JP3952154B2 - 燃料電池用構成部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の構成要素をなす燃料電池用の構成部品に関するものであり、更に詳しくは、ガス拡散層とガスケットとの一体品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型の燃料電池においては、一セルあたりの電圧の大きさが化学反応から決定されているため、電圧を増大させるためには、セルを多数積層する必要があり、またその一方で、各セルには、燃料ガスや冷却水をシールするためのガスケットや、ガスや冷却水のマニフォールドになる部分のガスケットが必要である。したがって、このガスケットとしてゴム単体型のものを使用すると、セルを多数積層する場合に多くの手間と時間がかかる不都合がある。
【0003】
そこで、現在、セパレータとガスケットとを予め一体化する方法や、電解質膜とガスケットとを予め一体化する方法が検討されている。また、電解質膜とガスケットとを一体化するのが難しい場合には、ガス拡散層とガスケットとを一体化する方法が提案されており、この場合は主に、ガス拡散層を構成するカーボン材に対してガスケット材料であるゴムを含浸させることにより一体品を成形している。
【0004】
しかしながら、このようにガス拡散層に対してゴムを含浸させる場合には、含浸の結果として、ガス拡散層のカーボン繊維がゴム内に分散することになるために、ガスケットの永久圧縮歪みが大きくなり、ガスケットの耐久性に課題が残る場合がある。
【0005】
また、カナダのバラード社から出願されている米国特許によると、カーボンペーパーに溝を加工し、この溝に沿ってガスケットを接着剤を用いて貼り付ける技術(米国特許第5284718号公報)や、カーボンペーパーと電解質膜とを一体化した反応電極部(MEA)におけるカーボンペーパーに溝を加工し、この溝に沿ってガスケットを一体化する技術(米国特許第5176966号公報)が開示されている。
【0006】
しかしながら、前者については、組立工数が多いために、製造に多くの手間と時間がかかるとともにコストの削減が難しいと云う不都合があり、後者については、MEA上にガスケットを成形するものであるため、熱硬化性ゴム材料を用いる場合に電解質膜に熱によるダメージを与える虞があると云う不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、燃料電池で用いられるガス拡散層とガスケットとの一体品において、ガスケットに生じる永久圧縮歪みを小さく抑えることが可能であり、しかも製造が容易で、熱硬化性ゴム材料を用いる場合であっても電解質膜に熱によるダメージを与えることがない燃料電池用構成部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の燃料電池用構成部品は、繊維質を備える平板状のガス拡散層と、前記ガス拡散層の平面上にエンドレス状に配置されたゴムよりなるガスケットとを有し、前記ガス拡散層の平面上には、流路となる透孔部と、前記ガスケットを装着するための貫通部とが設けられ、前記貫通部は前記ガス拡散層を厚さ方向に貫通するとともに前記ガスケットの平面配置に合わせて溝状に設けられ、周上所々に溝の内側部分と外側部分とを繋ぐための橋状の連結部が設けられ、前記ガスケットは、インジェクション法、ディスペンサー法またはスクリーン印刷法により前記溝状の貫通部に沿ってエンドレス状に成形され、その一部は前記ガス拡散層に含浸していることを特徴とするものである。
【0009】
上記構成を備えた本発明の燃料電池用構成部品においては、ガス拡散層を厚さ方向に貫通する貫通部がガスケットの平面配置に合わせてガス拡散層の平面上に溝状に設けられ、この溝状の貫通部に沿ってガスケットがガス拡散層に対して一体成形されているために、ガスケットはその大部分が溝状の貫通部内に配置されて、ガス拡散層とは平面上重ならないことになる。したがって、ガス拡散層がカーボン繊維等の繊維質を有する場合であっても、この繊維質がガスケット材料であるゴム内に多量に紛れ込むのを抑えることが可能となる。
【0010】
