JP3920060B2 - 膨張弁 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は膨張弁に関し、特に自動車用エアコンシステムの冷凍サイクルの中で高温・高圧の液冷媒を断熱膨張させて低温・低圧の気液混合冷媒にするとともにエバポレータ出口での冷媒の状態が所定の過熱度になるように冷媒流量を制御する膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エアコンシステムでは、コンプレッサによって圧縮された高温・高圧のガス冷媒をコンデンサで凝縮し、凝縮された液冷媒を膨張弁で断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にし、それをエバポレータにて蒸発させてコンプレッサに戻すような冷凍サイクルが形成されている。低温の冷媒が供給されるエバポレータは、車室内の空気と熱交換を行うことで、冷房が行われる。
【0003】
膨張弁は、エバポレータ出口側の冷媒の温度および圧力の変化を感知して内部が昇降圧する感温部と、その感温部の昇降圧に基づいてエバポレータ入口側に供給される冷媒の流量を制御する弁部とから構成されている。この弁部は、高圧冷媒を受ける冷媒入口と低圧冷媒を供給する冷媒出口とを連通する冷媒通路の途中にその冷媒通路を遮るように設けられた壁に穿設された弁孔と、この弁孔に対向して接離可能に設けられた弁体とから成っている。弁体は、弁孔を塞ぐ方向にばねによって付勢され、また、感温部によりシャフトを介して駆動されることで弁開度を制御するようになっている。
【0004】
このような膨張弁は、エバポレータの入口配管と出口配管とに取り付けられるが、膨張弁とエバポレータとの配管作業は、非常に繁雑であることから、膨張弁をエバポレータと一体に構成して配管作業を軽減することが提案されている。
【0005】
その一例として、特開昭63−80169号公報に記載された膨張弁付きのエバポレータが知られている。このエバポレータによれば、冷媒流通路と空気流通空間とが交互に形成されるように複数のプレートを積層し、積層されたプレートの冷媒流れ方向両端部には、複数の冷媒流通路をグループ別に集合させるタンクが形成され、これらのタンクを適当に接続して一続きの冷媒流れを成すようにしている。タンク内には、高圧の液冷媒を導入する高圧配管およびエバポレータ出口配管を構成する低圧配管が接続された膨張弁用パイプが設けられ、その膨張弁用パイプの一端がエバポレータの外に延びていて、そこから膨張弁用パイプに膨張弁を構成するシリンダブロックを挿入するようにしている。このシリンダブロックには、高圧の液冷媒を断熱膨張させる弁部とエバポレータ出口の冷媒の温度および圧力を感知して弁部の弁体を制御する制御部とを備えている。
【0006】
膨張弁用パイプは、その側壁に、断熱膨張された冷媒をエバポレータ入口に供給するための孔およびエバポレータ出口の冷媒を通過させるための孔が設けられており、これらの孔に連通するシリンダブロックの冷媒流通路は、膨張弁用パイプとシリンダブロックとの間に配置されるシールリングによってシールされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の膨張弁は、中実の円柱体を切削加工してその中に弁体やそれを駆動する感温部などを収容する構成にしてあるため、ボディの部分が高価になり、また、シールリングを取り付けた状態で膨張弁を膨張弁用パイプに挿入するときに、膨張弁用パイプに設けられた孔がシールリングを破断させる危険性があり、膨張弁の組立性が悪いという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、安価で組立性の良い膨張弁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、エバポレータの入口側タンクと出口側タンクとに隣接して一体に溶接してなる弁ケースに装着するようにした膨張弁において、前記出口側タンク内の冷媒の温度および圧力を感知するためのダイヤフラムを有する感温部と、前記出口側タンク内の冷媒を導入するための前記感温部の部屋を構成する部分、冷媒が導入または導出される第1の部屋を構成する部分および冷媒が導出または導入される第2の部屋を構成する部分が段階的に順次縮径された外形のハウジングを有する弁部と、を備え、前記ハウジングは、前記感温部の部屋を構成する部分に前記出口側タンク内の冷媒を導入する第1の開口部および導入された冷媒を外部に導出する第2の開口部と、前記第1の部屋を構成する部分に連通する第3の開口部と、前記第2の部屋を構成する部分に連通する第4の開口部とを有していることを特徴とする膨張弁が提供される。
