JP3967596B2 - 合成樹脂水性分散体 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、樹脂水性分散体、とくに塗料,接着剤,粘着剤および繊維加工処 理剤に有用な合成樹脂水性分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から樹脂水分散体は幅広い分野で使用されており、高濃度でなおかつ低 粘度の樹脂水性分散体が望まれている。これらを製造する方法として、特開平 8−120042号公報には水分散体中の粒子径分布の中央値を1〜10μm とし、従来よりも大粒子化して低粘度化する方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では得られる水性分散体の保存安定性が悪く、乾燥時の造膜性が劣るなどの問題を有するものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決しうる合成樹脂分散体を得るべく検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、樹脂(A1)および他の樹脂(A2)からなる樹脂の粒子からなる水性分散体であって、(A1)が、ポリアミンをNCO−末端ウレタンプレポリマーの水性分散体に加えて該プレポリマーを鎖伸長させて得られる、ポリウレタン樹脂であり、(A2)がポリエステル樹脂(E)もしくは、ウレタンプレポリマーを(A1)の水性分散体中に導入し、分散させると同時もしくはその後に水による鎖伸長反応をさせるか、又は鎖伸長剤を添加して鎖伸長反応させることにより変換されたポリウレタン樹脂であり;該粒子は、粒子径分布曲線において、少なくとも2つの山形を有し;該山形のうちの少なくとも1つの山形はポリウレタン樹脂の粒子からなり、他の少なくとも1つの山形はポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂からなる樹脂の粒子からなり;該水性分散体は、下記(i)を満たすことを特徴とする、分散体:
(i)粒子径分布曲線において、ピーク高さが最高のピークと2番目のピークのうちの粒子径が大きい方のピーク(P1)と粒子径が小さい方のピーク(P2)は、2/1〜100/1の範囲内の(P1)のピークトップ粒子径/(P2)のピークトップ粒子径の比、および1/1〜10/1の範囲内の(P1)の高さ/(P2)の高さの比を与え、(P1)と(P2)の双方が0.1〜150%のピークの変動係数、−10〜10の歪度および0〜10の突度を有すること;
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの態様において、上記要件(i)を満たす樹脂水性分散体[以下水性分散体(I)と言う]は、以下に述べる特定の粒子径分布曲線を有する。
粒子径分布曲線は、粒子径の重量分布を光子相関法または超音波測定法により常温で測定することにより作成される、粒子径を横軸とし散乱強度を縦軸と するヒストグラム形式の粒子径分布曲線である。測定に用いる装置としては、光子相関法には大塚電子社製「ELS−2000」、超音波測定法には日本ルフト社製「DT−1200」を用いることができる。サブミクロン領域での分解能が良好であるという点で好ましい測定法は光子相関法である。
【0006】
樹脂水性分散体(I)は、粒子径分布曲線において、より高濃度かつ低粘度の水性分散体を与える点で、好ましくは2〜8個、さらに好ましくは2〜4個とくに2個の山形を有する。
粒子径分布曲線において、高さが最高のピークと2番目のピークのうちの粒子径が大きい方のピーク(P1)と粒子径が小さい方のピーク(P2)において、(P1)の粒子径と、(P2)の粒子径の比は、光子相関法においても超音波測定法においても、好ましくは2/1〜100/1、さらに好ましくは2.2/1〜20/1、特に好ましくは2.5/1 〜15/1である。この比が少なくとも2/1であれば高濃度でも低粘度を保つ傾向にあり、この比が100/1を越えない範囲であれば保存安定性が良くなる傾向にある。また、(P1)と(P2)は、少なくとも1/1(好ましくは少なくとも1.5/1とくに少なくとも1.8/1)の(P1)の高さ/(P2)の高さの比を有し、それにより良好な保存安定性を与え;多くとも10/1(とくに多くとも5/1)の(P1)の高さ/P2)の高さの比を有し、それにより高濃度でも低粘度を保つことが可能となる。
【0007】
(P1)を含む山形および(P2)を含む山形は、通常0.1〜150%(好ましくは1〜100%とくに15〜70%)の山形の変動係数、−10〜10(好ましくは−5〜5とくに0〜2)の山形の歪度および0〜10(好ましくは0.5〜10とくに1〜5)の山形の突度を有し、それにより低粘度の水性分散体を与える。山形の変動係数、歪度および突度は、それぞれ下記の式(2),(3)および(4)で算出される。
【0008】
【化1】
Figure 0003967596
【0009】
式中、Xiは各粒子径における散乱強度、Xは各粒子径における散乱強度の平均値、(Xi−X)は各粒子径における散乱強度の平均値からのズレの大きさ(偏差と呼ばれる)、nは山形の範囲内の粒子径のデータの数、n−1は統計学的に定義される自由度、sは山形の粒子径分布の標準偏差を表わし、標準偏差とは粒子径分布における平均粒子径からの散らばりの程度を表す。
変動係数は、上記標準偏差と、平均粒子径との比であり、平均値に対するバラツキの相対的な大きさを表しており、通常は%で表される。歪度は、粒子径分布の非対称性を表す量であり、左右対称であれば歪度は0となる。突度は、粒子径分布の尖り具合を表す量であり、裾を長く引いて中央が痩せて尖った分布では尖度は大きくなる。
【0010】
【化2】
Figure 0003967596
【0014】
本発明の水性分散体(I)は、通常30〜80%、好ましくは50〜75%、さらに好ましくは60〜70%の濃度を有する。
本発明の水性分散体の粘度(25℃)は、濃度により異なるが、濃度65%のときには通常10〜20,000mPa・s、好ましくは20〜10,000mPa・sとくに30〜5,000mPa・sである。
【0015】
本発明の水性分散体は、重付加系樹脂、重縮合系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂および付加重合系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の粒子からなる。
本発明の水性分散体において、粒子径分布曲線における山形のうちの少なくとも1つの山形は重付加系樹脂,重縮合系樹脂,付加縮合系樹脂および開環重合系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の粒子からなり、他の少なくとも1つの山形を構成する樹脂は、重付加系樹脂、重縮合系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂および付加重合系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の粒子からなる。
【0016】
重付加系樹脂にはポリウレタン樹脂;重縮合系樹脂にはポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリカーボネート樹脂;付加重合系樹脂にはビニル系樹脂(例えばアクリル樹脂、スチレン/アルカジエン系樹脂および酢酸ビニル系樹脂);付加縮合系樹脂にはフェノール樹脂およびアミノ樹脂(たとえば尿素樹脂およびメラミン樹脂);開環重合系樹脂にはエポキシ樹脂などが含まれる。
これらの樹脂のうち、好ましいのは重付加系樹脂、重縮合系樹脂および重付 加系樹脂および/または重縮合系樹脂と付加重合系樹脂との併用からなる群よ り選ばれる少なくとも1種の樹脂、とくにポリウレタン樹脂(U)、ポリエステル樹脂(E)、(U)および/または(E)とアクリル樹脂(M)および/またはスチレン/アルカジエン系樹脂(D)との併用からなる群から選ばれる1種または2種以上の併用である。
【0017】
本発明の水性分散体は、粒子径分布曲線において少なくとも2つのピークを有するが、それらのピークを構成する樹脂の種類は同一でも、異なっていてもよい。異なる場合の好ましい組み合わせは、(U)/(E)および(U)/( M)などである。
【0018】
(U)は、有機ポリイソシアネート(a1)とポリオール(a2)からなる活性水素原子含有成分を反応させてなるものである。
【0019】
(a1)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなポリイソシアネートには、2個〜3個またはそれ以上のイソシアネート基を有する、炭素数(以下Cと略記)(NCO基中の炭素を除く 、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、C2〜18の脂肪族ポリイ ソシアネート、C4〜15の脂環式ポリイソシアネート、C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネートの変性物、並びにこれらの2種以上の併用が含まれる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物と の縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%) の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリールポリイ ソシアネート(PAPI)]、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3 ’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシア ネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなど;脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエ チル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなど;脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメ タン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス (2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなど; 芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、m−および/またはp−キシリレン ジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレン ジイソシアネート(TMXDI)など;ポリイソシアネートの変性物としては 、上記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イ ソシアヌレート基および/またはオキサゾリドン基含有変性物など;遊離イソシアネート基含量が通常8〜33%、好ましくは10〜30%とくに12〜29% のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物が挙げられ、ウレタン変性ポリイ ソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、後述の低分子ポリオールが挙げられる。2種以上の併用としては、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポ リマー)との併用が挙げられる。これらのうちで好ましいのは官能基数2〜3 のもの、とくにTDI、MDI、HDI、IPDI、水添MDI、XDIおよ びTMXDIである。
【0021】
(a2)には、150以上の水酸基当量(水酸基当りのMn)を有する高分子ポリオール(a21)、低分子ポリオール(a22)およびこれらの2種以上の併用が含まれる。〔上記および以下においてMnはゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される数平均分子量を表わす。〕
【0022】
(a21)には、ポリエステルポリオール(a211)、ポリエーテルポリオール(a212)、ポリオレフィンポリオール(a213)および重合体ポリオール(a214)が含まれる。(a211)には、縮合型ポリエステル(a 2111)、ポリラクトンポリオール(a2112)、ポリカーボネートポリオール(a2113)およびヒマシ油系ポリオール(a2114)が含まれる。(a212)には、活性水素原子含有化合物のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物(a2121)、およびそのカップリング体(a2122) が含まれる。
【0023】
(a22)には、30以上150未満の水酸基当量を有する、2価〜8価またはそれ以上の、多価アルコール(a221)および活性水素原子含有化合物のAO低モル付加物(a222)が含まれる。
(a221)には、2価アルコール、例えばC2〜12またはそれ以上の脂肪族,脂環式および芳香族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール(ア ルキレングリコールおよびジアルキレングリコールを表わす。以下同様の表現を用いる)、たとえば(ジ)エチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、1,2−,1,3−,2,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールお よび1,12−ドデカンジオール;環状基を有する低分子ジオール、たとえば 特公昭45−1474号公報記載のもの:ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];3価〜8価またはそれ以上 の多価アルコール、例えばアルカンポリオール(トリオール、たとえばトリメ チロールプロパン、グリセリンおよびヘキサントリオール;4価以上の高官能 ポリオール、たとえばペンタエリスリトール,ソルビトール,キシリトールお よびマンニトール)、これらの分子間または分子内脱水物(ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビタンなど)、糖類(グルコース、フルクトース 、ショ糖など)およびその誘導体(グリコシド、たとえばα−メチルグルコシド);並びに後述の親水基含有ポリオールが含まれる。
【0024】
(a2121)および(a222)の製造に用いるAOとしては、C2〜12またはそれ以上のAO、例えばエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド、 テトラヒドロフラン(THF)、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、およびこれらの2種以上の併用(ランダムおよび/またはブロック)が挙げられる。
(a212)および(a222)の製造に用いる活性水素原子含有化合物には、2〜8個またはそれ以上の活性水素原子を有する化合物(水酸基、アミノ 基、メルカプト基、カルボキシル基などの1種または2種以上を有する化合物)が含まれ;例えば多価アルコール、多価フェノール類、アミン類、ポリカルボン酸、リン酸類、ポリチオールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。多価アルコールとしては、上記のもの;多価フェノール類としては、例えば 単環多価フェノール(ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなど)、及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)が挙げられる。
アミン類には、モノアミン類およびポリアミン類が含まれる。モノアミン類には、アンモニア;1級モノアミン、例えばC1〜20のモノハイドロカルビル(アルキル,シクロアルキル,アリール,アラルキル)アミン(ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン等);およびアルカノールアミン類(C2〜4のヒドロキシアルキル基を有するもの:モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)が含まれる。
