JP3920123B2 - D/a変換器及びデルタシグマ型d/a変換器 - Google Patents

D/a変換器及びデルタシグマ型d/a変換器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、オーディオ機器等の分野での信号処理に用いられる、デジタル信号をアナログ信号に変換するためのD/A変換器に関し、特に、低い電源電圧で動作し且つ高調波成分及びノイズ成分の少ないアナログ信号を出力することの可能なスイッチト・キャパシタ型のD/A変換器及びこれを用いたデルタシグマ型D/A変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオ分野、例えばコンパクトディスク(CD)で用いられる16ビットデジタル信号等の高ビットのデジタル入力信号を、アナログ出力信号に変換するようにした信号変換装置として、例えば、図6に示すような、いわゆるデルタシグマ型D/A変換器が提案されている。この信号変換装置10においては、16ビット等の高ビットデジタル入力信号を、デジタルフィルタ11で64倍から128倍程度に補間し、さらに、補間処理されたデジタル信号をデジタルデルタシグマ変調器12でビット数の少ない(低分解能)デジタル信号に変換し、さらに、信号制御回路13で、次段のスイッチト・キャパシタ型D/A変換器15を制御できる適切な形態のデジタルデータに変換し、スイッチト・キャパシタ型D/A変換器15でアナログ出力信号を得るようにしている。
【0003】
前記スイッチト・キャパシタ型D/A変換器15としては、数々のものが提案されている。例えば、本出願人が先に出願した特開平11−055121号公報に記載のスイッチト・キャパシタ型のD/A変換器40においては、図7に示すように、出力端子と反転入力端子とが容量素子Cfbで接続されると共に、非反転入力端子がアナロググランドに接続されている演算増幅器100と、容量素子C1〜Ciと、容量素子C1 〜Ci と演算増幅器100の反転入力端子との間に接続されたスイッチSBと、各容量素子C1 〜Ci の右側の端子、つまり、前記スイッチSBと接続される側の端子をアナロググランドに接続するスイッチSU1〜SUi と、容量素子C1 〜Ci の左側の端子を2種類の基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続するスイッチSUG1〜SUGiと、各容量素子C1〜Ciの左側の端子と演算増幅器100の出力端子との間に接続されたスイッチSY1〜SYiと、2種類のクロックφ1、φ2を供給するためのクロック供給部200とを備えている。
【0004】
そして、第1の期間にデジタルデータにしたがって、所定の基準電圧に対応する電荷を容量素子C1〜Ciに保持させ、第2の期間に容量素子C1〜Ciを演算増幅器100の反転入力端子と出力端子との間に接続している。
つまり、クロックφ1がハイレベルのときデジタルデータSx(x=1〜i)の極性に応じて、例えば、デジタルデータSxが“1”の場合には、容量素子Cxを、基準電圧Vr+とアナロググランドとの間に接続し、容量素子Cxに、プラス極性の電荷をサンプリングし、デジタルデータSxが“−1”の場合には、基準電圧Vr−とアナロググランドとの間に接続してマイナス極性の電荷をサンプリングし、クロックφ2がハイレベルのときに容量素子Cxを演算増幅器100の出力端子と反転入力端子との間に接続するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平11−055121号公報に記載のスイッチト・キャパシタ型D/A変換器40を、例えば、MOS半導体集積回路として実現し、正の電源電位VDDと負の電源電位0〔V〕との元で動作させる場合、できるだけ高いSN比を得るため、基準電圧を大きくし、容量素子のサンプリングに起因する、いわゆるkT/Cノイズを低減し、且つ容易な構成とするために、基準電圧Vr+をVDDとし、基準電圧Vr−を0〔V〕とし、アナロググランドを電源電圧の中点電位(1/2)・VDDとしている。
【0006】
図8は、容量素子Ci周辺の各部位の電位の様子を表したものであって、図8(a)は、基準電圧としてVr+が選択された場合を表し、容量素子Ciを2種類の基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続するスイッチSUGiがMOSトランジスタで構成されるMOSスイッチQ1に対応し、容量素子Ciをアナロググランドに接続するためのスイッチSUiがMOSスイッチQ2に対応している。また、図8(b)は基準電圧としてVr−が選択された場合を表し、スイッチSUiがMOSスイッチQ3に対応し、スイッチSUGiがMOSスイッチQ4に対応している。
【0007】
ここで、アナロググランドに接続される、MOSスイッチQ2及びQ3が、図8(a)及び(b)に示すように、NチャネルMOSトランジスタで構成されている場合には、ソース電位は(1/2)・VDDであり、このとき、ゲート電位をVDDとすると、MOSスイッチQ2及びQ3のゲート・ソース間電圧VGSは、(1/2)・VDDとなる。
【0008】
しかしながら低い電源電圧の元で、このMOS半導体集積回路を動作させようとした場合、アナロググランドに接続されるスイッチ(この場合Q2及びQ3)は、MOSトランジスタで構成されているため、ゲート・ソース間電圧VGSとMOSトランジスタの閾値電圧VTとの相対関係によっては、MOSスイッチがオン状態とならず、第1の期間に容量素子に電荷をサンプリングすることができない場合がある。
【0009】
図9は、異なる電源電圧で同じサイズのNチャネルMOSトランジスタを導通させた場合の、ソース電位と抵抗値(いわゆるON抵抗値)との対応を表したものである。なお、図9において、横軸はソース電位を表し、縦軸はON抵抗値を表す。また、特性線L1の電源電圧VDDが最も低く、右側の特性線ほど電源電圧VDDが高い。なお、特性線L1〜L3において、ソース電位が(1/2)・VDDであるときのON抵抗値を○印で表している。
【0010】
図9に示すように、電源電圧VDDが低くなると、ソース電位が(1/2)・VDDであるときのON抵抗値は急激に高くなる。したがって、所定の時間内に電荷をサンプリングするためには、ON抵抗値が低くなるようにMOSトランジスタのサイズを大きくしなければならない。