【0010】
このような膨張弁によれば、弁部のボディをなすハウジングは、感温部から離れる方向に段階的に縮径されているので、これに合わせて形成された弁ケースに載せるだけで装着でき、組立性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、ハウジングは、感温部のロアハウジングと一体に形成されたプレス加工品であり、これに第1の部屋と第2の部屋との間を仕切るプレス加工品の第1のプレートを気密に接合するとともに、第1の部屋と感温部の部屋との間を仕切るプレス加工品の第2のプレートを気密に接合してある。
【0012】
これにより、感温部のハウジングと同様に、弁部のハウジング、第1および第2のプレートを安価なプレス加工品で構成したことで、膨張弁のコストを低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明による膨張弁をエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図、図2は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図、図3は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面側面図である。
【0014】
本発明による膨張弁1は、エバポレータ2の外側に一体に形成された浅底の弁ケース3に挿入し、弁ケース3に固定金具4で固定することによって装着される。
【0015】
エバポレータ2は、冷媒流通路および空気流通路を交互に複数配置した平板状の熱交換パネルを2枚並べ、さらにこれらに別の2枚の熱交換パネルを重ねるように配置して一体にしたような構成を有し、各熱交換パネルの流体流れ方向の両端にはそれぞれタンクを設けて冷媒流通路を集合させ、かつ隣接するパネルのタンクを連通させて、冷媒が各熱交換パネルを順次流れるようになっている。
【0016】
図示のエバポレータ2は、膨張弁1からの冷媒を受ける入口側タンク5と蒸発された冷媒が集められる出口側タンク6とが隣接して平行に配置された場合を示しており、入口側タンク5と出口側タンク6との間のスペースに膨張弁1を装着する弁ケース3が取り付けられている。
【0017】
弁ケース3は、図の上方に向かって拡開形成された形状を有し、その側壁には、コンデンサにて凝縮された高圧の液冷媒を受ける冷媒入口配管7と、出口側タンク6から膨張弁1を通過してきた冷媒をコンプレッサへ導出する冷媒出口配管8とが接続されている。また、弁ケース3は、入口側タンク5と接触している部分に膨張弁1によって断熱膨張された低温・低圧の冷媒を供給する冷媒導出用開口部9を有し、出口側タンク6と接触している部分には出口側タンク6に集められた冷媒を感温部に導入してその温度および圧力を感知させる冷媒導入用開口部10を有している。
【0018】
また、この弁ケース3は、冷媒導出用開口部9を介して入口側タンク5に接続されている部分を除きその入口側タンク5とは隙間を設けて接触しないようにしている。これにより、冷媒導出用開口部9から入口側タンク5に導入される冷媒の低温が入口側タンク5から膨張弁1の感温部が位置する弁ケース3の部分に直接伝熱されないようにして、感温部が感温エラーを起こしてしまうのを防止している。
【0019】
膨張弁1は、感温部および弁部のハウジングをプレス加工品で構成している。すなわち、感温部のロアハウジング11と弁部のハウジング12とをプレス加工で一体に成形し、これに感温部のアッパーハウジング13を溶接している。弁部のハウジング12は、感温部の部屋を構成する部分、高圧室を構成する部分および低圧室を構成する部分が段階的に順次縮径された外形を有し、その中に、高圧室と低圧室との間を仕切るプレス加工品のプレート14と高圧室と感温部の部屋との間を仕切るプレス加工品のプレート15とを有している。プレート14は、中心に弁孔が穿設されており、ハウジング12とほぼ同心を合わせてハウジング12の内壁にプロジェクション溶接により全周が気密に接合され、プレート15は、治具を用いて、プレート14と正確に同心が出るよう位置決めされた状態でハウジング12の内壁にプロジェクション溶接により全周が気密に接合されれて、弁部のボディを構成している。ハウジング12は、また、低圧室に連通する開口部と、高圧室に連通する開口部(図には現れていない)と、感温部の部屋に連通する開口部とを有し、さらに、下端部には図示の例では4個の突出片16が一体に突設されている。この突出片16は、それぞれの先端が内側に屈曲されている。
【0020】
