JP3945895B2 - スライム固化材料、スライム混合物、及びそれを用いたスライム固化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジェットグラウト工法等の軟弱地盤等の補強工法や、トンネル切羽の安定のための先受け工事や切羽補強工事(トンネルフォアパイリング工事)により発生する、土、セメント、及び水との混合物であるスライムを、固化するために用いるスライム固化材料及びそのスライム固化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スライムとは、軟弱地盤等を補強するジェットグラウト工法において、空気を伴った超高圧セメントペースト液を地盤中に回転して噴射させ地盤を切削すると同時に、円柱状のセメント固化体を造成したり、超高圧水を地盤中に回転させて地盤を切削して地中にセメントペーストを充填させて円柱状のセメント固化体を造成したりするときに排出される、土、セメント、及び水の混合物である〔日本ジェットグラウト工法技術資料(第5版)、日本ジェットグラウト協会発行(平成7年)〕。
又、トンネルフォアパイリング工事においても、ジェットグラウト工法と同様の工法を使用した場合にスライムが発生する。
従来、このスライムはバキューム車に吸い取られて運搬処理されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水分を多く含んだスライムは、バキューム車で運搬処理すると、バキューム車のリース代が高い、運搬量が少ないという課題があった。又、水を多く含んだスライムは野積みできないので、釜場と呼ばれるバケット等に入れ保管しなければならず、トンネル工事現場では場所を確保するのが難しいという課題があった。
又、スライムはゲル化時間が遅いので、スライムがバキューム車やバケツの鉄板等に付着し、バキューム車やバケツからスライムを排出しにくいという課題があった。さらに、スライムのゲル化時間が遅いと、土やセメントが沈降して上澄み液が分離し、この上澄み液はアルカリ性のために中性化して処分しなければならず、上澄み液の量が多いと中性化処理装置を使用しなければならず、中性化処理装置等のコストがかかるという課題があった。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定のスライム固化材料を使用することにより、上記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、土とセメントを含有してなるスライムを固化させるスライム固化材料であって、カルシウムアルミネートと石膏を併用したセメント急結材を含有してなるスライム固化材料であり、さらに、高吸水性ポリマーを含有してなる該スライム固化材料であり、さらに、アルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる該スライム固化材料である。
そして、土とセメントを含有してなるスライムと、該スライム固化材料を含有してなるスライム混合物であり、土とセメントを含有してなるスライムに、該スライム固化材料を混合させて固化することを特徴とするスライム固化工法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を説明する。
【0006】
本発明は、軟弱地盤の補強工事等の際に発生するスライムを固化するのが目的であり、そのために、スライム固化材料を混合することにより、スライム処理を安価かつ簡単にするものである。
さらに、スライム固化材料を混合することにより、スライム混合物のゲル化時間を速め、作業性や経済性に優れたスライム処理ができるものである。
【0007】
本発明で使用するスライム固化材料はセメント急結材を含有するものである。
【0008】
セメント急結材はセメントの凝結を瞬間的に起こすものである。セメント急結材としては、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びケイ酸ナトリウム等の無機塩系、カルシウムアルミネート等のセメント鉱物系、並びに、グリセリンやトリエタノールアミン等の有機質系等が挙げられる。
【0009】
これらの中では、強度発現性が良好な点で、セメント鉱物系が好ましく、カルシウムアルミネートがより好ましく、カルシウムアルミネートと石膏を併用することが最も好ましい。
【0010】
石膏は、市販のいずれの石膏も使用できるが、II型無水石膏や天然石膏が好ましい。
【0011】
石膏の粒度は、ブレーン値で3000cm2 /g以上が好ましく、4000cm2 /g〜7000cm2 /gがより好ましい。3000cm2 /g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0012】
石膏の使用量は、カルシウムアルミネート100重量部に対して、20〜250重量部が好ましく、75〜150重量部がより好ましい。20重量部未満だと強度発現性が悪くなるおそれがあり、250重量部を越えるとゲル化時間や硬化時間が長かったり、初期凝結性状が悪くなったりするおそれがある。
【0013】
さらに、本発明では、水を多く含んだスライムから、上澄み液といった余剰の水分を出すことなく固化する点で、高吸水性ポリマーを併用することが好ましく、添加した効果が大きい点で、スライム固化材料に高吸水性ポリマーを含有させることが好ましい。
【0014】
高吸水性ポリマーとして、各種の高分子化合物が使用できる。例えば、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体変成物の架橋物、架橋構造を有するポリアクリル酸やその塩、及びデンプン−アクリル酸やその塩のグラフト共重合体等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を併用してもよい。これらの中では、耐久性の点で、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体変成物の架橋物、架橋構造を有するポリアクリル酸やその塩、及びデンプン−アクリル酸やその塩のグラフト共重合体といった分子中にカルボン酸塩を含む高分子化合物が好ましい。
【0015】