しかしながら、スイッチを構成するMOSトランジスタのサイズを大きくするということは、電荷をサンプリングするためにゲート電圧が変化しスイッチがOFFする時のフィードスルーノイズが大きくなることを意味し、各回のサンプリングにおける電荷量にばらつきが発生し、これが演算増幅器100の出力信号に高調波を発生させたり、ノイズを発生させたりするといったことにつながる。
【0011】
また、仮に、基盤効果による閾値電圧VTの変化を無視しても、ゲート・ソース間電圧、つまり(1/2)・VDDが閾値電圧VT以下であると、MOSスイッチはON状態とならないため、動作可能な最低電源電圧VDDは、VDD=2・VTとなる。
同様に、アナロググランドに接続されるスイッチをPチャネルMOSトランジスタで構成した場合、図8(a)のMOSスイッチQ2及びQ3が、PチャネルMOSトランジスタとなることから、この場合も上記と同様に、ゲート・ソース間電圧VGSは(1/2)・VDDとなる。よって、これが閾値電圧VT以下であった場合には、MOSスイッチQ2及びQ3はON状態とならないから、動作可能な最低電源電圧VDDは、VDD=2・VTとなる。なお、PチャネルMOSトランジスタの場合、その閾値電圧VTの符号はマイナスであるから、この場合には、閾値電圧VTはその絶対値と考える。
【0012】
また、アナロググランドに接続されるMOSスイッチQ2及びQ3が、NチャネルMOSトランジスタ及びPチャネルMOSトランジスタを並列に接続して構成される場合には、この場合もこれらMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧VGSは、(1/2)・VDDとなる。したがって、このゲート・ソース間電圧VGSが、MOSスイッチを構成する二つのMOSトランジスタのうち、より低い方の閾値電圧VTよりも低くなると、MOSスイッチはON状態とならなくなるため、動作可能な最低電源電圧VDDは、閾値電圧VTの何れか低い方に基づいて決定される。つまり、動作可能な最低電源電圧VDDは、MOSスイッチの閾値電圧VTによって制約されてしまうことになる。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、より低い電源電圧で動作することができ、且つ良好な出力を得ることの可能なD/A変換器を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るD/A変換器は、与えられたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器であって、第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するスイッチ手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に係るD/A変換器は、与えられたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器であって、第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続する第1のスイッチ手段と、前記第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、前記電荷保持用電源電圧と前記第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第3の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と前記第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第4の容量素子と、前記第2の期間に、前記第3及び第4の容量素子を前記演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続する第2のスイッチ手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
また、請求項3に係るD/A変換器は、請求項1又は2記載のD/A変換器において、前記スイッチ手段は、MOSトランジスタを含んで構成されることを特徴としている。
本発明の請求項4に係るデルタシグマ型D/A変換器は、所定のサンプリング周波数でサンプリングされたデジタル信号をアナログ信号に変換するデルタシグマ型D/A変換器であって、前記デジタル信号を補間して、前記サンプリング周波数よりも周波数の高い第2のデジタル信号に変換するデジタルフィルタと、前記第2のデジタル信号をノイズシェーピングしてより低ビット数の第3のデジタル信号に変換するデジタルデルタシグマ変調器と、デジタル・アナログ変換を行うD/A変換器と、を備え、当該D/A変換器は、第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するスイッチ手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
また、請求項5に係るデルタシグマ型D/A変換器は、所定のサンプリング周波数でサンプリングされたデジタル信号をアナログ信号に変換するデルタシグマ型D/A変換器であって、前記デジタル信号を補間して、前記サンプリング周波数よりも周波数の高い第2のデジタル信号に変換するデジタルフィルタと、前記第2のデジタル信号をノイズシェーピングしてより低ビット数の第3のデジタル信号に変換するデジタルデルタシグマ変調器と、デジタル・アナログ変換を行うD/A変換器と、を備え、当該D/A変換器は、第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続する第1のスイッチ手段と、前記第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、前記電荷保持用電源電圧と前記第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第3の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と前記第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第4の容量素子と、前記第2の期間に、前記第3及び第4の容量素子を前記演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続する第2のスイッチ手段と、を備えることを特徴としている。
【0018】