ハウジング12の低圧室には、プレート14の弁孔に対して軸線方向に進退自在のボール形状の弁体17が配置されており、この弁体17は圧縮コイルスプリング18によって弁孔を塞ぐ方向に付勢されている。この圧縮コイルスプリング18の下端は、突出片16の屈曲部にて受けられている。この弁体17が開き始める膨張弁1のセット値は、突出片16の屈曲部を軸線方向内側に変形して圧縮コイルスプリング18の荷重を変えることにより調整される。
【0021】
プレート15の中央部分は、軸線位置に配置されたシャフト19を挿通させるシャフト貫通孔を有するとともに、パッキン20を保持するような形状に形成されている。パッキン20は、シャフト19を軸線方向に進退自在に支持するとともに高圧室と感温部の部屋との間をシールするもので、パッキン20を保持する部分にワッシャを圧入固定することによって保持されている。
【0022】
感温部は、ダイヤフラム21によって上下の部屋に仕切られている。感温部の下部の部屋には、ダイヤフラム21に接触配置された熱伝導性の良いセンターディスク22が配置され、ダイヤフラム21の変位をシャフト19を介して弁体17に伝えるようにしている。センターディスク22は、また、出口側タンク6から導入された冷媒の温度を直接ダイヤフラム21に伝熱する。感温部の上部の部屋は、冷媒と同じガスが充填されており、アッパーハウジング13の中央に穿設されているガス導入孔はボール23を溶接することによって閉止されている。
【0023】
以上のように、本発明による膨張弁1は、弁部のボディを構成するハウジング12、プレート14,15を安価なプレス加工品で構成し、圧縮コイルスプリング18の荷重調整をハウジング12と一体に形成した突出片16の屈曲部の変形で行うようにし、かつ、軸線方向の寸法を短くして小型化したことで、コスト低減を実現している。また、膨張弁1は、ボタン形状にして浅底の弁ケース3に装着し、固定するようにしたことで、組立性を向上させている。
【0024】
なお、膨張弁1を弁ケース3に装着する際には、低圧室に連通する開口部と、高圧室に連通する開口部と、感温部の部屋に連通する開口部とが相互に流体的に隔離されるように3つのシールリングが配置されている。
【0025】
以上の構成の膨張弁1において、エバポレータ2の出口側タンク6に集められた冷媒は、弁ケース3の冷媒導入用開口部10を介して感温部の部屋に導入され、この感温部の部屋を通過して冷媒出口配管8よりコンプレッサへ送られる。このとき、感温部のダイヤフラム21は、通過する冷媒の温度および圧力を感知する。
【0026】
ここで、出口側タンク6内の冷媒の温度が低下するか冷媒圧力が上昇すると、ダイヤフラム21は、上方に変位する。これにより、シャフト19および弁体17が圧縮コイルスプリング18に押されて上方へ移動し、弁開度が小さくなる。この結果、冷媒入口配管7から弁ケース3および膨張弁1を通り、再び弁ケース3および入口側タンク5を介してエバポレータ2へと流れる冷媒の流量が減少する。
【0027】
逆に、出口側タンク6内の冷媒の温度が上昇するか冷媒圧力が低下すると、ダイヤフラム21は、下方に変位する。これにより、シャフト19および弁体17が圧縮コイルスプリング18の付勢力に抗して下方へ移動し、弁開度が大きくなるように制御される。この結果、膨張弁1の弁部を介してエバポレータ2に送り込まれる冷媒の流量が増加する。
【0028】
図4は本発明による膨張弁を向きを変えてエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図、図5は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図、図6は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面平面図である。これらの図に置いて、図1ないし図3に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してある。
【0029】
このタイプのエバポレータ2aは、入口側タンク5と出口側タンク6とが隣接して平行に配置されており、出口側タンク6の外方端側において入口側タンク5との間に膨張弁1を装着する弁ケース3が設けられている。この弁ケース3は正面方向に向かって拡開形成された形状を有し、膨張弁1を横方向から装着するようにしている。
【0030】
この弁ケース3は、その底部にエバポレータの入口側タンク5に膨張弁1によって断熱膨張された低温・低圧の冷媒を供給する冷媒導出用開口部9を有し、側壁には、高圧の液冷媒を導入する冷媒入口配管7が接続された開口部と、出口側タンク6にて集められた冷媒を導入する円周方向に細長いスリット状の冷媒導入用開口部10と、冷媒出口配管8が接続された開口部とを有している。
