JP3964537B2 - 熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼はNi,Cr,Mo,Cuなど高価な元素を多量に含有しているため、歩留を向上し製造コストを低減させることが最重要項目である。特に製造工程での疵発生を防止することによる歩留向上が望まれている。すなわち、耐食性、耐酸化性および強度の点から、Ni,Cr,Mo,Cuなどを多量に含有したステンレス鋼は熱間での加工性が劣り、熱間加工中にデンドライト粒界で割れが発生し、へげ状疵となって歩留低下の原因となっていた。
【0003】
連続鋳造鋳片の熱間加工性を向上する対策として、例えば特公昭54−24364号、特公平2−14419号、特公平5−7457号、特開平4−110419号等の公報では、Ca,Mg,希土類元素(Y,La,Ceなどで以下REMと呼ぶ),Bなどの単独か併用添加することが開示されている。
特公昭54−24364号公報ではCa単独添加またはCaとBの併用添加、特公平2−14419号公報および特公平5−7457号公報ではCa,CeなどのREMを単独または併用添加、特開平4一110419公報ではMg単独添加またはMgとBの併用添加法である。
【0004】
しかし、CaやREMは酸化され易い元素のため、添加歩留が不安定であり、例えば特公平2一14419号公報に開示されているように、Al脱酸と併用しても十分な効果を得るためにはCaやREMの添加量を多くする必要があり、CaO系やREM系介在物による表面疵や地疵などの内部欠陥が多発し、製品歩留低下および品質劣化の問題があった。また、Mg添加では圧延製品に有害な硬質のMgO系やAl2 3 ・MgOスピネル系介在物を生成し、表面疵や地疵などの内部欠陥が多発し、製品歩留低下および品質低下の原因となる。
【0005】
一方、Bについては、例えば図2(CAMP−ISIJ,Vol.6(1993)一733の開示)に示すように、耐食性など材質特性への影響から添加できない製品があるため、全ての品種に適用できないことや、他製品の不純物元素管理対策として、B添加品種の発生屑に対し煩雑な特別管理が必要となるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決し、熱間加工性が悪い成分系の鋼種も熱間加工で割れ疵がなく、かつ、地疵などの介在物性欠陥の少ない、耐食性の良好なオーステナイト系ステンレス鋼製品を歩留良く製造することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この問題を解決するために種々の製造実験を行い、検討を重ねた結果、CaとMgを同時に適量含有させることによって、Ca,Mgの歩留を安定させると共に、熱間加工性を安定向上させ、かつ地疵などの介在物性欠陥がないオーステナイト系ステンレス鋼圧延製品を歩留良く製造することができることを見い出した。
【0008】
すなわち、本発明は熱間加工性の優れたオーステナイト系ステンレス鋼であって、その要旨は以下のとおりである。
質量%で、
C :0.2%以下、 Si:0.1〜2%、
Mn:0.3〜3%、 P :0.04%以下、
Cr:15〜30%、 Ni:3〜30%、
N :0.01〜0.3%、 S :0.003%以下、
O :0.007%以下、 Al:0.002〜0.05%
Cu:0.06%以下、 Mo:0.05%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなり、かつ、
Creq=(Cr%)+1.5(Si%)+(Mo%)+0.5(Nb%)
Nieq=(Ni%)+30(C%十N%)+0.5(Mn%)
δ% =−0.0816(Creq)+5.975(Creq)
−3.786(Nieq)+0.0587(Creq)・(Nieq)
−46.23
で計算されるδが3%以下、または7%以上となるオーステナイト系ステンレス鋼において、Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.00%の範囲で(Mg%/Ca%)の値が1以下となるCaとMgを併用添加することを特徴とする熱間加工性の優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、熱間加工性改善のための種々の製造実験を行った結果、
質量%で、
C :0.2%以下、 Si:0.1〜2%、
Mn:0.3〜3%、 P :0.04%以下、