さらに、請求項6に係るデルタシグマ型D/A変換器は、請求項4又は5記載のデルタシグマ型D/A変換器において、前記スイッチ手段は、MOSトランジスタを含んで構成されることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスイッチト・キャパシタ型のD/A変換器50の回路構成図である。なお、前記図7に示す従来のD/A変換器40と同一部には同一符号を付与している。
【0020】
このD/A変換器50は、出力端子と反転入力端子とが容量素子Cfbで接続されると共に、非反転入力端子がアナロググランドV3に接続される演算増幅器100と、容量素子C11〜C1iと、これら容量素子C11〜C1iと演算増幅器100の反転入力端子との間に接続されたスイッチSB1と、各容量素子C11〜C1iの右側の端子、つまり、前記スイッチSB1と接続される側の端子を第1のサンプリンググランドV1にそれぞれ接続するスイッチSU11〜SU1iと、を備えている。なお、以下、容量素子に電荷をサンプリングする動作の基準となる電位をサンプリンググランドと呼ぶ。
【0021】
さらに、前記容量素子C11〜C1iのそれぞれと対応する容量素子C21〜C2iと、これら容量素子C21〜C2iと演算増幅器100の反転入力端子との間に接続されたスイッチSB2と、各容量素子C21〜C2iの右側の端子、つまり、前記スイッチSB2と接続される側の端子を第2のサンプリンググランドV2に接続するスイッチSU21〜SU2iと、前記容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iのそれぞれ対応する容量素子の左側の端子どうしを、2種類の基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続するスイッチSUG1〜SUGiと、各容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iのそれぞれ対応する容量素子の左側の端子どうしと前記演算増幅器100の出力端子との間に接続されたスイッチSY1〜SYiと、2種類のクロックφ1及びφ2を供給するクロック供給部200とを備えている。
【0022】
前記クロック供給部200から供給される2種類のクロックφ1及びφ2は、図2に示すように、それぞれ、ローレベルとハイレベルとを所定間隔で繰り返すようなクロックであって、一方がハイレベルのとき他方はローレベルとなって、互いのクロックのハイレベル部分は重複しないようになっている。
前記スイッチSU11〜SU1i、SU21〜SU2iはクロックφ1がハイレベルであるとき導通状態(ON状態)となり、これ以外のときには非導通状態(OFF状態)となる。これを図1においては、“φ1”で表している。
【0023】
前記スイッチSUG1〜SUGiは、D/A変換器50に入力される、1ビットのデータからなるデジタルデータS1〜Siの極性(+1又は−1)に応じて、前記容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iの左側の端子を基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続する。具体的には、x番目のデジタルデータをSxで表すものとすると、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“+1”であるときには、基準電圧Vr+に接続し、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“−1”であるときには、基準電圧Vr−に接続する。そして、これを、前記図1中では、“Sx・φ1”及び“Sxb・φ1”で表している。なお、前記“b”は、論理反転を表している。また、クロックφ1がローレベルであるときには非導通状態(OFF状態)となる。
【0024】
ここで、前記デジタルデータSxの極性は、そのデータ値が“1”であるとき“+1”、データ値が“0”であるとき“−1”とする。
前記スイッチSB1、SB2及びスイッチSY1〜SYiは、クロックφ2がハイレベルのとき導通状態(ON状態)となり、これ以外のときには非導通状態(OFF状態)となるスイッチである。なお、図1においてこれを“φ2”で表している。
【0025】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
まず、クロックφ1がハイレベルの時には、スイッチSU11〜SU1i及びSU21〜SU2iがON状態となり、容量素子C11〜C1iの右側、つまり、前記演算増幅器100の反転入力端子と接続される側の端子は、サンプリンググランドV1に接続され、同様に、容量素子C21〜C2iの右側は、サンプリンググランドV2に接続される。さらに、スイッチSUG1〜SUGiの動作によって、デジタルデータS1〜Siの極性(+1又は−1)に応じて、容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iの対応する容量素子どうしの左側の端子が基準電圧Vr+又はVr−に接続され、容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iはそれぞれ基準電圧Vr+又はVr−とサンプリンググランドV1又はV2との差に対応する電荷を保持する。つまり、〔Vr+〕−V1、〔Vr+〕−V2、〔Vr−〕−V1、〔Vr−〕−V2の何れかに対応する電荷を保持する。
【0026】
この状態からクロックφ2がハイレベルになると、スイッチSY1〜SYiがON状態となって、容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iが演算増幅器100の出力端子(出力電位OUT)と反転入力端子との間に接続される。
また、クロックφ2がハイレベルになると、スイッチSB1及びSB2はON状態、スイッチSUG1〜SUGi及びスイッチSU11〜SU1i及びSU21〜SU2iはOFF状態となる。これによって、容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iに、クロックφ1がハイレベルである期間に保持された電荷が、演算増幅器100の帰還容量素子Cfbに転送つまり、積分される。
【0027】
すると、容量素子C11〜C1i、C21〜C2i及びCfbの間で、各容量素子で保持していた電荷の電荷再分配を行うための電荷の移動が行われる。