ポリアミンには、C2〜18の脂肪族ポリアミン[例えばアルキレンジアミ ン(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等) 、およびポリアルキレンポリアミン(ジエチレントリアミンなど)]、C4〜15の脂環式ポリアミン(ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミ ンなど)、C8〜15の芳香脂肪族ポリアミン(キシリレンジアミンなど)、C6〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなど)、および複素環式ポリアミン類(ピペラジン、N−アミノエチルピペラジンおよびその他特公昭55−210 44号公報記載のもの)が挙げられる。
ポリカルボン酸には、2価〜8価またはそれ以上の、C4〜40またはそれ以上の、脂肪族,脂環式および芳香族カルボン酸が含まれ;ジカルボン酸たとえば脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸 、フマル酸、マレイン酸など)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸など)および芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)、並びに3価またはそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)が挙げられる。
リン酸類としてはリン酸、亜リン酸、ホスホン酸など;ポリチオールとしては、上記多価アルコールに相当する(OHの少なくとも一部がSHに置換わった)ポリチオール、グリシジル基含有化合物と硫化水素との反応で得られるポリチオールなどが挙げられる。
【0025】
活性水素原子含有化合物へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、 無触媒でまたは触媒(たとえばアルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにAO付加の後半の段階で)に常圧または加圧下に1段階または多段階で行なうことができる。例えば加圧反応器に、活性水素原子含有化合物および触媒を仕込み、AOを圧入する方法が挙げられる。触媒としては、アルカリ触媒、たとえばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなど)の水酸化物;酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸)、硫酸、燐酸、硝酸など、好ましくは過塩素酸]およびそれらの塩[好ましくは 2価または3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu、Al)の塩]が挙げられる。反応温度は通常50〜150℃、反応時間は通常2〜20時間である。
2種以上のAOを併用する場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型など)でもランダム付加でも両者の混合系〔ランダム付加後にチップしたもの:分子中に任意に分布されたエチレンオキシド鎖を0〜50 重量%(好ましくは5〜40重量%)有し、0〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)のEO鎖が分子末端にチップされたもの〕でもよい。AOのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、POおよびEOの併用、POおよび/またはEOとTHFの併用(併用の場合、ランダム、ブロックお よび両者の混合系)である。
AOの付加モル数は、活性水素原子1個当たり通常1〜140、好ましくは1〜110、特に好ましくは1〜90である。付加モル数が140を超えると 得られるポリウレタン樹脂が軟らかくなり、強度が低下する。
AO付加反応終了後は、必要により触媒を中和し吸着剤で処理して触媒を除 去・精製することができる。
【0026】
(a2121)としては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)など]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)など]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビス フェノール類のEOおよび/またはPO付加物が挙げられる。
(a2122)には、(a2121)の2分子またはそれ以上をアルキレンハライド(C1〜6、例えばメチレンジクロライド)でカップリングさせたものが含まれる。
(a212)としては、不飽和度が少ない(0.1meq/g以下、好ましくは0.05meq/g以下とくに0.02meq/g以下)ものが望ましく、また少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%とくに少なくとも70%の第1級水酸基含有率を有するものが望ましい。
(a2111)にはポリオールとポリカルボン酸(c1)との重縮合物、(a2112)にはポリオールへのラクトン(c2)の重付加物、(a2113)にはポリオールへのアルキレンカーボネート(c3)の重付加物、(a2114)にはヒマシ油およびポリオールもしくはAOで変性されたヒマシ油が含まれる。
これらを構成するポリオールとしては上記(a22)および/または(a212)[好ましくは水酸基当量が500以下のもの]、(c1)としては前記 活性水素原子含有化合物として挙げたポリカルボン酸[好ましくはジカルボン酸およびそれと少割合(20%以下)の3価以上のポリカルボン酸との併用] 、(c2)としては、C4〜12のラクトン、例えば4−ブタノリド、5−ペンタノリドおよび6−ヘキサノリドなど、(c3)としてはC2〜8のアルキレンカーボネート、例えばエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどが挙げられ、これらはそれぞれ2種以上併用してもよい。
【0027】
(a211)は通常の方法で製造できる。(a2111)は、例えば(c1)もしくはそのエステル形成性誘導体[酸無水物(無水マレイン酸、無水フタル酸など)、低級アルキル(C1〜4)エステル(アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチルなど)、酸ハライド(酸クロライドなど)]と過剰当量のポリ オールとの脱水縮重合もしくはエステル交換反応により、(c1)もしくはそ のエステル形成性誘導体とポリオールとの脱水縮重合もしくはエステル交換反応に次いでAOを反応させることにより、又はポリオールと酸無水物およびAOとの反応により、製造することができる。(a2112)および(a2113)は、ポリオールを開始剤として、(c2)もしくは(c3)の重付加させることにより製造できる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル 交換および/またはAO付加により製造できる。
(a2111)としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジ オール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオールなど;(a2112)としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなど;(a2113)としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオ ールなど;(a2112)としては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性 ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物などが挙げられる。
【0028】
(a213)には、ポリアルカジエン系ポリオール、例えばポリブタジエンジオール[1,2−ビニル構造および/または1,4−トランス構造を有するポリブタジエン(ブタジエンホモポリマーおよびコポリマーたとえばスチレンブタジエンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー)ジオール]、ならびにこれらの水素添加物(水素添加率:たとえば20〜100%);およ びアクリル系ポリオール、例えばヒドロキシアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[エチルヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど]と他の単量体[スチレン、アルキル(C1〜8)(メタ)アクリレートなど]との共重合体が含まれる。ポリブタジエンジオールの例としてはNISSO−PBGシリーズ(G−1000、G−2000、G−3000など)(日本曹達・製)、Poly Bd(R−45M、R−45HT、CS−15、CN−15など)(米国ARCO社製)が挙げられる。
【0029】
(a214)には、ラジカル重合性モノマーをポリオール[前記(a211)および/または(a212)および必要により(a22)]中でその場で重合させてなる重合体含有ポリオールが含まれる、モノマーには、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニル、これらの2種以上の混合物などが含まれる。モノマーの重合は、通常重合開始剤の存在下に行われる。重合開始剤には、遊離基を生成して重合を開始させるタイプの もの、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AVN)などのアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、および特開昭61−76517号公報記載の上記以外の過酸化物あるいは過硫酸塩、過ホウ酸塩、過コハク酸等が含まれる。アゾ化合物、特にAIBN、AVNが好ましい。重 合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて通常0.1〜20%、好ましくは0.2〜10%である。ポリオール中での重合は無溶媒でも行なうことができるが、重合体濃度が高い場合には有機溶媒の存在下に行なうのが好ましい。有機溶媒としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどが挙げられる。必要により、連鎖移動剤(アルキルメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、特開昭55−31880号公報記載のエノールエーテル類など)の存在下に重合を行なうことができる。重合は重合開始 剤の分解温度以上、通常60〜180℃、好ましくは90〜160℃で行なう ことができ、大気圧下または加圧下、さらには減圧下においても行なうことができる。重合反応終了後は、得られる重合体ポリオールはそのままポリウレタンの製造に使用できるが、反応終了後に有機溶媒、重合開始剤の分解生成物や未反応モノマー等の不純物を慣用手段により除くのが望ましい。
(a214)は、通常30〜70%(好ましくは40〜60%とくに50〜55%)の重合したモノマーすなわち重合体がポリオールに分散した、半透明ないし不透明の白色ないしは黄褐色の分散体である。(a214)の水酸基価は、通常10〜300、好ましくは20〜250とくに30〜200である。
【0030】
(a21)の水酸基当量は、通常150〜5,000、好ましくは250〜3,000とくに300〜2,500である。
【0031】
(a2)のうちで、ポリウレタン樹脂の物性の点で好ましいのは、(a21)および(a21)と少割合(たとえば20%以下)の(a22)の併用である。(a21)のうちで好ましいのは(a212)およびとくに(a211)である。
【0032】
(a1)との反応に用いる活性水素原子含有成分としては、(a2)に加えて、必要により他の活性水素原子含有化合物(a3)を用いることができる。 (a3)には、活性水素原子含有多官能化合物(a31)および単官能化合物 (a32)が含まれる。(a31)には前記ポリアミン、およびポリエーテルポリアミン[(a212)および/または(a222)のシアノアルキル(C2〜4)化物(シアノ化エチル化物など)の水素化物];(a32)には前記1級モノアミン、2級モノアミンたとえばジ−ハイドロカルビル(C1〜20アルキル,シクロアルキル,アリールおよび/またはアラルキル)アミン(ジブチルアミンなど)およびそのAO付加物、1価アルコール(C1〜20アルカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなど)およびそのAO付加物が含まれる。
【0033】
ポリオール(a2)からなる活性水素原子含有成分の少なくとも一部に分子内に親水性基と活性水素原子含有基を含有する化合物(d)を使用することにより、自己乳化型のポリウレタン樹脂水性分散体とすることができる。
【0034】
(d)における親水性基には、アニオン性基(スルホン酸基、スルファミン酸基、リン酸基、カルボキシル基など、およびこれらの塩)、カチオン性基(4級アンモニウム塩基、1〜3級アミン塩基、およびこれらの塩)および非イオン性基(オキシエチレン基、水酸基など)が含まれる。親水基のうちで好ましいのは、スルファミン酸基、およびディビス法による原子団固有の基数が0.3以上の親水性基(Q)である。ディビス法による原子団固有の基数は「新・界面活性剤活性剤入門」(三洋化成工業株式会社刊)133頁に記載されている。Qには、カルボキシル基のナトリウム塩(基数=19.1)、カルボキシル基のカリウム塩(基数=21.1)、スルホン酸基のナトリウム塩(基数= 38.7)などのアニオン性基;4級アンモニウム塩基、3級アミン酢酸塩基などのカチオン性基;およびオキシエチレン基(基数=0.33)、水酸基( 基数=0.5)などの非イオン性基が含まれる。
【0035】
(d)には1個または2〜8個またはそれ以上(好ましくは2個)の活性水素原子含有基を含有するものが含まれ、その活性水素原子含有基には水酸基、カルボキシル基およびアミノ基が含まれる。好ましいのは2個(とくに2個)の活性水素原子含有基を含有するもの、及びこれと1個の活性水素原子含有基を有するものである。
【0036】
アニオン性基を有する(d)としては、スルホン酸ジオール[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸など]、スルホポリカルボン酸[スルホイソフタル酸、スルホコハク酸など]およびアミノスルホン酸[2−アミノエタンスルホン酸および3−アミノプロパンスルホン酸など];スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基のC1〜6)またはそのAO付加物(AOとしてはEO またはPOなど、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物など];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホス フェートなど;ジアルキロールアルカン酸[C6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など]およびアミノ酸(2−アミノエタン酸等);およびこれらの塩、例えばアミン類(ト リエチルアミン、アルカノールアミン、モルホリンなど)の塩および/またはアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)が挙げられる。カチオン性基を含有する(d)には、4級アンモニウム塩基含有ジオール、3級アミノ基含有ジオールおよびその塩(カルボン酸塩など)が含まれ;アルキル(C1〜8)ジアルカノール(C2〜4)アミン(N−メチルジエタノールアミンなど)およびジアルキル(C1〜6)アルカノール(C2〜4)アミン(N,N−ジメチルエタノールアミンなど)、並びにこれらの酸類[有機酸たとえばC1〜8のカルボ ン酸(酢酸など)、スルホン酸(トルエンスルホン酸など);無機酸たとえば塩酸、硫酸、リン酸など)]による中和物および4級化剤[C1〜8のアルキル基もしくはベンジル基を有する、硫酸エステル、炭酸エステル、ハライド等 (硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、メチルクロライド、ベンジルクロライドなど)]による4級化物が挙げられる。イオン性基(アニオン性基またはカチオン性基)含有ポリウレタン樹脂水性分散体の具体例としては、特公昭42−24192号公報および特公昭43−9076号公報に記載のものが挙げられる。
