JP3968977B2 - デコンプ機能付エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン等のデコンプ機能付エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のデコンプ機能付エンジンは特開平6−42436号公報に記載されている。このエンジンにおいては、燃料供給を行いつつデコンプが実行され(ピストン内圧力低下)、エンジン回転数を監視しつつ、この回転数が十分に大きくなった場合に自然着火が行われるよう、所定の回転数に到達した時点でデコンプを停止している(ピストン内圧力上昇)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のエンジンにおいては、白煙、ハイドロカーボン等がシリンダーからの排気に混じることがある。本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、白煙、ハイドロカーボン等の排出を低減可能なデコンプ機能付エンジンを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係るデコンプ機能付エンジンは、シリンダ内の空間と外部空間との間の連通状態を制御するデコンプ手段と、シリンダ内に燃料を供給する燃料供給手段と、シリンダ内に配置されたピストンを強制的に往復運動させるスタータ手段とを備えたデコンプ機能付エンジンにおいて、シリンダ内に燃料を供給しない状態で連通の度合いを大きくしつつピストンを強制的に往復運動させる第1工程の後、連通を無くしてシリンダ内に燃料を供給する第2工程を実行するよう、デコンプ手段、燃料供給手段及びスタータ手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明のエンジンによれば、連通の度合いを大きくしている第1工程(デコンプ時)においては燃料を供給せず、連通を無くした第2工程(非デコンプ時)において燃料を供給するので、白煙、ハイドロカーボン等の排出を低減することができる。
【0006】
また、本発明のエンジンにおいては、制御手段が、エンジン回転数(クランクシャフト回転数)が第1所定値を越えた場合に、前記連通を無くすよう、デコンプ手段を制御することを特徴とする。エンジン回転数が第1所定値を越えた場合には、連通を無くして燃料を供給すれば発火可能となる。
【0007】
また、第1所定値は、エンジンを冷却する液体の温度に基づき、液体の温度が高いほど高くなるように設定されることを特徴とする。すなわち、温度が低い場合には、第2工程に移行することにより、シリンダとピストンとの間の摩擦負荷を低減させる。
【0008】
また、本発明のエンジンにおいては、制御手段が、第2工程後に、エンジン回転数が第2所定値を越えた場合に、ピストンの強制的な往復運動が停止されるよう、スタータ手段を制御することを特徴とする。すなわち、燃料が燃焼し始めた場合に、エンジン回転数が第2所定値を越えた場合には、スタータ手段による強制力は不要と判断できるので、この場合にはスタータ手段による強制的な往復運動は停止される。
【0009】
また、第2所定値は、エンジンを冷却する液体の温度に基づき、前記液体の温度が高いほど低くなるように設定されることを特徴とする。すなわち、液体の温度が高い場合には、エンジン回転数が低い場合においても、燃焼を安定的に持続させることができる。
【0010】
また、本発明のデコンプ機能付エンジンは、車両に搭載されるものであり、第1工程は、車両が停車中の場合に実行されることを特徴とする。このような制御は、車両の停止中の場合、特に、信号待ちの状態等において、一旦エンジンを停止させた後、再び走行を開始する場合に有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係るデコンプ機能付エンジンについて説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、デコンプ機能付エンジンを搭載した車両のブロック図である。車体BDY内にはディーゼルエンジンEが搭載され、エンジンE内には複数の気筒があり、各気筒のピストンPの直線往復運動は、これらにリンクしたクランクシャフトCSによって回転運動に変換され、この回転運動による駆動力Dは変速機TMを介して、車体に設けられた車輪WLに駆動力D’として伝達される。また、スタータモータSTMを駆動することにより、これにリンクしたクランクシャフトCSを回転させ、ピストンPを強制的に往復運動させることもできる。
