JP3918112B2 - 加熱凝固型のプリン類用絵柄転写フィルム、及び絵柄転写方法 - Google Patents

加熱凝固型のプリン類用絵柄転写フィルム、及び絵柄転写方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリン類用の絵柄転写フィルム、並びに当該フィルムを利用したプリンの絵柄転写方法に関して、液状のプリンに当該フィルムを接触させて加熱することで、凝固したプリンの表面に絵柄を簡便且つ鮮明に転写できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
特開平5−146261号公報には、食品を対象とした絵柄転写フィルムであって、多糖類と多価アルコール類の組み合わせを主成分とする可食性のフィルムが開示されている。
具体的には、同公報の実施例1に、カラギーナンとグリセリンとソルビトールを水に分散した絵柄転写フィルムが、同実施例2に、カラギーナンとグアーガムとグリセリンとソルビトールを水に分散した絵柄転写フィルムが夫々記載されているが、絵柄転写の対象となる食品はホットケーキやサツマ揚げであり、プリンではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリンは容器に充填した溶液を加熱凝固して製造するため、上記従来技術の絵柄転写フィルムをそのままプリンの製造工程に適用すると、絵柄成分の可食性色素がプリン液に溶解して絵柄が滲んでしまい、ホットケーキやサツマ揚げと同様の手法で絵柄転写を行うことは容易でない。
【0004】
一方、上記公開公報の冒頭の従来技術の項目には、プルランを主成分として、ホットケーキを作る際に加熱前のスポンジ上に載せて、加熱によって絵柄を転写することが可能な絵柄転写フィルムが説明されている(同公報の段落2参照)。
このプルラン製の絵柄転写フィルムはプリンにも適用することができ、製造現場においては、容器に収容したプリン溶液を加熱して凝固させ、凝固したプリンの上にこのプルランフィルムを載せた後、容器を蓋材で封止して、フィルムの絵柄をプリン表面に転写することが行われている。
【0005】
このプルランを主成分とする絵柄転写フィルムは容器の封止蓋とは別途にプリン表面に載せられ、プリンを食する際に同時に可食対象になるタイプのフィルムである。
この場合、プルランは水易溶性であるため、溶液状のプリンを凝固した後でなければ絵柄転写を行うことができないうえ、絵柄を印刷する可食性色素は水溶性が多いことから、水易溶性のプルランフィルムに可食性色素を使用した場合、絵柄の多色化は容易でなく、鮮明な印刷は困難である。
本発明は、可食対象とせず、プリン容器の封止蓋としての機能のみを果すとともに、溶液段階からプリンに接触させても鮮明に絵柄転写でき、操作性の良いフィルムを開発することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、凝固前のプリンを封止する蓋材に絵柄転写フィルムを使うことを着想し、プリン容器の封止蓋に適するポリエチレン、ポリアミドなどのヒートシール性を有する合成樹脂フィルムをベースとして、これに可食性色素を塗布し、さらに色素層の上にシェラック、ゼインなどのアルコール可溶性の天然樹脂を防護用の耐水層として塗工することを試みた。
【0007】
しかしながら、凝固前のプリンを絵柄転写フィルムで封止して絵柄転写を行う場合、フィルムの絵柄は溶液のプリンに接触しても溶解せずに滲まず、且つ、凝固したプリンには鮮明な絵柄が転写される必要があり、この両立は容易でない。実際に、プリンの生産過程では、封止用のフィルムをローラで走行させながらプリン溶液の入った容器に搬送し、ヒートシールにより容器を封止することが行われているが、上記天然樹脂のうちの、一方のシェラックを耐水層とする絵柄転写フィルムをこの封止工程に適用すると、この走行時の衝撃で耐水層にクラックが発生し易く、そのうえ、走行時に折り曲げる工程が入ると、クラックの発生度合がさらに増大するため、可食性色素層がクラックを介してプリン溶液の水分に接触して溶解し、絵柄が滲んで鮮明な転写ができない。また、他方のゼインを耐水層に使用しても、シェラックに比べて耐水性が劣るため、やはり満足な絵柄転写結果が得られないという問題がある。
そこで、引き続いて鋭意研究を重ねた結果、シェラックとゼインを特定の配合割合で組み合わせるとともに、特定の塗工量で耐水層を塗膜すると、上記問題を克服して鮮明な転写能と優れた機械適性を具備した絵柄転写フィルムが得られることを突き止め、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明1は、ヒートシール性の合成樹脂フィルム上に可食性色素層を形成し、シェラックとゼインの混合物を主成分とする耐水層をこの可食性色素層の上に塗工してなり、
