JP3966043B2 - 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法 - Google Patents

耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3966043B2
JP3966043B2 JP2002096922A JP2002096922A JP3966043B2 JP 3966043 B2 JP3966043 B2 JP 3966043B2 JP 2002096922 A JP2002096922 A JP 2002096922A JP 2002096922 A JP2002096922 A JP 2002096922A JP 3966043 B2 JP3966043 B2 JP 3966043B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
yarn
spinning
stereocomplex
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002096922A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003293220A (ja
Inventor
隆志 越智
敏明 木村
裕平 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2002096922A priority Critical patent/JP3966043B2/ja
Publication of JP2003293220A publication Critical patent/JP2003293220A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3966043B2 publication Critical patent/JP3966043B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来には無かった耐熱性と品位に優れたポリ乳酸繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、地球的規模での環境問題に対して、自然環境の中で分解するポリマー素材の開発が切望されており、脂肪族ポリエステル等、様々なポリマーの研究・開発、また実用化の試みが活発化している。そして、微生物により分解されるポリマー、すなわち生分解性ポリマーに注目が集まっている。
【0003】
一方、従来のポリマーはほとんど石油資源を原料としているが、石油資源が将来的に枯渇するのではないかということ、また石油資源を大量消費することにより、地質時代より地中に蓄えられていた二酸化炭素が大気中に放出され、さらに地球温暖化が深刻化することが懸念されている。しかし、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料としてポリマーが合成できれば、二酸化炭素循環により地球温暖化を抑制できることが期待できるのみならず、資源枯渇の問題も同時に解決できる可能性がある。このため、植物資源を原料とするポリマー、すなわちバイオマス利用ポリマーに注目が集まっている。
【0004】
上記2つの点から、バイオマス利用の生分解性ポリマーが大きな注目を集め、石油資源を原料とする従来のポリマーを代替していくことが期待されている。しかしながら、バイオマス利用の生分解性ポリマーは一般に力学特性、耐熱性が低く、また高コストとなるといった課題があった。これらを解決できるバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのはポリ乳酸である。ポリ乳酸は植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では力学特性、耐熱性、コストのバランスが最も優れている。そして、これを利用した繊維の開発が急ピッチで行われている。
【0005】
ポリ乳酸繊維の開発としては、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それに続く大型の用途として衣料用途や産業資材用途が期待されている。しかしながら、衣料用織物はアイロン掛けができることが必須であるが、ポリ乳酸の融点は約170℃と、従来の汎用合成繊維であるポリエチレンテレフタレート(PET)の255℃と比べるとはるかに低いため、アイロン掛けにより製品に穴が空くという問題があった。さらに、縫製前に織物をまとめて裁断するが、その際のセン断発熱により織物の切片が融着してしまうという致命的な問題があった。また、ゴム資材や樹脂コート布帛の製造工程で150℃程度の高温にさらされると、製品に欠点ができたり、工程通過性が著しく低下する等の問題があった。このため、ポリ乳酸繊維の融点を向上させることが求められていた。
【0006】
一方、ポリ乳酸の融点を向上させる技術として、ステレオコンプレックスという技術が知られている。ステレオコンプレックスとは、例えば Macromolecules,vol.20,904(1987).に記載されているようにポリL乳酸(以下PLLAと略す)ユニットとポリD乳酸(以下PDLAと略す)ユニットが1対となった結晶であり、これにより融点を約50℃向上できるものである。また、これを繊維に応用することも検討されており、例えば、特開昭63−264913号公報には、PLLAとPDLAのブレンド物を溶液紡糸した繊維を100〜220℃のオイルバス中で延伸することにより、ステレオコンプレックスを形成させたポリ乳酸繊維を得る方法が記載されている。しかしながら、該方法ではエタノールと発ガン性のあるクロロホルムの混合溶媒を使用しており、環境、安全面での問題があった。また、延伸方法もオイルバス中での延伸であるため、延伸速度が低く、生産性が低いものであった。一方、繊維学会予稿集、F-133(1989)には、PLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡糸した未延伸糸をオイルバス中で予備結晶化させた後、これに重りを掛け200℃で熱処理してステレオコンプレックスを形成させたポリ乳酸繊維を得る方法が記載されている。これによれば、溶融紡糸を採用しているため環境、安全面は改善されているが、予備結晶化工程、延伸・熱処理がバッチ処理であるため、工業的な方法としては採用できるものではなかった。さらに、該文献記載の繊維では、ステレオコンプレックス形成のための高温熱処理により配向緩和が発生し、強度が22kgf/mm2(1.7cN/dtex)と低いレベルのものしか得られていない。