Cr:15〜30%、 Ni:3〜30%、
N :0.01〜0.3%、 S :0.003%以下、
O :0.007%以下、 Al:0.002〜0.05%
Cu:0.06%以下、 Mo:0.05%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなるオーステナイト系ステンレス鋼において、熱間加工性の改善のためにCaのみの添加では、Ca歩留のばらつきが大きく、Ca含有量が不安定となり、安定した熱間加工性の改善が得られないことが判った。
【0010】
安定して熱間圧延時の割れを防止できるように十分な熱間加工性の改善を得るためには、例えば特公平2−14419号公報に開示されているように、S+O含有量との関係から、安定して効果を得るために通常0.003%以上のCa添加が必要であるが、Caが酸化され易いため、Ca含有量が多くなると鋼中のCaO系介在物量が多くなり、地疵欠陥の発生による製品不良率が高くなった。
また、Mgは少量添加でも、Alが0.003%以上では硬質の有害なMgOまたはAl2 3 ・MgOスピネル系介在物が生成され、それによる地疵欠陥が発生し製品不良率が高くなる問題があった。
【0011】
一方、CaとMgの併用添加ではCa,Mg歩留は安定し、CaまたはMgのそれぞれの単独添加よりも熱間加工性改善効果が安定して得られると共に、清浄度が改善され、かつ(Mg%/Ca%)の比を1以下にすることによって介在物組成は低融点化して、圧延製品に有害となるスピネル系介在物など硬質介在物の生成が防止され、地疵欠陥の発生がなくなることを見い出した。
【0012】
まず、本発明が含有する合金元素の含有量を限定する理由を以下に説明する。
Cは強力なオーステナイト相形成元素で、かっ固溶している場合は強度を高める元素であるが、耐食性の点から低い方が良く、0.2%以下とする。
【0013】
Siはステンレス鋼溶製時の脱酸のために添加するが、0.1%未満ではCr歩留が著しく低下するので、その下限を0.1%とする。また、ステンレス鋼の耐食性、耐酸化性を増すが、2%を超えると高温での熱間加工性を害する共に、熱間圧延での圧延負荷が増大し製造上好ましくないので、上限を2%とする。
【0014】
Mnはオーステナイト相安定化元素で、かつ脱酸に役立ち、また鋼中Sと結びつきMnSとして熱間加工性を改善するが、耐食性を低下させるので0.3〜3%とする。
【0015】
Pは耐食性、熱間加工性の点では少ない方が良好で、0.04%以下とする。
Sは熱間加工性改善のため低い方が良く、0.003%以下とする。
【0016】
Crはステンレス鋼の基本成分で耐食性、耐酸化性の点から15%以上とするが、含有量が多くなると高価になるので30%を上限とする。
【0017】
Niは強力なオーステナイト相形成元素で、かっ耐食性、耐熱性を向上させる。3%未満では耐食性、耐熱性が低く実用的でなく、30%を超えると高価になるため、3〜30%とする。
【0018】
Nはオーステナイト相安定化元素であり、かつ、ステンレス鋼の強度と耐食性を改善し、0.01%以上で効果を示すが、0.3%を超えると熱間加工性を著しく低下させ、また、オーステナイト相固溶限界を超え気泡が発生するので、0.01〜0.3%とする。
【0019】
Oは熱間加工性および介在物性欠陥防止に対し低い方が良好であり、0.007%以下とする。
Alは強力な脱酸剤として添加されるが、Al2 3 介在物の生成による品質上の問題、かつ連続鋳造におけるノズル閉塞や耐食性低下の防止のため、0.002〜0.05%とする。
【0020】
Mo,Cuは表1に示すように、Moにあっては0.05%を上限とし、Cuにあっては0.06%を上限として含有しているので、これに基づいて含有量を限定した。
【0023】
Caは熱間加工性改善と連続鋳造のノズル閉塞防止や介在物欠陥として有害なAl2 3 介在物生成防止のために添加するが、0.0005〜0.005%とした理由は、0.0005%未満ではその効果がなく、また0.005%を超えると酸化が激しくCaO系介在物が多く生成され、地疵などの介在物性欠陥を多く発生させるほか、清浄度を悪化させ耐食性も悪く有害となるためである。
【0024】
Mgは熱間加工性改善のためにCa添加効果の補完として添加するが、0.0005%未満では効果がなく、0.003%超ではMgO系やAl2 3 ・MgOスピネル系介在物の生成による介在物原因の表面疵や地疵などの内部欠陥が多発し、製品歩留低下および品質低下の原因となるので、0.0005〜0.003%とする。