【0037】
非イオン性基を有する(d)にはPEGおよびポリエチレンプロピレングリ コール(Mn=100〜3,000)などが含まれる。非イオン性の(d)と アニオン性の(d)またはカチオン性の(d)を併用してもよい。
【0038】
自己乳化型の(U)の水性分散体における(d)の含有量は、ポリウレタン樹脂の重量に基づいて好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5〜30%である。特に(d)が非イオン性化合物の場合は、好ましくは3〜30% [(a211)または(a212)を使用する場合で、その中にポリオキシエ チレン鎖(付加モル数2以上)を含む場合は、それらの重量も含む]、好ましくは5〜20%である。また、(d)がイオン性化合物の場合の(d)の重量 はポリウレタン樹脂の重量に基づいて好ましくは0.1〜10%、さらに好ま しくは0.5〜5%であり、当量に換算すると、好ましくは0.01〜2ミリ当量/g、さらに好ましくは0.05〜1ミリ当量/gである。
【0039】
自己乳化型の(U)の水性分散体は、例えば、(a1)と、(d)を含む(a2)および必要により停止剤(e1)からなるH成分、および必要により有 機溶剤を仕込み、一段または多段でウレタンプレポリマーを形成し、次いで該プレポリマーを親水化(中和または4級化)した後、あるいは親水化しながら 、必要により鎖伸長剤(f)、架橋剤(x)および/または停止剤(e2)を含む水性媒体と混合して水性分散体となし、NCO基が実質的に無くなるまで反応[水または(f)による鎖伸長、および必要により(x)による架橋および/または(e2)による反応停止]を行うことにより製造することができる。親水化(中和または4級化)は水性分散体形成後に行ってもよい。(f)による鎖伸長および必要により(x)および/または(e2)による反応停止を行う場合には、プレポリマーを水性媒体中に分散させた後に、(f)および必要により(x)および/または(e2)を加えてプレポリマーと反応させるのが好ましい。
また、有機溶剤の存在下に(a1)と上記H成分を反応させてプレポリマー溶液を形成し鎖伸長剤(f)および必要により架橋剤(x)および/または停 止剤(e2)を反応させるか、有機溶剤の存在下に(a1)と上記H成分およ び必要により架橋剤(x)および/または停止剤(e2)を一段で反応させる ことにより、(U)の有機溶剤溶液を形成し、水性媒体中に分散させることに より、(U)の水性分散体を形成することもできる。この場合も、親水化(中和または4級化)は水性分散体の形成前に行っても形成の段階で行っても形成 後に行ってもよい。
【0040】
プレポリマーは、(a1)とH成分を、イソシアネート基/活性水素含有基 (カルボキシル基を除く)の当量比が通常1.01〜2、好ましくは1.1〜 1.6となる割合で、反応させることにより形成される。H成分中に必要により加えられる(e1)の量は通常5当量%以下、好ましくは3当量%以下であ る。プレポリマーの形成は、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃の反応で行われ、反応時間は通常2〜10時間である。プレポリマーの形成は、NCO基と実質的に非反応性の有機溶剤の存在下または非存在下で行う ことができる。プレポリマーは通常0.5〜5%の遊離NCO基含量を有する。 プレポリマーの親水化は、塩基[(d)がアニオン性化合物の場合]または 酸もしくは4級化剤[(d)がカチオン性化合物の場合]を用いて行うことが できる。水性分散体は、プレポリマーを、通常10℃〜60℃、好ましくは2 0℃〜40℃で、水性媒体[必要により(f),(x)および/または(e) を含有する、水または水と親水性有機溶剤との混合物]と混合・分散して、反 応させ、必要により有機溶剤を留去することにより形成することができる。
【0041】
上記の反応の際に用いる有機溶剤、および水性媒体に含有させる親水性溶剤 としては、前記(a214)で挙げた有機溶剤のうちの、それぞれ、NCO基 と実質的に非反応性のもの、および親水性(水混和性)のもの(ケトン類、エ ステル類、エーテル類、アミド類、アルコール類)が挙げられる。水と親水性 溶剤と比は通常100/0〜50/50、好ましくは100/0〜80/20 とくに100/0である。
【0042】
鎖伸長剤(f)および架橋剤(x)としては、ポリアミン[前記(h32) ]が使用できる。(f)および(x)の使用量は、プレポリマー中に残存するイソシアネート基1当量に対して(f)および(x)の1級および2級アミノ基 が通常0.5〜2当量、好ましくは0.9〜1.2当量となるような量である 。 停止剤(e1)には、単官能化合物[前記(a32):1級モノアミン、2級モノアミン、1価アルコール等、および(d)のうちの単官能のもの];停止剤(e2)には、上記単官能化合物、および[前記(h312):モノ−お よびジ−アルカノールアミンなど]が含まれる。(e2)の使用量は、プレポ リマーの遊離NCO基1当量に対して、通常0.5当量以下、好ましくは0. 03〜0.3当量となるような量である。(e2)は水性媒体中に含有させて おいても、プレポリマーが鎖伸長された段階で加えてもよい。
【0043】
(a2)の少なくとも一部として(d)を用いるのに代えて、又はそれと共に、(e1)および/または(e2)の少なくとも一部として(d)を用いることにより、自己乳化型の(U)の水性分散体を製造することもできる。
【0044】
(U)の水性分散体は、乳化剤を用いて乳化剤乳化型の(U)の水性分散体 とすることもできる。
乳化剤乳化型の(U)の水性分散体は、例えば、(a2)[または(e1)および/または(e2)]の少なくとも一部として(d)を用いるのに代えて、又はそれと共に、乳化剤を用いる以外は、上記と同様にして、有機溶剤の存在下または非存在下でプレポリマーを形成し水性媒体と混合して水性分散体とし 反応[鎖伸長、および必要により架橋および/または反応停止]を行い必要に より有機溶剤を留去することにより製造することができる。
乳化剤はプレポリマー、水性媒体のいずれか一方に加えても、双方に加えて もよい。乳化剤がプレポリマーと反応性の場合には水性媒体に加えるのが好ま しい。乳化剤の添加量は、ウレタンプレポリマーの重量に基づいて、通常0. 2〜10%好ましくは0.3〜6%であるが、(d)を用いた場合にはその量 に応じて上記範囲より少ない量でもよい。
【0045】
乳化剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤 、高分子型乳化分散剤、およびこれらの2種以上の併用が含まれ、例えば米国特許第3929678号および米国特許第4331447号明細書に記載のものが挙げられる。
【0046】
アニオン性界面活性剤には、C8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン[重合度(以下pと略記)=1〜100]ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、C8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルおよびそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウムなど]、C8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼ ンスルホン酸ナトリウム等]、C8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有 するスルホコハク酸塩、C8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもし くはエーテルリン酸エステルおよびそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(p=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウ ム等]、C8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]およびC8〜24の炭化水素基を有する アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸 サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等;ノニオン性界面活性剤には、脂肪族アルコール(C8〜24)AO(C2〜8)付加物(p=1〜100)、多価(2価〜10価または それ以上)アルコール脂肪酸(C8〜24)エステル[GLモノステアレート、ソルビタンモノラウレート等]、脂肪酸(C8〜24)アルカノールアミド[ 1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8、p=1〜100)アルキ ル(C1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8、p=1〜100)アルキル(C8〜24)アミンおよびアルキル(C8〜24)ジアルキル(C1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等 ]等;カチオン性界面活性剤には、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルト リメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等;両性界面活性剤には、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、 アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0047】
高分子型乳化分散剤としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその 誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのカルボキシル基含有(共)重合体でMn=1,000〜50,000のもの、及び米国特 許第5906704号明細書に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有 する高分子型分散剤など[例えばポリカプロラクトンポリオール(a2112 )とポリエーテルジオール(a2121)をポリイソシアネート(a1)で連結させたもの]が使用できる。
【0048】
これらの乳化剤のうちで好ましいものは、ノニオン性界面活性剤および高分子型乳化分散剤とくに上記公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型乳化分散剤である。
【0049】
本発明における(U)の水性分散体の重量平均粒子径は、通常0.01〜4μm、好ましくは0.01〜3μmである。
【0050】
上記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、たとえばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンおよび米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジア ザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ・製造、DBU)な ど];錫系触媒、たとえばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレートおよびオクチル酸錫;チタン系触媒、たとえばテトラブチルチタネートが挙げられる。
【0051】
プレポリマーまたは(U)の溶液を水性媒体に乳化分散させる装置は特に限定されず、例えば下記の方式の乳化機が挙げられる:1)錨型撹拌方式、2)回転子−固定子式方式[例えば「エバラマイルダー」(荏原製作所製)]、3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、7)高圧衝撃式[ 例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、および9)遠心薄膜接触式[例えばフィルミックス]。これらのうち、好ましいのは、5)、8)および9)である。
(f)による鎖伸長および必要により(x)による架橋および/または(e2)による反応停止を行う場合には、連続式の乳化機[好ましくは上記2)例えばエバラマイルダー]を用いてプレポリマーを水性媒体中に分散させ、次いでバッチ式乳化機[好ましくは上記1)錨型撹拌方式]を用いて(f)および必要により(x)および/または(e2)を加えて混合してプレポリマーと反応させるのが好ましい。
【0052】
(U)のMnは、非架橋型(熱可塑性)の(U)の場合には通常2,000 〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000〜1,500 ,000とくに100,000〜500,000である。架橋型の(U)は上記範囲より高いMnのもの、GPCで測定できない高いMnのものでもよい。
【0053】
本発明に係る粒子径分布曲線において少なくとも2つの山形を有する樹脂の水性分散体(I)を製造する方法には、例えば、I)粒子径分布曲線において2つ以上の異なる山形を有する樹脂(A1)の水性分散体および他の樹脂(A2)の水性分散体を別々に製造した後、混ぜ合わせる方法;II)樹脂(A1)の水性分散体中に、他の樹脂(A2)の溶液もしくは溶融物または(A2)の前駆体(A2p)を分散させ、(A2p)の場合は更に(A2)に変換することにより、(A1)とは異なる山形の(A2)からなる粒子を含有する分散体を製造する方法;III)粒子径分布曲線において2つ以上の異なる山形を有する分散体を同時に製造する方法;及びIV)上記I)〜III)の2つ以上を組合せた方法が含まれる。生産性の観点から好ましいのはI)、IV)および特にII)である。
【0054】
II)の方法において、(A1)と(A2)またはその前駆体の組み合わせの例としては、(A1)が(U)、(E)、(M)または(D)で、(A2p)がウレタンプレポリマーのもの、並びに(A1)が(U)、(E)、(M)または(D)で、(A2)が(E)のものが挙げられる。これらのうち好ましいのは(A1)が(U)、(E)または(M)で、(A2p)がウレタンプレポリマー(U2p)のもの、とくに(A1)が(U)で(A2p)が(U2p)のものである。
【0055】
水性分散体(I)の製造方法はバッチ式でも、連続式でもよい。好ましくは生産性の観点から連続式である。樹脂(A1)の分散体の製造と前記II)の方法は連続式で行うこともできるが;樹脂(A1)の前駆体(A1p)を連続的に水性媒体中に分散させて(A1p)の分散体を形成し、これと(f)および必要により(x)および/または(e2)とをバッチ式で混合し反応させて(A1)の分散体を形成した後、この中へ連続的に前記方法II)に従って(A2)の溶液もしくは溶融物または(A2p)を分散させるのが好ましい。
【0056】
(U)の水性分散体(I)は、前記II)の方法に従って、予めポリウレタン樹脂(U1)の水性分散体を前述の自己乳化型または乳化剤乳化型の方法で製造した後、該水性分散体が流動もしくは撹拌されている状態の中に、乳化機を使用して、液状(溶融もしくは溶液状)のウレタンプレポリマー(U2p)を、(U1)の水性分散体中に導入し、分散させると同時もしくはその後に水による鎖 伸長反応をさせるか、又は(f)を添加して鎖伸長反応させることにより、(U2p)をポリウレタン樹脂(U2)に変換することにより、製造することができる。
【0057】
(U1)の水性分散体は、(U1)の前駆体(U1p)の水性分散体に(f)を加えて(U1p)を鎖伸長されたものが好ましい。(U1p)を鎖伸長されたものであれば、前述の粒子径分布曲線の山形の標準偏差、歪度および突度が好ましい範囲になりやすい。この場合、鎖伸長反応は連続式反応装置またはバッチ式反応 装置のいずれでも行えるが、反応を完遂させ易いという観点でバッチ式反応装 置で行うのが好ましい。また、(U1)の水性分散体に予め(f)を添加しておいて(U2p)を分散させ、(U2p)を分散させると同時に鎖伸長させて(U2)を形成してもよい。乳化分散装置としては、前述の振動式、膜乳化式および遠心薄膜接触式などのいずれでもよい。樹脂もしくは前駆体の溶液を用いた場合には、必要により有機溶剤を留去してもよい。
【0058】
樹脂(A)が(U)の場合、上記(U2p)が、(U1)の水性分散体とは異なる粒子径の(U2)の分散体[例えば(U2)の方が粒子径が大きい]となるようにする手段には、1)(U2p)が自己乳化型ウレタンプレポリマーの場合はその親水性基の量[(d)の量]を少なくする;2)(U2p)が乳化剤乳化型ウレタンプレポリマーの場合には乳化剤添加量を少なくする;3)(U2)の分散体または(U2p)が親水性有機溶剤を含む場合は、その含量を少なくする;4)ウレタンプレポリマーの乳化時の剪断力を小さくする;これらの2つ以上の組合せが含まれる。
【0059】
1)の場合の(U2p)中の(d)の量は、(U2p)の重量に基づいて好ましくは20%以下さらに好ましくは10%以下とくに5%以下であり、(U1)中の(d)の含量の70%以下とくに50%以下であるのが好ましい。2)の場合の乳化剤添加量は、(U2p)の重量に基づいて、好ましくは6%以下とくに0.2〜5%であり、(U1)の水性分散体中の乳化剤添加量の70%以下とくに50% 以下であるのが好ましい。3)の場合、親水性有機溶剤の添加量は、(U2)また は(U2p)の重量に基づいて、好ましくは10%以下とくに0.3〜8%であり、(U1)の水性分散体中の親水性有機溶剤添加量の70%以下とくに50%以下であるのが好ましい。
【0060】
(U)の水性分散体(I)において、粒子径分布曲線における少なくとも2つの山形は、いずれが大きい方でもよいが、液状であるウレタンプレポリマーから形成される粒子によって与えられる山形を大きくする方が、製造しやすさの点で好ましい。
【0061】
重付加系樹脂には、(U)の外に、ポリチオウレタン樹脂、例えばポリイソチオシアネート[前記(a1)に相当する(NCO基がNCS基に置換った)化合物]とポリオール[前記(a2)]からなるH成分との重付加物;ポリ(チオ)ウレア樹脂、例えばポリアミン[前記(h32)および/または(a312)]とポリイソ(チオ)シアネート[前記(a1)および/または上記ポリイソチオシアネート]との重付加物;ポリメチレンマロンアミド、例えばジケテンとポリメチレンジアミンとの重付加物;ジチオール[前記(h6)たとえばヘキサメチレンジチオール]とジビニル化合物(後述のアルカジエン、ジ カルボン酸ジビニルエステル等)との重付加物が含まれる。
これらの重付加系樹脂の水性分散体の製造方法、自己乳化型の樹脂における(d)の好ましい含有量および乳化剤乳化型の樹脂の水性分散体における乳化剤の使用量、樹脂の水性分散体の重量平均粒子径、樹脂のMw、および水性分散体(I)および(II)の製造方法は(U)におけると同様である。
【0062】
樹脂(E)にはポリオール類とポリカルボン酸の重縮合体とオキシカルボン酸の重縮合体が含まれ、後者にはポリラクトンが含まれる。
【0063】
ポリオール類には、前記(a22)および/または(a212)が含まれる。好ましいのは脂肪族2〜4価アルコールおよびこれらの2種以上の併用、さらに好ましいのは2価アルコール(とくにNPG、BEPDおよびHDから選ば れる少なくとも1種)と3価アルコールおよび/または4価アルコール(とく にTMPおよび/またはPE)との併用である。両者の比は、得られる塗膜の 硬度および塗料の粘度の点から、99.5/0.5〜70/30とくに98/ 2〜80/20が好ましい。
【0064】
ポリカルボン酸には前記(h4)が含まれる。好ましいのはC2〜10の脂肪族ジカルボン酸、C8〜18の芳香族ジカルボン酸、C9〜18の3〜4価 またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸およびこれらの2種以上の併用である。さらに好ましいのは脂肪族ジカルボン酸(とくにアジピン酸および/またはセバシン酸)、芳香族2〜4価カルボン酸(とくにイソフタル酸、テレフタル酸およびトリメリット酸から選ばれる少なくとも1種)およびとくにこれらの併用(比20/80〜50/50)である。
オキシカルボン酸には、C4〜12のヒドロキシアルカン酸、たとえば前記 (c2)に相当する酸が含まれる。
【0065】
(E)は、通常のポリエステル形成方法、たとえばポリオール類とポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体〔例えば酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステルなど〕をエステル化またはエステル交換させること、オキシカルボン酸を重縮合させること、開始剤(オキシカルボン酸、ポリオール類および/またはポリカルボン酸、或いはそれらの部分重縮合物)に(c2)( たとえばε−カプロラクトン)又は酸無水物とAOを反応させることにより製造できる。
エステル化またはエステル交換は、通常100〜250℃の反応温度で、必 要により触媒および/または溶剤を用いて、行うことができる。触媒および溶剤としてはポリエステル化反応に通常用いられるものが使用できる。触媒としては例えばジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、p−トルエンスルホン酸、ナフテン酸リチウムなど;溶剤としては例えば前記(a214)で挙げた芳香族炭化水素類およびケトン類が挙げられる。
【0066】
(E)の水性分散体の製造方法は特に限定されない。乳化剤乳化型の(E) の水性分散体は、前記乳化剤乳化型の(U)の水性分散体の製造方法と同様にして同様の乳化剤を使用して製造することができる。また、自己乳化型の(E)の水性分散体は、ポリオール類の少なくとも一部として前述の(d)のうちの活性水素原子含有基として水酸基を有するもの(PEG、ビスフェノールAのEO付加物、ジアルキロールアルカン酸、スルホン酸ジオールなど)を併用す ることにより製造することができる。また、ポリカルボン酸類としてカルボキ シル基以外のアニオン性基を有するポリカルボン酸(d1)[例えばスルホイ ソフタル酸(塩)およびそのエステル形成性誘導体]などを併用することにより製造することができる。
【0067】
自己乳化型の(E)における(d)の好ましい含有量および乳化剤乳化型の(E)の水性分散体における乳化剤の使用量は(U)におけると同様である。
【0068】
これらの方法で得られる(E)の水性分散体の重量平均粒子径は、通常0.01〜4μm、好ましくは0.01〜3μmである。また、(E)のMwは通常2,000〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000 〜1,500,000である。
【0069】
(E)の水性分散体(I)は、前記II)の方法に従って、予めポ リエステル樹脂(E1)の水性分散体を前述の乳化剤乳化型または自己乳化型の方法で製造した後、該水性分散体が流動もしくは撹拌されている状態の中に、乳化機を使用して、溶液もしくは溶融状のポリエステル樹脂(E2)を(E1)の水性分散体の液中に導入し、分散させることにより、製造することができる。
この場合、(E2)が、(E1)の水性分散体とは異なる平均粒子径の分散体[ 例えば(E2)の方が粒子径が大きい]となるようにするには、(U)の水性分散体の場合と同様に、(d)、乳化剤および/または親水性溶剤の量を少なくする方法が用いられる。
【0070】
ポリアミド樹脂には、ポリアミンとポリカルボン酸の重縮合体、アミノカルボン酸の重縮合体、およびポリアミド形成成分(ポリアミンとポリカルボン酸、またはアミノカルボン酸)とポリオール類を共縮合させてなるポリエステルポリアミドが含まれる。
ポリアミンには、前記(h32)および/または(a312)が含まれる。 好ましいのはジアミンとくにヘキサメチレンジアミンである。
ポリカルボン酸には前記(h4)が含まれる。好ましいのはC2〜10の脂 肪族ジカルボン酸、C8〜18の芳香族ジカルボン酸、C9〜18の3〜4価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸およびこれらの2種以上の併用であり、さらに好ましいものは脂肪族ジカルボン酸(とくにアジピン酸および/またはセバシン酸)、芳香族ジカルボン酸(とくにイソフタル酸および/またはテレフタル酸)である。
アミノカルボン酸には、C4〜12のアミノアルカン酸、たとえばω−カプ ロンアミノ酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸および12− アミノドデカン酸が含まれる。
ポリエステルポリアミド形成に用いるポリオール類としては前記(a22)および/または(a212)を用いることができる。
ポリアミドは、通常のポリアミド形成方法、たとえばポリアミンとポリカル ボン酸を重縮合させること、アミノカルボン酸を重縮合させること、開始剤(アミノカルボン酸、ポリアミンおよび/またはポリカルボン酸、或いはそれらの部分重縮合物)にラクタム(たとえばカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロラクタムの少なくとも1種)を反応させることにより製造できる。
ポリエステルポリアミドは、例えば上記ポリアミド形成成分に加えてポリオール類を共縮合させてエステル結合を導入する方法、カルボキシル基(もしくはそのエステル形成性誘導体基)含有ポリアミドとポリオール類を反応させる方法により製造することができる。
【0071】
ポリアミドの水性分散体の製造方法は特に限定されない。乳化剤乳化型のポリアミドの水性分散体は、前記乳化剤乳化型の(U)の水性分散体の製造方法と同様にして同様の乳化剤を使用して製造することができる。自己乳化型のポリアミドの水性分散体は、ポリアミンおよび/またはポリカルボン酸の少なくとも一部として前述の(d)のうちの活性水素原子含有基としてアミノ基を有 するもの[ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、3,4−ジアミノ安息 香酸、ジアミノトルエンスルホン酸など、それらの塩、ポリオキシエチレン鎖 含有ポリアミン(PEGのジアミノエチルエーテルなど)]、カルボキシル基以外のアニオン性基を有するポリカルボン酸(d1)[例えばスルホイソフタル酸(塩)およびそのエステル形成性誘導体]を用いることにより製造することができる。また、(d)のうちの活性水素原子含有基として水酸基を有するもの(PEG、ビスフェノールAのEO付加物、ジアルキロールアルカン酸、スルホン酸ジオールなど)を用い、これとポリアミド形成成分またはカルボキシル基(もしくはそのエステル形成性誘導体基)含有ポリアミドを反応させることにより、自己乳化型のポリエステルポリアミドの水性分散体を製造することができる。
自己乳化型のポリアミドにおける(d)の好ましい含有量および乳化剤乳化型のポリアミドの水性分散体における乳化剤の使用量、ポリアミドの水性分散体の重量平均粒子径、ポリアミドのMw、および水性分散体(I)の製造方法は(E)におけると同様である。
【0072】
重縮合系樹脂には、上記の外に、シリコーン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリイミド樹脂、例えばピロメリット酸二無水物とジアミン[前記(h32):ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなど]との重縮合物;ポリベンズイミダゾール樹脂、例えばテトラアミノビフェニルとジカルボン酸[前記(h4):セバシン酸など]との重縮合物;ポリ尿素樹脂、例えば尿素とジアミン[前記(h32)]との重縮合物;ポリスルホンアミド樹脂、例えばベンジルジスルホニルクロリドとジアミン[前記(h32):ヘキサメチレンジアミンなど]との重縮合物;ポリスルホネート共重合体、例えばビスフェノール 類(ビスフェノールA等)と2種の芳香族ジスルホニルクロライド(1種はカルボン酸クロライドでもよい)との重縮合物;ポリスルフォン樹脂、例えばビスフェノール類(ビスフェノールA等)とジクロロジフェニルスルホンとの重 縮合物;ポリサルファイド樹脂、例えば多硫化ナトリウムとジクロロ化合物( 二塩化エチレン、二塩化エチレンエーテル等)との重縮合物;ポリ−p−フェニレン樹脂が含まれる。
【0073】
シリコーン樹脂には、オルガノポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、メチルスチレン変性シリコーン、オレフィン変性シリコーン、弗素変性シリコーン、および親水基変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコ ーン、メルカプト変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーンなど)が含まれる。
【0074】
ポリカーボネート樹脂には、ジヒドロキシル化合物[たとえば前記(a221)の2価アルコール、前記(h2)の2価フェノール、及びそれらのAO付加物]から合成される[アルキレンカーボネート(c3)との反応(重付加およびエステル交換)、ジフェニルカーボネートとのエステル交換、またはホスゲン化により製造される]ものが含まれる。具体例には、ビスフェノール類、 たとえば4,4´−ジヒドロキシジアリール(シクロ)アルカンおよびそのハロゲン置換体[ビスフェノールA、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2, 2−ブタン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−(4−メチル)ペンタン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル−1,1−シクロヘキサン、4, 4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラクロルジフェニル−2,2−プロパンなど]から合成されるポリカーボネートが含まれる。好ましいのはビスフェノールAのポリカーボネートである。
これらの重縮合系樹脂の水性分散体の製造方法、自己乳化型の樹脂における(d)の好ましい含有量および乳化剤乳化型の樹脂の水性分散体における乳化剤の使用量、樹脂の水性分散体の重量平均粒子径、樹脂のMw、および水性分散体(I)および(II)の製造方法は(E)におけると同様である。
【0075】
付加縮合系樹脂には、フェノール樹脂、例えばフェノール類[フェノール、クレゾール、キシレノール、アルキル(C2〜10)フェノール、p−クロルフェノール等]とホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラックおよびレゾール);およびアミノ樹脂、例えばアミノ基含有化合物[(チオ)尿素、エチレン尿素、メラミン、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン、アニリン、トルエンスルホンアミド等]とホルムアルデヒドとの縮合物(尿素樹脂、メラミン樹脂など)が含まれる。これらのMwは通常2,000〜2,000,000または それ以上、好ましくは少なくとも10,000である。
【0076】
エポキシ系樹脂には、例えば英国特許第1543099号明細書、米国特許第5238767号および第5162437号明細書、および「エポキシ・レジンズ」(1957年McGraw−Hill社発行)に記載のもの、グリシジル型エポキシ樹脂(ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなど)および非グリシジル型エポキシ樹脂(脂環式エポキシ樹脂など)が含まれる。エポキシ樹脂のMwは通常100〜10,000またはそれ以上、好ましくは200 〜5,000、エポキシ当量は通常50〜5,000またはそれ以上、好ましくは200〜2,500である。エポキシ樹脂は、通常用いられている硬化剤、例えばポリアミン[前記(h32)]、ポリカルボン酸(無水物)[前記(h4)、又はその無水物]等で硬化させることができる。硬化物のMwは通常2,000〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは少なくとも10,000である。
【0077】
これらの樹脂の水性分散体の製造方法、自己乳化型の樹脂における(d)の好ましい含有量および乳化剤乳化型の樹脂の水性分散体における乳化剤の使用量、樹脂の水性分散体の重量平均粒子径、および水性分散体(I)の製造方法は(U)におけると同様である。エポキシ樹脂は、水性分散体の形成の際または形成後に硬化させても、予め硬化させたものを水性媒体中に分散させてもよく、前記II)の方法で前駆体(A2p)としてエポキシ樹脂を用いて分散させ、硬化剤で硬化させて、(A1)とは異なる粒子径のエポキシ樹脂硬化物(A2) からなる粒子を製造することができる。
【0078】