【0031】
以上のようなエバポレータ2aでは、膨張弁1が横方向から弁ケース3内に装着され、固定金具4を使って膨張弁1を弁ケース3に固定する。これにより、冷媒入口配管7から導入された高圧の液冷媒は、弁ケース3を介して膨張弁1に入り、この膨張弁1で断熱膨張されて冷媒導出用開口部9から入口側タンク5に供給される。エバポレータ2a内で蒸発された冷媒は、出口側タンク6にて集められ、弁ケース3の冷媒導入用開口部10を介して膨張弁1の感温部の部屋に導入され、この感温部の部屋を通過して冷媒出口配管8よりコンプレッサへ送られる。
【0032】
なお、以上の構成の膨張弁1は、プレート14,15をハウジング12にプロジェクション溶接するようにしたが、プレート14,15をハウジング12に圧入して全周を気密に接合するようにしてもよい。
【0033】
また、上記の実施の形態では、出口側タンク6にて集められた冷媒を全量感温部の部屋に通過させるようにしたが、一部だけを流すようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、膨張弁のハウジングを従来の細長い円筒形状から軸線方向の長さが短く、かつ感温部から離れる方向に段階的に縮径されているボタン形状としたことで、エバポレータと一体に形成された浅底の弁ケースに対する装着が容易であり、組立性を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の膨張弁は、感温部および弁部のハウジングと高圧室、低圧室、感温部を仕切るプレートとを安価なプレス加工品で構成したことにより、従来高価だったボディの部分を安価に作ることができ、感温部の部屋にエバポレータの出口冷媒を通過させるようにしたことで、エバポレータの出口冷媒の温度および圧力を確実に感知させることができる。
【0036】
さらに、弁体を弁閉方向に付勢する圧縮コイルスプリングの荷重調整をハウジングと一体に形成した突出片の屈曲部を軸線方向内側に変形させることで行うようにしたことで、従来荷重調整に用いていたアジャストねじが不要になり、部品点数を減らすことで、さらに膨張弁のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による膨張弁をエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図である。
【図3】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面側面図である。
【図4】本発明による膨張弁を向きを変えてエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図である。
【図6】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面平面図である。
【符号の説明】
1 膨張弁
2,2a エバポレータ
3 弁ケース
4 固定金具
5 入口側タンク
6 出口側タンク
7 冷媒入口配管
8 冷媒出口配管
9 冷媒導出用開口部
10 冷媒導入用開口部
11 ロアハウジング
12 ハウジング
13 アッパーハウジング
14,15 プレート
16 突出片
17 弁体
18 圧縮コイルスプリング
19 シャフト
20 パッキン
21 ダイヤフラム
22 センターディスク
23 ボール
【発明の属する技術分野】
本発明は膨張弁に関し、特に自動車用エアコンシステムの冷凍サイクルの中で高温・高圧の液冷媒を断熱膨張させて低温・低圧の気液混合冷媒にするとともにエバポレータ出口での冷媒の状態が所定の過熱度になるように冷媒流量を制御する膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エアコンシステムでは、コンプレッサによって圧縮された高温・高圧のガス冷媒をコンデンサで凝縮し、凝縮された液冷媒を膨張弁で断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にし、それをエバポレータにて蒸発させてコンプレッサに戻すような冷凍サイクルが形成されている。低温の冷媒が供給されるエバポレータは、車室内の空気と熱交換を行うことで、冷房が行われる。
【0003】