【0025】
かつ、該溶鋼がAl系耐火物内で処理される場合や、Alが0.003%以上含有される場合、Mg含有量とCa含有量の比(Mg/Ca)が1超では、有害なAl・MgOスピネル系介在物が生成されるので、Al・MgOスピネル系介在物の生成防止のため、(Mg/Ca)の比は1以下に規制する必要がある。
図1は熱間加工性、地疵に対するCa,Mgの影響を示す。
【0026】
また、
Figure 0003964537
で計算されるδが3〜7%では、熱間加工性はCaやMgの添加がなくても特に問題がないので、δは熱間加工性の悪い3%以下と7%以上を対象とする。
【0027】
本発明は上記のように構成することにより、熱間加工性と介在物性欠陥の問題点が解決され、熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を、表面品質、内部品質ともに安定して歩留良く製造することが可能になった。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。
表1は本発明鋼と比較鋼の取鍋下化学成分組成を示すもので、電気炉−AOD炉で溶製し、連続鋳造の通常条件でスラブまたはビレット鋳片に鋳造した。また、該鋳片を通常通り手入れ後、ホットストリップ、または厚板または線材にそれぞれ通常のステンレス鋼用の条件で熱間圧延し、熱間圧延後の鋼板の表面疵および介在物性欠陥の地疵発生状況の結果を表2に示した。実施例1、3は板厚4mmの熱延鋼板で、実施例6は30mm丸棒で、また実施例8はφ5.5mm線材の結果である。
【0029】
これに対し比較例1,2はCa量が少なくMgの添加がないこと、および比較例3,4は(Mg/Ca)>1、また、比較例5はCa添加量が多いこと、比較例6,7はMg単独添加の場合で、本発明範囲外の成分で構成されている。
本発明実施例は比較例に比べ、いずれも圧延表面疵が少なく地疵の少ない製品が歩留良く製造できた。なお本発明実施例は、Ca,Mgを添加せずに製造された製品と遜色のない耐食性が得られた。
【0030】
【表1】
Figure 0003964537
【0031】
【表2】
Figure 0003964537
【0032】
【発明の効果】
本発明に従って製造されたオーステナイト系ステンレス鋼は、経済的に表面品質および内部品質ともに良好な製品が安定して得られるので、産業上に及ぼす効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間加工性、地疵に対するCa,Mgの影響を示す図。
【図2】(a):R−SUS304ULCの腐食に及ぼすB含有量の影響を示す図(65%HNO3 沸騰水中48h×10,溶体化熱処理材)。
(b):R−SUS304ULCのB含有量に及ぼす腐食処理回数と腐食速度との関係を示す図(65%HNO3 沸騰水,溶体化熱処理材)。

Claims (1)

  1. 質量%で、
    C :0.2%以下、 Si:0.1〜2%、
    Mn:0.3〜3%、 P :0.04%以下、
    Cr:15〜30%、 Ni:3〜30%、
    N :0.01〜0.3%、 S :0.003%以下、
    O :0.007%以下、 Al:0.002〜0.05%
    Cu:0.06%以下、 Mo:0.05%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物成分からなり、かつ、
    Creq=(Cr%)+1.5(Si%)+(Mo%)+0.5(Nb%)
    Nieq=(Ni%)+30(C%十N%)+0.5(Mn%)
    δ% =−0.0816(Creq) +5.975(Creq)
    −3.786(Nieq)+0.0587(Creq)・(Nieq)
    −46.23
    で計算されるδが3%以下、または7%以上となるオーステナイト系ステンレス鋼において、Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.003%の範囲で(Mg%/Ca%)の値が1以下となるCaとMgを併用添加することを特徴とする熱間加工性の優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
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