また、特開2002−30523号公報には、PLLAとPDLAのブレンド物を紡糸速度1000m/分で溶融紡糸して得た未延伸糸を延伸・熱処理することにより、ステレオコンプレックスを形成させたポリ乳酸繊維を得る方法が記載されている。しかし、多段延伸を行うものでは最終熱処理温度が180℃と高く、ステレオコンプレックスの形成が不充分なままPLLAあるいはPDLAの融点以上で熱処理されるため、繊維が部分融解し得られる繊維が粗硬化するという問題があった。また、この部分融解のため、多段延伸をしても繊維の強度は3.7cN/dtexが上限であり、産業用途には強度が不足するという問題があった。さらに、紡糸温度が260℃と高すぎるため、紡糸過程でのポリ乳酸の分解が著しく、分解ガスによる作業環境の悪化や繊維の低強度化を引き起こすといった問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐熱性と強度、風合いを有するポリ乳酸繊維の効率的な製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を溶融紡糸し、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させることを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法により達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリ乳酸とは乳酸やその2量体、オリゴマーを重合したものを言い、L体あるいはD体の光学純度は90%以上であると、融点が高く好ましい。従って、PLLAとはL体光学純度90%以上からなるポリ乳酸を指し、PDLAとはD体純度90%以上からなるポリ乳酸を示す。また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、ポリ乳酸以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有していても良い。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマー中の乳酸モノマー量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、ポリ乳酸ポリマーの分子量は、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良く好ましい。
【0010】
PLLAとPDLAのブレンド方法は特に制限は無いが、例えば、押し出し混練機等を使用して紡糸前にあらかじめブレンドチップを作製する方法(ブレンド法1)、紡糸機に接続された押し出し混練機でブレンドする方法(ブレンド法2)、ポリマー配管内やパック内に設けた静止混練器を用いてブレンドする方法(ブレンド法3)を挙げることができる。このうち、ブレンド法2および3の方法のような紡糸工程でPLLAとPDLAのブレンドを行うことが好ましい。また、ブレンドの際の温度は200〜250℃とするとポリ乳酸の分解を抑制でき好ましい。
【0011】
そして、本願ではPLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡糸することが重要である。これにより、従来の溶液紡糸の問題点を解決することができるのである。
【0012】
本発明の第1の方法は、PLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡糸し、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させることを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法であるが、ここで、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させることが重要である。
【0013】
従来のステレオコンプレックスの形成方法は、単にPLLAとPDLAのブレンド物を紡糸して得られる結晶化していない未延伸糸を延伸・熱処理するものであるが、ステレオコンプレックスを充分成長させるためには、PLLAあるいはPDLA単独の融点以上の温度で熱処理をすることが必要であり、このため熱処理工程で糸の部分融解が発生し、糸が粗硬化したり低強度化する問題があった。このことは、繊維学会予稿集、F-133(1989)に示唆されている。すなわち、該文献には、未延伸糸の広角X線回折(WAXD)からは結晶化が認められず、当然ステレオコンプレックスも形成していないことが示されているが、熱分析では225℃付近にステレオコンプレックスの融解ピークが観測されたことが記載されている。これより、ステレオコンプレックス形成のためには180〜225℃での熱処理が必要であるとしている。すなわち、これは、熱分析の昇温過程で一旦PLLAおよびPDLAが単独で結晶化(90℃付近)した後、180℃付近でそれが融解、再結晶化することでステレオコンプレックスが形成し、それが225℃付近で融解したものと解釈される。
【0014】
このように、未延伸糸(固体)を延伸・高温熱処理する従来の方法では必ずPLLAおよびPDLAの単独での融解が発生してしまう。そこで、発明者らは発想を全く転換し、溶融体から一気にステレオコンプレックスを形成することを着想したのである。そして、鋭意検討の結果、口金から吐出した溶融体から紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させると、糸の部分融解による問題点を解決できることを見いだしたのである。
【0015】
紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させる方法として、高速紡糸を利用することが重要である。具体的な紡糸速度はポリ乳酸の分子量や粘度、単糸繊度、フィラメント数、糸の横断面形状、紡糸温度、冷却条件等により調整が必要であるが、ポリ乳酸の重量平均分子量が10〜25万、単糸繊度が2〜10dtex、フィラメント数が1〜48フィラメント、糸の断面が丸断面、紡糸温度が200〜250℃の場合は、通常、4000〜12000m/分程度とすることが重要である。紡糸速度は、より好ましくは4000〜7000m/分である。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量が高分子量、単糸繊度が細繊度、糸の横断面の異形度が高い、紡糸温度が低い、冷却が強烈なほど紡糸速度は低速度化することが好ましい。