膨張弁は、エバポレータ出口側の冷媒の温度および圧力の変化を感知して内部が昇降圧する感温部と、その感温部の昇降圧に基づいてエバポレータ入口側に供給される冷媒の流量を制御する弁部とから構成されている。この弁部は、高圧冷媒を受ける冷媒入口と低圧冷媒を供給する冷媒出口とを連通する冷媒通路の途中にその冷媒通路を遮るように設けられた壁に穿設された弁孔と、この弁孔に対向して接離可能に設けられた弁体とから成っている。弁体は、弁孔を塞ぐ方向にばねによって付勢され、また、感温部によりシャフトを介して駆動されることで弁開度を制御するようになっている。
【0004】
このような膨張弁は、エバポレータの入口配管と出口配管とに取り付けられるが、膨張弁とエバポレータとの配管作業は、非常に繁雑であることから、膨張弁をエバポレータと一体に構成して配管作業を軽減することが提案されている。
【0005】
その一例として、特開昭63−80169号公報に記載された膨張弁付きのエバポレータが知られている。このエバポレータによれば、冷媒流通路と空気流通空間とが交互に形成されるように複数のプレートを積層し、積層されたプレートの冷媒流れ方向両端部には、複数の冷媒流通路をグループ別に集合させるタンクが形成され、これらのタンクを適当に接続して一続きの冷媒流れを成すようにしている。タンク内には、高圧の液冷媒を導入する高圧配管およびエバポレータ出口配管を構成する低圧配管が接続された膨張弁用パイプが設けられ、その膨張弁用パイプの一端がエバポレータの外に延びていて、そこから膨張弁用パイプに膨張弁を構成するシリンダブロックを挿入するようにしている。このシリンダブロックには、高圧の液冷媒を断熱膨張させる弁部とエバポレータ出口の冷媒の温度および圧力を感知して弁部の弁体を制御する制御部とを備えている。
【0006】
膨張弁用パイプは、その側壁に、断熱膨張された冷媒をエバポレータ入口に供給するための孔およびエバポレータ出口の冷媒を通過させるための孔が設けられており、これらの孔に連通するシリンダブロックの冷媒流通路は、膨張弁用パイプとシリンダブロックとの間に配置されるシールリングによってシールされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の膨張弁は、中実の円柱体を切削加工してその中に弁体やそれを駆動する感温部などを収容する構成にしてあるため、ボディの部分が高価になり、また、シールリングを取り付けた状態で膨張弁を膨張弁用パイプに挿入するときに、膨張弁用パイプに設けられた孔がシールリングを破断させる危険性があり、膨張弁の組立性が悪いという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、安価で組立性の良い膨張弁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、エバポレータの入口側タンクと出口側タンクとに隣接して一体に溶接してなる弁ケースに装着するようにした膨張弁において、前記出口側タンク内の冷媒の温度および圧力を感知するためのダイヤフラムを有する感温部と、前記出口側タンク内の冷媒を導入するための前記感温部の部屋を構成する部分、冷媒が導入または導出される第1の部屋を構成する部分および冷媒が導出または導入される第2の部屋を構成する部分が段階的に順次縮径された外形のハウジングを有する弁部と、を備え、前記ハウジングは、前記感温部の部屋を構成する部分に前記出口側タンク内の冷媒を導入する第1の開口部および導入された冷媒を外部に導出する第2の開口部と、前記第1の部屋を構成する部分に連通する第3の開口部と、前記第2の部屋を構成する部分に連通する第4の開口部とを有していることを特徴とする膨張弁が提供される。
【0010】
このような膨張弁によれば、弁部のボディをなすハウジングは、感温部から離れる方向に段階的に縮径されているので、これに合わせて形成された弁ケースに載せるだけで装着でき、組立性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、ハウジングは、感温部のロアハウジングと一体に形成されたプレス加工品であり、これに第1の部屋と第2の部屋との間を仕切るプレス加工品の第1のプレートを気密に接合するとともに、第1の部屋と感温部の部屋との間を仕切るプレス加工品の第2のプレートを気密に接合してある。
【0012】
これにより、感温部のハウジングと同様に、弁部のハウジング、第1および第2のプレートを安価なプレス加工品で構成したことで、膨張弁のコストを低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明による膨張弁をエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図、図2は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図、図3は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面側面図である。