ここで、前記Cfb の値を零とし、また、容量素子の総数を2・i個(C11〜C1i、C21〜C2i)とし、これらは全て同一の容量値C0とする。また、対をなす基準電圧Vr+及びVr−間の中点、サンプリンググランドV1及びV2間の中点を電源電圧の1/2、つまり、(1/2)・VDDとし、基準電圧Vr+を、(1/2)・VDDよりもVr0だけ高い電圧(Vr+=〔(1/2)・VDD〕+Vr0)、基準電圧Vr−を(1/2)・VDDよりもVr0だけ低い電圧(Vr−=〔(1/2)・VDD−Vr0〕)、サンプリンググランドV1を(1/2)・VDDよりもVaだけ低い電圧(V1=(1/2)・VDD−Va)、サンプリンググランドV2を(1/2)・VDDよりもVaだけ高い電圧(V2=(1/2)・VDD+Va)とする。
【0028】
このとき、基準電圧Vr+とサンプリンググランドV1との電位差及び基準電圧Vr+とサンプリンググランドV2との電位差は次式(1)となり、また、次式(2)が成り立つ。
【0029】
【数1】
Figure 0003920123
【0030】
ここで、クロックφ1がハイレベルである期間に容量素子C11及びC21に保持される合計の電荷は、デジタルデータS1が“1”のときも、S1が“−1”のときも、同じ電荷量であって、C0・S1・(Vr1+Vr2)である。同様に、C12及びC22に保持される電荷量の合計は、C0・S2・(Vr1+Vr2)、同様に、C1i及びC2iに保持される電荷量の合計は、C0・Si・(Vr1+Vr2)となる。
【0031】
次に、クロックφ1がハイレベルである期間に各容量素子に保持される全電荷量と、クロックφ2がハイレベルである期間に各容量素子に保持される全電荷量との間には、差動増幅器100の出力電圧をOUTとしたとき、電荷の保存則にしたがって、次式(3)が成り立つ。
Figure 0003920123
前記(3)式において、C11〜C1i及びC21〜2iは同一の容量値C0であるから、前記(3)式は、次式(4)で表すことができ、これから、(5)式が導かれる。
【0032】
Figure 0003920123
したがって、(5)式によれば、図1に示したスイッチト・キャパシタ型D/A変換器50はiビットのリニアレベル型のD/A変換器となる。
【0033】
この実施の形態によれば、以下に示すような効果を得ることができる。
前記図7に示す、従来のiビットのリニアレベル型のD/A変換器40では、図8(a)より、次式(6)が成り立つ。
〔Vr−(1/2)・VDD〕・Ci−(1/2)・VDD・Ci
=Vr・Ci ……(6)
一方、前記図1に示す本願発明におけるD/A変換器50では、図3より、次式(7)及び(8)が成り立つ。したがって、Ci′=C1i=C2iとすると、電荷の合計は、(7)及び(8)式から次式(9)となる。
【0034】
なお、図3において、(a)は、基準電圧としてVr+が選択された場合、(b)は、基準電圧としてVr−が選択された場合であって、容量素子C1i及びC2iの周辺の電位の様子を表している。
Figure 0003920123
したがって、従来のD/A変換器40においては、前記(6)式に示すように、基準電圧Vr+、Vr−を容量Ciでサンプリングし、電荷Vr・Ciを得るようにしているのに対し、上記第1の実施の形態においては、前記(8)式に示すように、電圧(〔Vr+〕+Va)を容量Ci′/2で、また、電圧(〔Vr+〕−Va)を容量Ci′/2でサンプリングし、(〔Vr+〕+Va)・Ci′/2+(〔Vr+〕−Va)・Ci′/2=〔Vr+〕・Ci′なる電荷を得るようにしていることと等しい。
【0035】
したがって、D/A変換器50の方が、従来のD/A変換器40に比較してより低い電源電圧で動作させることができる。
また、上述のように、D/A変換器50を、正の電源電位VDDと負の電源電位0〔V〕の元で動作させ、基準電圧Vr+をVDD電位とし、基準電圧Vr−を0〔V〕電位とし、サンプリンググランドV1を電源電圧の中点(1/2)・VDDよりもVaだけ低い電位とし、サンプリンググランドV2を電源電圧の中点電位(1/2)・VDDよりもVaだけ高い電位とする。
【0036】
このようにすることによって、スイッチSUG1〜SUGiのうち、基準電圧Vr+に接続されるスイッチとしてPチャネルMOSトランジスタ、また、基準電圧Vr−に接続されるスイッチとしてNチャネルMOSトランジスタを用いることができ、また、サンプリンググランドV1に接続されるスイッチSU11〜SU1iとしてNチャネルMOSトランジスタ、サンプリンググランドV2に接続されるスイッチSU21〜SU2iとしてPチャネルMOSトランジスタを用いることができる。
【0037】
このように各スイッチをPチャネル及びNチャネルMOSトランジスタで構成したときの、容量素子の周囲の各部位の電位の様子を示したものが図3である。図3(a)は、デジタルデータSxが“1”である場合のクロックφ1がハイレベルである期間の様子、図3(b)はデジタルデータSxが“−1”である場合のクロックφ1がハイレベルである期間の様子である。
【0038】
図3(a)において、MOSスイッチQ5は、図1におけるスイッチSU1iに対応し、MOSスイッチQ6及びQ7はそれぞれスイッチSU2i、SUGiに対応している。
同様に図3(b)において、MOSスイッチQ8及びQ9はそれぞれ図1におけるスイッチSUGi、SU1iに対応し、MOSスイッチQ10はスイッチSU2iに対応している。
【0039】
図3(a)に示すように、容量素子C1iをサンプリンググランドV1に接続するMOSスイッチQ5は、ソース電位が(1/2)・VDD−Vaであり、ゲート電位がVDDであるから、MOSスイッチQ5のゲート・ソース間電圧VGSは(1/2)・VDD+Vaとなる。このゲート・ソース間電圧VGSが閾値電圧VT以下であるとMOSスイッチはON動作しなくなるので、MOSスイッチQ5が正常なサンプリング動作をすることが可能な最低の電源電圧VDDは、VDD=2・(VT−Va)である。
【0040】
また、容量素子C2iをサンプリンググランドV2に接続するMOSスイッチQ6は、ソース電位が(1/2)・VDD+Va、ゲート電位が0〔V〕であるので、MOSスイッチQ6のゲート・ソース間電圧VGSは|(1/2)・VDD+Va|となる。これが閾値電圧の絶対値|VT|以下であるとMOSスイッチQ6はON動作しなくなるので、MOSスイッチQ6が正常なサンプリング動作可能な最低の電源電圧VDDは、VDD=2・(VT−Va)となる。
【0041】
