JP3968314B2 - 保護層形成材の塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主にした表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラや船等で搬送されたりすることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管および搬送の間には、車両の外表面における複数の塗装層のうち、表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、このローラを転がすことによって保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図るとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を注ぎ出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、本出願人は、前記の作業の自動化および塗布品質の均一化に鑑みて、特願2002−381880号に記載された保護層形成材の塗布システムおよび塗布方法を提案した。この特願2002−381880号では、ロボットの操作によるローラによって、車両の外表面に保護層形成材を塗布する工程を自動化し、生産効率を向上させて作業を簡素化するとともに、塗布品質を均一化することを可能にした。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の特願2002−381880号の発明に関連してなされたものであって、車両の表面に保護層形成材を塗布する際に、該保護層形成材をより適切に、かつ効率的に塗布することを可能にする保護層形成材の塗布方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、車両の搬送ラインの近傍に設けられ、先端部に第1塗布部を備えるティーチング動作可能なロボットを有する第1塗布機と、前記搬送ラインの近傍に設けられ、先端部に第2塗布部を備えるティーチング動作可能なロボットを有する第2塗布機と、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記第1および第2塗布部に供給可能な供給機構部と、を用い、前記第1塗布部を介して前記車両の表面の所望箇所に前記保護層形成材を供給する工程と、前記保護層形成材が供給された前記所望箇所に前記第2塗布部を当接させる工程と、供給された前記保護層形成材に当接した前記第2塗布部によって該保護層形成材を塗り延ばすとともに、前記供給機構部から前記第2塗布部に新たな保護層形成材を供給する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法によれば、第1塗布機のロボットに備えられた第1塗布部によって車両の表面の所望箇所に保護層形成材を供給した後、この所望箇所に第2塗布機のロボットに備えられた第2塗布部を当接させてから、該第2塗布部によって保護層形成材を塗り延ばすようにしている。このため、保護層形成材の供給動作と塗布動作とを分担させることが可能になり、車両の表面に対して適切に、かつ効率的に保護層形成材を塗布することができる。
【0010】
また、前記供給機構部から前記第2塗布部に新たな保護層形成材を供給することにより、第1塗布部のみならず、第2塗布部により保護層形成材が供給されるため、より適切に、かつより効率的に保護層形成材を塗布することが可能となる。しかも、第2塗布部において保護層形成材が滞留することがなく十分に馴染ませることができるため、車両の表面に対する保護層形成材の塗りムラ等の発生を阻止することが可能となる。
【0011】
また、前記保護層形成材の材料には、アクリル系コポリマ剤を用いるとよい。これにより、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布方法について、それを実施するための好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、第1の実施形態として塗布システム10を例示して説明する。この塗布システム10は、図1に示すように、車両14の搬送ライン12における搬送方向の上流側から順に、第1塗布ステーションST1、第2塗布ステーションST2および第3塗布ステーションST3からなり、それぞれ塗布装置11a(第1塗布機)、塗布装置11b(第2塗布機)および塗布装置11c(第2塗布機)が配設される。
【0014】
第1塗布ステーションST1の塗布装置11aには、ロボット16が車両14の搬送方向の左右に各1台ずつ配置されている。また、車両14の搬送方向に対しては、左手側のロボット16が前方に配置される一方、右手側のロボット16が後方に配置されている。この場合、各ロボット16は、車両14の車体長と略同等の長さで、かつ搬送ライン12と平行に敷設されたスライドレール30上を移動可能に載置されている。
【0015】
第2塗布ステーションST2の塗布装置11bには、ロボット16が車両14の搬送方向の左手側に2台配置される一方、該搬送方向の右手側に1台配置されている。また、車両14の搬送方向に対しては、ロボット16が、前方、中程、および後方にそれぞれ配置されている。この場合、前記搬送方向の左手側に配置された2台のロボット16は、それぞれ搬送ライン12と平行に敷設された個別のスライドレール30上を移動可能に載置されている。一方、前記搬送方向の右手側に配置された1台のロボット16は、車両14の車体長と略同等の長さで、かつ搬送ライン12と平行に敷設されたスライドレール30上を移動可能に載置されている。
【0016】
なお、前記搬送方向の左手側に配置された2台のロボット16は、同一のスライドレール30上に載置しても構わない。この場合、ロボット16の相互の干渉等を阻止するために、電気的なインターロック制御、および機械的な衝突防止機能を付与するとよい。
【0017】
第3塗布ステーションST3の塗布装置11cには、ロボット16が、車両14の搬送方向の前方寄りに、かつ左右に各1台ずつ配置されている。この場合、各ロボット16は、車両14の車体長と略同等の長さで、かつ搬送ライン12と平行に敷設されたスライドレール30上を移動可能に載置されている。
【0018】
次に、前記塗布システム10に適用される塗布装置11a、11b、11cについて説明する。
【0019】
図2および図3に示すように、塗布装置11a、11b、11cは、搬送ライン12に設けられ、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材Mを塗布するものである。塗布装置11a、11b、11cは、産業用ロボットであるロボット16と、保護層形成材Mが収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16に連通する塗布材管路22と、水供給源24から各ロボット16へ水を供給する水管路26とを有する。各ロボット16は、塗布システム10全体の制御を行う制御部18に接続されたロボットコントローラ28によってそれぞれ制御される。なお、各塗布装置11a、11b、11cにおけるロボット16の台数は任意に設定可能である。
【0020】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材Mを吸い上げて各ロボット16へ供給する。また、保護層形成材Mは、図示しないヒータと温度計とによって適温となるように制御されている。ロボット16の先端部には、それぞれ塗布材管路22を介して保護層形成材Mが供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0021】
保護層形成材Mの材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材Mを用いるとよい。また、保護層形成材Mは、水との混合割合および温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的および物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際、除去する場合等には容易に剥離することができる。
【0022】
図4に示すように、ロボット16は、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44および第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平および垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0023】
このような6軸構成のロボット16の動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16は、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。なお、ローラ機構部34には、ホルダ47によって支持される円筒形状のローラ(塗布部)48が備えられている。このローラ48は、供給された保護層形成材Mを吸収して蓄えるとともに、車両14の表面に当接(密着)することにより該保護層形成材Mを供給し、塗布することが可能である。
【0024】
図5に示すように、ローラ48に保護層形成材Mを供給するための液圧および空圧の複合回路(供給機構部)150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ158と、該レギュレータ158の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ操作弁160とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ操作弁160の2次側管路および水管路26が接続されたMCV(Material Control Valve:供給切換弁)162と、MCV162の2次側とローラ48との間に設けられたトリガー弁164とを有する。MCV162の内部には、塗布材管路22および水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図5の破線は空気圧管路を示す。
【0025】
