JP3934545B2 - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波ドプラ診断装置に係り、特にサイドバンドノイズを除去することができる超音波ドプラ診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波ドプラ診断装置においては、超音波を対象組織に送受波し、受信信号に含まれるドプラ情報を周波数解析し、解析によって得られる周波数分布すなわち速度分布を輝度情報に変換し、そのまま表示している。すなわち、ドプラ波形データは、横軸を時間軸とし、縦軸は周波数として、速度成分のパワーに対応して輝度データが表示される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
超音波プローブからドプラ情報の解析手段までの伝送経路上でさまざまなノイズが混入する。これらのノイズのうち、ドプラ情報と同様の周波数帯域のノイズはドプラ情報の信号との弁別がつきにくく、フイルタ等による除去が困難である。そして、これらドプラ情報と同様の周波数帯域をもつノイズは、ドプラ波形の表示とともにサイドバンドノイズとして表示されてしまい、診断上不都合である。
【0004】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、サイドバンドノイズの除去を可能とする超音波ドプラ診断装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る超音波ドプラ診断装置は、超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波手段と、前記受信信号に含まれるドプラ情報について周波数解析を実行してドプラ波形データを出力するドプラ解析手段と、前記ドプラ波形データに含まれる時間的に定常性を有するサイドバンドノイズを除去するノイズ除去手段と、を含み、前記ノイズ除去手段は、前記ドプラ波形における時間軸上で複数のサンプル時刻ごとに、周波数方向に沿って前記ドプラ波形データを構成する各要素データの値を参照し、その値の変化に基づいて参照部位を判定する判定手段と、前記各サンプル時刻ごとの参照部位の連続性の評価に基づいて前記サイドバンドノイズを特定するサイドバンドノイズ特定手段と、前記ドプラ波形データから前記特定されたサイドバンドノイズを除去処理する除去処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この構成によって、ドプラ波形は時間的に瞬時に変化するのに対し、サイドバンドノイズは時間軸に沿ってほとんど周波数成分が変化しない特質、いわば時間的な定常性があることを利用して、サイドバンドノイズの除去を行うことができる。すなわち、参照部位の判定だけではまだサイドバンドノイズか実信号か特定できないが、各サンプル時刻ごとの参照部位の連続性を評価することで、時間的な定常性のあるサイドバンドノイズのみを特定でき、サイドバンドノイズの除去が可能となる。
【0007】
また、前記判定手段は、前記周波数方向に沿った前記各要素データの変化の大きさが所定のしきい値を超えた場合に前記参照部位と判定することが好ましい。この構成で、周囲の要素データとの顕著な差の判定をしきい値という一定の基準の下で再現良く行うことができる。
【0008】
また、前記参照部位は、前記周波数方向に沿った参照幅およびその位置であることを特徴とする。また、前記参照幅は、各要素データの変化が前記しきい値以上の大きさで立ち上がった位置と、前記しきい値以上の大きさで立ち下がった位置とで規定されることが好ましい。
【0009】
また、前記サイドバンドノイズの特定は、前記複数のサンプル時刻において複数の参照部位相互間で共通する部分をサイドバンドノイズと特定することが好ましい。この構成により、時間的経過において参照部位相互間で共通する部分があるときは時間的に定常性があるとして、サイドバンドノイズと特定できる。
【0010】
また、前記除去処理手段は、前記ドプラ波形データから前記特定されたサイドバンドノイズを、実データに基づく補間データで置き換えることが好ましい。ここで実データとは、サイドバンドノイズの混入がないとしたときの実信号波形のデータである。この構成により、サイドバンドノイズを実データに基づいた補間データで置き換えて、実信号波形データを滑らかな波形とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1は、超音波ドプラ診断装置10のブロック図である。
【0012】
図1において、探触子12は、図示されていないアレイ振動子を内部に有しており、そのアレイ振動子は複数の振動素子によって構成される。そのアレイ振動子を利用して超音波ビームが形成され、その超音波ビームを走査することで走査面が形成される。