【0014】
本発明による膨張弁1は、エバポレータ2の外側に一体に形成された浅底の弁ケース3に挿入し、弁ケース3に固定金具4で固定することによって装着される。
【0015】
エバポレータ2は、冷媒流通路および空気流通路を交互に複数配置した平板状の熱交換パネルを2枚並べ、さらにこれらに別の2枚の熱交換パネルを重ねるように配置して一体にしたような構成を有し、各熱交換パネルの流体流れ方向の両端にはそれぞれタンクを設けて冷媒流通路を集合させ、かつ隣接するパネルのタンクを連通させて、冷媒が各熱交換パネルを順次流れるようになっている。
【0016】
図示のエバポレータ2は、膨張弁1からの冷媒を受ける入口側タンク5と蒸発された冷媒が集められる出口側タンク6とが隣接して平行に配置された場合を示しており、入口側タンク5と出口側タンク6との間のスペースに膨張弁1を装着する弁ケース3が取り付けられている。
【0017】
弁ケース3は、図の上方に向かって拡開形成された形状を有し、その側壁には、コンデンサにて凝縮された高圧の液冷媒を受ける冷媒入口配管7と、出口側タンク6から膨張弁1を通過してきた冷媒をコンプレッサへ導出する冷媒出口配管8とが接続されている。また、弁ケース3は、入口側タンク5と接触している部分に膨張弁1によって断熱膨張された低温・低圧の冷媒を供給する冷媒導出用開口部9を有し、出口側タンク6と接触している部分には出口側タンク6に集められた冷媒を感温部に導入してその温度および圧力を感知させる冷媒導入用開口部10を有している。
【0018】
また、この弁ケース3は、冷媒導出用開口部9を介して入口側タンク5に接続されている部分を除きその入口側タンク5とは隙間を設けて接触しないようにしている。これにより、冷媒導出用開口部9から入口側タンク5に導入される冷媒の低温が入口側タンク5から膨張弁1の感温部が位置する弁ケース3の部分に直接伝熱されないようにして、感温部が感温エラーを起こしてしまうのを防止している。
【0019】
膨張弁1は、感温部および弁部のハウジングをプレス加工品で構成している。すなわち、感温部のロアハウジング11と弁部のハウジング12とをプレス加工で一体に成形し、これに感温部のアッパーハウジング13を溶接している。弁部のハウジング12は、感温部の部屋を構成する部分、高圧室を構成する部分および低圧室を構成する部分が段階的に順次縮径された外形を有し、その中に、高圧室と低圧室との間を仕切るプレス加工品のプレート14と高圧室と感温部の部屋との間を仕切るプレス加工品のプレート15とを有している。プレート14は、中心に弁孔が穿設されており、ハウジング12とほぼ同心を合わせてハウジング12の内壁にプロジェクション溶接により全周が気密に接合され、プレート15は、治具を用いて、プレート14と正確に同心が出るよう位置決めされた状態でハウジング12の内壁にプロジェクション溶接により全周が気密に接合されれて、弁部のボディを構成している。ハウジング12は、また、低圧室に連通する開口部と、高圧室に連通する開口部(図には現れていない)と、感温部の部屋に連通する開口部とを有し、さらに、下端部には図示の例では4個の突出片16が一体に突設されている。この突出片16は、それぞれの先端が内側に屈曲されている。
【0020】
ハウジング12の低圧室には、プレート14の弁孔に対して軸線方向に進退自在のボール形状の弁体17が配置されており、この弁体17は圧縮コイルスプリング18によって弁孔を塞ぐ方向に付勢されている。この圧縮コイルスプリング18の下端は、突出片16の屈曲部にて受けられている。この弁体17が開き始める膨張弁1のセット値は、突出片16の屈曲部を軸線方向内側に変形して圧縮コイルスプリング18の荷重を変えることにより調整される。
【0021】
プレート15の中央部分は、軸線位置に配置されたシャフト19を挿通させるシャフト貫通孔を有するとともに、パッキン20を保持するような形状に形成されている。パッキン20は、シャフト19を軸線方向に進退自在に支持するとともに高圧室と感温部の部屋との間をシールするもので、パッキン20を保持する部分にワッシャを圧入固定することによって保持されている。
【0022】
感温部は、ダイヤフラム21によって上下の部屋に仕切られている。感温部の下部の部屋には、ダイヤフラム21に接触配置された熱伝導性の良いセンターディスク22が配置され、ダイヤフラム21の変位をシャフト19を介して弁体17に伝えるようにしている。センターディスク22は、また、出口側タンク6から導入された冷媒の温度を直接ダイヤフラム21に伝熱する。感温部の上部の部屋は、冷媒と同じガスが充填されており、アッパーハウジング13の中央に穿設されているガス導入孔はボール23を溶接することによって閉止されている。