同様に、図3(b)において、容量素子C2iをサンプリンググランドV2に接続するMOSスイッチQ10は、ソース電位が(1/2)・VDD+Vaであり、ゲート電位が0〔V〕であるため、MOSスイッチQ10のゲート・ソース間電圧VGSの絶対値は、(1/2)・VDD+Vaとなる。これが閾値電圧VT以下であるとMOSスイッチQ10はON動作しなくなるから、MOSスイッチQ10が正常なサンプリング動作可能な最低の電源電圧VDDは、VDD=2・(VT−Va)となる。
【0042】
また、容量素子C1iをサンプリンググランドV1に接続するMOSスイッチQ9は、ソース電位が(1/2)・VDD−Vaであり、ゲート電位がVDDであるから、MOSスイッチQ9のゲート・ソース間電圧VGSは、(1/2)・VDD+Vaとなる。これが閾値電圧の絶対値|VT|以下であるとMOSスイッチQ9はON動作しないから、MOSスイッチQ9が正常なサンプリング動作可能な最低の電源電圧VDDは、VDD=2・(VT−Va)となる。
【0043】
このように、図7に示すD/A変換器40における動作可能な最低電源電圧が2・VTであるのに対し、図1に示すD/A変換器50の最低電源電圧は2・(VT−Va)であるから、最低電源電圧をより低く設定することができる。
なお、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとでは、閾値電圧VTが違う場合があるが、この場合には、閾値電圧VTのより大きい方が、支配的となって最低電源電圧が決定されることになる。このように閾値電圧VTのより大きい方に基づき最低電源電圧を決定したとしても、従来のD/A変換器40における最低電源電圧2・VTよりも低く設定することができる。
【0044】
なお、このとき、サンプリンググランドとして、V1を0〔V〕、V2をVDD電位とすることによって、動作可能な最低電源電圧を、より低く設定することができる。
図4は、ソース電位の変化に対するNチャネルMOSトランジスタのON抵抗値(L11)と、PチャネルMOSトランジスタのON抵抗値(L12)とを表したものであって、横軸はソース電位、縦軸はON抵抗値を表す。各特性線L11及びL12上の○印は、ソース電圧が電源電圧の(1/2)・VDDとなるときのON抵抗値を表し、また、各特性線L11及びL12上の×印は、NチャネルMOSトランジスタ(Q5、Q9)の動作点となる電位V1つまり(1/2)・VDD−Vaと、PチャネルMOSトランジスタ(Q6、Q10)の動作点となる電位V2つまり、(1/2)・VDD+Vaとを表す。なお、特性線L11及びL12はそれぞれ異なる電源電圧VDDにおける、ON抵抗値を表している。
【0045】
図4において、各特性線L11及びL12において○印位置と、×印位置におけるON抵抗値を比較すると、×印位置におけるON抵抗値の方が低い。したがって、所定の時間内に正しい電荷をサンプリングするためのMOSトランジスタのサイズを小さくすることができる。
したがって、MOSトランジスタのサイズが小さいということは、電荷をサンプリングするためにゲート電圧が変化し、スイッチがOFFするときのフィードスルーノイズが小さくなり、サンプリング毎の電荷量のばらつきが少なく、これにより出力信号の高調波成分やノイズを小さくすることができる。
【0046】
なお、図1において、スイッチSB1、SB2も、このD/A変換器50が動作するために確実にON、OFF動作させる必要があるが、これらのソース電位はアナロググランドV3であるから、スイッチSB1、SB2をNチャネルMOSトランジスタで構成し、アナロググランドV3を、(1/2)・VDDよりも充分低くすること、或いは、スイッチSB1、SB2をPチャネルMOSトランジスタで構成し、アナロググランドV3を(1/2)・VDDよりも充分高くすることによって、確実に動作させることができる。
【0047】
また、スイッチSY1〜SYiは、アナロググランドV3が(1/2)・VDDよりも低く設定されている場合には、例えば前記図6に示すように、D/A変換器15よりも前段に配置されているデルタシグマ変調器12でのフィードバックゲインを“1”よりも充分大きく設定してアナログ出力信号の振幅を適度に小さくし、ソース電位となるアナログ出力信号電位の範囲を(1/2)・VDDよりも充分低くすることによって、NチャネMOSトランジスタ、或いはNチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを並列に用いて構成することができる。
【0048】
同様に、アナロググランドV3が(1/2)・VDDよりも高く設定されている場合には、例えば図6のデルタシグマ変調器12でのフィードバックゲインを“1”よりも充分大きく設定して、アナログ出力信号の振幅を適度に小さくし、ソース電位となるアナログ出力信号電位の範囲を(1/2)・VDDよりも充分高くすることによって、PチャネルMOSトランジスタ、或いはNチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを並列に用いて構成することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態では、演算増幅器100をシングルエンド型の回路構成にしたのに対し、全差動型の回路構成にしたものである。
この第2の実施の形態におけるD/A変換器55は、図5に示すように、非反転出力端子(OUT+)と反転入力端子とが容量素子Cfb1で接続されると共に、反転出力端子(OUT−)と非反転入力端子とが容量素子Cfb2で接続されている演算増幅器100と、非反転出力側の容量素子C11〜C1i及び各容量素子C11〜C1iのそれぞれに対応する容量素子C21〜C2iと、前記各容量素子C11〜C1iと演算増幅器100の反転入力端子との間に接続されたスイッチSB1と、各容量素子C11〜C1iの右側の端子を第1のサンプリンググランドV1に接続するスイッチSU11〜SU1iと、前記各容量素子C21〜C2iと演算増幅器100の反転入力端子との間に接続されたスイッチSB2と、各容量素子C21〜C2iの右側の端子を第2のサンプリンググランドV2に接続するスイッチSU21〜SU2iと、前記容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iの対応する左側の端子どうしを、2種類の基準電位(Vr+、Vr−)の何れかに接続するスイッチSUG11〜SUG1iと、各容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iの対応する左側の端子どうしと前記演算増幅器100の非反転出力端子との間に接続されたスイッチSY11〜SY1iとを備えている。
【0050】