【0013】
エンジンEは、各気筒毎に、シリンダCL及びシリンダCL内部に配置されたピストンP、シリンダCLの頂部に設けられたデコンプ用バルブDVを有する。なお、シリンダCLには図示しない吸気及び排気バルブが取り付けられているが、デコンプ用バルブDVは吸気及び排気バルブのいずれか一方で代用することもできる。デコンプ用バルブDVは、シリンダCLの内部の空間と外部空間の連通状態を制御するものであり、シリンダCLの頂部或いはシリンダヘッドに設けられるが、外部空間との間の連通状態が制御できる位置であれば、例えば、ガソリンエンジンにおけるスロットルバルブの位置等に設けることとしてもよい。
【0014】
デコンプ用バルブDVは、デコンプ装置DCAによって、その開閉が制御される。デコンプ装置DCAは、例えば偏心カムの一端にデコンプ用バルブDVをリンクさせたものであり、当該カムを回転或いは揺動させることにより、デコンプ用バルブDVの開閉状態、すなわち、上述の連通状態を制御することができる。
【0015】
シリンダCL、シリンダヘッド及びデコンプ装置DCAは、図示しないウォータジャケット内に収容されており、このウォータジャケットにラジエータRから冷却用の液体としての水を供給する。すなわち、エンジンEは、ラジエータRからの液体によって冷却される。
【0016】
このエンジン冷却用の液体の温度は、液体温度センサとしての水温センサSTによって計測され、水温センサSTは、温度Tを出力する。同様に、クランクシャフトCSの回転数は、回転センサSωによって計測され、回転センサSωはクランクシャフトの回転数ω(エンジン回転数、ピストンPの振動数)を出力する。アクセルペダルAPを踏むと、アクセル開度センサSAがアクセル開度を計測し、このアクセル開度Aを出力する。
【0017】
ブレーキペダルBPを踏むと、ブレーキセンサSBがブレーキペダルの踏み込み量Bを検知し、これを出力する。変速機TMの状態は変速状態監視センサSGが、これを検知し、変速機TMの状態Gを出力する。車輪速センサSWは、車輪WLの回転数を検出し、車輪速Wを出力する。イグニションスイッチIGをオン状態とすると、ON信号Oが出力される。
【0018】
これらの計測データ(温度T、クランクシャフト回転数ω、アクセル開度A、ブレーキペダル踏込量B、変速機状態G、車輪速W、イグニションON信号O)は、電子コントロールユニットECUに入力される。
【0019】
電子コントロールユニットECUは、入力された上記データに基づき、車両の運転状態、特にエンジンEを制御する。エンジンEは、スタータモータSTM及びデコンプ装置DCAに加えて、シリンダCLへの燃料供給量制御用のバルブVを備えている。スタータモータSTM、デコンプ装置DCA及び燃料供給量制御バルブVは、電子コントロールユニットECUからの制御信号VS、VF及びVDによってそれぞれ制御される。以下、電子コントロールユニットECUによるこれらの制御について説明する。
【0020】
図2は、電子コントロールユニットECUによるエンジンEの起動制御のフローチャートである。
【0021】
まず、車両が停車中であるかどうかを判断する(S1)。これは、データA,B,Gに基づいて判断される。すなわち、アクセル開度Aが零であり、変速機状態Gがパーキング状態であり、ブレーキペダル踏込量Bが所定値以上の場合、車両は停止中であると判断する。なお、これらにクランクシャフト回転数ωのデータを加えて停車を判断してもよい。
【0022】
次に、イグニションON信号Oが電子コントロールユニットECUに入力されたかどうかを判断する(S2)。ステップS1,S2おいて、車両が停車中であって、イグニションスイッチIGがオン状態とされたと判断された場合には、以降のエンジン起動制御に入り、そうでない場合にはステップS1に戻る。
【0023】
エンジン起動制御においては、まず、制御信号VDによってデコンプ装置DCAをオン状態とし、シリンダCL内の所定箇所、すなわち、デコンプ用バルブDVを開放する(S3)。これにより、シリンダCL内の空間と外部空間とは連通状態となり、ピストンPを往復運動させる際の負荷が減少する。
【0024】
次に、制御信号VSによって、スタータモータSTMをオン状態とし、クランクシャフトCSを回転させて、ピストンPを強制的に往復運動させる(S4)。この時、シリンダCL内には燃料が供給されないように、燃料供給制御用バルブVは閉じられるように制御する。
【0025】
クランクシャフトCSの回転数ω、換言すればエンジン回転数が第1所定値ω1を越えた場合(S5)、制御信号VDによってデコンプ装置DCAをオフ状態とし、シリンダCL内の所定箇所、すなわち、デコンプ用バルブDVを閉鎖する(S6)。これにより、シリンダCL内の空間と外部空間とは連通しなくなり、ピストンPの往復運動によってシリンダCL内部の気体が圧縮される。なお、クランクシャフトCLの回転数ωが第1所定値ω1に到達しない場合(S5)には、ステップS3に戻って以降の処理を繰り返す。
【0026】
デコンプ用バルブDVを閉鎖し(S6)、このデコンプ装置DCAのオフ状態を検知した後に、制御信号VFを燃料供給制御用バルブVに入力することにより、当該バルブVを開放し、シリンダCL内に燃料タンクFLTから燃料を噴射・供給する(S7)。なお、デコンプ装置DCAによるデコンプ用バルブDVの閉鎖は、当該装置DCAに取り付けられた図示しないセンサによって、その状態が検知される。
【0027】
クランクシャフトCSの回転数ωが第2所定値ω2を越えた場合(S8)、燃料の完全爆発状態であると判断し、制御信号VSによってスタータモータSTMをオフ状態とし(クランクシャフトCSとの係合を解除する状態も含む)、ピストンPの強制的な往復運動を停止させる(S9)。クランクシャフトCSの回転数ωが第2所定値ω2に到達しない場合(S8)には、ステップS7に戻って以降の処理を繰り返す。
【0028】
なお、デコンプ用バルブDVの開放及び閉鎖は、シリンダCL内の空間と外部空間との間の連通状態を、それぞれ基準値よりも大きく及び小さくするものである。この基準値は可変なものであってもよい。
【0029】
以上、説明したように、上述のデコンプ機能付エンジンEは、シリンダCL内の空間と外部空間との間の連通状態を制御するデコンプ手段DCA、DVと、シリンダCL内に燃料を供給する燃料供給手段Vと、シリンダCL内に配置されたピストンPを強制的に往復運動させるスタータ手段STMとを備えたデコンプ機能付エンジンにおいて、シリンダCL内に燃料を供給しない状態で連通の度合いを大きくしつつ(S3)ピストンPを強制的に往復運動させる(S4)第1工程の後、連通の度合いを小さくして(S6)シリンダCL内に燃料を供給する(S7)第2工程を実行するよう、デコンプ手段DCA,DV、燃料供給手段V及びスタータ手段STMを制御する制御手段ECUを備える。
【0030】
このエンジンEによれば、連通の度合いを大きくしている第1工程(デコンプ時)においては燃料を供給せず、連通の度合いを小さくした第2工程(非デコンプ時)において燃料を供給するので、白煙、ハイドロカーボン等の排出を低減することができる。
【0031】
ここで、第1及び第2所定値ω1、ω2について説明しておく。
【0032】
図3は第1所定値ω1の水温Tに対する依存性を示すグラフである。
【0033】
このエンジンEにおいては、制御手段ECUが、上記第2工程(S6,S7)において、エンジン回転数(クランクシャフト回転数ω)が第1所定値ω1を越えた場合に(S5)、前記連通の度合いを小さくするよう(S6)、デコンプ手段DCA,DVを制御している。エンジン回転数、すなわちクランクシャフト回転数ωが第1所定値ω1を越えた場合には、連通の度合いを小さくして(S6)燃料を供給すれば(S7)、自然発火可能となる。
【0034】
第1所定値ω1は、エンジンEを冷却する液体の温度Tに基づき、液体の温度Tが高いほど高くなるように設定される。すなわち、温度Tが低い場合には、上記第1工程(S3、S4)を続けずに、上記第2工程(S6,S7)に移行することにより、シリンダCLとピストンPとの間の摩擦負荷を低減させることができる。
【0035】
図4は第2所定値ω2の水温Tに対する依存性を示すグラフである。
【0036】
