを判断することができる。
【0025】
図3(a)に示すように、ケース10とともに磁気センサ11を回転させることで、磁気センサ11が巻締め部Caに沿って図3(a)中矢印の方向に移動する。これにより、巻締め部Caの磁束変化に起因して、図3(b)に示すような誘導電圧の変化波形が得られる。実際の巻締め部Caには僅かながら凹凸が存在するため、実際の磁束変化dφ/dtは厳密には0にはならず、微小ながら誘導電圧Vが生じ、誘導電圧Vの変化波形が現れる。
【0026】
そこで、欠陥が存在しない巻締め部Caにおいて生じる誘導電圧Vの最大値を考慮し、最大の誘導電圧Vが含まれるように、誘導電圧の正側と負側にしきい値±Lを設定しておくとよい。しきい値±Lの範囲が、実質的に磁束変化dφ/dtが0であり、この範囲内であれば磁束変化が生じても欠陥が存在しないと判断される許容範囲である。
磁気センサ11が欠陥Cfを通過すると、この部分では巻締め部Caの形状変化が他の部分より著しく大きいので、磁束変化も大きく、しきい値±Lの範囲を超えて誘導電圧Vが大きく変化する。したがって、しきい値±Lの範囲を超える誘導電圧Vの変化波形が存在するか否かで、欠陥Cfの存在の有無を判断することができる。
【0027】
上記の手順にしたがって巻締め部Caの検査を行うには、巻締め部Caの周囲の全体にわたって磁気センサ11を移動させることができるように、金属缶Cと磁気センサ11とを相対的に位置決めする必要がある。この位置決めは、例えば、複数の光電スイッチ17を用いて複数の方向から金属缶Cの位置決めを行ったり、治具を用いたりすることで行うことができる。
本発明の発明者は、上記の原理を応用して、金属缶Cを所定位置に停止させることなく、コンベア等の搬送手段で金属缶Cを高速で搬送しながら、巻締め部Caの欠陥の有無を高精度で検出することのできる検査方法を見出した。
以下、高速で搬送中の金属缶Cについて巻締め部Caの検査を高精度で行うことのできる検査方法を、図4〜図8を参照しながら説明する。
【0028】
図4は、金属缶を高速で搬送しながら巻締め部Caの検査を行うことのできる検査装置の構成を説明する概略図である。なお、図4(b)は、図4(a)のセンサ取付部材を下方から見た平面図である。また、図4において、図1に示した検査装置と同一の部位,同一の部材には同一の符号を付している。
コンベア等の搬送手段によって図中矢印方向に一定速度で搬送される金属缶Cの巻締め部Caに対向した位置に、円盤状のセンサ取付部材22が配置されている。磁気センサ11はこのセンサ取付部材22に取り付けられる。この実施形態では、図4(b)に示すように、センサ取付部材22と同心で、かつ、金属缶Cの巻締め部Caと同径の円周を八等分する位置に、均等間隔で八つの磁気センサ11が取り付けられている。このようにすることで、巻締め部Caの全周にわたる磁束変化の検出を複数の磁気センサ11に分担させることができ、巻締め部Caの検査を短時間で終了させることができるという利点がある。
【0029】
センサ取付部材22の回転中心には回転軸21が取り付けられている。この回転軸21は、ベルト・プーリからなる回転伝達部18aを介して、モータ18の駆動軸に連結されている。したがって、モータ18が駆動すると、回転軸21を中心にセンサ取付部材22が回転する。
また、回転軸21には、磁気センサ11から検出された誘導電圧を増幅する増幅器12,誘導電圧の大きさに応じた周波数に変換するV/F変換器13及び前記周波数を発信するコイル状の発信部13aが取り付けられ、センサ取付部材22と一体になって回転する。さらに、上記したセンサ取付部材22,増幅器12,V/F変換器13を収容するケース20の内部には、発信部13aから発信された周波数信号を受信するコイル状の受信部14aが発信部13aと同心状に設けられているとともに、この受信部14aが受信した周波数信号を電圧に変換するF/V変換器14が固定して設けられている。
【0030】
金属缶Cの搬送路に沿って光電スイッチ17が設けられていて、センサ取付部材22の真下を通過する金属缶Cを検出している。この光電スイッチ17は、回転軸21を含む平面であって、金属缶Cの搬送方向と直行する平面内に配置するのが好ましく、金属缶Cがセンサ取付部材22の中央の真下位置に達したときに金属缶Cを検出し、「ON」(又は「OFF」)信号を出力する。
また、光電スイッチ17は透過型,反射型のいずれであってもよく、さらに、金属缶Cを検出することができるのであれば、光電スイッチ17に限らず、近接スイッチ等の他のスイッチを用いることができる。
【0031】
図5は、上記構成の検査装置における回路ブロック図である。
この実施形態では、八つの磁気センサ11を、90°おきに配置された四つの磁気センサ11からなる二つのグループに分け、各グループから検出された誘導電圧に基づいて、二つのチャンネルで比較,検査を行うようにしている。
すなわち、図5に示すように、増幅器12,V/F変換器13,発信部13a,受信部14a,F/V変換器14,BPSフィルタ15,加算器19及び比較器16からなる検査回路を二組設け、四つの磁気センサ11から検出された誘導電圧に基づいて、それぞれのチャンネルで個別に比較,判断を行うようにしている。このようにすることで、一つの金属缶Cの巻締め部Caについて、二重に検査を行うことができ、検査精度をさらに高めることができるという利点がある。
【0032】
なお、図5において符号19は加算器で、この加算器19で四つの磁気センサ11から検出された誘導電圧を加算して、誘導電圧の変化波形を得るようにしている。
また、加算器19及び比較器16については、チャンネル1とチャンネル2について共通のものを用いてもよい。すなわち、BPFフィルタ15の後に共通の加算器でチャンネル1,2の検出結果を加算するようにしてもよい。この場合は、チャンネル1,2の検出結果の時間的なずれを補正し、チャンネル1及びチャンネル2について誘導電圧の変化波形の位相合わせを行ってから、誘導電圧を加算するようにしてもよい。
【0033】
金属缶Cを高速で搬送しながら、一つのチャンネルの四つの磁気センサ11で巻締め部Caの全周にわたって検査を行うには、金属缶Cの搬送速度に対して磁気センサ11の回転速度を適切に選択する必要がある。
すなわち、一つの磁気センサ11の検出可能範囲をS[mm],金属缶Cの搬送速度をv[m/min],一つのチャンネルに含まれる磁気センサ11の配置角度間隔をα[°]、磁気センサ11の回転速度をN[min-1]としたとき、少なくとも、N≧(60×α)/(S×360)×(v×1000/60)を満足する回転速度Nを選択する必要がある。
【0034】
例えば、金属缶Cの搬送速度v=100[m/min],磁気センサ11の検出可能範囲S=5[mm],配置角度間隔α=90[°]である場合は、これらを上式に代入して、N≧5000[min-1]を得ることができる。
なお、隣合う他の金属缶Cの巻締め部Caの磁束を磁気センサ11が検出しないようにするために、金属缶Cと金属缶Cとの間には一定以上の間隔を設けるとよい。この間隔は、少なくとも磁気センサ11の検出可能範囲Sよりも大きいことが条件であり、検出可能範囲Sの2倍〜4倍程度とするのが好ましい。例えば、検出可能範囲S=5[mm]の場合には、金属缶Cの間隔は10〜20[mm]程度とするのがよい。
【0035】
図6は、加算器19から出力される誘導電圧の変化波形(図6(a)〜(c)の右のグラフ)と、磁気センサ11及び金属缶Cの位置(同左の図)との関係を説明する図である。
金属缶Cが光電センサ17によって検出されてから、全ての磁気センサ11によって巻締め部Caの磁束の検出が可能になる位置まで移動するまでの間、すなわち、図6(a)において金属缶Cが位置(i)から位置(ii)まで移動するまでの間は、回転する磁気センサ11の軌道と巻締め部Caとが一致しない状態であり、磁気センサ11の検出可能範囲を巻締め部Ca以外の部分が通過することから、この間の磁束(誘導電圧)は大きく変化する。
【0036】
図6(b)に示すように、巻締め部Caが全ての磁気センサ11の検出可能範囲に入る位置(iii)まで金属缶Cが移動してくると、巻締め部Caの全周に沿って磁気センサ11が移動することになり、そのため、磁束変化は小さくなる。この状態は、図6(c)に示す段階に移行するまで、一定時間継続される。
例えば、金属缶Cの搬送速度v=100[m/min],磁気センサ11の検出可能範囲S=5[mm],磁気センサ11の配置角度間隔α=90[°]、磁気センサ11の回転速度N=5000[min-1]である上記の例の場合、この時間は約3msである。
図6(c)に示すように、全ての磁気センサ11によって巻締め部Caの磁束の検出が可能な範囲から金属缶Cが離脱すると、磁気センサ11の検出範囲を巻締め部Ca以外の他の部分が通過するようになるため、再び磁束変化は大きくなる。
【0037】
図6(a)〜(c)からわかるように、金属缶Cが光電スイッチ17で検出されている間に磁束は上記のパターンで変化するから、誘導電圧の変化がきわめて小さくなる部分で、金属缶Cが巻締め部の欠陥の検出に適切な位置に来ていると判断することができる。
図6(a)〜(c)の一連の波形の中における図6(b)の波形の位置の抽出は、例えば、光電センサ17が金属缶Cを検出している間に出力される誘導電圧の大きさに基づいて行うことができる。すなわち、予め設定した一定の範囲内における誘導電圧の連続時間を計測し、この時間が最大となる部分が一連の波形の中のどこに位置しているかで、図6(b)の波形の位置を判断することができる。なお、このようにして抽出された図6(b)の波形を含む領域を、以下、抽出領域と記載する。
そして、図6(b)の右側に示すような誘導電圧の変化が現れたときに、金属缶Cが前記位置に来たと判断して前述の原理を適用することで、巻締め部Caに欠陥があるか否かを判断することができる。
これを、図7及び図8を参照しながら具体的に説明する。
【0038】
図7(a)は、図6(a)〜(c)に示す誘導電圧の変化波形を、共通の時間軸上で表したものである。図7(a)のI,II,IIIの各領域は、それぞれ、図6の(a),(b),(c)に対応している。
金属缶Cが巻締め部の欠陥の検出に適切な位置に来ていることを示す領域(抽出領域)IIにおいて、欠陥が存在しない巻締め部Caから検出される誘導電圧の大きさを予め計測し、抽出領域II内で誘導電圧が全て含まれるように、誘導電圧の正側と負側にしきい値±Lを設定する。
【0039】
そして、誘導電圧の変化がしきい値±Lの範囲内にあるときには、「1」を出力し、しきい値±Lの範囲外に突出するときは、「0」を出力するようにして、図7(a)の波形を処理する。この処理は、例えば、比較部16で行わせることができる。比較部16は、検査開始から検査終了までの間に断続的に出力される「0」と「1」の中から、「1」が連続して出力される出力時間が最大となるものを残して、これ以外を「0」として処理する。
【0040】
このようにして処理された「0」「1」の変化をグラフで示したのが図7(b)である。この処理波形における「1」の位置は、図6(b)及び図7(a)で示した抽出領域IIと一致する。したがって、巻締め部Caに欠陥が存在しない場合は、「1」の処理は形が抽出領域IIの全域(時間T)にわたって出力されることになる。
【0041】
図8は、欠陥を有する巻締め部Caにおける誘導電圧の変化を示したグラフである。
巻締め部Caの一部に欠陥があると、当該部分で磁束が大きく変化し、誘導電圧も当該部分でしきい値±Lの範囲から突出する。そのため、図8(a)に示すように、図6(b)及び図7(a)の抽出領域IIに対応する領域で、処理波形が部分的に「1」の状態から「0」の状態に変化する。
【0042】
図8(b)は、図8(a)の波形を、前記と同様に処理した結果を示すものである。すなわち、比較部16が、検査開始から検査終了までの間に断続的に出力される「0」と「1」の中から、「1」が連続して出力される出力時間が最大となるものを残し、これ以外は「0」として処理する。このようにして抽出された処理波形の中の「1」の位置は、図6(b)及び図7(a)で示した抽出領域II内に含まれているものの、この処理波形における「1」の時間T1は、図7(b)で示した抽出領域IIの時間Tよりも短くなる。
【0043】
そこで、光電スイッチ17から検出信号が出力されている状態(ONの状態)において、処理波形中で「1」が連続して出力される時間T1を計測し、この時間T1の各々が予め設定された基準時間より小さいときに、欠陥が存在していると判断することができる。この場合、誤判断を防止するために、抽出領域IIの時間Tに対して70%〜80%の範囲内で前記基準時間を設定するのが好ましい。
【0044】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態によりなんら限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、磁束変化に基づくデータの一例として誘導電圧を例に挙げて説明したが、磁束変化に対応するデータであればこれに限定されるものでなく、磁束密度の変化のほか、磁束変化に起因して発生する電流、誘導電圧の大きさに対応した周波数等であってもよい。
【0045】
また、上記の説明では、疑似巻締め及び舌だしを例に挙げて説明したが、磁束変化をともなうフランジ切れ等のような他の欠陥の検出にも本発明が有効であることは勿論である。
さらに、上記の説明で磁気センサ11の数は八個であるとしたが、八個より多くてもよいし少なくてもよい。
また、巻締め部に磁界を加えるタイミングは、磁束変化の検出直前でもよい。
【0046】
またさらに、上記の説明では磁気センサを金属缶の巻締め部の周方向に回転させているが、金属缶を回転させるようにしてもよい。
すなわち、上記説明では、磁気センサ内に磁界発生手段と磁気検出手段を設けるものとして説明したが、磁界発生手段を磁気検出手段と別々に設け、金属缶が磁気センサの下に搬送される直前に、巻締め部に磁界を加え、残留磁束を利用して巻締め部の磁束変化を磁気センサで検出するようにしてもよい。
【0047】
また、八個の磁気センサ11の検出結果を二つのチャンネルで比較して巻締め部の欠陥の有無を検査するものとして説明したが、三つ以上のチャンネルを設けてもよいし、一つのチャンネルで行うようにしてもよい。