【0016】
また、PLLAの重量平均分子量とPDLAの重量平均分子量は異なる方がステレオコンプレックスを形成しやすく、具体的には重量平均分子量の比(どちらが高分子量でも良い)は1.5〜20の範囲とすることが好ましい。また、PLLAとPDLAのブレンド比は30:70〜70:30であればステレオコンプレックスを効率的に形成するが、45:55〜55:45であることが好ましい。
【0017】
さらに、PLLAとPDLAが微分散している方がステレオコンプレックスを形成し易いため、押し出し混練機だけでなく、静止混練器や金属不織布フィルター等を併用してPLLAとPDLAを微分散させておくことが好ましい。
【0018】
また、本発明ではポリ乳酸の熱分解を最小に抑えるために、溶融混練や紡糸の温度を200〜250℃の範囲とすることが好ましい。これにより、混練や紡糸の際の分解ガスの発生を抑えることができ、作業環境を著しく改善できるのである。さらに、ポリ乳酸の分子量低下が抑制されるため、糸の強度低下も大幅に抑制できるのである。溶融混練や紡糸の温度は、より好ましくは220〜240℃である。
【0019】
また、高速紡糸では高速で糸が走るため随伴気流の影響が紡糸速度2000m/分以下の低速紡糸の場合よりもはるかに大きくなる。このため、集束給油ガイドの位置は口金下1.4〜3.0mとすると糸の冷却も充分進み、随伴気流による糸揺れも抑制できるため好ましい。また、これにより糸の太さ斑の指標であるウースター斑を2%以下とすることもできるのである。このため、染色斑や糸の加工斑を抑制することができるのである。
【0020】
なお、ポリ乳酸繊維は摩擦係数が高いため、高速紡糸工程、仮撚加工や流体加工のような糸加工工程、ビーミング、製織、製編のような製布工程での毛羽が発生し易いという問題がある。このため、繊維用油剤としては、ポリエーテル主体のものを避け、脂肪酸エステルや鉱物油等の平滑剤を主体とするものを用いると、ポリ乳酸繊維の摩擦係数を低下させることができ、上記工程での毛羽を大幅に抑制でき、好ましい。
【0021】
本発明で得られるポリ乳酸繊維のSC率は15%以上であれば、優れた耐熱性を示すが、好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは50%以上とすることがよい。ここで、SC率とは、繊維全体に対するステレオコンプレックスの形成度合いを示す指標であり、広角X線回折におけるステレオコンプレックス結晶に由来するピーク強度(ISC)から下記式により求めることができる。
【0022】
SC率(%)=ISC/ISC 0×100(%)
SC 0:ステレオコンプレックス100%の結晶を生成しているサンプルのピーク強度(ISC ref)を測定し、そのX線強度をサンプルの結晶化度(χref)で規格化した。
【0023】
SC 0=ISC ref/χref
ここで、繊維全体に対するステレオコンプレックスの形成度合いを広角X線回折から求めたSC率により判断するのは以下の理由からである。従来、示差走査熱量計(DSC)の測定を行い、その融解ピーク温度と融解熱量でステレオコンプレックスの形成を判断しているものもあるが、これではDSC測定前のバージンサンプルがステレオコンプレックスを形成しているかどうかを必ずしも確認できるわけではない。というのは、DSCはサンプルが融解するまで加熱する一種の破壊試験であり、DSCの昇温過程では一旦サンプルが融解し、それが再結晶化することが起こっており、それが最終的に融解するところが融解ピークとして観測されるものである。このことは、前述したように繊維学会予稿集、F-133(1989)に示唆されている。このため、バージンサンプルのステレオコンプレックス量の定量にはDSCは不向きであり、非破壊試験である広角X線回折を利用することが重要なのである。
【0024】
実際、PLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡糸、延伸、熱セットして得たポリ乳酸繊維のDSCと広角X線回折を測定してみたところ、DSCからは220℃付近に大きな融解ピークが観測されステレオコンプレックスが形成されているように見えるが、広角X線回折ではステレオコンプレックスに由来するピークはほとんど観測されなかった。これは、上記したようにDSC測定過程でステレオコンプレックスが形成されたのであって、実際には元の繊維(バージンサンプル)ではステレオコンプレックスはほとんど形成していなかったのである(参考例3を参照)。
【0025】
次に、本発明の第2の方法について詳述する。これは、PLLAとPDLAのブレンド物を溶融紡糸し、紡糸線上でポリ乳酸を結晶化させた繊維を延伸した後、150℃以上で熱処理することを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法である。
【0026】
まず、溶融紡糸された繊維を、紡糸線上で結晶化させることが重要である。このように結晶化した未延伸糸を用いることにより、延伸での工程安定性が格段に向上するのである。さらに、延伸・熱処理工程でのステレオコンプレックスが形成あるいは成長し易くなるのである。さらに、紡糸線上でステレオコンプレックスが形成された未延伸糸を用いると、既に従来のPLLA/PDLAブレンド未延伸糸に比べ耐熱性が大幅に向上しているため、延伸温度、熱セット温度を高くしても部分融解がほとんど無く、好ましい。特に、SC率が20%以上の未延伸糸を用いた場合、延伸温度を150℃以上、熱処理温度を170℃以上とすることも可能であり、ステレオコンプレックスをいっそう成長させることができ、好ましい。なお、ポリ乳酸を紡糸線上で結晶化させるためには、前記したように高速紡糸とすることが重要である
【0027】
次に、このような未延伸糸を延伸・熱処理する際、150℃以上で熱処理することが重要である。熱処理温度は170℃以上とすると、さらにステレオコンプレックスが成長させ易く好ましい。これにより、得られるポリ乳酸繊維の耐熱性を大幅に向上できるのみならず、強度を向上することができ、さらに沸収も大幅に低下させられ、繊維の寸法安定性を大幅に向上させることができる。これは、特に産業資材用途では重要である。
【0028】
また、延伸温度は90〜170℃程度を採用することができるが、130℃以上の高温延伸とすると大幅な高倍率延伸が可能となり、糸強度を向上させやすく好ましい。なお、130℃という高温延伸は高速紡糸により結晶化した未延伸糸を用いることで初めて可能になるものであり、紡糸速度1000m/分程度の低速紡糸による結晶化していない未延伸糸では、予熱ローラー上での糸揺れや融着が発生し実質的に高温延伸は不可能なのである。