高吸水性ポリマーの使用量は、カルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましい。1重量部未満だと吸水効果がないおそれがあり、50重量部を越えると強度発現性が小さくなるおそれがある。
【0016】
本発明で使用するスライム固化材料は、固化体の強度向上の点で、さらに、アルカリ金属アルミン酸塩を含有することが好ましい。
【0017】
アルカリ金属アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸リチウム等が挙げられる。又、アルカリ金属水酸化物と水酸化アルミニウムを水溶液中で加熱混合させたものを使用してもよい。これらの中では、溶解性の点で、アルミン酸ナトリウムが好ましい。
【0018】
アルカリ金属アルミン酸塩の使用量は、カルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、7重量部以下がより好ましい。10重量部を越えると長期強度発現性を阻害するおそれがある。
【0019】
本発明で使用するスライム固化材料の使用量は、スライム中のセメント100重量部に対して、5〜20重量部が好ましく、7〜15重量部がより好ましい。5重量部未満だとゲル化時間や硬化時間が長かったり、初期硬化不良のおそれがあったりし、20重量部を越えると後述のスライム圧送ホースを閉塞するおそれがある。
【0020】
本発明では、土とセメントを含有するスライムに、スライム固化材料又はそれと高吸水性ポリマーを混合させてスライム混合物を作製するものである。
【0021】
スライム中のセメントとしては、普通、早強、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに高炉スラグやフライアッシュ等を混合した各種混合セメント、並びに、通常市販されている各種微粒子セメント等が挙げられる。
【0022】
スライム中のセメントの量は、工事条件や土の種類により異なるが、土100重量部に対して、10〜200重量部が好ましく、35〜100重量部がより好ましい。10重量部未満だと強度発現性が小さいおそれがあり、200重量部を越えても強度発現性の一層の向上が望めず、経済的に好ましくないおそれがある。
【0023】
スライムに含まれる水の使用量は、粘性土等で異なり、限定することが難しいが、セメント100重量部に対して、75〜200重量部が好ましい。75重量部未満だとスライムの流動性が小さいおそれがあり、200重量部を越えると強度発現性を阻害するおそれがある。
【0024】
本発明で使用するスライム固化材料を使用したスライム固化工法としては、スライム固化材料とスライムとを混合させても良いが、多くのスライムを処理するためには、スライムを連続的に固化するスライム連続固化工法が好ましく、この場合には、一般的に行われている湿式吹付け方法に準ずる形で使用できる。
【0025】
スライム連続固化方法は、排出されたスライムをモルタルポンプ、例えばスクイズ式ポンプやピストン式ポンプによって圧送ホースで送られ、出口ノズルより手前1〜10m、好ましくは2〜5mの間にスライムに強制的にスライム固化材料を混合させるためのY字管を取り付け、スライムとスライム固化材料を混合させ、スライム固化材料とスライムとの混合物であるスライム混合物を吐出することによって行われる。ゲル化したり、硬化したりしたスライム混合物は、主にトラック荷台へ移送する。又、残土捨て場までホース圧送してもよい。
【0026】
スライム固化材料は、例えば急結材添加機「ナトムクリート」で、0.1〜0.5MPaで圧送し、Y字管でスライムに強制的に混合し、所定の場所に吐出する。
【0027】
こうして吐出されたスライム混合物は、数分で硬化し、トラックで埋め立て地等に運搬したり、ブロック等の硬化体として再利用したりするものである。
【0028】
【実施例】
以下、実施例に基づき詳細に説明する。
【0029】
実施例1
含水量90%の粘性土100重量部に、粘性土100重量部に対してセメント50重量部と、セメント100重量部に対して水100重量部とからなるセメントペーストを、モルタルミキサーで混合してスライムを作製した。このスライムに、カルシウムアルミネート100重量部と表1に示す量の石膏からなるスライム固化材料を、スライム混合物の出口ノズルから4m手前の位置で、セメント100重量部に対して10重量部混合してスライム混合物とした。スライム混合物について評価し、結果を表1に示した。
(使用材料)
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、比重3.16
粘性土:六行会粘土(東京都有楽町の工事現場で採取したもの)
カルシウムアルミネート:C12A7 組成に対応する熱処理物を急冷したもの、非晶質、ブレーン値6050cm2 /g
石膏:II型無水石膏、ブレーン値6560cm2 /g
高吸水性ポリマー:市販品、架橋構造を有するポリアクリル酸塩
(測定方法)
ゲル化時間:スライム混合物をバケツに入れてから、スライム混合物を入れたバケツを45度に傾けてもこぼれなくなった時点までの時間をゲル化時間とした。硬化時間:スライム混合物としてから、指触によりスライム固化体に凹みができなくなっ時点までの時間を硬化時間とした。
圧縮強度:スライム混合物を4×4×16cmの型枠に詰めた後、所定の材齢の供試体を耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例2
カルシウムアルミネート100重量部、石膏100重量部、カルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して表2に示す量の高吸水性ポリマー、及びカルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して5重量部のアルカリ金属アルミン酸塩からなるスライム固化材料を、セメント100重量部に対して10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に行った。スライムの混合物について評価し、結果を表2に示した。
(使用材料)
アルカリ金属アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、市販品
(測定方法)
残水量:1リットルのシリンダーにスライム混合物を入れた。スライム混合物は硬化前にゲル化した。ゲル化した時点で、下記式に従って、残水量を算出した。