【0023】
以上のように、本発明による膨張弁1は、弁部のボディを構成するハウジング12、プレート14,15を安価なプレス加工品で構成し、圧縮コイルスプリング18の荷重調整をハウジング12と一体に形成した突出片16の屈曲部の変形で行うようにし、かつ、軸線方向の寸法を短くして小型化したことで、コスト低減を実現している。また、膨張弁1は、ボタン形状にして浅底の弁ケース3に装着し、固定するようにしたことで、組立性を向上させている。
【0024】
なお、膨張弁1を弁ケース3に装着する際には、低圧室に連通する開口部と、高圧室に連通する開口部と、感温部の部屋に連通する開口部とが相互に流体的に隔離されるように3つのシールリングが配置されている。
【0025】
以上の構成の膨張弁1において、エバポレータ2の出口側タンク6に集められた冷媒は、弁ケース3の冷媒導入用開口部10を介して感温部の部屋に導入され、この感温部の部屋を通過して冷媒出口配管8よりコンプレッサへ送られる。このとき、感温部のダイヤフラム21は、通過する冷媒の温度および圧力を感知する。
【0026】
ここで、出口側タンク6内の冷媒の温度が低下するか冷媒圧力が上昇すると、ダイヤフラム21は、上方に変位する。これにより、シャフト19および弁体17が圧縮コイルスプリング18に押されて上方へ移動し、弁開度が小さくなる。この結果、冷媒入口配管7から弁ケース3および膨張弁1を通り、再び弁ケース3および入口側タンク5を介してエバポレータ2へと流れる冷媒の流量が減少する。
【0027】
逆に、出口側タンク6内の冷媒の温度が上昇するか冷媒圧力が低下すると、ダイヤフラム21は、下方に変位する。これにより、シャフト19および弁体17が圧縮コイルスプリング18の付勢力に抗して下方へ移動し、弁開度が大きくなるように制御される。この結果、膨張弁1の弁部を介してエバポレータ2に送り込まれる冷媒の流量が増加する。
【0028】
図4は本発明による膨張弁を向きを変えてエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図、図5は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図、図6は本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面平面図である。これらの図に置いて、図1ないし図3に示した構成要素と同じ要素については同じ符号を付してある。
【0029】
このタイプのエバポレータ2aは、入口側タンク5と出口側タンク6とが隣接して平行に配置されており、出口側タンク6の外方端側において入口側タンク5との間に膨張弁1を装着する弁ケース3が設けられている。この弁ケース3は正面方向に向かって拡開形成された形状を有し、膨張弁1を横方向から装着するようにしている。
【0030】
この弁ケース3は、その底部にエバポレータの入口側タンク5に膨張弁1によって断熱膨張された低温・低圧の冷媒を供給する冷媒導出用開口部9を有し、側壁には、高圧の液冷媒を導入する冷媒入口配管7が接続された開口部と、出口側タンク6にて集められた冷媒を導入する円周方向に細長いスリット状の冷媒導入用開口部10と、冷媒出口配管8が接続された開口部とを有している。
【0031】
以上のようなエバポレータ2aでは、膨張弁1が横方向から弁ケース3内に装着され、固定金具4を使って膨張弁1を弁ケース3に固定する。これにより、冷媒入口配管7から導入された高圧の液冷媒は、弁ケース3を介して膨張弁1に入り、この膨張弁1で断熱膨張されて冷媒導出用開口部9から入口側タンク5に供給される。エバポレータ2a内で蒸発された冷媒は、出口側タンク6にて集められ、弁ケース3の冷媒導入用開口部10を介して膨張弁1の感温部の部屋に導入され、この感温部の部屋を通過して冷媒出口配管8よりコンプレッサへ送られる。
【0032】
なお、以上の構成の膨張弁1は、プレート14,15をハウジング12にプロジェクション溶接するようにしたが、プレート14,15をハウジング12に圧入して全周を気密に接合するようにしてもよい。
【0033】