【0029】
このようにして得られたステレオコンプレックスが形成されたポリ乳酸延伸糸は、SC率が50%を超えることも可能であり耐熱性、機械的特性に非常に優れたものとできる。ポリ乳酸延伸糸のSC率は15%以上であれば、優れた耐熱性を示すが、好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは50%以上とすることがよい。
【0030】
また、ポリ乳酸繊維を繊維製品にする際の工程通過性や製品の力学的強度を充分高く保つためには、本発明のポリ乳酸繊維の室温での強度は3.0cN/dtex以上とすることが好ましい。産業用途に適用することを考えると、室温での強度はより好ましくは5.0cN/dtex以上である。また、本発明のポリ乳酸繊維の室温での伸度は10〜70%であると、ポリ乳酸繊維を繊維製品にする際の工程通過性が向上し、好ましい。
【0031】
なお、本発明の第2の製造方法で得られるポリ乳酸繊維では、高温での力学特性を著しく向上させることができる利点もある。ここで、高温での力学特性とは90℃での強度をいうものであるが、通常の方法により得られるポリ乳酸繊維では、90℃での力学特性が著しく低く0.4cN/dtex程度であるが、本発明の第2の製造方法で得られるポリ乳酸繊維では90℃での強度を0.8cN/dtex以上とすることができ、場合によっては1.5cN/dtex超とすることも可能である。これは、高速紡糸により生成した繊維構造を再延伸により破壊しながら再構築することで、従来のポリ乳酸繊維や高速紡糸しただけの未延伸糸とも異なる構造が発現していると考えられる。
【0032】
また、本発明の製造方法で得られるポリ乳酸繊維では、沸収を0〜6%と低収縮化することも可能であり、繊維および繊維製品の寸法安定性が良く好ましい。
【0033】
なお、本発明のポリ乳酸繊維は仮撚加工や機械捲縮、あるいは押し込み捲縮等の糸加工用の原糸とすることもできる。また、長繊維のみならず短繊維およびそれを用いた紡績糸とすることも可能である。
【0034】
本発明の耐熱性に優れたポリ乳酸繊維は、織物、編物、不織布、カップ等の成形品等の様々な繊維製品の形態を採ることができる。
【0035】
本発明の耐熱性に優れたポリ乳酸繊維は、シャツやブルゾン、パンツ、コートといった衣料用途、カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペット、マット、家具等のインテリア用途、さらにベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材用途、車両内装用途にも好適に用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0037】
A.ポリ乳酸の重量平均分子量
試料のクロロホルム溶液にTHF(テトロヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
【0038】
B.室温での強度および伸度
室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
【0039】
C.90℃での強度
測定温度90℃で、上記Bと同様に強伸度曲線を求め、最大点荷重値を初期の繊度で割り90℃での強度とした。
【0040】
D.沸収
沸収(%)=[(L0−L1)/L0)]×100(%)
L0:延伸糸をかせ取りし、初荷重0.09cN/dtex下で測定したかせの原長
L1:L0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex下でのかせ長
E.融点(Tm
PERKIN ELMER社製DSC-7を用いて1st runで融点(Tm)を測定した。
【0041】
装置 : PERKIN ELMER社製DSC-7
測定範囲 : 25〜250℃
温度較正 : 純水、高純度スズの融点
熱量較正 : インジウムの融点
昇温速度 : 16℃/分
試料重量 : 10mg
参照側試料 : 空容器
試料容器 : アルミニウム製開放型容器
F.SC率
理学電機社製4036A2型X線回折装置を用い、以下の条件で赤道線方向の回折強度を測定した。
【0042】
X線源 : Cu−Kα線(Niフィルター)
出力 : 40kV×20mA
スリット : 2mmφ−1゜−1゜
検出器 : シンチレーションカウンター
計数記録装置 : 理学電機社製RAD-C型
ステップスキャン : 0.05゜ステップ
積算時間 : 2秒
サンプルプレパレーション : 長さ4cm、重量20mgに調整し、コロジオン・エタノール溶液で固めた
そして、赤道線においてθ=12.0°付近に観測されるステレオコンプレックス結晶の(100)面に由来するピーク強度(ISC)から下記式によりSC率を求めた。なお、ISCは図2に示すように、バックグラウンドや非晶による散漫散乱を差し引いた後のX線強度とした。
【0043】
SC率(%)=ISC/ISC 0×100(%)
SC 0:ステレオコンプレックス100%の結晶を生成しているサンプルのピーク強度(ISC ref)を測定し、そのX線強度をサンプルの結晶化度(χref)で規格化した。
【0044】
SC 0=ISC ref/χref
実際のISC 0の見積もりは参考例1,2および図2に詳述したが、ISC ref=18000cps、χref=0.60よりISC 0=30000cpsとした。
【0045】
G.結晶化度(χ)
TA Instruments社製DSC2920により1st runで通常のDSCサーモグラムを測定し、融解熱量と冷結晶化熱量の差(ΔH)を求め、平衡融解熱量(H0)を93.6J/gとして、下記式から結晶化度(χ)を求めた。
また、ガラス転移、エンタルピー緩和、冷結晶化ピークが重なっている場合は、温度変調DSCを併用してDSCサーモグラムのベースライを適切に決めた。
【0046】
χ=ΔH/H0
通常のDSCサーモグラム測定条件
装置 : TA Instruments社製DSC2920
測定範囲 : 0〜250℃
温度較正 : 純水、高純度スズの融点
熱量較正 : インジウムの融点
昇温速度 : 10℃/分
試料重量 : 10mg
参照側試料 : 空容器
試料容器 : アルミニウム製開放型容器
温度変調DSC測定条件
装置 : TA Instruments社製DSC2920
測定範囲 : 0〜200℃
温度較正 : 純水、高純度スズの融点
昇温速度 : 2℃/分
温度変調振幅: ±1℃
温度変調周期: 60秒
試料重量 : 5mg
参照側試料 : 空容器
試料容器 : アルミニウム製開放型容器
