JP3973401B2 - 地盤締固め工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として土留め止水用の構造物を構成する鋼矢板の抜き取りに伴う周辺地盤の緩みや崩壊を防止するための地盤締固め工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活環境の変化や環境整備などの推進に伴い、市街地等において地下鉄道の建設や、共同溝工事などの地下工事が多く行われるようになっている。
【0003】
一般に、地下工事を行うにあたっては、掘削部への土砂崩れや浸水を防止するために、掘削部の路線に沿う両側の地盤に鋼矢板を打ち込んで土留め壁を構築するという方法が実施されている。通常、この土留め壁を構成する鋼矢板は、他の工事現場等で再使用されるため、地下工事の終了に伴い地盤から抜き取られる。
【0004】
このように地盤から鋼矢板が抜き取られた結果、地盤には隙間が生じるため、周辺地盤の緩みや崩壊を招き、引いては近接構造物を傾斜させるという不具合が発生する。従来、このような不具合を回避するために、隙間が生じた地盤の表層部に水を流して締め固めたり、地盤にセメントミルクを注入したり、あるいは地盤に打ち込まれている鋼矢板を抜き取らずに埋め殺ししたりするなどの手段が講じられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鋼矢板の抜き取りに伴い生じた地盤の隙間に対して、表層部のみを水で締め固めたとしても、周辺地盤の緩みや崩壊を防ぐには不十分であり、所望の効果を得ることができないという問題点がある。また、地盤に打ち込まれている鋼矢板を引き抜かずに埋め殺ししたのでは多大の損害を被るとともに、地下水脈を分断させてしまう恐れがあるという問題点がある。また、地盤にセメントミルクを注入するという手段でも、地下水脈の分断という問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、鋼矢板の抜き取りに伴う周辺地盤の緩みや崩壊を防止することができる地盤締固め工法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による地盤締固め工法は、
打設された鋼矢板の引き抜き後に地盤に生じる空隙部を締め固める地盤締固め工法であって、
先端部に水噴射ノズルを有するロッドを前記空隙部を含む地盤もしくはその近傍の地盤に、水を噴出しながら所要位置まで穿孔貫入する貫入工程と、前記貫入工程において地盤に貫入された前記ロッドを引き上げつつ前記水噴射ノズルから水を噴射して、そのノズル周りの地盤を押し崩すとともに、この押し崩された地盤を下部から順に水締めによって締固める締固め工程とよりなり、
前記ロッドが、吊下げ用の挿入穴を有する基端側部片と、前記ノズルを有する先端側部片との中間部に中間部片を継ぎ足し可能に構成されている
ことを特徴とするものである(第1発明)。
【0008】
本発明によれば、打設された鋼矢板の抜き取りに伴い生じる地盤の空隙部は水締めによって締め固められるので、鋼矢板の抜き取りに伴う周辺地盤の緩みや崩壊を防止でき、これによって近接構造物が傾斜するといった不具合を解消することができる。また、ロッドの貫入行程では、例えばスクリューオーガ等によって予め地盤を穿孔する必要がないので、作業効率が向上するという効果を奏する。しかも、水ジェットを利用して地盤を穿孔するため、低振動、低騒音であり、さらに狭い場所においても施工することができるので、近接施工が可能になるという利点がある。さらに、このロッドの穿孔貫入に際して使用されるロッド先端部に設けられた水噴射ノズルを貫入後に行われる水締めのためにそのまま使用するので、この地盤締固め工法を合理的に施工することができる。また、鋼矢板の抜き取りに伴い生じる空隙部の深さに応じてロッドの長さを容易に調整することができるので、地盤の締め固めを確実に行うことができるという効果を奏する。
【0010】
前記発明において、前記ロッドによる穿孔は、前記ロッドを上下動させながら行われるのが好ましい(第2発明)。このようにすれば、前記ノズルから噴射される水による地盤の穿孔がよりスムーズに行われるという効果を奏する。
【0011】
前記第1発明または第2発明において、前記締固め工程における前記ロッドの引き上げは、前記ロッドを上下動させながら行われるのが好ましい(第3発明)。このようにすれば、前記ノズルから噴射される水による地盤の水締めをより確実に行うことができるという効果を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による地盤締固め工法の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る地盤締固め工法の施工状態図が示されている。また、図2には、本実施形態で使用されるロッドの構造を説明するための要部縦断面図(a)および(a)におけるA矢視図(b)がそれぞれ示されている。
【0015】