さらに、反転出力側の容量素子C31〜C3i及びこれら容量素子C31〜C3iのそれぞれに対応するC41〜C4iと、前記各容量素子C31〜C3iと演算増幅器100の非反転入力端子との間に接続されたスイッチSB3と、各容量素子C31〜C3iの右側の端子を第1のサンプリンググランドV1に接続するスイッチSU31〜SU3iと、前記各容量素子C41〜C4iと演算増幅器100の非反転入力端子との間に接続されたスイッチSB4と、各容量素子C41〜C4iの右側の端子を第2のサンプリンググランドV2に接続するスイッチSU41〜SU4iと、前記容量素子C31〜C3i及びC41〜C4iの対応する左側の端子どうしを、2種類の基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続するスイッチSUG21〜SUG2iと、各容量素子C31〜C3i及びC41〜C4iの対応する左側の端子どうしと前記演算増幅器100の反転出力端子との間に接続されたスイッチSY21〜SY2iとを備え、さらに、上記第1の実施の形態と同様の2種類のクロックφ1及びφ2を供給するクロック供給部200を備えている。
【0051】
そして、上記第1の実施の形態と同様に、前記スイッチSUG11〜SUG1iは、入力される、1ビットのデータからなるデジタルデータS1〜Siの極性(+1又は−1)に応じて、前記容量素子C11〜C1i及びC21〜C2iの左側の端子を基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続し、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“+1”であるときには、基準電圧Vr+に接続し、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“−1”であるときには、基準電圧Vr−に接続する。また、クロックφ1がローレベルであるときには非導通状態(OFF状態)となる。
【0052】
一方、前記スイッチSUG21〜SUG2iは、デジタルデータS1〜Siの極性(+1又は−1)に応じて、前記容量素子C31〜C3i及びC41〜C4iの左側の端子を基準電圧(Vr+、Vr−)の何れかに接続し、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“+1”であるときには、基準電圧Vr−に接続し、クロックφ1がハイレベルであり且つデジタルデータSxの極性が“−1”であるときには、基準電圧Vr+に接続する。また、クロックφ1がローレベルであるときには非導通状態(OFF状態)となる。
【0053】
ここで、前記デジタルデータSxの極性は、そのデータ値が“1”であるとき“+1”、データ値が“0”であるとき“−1”とする。
前記スイッチSB1〜SB4及びスイッチSY11〜SY1i、SY21〜SY2iは、クロックφ2がハイレベルのとき導通状態(ON状態)となり、これ以外のときには非導通状態(OFF状態)となるスイッチである。
【0054】
次に、第2の実施の形態の動作を説明する。
このD/A変換器55は、上記第1の実施の形態におけるD/A変換器50と同様に動作するが、この第2の実施の形態におけるD/A変換器55では、前記演算増幅器100の非反転出力側に接続される容量素子群C11〜C1i及びC21〜C2iからなる非反転出力側容量素子群Gr1と、演算増幅器100の反転出力側に接続される容量素子群C31〜C3i及びC41〜C4iからなる反転出力側容量素子群Gr2とでは、クロックφ1がハイレベルである期間に、極性的に反転する電荷を保持する。そして、クロックφ2がハイレベルである期間に、これら非反転出力側容量素子群Gr1を演算増幅器100の非反転出力端子と反転入力端子との間に接続し、反転出力泡容量素子群Gr2を演算増幅器100の反転出力端子と非反転入力端子との間に接続する。
【0055】
これによって、非反転出力側容量素子群Gr1及び反転出力側容量素子群Gr2の各容量素子に、クロックφ1がハイレベルである期間に保持された電荷が、演算増幅器100の帰還容量素子Cfb1及びCfb2に転送されて積分され、上記第1の実施の形態と同様に、非反転出力側容量素子群Gr1の各容量素子とCfb1との間、及び反転出力側容量素子群Gr2の各容量素子とCfb2の間で、各容量素子で保持していた電荷の電荷再分配を行うための電荷の移動が行われる。
【0056】
このとき、非反転出力側容量素子群Gr1と反転出力端子群Gr2とでは、逆極性の電荷を保持するから、非反転出力側の出力端子からの出力電圧と反転出力側の出力端子からの出力電圧との差が実際の出力信号となり、全差動のアナログ信号出力を得ることができる。
この第2の実施の形態においても、正の電源電位VDDと負の電源電位0〔V〕の元で動作させ、基準電圧Vr+をVDD電位とし、基準電圧Vr−を0〔V〕電位とする。また、サンプリンググランドV1を電源電圧VDDの中点電位(1/2)・VDDよりもVaだけ低い電位とし、サンプリンググランドV2を電源電圧VDDの中点電位(1/2)・VDDよりもVaだけ高い電位とする。
【0057】
このようにすることによって、この場合も上記第1の実施の形態と同様に、スイッチSUG11〜SU1i、SUG21〜SUG2iのうち、基準電圧Vr+に接続されるスイッチをPチャネルMOSトランジスタ、基準電位Vr−に接続されるスイッチをNチャネルMOSトランジスタで構成し、また、サンプリンググランドV1に接続されるスイッチSU11〜SU1i、SU31〜SU3iをNチャネルMOSトランジスタ、サンプリンググランドV2に接続されるスイッチSU21〜SU2i、SU41〜SU4iをPチャネルMOSトランジスタで構成することができる。
【0058】
したがって、この場合も上記第1の実施の形態と同様に、MOSスイッチとなるMOSトランジスタのサイズを小さくすることができる。また、電荷をサンプリングするためにゲート電圧が変化しMOSスイッチがOFFする時のフィードスルーノイズを小さくすることができ、サンプリング毎の電荷量のばらつきを小さくすることができる。
【0059】
また、対をなす、演算増幅器100の非反転出力側の系と反転出力側の系とでは、サンプリング時のフィードスルーノイズは同極性であり且つ等価であるため、演算増幅器100の差動出力信号に現れるフィードスルーノイズは相殺されることになる。したがって、フィードスルーノイズは、相殺しきれなかったわずかな誤差成分のみとなり、この誤差成分は、MOSスイッチのサイズが大きい場合に比較して小さい。したがって、出力信号の高調波成分やノイズを低減することができる。
【0060】