MCV162、トリガー弁164およびレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0026】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164をパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。MCV切換電磁弁166は制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材Mとを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断状態に切り換えて、ローラ48に水または保護層形成材Mを供給する。
【0027】
塗布材管路22および水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170および172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32および水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。
【0028】
空気圧シリンダ52のボトム側には電磁パイロット式のレギュレータ176を介して減圧した空気が供給される。該レギュレータ176は制御部18によって電気的に操作され、または、所定のダイヤル等により手動で操作されて保護層形成材Mの塗装時に2次側の圧力値を適宜変更可能である。レギュレータ176の2次側は空気圧シリンダ52のボトム側に連通している。空気圧シリンダ52のロッド側の空気はサイレンサ174を介して排出自在となっている。
【0029】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24およびポンプ32は、各ロボット16に共通である一方、それ以外の機器は個別に備えられている。
【0030】
このように構成される第1の実施形態に係る保護層形成材Mの塗布システム10の動作および作用効果について、本発明に係る塗布方法との関連において説明する。
【0031】
まず、予め、塗布装置11a、11b、11cにおける各ロボット16に対して保護層形成材Mの供給動作あるいは塗布動作の教示を行う。ロボット16に車両14のボンネット部14a、ルーフ中央部14b、ルーフ後方部14cおよびフロントフェンダ部14d等に対応させて分担決めを行い、各ロボット16に保護層形成材Mを供給させるか、あるいは塗布させるように教示する。また、例えば、ウォッシャーノズル孔14eやサンルーフ孔14f等、あるいはフロントガラス等の開口部14g等は、塗布しないように教示する。これらの教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく(図1および図2参照)。なお、車両14が、例えば、セダン型であるときには、車両14に対して後方側に配置されたロボット16はトランク部を分担する。
【0032】
制御部18は、教示された前記ティーチングデータに基づいて、塗布装置11a、11b、11cの各ロボット16による保護層形成材Mの供給動作あるいは塗布動作を制御する。これにより、塗布システム10に搬送された車両14に対して保護層形成材Mが塗布される。
【0033】
図6に示すように、第1塗布ステーションST1では、塗布装置11aの各ロボット16に備えられたローラ(第1塗布部)48による保護層形成材Mの供給動作によって、車両14の表面の所望箇所、この場合、ボンネット部14aの略中央部およびルーフ中央部14bに保護層形成材Mを供給する。
【0034】
次いで、図7に示すように、第2塗布ステーションST2では、塗布装置11bの各ロボット16に備えられたローラ(第2塗布部)48を車両14の表面の前記所望箇所に供給された保護層形成材Mに当接させた後、該ローラ48による塗布動作によって、車両14の表面に供給された保護層形成材Mを所定の範囲に塗り延ばす。
【0035】
この場合、新たな保護層形成材Mを前記ローラ48に供給するようにしてもよい。これにより、前記第1塗布ステーションST1において供給された保護層形成材Mが不十分であったとしても、この第2塗布ステーションST2において補うことが可能である。また、このローラ48に新たな保護層形成材Mを僅かでも供給することにより、該ローラ48において保護層形成材Mが滞留することがなく十分に馴染ませることができるため、車両14の表面に対する保護層形成材Mの塗りムラ等の発生を阻止することが可能となる。
【0036】
なお、車両14のルーフ中央部14bおよびルーフ後方部14cは平面部分が多いので、比較的容易にロボット16の塗布動作を行うことが可能である。このため、車両14のルーフ中央部14bおよびルーフ後方部14cに対しては、この第2塗布ステーションST2において塗布動作を完了させてもよい。
【0037】
続いて、図8に示すように、第3塗布ステーションST3では、第2塗布ステーションST2において塗り延ばされた前記保護層形成材Mをさらに塗り延ばすとともに、仕上げ塗りを行う。あるいは、この第3塗布ステーションST3において、第1および第2塗布ステーションST1、ST2では保護層形成材Mを十分に塗布することが困難である、例えば、ボンネット部14aからフロントフェンダ部14dに対して重点的に保護層形成材Mの供給動作および塗布動作を行うようにしてもよい。このボンネット部14aからフロントフェンダ部14dにかけては、車両14の中でも特に曲面部分が多く、かつ車両14の前方に向かって傾斜している場合が多いので、ロボット16が塗布動作を行うことが比較的困難であるためである。
【0038】
なお、この塗布システム10では、第1、第2および第3塗布ステーションST1、ST2およびST3において、塗布装置11a、11bおよび11cの各ロボット16を前述したように配置しているが(図1参照)、これに限定されるものではなく、車両14のタイプ(例えば、セダン、クーペ、ステーションワゴン等)、車両14の形状(例えば、表面の凹凸や曲面の程度、孔の位置や大きさ、リアスポイラの有無等)、および車両14の生産数量等の変化に対応させて、該ロボット16を適宜配置することが可能である。
【0039】
その際、前記の変化に応じて塗布装置11a、11b、11cにおける各ロボット16の塗布動作を教示させておけばよい。これにより、制御部18は、塗布システム10の搬送ライン12から保護層形成材Mを塗布すべき車両14のタイプ、形状および生産数量等の車両情報を示す信号を受信し、この信号に基づいて教示データを選択して塗布装置11a、11b、11cの各ロボット16を制御することができる。
【0040】
このように、第1の実施形態に係る塗布システム10、およびこの塗布システム10を用いた保護層形成材Mの塗布方法によれば、塗布装置11aのロボット16に備えられたローラ48によって車両14の表面の所望箇所に保護層形成材Mを供給した後、この所望箇所に塗布装置11bのロボット16に備えられたローラ48を当接させてから、該ローラ48によって保護層形成材Mを塗り延ばすようにしている。さらに、塗布装置11cのロボット16に備えられたローラ48によって、塗り延ばされた前記保護層形成材Mをさらに塗り延ばすとともに、仕上げ塗りを行うようにしている。このため、保護層形成材Mの供給動作と塗布動作とを分担させることが可能になり、車両14の表面に対して適切に、かつ効率的に保護層形成材Mを塗布することができる。
【0041】
さらに、第2塗布ステーションST2、あるいは第3塗布ステーションST3において、前記ローラ48に新たな保護層形成材Mを供給することによって、前記第1塗布ステーションST1において供給された保護層形成材Mが不十分であったとしても補うことができる。その結果、車両14の表面に対してより適切に、かつより効率的に保護層形成材Mを塗布することが可能となる。
【0042】
なお、この第1の実施形態に係る塗布システム10の塗布装置11aにおいて、ローラ48に代替して、例えば、ノズル(図示せず)等を備えることにより保護層形成材Mを供給するようにしてもよい。
【0043】
また、この塗布システム10では、第1、第2および第3塗布ステーションST1、ST2およびST3を設けているが、これに限定されるものではなく、車両14のタイプ、形状、生産数量等に対応させて、例えば、第1および第2塗布ステーションST1およびST2のみで構成してもよいことは勿論である。
【0044】
次に、第2の実施形態に係る保護層形成材Mの塗布システム100について説明する。なお、第1の実施形態に係る塗布システム10と同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図9に示すように、塗布システム100は、前記塗布システム10に対して、第1塗布ステーションST1における塗布装置11aに代替して、保護膜形成装置(第1塗布機)102が適用される。この保護膜形成装置102は、前記の特許文献2において開示された装置である。
【0046】
すなわち、図10および図11に示すように、保護膜形成装置102は、搬送される車両14が通過可能な程度の門型のフレーム構造体104を有し、車両14の表面に保護層形成材Mを滴下(または噴出)するノズル106と、ノズル106から滴下された保護層形成材Mにエアを吹き付けて車両14の表面に塗り広げる(吹き延ばす)エア噴出体108とを備えている。
【0047】
フレーム構造体104には、上下動フレーム構造体110が、図示しない駆動手段やガイド手段等によって垂直方向に移動自在に係合している。上下動フレーム構造体110には、搬送方向に進退自在であり、かつノズル106とエア噴出体108とを備えた前後動フレーム構造体112が係合している。前後動フレーム構造体112は、ラック114にピニオン116を噛合し、レール120にローラ122を係合させてモータ124を作動することにより、上下動フレーム構造体110上において進退自在である。
【0048】
ノズル106は、搬送方向に対して直角方向に移動自在なノズルベース126に固着され、保護層形成材Mが供給される塗布材管路22および水管路26に接続されている。ノズルベース126は、前後動フレーム構造体112上をサーボモータや減速機等を備えた図示しない駆動手段により、所望の速度で自走するように構成されている。
【0049】
エア噴出体108は、前記ノズル106に対して搬送方向下流側の前後動フレーム構造体112に固着さている。このエア噴出体108は、図示しない電磁弁等を介してコンプレッサ152およびエアタンク154に接続されている。
【0050】