本実施形態の地盤締固め工法で使用される主な機器としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、図1に示されるように、土留め壁6を構成する鋼矢板5を挟持し地盤4から引き抜く機能を備えた油圧駆動式のサイレントパイラー3と、このサイレントパイラー3との協働で鋼矢板5を引き抜き、この引き抜かれた鋼矢板5を図示省略される鋼矢板置場に移動させるラフテレンクレーン1と、鋼矢板5が引き抜かれた地盤4の締め固めに供するロッド10と、このロッド10を操作するためのラフテレンクレーン2などである。その他、図示省略するが、水槽や、この水槽内の水を圧送するためのグラウトポンプ等も使用される。なお、本実施形態では、これらの機器の移動・設置・施工を容易にするために、作業地盤はあらかじめ整地されている。
【0016】
前記2基のラフテレンクレーン1,2は共に、作業半径や地耐力などを考慮して作業地盤における好適な場所に配置されている。また、前記サイレントパイラー3は、抜き対象の鋼矢板5を挟持した状態で、その抜き対象の鋼矢板5に隣接して打設されている数枚の鋼矢板5に反力をとるように設置されている。その他、前記水槽や、前記グラウトポンプも鋼矢板置場、ラフテレンクレーン1,2の作業半径などを考慮して設置されている。
【0017】
前記ロッド10は、図2(a)に示されるように、吊下げ用の挿入穴11aを有する基端側ロッド(基端側部片)11と、ノズル13aを具備する先端側ロッド(先端側部片)13と、両者を繋ぐ厚肉筒状の中間ロッド(中間部片)12とを備えて構成されている。
【0018】
前記中間ロッド12には、その一端部に六角中空状の軸頚12aが設けられるとともに、他端部に六角孔12bが設けられている。また、前記基端側ロッド11には、圧送された水が供給される給水口11cが設けられるとともに、この給水口11cと接続され、中間ロッド12の軸頚12aが嵌入される六角孔11bが設けられている。また、前記先端側ロッド13には、中間ロッド12の六角孔12bに嵌入する軸頚13bがノズル13aの背面に設けられており、この軸頚13bは、中間ロッド12の軸頚12aと同じ形状と大きさで、ノズル13a内部と連通されている。
【0019】
前記ノズル13aは、先細円筒形状とされている。このノズル13aには、図2(b)に示されるように、主に軸線方向に沿って水を噴射させるための中央ノズル孔16がその中心部分に穿設され、更に軸線に対して下方45°方向に水を噴射させるための周辺ノズル孔17がその中央ノズル孔16の周囲に等分配置されるように複数箇所(4箇所)穿設されている。本実施形態では、これらノズル孔16,17,17,17,17から噴射される水の量や圧力を調節することによって、地盤4を穿孔したり、あるいはノズル13a周りの地盤4を押し崩して水締めしたりするようにされている。
【0020】
基端側ロッド11と中間ロッド12とは、基端側ロッド11の六角孔11bと中間ロッド12の軸頚12aとが嵌り合うことで接続され、ピン15にて両者が固定されている。また、同様に、中間ロッド12と先端側ロッド13とは、中間ロッド12の六角孔12bと先端側ロッド13の軸頚13bとが嵌り合うことで接続され、ピン15'にて両者が固定されている。
【0021】
このように構成されるロッド10においては、基端側ロッド11と中間ロッド12との間(あるいは中間ロッド12と先端側ロッド13との間)に別体の中間ロッド12を介挿し継ぎ足すことでロッド10の長さ調節が行われる。また、本実施形態では、グラウトポンプの駆動で水槽内の水を給水口11cに圧送するようにされており、この給水口11cに圧送された水を中間ロッド12の軸頚12aおよび中空部12c、並びに先端側ロッド13の軸頚13bを介してノズル13a内部に供給し中央ノズル孔16および周辺ノズル孔17,17,17,17から噴射するようにされている。
【0022】
次に、本実施形態の地盤締固め工法に基づく施工について図1および図3を参照しつつ説明する。本施工は、鋼矢板5の抜取り作業、ロッド10の貫入作業および地盤4の締固め作業により成される。
【0023】
まず、鋼矢板5の抜取り作業は、次のようにして行われる。すなわち、図1に示されるように、土留め壁6の一側(図では右側)部における鋼矢板5をサイレントパイラー3を用いて地盤4から引き上げると同時に、ラフテレンクレーン1でその鋼矢板5を吊り上げ・補助し、サイレントパイラー3とラフテレンクレーン1との協働によりその鋼矢板5を地盤4から引き抜く。そして、地盤4から引き抜かれた鋼矢板5をラフテレンクレーン1で鋼矢板置場に移動・載置する。
【0024】
一方、ロッド10の貫入作業は、次のようにして行われる。すなわち、図3(a)に示されるように、ロッド10をラフテレンクレーン2(図示省略)で吊り下げ、ノズル13aの噴射口を鋼矢板5の引き抜きに伴い形成される地盤4の空隙部21もしくはその近傍に向けて垂下させる。なお、符号23で示されるのは、後述する地盤4の締固め作業時における補給用の盛り土であって、この盛り土23は、ロッド10の貫入作業時から予め準備されている。次いで、図3(a)〜(c)に示されるように、ノズル13aから水を噴射させながらロッド10を引き下げて、前記空隙部21が存在する深さまでその空隙部21周りの地盤4を穿孔する。この際、水噴射による穿孔をより効率良く行うために、ロッド10を上下動させながら引き下げる。
【0025】
こうして、ロッド10の貫入後における地盤4の締固め作業は、次のようにして行われる。すなわち、図3(d)に示されるように、前記貫入作業にて地盤4に貫入されたロッド10を引き上げつつノズル13aから水を噴射させることにより、ノズル13a周りの地盤4を押し崩すとともに、この押し崩された地盤4を下部から順に水締めによって締め固める。この際、水締めをより確実に行うために、ロッド10を上下動させながら引き上げる。そして、この水締めによる締固め作業が地盤4の表層部分にまで差し掛かるとロッド10周りの地盤4が崩落し、ノズル13a周りの空隙に盛り土23が一機に供給されるので、引き続き水締めによる締固め作業を行い、また必要であるならば砂利、砕石、砂等の骨材を補給しながら地表面まで水締めを行うことで、図3(e)に示されるように、締固め作業が完了する。
【0026】
ここで、図3(a)〜(c)で示されるロッド10の貫入作業では、穿孔効率を上げるために、グラウトポンプからの送水圧を20〜30kg/cm2にして大量の水を主にノズル13aの軸線方向に噴射させるようにされている。一方、図3(d)(e)で示されるロッド10による地盤4の締固め作業では、ノズル13a周りの地盤を均等に押し崩すとともに、確実な水締めを行う観点から、ノズル13aから周辺の地盤4に対して均等に水を噴射させるとともに、この噴射された水を地上に噴き上げさせないようにするのが好ましいため、グラウトポンプからの送水圧を10〜20kg/cm2として、また噴射水量も貫入作業時における噴射水量よりも低く抑えられている。
【0027】
本実施形態では、作業効率を上げるため、図1に示されるように、地盤4の締固め作業を鋼矢板5の抜取り作業に追随させて同時平行で行うようにされている。ただし、その締固め作業が隣で行われる鋼矢板5の抜取り作業によって阻害されないようにするために、ロッド10に対して鋼矢板5を先行させた状態で、両者を同じ速度で引き抜くようにされている。
【0028】
本実施形態によれば、鋼矢板5の抜取り作業に追随させて地盤4の締固め作業を繰り返し行うことによって、図1に示されるように、鋼矢板5が打設されていた地盤4には、締め固められた砂等でなる締固め壁25が形成される。したがって、鋼矢板5の抜き取りに伴う周辺地盤の緩みや崩壊を防止でき、これによって近接構造物が傾斜するといった不具合を回避することができる。
【0029】
なお、本発明者らは、本発明の効果を確認するために、鋼矢板5を抜き取る前の地盤4を基準に、鋼矢板5を抜き取った日の3日後から一定期間、本実施形態による締固め壁25が形成された領域の地盤4と何らの処置も施されていない領域の地盤4とにおけるそれぞれの水平変位量および水準変位量を計測した。その結果、何らの処置も施されていない領域の地盤4と比較して、本実施形態による締固め壁25が形成された領域の地盤4では、水平変位量および水準変位量ともに著しく少く、本発明の地盤締固め工法が有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る地盤締固め工法の施工状態図である。
【図2】図2(a)は、本実施形態で使用されるロッドの構造を説明するための要部縦断面図で、図2(b)は、(a)におけるA矢視図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、本実施形態におけるロッドの貫入作業および地盤の締固め作業を説明するための図である。
【符号の説明】
1,2 ラフテレンクレーン
3 サイレントパイラー
4 地盤
5 鋼矢板
6 土留め壁
10 ロッド
11 基端側ロッド
11a 挿入穴
12 中間ロッド
13 先端側ロッド
13a ノズル
21 空隙部
Claims (3)
- 打設された鋼矢板の引き抜き後に地盤に生じる空隙部を締め固める地盤締固め工法であって、
先端部に水噴射ノズルを有するロッドを前記空隙部を含む地盤もしくはその近傍の地盤に、水を噴出しながら所要位置まで穿孔貫入する貫入工程と、前記貫入工程において地盤に貫入された前記ロッドを引き上げつつ前記水噴射ノズルから水を噴射して、そのノズル周りの地盤を押し崩すとともに、この押し崩された地盤を下部から順に水締めによって締固める締固め工程とよりなり、
前記ロッドが、吊下げ用の挿入穴を有する基端側部片と、前記ノズルを有する先端側部片との中間部に中間部片を継ぎ足し可能に構成されている
ことを特徴とする地盤締固め工法。 - 前記ロッドによる穿孔は、前記ロッドを上下動させながら行われる請求項1に記載の地盤締固め工法。
- 前記締固め工程における前記ロッドの引き上げは、前記ロッドを上下動させながら行われる請求項1または2に記載の地盤締固め工法。
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