上記耐水層のシェラックとゼインの重量比が固形分換算でシェラック/ゼイン=0.003〜2.0であり、その塗工量が固形分換算で4.0g/m2以下であることを特徴とする加熱凝固型のプリン類用絵柄転写フィルムである。
【0009】
本発明2は、プリン類の溶液を容器に収容し、上記本発明1の絵柄転写フィルムでこの容器の開口部を封止し、絵柄転写フィルムの可食性色素層を耐水層を介してプリン類の溶液に接触した状態で加熱して、絵柄転写フィルムの色素層の絵柄をプリン類に転写可能にすることを特徴とする加熱凝固型のプリン類の絵柄転写方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、ヒートシール性の合成樹脂フィルムに塗膜した可食性色素層をシェラックとゼインの混合物を主成分とする耐水層で被覆した加熱凝固型のプリン類用絵柄転写フィルムであり、第二に、この絵柄転写フィルムでプリン溶液の収容容器の開口部を封止して加熱し、絵柄を加熱凝固型のプリン類に転写する方法である。
【0011】
上記ヒートシール性の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル樹脂などが挙げられる。形態としては、これらの樹脂の単層体又はラミネート体のいずれでも良いが、ポリアミド/ポリアミド/ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン)などのラミネートが好ましい。また、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アルミニウム箔などのガスバリア性のフィルム又は箔を上記ヒートシール性のフィルムにラミネートしても良いことはいうまでもない。
上記合成樹脂に塗膜する可食性色素としては、アナトー、コウリャン、ウコン、モナスカス、カカオ、ベニバナ、クチナシ、コチニール、クロレラ、スピルリナ、カラメル、シソ、タマネギ、アカネなどの天然色素、食用赤色2号、3号、102号、106号、同黄色4号、5号、同青色1号などの合成色素などが挙げられる。また、本発明の可食性色素は、ココア、パプリカ、抹茶、ホウレンソウ、ニンジン、ウコンなどの有色食品粉末などを包含する概念である。
これらの天然色素、合成色素、有色食品粉末などは単用又は併用できる。
また、大豆蛋白、乳蛋白、卵蛋白などの蛋白類を可食性色素に添加すると、離形防止、滲み防止に有効である。
上記可食性色素は、例えば、シェラック、ロジン、コーパル、ゼインなどの天然樹脂と共に含水アルコールに溶解又は分散した後、酸又は塩基でpH調整した後、上記合成樹脂フィルムに印刷されて、絵柄を構成する可食性色素層としてフィルム上に形成される。
【0012】
合成樹脂フィルム上に形成した可食性色素層には、さらにプリン液の水分から防護するための耐水層が塗工される(図1参照)。
上記耐水層は、シェラックとゼインの混合物を主成分とする。シェラックとゼインを混合する際の重量比は固形分換算で、シェラック/ゼイン=0.003〜2.0であり、好ましくは0.01〜2.0である。
シェラックは耐水性に富むが、硬くて皮膜にクラックが発生し易く、また、ゼインは耐水性ではシェラックに一歩譲るが、皮膜に柔軟性を付与できるため、これらを組み合わせることでクラックの発生がなく、耐水性に優れた皮膜を形成できる。
前述したように、凝固前のプリンを絵柄転写フィルムで封止する場合、フィルムの絵柄は溶液のプリンに接触しても溶解せずに滲まない反面、凝固したプリンには鮮明に転写される必要があるため、シェラック/ゼインの重量比が0.003より少ないと、絵柄が凝固前のプリン溶液中に混入して転写不良を起こし、逆に、2.0より多いと、フィルムを重ねた際に相互に密着するブロッキングが発生したり、転写不良を起こす恐れが大きい。
【0013】
ヒートシール性の合成樹脂フィルム上へのシェラック/ゼインの混合物の塗工量は、耐水層の柔軟性を保持しながら鮮明な転写能を確保する見地から、固形分換算で4.0g/m2以下であり、この数値を越えて厚く塗工すると、クラックが発生して転写不良を起こしたり、ブロッキングが発生したり、或は転写自体が困難になる恐れが大きい。
また、耐水層には、可食性色素の酸凝縮による色流れ防止の見地から、リン酸、クエン酸などの有機酸を添加することが有効である。
耐水層の塗工は、基本的に、上記シェラック及びゼイン、或はさらに有機酸などは含水アルコールに溶解させた後、可食性色素層を塗膜した合成樹脂フィルム上に塗布、噴霧、又は(浸漬により)含浸することにより形成される。当該耐水層は合成樹脂フィルムの全面に塗工しても良いが、可食性色素層を被覆する状態で合成樹脂フィルムに部分塗工しても良いことはいうまでもない。
尚、本発明の絵柄転写フィルムは薄いフィルムに限らず、厚いシートまでを包含する概念であり、商品名などの印刷層が合成樹脂のラミネートフィルム内に介在しても良いことはいうまでもない。