H.糸の融着、粗硬化
得られた糸の表面状態を目視、手触りで観察し、融着、粗硬化を評価した。そして、△以上を合格とした。
【0047】
○:融着、粗硬化ともに無し
△:目視でわかる融着は無いものの若干粗硬化
×:糸一部融着し、粗硬化
I.ウースター斑(U%)
Zellweger uster社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分、ノーマルモードで測定した。
【0048】
J.CR値
捲縮糸をかせ取りし、実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中15分間処理し、24時間風乾した。このサンプルに0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重をかけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L’0を測定した。次に、水中で0.088cN/dtex相当のかせを除き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重に交換し、2分後のかせ長L’1を測定した。そして下式によりCR値を計算した。
【0049】
CR(%)=[(L’0−L’1)/L’0]×100(%)
参考例1
光学純度99.5%のL乳酸からなるラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)存在させてチッソ雰囲気下180℃で180分間重合を行った。得られたPLLAの重量平均分子量は19万、光学純度は99%L乳酸であった。このPLLAチップをホッパー1に投入し、2軸押し出し混練機2で240℃で溶融した後、紡糸機に導き、240℃で溶融紡糸し、チムニー6により25℃の冷却風で糸を冷却固化させた後、集束給油ガイド8により脂肪酸エステルを主体とする繊維用油剤を塗布し、交絡ガイド9により糸に交絡を付与した(図5)。そして非加熱の第1引き取りローラー10で3000m/分で引き取った後、やはり非加熱の第2引き取りローラー11を介して未延伸糸巻き取った。これを第1ホットローラー14温度(延伸温度)90℃、第2ホットローラー15温度(熱セット温度)130℃、第1ホットローラーと第2ホットローラーの周速比(延伸倍率)1.45倍として延伸・熱処理を行い(図6)、122dtex、36フィラメントの延伸糸17を得た。
【0050】
この糸の広角X線回折(WAXD)を測定したところ、θ=16.6°付近のホモPLLAのα晶に起因する大きなピークが観測されたが、ステレオコンプレックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピークは全く観測されなかった(図2)。これをSC率=0%の標準サンプルとした。
【0051】
参考例2
光学純度99.5%のD乳酸からなるラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)存在させてチッソ雰囲気下180℃で100分間重合を行った。得られたPDLAの重量平均分子量は10万、光学純度は99%D乳酸であった。これと参考例1で得たPLLAチップとをホッパー1に投入し、2軸押し出し混練機2で240℃でブレンドした。これを直接紡糸機に導き、紡糸パック3内に設けた静止混練器4(東レエンジニアリング社製“ハイミキサー”10段)でPLLAとPDLAをさらに細かく分散させた。このPLLAとPDLAのブレンド物を240℃で溶融紡糸し、チムニー6により25℃の冷却風で糸を冷却固化させた後、集束給油ガイド8により脂肪酸エステルを主体とする繊維用油剤を塗布し、交絡ガイド9により糸に交絡を付与した(図5)。そして非加熱の第1引き取りローラー10で3000m/分で引き取った後、やはり非加熱の第2引き取りローラー11を介して未延伸糸巻き取った。これを第1ホットローラー14温度90℃、第2ホットローラー15温度130℃、第3ホットローラー18温度180℃、第1ホットローラーと第2ホットローラーの周速比を1.45倍、第2ホットローラーと第3ホットローラーの周速比を1.20倍として延伸・熱処理を行い(図7)、92dtex、36フィラメントの延伸糸17を得た。
【0052】
この糸のWAXDを測定したところ、θ=16.6°付近のホモポリ乳酸のα晶に起因するピークがほぼ消失し、ステレオコンプレックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピークが大きく成長していた。これより、この糸ではポリ乳酸結晶は、ほぼ100%ステレオコンプレックス化していると判断できる。これをSC率=100%の標準サンプルとした。そして、図2に示したように散漫散乱を差し引いた後のステレオコンプレックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピーク強度(ISC ref)は18000cpsであった。
また、これの結晶化度(χref)は0.60であり、これらより、ISC 0は30000cpsとした。
【0053】
なお、この糸は第3ホットローラー18温度がホモポリ乳酸の融点以上であったため、顕著な糸の融着が発生し、室温強度も1.4cN/dtexと低いものであった。
【0054】
参考例3
静止混練器を使用しないで参考例2と同様に溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。これに参考例1と同様に延伸温度90℃、熱セット温度130℃、延伸倍率1.45倍で延伸・熱処理を施し、122dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったところ、θ=16.6°付近のホモポリ乳酸のα晶に起因する大きなピークが観測されたが、ステレオコンプレックス結晶に起因するθ=12.0°付近のピークは小さく(図3)、SC率はわずか3%と見積もられた。これより、この糸ではステレオコンプレックスはほとんど形成されていないと判断できる。次に、これのDSC測定を行ったところ1st runで、170℃付近に観測される通常のホモポリ乳酸の融解ピークは小さいものであったが、220℃付近にステレオコンプレックスの大きな融解ピークが観測された(図4)。すなわち、DSCからは見かけ上、延伸糸にステレオコンプレックスが大量に形成されているように見えるが、実際には、これはDSC昇温過程でホモポリ乳酸結晶(α晶)が融解、再結晶する際にステレオコンプレックス化したと解釈できる。
【0055】
実施例1〜3