本発明の水性分散体(I)には、これまで述べてきたような、同タイプの樹脂からなる異なる粒子径を有するものの外に、重付加系樹脂、重縮合系樹脂、付加縮合系樹脂および開環重合系樹脂からなる群より選ばれるタイプの異る少なくとも2種の樹脂からなるもの[例えば(U)と(E)および/またはポリアミド樹脂および/またはフェノール樹脂との組合せ、(E)と ポリアミド樹脂および/またはフェノール樹脂との組合せ]が含まれる。これらの水性分散体も前記I)〜IV)の方法の何れかにより製造することができる。
【0079】
また、本発明の水性分散体(I)には、重付加系樹脂、重縮合系樹脂、付加縮合系樹脂および開環重合系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の粒子と付加重合系樹脂[ビニル系樹脂(V)]からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂の粒子からなるものも含まれる。
【0080】
樹脂(V)には、重合性不飽和単量体の1種または2種以上の(共)重合体が含まれる。重合性不飽和単量体には、以下のものが含まれる:
【0081】
(1)(メタ)アクリル酸エステル:
(1-1)ハイドロカルビル(C1〜20)(メタ)アクリレート、例えば(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート[メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシルおよびラウリル(メタ)アクリレート等]、および芳香環含有(メタ)アクリレート[ベンジル(メタ)アクリレート等];
(1-2)水酸基および/またはエーテル結合含有(メタ)アクリレート:ポリオール[前記(a22)および/または(a212)、好ましくは水酸基当量が600以下のもの]の(メタ)アクリレート、例えばジオール[C2〜12の脂肪族2価アルコール、そのAO付加物(付加モル数1〜20)および2価フェ ノールのAO付加物(付加モル数2〜20)、たとえばEG、PEG(p=2〜20)、PPG(p=2〜20)およびビスフェノールAのEO付加物]のモノ(メタ)アクリレート、および3価〜8価またはそれ以上のポリオール[脂肪族多価アルコール(GL、TMP、PE、ソルビトールなど)、それらのAO付加物(付加モル数1〜20)等]のモノ(メタ)アクリレート;上記ポリオールのハイドロカルビル(C1〜20)エーテルの(メタ)アクリレート、例えばメトキシPEG(メタ)アクリレート;上記ポリオールのモノ(メタ)アクリレート[2価アルコールのモノ(メタ)アクリレートなど]のカルボン酸[C1〜30のモノカルボン酸たとえば脂肪族モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、オレイン酸、アセト酢酸など)、脂環式モノカルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸、アビエチン酸など)、アルキル基(C1〜10)および/またはハロゲン(Cl、Br等)で核置換(置換度1〜3)されていてもよい芳香族モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、キシレンカルボン酸、4−ブチル 安息香酸、2−メチル−4−クロロ安息香酸、ノニル安息香酸など)]エステル、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルおよび(メタ)アクリロイルオ キシプロピルアセチルアセテート;及び多官能(メタ)アクリレート、例えば上記ポリオールのポリ(メタ)アクリレート[2価アルコールのジ(メタ)アクリレートなど];
(1-3)カチオン性基(アミノ基もしくは4級アンモニウム塩基)含有(メタ)アクリレート:1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、例えばアミノ(ヒドロキシ)アルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[アミノエチル、アミノプロピルおよび3−アミノ−2−ヒドロキシ−プロピル (メタ)アクリレートなど]、(ジ)アルキル(C1〜4)アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[(ジ)メチルアミノエチル、(ジ)エチルアミノエチル、(ジ)メチルアミノプロピルおよび3−(ジ)メチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロ ピル(メタ)アクリレート]、および複素環アミノ含有(メタ)アクリレート[モルホリノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレートたとえばモルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノアルキル(C2〜4)たとえばピペリジノエチル(メタ)アクリレートなど];それらの中和物および4級化物[ 前記カチオン性基を含有する(d)に挙げた酸類および4級化剤による中和物および4級化物]、例えば(メタ)アクリロイロキシエチルトリアルキル(C1〜4)アンモニウム塩(クロライド、メトサルフェート、アセテートなど);並びに
(1-4)アニオン性基(カルボキシル基もしくはスルホ基)含有(メタ)アクリレート、例えば(メタ)アクリル酸のラクトン(C3〜12)付加物(付加モル数1〜10)[(メタ)アクリル酸のε−カプロラクトン1〜5モル付加物な ど]およびスルホアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[スルホプロピル(メタ)アクリレートなど];それらの塩たとえばアミン類(トリエチルアミン、アルカノールアミン、モルホリンなど)の塩および/またはアルカリ金属塩(ナトリウムなど);
【0082】
(2)カルボキシル基含有単量体:不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、(イソ)クロトン酸およびケイヒ酸;不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸;不飽和ジカ ルボン酸のモノアルキル(C1〜20)エステル、例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステルおよびイタコン酸モノブチルエス テル;不飽和カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸および無水イタコン酸;これらの不飽和カルボン酸の塩たとえば上記(1-4)と同様の塩;
【0083】
(3)アミド基含有単量体:(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシアルキルもしくはハイドロカルビル(C1〜20)置換(メタ)アクリルアミド、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルキルおよびN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド[N−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]、(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、メチル α−アセトアミノアクリレート、N−ビニルピロリドン;カチオン性基(アミノ基もしくは4級アンモニウム塩基)含有(メタ)アクリルアミド、例えば上記(1-3)に相当する(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミドエチルトリアルキル(C1〜4)アンモニウム塩等];アニオン性基(カルボキシル基もしくはスルホ基)含有(メタ)アクリルアミド、例えば(メタ)アクリルアミドアルキル(C2〜4)スルホン酸[(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸など]、(メタ)アクリル酸のラクタム(C3〜12)付加物(付加モル数1〜10)[(メタ)アクリル酸のε−カプロラクタム1〜5モル付加物など]、それらの塩たとえば上記(1-4)と同様の塩;多官能(メタ)アクリルアミド、例えばメチレンビス(メタ)アクリルアミド;
【0084】
(4)芳香族不飽和炭化水素:スチレン系単量体、例えばST、ハイドロカルビル置換ST(α−およびo−メチルST、ビニルトルエン、エチルST、ジメチルST、イソプロピルST、ブチルST、フェニルST、シクロヘキシルST、ベンジルST、α−メチルSTダイマー等)、クロチルベンゼン、ビニルナフタレンおよびインデン、並びに多官能芳香族不飽和炭化水素、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンおよびトリビニルベンゼン;
【0085】
(5)脂肪族もしくは脂環式不飽和炭化水素:(5-1)オレフィン系単量体(モノエン)、例えばアルケン[エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、1−オレフィン(C20〜36)等]、およびシクロアルケン[シクロヘキセン等];(5-2)アルカジエン、例えばC4〜12の鎖状アルカジエン(ブタジエン、イソプレン、ネオプレン、1,3−および1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,3−および1,7−オクタジエン、1,3−ドデカジエン等)、およびC5〜12の環状アルカジエン(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、 ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等);及び(5-3)テルペン[ピネン、リモネン等];
【0086】
(6)エポキシ基(グリシジル基など)含有単量体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン等および(メタ)アリルグリシジルエーテル;
【0087】
(7)ニトリル基含有単量体、例えばAN、メタクリロニトリル、シアノSTおよびシアノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[シアノエチル(メタ)アクリレートなど];
【0088】
(8)上記(1-2)以外の、水酸基および/またはエーテル結合含有単量体:
(8-1)不飽和モノ−およびポリオール:C2〜24の不飽和1価アルコール、例えばアルケノール[ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、クロトニルアルコールなど]、芳香族不飽和アルコール[シンナミルアルコール、p−ヒドロキシルスチレンなど]およびアルキノール[プロパルギルアルコールなど];および不飽和(ポリ)エーテルモノ−およびポリオール、例えば前記(a22)の低分子ポリオールまたはそのAO 付加物のアルケニルもしくはアルケニルアリール(C2〜24)エーテル[ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル、(イソ)プロペニルエーテル、クロトニルエーテル、シンナミルエーテル、ビニルフェニルエーテルなど]、上記 不飽和1価アルコールのAO(C2〜4)付加物];
(8-2)不飽和エーテル、例えば不飽和モノ−およびポリオール[上記(8-1)]のハイドロカルビル(C1〜20)エーテル、例えばメトキシPEG(メタ)アリルエーテル;
【0089】
(9)ビニルエステル系単量体:
不飽和モノオール[上記(8)]とカルボン酸[上記(1-2)に記載のC1〜30のモノカルボン酸]とのエステル、例えばビニルエステル(ビニルホルメート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテートなど)、酢酸イソプロペニル、酢酸(メタ)アリル、安息香酸(メタ)アリル、(メタ)アリロキシエチルアセテートおよびアセトキシスチレン;上記不飽和モノオールとポリカルボン酸[前記(h4)]とのモノエステル;多官能ビニルエステル、例えば上記不飽和モノオールとポリカルボン酸[前記(h4)]とのモノエステル;多官能ビニルエステル、例えば上記不飽和モノオールと上記ポリカルボン酸とのポリエステル(ジエステル等)、 および上記不飽和モノオールと上記(2)の不飽和モノ−もしくはジカルボン酸とのエステル[(メタ)アクリレート等];
(10)ハロゲン含有ビニル系単量体、例えばハロゲン化不飽和炭化水素[塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン、(メタ)アリルクロライド、モノ−およびジ−クロルST、クロロプレン、米国特許第5238767号明細書に記載の弗素化オレフィンなど]、およびハロゲン置換アルキル(メタ)アクリレート[米国特許第5238767号明細書に記載の弗素化アルキル(メタ)アクリレートなど];
(11)上記以外の、カチオン性基(アミノ基もしくは4級アンモニウム塩基)含有不飽和単量体:アミノ基(1級、2級もしくは3級)含有不飽和炭化水素、例えばアルケニルアミン[モノ−およびジ−(メタ)アリルアミン、クロチルアミン等]およびアミノ基含有スチレン系単量体[アミノST、N,N−ジメ チルアミノST、ビニルベンジルアミン等]、及び複素環アミノ基含有不飽和単量体[4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール等];それらの中和物および4級化物[前記1-3)と同様の中和物および4級化物]、例えばビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩;
(12)不飽和ケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン、および多官能不飽和ケトン(ジビニルケトン等);
(13)イオウ含有不飽和単量体、例えばp−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、および多官能イオウ含有不飽和単量体(ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド、ジビニルサルファイド等);並びに
(14)イソシアネート基不飽和単量体、例えばイソシアナトエチル(メタ)アクリレートおよびm−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート。
その他、米国特許第4130523号および第3424706号明細書に記載の、少なくとも1個のオレフィン性不飽和基を有する単量体も用いることができる。
樹脂(V)には、アクリル系樹脂(M)、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹 脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ハロゲン含有ビニル系樹脂 など、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0090】
樹脂(M)には、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル(1)の(共)重合体および少なくとも1種の(4)と少なくとも1種の他の単量体との共重合体が含まれる。(1)のうちで好ましいのは(1-1)とくにアルキル(メタ)アクリレートである。更に好ましいのはメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートおよびブチルアクリレート(以下それぞれMMA、EHMAおよびBAと略記)とくにこれらの併用である。他の単量体は(2)〜(14)からなる群から選ばれ、それらのうち好ましいのは(4)(とくにST)、(6)(とくにAN)およびこれらの併用である。(M)中の(1)の含量は、全単量体の重量に基づいて(以下同様)、通常20〜100%、好ましくは50〜99%である。
【0091】
スチレン系樹脂には、少なくとも1種のスチレン系単量体(4)の(共)重合体および少なくとも1種の(4)と少なくとも1種の他の単量体との共重合体が含まれる。(4)のうち好ましいのはSTである。他の単量体は(1)〜(3)および(5)〜(14)からなる群から選ばれ、それらのうち好ましいのは、(1)[更に好ましくは(1-1)とくにアルキル(メタ)アクリレート]、(5)[更に好ましくは(5-2)とくにブタジエンおよびシクロペンタジエン]、(6)(とくにAN)およびこれらの併用である。スチレン系樹脂中の(4)の含量は、通常20〜100%、好ましくは50〜99%である。(1)の含量は、通常20%未満である。