【0014】
本発明2は、本発明1の絵柄転写フィルムを用いてプリンに絵柄転写する方法であり、上記絵柄転写フィルムでプリン溶液を収容した容器の開口部を封止し、絵柄転写フィルムの可食性色素層を耐水層を介してプリン溶液に接触した状態で加熱して、絵柄転写フィルムの色素層の絵柄をプリンに転写可能にしたものである。
【0015】
例えば、図1〜図2に示すように、生産ライン9上を複数列で搬送される容器5のグループにプリン溶液6を逐次注入し、搬送ローラ7及びテンションローラ8を介して大きく蛇行状に折り曲げながら走行させた絵柄転写フィルム1をこのプリン容器5に上から接当させ、180℃前後で当該フィルム1を容器開口部にヒートシールして、絵柄転写フィルム1の合成樹脂フィルム4上に印刷された可食性色素層2を耐水層3を介してプリン溶液6に接触させた後、70℃以上で加熱する。この加熱過程でプリンは熱凝固し、耐水層3は溶解して、可食性色素で描かれた絵柄がフィルムから凝固したプリン表面に転写されるのである。
即ち、本発明は、可食性色素層の上にシェラックとゼインを特定重量比で混合してなる耐水層を特定付着量以下で塗工することを特徴とするが、これにより、フィルムの走行に伴う衝撃力と蛇行に伴う折り曲げ力が作用する絵柄転写フィルムの封止工程においても、絵柄はプリン液には滲まず、凝固したプリン上に円滑に転写できるのである。
【0016】
本発明の絵柄転写フィルムが適用できるプリン類は、プリンに限らず、ゼリー、ムースなどのように、液状物を加熱凝固するタイプの菓子類を包含する概念である。
プリンは、卵をベースとしたカスタードプリンを初め、ゲル化剤、或はカードランのような熱凝固性の処理剤を添加しても良く、その組成は任意であって限定されない。ゼリーやムースなどの場合も同様に組成の限定はない。
【0017】
【発明の効果】
本発明では、耐水性が高いシェラックと柔軟性のあるゼインを特定の割合で混合してなり、且つ、付着量を適正化した耐水層を防護用として可食性色素の上に塗工した絵柄転写フィルムであるため、プリンの製造工程で走行や折り曲げなどに伴う衝撃力や応力が加わっても、絵柄転写フィルムにはクラックの発生がなく、優れた機械適性を付与できる。
このため、液状のプリンに本発明の絵柄転写フィルムを接触させて加熱すると、凝固したプリンの表面に簡便且つ鮮明に絵柄を転写できる。
また、冒述したように、プルランフィルムに絵柄を印刷し、凝固したプリンの上にこの絵柄フィルムを載置する場合には、絵柄フィルムとは別途に蓋材でプリン容器を封止する必要があり、生産工程が煩雑になるが、本発明では、絵柄転写フィルムがそのまま蓋材を兼ね、溶液段階のプリン容器を封止した後に加熱することで自動的にプリンの凝固と絵柄の転写を行えるため、生産性が高い。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の絵柄転写フィルムの製造実施例、当該フィルムを用いてプリンに絵柄転写した場合の絵柄評価試験例を順次説明する。また、実施例、試験例中の「%」、「部」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0019】
《絵柄転写フィルムの製造実施例》
下記の実施例1〜7のうち、実施例2はシェラック及びゼインの混合物のみで耐水層を構成した例、その以外の実施例は、シェラック及びゼインに加えて色流れ防止用のリン酸を併用添加した例である。実施例6はシェラック/ゼインの混合比率を上限に設定した例、実施例7は同比率を下限に設定した例である。また、実施例3は耐水層の塗工量を3.1g/m2に設定した例、その以外の実施例は全て同塗工量を1.0g/m2に固定した。
一方、比較例1〜8のうち、比較例1は可食性色素層の上に耐水層を塗工しないブランク例、比較例2は耐水層としてシェラックのみを塗工した例、比較例3はゼインのみを塗工した例、比較例4はシェラック/ゼインの混合比率が2.0を越える例、比較例5は同比率が0.003より少ない例、比較例6は耐水層の塗工量を4.0g/m2を越えて厚く塗工した例、比較例7は耐水層としてシェラックとグリセリンの混合物を塗工した例、比較例8は同じくゼインとグリセリンの混合物を塗工した例である。
【0020】
(1)実施例1
(a)ヒートシール性合成樹脂
PA/PA/LLDPEの3層ラミネートフィルム(厚み90μm)である。但し、PAはポリアミド、LLDPEは直鎖状の低密度ポリエチレンを表す。
また、実際には、PAとPA層の間には商品名などの印刷層が形成されるが、これは本発明の対象である絵柄転写用の色素層とは別のものである。
(b)可食性色素層
コウリャン色素 17%
アナトー色素 1%
シェラック 15%
グリセリン 3%
水酸化カリウム 2%
氷酢酸 1%
エタノール 38%
水 23%
(c)耐水層
シェラック 7%
ゼイン 5%
リン酸 2.5%
エタノール 73%
水 12.5%