参考例1で得たPLLAチップと参考例2で得たPDLAチップとをホッパー1に投入し、2軸押し出し混練機2で240℃でブレンドした(分子量比=1.9)。これを直接紡糸機に導き、紡糸パック3内に設けた静止混練器4(東レエンジニアリング社製“ハイミキサー”10段)に通し、さらに絶対濾過径15μmの金属不織布に通してPLLAとPDLAをさらに細かく分散させた。このPLLAとPDLAのブレンド物を240℃で、吐出量88g/分、丸孔(0.35mmφ)、36ホールの口金5から溶融紡糸し、長さ1mのチムニー6により25℃の冷却風で糸を冷却固化させた後、口金下1.8mに設置した集束給油ガイド8により脂肪酸エステルを主体とする繊維用油剤を塗布し、交絡ガイド9により糸に交絡を付与した(図5)。その後、紡糸速度を表1のように変更して非加熱の第1引き取りローラー10で糸条を引き取った後、非加熱の第2引き取りローラー11を介して未延伸糸12を巻き取った。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
【0056】
比較例1、2
紡糸速度を表1のように変更した以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行ったが、未延伸糸は結晶化しておらず、ステレオコンプレックスも形成されていなかった。これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地に大きな穴があいてしまった。
【0057】
【表1】
Figure 0003966043
実施例4〜7
重合時間を変更して参考例1、2と同様にポリ乳酸の重合を行い、表2記載のようなPLLA(光学純度99%L乳酸)およびPDLA(光学純度99%D乳酸)を得た。そして、ブレンド比(チップの仕込量比)、混練温度、紡糸温度を表2のように変更し、実施例2と同様に紡糸速度6000m/分で溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
【0058】
実施例8
静止混練器を使用しないで実施例7と同様に溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、問題となるほどではないが若干布帛が粗硬化した。
【0059】
比較例3
静止混練器を使用しないで実施例1と同様に紡糸速度4000m/分で溶融紡糸を行い、未延伸糸を得た。これのWAXD測定を行ったところ、結晶化はしていたもののステレオコンプレックスは形成されていなかった。これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地に大きな穴があいてしまった。
【0060】
【表2】
Figure 0003966043
実施例9〜13
実施例2で得られた未延伸糸に図6の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。なお、図1に実施例9で得られた繊維の赤道線方向のWAXDパターンを示す。
【0061】
実施例14、15
紡糸速度を4000m/分として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、結晶化したSC率=10%の未延伸糸を得た。これに未延伸糸に図6の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、実施例14では編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示したが、実施例15では問題となるほどではないが、若干布帛の粗硬化が生じた。
【0062】
実施例16
実施例2で得られた未延伸糸に図7の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延伸)。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
【0063】
実施例17、18
実施例14で得られた未延伸糸に図7の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延伸)。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着や粗硬感も無いものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、編み地の破れ、粗硬化とも無く充分な耐熱性を示した。
【0064】
実施例19
静止混練器を使用しないで実施例14と同様に紡糸速度4000m/分で溶融紡糸を行い、結晶化してはいるがSC率=0%の未延伸糸を得た。これにに図7の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施した(2段延伸)。これのWAXD測定を行ったところステレオコンプレックスの生成が確認された。また、この糸は単糸間の融着は観察されないものの、問題となるほどではないが若干糸に粗硬感があるものであった。さらに、これの筒編みを作製し170℃でアイロンを当てたが、問題となるほどではないが、若干布帛の粗硬化を生じた。
【0065】
比較例4〜6
重合時間を変更して参考例1、2と同様にポリ乳酸の重合を行い、重量平均分子量15万のPLLA(光学純度99%L乳酸)および重量平均分子量30万のPDLA(光学純度99%D乳酸)を得た。このPLLAとPDLAを用い、2軸混練押し出し機により、一旦予備混練チップを作製した。これを紡糸温度260℃とし、静止混練器を用いないで、紡糸速度1000m/分で実施例1と同様に溶融紡糸し、結晶化していない未延伸糸を得た。これに図6あるいは図7の装置を用い、表3に示す条件で延伸・熱処理を施し、延伸糸を得た。しかし、比較例4では未延伸糸がステレオコンプレックスを形成していなかったにも関わらず、熱処理温度が高すぎたため、糸が融着し、粗硬化したものであり、強度も低いものであった。また、比較例5も同様に最終熱処理温度が高すぎたため、糸が部分的に融着し、粗硬化したものであった。また、比較例6では未延伸糸が結晶化していなかったにも関わらず、第1ホットローラー14の温度が高すぎたため、第1ホットローラー14上での糸揺れが激しく、また糸が融着したため、延伸不能であった。
【0066】
比較例7
紡糸速度を3000m/分として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、結晶化していない未延伸糸を得た。これに図6の装置を用いて表3に示す条件で延伸・熱処理を施した。しかし、熱処理温度が低いため得られた延伸糸でのステレオコンプレックスがほとんど形成されていなかった。