また、上記構成を備えた本発明の構成部品は、金型等を用いてガス拡散層に対してガスケットを一体成形するものであるために、接着剤による接着の場合よりも工程数が少なくて済むと云う利点がある。
【0011】
また、本発明の構成部品は、ガス拡散層に対してガスケットを一体成形するものであって電解質膜に対してガスケットを一体成形するものでないために、耐熱性について懸念のある電解質膜に成形時の熱によるダメージを与える虞がない。
【0012】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0013】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一の燃料電池用構成部品ないしその製造方法は、
▲1▼ 燃料電池で用いられるガス拡散層とガスケットの一体品において、ガスケットを一体化する部分のガス拡散層に前もってトムソン刃やウォータージェットやレーザーを用いて溝を加工し、その後ガスケットを一体成形するものであり、また、
▲2▼ ガス拡散層で使用される不織布やカーボンペーパー等のガスケットを成形する部分を前もってトムソン刃やウォータージェットやレーザーカット方法を用いて加工し、形状はガスケットの形状に合わせて溝形状にカットするものである。
【0014】
▲3▼ 上記▲1▼ないし▲2▼項に係る発明の実施形態としては、以下のとおりである。
すなわち、固体高分子形燃料電池に使用されるガス拡散層とガスケットを一体化する。ガス拡散層として使用されるカーボンペーパーや不織布の厚さはおよそ0.1〜0.8mm程度が良好である。このガス拡散層に前もってトムソン刃等によるダイカットや、ウォータージェットを用いたカットや、レーザーを用いたカットによって溝や流路を形成する。その後、インジェクションやディスペンサーやスクリーン印刷を用いてガスケットを溝内に成形する。成形するゴムの種類としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、EPDMまたはブチルゴム等が好適である。ガスケットの高さは0.1〜2mm程度、硬度は10〜80度程度が良好である。当該構成部品を金型で成形する場合には、様々なガスケット断面形状が製作できる利点がある。
【0015】
▲4▼ 以上の▲1▼ないし▲3▼項によれば、以下の作用効果を奏することが可能である。
すなわち先ず、ガスケットの直下にガス拡散層がないため、ガスケットの圧縮永久歪みを低減させることができる。また、ガス拡散層にゴムを一体化する際、金型内への固定が容易である。また、MEA上にガスケットを成形するものでなく、カーボンペーパーのみにガスケットを成形する製品であるため、ガスケット成形時の熱による電解質膜のダメージを防ぐことができる。
【0016】
尚、上記構成部品については、ガスケットがガス拡散層から部分的にずれたり外れたりする可能性がないかが懸念されるが、これに対する回答は以下のとおりである。
【0017】
すなわち、ガス拡散層を打ち抜き、その後金型内で位置決めを行なってガスケットを一体成形するため、ガス拡散層とガスケットとがずれることはない。また多少ずれても大丈夫なように寸法的な余裕をもたせてガス拡散層の打ち抜きを行なうのが好適である。また、一体成形であるため、ガスケットとガス拡散層には含浸されている部分があり、よってガスケットがガス拡散層から外れる可能性は小さい。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る燃料電池用構成部品1の平面図であって、そのA−A線拡大断面図が図2に示されている。また、図3はガス拡散層2を形成する素材の平面図、図4はこの素材に孔や溝等の必要な加工を施した状態のガス拡散層2の単品状態平面図であり、後記するようにこの図4の状態のガス拡散層2に対してガスケット6が一体成形されることになる。
【0020】
当該実施例に係る構成部品1は、燃料電池で用いられるガス拡散層2とガスケット6との一体品であって、以下のように構成されている。
【0021】
すなわち先ず、カーボンプレート、カーボンペーパーまたは不織布等によって平板状に形成されたガス拡散層2が設けられており、このガス拡散層2の平面上に、燃料ガスや冷却水等の流路となる透孔部3と、ガスケット6を一体成形するための貫通部4とがそれぞれ所定の平面配置をもって形成されている。透孔部3はガス拡散層2を厚さ方向に貫通する孔であり、貫通部4もガス拡散層2を厚さ方向に貫通する孔であるが、後者の貫通部4は、ガスケット6の平面配置に合わせてガス拡散層2の平面上に溝状のものとして設けられている。また、ガスケット6が平面上エンドレスに配置される場合、溝状の貫通部4もこれに合わせてエンドレス溝として形成されるべきであるが、これではエンドレス溝の内側部分において一部のガス拡散層2が抜け落ちてしまうため、これを防止すべく、エンドレス溝の周上所々に、エンドレス溝の内側部分と外側部分とを繋ぐための橋状の連結部5が設けられている。
【0022】
以上の説明が図4の状態であり、この図4のガス拡散層2に対して図1に示すようにガスケット6を一体成形し、すなわち溝状の貫通部4に沿ってガスケット6をガス拡散層2に対して一体成形する。図2の断面図に示すように、ガスケット6は貫通部4内に余さず充填され、かつガス拡散層2の上面よりも上方に突出するとともに、ガス拡散層2の下面よりも下方に突出するよう形成されて両面ガスケットを構成しており、このような断面形状のガスケット6が上記エンドレス溝に沿ってエンドレス状に形成されている。ガス拡散層2の厚さはおよそ0.1〜0.8mm程度、ガスケット6の高さはおよそ0.1〜2mm程度とされている。また、図示はしないが、ガスケット6はその一部において貫通部4の内面に対して含浸しており、よってガスケット6がガス拡散層2から外れることがないように構成されている。
【0023】
つぎに上記構成の構成部品1の製造方法を説明する。
【0024】
すなわち先ず、図3に示したように平面状のガス拡散層2を用意し、ついで図4に示したように、このガス拡散層2にトムソン刃等によるダイカット法、ウォータージェットカット法またはレーザーカット法等によって透孔部3および貫通部4を形成する。ついで、この単品として仕上げられたガス拡散層2をインジェクション金型のキャビティ空間にセットし、ゴム材料を流し込んでガスケット6を成形する。この成形時、ゴム材料の一部がガス拡散層2に含浸して両者が一体化されることは上記したとおりである。ゴム材料の種類としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、EPDMまたはブチルゴム等が好適であり、成形されるガスケット6の硬度は10〜80度程度が好適である。
【0025】
上記構成の構成部品1によれば、以下の作用効果を奏することが可能である。
【0026】
すなわち先ず第一に、ガス拡散層2を厚さ方向に貫通する貫通部4がガスケット6の平面配置に合わせてガス拡散層2に溝状のものとして設けられ、この溝状の貫通部4に沿ってガスケット6がガス拡散層2に対して一体成形されているために、ガスケット6はその大部分が溝状の貫通部4内に配置されて、ガス拡散層2とは平面上重ならない位置に配置される。したがって、ガス拡散層2のカーボン繊維等の繊維質がガスケット材料であるゴム内に多量に紛れ込むのを抑えることができるために、当該構成部品1の装着使用時にガスケット6に生じる永久圧縮歪みを小さく抑えることができる。図示したガスケット6は上記したように両面ガスケットであって、両面のそれぞれに断面略三角形状のシールリップ6aを有しており、装着使用時にこのシールリップ6aが強く圧縮変形せしめられることになるが、このシールリップ6aは溝状の貫通部4における溝幅の略中央の、含浸の影響が小さい位置に配置されている。したがって、このように断面三角形状のシールリップ6aを備えたガスケット6は装着使用時に強く圧縮されることがあっても、大きな永久圧縮歪みを生じることがない。
【0027】
また、上記構成の構成部品1は、金型を用いてガス拡散層2に対してガスケット6を一体成形するものであるために、ガス拡散層2に対してガスケット6を接着剤により接着する場合と比較して、工程数を少なく抑えることができる。したがって、構成部品1の製造を容易化することができ、かつ構成部品1の製造コストないし部品コストを低減させることができる。
【0028】
また、上記構成の構成部品1においては、一体成形時に金型内に配置されるガス拡散層2に予め溝状の貫通部4が設けられるために、この溝状の貫通部4を利用してガス拡散層2を金型に対し位置決めすることにより、ガス拡散層2を金型に対して容易にしかも正確に位置決めすることができる。したがってこの点からも構成部品1の製造を容易化することができ、かつ成形精度を向上させることができる。
【0029】
更にまた、上記構成の構成部品1は、ガス拡散層2とガスケット6とを一体成形するものであって、上記従来技術のように電解質膜とガスケットとを一体成形するものでない。したがって、耐熱性について懸念のある電解質膜に成形時の熱によるダメージを与える虞がなく、この点についての憂慮を解消することができる。
【0030】
尚、上記実施例では、ガスケット6をガス拡散層2の両面に突出する両面ガスケットとして成形したが、これに代えて、ガス拡散層2の何れか一方の面のみに突出する片面ガスケットとして成形することも可能である。また、ガスケット6の断面形状には様々なものが考えられ、本発明はその断面形状を限定するものではない。また、上記実施例では、ガスケット6を金型によって成形することにしたが、ディスペンサー法やスクリーン印刷法等を用いて成形することにしても良い。但し、ガスケット6を金型で成形する場合には、ガスケット6の断面形状を任意に設定し得る利点がある。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0032】
すなわち、上記構成を備えた本発明の燃料電池用構成部品においては先ず、ガス拡散層を厚さ方向に貫通する貫通部がガスケットの平面配置に合わせてガス拡散層に溝状のものとして設けられ、この溝状の貫通部に沿ってガスケットがガス拡散層に対して一体成形されているために、ガスケットはその大部分が溝状の貫通部内に配置され、ガス拡散層とは平面上重ならない位置に配置される。したがって、ガス拡散層のカーボン繊維等の繊維質がガスケット材料であるゴム内に多量に紛れ込むのを抑えることができるために、当該構成部品の装着使用時にガスケットに生じる永久圧縮歪みを小さく抑えることができる。
【0033】
また、上記構成を備えた構成部品は、ガス拡散層に対してガスケットを一体成形するものであるために、ガス拡散層に対してガスケットを接着剤により接着する場合と比較して、工程数を少なく抑えることができる。したがって、構成部品の製造を容易化し、かつコストを低減させることができる。
【0034】
更にまた、上記構成を備えた構成部品は、ガス拡散層に対してガスケットを一体成形するものであって上記従来技術のように電解質膜に対してガスケットを一体成形するものでないために、耐熱性について危惧のある電解質膜に成形時の熱によるダメージを与える虞がなく、よってこの点についての憂慮を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る燃料電池用構成部品の平面図
【図2】図1におけるA−A線拡大断面図
【図3】同構成部品の製造工程説明図であって、ガス拡散層成形素材の平面図
【図4】同じく同構成部品の製造工程説明図であって、ガス拡散層単品完成状態を示す平面図
【符号の説明】
1 燃料電池用構成部品
2 ガス拡散層
3 透孔部
4 貫通部
5 連通部
6 ガスケット
6a シールリップ
Claims (1)
- 繊維質を備える平板状のガス拡散層(2)と、前記ガス拡散層(2)の平面上にエンドレス状に配置されたゴムよりなるガスケット(6)とを有し、
前記ガス拡散層(2)の平面上には、流路となる透孔部(3)と、前記ガスケット(6)を装着するための貫通部(4)とが設けられ、前記貫通部(4)は前記ガス拡散層(2)を厚さ方向に貫通するとともに前記ガスケット(6)の平面配置に合わせて溝状に設けられ、周上所々に溝の内側部分と外側部分とを繋ぐための橋状の連結部(5)が設けられ、
前記ガスケット(6)は、インジェクション法、ディスペンサー法またはスクリーン印刷法により前記溝状の貫通部(4)に沿ってエンドレス状に成形され、その一部は前記ガス拡散層(2)に含浸していることを特徴とする燃料電池用構成部品。
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