上記(a)のラミネートフィルムのLLDPE側に、上記(b)の組成の色素液を印刷して絵柄を構成する色素層となし、この可食性色素層の上に上記(c)の組成の液を塗工量1.0g/m2(固形分換算)で塗布して耐水層を形成し、絵柄転写フィルムを製造した。
【0021】
(2)実施例2
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層の組成からリン酸を省き、シェラックとゼインの混合比率は変えないで耐水層を構成し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、リン酸の省略分は水で補填して、耐水層(c)の全体組成を100%に調整した。
【0022】
(3)実施例3
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から0.5%/10%に変更し、耐水層の塗工量を1.0g/m2から3.1g/m2に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水の量で修正した。
【0023】
(4)実施例4
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から2%/5%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水の量で補填した。
【0024】
(5)実施例5
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から5%/7%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0025】
(6)実施例6
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から10%/5%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0026】
(7)実施例7
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から0.03%/10%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0027】
(8)比較例1
上記比較例1を基本としながら、実施例1の耐水層を形成せず、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、合成樹脂フィルムに可食性色素層を印刷しただけの絵柄転写フィルムを製造した。
【0028】
(9)比較例2
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から10%/0%に変更することにより、耐水層をシェラック単独で形成し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0029】
(10)比較例3
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から0%/10%に変更することにより、耐水層をゼイン単独で形成し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0030】
(11)比較例4
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から15%/7%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0031】
(12)比較例5
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層のシェラック/ゼインの混合比率を7%/5%から0.01%/10%に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、混合比率の変更分は水で修正した。
【0032】
(13)比較例6
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層の塗工量を1.0g/m2から5.2g/m2に変更することにより、耐水層を厚く形成し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。
【0033】
(14)比較例7
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層の構成成分をシェラック/ゼイン=7%/5%からシェラック/グリセリン=10/5に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、耐水層の構成成分の変更分は水で修正した。
【0034】
(15)比較例8