【0067】
実施例22
実施例14で得られた未延伸糸に図6の装置を用いて表3に示す条件で延伸・熱処理を施した。しかし、熱処理温度が低いため得られた延伸糸でのステレオコンプレックスがほとんど形成されていなかった。
【0068】
【表3】
Figure 0003966043
【0069】
【表4】
Figure 0003966043
【0071】
実施例21
実施例2および13で得られた繊維に、図8記載の延伸仮撚装置を用いて延伸仮撚を施した。この時、ヒーター20温度は170℃とし、仮撚回転子22としては3軸ウレタンディスクツイスターを用いた。延伸倍率は実施例2の糸を用いた場合は1.30、実施例13の糸を用いた場合は1.20とした。得られた仮撚加工糸の物性はそれぞれCR=33%、沸収=3%、CR=30%、沸収=4%と充分な捲縮特性および寸法安定性を示した。そして、得られた仮撚加工糸を経糸および緯糸に用いて2/2ツイルを製織し、常法にしたがい布帛を染色および仕上げ加工して目付150g/m2の生地を得た。そしてこの生地を縫製し、カーテンレールを用いる片開きカーテンを作製した。これを1年間使用したが、毛玉の発生等は無く優れた耐久性を示した。
【0074】
【発明の効果】
本発明の耐熱性に優れたポリ乳酸繊維を使用することにより、最終製品や加工工程での耐熱性の問題点を解決でき、ポリ乳酸繊維の用途展開を大きく拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9の広角X線回折パターン(赤道線方向)を示す図である。
【図2】参考例1および2の広角X線回折パターン(赤道線方向)を示す図である。
【図3】参考例3の広角X線回折パターン(赤道線方向)を示す図である。
【図4】参考例3のDSCサーモグラムを示す図である。
【図5】紡糸装置を示す図である。
【図6】延伸装置を示す図である。
【図7】延伸装置を示す図である。
【図8】延伸仮撚装置を示す図である。
【符号の説明】
1:ホッパー
2:押し出し混練機
3:紡糸パック
4:静止混練器
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:交絡ガイド
10:第1引き取りローラー
11:第2引き取りローラー
12:未延伸糸
13:フィードローラー
14:第1ホットローラー
15:第2ホットローラー
16:デリバリーーローラー
17:延伸糸
18:第3ホットローラー
19:フィードローラー
20:ヒーター
21:冷却板
22:仮撚回転子
23:延伸ローラー
24:セカンドヒーター
25:デリバリーローラー
26:仮撚加工糸

Claims (7)

  1. ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を紡糸速度4000〜12000m/分で溶融紡糸し、紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させることを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法(なお、ステレオコンプレックスは、広角X線回折により観測されるものであることとする)。
  2. ポリL乳酸の重量平均分子量とポリD乳酸の重量平均分子量の比が1.5〜20であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸繊維の製造方法。
  3. ポリL乳酸とポリD乳酸を静止混練器および/または金属不織布フィルターでブレンドすることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸繊維の製造方法。
  4. 紡糸温度が200〜250℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のポリ乳酸繊維の製造方法。
  5. ポリL乳酸とポリD乳酸のブレンド物を紡糸速度4000〜12000m/分で溶融紡糸、紡糸線上でポリ乳酸を結晶化させた繊維を延伸した後、150℃以上で熱処理することを特徴とする耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法(なお、結晶化の確認は、広角X線回折により観測されるものであることとする)。
  6. 紡糸線上でステレオコンプレックスを形成させることを特徴とする請求項記載のポリ乳酸繊維の製造方法(なお、ステレオコンプレックスは、広角X線回折により観測されるものであることとする)。
  7. 延伸温度が130℃以上であることを特徴とする請求項または記載のポリ乳酸繊維の製造方法。
JP2002096922A 2002-03-29 2002-03-29 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法 Expired - Fee Related JP3966043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002096922A JP3966043B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002096922A JP3966043B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003293220A JP2003293220A (ja) 2003-10-15
JP3966043B2 true JP3966043B2 (ja) 2007-08-29

Family

ID=29239733

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002096922A Expired - Fee Related JP3966043B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3966043B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4525082B2 (ja) * 2004-01-19 2010-08-18 東レ株式会社 ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法
JP2006111744A (ja) * 2004-10-15 2006-04-27 Mitsui Chemicals Inc 樹脂組成物
JP4655678B2 (ja) * 2005-02-28 2011-03-23 東レ株式会社 ステレオコンプレックス成形物の製造方法