残水量(%)=(上澄み液の体積)/(スライム混合物の体積)×100
【0032】
【表2】
【0033】
実施例3
カルシウムアルミネート100重量部、石膏100重量部、カルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して15重量部の高吸水性ポリマー、及びカルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して表3に示す量のアルカリ金属アルミン酸塩からなるスライム固化材料を、セメント100重量部に対して10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に行った。スライムの混合物について評価し、結果を表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
実施例4
カルシウムアルミネート100重量部、石膏100重量部、カルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して15重量部の高吸水性ポリマー、及びカルシウムアルミネートと石膏の混合物100重量部に対して5重量部のアルカリ金属アルミン酸塩からなるスライム固化材料を、セメント100重量部に対して表4に示す量混合したこと以外は、実施例1と同様に行った。スライムの混合物について評価し、結果を表4に示した。
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】
本発明のスライム固化材料を使用するとゲル化時間が速いので、スライム混合物をトラック荷台へ移送、運搬した場合に、スライム混合物がトラック荷台の鉄板等に付着しなくなり、トラック荷台から容易にスライム混合物を排出できる。又、上澄み液が分離することなく固化するので、上澄み液の中性化といった処理を要することもない。
又、本発明のスライム固化材料を使用すると、スライム混合物はゲル化後の硬化時間も速くなるために、硬化体がある程度の量となった段階で、まとまった量を、トラックで埋め立て地等に運搬したり、ブロック等として再利用できたりするものである。従来のようにスライムの排出量が少なくても、スライムを排出する度にバキューム車で運搬処理する必要がないので、スライムを運搬する費用が少なくて済み、その経済的効果は極めて大きい。
さらに、本発明のスライム固化材料はスライム以外にも、スライム固化材料単独で、高有機質土等の軟弱地盤の改良、並びに、ヘドロ、下水処理、及び有害重金属を含有する産業廃棄物の固化処理にも使用できる。さらに、道路の舗装に際して現場から発生する土に混合して道路の路盤を改良する路盤改良剤としても使用でき、商店街や民家に隣接する箇所で道路工事を行う際に掘り出した土を埋め戻す際に土が風等で舞い上がるのを防止するために、土に添加して使用することもできる。
Claims (5)
- 土とセメントを含有してなるスライムを固化させるスライム固化材料であって、カルシウムアルミネートと石膏を併用したセメント急結材を含有してなるスライム固化材料。
- さらに、高吸水性ポリマーを含有してなる請求項1記載のスライム固化材料。
- さらに、アルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる請求項1又は2に記載のスライム固化材料。
- 土とセメントを含有してなるスライムと、請求項1〜3のいずれか一項記載のスライム固化材料を含有してなるスライム混合物。
- 土とセメントを含有してなるスライムに、請求項1〜3のいずれか一項記載のスライム固化材料を混合させて固化することを特徴とするスライム固化工法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06092898A JP3945895B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | スライム固化材料、スライム混合物、及びそれを用いたスライム固化工法 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP06092898A JP3945895B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | スライム固化材料、スライム混合物、及びそれを用いたスライム固化工法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11256157A JPH11256157A (ja) | 1999-09-21 |
| JP3945895B2 true JP3945895B2 (ja) | 2007-07-18 |
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ID=13156548
Family Applications (1)
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| JP06092898A Expired - Lifetime JP3945895B2 (ja) | 1998-03-12 | 1998-03-12 | スライム固化材料、スライム混合物、及びそれを用いたスライム固化工法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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|---|---|---|---|---|
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| CN115231877B (zh) * | 2022-08-11 | 2023-02-24 | 中国矿业大学 | 一种速凝早强复合胶结材料及其制备与应用 |
-
1998
- 1998-03-12 JP JP06092898A patent/JP3945895B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JPH11256157A (ja) | 1999-09-21 |
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