JP3903473B2 - 粒径分布測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散させた粒子群に基本光を照射して生じる散乱光の測定情報に基づいて当該粒子群の粒径分布を算出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小径粒子群の粒径分布を測定する方法の一つとして、動的散乱式粒径分布測定方法と言われるものが知られている。この方法は、特許文献1に示すように、分散させた粒子群に基本光を照射するとそれら粒子のブラウン運動に起因して、散乱光の強度が経時的に揺らぐことを利用するもので、その揺らぎ信号を解析することにより粒径分布を算出するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−221479公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、所定粒子群に微量の別径粒子群が混在している場合に、その微量な別径粒子群からの光の揺らぎ信号は、大多数の所定粒子群から散乱された光の揺らぎ信号の中に埋もれて無視されてしまう。また、粒径分布を算出する段階でノイズなどから現れるゴースト分布を排除するため、分布算出時にある閾値レベルを設定しているところ、別径粒子群の分布がその閾値レベル以下であれば分布なしとして変換してしまうこともある。さらに粒径分布を全体で100%の比率分布に置き換えるため、分布的に0%に近い分布形状として表示され、オペレータに認識されない場合もある。
【0005】
しかしてかかる不具合は、動的散乱式の粒径分布測定方法のみならず、散乱光強度の角度分布により粒子経分布を測定するいわゆる散乱/回折式粒径分布測定方法等、他の粒径分布測定方法においても共通する。
【0006】
そこで本発明は、この種の粒径分布測定方法において、多数を占める所定粒子群に微量の別径粒子群が混在している場合であっても、その別径粒子群の粒径分布を確実に算出できるようにすることをその主たる課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る粒径分布測定方法は、サンプルに基本光を照射して生じた散乱光から得られる散乱光情報に基づいて当該サンプルに含まれる粒子群の粒径分布を算出する方法であって、所定粒子群のみを含むリファレンスサンプルに前記基本光を照射して生じたリファレンス散乱光からリファレンス散乱光情報を得るとともに、前記所定粒子群を大多数含み、その他に微量の別径をなす測定対象粒子群を含んでなる測定サンプルに基本光を照射して生じた測定サンプル散乱光から測定サンプル散乱光情報を得る散乱光情報取得ステップと、前記散乱光情報取得ステップで得られた各散乱光情報の差分をとり差分情報を生成する差分情報生成ステップと、前記差分情報生成ステップで生成した差分情報に基づいて、前記測定サンプルに含まれる測定対象粒子群の粒径分布を算出する粒径分布算出ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、多量にある粒子群中に含まれる別径微量粒子の粒径分布測定が可能となる。そして例えば製品の品質管理において、正規品をリファレンスサンプルとし、生産された製品を測定サンプルとして、この方法を用いて差分測定することにより、製品の合否判定が可能となり、より精密な品質管理に寄与できる。具体的には不良品が混入した場合に、その不良品の粒径分布を知ることができる。
【0009】
いわゆる動的散乱式粒径分布測定方法における具体的な散乱光情報としては、散乱光強度の揺らぎを示す揺らぎ情報や、散乱光強度の揺らぎを示す揺らぎ情報から算出されるパワースペクトル情報を挙げることができる。その他に、前記揺らぎ情報から得られる種々の演算結果情報を散乱光情報としてもよい。
【0010】
一方、散乱/回折式粒径分布測定方法における具体的な散乱光情報としては、散乱光強度の角度分布に関する情報を挙げることができる。ここで「Xに関する情報」とは、Xそのものを示す情報の他に、そのXに基づいて算出された関連情報も含む意味である。