JP4788171B2 (ja) * 2005-03-29 2011-10-05 東レ株式会社 衛生用品用布帛
JP5166698B2 (ja) * 2006-01-18 2013-03-21 帝人化成株式会社 押出成形用シートの原料として用いるペレットの製造方法
EP1983030B1 (en) 2006-01-18 2014-10-15 Teijin Chemicals, Ltd. Resin composition, molded article and their production methods
JP2007231480A (ja) * 2006-03-03 2007-09-13 Institute Of Physical & Chemical Research ステレオコンプレックス構造を有するポリ乳酸繊維およびその製造方法
JP2008063356A (ja) * 2006-09-04 2008-03-21 Teijin Ltd 樹脂組成物の製造方法
JP2008063357A (ja) * 2006-09-04 2008-03-21 Teijin Ltd 樹脂組成物および成形品
CA2662400C (en) 2006-09-04 2014-03-11 Teijin Limited Polylactic acid fiber and manufacturing method thereof
WO2008123565A1 (ja) 2007-03-30 2008-10-16 Teijin Limited ポリ乳酸組成物およびそれよりなる繊維
TW200909512A (en) 2007-03-30 2009-03-01 Teijin Ltd Polylactic acid composition and fiber composed of the same
JP2009030217A (ja) * 2007-07-04 2009-02-12 Teijin Fibers Ltd 染色された布帛の製造方法および布帛および車両内装材
JP5038920B2 (ja) * 2008-01-22 2012-10-03 帝人ファイバー株式会社 吸水性ポリ乳酸繊維構造体の製造方法および吸水性ポリ乳酸繊維構造体および繊維製品
JP2009191411A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Teijin Fibers Ltd ポリ乳酸撚糸糸条および布帛および繊維製品
PL2135887T3 (pl) 2008-06-18 2011-05-31 Inst Biopolimerow I Wlokien Chemicznych Sposób wytwarzania stereokompleksu polikwasu mlekowego w postaci proszku
JP5466886B2 (ja) * 2009-06-10 2014-04-09 オンキヨー株式会社 スピーカー用振動板およびこれを用いたスピーカー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003293220A (ja) 2003-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7989061B2 (en) Polylactic acid resin, textile products obtained therefrom, and processes for producing textile products
JP3966043B2 (ja) 耐熱性に優れたポリ乳酸繊維の製造方法
KR100901325B1 (ko) 폴리유산 섬유
WO2014204313A1 (en) Process for the preparation of a fiber, a fiber and a yarn made from such a fiber
JP3893995B2 (ja) 樹脂組成物および成形体
JP3982305B2 (ja) 耐加水分解性に優れたポリ乳酸繊維
JP2008106410A (ja) 捲縮糸およびそれらを用いてなる繊維構造体
JP2003171536A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4151295B2 (ja) ポリ乳酸繊維の製造方法
JP4729819B2 (ja) 高温力学特性に優れたポリ乳酸繊維
JP4003506B2 (ja) 31らせん構造を有するポリ乳酸繊維
JP3925275B2 (ja) 耐熱性に優れたポリ乳酸捲縮糸およびその製造方法
JP4487973B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
TW201734273A (zh) 吸濕性及防皺性優異之芯鞘複合斷面纖維
JP4604797B2 (ja) ポリ乳酸繊維パッケージ、および製造方法
JP4483956B2 (ja) ポリ乳酸繊維の製造方法
CA2849238A1 (en) Poly(trimethylene arylate) fibers, process for preparing, and fabric prepared therefrom
JP4729832B2 (ja) 高温力学特性に優れたポリ乳酸捲縮糸
US20260085467A1 (en) Polyhydroxyalkanoate-based fabric and articles comprising the same
US20260085452A1 (en) Relaxed polyhydroxyalkanoate fiber and fabric and article comprising the same
US20260085451A1 (en) Method of making polyhydroxyalkanoate yarn and fabric and article comprising the same
JPH01174611A (ja) 抗ピル性ポリエステル繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070508

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070521

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140608

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees