JP3961702B2 - 取水口への浮遊物流入防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、くらげその他の、海上および海中浮遊物が、火力および原子力発電所の冷却装置等のための取水口に入り込むのを阻止する取水口への浮遊物流入防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術としては、たとえば、出願人が先に実開平3−79327号として提案したものがある。
これは、岸壁に設けた冷却水取水口前方の海上において、取水口を囲むように海上から海底近くまで前下がりに傾斜した網を張設し、この網の下縁と海底との間に下部開口を設けるとともに、この下部開口部をくらげの鉛直方向の分布状況に応じて開閉できるようにしたものである。
この装置では、日中等において、水中の表層部に位置するくらげは、取水口を囲むように海上から海底近くまで前下がりに傾斜して張設した網によって取水口に流入するのを阻止することができ、冷却用の海水は、網の下縁と海底との間に設けた下部開口より十分にとり込むことができるとし、また、日没後等において、大量に発生したくらげが水中の底層部にも分布した場合は、持上げ姿勢にある開閉網を、手動、電動等によって下降変位させて、下部開口を閉じることにより、くらげの、取水口内への流入を阻止することができるとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この従来技術にあっては、開閉網の昇降変位のための特別の動力が必要になる他、開閉網を適切に昇降変位させるために、浮遊物に対する常時の監視が必要であるという問題があった。
【0004】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、浮遊物の、ネットへの付着状況等の監視を不要ならしめてなお、ネットが浮遊物によって目詰まりすることに起因する、発電の停止その他の重大な問題が発生するに先んじて、常時は展張状態にあるネットの全体もしくは一部を、特別の動力の必要なしに自動的に開放し、またそれを、海水の十分なる流動下で、元の展張姿勢に、これも動力なしに自動的に復帰させることができる取水口への浮遊物流入防止装置を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の、取水口への浮遊物流入防止装置は、海底と、取水口、より正確には海水の一次取水口の区画に寄与する固定側部材との間に展設されて、海面下に開口するその一次取水口を囲繞するとともに、海底まで達するネットを配設してなるものであり、海底に連結したそのネットの全体もしくは海底近傍部分だけを、それの目詰まり下での、一次取水口に対する内外側の圧力差に基づいて倒伏される起立倒伏部としたものである。
【0006】
この装置では、ネットの通常の展張状態の下にては、そのネットは、固定側部材から海底までの間で、くらげその他の浮遊物を、海面下での浮遊物分布のいかんにかかわらず、選択された網目寸法の下で効果的に捕集することができ、一方海水は、冷却装置等による取水吸引力に基づいて、ネットの網目を経て所要の速度で流動することができる。
【0007】
なお、ネットのこのような展張状態の下では、実際には、浮遊物の捕集量、捕集個所等が一日のうちの時間帯、潮位その他によって変化することになるも、特別の事情がない場合には、ネットに捕集された浮遊物の多くは、潮流、波のうねり等を受けて押し流されるので、ネットの網目が目詰まりすることはない。
【0008】
この一方で、大量の浮遊物がネットに同時に捕集され、ネットの網目を通る海水の円滑なる流動が困難になって、ネットの、一次取水口側とそれとは反対側との間に圧力差が生じ、この圧力差が、通常は、ネットの全体もしくは海底近傍部分を起立姿勢に維持するフロートの浮力に打ち勝つほどに増加した場合には、そのネットの全体もしくは海底近傍部分が高圧側から低圧側へ自動的に倒伏し、この結果として、その倒伏部分が一次取水口に対して開放されることになるので、海水は、その開放部分を経て、十分小さな流動抵抗の下で、一次取水口へ円滑に流入することができる。
従って、所要の圧力差との関連の下でフロートの浮力を選択することで、冷却装置等の機能不全等のおそれを十分に防止することができる。
【0009】
ところで、ネットの全部または一部をこのように倒伏変位させた場合には、それにて捕集されていた浮遊物もまた海水とともに一次取水口へ流入することになるも、一般的には、一次取水口と二次取水口との間には、主として、ネットの網目を通過する程度の小寸法の浮遊物を除去するための、塵芥除去装置が設置されているので、それらの浮遊物もまたこの塵芥除去装置によって十分に除去されることになる。
【0010】
そして、海水のこのような円滑なる流動の結果として、上述したような圧力差が、フロートの浮力より小さくなった場合には、フロートそれ自身の作用下で、倒伏状態のネットの全部もしくは一部が、自動的に再び起立され、これにより、その部分による浮遊物の再度の捕集が可能となる。
【0011】
かくして、この装置によれば、浮遊物によってネットが目詰まりした場合には、浮遊物の捕集状況等の監視も、特別の動力の使用もなしに、起立倒伏部を自動的に倒伏させることができ、その目詰まりの解消後には、起立倒伏部を自動的に起立させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、ネットの一部を起立倒伏部とした場合の実施の形態を示す略線縦断面図であり、図中1は岸壁を、2は、岸壁1から突設されて、特定の水域を囲繞するカーテンウォールをそれぞれ示し、このカーテンウォール2は、その下端部分と海底3との間に一次の取水口4を区画する。
【0013】
また、岸壁1には、カーテンウォール2による囲繞水域内の特定個所に、冷却装置等に通じる水路のための二次取水口5を設け、多くの場合には、かかる二次取水口5と一次取水口4との間に、トラベルスクリーンその他とすることができる塵芥除去装置6を配設する。
【0014】
そしてここでは、カーテンウォール2の上端と、海底3に配設したアンカーブロック7とを、カーテンウォール2から遠去かるにつれて深度が次第に大きくなる方向に延在し、海底3に対して30〜80°の角度をなす複数本のロープ8によって連結するとともに、それらのロープ上に、カーテンウォール2の周りで、それを、岸壁1の壁面1aに至る平面領域内で取り囲んで、海底3に達するネット9を配設し、このネット9によって、海面下に開口する一次取水口4を囲繞する。
【0015】
またここでは、このようなネット9のうちの海底近傍部分、たとえば、海底からの垂直高さにして1〜1.8mの部分を、起立倒伏部10とし、下端をアンカーブロック7に連結したこの起立倒伏部10を、ロープ8の傾斜の内側で、その上端に連結した、適宜の浮力を有するフロート11をもって、常時は、そのフロート11が上限位置となる起立状態に維持する。なおここで、起立倒伏部10のこの起立位置は、フロート11をロープ8に当接させることにより特定することも可能であるが、潮流、波のうねり等による、フロート11の、ロープ8へのからみつきその他のおそれを除去して、起立倒伏部10の起立姿勢を、常に十分安定なものとするためには、図示のように、ロープ8とは逆向きに延びるアンカーロープ12をもって、フロート11の上限位置を特定することが好ましく、そのアンカーロープ12の長さの選択下で、起立倒伏部10を、ロープ8に沿わせて起立させることができる。
【0016】
ところで、起立倒伏部10は、それの上下端をフロート11およびアンカーブロック7のそれぞれに直接的に連結することに代えて、それらのそれぞれに連結したロープ上に展設することも可能である。
【0017】
このように構成してなる装置では、冷却装置等による取水吸引力に基づいて、ネット9の外側の海水を一次および二次の取水口4,5を経て吸引するに当たり、海水中のくらげその他の浮遊物はネット9に捕集されることになり、ネット9に捕集されない程度の小寸法の浮遊物は塵芥除去装置6をもって十分に除去されることになる。
【0018】
ここで、ネット9によるこのような浮遊物の捕集により、捕集された浮遊物が潮流等によって押し流されるより先に、ネット上に浮遊物が多量に堆積して、実質的な目詰まり状態が発生すると、冷却装置等の取水吸引力によって、ネット9より取水口4,5側が負圧となり、それとは反対の側が、水頭圧等の影響下で正圧となる。
【0019】
この場合において、ネット9の内外側の圧力差に基づいて起立倒伏部10に作用する力、図に示すところでは、より正確には、これに加えて、起立倒伏部10上に堆積した浮遊物の重量が、フロート11の浮力に勝ったときには、フロート11が沈降し、これに伴って、起立倒伏部10がその下端連結部の周りで、図に仮装線で示すように倒伏変位する。そして、起立倒伏部10がこのように倒伏変位すると、その倒伏部分を経て海水がネット9の内側へ円滑に流入して、冷却装置等へ、十分な量の海水が供給されるとともに、上記の圧力差が次第に小さくなる。
【0020】
なお、起立倒伏部10が倒伏変位することで、海水がその倒伏部分を経て早い速度で大量にネット9の内側へ流入すると、その海水中には、起立倒伏部10に捕集された浮遊物が含まれることになるも、それらの浮遊物は、塵芥除去装置6をもって十分に除去することができる。
【0021】
これらのことによって、ネット9の内外側の圧力差等に基づいて起立倒伏部10に作用する力がフロート11の浮力より小さくなると、フロート11が再浮上し、起立倒伏部10が図示の位置まで起立変位して、その起立倒伏部10による、浮遊物の再捕集が可能となる。
【0022】
かくしてこの装置では、ネット9が所定量以上に目詰まりした場合には、ネット9の内外側の圧力差等に基づき、目詰まり状況の監視も、特別の動力も必要なしに起立倒伏部10を自動的に倒伏変位させることができ、また、上記圧力差の解消に基づいて、自動的に起立変位させることができる。
【0023】
図2は、この発明の他の実施形態を示す略線縦断面図である。
これは、カーテンウォール2に、一次取水口4の上縁から、二次取水口5とは反対側へ突出するフード板21を設け、このフード板21より下方側に、前述した起立倒伏部10と同様にして起立倒伏されるネット22を配設したものであり、このネット22は、フード板21を介して、カーテンウォール2と海底3との間に展設されて、カーテンウォール2の下端部分の一次取水口4を囲繞する。
【0024】
ここでは、ネット22の上下の端部を、フロート23およびアンカーブロック7のそれぞれに直接的に、またはロープを介して間節的に連結するとともに、そのフロート23を、アンカーブロック24に連結したロープ25の作用下で、フード板21の下側で、それの極く近傍に位置させる。
この構成によれば、ネット22の全体が、前述した起立倒伏部10と同様にして倒伏および起立変位することができ、先の場合と同様の作用効果の下で、所要量の液体を十分円滑に取水することができる。
【0025】
図3は、図2に示すところからフード板21を取り除いた実施形態を示し、これは、ネット22をもって一次取水口4を直接的に囲繞するとともに、そのネット22の全体を、図2に示すところと同様に、倒伏および起立変位可能としたものである。
【0026】
図4は、さらに他の実施形態を示す略線縦断面図であり、これは、二次取水口5を海底3に開口させるとともに、その取水口5の上方に配設した枠板31と、取水口5のフランジとの間に第一の取水口4を開口させたものである。
ここでは、ネット32を、枠板31の周縁部と海底3とに連結して、ほぼ截頭円錐状に展設したところにおいて、ネット32の海底近傍部分を、図1に示すものとほぼ同様の起立倒伏部33とし、それの上端のフロート34を、アンカーロープ35によって位置規制する。
このように構成した場合にあってもまた、起立倒伏部33の作用下で、図1および2に示すものと同様の作用効果をもたらすことができる。
【0027】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、海底に連結した起立倒伏部を、主には、取水口に対する内外側の圧力差に基づいて倒伏変位させ、その圧力差が所定値以下となった場合に起立変位させることで、浮遊物の、ネットへの捕集状況の監視、起立倒伏部の作動動力等を不要ならしめてなお、起立倒伏部を所期した通りに自動的に変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す略線縦断面図である。
【図2】 この発明の他の実施形態を示す略線縦断面図である。
【図3】 他の実施形態を示す略線縦断面図である。
【図4】 この発明のさらに他の実施形態を示す略線縦断面図である。
【符号の説明】
1 岸壁
1a 壁面
2 カーテンウォール
3 海底
4 一次取水口
5 二次取水口
6 塵芥除去装置
7,24 アンカーブロック
8,25 ロープ
9,22,32 ネット
10,33 起立倒伏部
11,23,34 フロート
12,35 アンカーロープ
21 フード板
31 枠板

Claims (1)

  1. 海底と、取水口の区画に寄与する固定側部材との間に展設されて、海面下に開口する取水口を囲繞するとともに、海底に達するネットを配設してなる取水口への浮遊物流入防止装置であって、
    海底に連結した前記ネットの全体もしくは海底近傍部分を、それの目詰まり下での、取水口に対する内外側の圧力差に基づいて倒伏される起立倒伏部としたことを特徴とする取水口への浮遊物流入防止装置。
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