上記実施例1を基本としながら、実施例1の耐水層の構成成分をシェラック/ゼイン=7%/5%からゼイン/グリセリン=10/5に変更し、これ以外の条件は実施例1と同様に処理して、絵柄転写フィルムを製造した。尚、耐水層の構成成分の変更分は水で修正した。
【0035】
そこで、上記実施例1〜7及び試験例1〜8の各絵柄転写フィルムを用いて、プリンに絵柄転写した場合の鮮明度の評価を行った。
《プリンの絵柄転写評価試験例》
先ず、卵をベースとしたカスタードプリンの溶液を次の組成で調製した。
牛乳 63.0%
全卵 20.0%
砂糖 13.0%
生クリーム 3.0%
洋酒 1.0%
次いで、前記図2に示すようなプリンの製造ラインに絵柄転写フィルムを折り曲げ走行させながら、上記プリン溶液をほぼ満杯に注入した容器の開口部にこのフィルムを蓋材として接当させ、180℃でヒートシールした後、フィルムの可食性色素層が耐水層を介してプリン液に接触している状態で、120℃、40分の条件で蒸煮して、加熱凝固したプリンの表面にフィルムから絵柄を転写して、プリン表面の絵柄の鮮明度の優劣を目視評価した。
【0036】
絵柄の評価基準は次の通りである。
◎:絵柄がきわめて鮮明に転写した。
○:絵柄は鮮明に転写したが、少し滲みがあった。
×:絵柄を構成せず、転写不良であった。
【0037】
下表はその試験結果である。
Figure 0003918112
【0038】
上表によると、実施例1〜7の評価は共に◎〜○であり、絵柄は概ね鮮明に転写されていた。
これに対して、比較例1〜8では、いずれも色流れを起こしたり、色素層がプリンの中に混入したり、或は転写がうまく進行せず、実用水準の絵柄を構成しなかった。
この点を詳述すると、耐水層のない比較例1では、色素層がプリン液に溶解して激しく色流れをした。シェラック単独で耐水層を形成した比較例2では、耐水層にクラックが発生し、絵柄が滲んでいた。ゼイン単独で耐水層を形成した比較例3では、耐水層自体が剥離していた。また、シェラックと親水性のグリセリンで耐水層を形成した比較例7では転写不良が起こり、ゼインとグリセリンで耐水層を形成した比較例8では可食性色素層がプリンの表面に転写せず、プリンの中に混入していた。従って、これらの比較例2〜3、或は比較例7〜8と実施例1〜7を対比すると、絵柄を鮮明に転写するためには、シェラックとゼインのいずれか一方だけの使用では足りず、シェラックとゼインを組み合わせることが重要であって、シェラックとグリセリン、或はゼインとグリセリンのように、他の成分の組み合わせでは鮮明に転写できないことが判明した。
【0039】
また、シェラック/ゼインの混合比率が2.0を越える比較例4では、ブロッキングが発生するとともに、転写不良であった。逆に、同混合比率が0.003より小さい比較例5では、可食性色素層がプリンの表面に転写せず、プリンの中に混入し、前記比較例3(ゼイン単独で耐水層を形成)に類似する結果であった。従って、これらの比較例4〜5と実施例1〜7を対比すると、絵柄を鮮明に転写するためには、シェラックとゼインを組み合わせるだけでは充分でなく、シェラック/ゼインの混合比率を適正化する必要があることが判明した。
さらに、耐水層の塗工量を4.0g/m2より多くして厚く塗工した比較例6では、ブロッキングが発生するとともに、可食性色素層がプリン表面に転写しなかった。従って、この比較例6と実施例1〜7を対比すると、シェラック/ゼインの混合比率を適正化するだけでは絵柄を鮮明に転写できず、さらに加えて、耐水層の塗工量の適正化が重要であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】絵柄転写フィルムの要部拡大縦断面図である。
【図2】プリンの生産ラインの概略系統図である。
【符号の説明】
1…絵柄転写フィルム、2…可食性色素層、3…耐水層、4…合成樹脂フィルム、5…プリン容器、6…プリン溶液。

Claims (2)

  1. ヒートシール性の合成樹脂フィルム上に可食性色素層を形成し、シェラックとゼインの混合物を主成分とする耐水層をこの可食性色素層の上に塗工してなり、 上記耐水層のシェラックとゼインの重量比が固形分換算でシェラック/ゼイン=0.003〜2.0であり、その塗工量が固形分換算で4.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の加熱凝固型のプリン類用絵柄転写フィルム。
  2. プリン類の溶液を容器に収容し、請求項1の絵柄転写フィルムでこの容器の開口部を封止し、絵柄転写フィルムの可食性色素層を耐水層を介してプリン類の溶液に接触した状態で加熱して、絵柄転写フィルムの色素層の絵柄をプリン類に転写可能にすることを特徴とする加熱凝固型のプリン類の絵柄転写方法。
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