また、上記の実施の形態では、出口側タンク6にて集められた冷媒を全量感温部の部屋に通過させるようにしたが、一部だけを流すようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、膨張弁のハウジングを従来の細長い円筒形状から軸線方向の長さが短く、かつ感温部から離れる方向に段階的に縮径されているボタン形状としたことで、エバポレータと一体に形成された浅底の弁ケースに対する装着が容易であり、組立性を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の膨張弁は、感温部および弁部のハウジングと高圧室、低圧室、感温部を仕切るプレートとを安価なプレス加工品で構成したことにより、従来高価だったボディの部分を安価に作ることができ、感温部の部屋にエバポレータの出口冷媒を通過させるようにしたことで、エバポレータの出口冷媒の温度および圧力を確実に感知させることができる。
【0036】
さらに、弁体を弁閉方向に付勢する圧縮コイルスプリングの荷重調整をハウジングと一体に形成した突出片の屈曲部を軸線方向内側に変形させることで行うようにしたことで、従来荷重調整に用いていたアジャストねじが不要になり、部品点数を減らすことで、さらに膨張弁のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による膨張弁をエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図である。
【図3】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面側面図である。
【図4】本発明による膨張弁を向きを変えてエバポレータに装着した状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの正面図である。
【図6】本発明による膨張弁を装着したエバポレータの部分断面平面図である。
【符号の説明】
1 膨張弁
2,2a エバポレータ
3 弁ケース
4 固定金具
5 入口側タンク
6 出口側タンク
7 冷媒入口配管
8 冷媒出口配管
9 冷媒導出用開口部
10 冷媒導入用開口部
11 ロアハウジング
12 ハウジング
13 アッパーハウジング
14,15 プレート
16 突出片
17 弁体
18 圧縮コイルスプリング
19 シャフト
20 パッキン
21 ダイヤフラム
22 センターディスク
23 ボール
Claims (6)
- エバポレータの入口側タンクと出口側タンクとに隣接して一体に溶接してなる弁ケースに装着するようにした膨張弁において、
前記出口側タンク内の冷媒の温度および圧力を感知するためのダイヤフラムを有する感温部と、
前記出口側タンク内の冷媒を導入するための前記感温部の部屋を構成する部分、冷媒が導入または導出される第1の部屋を構成する部分および冷媒が導出または導入される第2の部屋を構成する部分が段階的に順次縮径された外形のハウジングを有する弁部と、
を備え、
前記ハウジングは、前記感温部の部屋を構成する部分に前記出口側タンク内の冷媒を導入する第1の開口部および導入された冷媒を外部に導出する第2の開口部と、前記第1の部屋を構成する部分に連通する第3の開口部と、前記第2の部屋を構成する部分に連通する第4の開口部とを有していることを特徴とする膨張弁。 - 前記ハウジングは、前記感温部のロアハウジングと一体に形成されたプレス加工品であり、これに前記第1の部屋と前記第2の部屋との間を仕切るプレス加工品の第1のプレートを気密に接合するとともに、前記第1の部屋と前記感温部の部屋との間を仕切るプレス加工品の第2のプレートを気密に接合してあることを特徴とする請求項1記載の膨張弁。
- 前記第1のプレートは中央部に弁孔が穿設され、前記第2のプレートは中心が前記弁孔の中心と同一軸線上にあるシャフト貫通孔が中央部に穿設されていることを特徴とする請求項2記載の膨張弁。
- 前記第2の部屋内において前記弁孔に対して軸線方向に進退自在に配置された弁体と、前記弁体を前記弁孔に向けて付勢するスプリングと、前記シャフト貫通孔および前記弁孔の軸線位置に貫通配置されて前記ダイヤフラムの変位を前記弁体に伝達するシャフトと、を備えていることを特徴とする請求項3記載の膨張弁。
- 前記第2のプレートは、前記シャフトを軸線位置にて軸線方向に進退自在に支持するとともに前記シャフトと前記シャフト貫通孔との間の隙間をシールするためのパッキンを保持する形状に成形されていることを特徴とする請求項4記載の膨張弁。
- 前記第2の部屋を形成する前記ハウジングの端部より突出され、先端部が屈曲されて前記スプリングを受けるとともに前記先端部の屈曲の角度により前記スプリングの荷重調整を行うことができるようにした前記ハウジングと一体成形の少なくとも1つの突出片を備えていることを特徴とする請求項4記載の膨張弁。
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