【0013】
送受信部14は、送信回路16と受信回路18とを備え、探触子12と接続される。送受信部14は、図示されていない送受信制御回路の制御の下で、超音波の送受信によりドプラ計測用の超音波ビームを形成し、それぞれの受信信号を出力する回路である。より詳しくは、送信回路16は、アレイ振動子を構成する各振動素子ごとに遅延された送信信号を供給する回路で、いわゆる送信ビームフォーマーとしての機能を有する。受信回路18は、探触子12からのエコー信号をプリアンプにより増幅し、各チャネル間の受信信号の位相差を調整する処理を行い、受信信号としてドプラ解析部20に出力する回路で、いわゆる受信ビームフォーマーとしての機能を有する。
【0014】
ドプラ解析部20は、検波器、A/D変換器、FFT演算器等から構成され、ドプラ計測用超音波ビームの受信信号に含まれるドプラ情報について周波数スペクトラムを解析する回路である。解析結果はドプラ波形データとしてノイズ除去部22に出力される。ドプラ波形データは、各サンプル時刻ごとに各周波数成分のパワーデータを表して出力することができる。
【0015】
ノイズ除去部22は、ドプラ解析部20から出力されたドプラ波形データに含まれるサイドバンドノイズを除去する機能を有する演算処理回路である。ノイズ除去部22は、図1に示すように、ドプラ波形データを記憶するラインバッファ30と、ドプラ波形データにノイズ除去のための演算を実行する演算器32と、演算を制御する制御回路34から構成され、ノイズ除去後のドプラ波形データは、表示処理部24に出力される。演算器32の内部構成と、ノイズ除去のための演算の詳細については後述する。
【0016】
表示処理部24は、ノイズ除去部22から出力されるノイズ除去後のドプラ波形データに対し必要な処理を行ってドプラ波形画像等を形成する回路である。ドプラ波形画像は、時間軸上に各サンプル時刻を取り、周波数方向に各周波数成分のパワーデータを輝度情報に変換して形成することができる。表示処理部24は、いわゆるディジタルスキャンコンバータ(DSC)や各種の画像処理回路によって構成することができる。形成されたドプラ波形画像は、表示器26に出力される。
【0017】
次に、演算器32の内部構成とノイズ除去のための演算について説明する。ラインバッファ30に記憶されたドプラ波形データに対するノイズ除去の演算は、制御回路34の制御の下で演算器32が動作プログラムにしたがって演算処理を実行する。動作プログラムはソフトウェアで構成される。動作プログラムにより実行される演算処理は、参照部位判定部40、サイドバンドノイズ特定部42、実データ補間部44の機能を含む。ソフトウェア構成のほかに、等価なハードウエアで演算処理を行うこともできる。
【0018】
図2は、サイドバンドノイズ除去の手順を示すフローチャートである。最初に、サイドバンドノイズ除去機能を用いるか否かの選択を行う。すなわち、サイドバンドノイズ除去機能は、任意にON/OFFできる(S8)。この機能を用いたノイズ除去は、診断上不要と思われる情報を信号処理によって除去し、いわば人為的に作成したものなので、必要な場合、ユーザはこの機能を任意にON/OFFすることができる。例えばメンテナンス時における超音波ドプラ診断装置の校正の際や、実験時に定常流速を計測したいとき等に、この機能をOFFすることができる。
【0019】
サイドバンドノイズ除去機能をONすると、演算器32を構成する各機能によってサイドバンドノイズの除去が行われる。その手順を図2のフローチャートとともに、図3から図7を用いて説明する。図3は、ノイズ除去を行わないときに表示器26に表示されるドプラ波形の例である。図に示すように、ドプラ波形は、横軸に時間をとり、縦軸に周波数または速度をとり、各時刻における周波数成分のパワーを輝度に換算して表示される。図において、ドプラ情報をあらわす実信号波形50とともにサイドバンドノイズ52が表わされている。このように、サイドバンドノイズ52は、実信号波形50と同様な周波数帯域を有するが、実信号波形50が瞬時に変化するのに対し、時間的に定常性を有し、いずれの時刻においても同じ周波数の範囲に現れる特質がある。ドプラ波形データを構成する各サンプル時刻における各要素データは、ラインバッファ30に記憶される。
【0020】
ノイズ除去全体の流れは以下の通りである。すなわち、演算器32は、ラインバッファ30に記憶されたドプラ波形データについてサイドバンドノイズが特定されたか否か判断する(S10)。まだ特定されていないときはサイドバンドノイズ特定の手順(S12〜S18)を実行し、サイドバンドノイズが特定されると、実データ補間の手順(S30〜S38)を実行する。
【0021】
サイドバンドノイズ特定の手順は、まず参照部位判定部40において、ラインバッファ30からドプラ波形データが読み出され、検索が行われ(S12)、以下に詳述する参照部位の幅と位置が検出される(S14)。