このように構成される保護膜形成装置102を適用した第1塗布ステーションST1では、フレーム構造体104に対する上下動フレーム構造体110の上下動作と、前後動フレーム構造体112の搬送方向に沿った進退動作とを制御することにより、ノズル106から滴下する保護層形成材Mの範囲、および滴下された保護層形成材Mをエア噴出体108によって塗り広げる範囲を調整するようにしている。このようにして、車両14の表面に対して保護層形成材Mを供給している。
【0051】
この場合、車両14の表面の所望箇所、例えば、車両14のボンネット部14aの略中央部およびルーフ中央部14bに対して、ノズル106から保護層形成材Mを滴下するとともに、エア噴出体108の調整により所望の範囲に塗り広げるとよい。このようなボンネット部14aの略中央部およびルーフ中央部14b等の平面部分が多い箇所に対しては、エア噴出体108でも塗り広げる範囲を比較的容易に調整することができる。
【0052】
このように、第2の実施形態に係る保護層形成材Mの塗布システム100では、第1塗布ステーションST1において保護層形成材Mを供給する際に、車両14の表面の中、比較的容易に供給動作を行うことができるボンネット部14aの略中央部およびルーフ中央部14bに従来型の保護膜形成装置102を適用するようにしている。従って、比較的高価なロボット16を配置した塗布装置11aを適用する必要がないので、保護層形成材Mの塗布システム100の製作コストを低減することができる。
【0053】
以上のようにして塗布された保護層形成材Mは、自然乾燥または送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0054】
なお、車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材Mはこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0055】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法を実施するための塗布システム10、100は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布方法によれば、第1塗布機のロボットに備えられた第1塗布部によって車両の表面の所望箇所に保護層形成材を供給した後、この所望箇所に第2塗布機のロボットに備えられた第2塗布部を当接させてから、該第2塗布部によって保護層形成材を塗り延ばすようにしている。このため、保護層形成材の供給動作と塗布動作とを分担させることが可能になり、車両の表面に対して適切に、かつ効率的に保護層形成材を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る保護層形成材の塗布システムの平面図である。
【図2】前記塗布システムに適用される塗布装置の斜視図である。
【図3】前記塗布装置の正面図である。
【図4】前記塗布装置におけるロボットの斜視図である。
【図5】液圧および空圧の複合回路図である。
【図6】前記塗布システムにおける第1塗布ステーションの動作説明図である。
【図7】前記塗布システムにおける第2塗布ステーションの動作説明図である。
【図8】前記塗布システムにおける第3塗布ステーションの動作説明図である。
【図9】第2の実施形態に係る保護層形成材の塗布システムの平面図である。
【図10】第2の実施形態に係る保護層形成材の塗布システムに適用される保護膜形成装置の側面図である。
【図11】前記保護膜形成装置の正面図である。
【符号の説明】
10、100…塗布システム 11a〜11c…塗布装置
12…搬送ライン 14…車両
16…ロボット 18…制御部
20…タンク 22…塗布材管路
30…スライドレール 32…ポンプ
34…ローラ機構部 48…ローラ
102…保護膜形成装置 104…フレーム構造体
106…ノズル 108…エア噴出体
110…上下動フレーム構造体 112…前後動フレーム構造体
M…保護層形成材
Claims (2)
- 車両の搬送ラインの近傍に設けられ、先端部に第1塗布部を備えるティーチング動作可能なロボットを有する第1塗布機と、
前記搬送ラインの近傍に設けられ、先端部に第2塗布部を備えるティーチング動作可能なロボットを有する第2塗布機と、
乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を前記第1および第2塗布部に供給可能な供給機構部と、
を用い、
前記第1塗布部を介して前記車両の表面の所望箇所に前記保護層形成材を供給する工程と、
前記保護層形成材が供給された前記所望箇所に前記第2塗布部を当接させる工程と、
供給された前記保護層形成材に当接した前記第2塗布部によって該保護層形成材を塗り延ばすとともに、前記供給機構部から前記第2塗布部に新たな保護層形成材を供給する工程と、
を有することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。 - 請求項1記載の保護層形成材の塗布方法において、
前記保護層形成材の材料には、アクリル系コポリマ剤を用いることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
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