スチレン系樹脂の具体例には、ポリST、ST/α−メチルST共重合体、およびST/アルカジエン系樹脂(D)が含まれる。樹脂(D)には、STと 少なくとも1種の(5-2)の(共)重合体およびSTと少なくとも1種の(5-2)と少なくとも1種の他の単量体との共重合体が含まれる。他の単量体は(1)〜(3)、(5-1)、(5-3)および(6)〜(14)からなる群から選ばれ、それらのうち好ましいのは、(1)[更に好ましくは(1-1)とくにアルキル(メタ)アクリレート]、およ びとくに(6)(とくにAN)である。(D)の具体例にはブタジエン/ST共重合体、AN/ブタジエン/ST共重合体(ABS樹脂)、シクロペンタジエン/ST共重合体が含まれる。ST/(D)中のST/(5-2)の比は通常20/80〜80/20好ましくは30/70〜70/30である。他の単量体の含量は、通常40%以下、好ましくは30%以下、(1)の含量は20%未満である。
【0092】
酢酸ビニル系樹脂には酢酸ビニルの重合体および酢酸ビニル(通常20〜100%好ましくは50〜99%)と少なくとも1種の他の単量体[好ましくは(5)(とくにエチレン)、(8)(とくにビニルアルコール)、他の(9)(とくに他 のビニルエステル)およびこれらの2種以上の併用]との共重合体[(1)および(4)の含量は20%未満]が含まれる。具体例にはエチレン/酢酸ビニル共重合体およびその部分加水分解物が含まれる。
【0093】
オレフィン系樹脂には、少なくとも1種のオレフィン系単量体(5-1)の(共)重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリイソブチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/イソブチレン共重合体、C8〜18オレフィン共重合体など)、及び少なくとも1種の(5-1)(通常20〜100%好ましくは50〜99%)と少なくとも1種の他の単量体[(1)、(4)および酢酸ビ ニルの含量は20%未満]との共重合体が含まれる。
アクリロニトリル系樹脂には、ポリAN、およびAN(通常20〜100% 好ましくは50〜99%)と少なくとも1種の他の単量体(MMA、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−メチルもしくはエ チルアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン等)[(1)、(4)、(5-1)および酢酸ビニルの含量は20%未満]との共重合体が含まれる。
ハロゲン含有ビニル系樹脂には、少なくとも1種のハロゲン含有ビニル系単量体(10)の(共)重合体(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、及び少なくとも1種の(10)(通常20〜100%好ましくは50〜99%)と少なくとも1種の他の単量体[(1)、(4)、(5-1)、酢酸ビニルおよびANの含量は20%未満]との共重合体(たとえば米国特許第3424706号明細書に記載 の塩化ビニリデン共重合体)が含まれる。
【0094】
樹脂(V)中の親水性単量体[上記(1)〜(14)のうちの親水性基(アニオン性基、カチオン性基、オキシエチレン基、水酸基など)を有する単量体および/または後述の反応性乳化剤]の割合は10%以下とくに0.1〜8%が好ましい。多官能単量体の割合は5%以下とくに1%以下が好ましい。
(V)は、通常2,000〜2,000,000またはそれ以上、好ましくは10,000〜1,500,000のMnを有する。
【0095】
(V)およびその水性分散体の製造法は特に制限されず、乳化重合もしくは懸濁重合で直接(V)の水性分散体を製造する方法および塊状重合もしくは溶液重合により溶融状もしくは溶液状の(V)を製造する方法が挙げられる。好ましいのは乳化重合および懸濁重合法である。溶融状もしくは溶液状で得られる(V)の水性分散体は、前記(U)と同様にして乳化剤乳化により製造することができる。 重合に際しては公知の重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、有機溶剤などを用いてもよい。
重合開始剤には、ラジカル重合開始剤、例えばアゾ化合物(AIBN、AVN、アゾビスイソ吉草酸など);過酸化物たとえば有機過酸化物(ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等)および無機 過酸化物[過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、過ホウ酸塩、過コハク酸等]、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。重合開始剤の使用量は単量体全量に対して通常0.1〜5%である。乳化重合において使用される乳化剤には、前述の乳化剤として挙げた界面活性剤、および乳化重合工程で共重合しうる反応性乳化剤などが含まれる。反応性乳化剤としては、例えばアニオン系(メタ)アクリル酸エステル[ビスフェノール類もしくはそのハイドロカルビル(C1〜24)置換体(ビスフェノー ルA、そのスチレン化および/またはベンジル化物など)の(ポリ)オキシア ルキレン(C2〜4)エーテル(EO1〜8モル付加物など)のモノ(メタ) アクリレートの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(C2〜4,p=2〜200)モノ(メタ)アクリレート硫酸エステル塩など]、アニオン系(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミドアルカン(C1〜24)スルホン酸塩など]、アニオン系(メタ)アリルエステル[アルキル(C8〜24)(メ タ)アリルスルホコハク酸エステル塩など](これらの塩にはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩などが含まれる)、その他欧州特許EP0718379B1明細書、国際出願PCT/JP01/09863明細書などに記載のものが含まれる。乳化剤の使用量は、単量体全量に対して通常0.1〜8%好ましくは0.5〜5%である。
連鎖移動剤には、メルカプタン類たとえばアルキルメルカプタン(ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等);α−メチルスチレンダイマー;ハロゲン化炭化水素たとえばクロロホルム、四塩化炭素および四臭化炭素;エノールエーテル類たとえば特開昭55−31880号公報記載のもの等;並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。連鎖移動剤の使用は単量体全量に対して、通常5%以下、好ましくは0.1〜3%である。
有機溶剤には、前記(a214)で挙げたものが含まれる。好ましいのはケトン類(とくにMIBK)および芳香族炭化水素である。有機溶剤は重合後に蒸留等の方法により除去してもよい。
【0096】
これらの方法で得られる(V)の水性分散体の重量平均粒子径は、通常0.005〜4μm、好ましくは0.01〜4μmとくに0.01〜3μmである。樹脂(A)のうちの一部が(V)の場合の分散体(I)は、前記II)に従って、II-1)予めビニル系樹脂(V1)の水性分散体を前述のようにして製造した後、該水性分散体が流動もしくは撹拌されている状態の中に、乳化機を使用して、溶融もしくは溶液状の他の樹脂(A2)[付加重合系 樹脂以外の樹脂、たとえば(U)および/または(E)]を(V1)の水性分散体 中に導入し、分散させる方法;或いは、逆に、II-2)予め他の樹脂(A1)の水性分散体を前述のようにして製造した後、該水性分散体が流動もしくは撹拌されている状態の中に、乳化機を使用して、溶融もしくは溶液状のビニル系樹脂(V2) を(A1)の水性分散体中に導入し、分散させる方法により、製造することができる。
この場合、前述の(U)の場合と同様にして、(V1)と(A2)または(V2)と(A2)が異なる平均粒子径の山形を有する水性分散体(I)を形成することができる。例えば、II-1) の方法で(A2)の方が大きい平均粒子径の山形とするには、1)(A2)の親水性を弱くする、2) 乳化剤添加量を少なくする、3)(A2)の乳化時の剪断力を小さくする等の方法、およびこれらの2つ以上の組合せが含まれる。2)の場合の乳化剤の好ましい量 は前述の(U)の場合と同様である。上記の場合において、(A)の一部を構成する(V)の分散体は、1種の(V)からなるものでも、2種以上の異なる平均粒子径の山形を有する(V)からなるものでもよい。後者の分散体は前記(U)の場合と同様にして製造することができる。
【0097】
本発明の水性分散体(I)の粒子径分布曲線における(P1)および(P2)を構成する樹脂のHLBの差は0.1〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは3〜7である。HLBの差が0.1以上であれば、(P2)を形成する樹脂の水性分散体を製造する際に、少量の界面活性剤の使用で分散できるので、乾燥後の塗膜の耐水性が向上する傾向にあり、基材との密着性が 向上する傾向が見られる。また、HLBの差が0.1以上であれば、界面活性剤を使用しない場合であっても、機械的剪断力を大きく変える必要が無く、目的の水性分散体を得ることができる。一方、HLBの差が10以下であれば、 HLBの大きい方の樹脂の親水性が大きくなりすぎて水溶性に近くなることはないので安定な水性分散体を得やすい。ここでHLBは、小田法のHLBであり、有機化合物の有機性と無機性の値[小田良平、帝人タイムス,22、・9 (1952)]から下記式で算出されるものである。
HLB=10×無機性/有機性
【0098】
本発明において、光子相関法で測定される粒子径分布曲線における(P1)の粒子径は、好ましくは0.1〜4μm、さらに好ましくは0.1〜3.5μm、特に好ましくは0.2〜3μm、とりわけ好ましくは0.3 〜2μmである。また、超音波測定法で測定される粒子径分布曲線における(P1)の粒子径は、好ましくは0.1〜4μm、さらに好ましくは0.3〜3μ m、特に好ましくは0.4〜2μmである。(P1)の粒子径が4μm以下であれば、経日で粒子が沈降を起こしにくく、保存安定性が向上する。
【0099】
(P1)の粒子径と、(P2)の粒子径の比は、光子相関法においても超音波測定法においても、好ましくは2/1〜100/1、さらに好ましくは2.2/1〜20/1、特に好ましくは2.5/1 〜15/1である。この比が少なくとも2/1であれば高濃度でも低粘度を保つ傾向にあり、この比が100/1を越えない範囲であれば保存安定性が良くなる傾向にある。また、(P2)の粒子径は、光子相関法においても超音波測定法においても、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μm、特に好ましくは0.03〜0.2μm、とりわけ好ましくは0.05〜0.2μmである。(P2)の粒子径が0.01μm以上であれば、粘度が低くなる傾向にあり、流動性がさらに良好である。
【0100】
また、光子相関法においても超音波測定法においても、粒子径分布曲線の(P1)を含む山形と(P2)を含む山形との間には少なくとも1つ以上の谷が存在し、そのうちの最も低い谷の高さ(例えば、図1中の谷1、図2中の谷2の高さ)は、好ましくは(P2)の高さの80%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは30%以下である。この谷の高さが(P2)の高さの80%以下であれば、十分に低粘度の水性分散体が得られる。
【0101】
また、(P1)を含む山形を与える粒子を形成する樹脂[以下(P1)を形成する樹脂と略記]および(P2)を含む山形を与える粒子を形成する樹脂[以下(P2)を形成する樹脂と略記]のうち少なくとも一方は、ディビス法による原子団固有の基数が0.3以上(さらに好ましくは1.5以上とくに2以上)の親水基(Q)を有することが好ましい。親水基Qには、前述の自己乳化性の(U)で例示したイオン性基(アニオン性基、カチオン性基など)および非イオン性基が含まれる。好ましいのはアニオン性基とくにカルボ キシル基のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)およびスルホン酸基のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)である
【0102】
基数が0.3以上のQを有する樹脂であれば、特に(P2)を形成する樹脂の水性分散体を製造する際に、少量の界面活性剤の使用で分散できるので、乾燥後の塗膜の耐水性が向上する傾向にあり、基材との密着性が向上する傾向が見られる。また、界面活性剤を使用しない場合であっても、機械的剪断力を大きく変える必要が無く、目的の水性分散体を得ることができる。
また、(P1)を形成する樹脂と(P2)を形成する樹脂における樹脂中のQの含有量は、樹脂の重量に基づいて、好ましくは0.02〜30%とくに0.05〜15%であり、(P1)と(P2)を形成する樹脂におけるQの含有量の差が0.1%以上であることが好ましい。Qがイオン性基の場合、Qの含有量の差は更に好ましくは0.3〜10%とくに0.5〜3%である。Qが非イオン性基の場合は、Qの含有量の差は更に好ましくは0.5〜20%とくに1〜10%である。Qの含有量は、仕上った樹脂に対する、樹脂の製造工程で仕込んだQの合計を計算して求めることができる。
【0103】
(P1)と(P2)を構成する樹脂の比は通常10/90〜95/5、好ましくは50/50〜90/10である。(P1)と(P2)を構成する樹脂の合計は、全ての樹脂の合計重量に基づいて、好ましくは30〜100%とくに50〜100%である。
【0104】
水性分散体において、分散媒として用いられるものは、通常、水、親水性有機溶剤が挙げられ、親水性有機溶剤としては、前記(a214)で挙げた有機溶剤のうち、水に対する溶解度が30g以上/100g水のもの、例えば1価 アルコール(メタノール、エタノール、i−プロパノールなど)、グリコール類(EG、PG、ジエチレングリコールなど)、3価以上のアルコール(GL など)、セロソルブ類(メチルおよびエチルセロソルブなど)等が挙げられる。分散媒のうち、好ましいものは水性媒体とくに水である。親水性有機溶剤を併用する場合は、通常、分散媒合計に基づいて、親水性有機溶剤は10%以下が好ましい。
【0105】
本発明の水性分散体は、以下に説明する塗料、コーティング剤、接着剤、粘 着剤および繊維加工剤などの用途に使用できる。
【0106】
本発明の水性分散体は、塗料(コーティング剤)において、バインダー成分 として用いることができ、通常は水性塗料に適用される。
この用途に好ましいのは(U)、(E)、(M)および(D)である。
【0107】
塗料には、塗膜性能を向上させる目的で架橋剤を含有させることができる。架橋剤には、下記の(x1)〜(x4)が含まれる。
(x1)水溶性または水分散性のアミノ樹脂、例えば(アルコキシ)メチロール基および/またはイミノ基を含有するメラミン樹脂および尿素樹脂[好ましいのはメチロール基および/またはイミノ基を含有するメラミン樹脂];
(x2)水溶性または水分散性のポリエポキシド、例えばビスフェノールA型グリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型グリシジルエーテル、ポリオール[前記(a221)(EG、GL、TMP、ソルビトールなど)、およびそれらのAO(C2〜3)付加物(PEGなど)]のグリシジルエーテル、および乳化剤(前述の界面活性剤など)を添加して水分散性を付与したポリエポキシドなど[好ましいのは多価アルコールのグリシジルエーテル、とくにソルビトールポリ(ジ−〜ヘキサ)グリシジルエーテルおよびGLポリ(ジ−およびトリ)グリシジルエーテル];
(x3)水溶性または水分散性のポリイソシアネート化合物、例えば分子中に親水基(ポリオキシエチレン鎖など)を有するポリイソシアネート[「コロネート3062」および「コロネート3725」(日本ポリウレタン工業社製)など]、およびブロックドポリイソシアネート[前記(a1)(イソシアヌレート変性IPDIなど)をブロック化剤(米国特許第4524104号明細書に記載のフェノール類、活性メチレン化合物、ラクタム、オキシム、ビサルファイト、3級アルコール、芳香族2級アミン、イミドおよびメルカプタン:た とえばフェノール、MEK、ε−カプロラクトンなど)でブロックしたもの];(x4)その他、ポリエチレン尿素(ジフェニルメタン−ビス−4,4’− N,N’−エチレン尿素など)。
架橋剤の添加量は、水性分散体の固形分重量を基準として、通常0〜30%、好ましくは0.1〜20%である。
【0108】
塗料には、必要によりその他の添加剤、例えば顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤および凍結防止剤など1種または2種以上を添加することができる。
【0109】
顔料には、無機顔料、例えば白色顔料(チタン白、亜鉛華、リトポン、鉛白など)、透明性白色顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウムなど)、黒色顔料(カーボンブラック、動物性黒、鉛丹など)、灰色顔料(亜鉛末、スレート粉など)、赤色顔料(ベンガラ、鉛丹など)、茶色顔料(アンバー、酸化鉄粉、バンダイク茶など)、黄色顔料(黄鉛、ジンククロメート、黄酸化鉄など)、緑色顔料(クロム緑、酸化クロム、ビリジアンなど)、青色顔料(群青、紺青など)、紫色顔料(マルス紫、淡口コバルト紫など)およびメタリック顔料(アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレーク、雲母状酸化鉄、マイカフレークなど);並びに有機顔料、例えば天然有機顔料(コチニール・レーキ、マダー・レーキなど)、および合成系有機顔料たとえばニトロソ顔料(ナフトール・グリンY、ナフトール・グリンBなど)、ニトロ顔料(ナフトール・イエローS、ピグメント・クロリン、リトール・ファスト・イエローGGなど)、顔料色素型アゾ顔料(トルイジン・レッド、ハンサ・イエロー、ナフトールAS−Gなど)、水溶性染料からつくるアゾレーキ(ペルシャ・オレンジ、ポンソー2R、ビルドーBなど)、難溶性染料からつくるアゾレーキ(リソール・レッド、ボーン・マルーン、レッド・レーキなど)、塩基性染料からつくるレーキ(ファナル・カラーなど)、酸性染料からつくるレーキ(アシッド・グリーン・レーキ、ピーコック・ブルー・レーキなど)、キサンタン・レーキ(エオシンなど)、アントラキノンレーキ(アリザリン・レーキ、プルプリン・レーキなど)、バット染料からの顔料(インジゴ、アルゴン・イエローなど)、フタロシアニン顔料(フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンなど)が含まれる。
【0110】
顔料分散剤には、前述の乳化剤乳化型の樹脂水性分散体において乳化剤として挙げた各種の界面活性剤[アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性系、高分子系(Mn=1,000〜20,000)]が含まれる。
粘度調整剤には、増粘剤、たとえば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイトなど)、セルロース系粘度調整剤(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなど、Mwは通常20,000 以上)、タンパク質系(カゼイン、カゼインソーダ、カゼインアンモニウムなど)、アクリル系(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウムなど、Mwは通常20,000以上)、およびビニル系(ポリビニルアルコールなど、Mwは通常20,000以上)が含まれる。アクリル系、ビニル系が好ましい。
消泡剤には、長鎖アルコール(オクチルアルコールなど)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレートなど)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、弗素変性シリコーンなど)など;防腐剤には、有機窒素硫黄化合物系、有機硫黄ハロゲン化合物系防腐剤など;劣化防止剤および安定化剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤など)には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など;凍結防止剤には、EG、PGなどが含まれる。
これらの成分の配合量は、用途によって異なるが、一般に、顔料系塗料の場合、顔料100部に対して、樹脂水性分散体10〜300部(固形分)、粘度調整剤0〜5部、消泡剤0〜5部、防腐剤0〜5部、劣化防止剤または安定化剤0〜5部、凍結防止剤0〜5部である。また、クリア系塗料においては、樹脂水性分散体100部(固形分)に対して、通常、消泡剤0〜3部、防腐剤0 〜3部、紫外線防止剤0〜3部、凍結防止剤0〜8部である。
【0111】
顔料系水性塗料は、本発明の樹脂水性分散液に顔料分散剤を混合し、それに顔料を加えて分散させ、必要によりその他の添加剤を配合し、未分散物を濾別する方法などにより製造することができる。上記の分散には、分散機(アトライザー、ビーズミル、三本ロール、ボールミルなど)を用いることができる。
【0112】
本発明の水性分散体からなる塗料は、通常の塗装手段(スプレー塗装、ハケ塗り、ロール塗装など)で塗装することができる。塗料の粘度は、塗装方法に 応じて適宜選択される。例えば、スプレー塗装の場合は、好ましくは剪断速度1000s-1における粘度は20〜50mPa・s、剪断速度10s-1における粘度は180〜280mPa・sである。剪断速度1000s-1における粘度が50m Pa・s以下であればスプレーから噴射されやすく、剪断速度10s-1における粘度が180mPa・s以上であるとタレが起こりにくい。これらの粘度は、ハイシアビスコメーター(日本精機社製「HSV−2」)で測定される。
本発明の水性分散体からなる塗料は、被塗装体に直接またはプライマーを介して塗装することができ、また単層もしくは多層(2〜8層)の重ね塗りが可能であり、下塗り、中塗りおよび上塗りのいずれにも使用できる。被塗装体には、木材、紙、皮革、金属(アルミニウム、鉄、銅、各種合金など)、プラスチック(塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂など)、無機質材料( コンクリート、スレート、ケイ酸カルシウム板など)が含まれる。被塗装体の形態には、フィルム、繊維、不織布、シート、板、棒、パイプ、ブロック状、 各種成型体、構築物などが含まれる。
【0113】
本発明の水性分散体からなる塗料は、各種塗料およびコーティング剤(自動車用の上塗り、中塗りおよび下塗り塗料、建材用塗料、金属類の防錆コーティング、金属および樹脂などの防傷コーティング、紙や皮革などの耐水性コーティング、耐溶剤性コーティングおよび防湿性コーティング、並びに床面のつや出しコーティングなど)、各種バインダー(自動車塗料用バインダー、外壁塗装用バインダー、塗工紙用バインダー、およびセラミック用バインダーなど)に有用である。塗料の塗布量は、用途・目的によって異なるが、水性塗料そのもの(ウエット状)として、通常0.5〜1,000g/m2、好ましくは1〜300g/m2である。
塗装後の乾燥条件は常温から200℃程度である。乾燥方式は特に限定されず、例えば熱風、赤外線、電熱ヒーターなどが用いられる。
【0114】
本発明の水性分散体は、接着剤において、主剤として用いることができる。
この用途に好ましいのは(U)、(E)、(M)およびエポキシ樹脂である。
【0115】
接着剤には、接着機能をより発現する目的で架橋剤を添加することができ、また必要に応じてその他の添加剤、例えば顔料、顔料分散剤、粘度調製剤、安定化剤、防腐剤および凍結防止剤などを加えることができる。これらの架橋剤および添加剤には、上記塗料において例示したと同様のものが含まれる。
水性分散体と架橋剤の固形分比は、通常50〜99:1〜50、好ましくは 70〜97:3〜30である。架橋剤の比率が1以上であれば十分な接着強度および耐久性が得られ、50以下であれば接着物が脆くなることは少なく好ましい。水性分散体と架橋剤の混合方法は、特に規定されず通常の撹拌による混合や混合装置(ペイントコンディショナー、ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、フラットストンミルなど)を用いる方法があげられる。
【0116】
接着剤を被着体へ適用する手段には、ハケ塗り、ロール塗り、スプレー塗り、流し塗り、浸漬などが含まれる。接着は、一方の被着体に接着剤を適用し、これをそのまま(乾燥せずに)他方の被着体と張り合わせる(ウェット接着)か、又は乾燥させた後に他方の被着体と張り合わせて(ドライ接着)、接着剤層を硬化させることにより、行うことができる。また、接着剤の乾燥フィルムを被着体の間に介在させて、硬化させることにより、接着させることもできる。硬 化は、常温あるいは加熱下(例えば60〜80℃程度)で養生するか、常温で養生した後60〜80℃程度に加熱して硬化を促進することにより、行うことができる。被着体はとくに限定されず、木材、樹脂フィルム、ゴム、皮革、紙、金属などの基体に幅広く使用することができる。
本発明の水性分散体からなる接着剤は、例えば木工用接着剤、金属部品用接着剤、プラスティック用接着剤、電子基盤用接着剤および布用接着剤に有用である。
【0117】
本発明の水性分散体は、繊維加工用のバインダー(顔料捺染用バインダー、不織布用バインダー、補強繊維用集束剤、抗菌剤用バインダーなど)やコーティング(防水コーティング、撥水コーティング、防汚コーティングなど)、人工皮革・合成皮革用原料などに幅広く使用することができる。
【0118】
顔料捺染用バインダーに好ましいのは(U)、(E)および(M);不織布用バインダーに好ましいのは(U)、(E)および(M);補強繊維用集束剤に好ましいのは(U)、(E)、(M)およびエポキシ樹脂;抗菌剤用バインダーに好ましいのは(U)、(E)および(M);コーティングに好ましいのは(U)、(E)および(M);人工皮革・合成皮革用原料に好ましいのは(U)である。
顔料捺染用バインダーとして使用する場合、水性分散体には、必要に応じて乳化剤、安定化剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤など)、増粘剤、造膜助剤、およびその他助剤の1種または2種以上を添加することができる。乳化剤には前 述の乳化剤と同様のものが含まれる。特にアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が好ましい。安定化剤および増粘剤には、前記塗料において例 示したと同様のものが含まれる。造膜助剤にはN−メチル−2−ピロリドンなど;その他助剤には捺染適性付与剤、ガムアップ防止剤などが含まれる。
顔料捺染は、通常の顔料捺染と同様にして布帛への印捺して行うことができる。具体的には、例えば、カラーペースト(顔料を水中に細かく均一に分散させたもの)、本発明の水性分散体、増粘剤、その他助剤などを配合して捺染糊を調製し、次いでこれを布帛類に印染する。配合には櫂型混合槽などが用いら れる。印染には、オートスクリーン捺染機、ロータリースクリーン捺染機、ローラー捺染機などを用いることができる。布帛には、天然繊維(木綿、麻、羊毛、絹など)、半合成繊維(レーヨン、アセテートなど)、合成繊維(ポリエステル、ポリアミド、ポリAN、ポリオレフィンなど)などが使用できる。
【0119】
補強繊維用集束剤として使用する場合に適用する補強用繊維には、英国特許第1543099号明細書の無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維など)および高強力有機繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維など)が含まれる。
ガラス繊維用集束剤として使用する場合、本発明の水性分散体には、必要に応じ、シランカップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)、 潤滑剤(脂肪酸アミド、石けんなど)、帯電防止剤(前記界面活性剤など)、 可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステルなど)、消泡剤(前記のもの)などの添加剤の1種または2種以上を添加することができる。
集束剤は、他の集束剤と併用してもよく、その例にはデンプン、加工デンプン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、水性ポリエステル樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル系樹脂などが含まれる。水性分散体と任意の添加剤を配合して処理液を作成し、繊維に適用し、必要に応じ加熱して乾燥させて固着させる。配合には混合槽(櫂型など)が用いられる。処理液の濃度は通常1〜10%である。繊維への適用は、ローラー塗布、スプ レー塗布、含浸塗布などで行われる。繊維への付着量は通常0.1〜10%である。乾燥、固着は、例えば50〜100℃の温風で行うことができる。
【0120】
抗菌剤用バインダー、コーティング、人工皮革・合成皮革用原料として用いる場合の、添加剤、処理液の濃度、繊維への適用手段、繊維への付着量、処理条件などは、上記と同様でよく、用途に応じて適宜採択することができる。
【0121】
【実施例】
以下、実施例および製造例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されたものではない。以下において部は特に断りのない限り重量基準である。
なお、粘度の測定は、特に限定しない場合は、25℃においてTOKIMEC(株)社製回転式粘度計(60rpm)により行った。
【0122】
製造例1[ウレタンプレポリマー(u1)の製造];
温度計、撹拌機、およびガス吹き込み管を備えたオートクレーブに、PMPA(Mn=2,000)73部、BD3部、ジメチロールプロピオン酸5部、アセトン5部、IPDI34部を仕込み、容器の気相部を窒素置換してから密閉し、撹拌しながら温度80℃にてウレタン化を行った後、40℃まで冷却し、アセトン36部、トリエチルアミン4部を加えて密閉し、十分均一にしてウレタンプレポリマー溶液(u1)を得た。
【0123】
製造例2[ウレタンプレポリマー(u2)の製造];
ジメチロールプロピオン酸の仕込量を2部、IPDIの仕込量を33部、トリエチルアミンの仕込量を2部にした以外は製造例1と同様にして、ウレタンプレポリマー溶液(u2)を得た。
【0124】
製造例3[ウレタンプレポリマー(u3)の製造];
PMPAの代わりにポリテトラメチレングリコールジオール(Mn=2,000)を使用し、BDの仕込量を5部、IPDIの仕込量を33部にした以外は製造例1と同様にして、ウレタンプレポリマー溶液(u3)を得た。
【0125】
製造例4[ウレタンプレポリマー(u4)の製造];
ジメチロールプロピオン酸の仕込量を2部とし、トリエチルアミンの仕込量を2部とした以外は製造例3と同様にして、ウレタンプレポリマー溶液(u4)を得た。
【0126】
製造例5[ウレタンプレポリマー(u5)の製造];
PMPAの代わりにPHCD(Mn=2,000)を使用し、IPDIの仕込量を25部とし、BDを使用しなかったこと以外は製造例1と同様にして、ウレタンプレポリマー溶液(u5)を得た。
【0127】
製造例6[ウレタンプレポリマー(u6)の製造];
ジメチロールプロピオン酸の仕込量を2部とし、トリエチルアミンの仕込量を2部とした以外は製造例5と同様にしてウレタンプレポリマー溶液(u6)を得た。
【0128】
製造例7[ウレタンプレポリマー(u7)の製造];
PHCD73部の代わりにPCLD(ダイセル化学工業(株)製、商品名「PLACCEL L220AL」)99部を使用し、ジメチロールプロピオン酸の仕込量を2.8部、ウレタン化工程でのアセトンの仕込量を54部、IPDIの仕込量を24部、冷却後のアセトンの仕込量を50部、トリエチルアミンの仕込量を2部にしたこと以外は、製造例5と同様にして、ウレタンプレポリマー溶液(u7)を得た。
(u1)〜(u7)の固形分当たりのNCO含量を表1に示す。
【0129】
【表1】
Figure 0003967596
【0130】
製造例8〜13[ポリウレタン樹脂水性分散体(U1〜U6)の製造];
回転子−固定子式方式の機械乳化機であるクリアミックスCLM−0.8S(エムテクニック社製)を用い、回転数7,000〜9,000rpmで回転する回転子−固定子内に、(u1)を45部/分および水を45部/分の速度で連続的に供給して室温で分散を行った。滞留時間は2分であった。攪拌機の付いた受槽に貯えられた水性分散体に対して、(u1)のイソシアネート基の当量のエチレンジアミンを加え、30℃で30分間撹拌して実質的にイソシアネート基が無くなるまで鎖伸長反応させた後、アセトンを減圧で留去した。その後、アセトンと共に留去された水と同量の水、およびアセトンと共に留去されたトリエチルアミンと同量のトリエチルアミン をそれぞれ添加し、本発明の水性分散体(U1)を250部得た。
(u1)の代わりに(u3)または(u5)を使用した以外は(U1)の製造と同様にして、水性分散体(U3)および(U5)をそれぞれ得た。また、(u1)の代わりに、(u2)、(u4)または(u6)を使用し、乳化後の鎖伸長反応を水で50℃で12時間行なったこと以外は、(U1)の製造と同様にして、水性分散体(U2)、(U4)および(U6)をそれぞれ得た。
【0131】
製造例14[ポリウレタン樹脂水性分散体(U7)の製造];
予め水125部を仕込んだ、温度計、撹拌機および冷却管を備えた四口フラスコの中に、230部の(u7)を高速撹拌下に投入し分散を行った。得られた水性分散体に、さらにエチレンジアミン2部を水2部に溶解した溶液4部を添加し、40℃にて12時間撹拌し、分子末端のイソシアネート基を鎖伸長反応させ、アセトンを減圧留去した後、アセトンと共に留去された水およびトリエチルアミンと同量の水およびトリエチルアミンをそれぞれ添加し、水性分散体(U7)を得た。
【0132】
製造例15[ポリエステル樹脂水性分散体(E1)の製造];
温度計、撹拌機、水分離管およびガス吹き込み管を備えた四ツ口フラスコに、トルエン4部、MIBK2部、BEPD11部、HD8部、PE1部、セバシン酸14部、およびイソフタル酸12部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ撹拌しながら温度180℃にて脱水エステル化を行った後、この溶液をトリエチルアミン1部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレンの数40)1部と水80部の入った四つ口フラスコに高速撹拌下導入し、さらにトルエン、MIBKを減圧留去し、水性分散体(E1)を得た。
【0133】
製造例16[アクリル樹脂水性分散体(M1)の製造]:
MMA15部、EHMA32部、BA30部、AN5部、ST10部、重合性乳化剤アントックスMS−60(日本乳化剤(株)製)8部と水100部に混合し、単量体分散液を得た。次に温度計、撹拌機、圧力計、単量体溶液導入口、開始剤溶液導入口および窒素ガス吹き込み管を備えたオートクレーブに、水35部、アントックスMS−60(日本乳化剤(株)製)8部、過硫酸アンモン5部、リン酸水素2アンモニウム0.4部を仕込み、容器内を窒素置換した後、撹拌しながら75〜85℃で上記の単量体分散液を6時間かけて滴下した後、同温度で撹拌を3時間継続し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1部を添加して同温度で2時間撹拌を継続し、水性分散体(M1)を得た。
製造例8〜16で得られた各水性分散体を構成する合成樹脂のHLBおよび親水基含量、並びに各水性分散体の濃度および粘度を表2に示す。
【0134】
【表2】
Figure 0003967596
【0135】
実施例1〜5、比較例1〜3;(U1)〜(U6)、(E1)および(M1)のうちの2種または1種を、それぞれ固形分で表3の配合部数で配合し、30分間撹拌後、エバポレーターで温度60℃で濃縮し、表5に示す固形分濃度65%の本発明の水性分散体を得た。また、これらの水性分散体の粒子径分布を光子相関法で測定し、(P1)を含む山形および(P2)を含む山形の平均粒子径、変動係数、歪度および突度を算出し、その結果を表4に示し、また(P1)と(P2)の粒子径の比、(P1)と(P2)のの高さの比などを表5に示した。
【0136】
【表3】
Figure 0003967596
【0137】
【表4】
Figure 0003967596
【0138】
【表5】
Figure 0003967596
【0139】
実施例6[ポリウレタン樹脂水性分散体(UU4)];
回転数9,000rpmで回転させた回転子−固定子式分散機[エバラマイルダー(荏原製作所(株)製]内に、(U1)を380部/分、および(u2)を550部/分の速度で同時に連続的に2分間供給して室温で分散させて1,860部の水性分散体を得た。この水性分散体を、温度計、撹拌機および冷却管を備えた四口フラスコに仕込み、鎖伸長剤としてエチレンジアミンの10%水溶液100部を加えて、30℃にて1時間撹拌し、分子末端のイソシアネート基を伸長反応させた後、アセトンを減圧留去し、固形分濃度65%の本発明の水性分散体(UU4)を得た。
【0140】
実施例7[ポリエステル/ポリウレタン樹脂水性分散体(EU2)];
(U1)の代わりに(E1)を380部/分、(u2)の代わりに(u1) を80部/分の速度で同時に連続的に2分間供給し、エチレンジアミンの10 %水溶液の仕込量を23部としたこと以外は実施例6と同様にして、固形分濃度65%の本発明の水性分散体(EU2)を得た。
【0141】
実施例8[アクリル/ポリウレタン樹脂水性分散体(MU2)];
(U1)の代わりに(M1)を170部/分で供給したこと以外は実施例6と同様にして、固形分65%の本発明の水性分散体(MU2)を得た。
【0142】
実施例9[ポリウレタン樹脂水性分散体(UU5)];
膜分散モジュール(伊勢化学工業(株)製)に細孔径0.05μm、10φ×125mmのSPG膜(シラスポーラスガラス膜:SPGテクノ社製)を装着し、SPG膜内部を(U2)が20部/分で通過するよう流量調整を行った中に、SPG膜外部から、(u1)40部を、円筒の外から背圧(0.8MPa)を利用し4.6部/分で供給し、SPG膜の多孔質の孔を通り、内部の(U2)に接触させ、(u1)を分散させた。その後、温度計、撹拌機、冷却管を備えた四口フラスコの中でさらに50℃にて12時間撹拌し、分子末端のイソシアネートを水で伸長反応させた後、アセトンを減圧留去し、固形分濃度65%の本発明の水性分散体(UU5)を得た。
【0143】
実施例10[ポリウレタン樹脂水性分散体(UU6)];
回転数12,000rpmで回転させた実施例6と同様の分散機「エバラマイルダー」内に、水を146部/分および(u1)を184部/分の速度で10分間連続的に供給して分散液を製造し、製造された分散液を引き続き回転数 9,000rpmで回転させた実施例6と同様の2機目の分散機「エバラマイルダー」に330部/分および(u2)を550部/分の速度で10分間連続的に供給した。得られた水性分散体(8,800部)を、温度計、撹拌機、冷却管を備えた四口フラスコの中に仕込み、鎖伸長剤としてエチレンジアミンの10%水溶液1,000部を加えて、30℃にて1時間撹拌し、分子末端のイソシアネート伸長反応させた後、アセトンを減圧留去し、固形分濃度65%本発明の水性分散体(UU6)を得た。
【0144】
比較例4
実施例6で使用したのと同様の分散機を用い、回転数9,000rpmで回転している分散機内に、(u1)を550部/分および水を500部/分の速度で同時に連続的に2分間供給して分散させて、水性分散体(4a)を1,050部得た。(4a)のうちの525部をさらに同じ分散機で回転数12,000rpmで500部/分の速度で1分間供給して分散し、水性分散体(4b)を得た。温度計、撹拌機および冷却管を備えた四口フラスコの中で、(4a)および( 4b)を固形分比で(4a)/(4b)=75/25になるように配合し、鎖伸長剤としてエチレンジアミンの10%水溶液100部を加えて、30℃にて1時間撹拌し、分子末端のイソシアネート基を伸長反応させた後、アセトンを減圧留去し、固形分濃度65%の比較例4の水性分散体(HU4)を得た。
【0145】
比較例5
(u1)を(u2)に代えたこと以外は、比較例4と同様にして固形分濃度65%の比較例5の水性分散体(HU5)を得た。
以上の実施例6〜10、並びに比較例4および5で得られた水性分散体の粒子径分布を光子相関法で測定し、解析した結果を表6および表7に示した。
さらに、これらの水性分散体の粘度を表7に示した。
【0146】
【表6】
Figure 0003967596
【0147】
【表7】
Figure 0003967596
【0148】
また、超音波測定法で測定し、解析した結果を表8および表9に示した。
【0149】
【表8】
Figure 0003967596
【0150】
【表9】
Figure 0003967596
【0153】
さらに、これらの水性分散体の経日安定性を下記の評価方法で評価した結果を表11に示した。
【0154】
経日安定性の評価方法:水性分散体80mlを、内径2.5cm、容積100mlのガラス製沈降管に採り、25℃で保管した。1日に1回外観をチェックし、分離界面が現れるまでの日数で評価した。90日経過後も分離しないものは90日以上と記載した。
【0155】
【表11】
Figure 0003967596
【0156】
本発明で得られた水性分散体は、65%を越える高固形分濃度でありながら低粘度を示し、且つ経日安定性が良好である。
【0157】
実施例11
ビーカーに(UU1)300部をとり、ここにイオン交換水165部、顔料分散剤としてキャリボンL−400(三洋化成工業社製)0.1部を加え、プロペラ型撹拌翼を用い、回転数300rpmで15分間撹拌混合する。ついで、ビーズミル容器にこの混合溶液を移し、顔料としてエマコールNS WHITE A426(山陽色素社製)を60部、消泡剤としてノプコ8034L(サンノプコ社製)0.1部、架橋剤としてサイメル325(三井サイアナミッド社製)75部を加え、直径1mmのジルコニウム製ビーズを250部加え、2時間振とうした後、ビーズを除去して、固形分濃度55%の水性塗料を得た。ハイシアビスコメーター(日本精機社製「HSV−2」)でシアレート1000s-1と10s-1での粘度を測定した。
上記で作製した水性塗料を、8cm×15cmの厚さ1.0mmのアルミニウム板に、スプレーガンを使用して、背圧2.0Kg/cm2にてスプレー塗装した。厚さは200μm(ウエット状)に塗工し、順風乾燥機を用い80℃で 乾燥した。乾燥開始後1分経過ごとにその重量を測定し、乾燥後の塗膜重量の変化率が0.1%以下になった時間(乾燥完了時間)と、その後、室温まで冷却し、接触式デジタル膜厚計(OZAKI MGG.社製「GS−10」)で塗膜の厚さを測定した。
また、前述の水性分散体と同様の評価方法でこれらの水性塗料の経日安定性を評価した。これらの結果を表12に示す。
【0158】
実施例12〜20
(UU1)に代えて、表12に示した水性分散体を使用した以外は実施例11と同様にして固形分濃度55%の水性塗料を得た。これらの評価結果を表12に示す。
【0159】
比較例6
(UU1)に代えて、(HU1)を使用したこと以外は、実施例11と同様にして固形分濃度55%の水性塗料を得た。この塗料のシア速度1000s-1 における粘度は60mPa・sであり、スプレー塗装するには粘度が高すぎるため、イオン交換水をさらに加えて固形分濃度を40%に調整した水性塗料を得た。 これの評価結果を表12に示す。
【0160】
比較例7〜10
(UU1)に代えて、(HU2)〜(HU5)をそれぞれ用いて、実施例11と同様にして固形分濃度55%の水性塗料を得た。これらの塗料のシア速度1000s-1における粘度は45〜58mPa・sであり、スプレー塗装するには粘度が高すぎるため、イオン交換水をさらに加えて固形分濃度を40%に調整し水性塗料を得た。これらの評価結果を表12に示す。
【0161】
比較例11
(UU1)の代わりに(HU4)を使用したこと以外は実施例11と同様にして、固形分濃度55%の水性塗料を得た。
この塗料のシア速度1000s-1における粘度と、シア速度10s-1における粘度を最適なものに調整するためには、さらにイオン交換水を添加することと、粘度調整剤としてSNシックナーA−636(サンノプコ社製)4.0部の添加が必要であり、最終的に固形分濃度は20%の水性塗料を得た。この水性塗料の評価結果を表12に示す。
【0162】
比較例12
(HU4)にかえて、(HU5)を使用する以外は比較例11と同様にして、固形分濃度20%の水性塗料を得た。この水性塗料の評価結果を表12に示す。
【0163】
【表12】
Figure 0003967596
【0164】
表12の結果から、本発明で得られた水性塗料は、55%という高固形分濃度でありながら、高シアおよび低シアでの粘度がこれまでの濃度が20%の水性塗料に粘度調整剤を添加したものと同等である。したがって、これまでの水性塗料と同レベルの塗装適性を確保しながら、大幅な乾燥速度の向上が図れるとともに、厚塗り塗装が可能となる。
【0165】
【発明の効果】
本発明で得られた水性分散体は、65%を越える高濃度でありながら低粘度を示し、且つ経日安定性が良好である。また、本発明の水性分散体を用いた塗料、接着剤、粘着剤および繊維加工処理剤などは、高濃度でありながら、保存安定性に優れている。
塗料の場合はさらに塗装適性にも優れており、高濃度であるために大幅な乾燥速度の向上が図れるとともに、厚塗り塗装が可能となり大きな生産性向上に寄与するものである。
また、接着剤の場合は、高濃度でも低粘度であるために接着基材への浸透が早く、速乾性の接着剤が得られる。また、ドライラミネート用接着剤の場合は、乾燥時間が短縮されるのでラミネート工程の生産性向上が図れる。
また、繊維加工処理剤のうち、顔料捺染用バインダーの場合は、高濃度のために肉やせが起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】2つの山形を有する場合の粒子径分布の例を表す。
【符号の説明】
1 山形
2 ピーク(P1)
3 ピーク(P2)
4 谷1
5 ピーク(P1)の粒子径
6 ピーク(P2)の粒子径
【図2】3つの山形を有する場合の粒子径分布の例を表す。
【符号の説明】
7 山形
8 ピーク(P1)
9 ピーク(p2)
10 谷2
11 谷3
12 ピーク(P1)の粒子径
13 ピーク(P2)の粒子径

Claims (9)

  1. 樹脂(A1)および他の樹脂(A2)からなる樹脂の粒子からなる水性分散体であって、(A1)が、ポリアミンをNCO−末端ウレタンプレポリマーの水性分散体に加えて該プレポリマーを鎖伸長させて得られる、ポリウレタン樹脂であり、(A2)がポリエステル樹脂(E)もしくは、ウレタンプレポリマーを(A1)の水性分散体中に導入し、分散させると同時もしくはその後に水による鎖伸長反応をさせるか、又は鎖伸長剤を添加して鎖伸長反応させることにより変換されたポリウレタン樹脂であり;該粒子は、粒子径分布曲線において、少なくとも2つの山形を有し;該山形のうちの少なくとも1つの山形はポリウレタン樹脂の粒子からなり、他の少なくとも1つの山形はポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂からなる樹脂の粒子からなり;該水性分散体は、下記(i)を満たすことを特徴とする、分散体:
    (i)粒子径分布曲線において、ピーク高さが最高のピークと2番目のピークのうちの粒子径が大きい方のピーク(P1)と粒子径が小さい方のピーク(P2)は、2/1〜100/1の範囲内の(P1)のピークトップ粒子径/(P2)のピークトップ粒子径の比、および1/1〜10/1の範囲内の(P1)の高さ/(P2)の高さの比を与え、(P1)と(P2)の双方が0.1〜150%のピークの変動係数、−10〜10の歪度および0〜10の突度を有すること。
  2. (P1)を含む山形および(P2)を含む山形の少なくとも1つが、0.3以上のディビス法による原子団固有の基数を有する親水性基(Q)を含有する樹脂の粒子から与えられる、請求項1記載の分散体。
  3. 該基(Q)がカルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基およびオキシエチレン基からなる群から選ばれる1種以上である、請求項2記載の分散体。
  4. (P1)を含む山形を与える粒子を形成する樹脂と(P2)を含む山形を与える粒子を形成する樹脂が、0.1重量%以上の該基(Q)の含有量の差を有する、請求項2または3記載の分散体。
  5. 樹脂粒子を50〜75重量%の量含有する請求項1〜4のいずれか記載の分散体。
  6. 回転子−固定子方式乳化機、ラインミル方式乳化機、静止管混合式乳化機、振動式乳化機、超音波衝撃式乳化機、高圧衝撃式乳化機、膜乳化式乳化機、遠心薄膜接触式乳化機および錨型撹拌式乳化機から選ばれる少なくとも1種の乳化機を用いて、前駆体が(A1)の水性分散体中に分散される、請求項1〜5のいずれか記載の分散体。
  7. 樹脂が10〜50重量%の(A1)および50〜90重量%の(A2)からなる、請求項1〜6のいずれか記載の分散体。
  8. 該プレポリマーの水性分散体が、回転子−固定子方式乳化機、ラインミル方式乳化機、静止管混合式乳化機、振動式乳化機、超音波衝撃式乳化機、高圧衝撃式乳化機、膜乳化式乳化機、遠心薄膜接触式乳化機および錨型撹拌式乳化機から選ばれる乳化機を用いて形成されている、請求項1〜7のいずれか記載の分散体。
  9. 該ポリアミンと該プレポリマーの鎖伸長反応がバッチ式反応装置で行われる請求項1〜8のいずれか記載の分散体。
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