【0022】
図4は、ラインバッファ30から読み出されたドプラ波形データを、横軸に各サンプル時刻t1,t2,t3等を、縦軸に周波数f1,f2,f3等をそれぞれとり、各サンプル時刻における周波数成分のパワーを示す各要素データを周波数方向に沿って配置したデータマップ54で、図3に示すA部の部分が示されている。ここで各マス目56が各要素データの位置を表し、図においては各要素データの値の大きさをマス目内の斜線の密度58で表してある。
【0023】
参照部位判定部40は、データマップ54において、各サンプル時刻ごとに周波数方向に沿って各要素データの値を参照して、その値の変化に基づいて参照部位を判定する機能を有する。すなわち、データマップ上でサイドバンドノイズが存在する領域の各要素データの値は、サイドバンドノイズ分、周囲の領域の各要素データの値より大きい。もちろん、実信号波形に対応する部分も周囲の領域の各要素データの値より大きい。したがって、参照部位は、実信号波形とサイドバンドノイズとの双方を含んでいる。
【0024】
参照部位の判定の演算処理は、所定のしきい値を定めて実行することができる。例えば図4のサンプル時刻t1において参照部位を判定するには、周波数方向に沿ってf1とf2との間、f2とf3との間、f3とf4との間というように、順次当該要素データの値を当該要素データの1つ前の要素データの値と比較し、しきい値以上に増加した周波数位置を検出する。さらに周波数方向に沿って比較を順次行い、再びしきい値以上に減少した周波数位置を検出する。サンプル時刻t1においては、f2とf3との間でしきい値以上に増加し、f6とf7との間でしきい値以下に減少し、また、f10とf11との間でしきい値以上に増加し、f15とf16との間でしきい値以下に減少している。したがって、サンプル時刻t1における参照部位は、f3からf6の幅の部位と、f11からf15の幅の部位と検出される。このようにして検索の最初のサンプル時刻において、参照部位の位置と幅とを判定することができる。参照部位は、1個であっても複数あってもかまわない。
【0025】
検索の最初のサンプル時刻における参照部位の位置と幅とが検出されると、同様にして、隣接するサンプル時刻における参照部位の位置と幅とが検出され、サイドバンドノイズ特定部42において、複数の参照部位が相互に比較(S16)され、サイドバンドノイズの時間的定常性の特質を利用してサイドバンドノイズが特定される(S18).
【0026】
サイドバンドノイズ特定部42は、各サンプル時刻ごとに判定された各参照部位の連続性を評価して、参照部位の中のサイドバンドノイズ部分を特定する機能を有する。すなわち、参照部位は実信号波形とサイドバンドノイズとの双方を含んでいるが、前者は各サンプル時刻ごとに変化するのに対し、後者は時間的に定常性を有する。
【0027】
この特質の相違を利用して、サイドバンドノイズ特定の演算処理は、参照部位の周波数方向についての共通部分を検出することで実行できる。例えば、隣接した複数のサンプル時刻において、周波数方向について参照部位の位置と幅を比較し、参照部位の共通の部分を検出してその部分をサイドバンドノイズと特定することができる。例えば4ないし6のサンプル時刻によって、サイドバンドノイズを特定できる。
【0028】
図4の例では、t1からt4をサイドバンドノイズの特定用領域60に用い、この特定用領域60で特定されたサイドバンドノイズを用いて、残りのサンプル時刻の領域をノイズ除去処理領域62としている。t1からt4における各サンプル時刻の参照部位の位置と幅を比較すると、共通の部分はf12からf14の部分である。ここで、マス目の+−1単位分はデータの移り変わりのために変動するので、サイドバンドノイズを確実に除去処理するため、ここではf11からf15をサイドバンドノイズと特定することができる。図5に、特定されたサイドバンドノイズ64の部分の近傍についてのデータマップ54を示す。共通の部分は、複数のサンプル時刻間で完全に一致する部分とすることができ、あるいは上記のように周波数方向のデータ配列の+−1単位分広げた部分をサイドバンドノイズと特定することもできる。
【0029】
サイドバンドノイズが特定されると、実データ補間部44によって、実データ補間の手順(S30〜S38)が実行される。実データ補間部44は、データマップ上でサイドバンドノイズを、実データに基づいた補間データに置き換える機能を有する。実データ補間の演算処理は、各サンプル時刻においてサイドバンドノイズが特定された部分を含めてドプラ波形データを検索し(S30)、サイドバンドノイズ部分の前後の輝度情報である要素データを取得する(S32)。そして、サイドバンドノイズ部分について、実データに基づいた補間データを作成する(S34)。補間データの作成は、公知の線形補間法、たとえば外挿法等を用いて実行できる。作成された補間データは、特定されたサイドバンドノイズ64の部分のデータと置き換えられる(S36)。こうしてノイズ除去の手順が終了する。図6は、サイドバンドノイズ64の部分のデータが実データに基づいた補間データ66に置き換えられた後のデータマップ54の様子を示す図である。