また、上記第1及び第2の実施の形態において、例えば、実際に大規模集積回路として実現する際に、サンプリンググランドV1又はV2に接続されるスイッチSU11〜SU4i、SB1〜SB4を、クロックφ1又はクロックφ2と同期して動作させる際に、これらスイッチをOFF動作させるときには、他のスイッチよりもわずかに早くOFF動作するようにタイミング調整を行い、デジタルデータSxが“1”の場合と、“−1”の場合とで、混入するフィードスルーノイズが等価となるように調整する方法がある。しかしながら、上記第1及び第2の実施の形態においては、スイッチを構成するMOSスイッチのサイズを小さくすることでフィードスルーノイズの発生量を低減することができる。したがって、前記スイッチを駆動するための処理装置においてタイミング調整を行うために処理負荷が増加するといったようなことを伴うことはなく、容易に実現することができる。
【0061】
また、上記第1及び第2の実施の形態においては、スイッチト・キャパシタ型D/A変換器単体とした場合について説明したが、上記第1及び第2の実施の形態におけるスイッチト・キャパシタ型D/A変換器50或いは55を、前記図6に示すスイッチト・キャパシタ型D/A変換器15として適用し、いわゆるデルタシグマ型D/A変換器として用いることも可能である。このようにすることによって、より低い電源電圧で動作するD/A変換器を含んでなる、デルタシグマ型D/A変換器を容易に得ることができる。
【0062】
なお、上記各実施の形態においては、サンプリンググランドとして、V1=(1/2)・VDD−Va、V2=(1/2)・VDD+Vaとした場合について説明したが、これに限るものではなく、V1=(〔Vr+〕+〔Vr−〕)/2−Va、V2=(〔Vr+〕+〔Vr−〕)/2+Va(ただし、Vaは任意の値)を満足するように設定すればよい。
【0063】
ここで、上記第1の実施の形態において、第1の期間がクロックφ1がハイレベルである期間に対応し、第2の期間がクロックφ2がハイレベルである期間に対応し、基準電圧Vr+、Vr−が電荷保持用電源電圧に対応し、サンプリンググランドV1が第1の基準電圧に対応し、容量素子C11〜C1iが第1の容量素子に対応し、サンプリンググランドV2が第2の基準電圧に対応し、容量素子C21〜C2iが第2の容量素子に対応し、スイッチSY1〜SYi及びSB1、SB2がスイッチ手段に対応している。
【0064】
また、上記第2の実施の形態において、第1の期間がクロックφ1がハイレベルである期間に対応し、第2の期間がクロックφ2がハイレベルである期間に対応し、基準電圧Vr+、Vr−が電荷保持用電源電圧に対応し、サンプリンググランドV1が第1の基準電圧に対応し、容量素子C11〜C1iが第1の容量素子に対応し、容量素子C31〜C3iが第3の容量素子に対応し、サンプリンググランドV2が第2の基準電圧に対応し、容量素子C21〜C2iが第2の容量素子に対応し、容量素子C41〜C4iが第4の容量素子に対応し、スイッチSY11〜SY1i及びSB1、SB2が第1のスイッチ手段に対応し、スイッチSY21〜SY2i及びSB3、SB4が第2のスイッチ手段に対応している。
【0065】
【発明の効果】
本発明の請求項1乃至請求項3に係るD/A変換器によれば、第1の期間に、与えられたデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を第1の容量素子で保持すると共に、電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を第2の容量素子で保持し、第2の期間に第1及び第2の容量素子を、演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するようにしたので、より低い電源電圧で動作させることができ、且つ、出力信号に高調波成分やノイズ成分の少ないD/A変換器を実現することができる。
【0066】
このとき、第1の期間に、与えられたデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を第1及び第3の容量素子で保持する共に、電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を第2及び第4の容量素子で保持し、第2の期間に、第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続し、且つ第3及び第4の容量素子を演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続することによって、より低い電源電圧で動作させることができ、且つ、出力信号に高調波成分やノイズ成分の少ない全差動型のD/A変換器を実現することができる。
【0067】
また、本発明の請求項4乃至請求項6に係るデルタシグマ型D/A変換器によれば、デジタルフィルタがデジタル信号を補間して、サンプリング周波数よりも周波数の高い第2のデジタル信号に変換し、デジタルデルタシグマ変調器が第2のデジタル信号をノイズシェーピングしてより低ビット数の第3のデジタル信号に変換し、さらに、D/A変換器がD/A変換する際に、第1の期間に、第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を第1の容量素子で保持し、電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を第2の容量素子で保持し、第2の期間に、第1及び第2の容量素子を演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するようにしたので、より低い電源電圧で動作させることができ、且つ、出力信号に高調波成分やノイズ成分の少ないD/A変換器を含んで構成されるデルタシグマ型D/A変換器を実現することができる。
【0068】
このとき、前記D/A変換器において、第1の期間に、第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を第1及び第3の容量素子で保持する共に、電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を第2及び第4の容量素子で保持し、第2の期間に、第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続し、且つ第3及び第4の容量素子を演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続することによって、より低い電源電圧で動作させることができ、且つ、出力信号に高調波成分やノイズ成分の少ない全差動型のD/A変換器を含んで構成されるデルタシグマ型D/A変換器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるD/A変換器の一例を示す回路図である。