また、本発明に係る粒径分布測定装置は、サンプルに基本光を照射して生じた散乱光から得られる散乱光情報に基づいて当該サンプルに含まれる粒子群の粒径分布を測定するものであって、大多数の所定粒子群のみを含むリファレンスサンプルを収容するリファレンスセルと前記大多数の所定粒子群の他に微量の別径をなす測定対象粒子群を含んでなる測定サンプルを収容する測定セルと、単一の光源から射出された基本光を分割し、前記リファレンスサンプル及び測定サンプルにそれぞれ導く基本光案内機構と、前記各サンプルに基本光が照射されて生じた散乱光を、光の強度を検出する光強度検出部に導く散乱光案内機構と、前記光強度検出部で検出された各散乱光情報の差分に基づいて、前記測定サンプルに含まれる測定対象粒子群の粒径分布を算出する情報処理部と、を備えていることを特徴とする。
このようなものであれば、多量にある粒子群中に含まれる別径微量粒子の粒径分布測定が可能となる。そして例えば製品の品質管理において、正規品をリファレンスサンプルとし、生産された製品を測定サンプルとして、この方法を用いて差分測定することにより、製品の合否判定が可能となり、より精密な品質管理に寄与できる。具体的には不良品が混入した場合に、その不良品の粒径分布を知ることができる。
【0011】
図1は、本発明に係る測定方法を具現化する粒径分布測定装置1の一態様を示した模式図である。この粒径分布測定装置1は動的散乱式のもので、測定サンプルOSを収容する透明の測定セル2aと、リファレンスサンプルRSを収容する透明のリファレンスセル2bと、これらセル2a、2bを保持収容するセルユニット部3と、単一の光源(半導体レーザ)4と、前記半導体レーザ4から射出された基本光たるレーザ光Lを2分割し、前記リファレンスサンプルRS及び測定サンプルOSにセル2a、2bの外側からそれぞれ導く基本光案内機構5と、光の強度を検出する光強度検出部(フォトディテクタ)6と、前記各サンプルOS、RSからの散乱光LNa、LNbをフォトディテクタ6a、6bに導く散乱光案内機構7と、前記フォトディテクタ6a、6bで検出された各散乱光LNa、LNbの強度の揺らぎの差分に基づいて、前記測定サンプルOSに含まれる測定対象粒子C群の粒径分布を算出する情報処理部8とを備えている。
【0012】
各部を説明すると、測定セル2a及びリファレンスセル2bは、中空透明ガラス製の互いに同一のもので、前記セルユニット部3に収容してある。リファレンスセルに2bに収容したリファレンスサンプルRSは、溶媒に所定粒子群を分散させたもので、本実施形態では、単一粒子群からなる単分散サンプルであるが、もちろん、複数の粒子群からなるものであってもよい。一方、測定セル2aに収容した測定サンプルOSは、前記リファレンスサンプルRSに更に微量の別径粒子が混ざり込んだものである。なお、これら粒子は温度の変化によってそのブラウン運動が敏感に変化し、測定に影響を及ぼすおそれのあるところ、本実施形態では、セルユニット部3内の温度制御を行う温度制御機構(図示しない)を設けて測定中の試料温度を安定化させ、高精度な測定が行えるようにしてある。
【0013】
基本光案内機構5は、前記半導体レーザ4から射出された拡散レーザ光Lを所定径の平行レーザ光Lにするコリメートレンズ51と、前記平行レーザ光Lを、透過するものLaと反射するものLbとに空間的に分割する光分割要素たるハーフミラー52と、前記ハーフミラー52を透過した第1のレーザ光Laを前記測定セル2aの内壁面やや内側に集光させる測定サンプル用集光レンズ53aと、前記ハーフミラー52で反射した第2のレーザ光Lbを前記リファレンスセル2bの内壁面やや内側に集光させるリファレンスセル用集光レンズ53bとを備えたものである。
【0014】
フォトディテクタ6a、6bは、周知のごとく、所定波長帯域の光を受光し、その光の強度に応じた強さの電気信号である光強度信号を出力するもので、本実施形態では測定サンプル用のもの6aとリファレンスサンプル用のもの6bとの2つを設けている。
【0015】
散乱光案内機構7は、例えば後方散乱光を測定するためのもので、前記各サンプルOS、RSにレーザ光La、Lbをそれぞれ照射することにより生じた散乱光LNa、LNbを、前記各フォトディテクタ6a、6bにそれぞれ導く各一対の構成要素からなる。構成要素とは、入射レーザ光La、Lbの進行方向と逆向きに散乱する散乱光LNa、LNbを、前記平行レーザ光La、Lbより大径の平行光とする平行化レンズ71a、71b、平行化された散乱光LNa、LNbのうちから多重散乱光等のノイズ要因となる光をカットするためのノイズ光カット部72a、72b、このノイズ光カット部72a、72bからでた散乱光LNa、LNbを反射して光路を変える反射ミラー73a、73b、その散乱光LNa、LNbを前記フォトディテクタ6a、6bの受光面に集光照射する集光レンズ74a、74b等である。前記平行化レンズ71a、71bは、前記基本光案内機構5における集光レンズ53a、53bを兼ねるもので、散乱光LNa、LNbの光路が入射レーザ光La、Lbの光路と途中まで合致するようにしてある。前記ノイズ光カット部72a、72bは、ピンホールPHを有した遮蔽板Bの前後に一対の凸レンズR1、R2を配してなるものである。反射ミラー73a、73bは、前記平行レーザ光La、Lbの光路上に設置されるため、その平行レーザ光La、Lbの光量を変えることなくこれを通過させるべく中央部に略同径のレーザ貫通孔LHが設けてある。なお、本実施形態において前記半導体レーザ4、セル2a、2b、セルユニット部3、基本光案内機構5、散乱光案内機構7、フォトディテクタ6a、6b等は同一筐体内に収容してある。
【0016】
情報処理部8は、記憶装置に記憶させたプログラムに基づくCPU及び周辺ハードウェアの動作や、専用ディスクリート回路の動作によって、その機能を発揮するもので、各フォトディテクタ6a、6bから出力される散乱光強度信号の時間的揺らぎを、それぞれ揺らぎ情報として受け付け、それらの差分をとる差分部81と、その差分部で生成された差分情報に加え、溶媒や粒子の屈折率、温度、粘度等に係るデータをパラメータとして粒径分布を算出する算出部82と、その結果をディスプレイやプリンタ等に所定の態様で出力する出力部83等としての役割を担う。なお、本実施形態ではホモダイン検出法を用いており、前記各パラメータに基づく粒径分布算出に係るアルゴリズム等の詳細内容に関しては本発明者が特開2000−171383等で明らかにしているため、ここでの説明は省略する。もちろんヘテロダイン検出法でも適用可能なのはいうまでもない。また、本実施形態では、図3に示すように、前記差分部81において、各散乱光強度信号をアナログ信号のままディスクリート差分回路を用いて差分し、その結果をデジタル変換して算出部82に伝達するようにしているが、各散乱光強度信号をデジタル信号に変換した後、差分をとるようにしても構わない。
【0017】
次にこのように構成した本装置1の作動例について図2を参照しつつ説明する。
【0018】
半導体レーザ4からレーザ光Lが照射されると、ハーフミラー52で等強度の2つのレーザ光La、Lbに分割され、測定セル2a中の測定サンプルOS及びリファレンスセル2b中のリファレンスサンプルRSにそれぞれ照射される。次に各セル2a、2bで生じた散乱光LNa、LNbが、散乱光案内機構7に導かれてそれぞれフォトディテクタ6a、6bで受光され、アナログ散乱光強度信号としてそれぞれ出力される。
【0019】
そして情報処理部8が、前記各アナログ散乱光強度信号を受け付け、その時間的揺らぎであるリファレンス散乱光揺らぎ情報及び測定サンプル散乱光揺らぎ情報を得る(散乱光情報取得ステップS1)。
【0020】
次に情報処理部8は、前記散乱光情報取得ステップで得られた各散乱光揺らぎ情報の差分をとり差分情報を生成する(差分情報生成ステップS2)。
【0021】
そして、前記差分情報生成ステップで生成した差分情報を、フーリエ変換処理してパワースペクトル情報に変換するなどの演算処理を行った後、前記測定サンプルに含まれる測定対象粒子群の粒径分布を算出し(粒径分布算出ステップS3)、その結果をディスプレイやプリンタ等に所定の態様で出力する(ステップS4)。
【0022】
したがってこのようなものであれば、前記差分により、多量にある粒子群からの散乱光情報がキャンセルされるため、測定サンプルOS中に含まれる別径微量粒子の粒径分布測定が可能となる。そして例えば製品の品質管理において、正規品をリファレンスサンプルとし、生産された製品を測定サンプルとして、この方法を用いて差分測定することにより、製品の合否判定が可能となり、より精密な品質管理に寄与できる。具体的には不良品が混入した場合に、その不良品の粒径分布を知ることができる。
【0023】
さらに本実施形態では、各セル2a、2bが同一セルユニット部3内に保持されて周辺環境がほぼ等しく保たれているうえ、それらセル2a、2bからの散乱光LNa、LNbの測定を完全同時に行っているため、地場の振動影響、界面での屈折率差による散乱影響等の外乱に起因するノイズが、各揺らぎ情報に等しく重畳することとなる一方、上述したように同一ノイズが重畳した各揺らぎ情報の差分をとっているため、ノイズが有効にキャンセルされ、測定対象粒子が微量であっても、ノイズに阻害されることなく、その分布を正確に求めることができる。
【0024】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0025】
例えば、前記差分部が、各揺らぎ情報から演算される途中演算情報の差分をとるようにしても構わない。そのような途中演算情報の一例としては、揺らぎ情報の周波数強度分布情報、すなわちパワースペクトル情報を挙げることができる。具体的には、図4に示すように、差分部81にAD変換部、FFT処理部、差分処理部等を設けておき、各揺らぎ情報をデジタル化するとともにフーリエ変換処理してパワースペクトル情報とした後、差分をとるようにすればよい。
【0026】
このように時間をパラメータとしない途中演算情報に変換した後、差分をとるようにすれば、前記実施形態のように、各サンプルからの散乱光の揺らぎの完全同時測定及び同時差分を必要としないため、機器構成や散乱光測定方法に更に多くのバリエーションを与えることができる。例えば、各サンプルからの散乱光を選択的に測定するようにしたり、サンプルを入れ替えて別々に測定することも可能である。
【0027】
さらに本発明は、上述した動的散乱式の粒径分布測定装置のみならず、散乱光強度の角度分布から粒径分布を測定するいわゆる散乱/回折式粒径分布測定装置にも適用して前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0028】
加えて、リファレンスサンプルが水等の溶媒のみ(ただしゴミや不純物粒子を含む)ものであってもよい。従来のように純粋な溶媒ではなくこのように不純物等が混入していても、これらを差し引き、真のサンプル粒径分布を求めることができる。
【0029】
もちろん、ノイズカット部は必ずしも必要ないし、前方散乱、側方散乱を利用してもよい。
【0030】
その他、本発明は前記図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、前記差分により、多量にある粒子群からの散乱光情報がキャンセルされるため、その中に含まれる別径微量粒子の粒径分布測定が可能となる。そして例えば製品の品質管理において、正規品をリファレンスサンプルとし、生産された製品を測定サンプルとして、この方法を用いて差分測定することにより、製品の合否判定が可能となり、より精密な品質管理に寄与できる。具体的には不良品が混入した場合に、その不良品の粒径分布を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における粒径分布測定装置の模式的全体図。
【図2】同実施形態における動的散乱式粒径分布測定装置の作動ステップを示すフローチャート。
【図3】同実施形態における差分部の詳細機能を示す機能ブロック図。
【図4】本発明の他の実施形態における差分部の詳細機能を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
RS・・・リファレンスサンプル
L、La、Lb・・・基本光(レーザ光)
LNb・・・リファレンス散乱光
OS・・・測定サンプル
LNa・・・測定サンプル散乱光
S1・・・散乱光情報取得ステップ
S2・・・差分情報生成ステップ
S3・・・粒径分布算出ステップ
Claims (4)
- サンプルに基本光を照射して生じた散乱光から得られる散乱光情報に基づいて当該サンプルに含まれる粒子群の粒径分布を測定するものであって、
所定粒子群のみを含むリファレンスサンプルを収容するリファレンスセルと、
前記所定粒子群を大多数含み、その他に微量の別径をなす測定対象粒子群を含んでなる測定サンプルを収容する測定セルと、
単一の光源から射出された基本光を分割し、前記リファレンスサンプル及び測定サンプルにそれぞれ導く基本光案内機構と、
前記各サンプルに基本光が照射されて生じた散乱光を、光の強度を検出する光強度検出部に導く散乱光案内機構と、
前記光強度検出部で検出された各散乱光情報の差分に基づいて、前記測定サンプルに含まれる測定対象粒子群の粒径分布を算出する情報処理部と、を備えている粒径分布測定装置。 - 前記散乱光情報が、散乱光強度の揺らぎを示す揺らぎ情報である請求項1記載の粒径分布測定装置。
- 前記散乱光情報が、散乱光強度の揺らぎを示す揺らぎ情報から算出されるパワースペクトル情報である請求項1記載の粒径分布測定装置。
- 前記散乱光情報が、散乱光強度の角度分布に関する情報である請求項1記載の粒径分布測定装置。
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