制御手段ECUは、第2工程(S6,S7)後に、エンジン回転数(クランクシャフト回転数ω)が第2所定値ω2を越えた場合に、ピストンPの強制的な往復運動が停止されるよう、スタータ手段STMを制御している。すなわち、燃料の供給(S7)によって、当該燃料が燃焼し始めた場合に、エンジン回転数、すなわちクランクシャフト回転数ωが第2所定値ω2を越えた場合には、スタータ手段STMによる強制力は不要と判断できるので、この場合にはスタータ手段STMによる強制的な往復運動を停止している。
【0037】
第2所定値ω2は、エンジンEを冷却する液体の温度Tに基づき、液体の温度Tが高いほど低くなるように設定されている。すなわち、液体の温度Tが高い場合には、エンジン回転数が低い場合においても、燃焼を安定的に持続させることができる。
【0038】
なお、デコンプ機能付エンジンEは、車両に搭載されており、第1工程(S3、S4)は、車両が停車中の場合に実行されている(S1)。このような制御は、車両の停止中の場合、特に、信号待ちの状態等において、一旦エンジンを停止させた後、再び走行を開始する場合に、有効である。
【0039】
なお、上記においては、スタータモータSTMのオン(S2)の後に、デコンプ装置DCAを作動させ(S3)、クランクシャフト回転数ωを高速化させているが、これは同時であってもよく、スタータモータSTMの代わりに、アクセルペダルを踏む、又は、踏んでいたブレーキペダルを放す等の初期条件に応じて、ステップS3以降の処理を実行することもできる。
【0040】
【発明の効果】
本発明のデコンプ機能付エンジンによれば、白煙、ハイドロカーボン等の排出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デコンプ機能付エンジンを搭載した車両のブロック図である。
【図2】ECUによる制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】第1所定値ω1の水温依存性を示すグラフである。
【図4】第2所定値ω2の水温依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
AP…アクセルペダル、BDY…車体、BP…ブレーキペダル、CL…シリンダ、CS…クランクシャフト、DCA,DV…デコンプ手段、E…エンジン、ECU…制御手段、FLT…燃料タンク、IG…イグニションスイッチ、P…ピストン、R…ラジエータ、SA…アクセル開度センサ、SB…ブレーキセンサ、SG…変速状態監視センサ、ST…水温センサ、STM…スタータ手段、SW…車輪速センサ、Sω…回転センサ、TM…変速機、V…燃料供給手段。
Claims (6)
- シリンダ内の空間と外部空間との間の連通状態を制御するデコンプ手段と、前記シリンダ内に燃料を供給する燃料供給手段と、前記シリンダ内に配置されたピストンを強制的に往復運動させるスタータ手段とを備えたデコンプ機能付エンジンにおいて、前記シリンダ内に燃料を供給しない状態で前記連通の度合いを大きくしつつ前記ピストンを強制的に往復運動させる第1工程の後、前記連通を無くして前記シリンダ内に燃料を供給する第2工程を実行するよう、前記デコンプ手段、前記燃料供給手段及び前記スタータ手段を制御する制御手段を備えることを特徴とするデコンプ機能付エンジン。
- 前記制御手段は、エンジン回転数が第1所定値を越えた場合に、前記連通を無くすよう、前記デコンプ手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のデコンプ機能付エンジン。
- 前記第1所定値は、前記エンジンを冷却する液体の温度に基づき、前記液体の温度が高いほど高くなるように設定されることを特徴とする請求項2に記載のデコンプ機能付エンジン。
- 前記制御手段は、前記第2工程後に、エンジン回転数が第2所定値を越えた場合に、前記ピストンの強制的な往復運動が停止されるよう、前記スタータ手段を制御することを特徴とする請求項3に記載のデコンプ機能付エンジン。
- 前記第2所定値は、前記エンジンを冷却する液体の温度に基づき、前記液体の温度が高いほど低くなるように設定されることを特徴とする請求項4に記載のデコンプ機能付エンジン。
- 前記デコンプ機能付エンジンは、車両に搭載されるものであり、前記第1工程は、前記車両が停車中の場合に実行されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のデコンプ機能付エンジン。
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