【図2】図1のクロック供給部において発生するクロックのタイミングチャートである。
【図3】第1の実施の形態の動作説明に供する説明図である。
【図4】MOSトランジスタのソース電位とON抵抗値との対応を表す特性図である。
【図5】第2の実施の形態におけるD/A変換器の一例を示す回路図である。
【図6】D/A変換器を備えた信号変換装置の一例を示すブロック図である。
【図7】従来のD/A変換器の一例を示す回路図である。
【図8】従来の動作説明に供する説明図である。
【図9】NチャネルMOSトランジスタの、電源電圧が異なる場合の、ソース電位とON抵抗値との対応を表す特性図である。
【符号の説明】
10 信号変換装置
40 D/A変換器
50、55 D/A変換器
100 演算増幅器
200 クロック供給部
C11〜C1i、C21〜C2i 容量素子
C31〜C3i、C41〜C4i 容量素子
Cfb、Cfb1、Cfb2 容量素子
SB1〜SB4 スイッチ
SU11〜SU1i、SU21〜SU2i スイッチ
SU31〜SU3i、SU41〜SU4i スイッチ
SUG11〜SUG1i、SUG21〜SUG2i スイッチ
SUG31〜SUG3i、SUG41〜SUG4i スイッチ
SY11〜SY1i、SY21〜SY2i スイッチ
SY31〜SY3i、SY41〜SY4i スイッチ

Claims (6)

  1. 与えられたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器であって、
    第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、
    第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するスイッチ手段と、を備えることを特徴とするD/A変換器。
  2. 与えられたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器であって、
    第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、
    第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続する第1のスイッチ手段と、
    前記第1の期間に、前記デジタル信号に基づいて、前記電荷保持用電源電圧と前記第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第3の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と前記第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第4の容量素子と、
    前記第2の期間に、前記第3及び第4の容量素子を前記演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続する第2のスイッチ手段と、を備えることを特徴とするD/A変換器。
  3. 前記スイッチ手段は、MOSトランジスタを含んで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のD/A変換器。
  4. 所定のサンプリング周波数でサンプリングされたデジタル信号をアナログ信号に変換するデルタシグマ型D/A変換器であって、
    前記デジタル信号を補間して、前記サンプリング周波数よりも周波数の高い第2のデジタル信号に変換するデジタルフィルタと、
    前記第2のデジタル信号をノイズシェーピングしてより低ビット数の第3のデジタル信号に変換するデジタルデルタシグマ変調器と、
    デジタル・アナログ変換を行うD/A変換器と、を備え、
    当該D/A変換器は、第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、
    第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の入力端子と出力端子との間に接続するスイッチ手段と、を備えることを特徴とするデルタシグマ型D/A変換器。
  5. 所定のサンプリング周波数でサンプリングされたデジタル信号をアナログ信号に変換するデルタシグマ型D/A変換器であって、
    前記デジタル信号を補間して、前記サンプリング周波数よりも周波数の高い第2のデジタル信号に変換するデジタルフィルタと、
    前記第2のデジタル信号をノイズシェーピングしてより低ビット数の第3のデジタル信号に変換するデジタルデルタシグマ変調器と、
    デジタル・アナログ変換を行うD/A変換器と、を備え、
    当該D/A変換器は、第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、電荷保持用電源電圧と第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第1の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第2の容量素子と、
    第2の期間に、前記第1及び第2の容量素子を演算増幅器の反転入力端子と非反転出力端子との間に接続する第1のスイッチ手段と、
    前記第1の期間に、前記第3のデジタル信号に基づいて、前記電荷保持用電源電圧と前記第1の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第3の容量素子及び前記電荷保持用電源電圧と前記第2の基準電圧との差に応じた電荷を保持する第4の容量素子と、
    前記第2の期間に、前記第3及び第4の容量素子を前記演算増幅器の非反転入力端子と反転出力端子との間に接続する第2のスイッチ手段と、を備えることを特徴とするデルタシグマ型D/A変換器。
  6. 前記スイッチ手段は、MOSトランジスタを含んで構成されることを特徴とする請求項4又は5記載のデルタシグマ型D/A変換器。
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