【0030】
このようにして、サイドバンドノイズ除去が行われ、滑らかな信号波形となったドプラ波形データは、表示処理部24によりドプラ波形画像に形成されて表示器26に表示される。図7は、ノイズ除去を行った場合の表示器26に表示されるドプラ波形の例である。図3と比較して、時間的に定常性のあるサイドバンドノイズが除去されていることがわかる。
【0031】
なお、サイドバンドノイズの程度によっては、補間データの置き換えをせずに、サイドバンドノイズそのものを除去するのみの処理を行ってもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る超音波ドプラ診断装置によれば、サイドバンドノイズの除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態における超音波ドプラ診断装置のブロック図である。
【図2】 本発明に係る実施の形態におけるノイズ除去のフローチャートである。
【図3】 ノイズ除去を行わないときに表示器に表示されるドプラ波形の例である。
【図4】 ドプラ波形データのデータマップを示す図である。
【図5】 データマップ上で特定されたサイドバンドノイズを示す図である。
【図6】 サイドバンドノイズの部分に実データに基づいた補間データを置き換えた後のデータマップの様子を示す図である。
【図7】 ノイズ除去を行った場合の表示器に表示されるドプラ波形の例である。
【符号の説明】
14 送受波部、20 ドプラ解析部、22 ノイズ除去部、30 ラインバッファ、32 演算器、34 制御回路、40 参照部位判定部、42 サイドバンドノイズ特定部、44 実データ補間部、50 実信号波形、52 サイドバンドノイズ、54 データマップ、58 要素データ、64 特定されたサイドバンドノイズ、66 補間データ。
Claims (6)
- 超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波手段と、
前記受信信号に含まれるドプラ情報について周波数解析を実行してドプラ波形データを出力するドプラ解析手段と、
前記ドプラ波形データに含まれる時間的に定常性を有するサイドバンドノイズを除去するノイズ除去手段と、
を含み、
前記ノイズ除去手段は、
前記ドプラ波形における時間軸上で複数のサンプル時刻ごとに、周波数方向に沿って前記ドプラ波形データを構成する各要素データの値を参照し、その値の変化に基づいて参照部位を判定する判定手段と、
前記各サンプル時刻ごとの参照部位の連続性の評価に基づいて前記サイドバンドノイズを特定するサイドバンドノイズ特定手段と、
前記ドプラ波形データから前記特定されたサイドバンドノイズを除去処理する除去処理手段と、
を備えることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 請求項1に記載の超音波ドプラ診断装置において、
前記判定手段は、前記周波数方向に沿った前記各要素データの変化の大きさが所定のしきい値を超えた場合に前記参照部位と判定することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 請求項2に記載の超音波ドプラ診断装置において、
前記参照部位は、前記周波数方向に沿った参照幅およびその位置であることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 請求項3に記載の超音波ドプラ診断装置において、
前記参照幅は、各要素データの変化が前記しきい値以上の大きさで立ち上がった位置と、前記しきい値以上の大きさで立ち下がった位置とで規定されることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 請求項1に記載の超音波ドプラ診断装置において、
前記サイドバンドノイズの特定は、前記複数のサンプル時刻において複数の参照部位相互間で共通する部分をサイドバンドノイズと特定することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 請求項1に記載の超音波ドプラ診断装置において、
前記除去処理手段は、前記ドプラ波形データから前記特定されたサイドバンドノイズを、実データに基づく補間データで置き換えることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
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