さらに、処理波形「0」「1」の作成手順において、誘導電圧の正側と負側にしきい値±Lを設定するものとして説明したが、誘導電圧V及びしきい値Lの絶対値をとるようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されているので、巻締め部の欠陥を自動的に、かつ、精度よく検査を行うことができる。また、専用の検査ラインを必要とせず、既存の製造ライン上で高速で金属缶を搬送しながら全数検査を行うことができ、コスト的に有利である。さらに、本発明の検査方法に用いる検査装置は、比較的小型なものであり、かつ価格も低廉であるため、検査コストを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻締め部の検査方法を実施するための検査装置の概略構成を説明する図である。
【図2】欠陥が存在する場合(a)と存在しない場合(b)における磁束変化を説明する図である。
【図3】磁気センサを巻締め部に沿って走査させた場合の誘導電圧の変化を示す図である。
【図4】金属缶を高速で搬送しながら巻締め部の検査を行うことのできる検査装置の構成を説明する概略図で、図4(b)は図4(a)のセンサ取付部材を下方から見た平面図である。
【図5】上記構成の検査装置における回路ブロック図の一例を示す図である。
【図6】加算器から出力される誘導電圧の変化波形と、磁気センサ及び金属缶の位置との関係を説明する図である。
【図7】図6(a)〜(c)に示す誘導電圧の変化波形を、共通の時間軸上で表したものである。
【図8】欠陥を有する巻締め部における抽出領域IIの誘導電圧の変化を示したグラフである。
【図9】欠陥の一例である疑似巻締めを説明する図で、図9(b)は図9(a)のX1-X1方向の断面を、図9(c)は図9(a)のX2-X2方向の断面を示している。
【符号の説明】
11 磁気センサ
11a 検出部(磁気検出手段)
11b 磁石(磁界発生手段)
12 増幅器
13 V/F変換器
13a 発信部
14 F/V変換器
14a 受信部
15 BPFフィルタ
16 比較器
17 光電スイッチ
18 モータ(回転駆動手段)
19 加算器
C 金属缶
Ca 巻締め部
C1 缶蓋
C2 缶胴
Cf 欠陥
M 磁界
Claims (6)
- 金属缶の巻締め部に磁界発生手段によって磁界を加え、前記磁界の磁束変化を磁気検出手段によって検出して金属缶の巻締め部の欠陥を検査する方法において、
前記金属缶を搬送させながら、かつ、前記金属缶及び前記磁気検出手段の少なくとも一方を前記巻締め部の周方向に回転させ、前記磁気検出手段によって前記巻締め部の前記磁束変化を検出し、
前記金属缶が所定位置にきて前記検出した磁束変化が一定範囲内になる領域を抽出し、
この抽出領域内で得た前記磁束変化に基づくデータを、あらかじめ設定してある基準データと比較して、前記巻締め部の欠陥を検出すること、
を特徴とする金属缶の巻締め部の検査方法。 - 欠陥の存在しない巻締め部を有する金属缶について、予め、前記抽出領域内において前記磁束変化が全て含まれる許容範囲を設定し、検査時に、前記抽出領域内で前記許容範囲内に含まれる前記磁束変化の時間を計測し、計測された前記時間を予め設定された時間と比較して、前記欠陥の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の金属缶の巻締め部の検査方法。
- 前記金属缶を検出する検出手段を設け、この検出手段が前記金属缶を検出している間に、請求項1又は2に記載の検査を行うことを特徴とする金属缶の巻締め部の検査方法。
- 前記磁束の変化を検出する磁気検出手段を、前記巻締め部に対応する同一円周上に複数配置し、前記各磁気検出手段によって検出された磁束変化に基づくデータを合成して、予め設定された基準データと比較を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属缶の巻締め部の検査方法。
- 金属缶の巻締め部の欠陥を検出する検査装置において、
前記巻締め部に対応する位置に磁界を加える磁界発生手段及び前記磁界の磁束変化を検出する磁気検出手段と、
前記金属缶を搬送する搬送手段と、
前記金属缶及び前記磁気検出手段の少なくとも一方を、前記巻締め部の周方向に回転させる回転駆動手段と、
前記搬送手段によって前記金属缶が所定位置へ搬送され、前記磁気検出手段で検出した磁束変化が一定範囲内になる領域を抽出するとともに、この抽出領域内で得た前記磁束変化に基づくデータを、あらかじめ設定された基準データと比較して巻締め部の欠陥を検出する比較手段と、
を有することを特徴とする金属缶の巻締め部の検査装置。 - 前記磁気検出手段を、前記金属缶の巻締め部と対向する位置に設けたことを特徴とする請求項5に記載の金属缶の巻締め部の検査装置。
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