JP3983377B2 - 光ファイバ接続器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器としては、例えば、特願平7−313247等が提案されている。
この種の光ファイバ接続器は、互いの長手方向を揃えて配置され、かつ外側に装着された断面C形あるいはコ字状のクランプバネにより互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバを前記クランプバネのクランプ力により該素子の間に挟持し、当該素子の互いに当接される当接面の一方または両方にて前記素子の長手方向に沿って延在形成された調心溝によって位置決め調心した光ファイバ同士を突き合わせ接続するようになっている。また、楔状の開放部材を素子の二つ割りの分離境界に圧入して、クランプバネのクランプ力に抗して素子を押し広げて開放すると、素子に対する光ファイバの挿入、引き抜きが可能になるため、光ファイバの接続切替を簡単に行うことができる。
調心溝には屈折率整合剤を設けて、突き合わせ接続された光ファイバ間に目的の低接続損失を得ることが普通である。前記屈折率整合剤は、調心溝における、特に、光ファイバ同士が突き合わせ接続される接続点近傍のみに設けることが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記光ファイバ接続器では、環境試験(ヒートサイクル試験、温度湿度サイクル試験等)を行った際に、屈折率整合剤が水分や気泡、粉塵等の細かいゴミを巻き込む場合があり、これが接続損失の増加を招くといった問題が発生していた。
また、開放部材を使って素子を開閉させると、一般に樹脂製である素子から、樹脂カスが発生して、これが屈折率整合剤に混入して、接続損失の増加を招く場合もある。
しかしながら、屈折率整合剤が水分や気泡、粉塵等を巻き込むことを防止できる適切な対策が、これまで無く、これら不都合を確実に防止できる適切な技術の開発が求められていた。また、例えば、素子の外側をシリコンゴム等で封止する等の対策も考えられるが、サイズが小さい素子(長さ十数mm程度)に対して封止作業を行うことは手間がかかり、しかも、接続切替時には、封止剤の除去と、再封止を行うことになるため、作業性が大幅に低下することになり、問題の根本的な解決に至らない。
なお、特願平7−313247は、多心光ファイバテープ心線に適用される光ファイバ接続器であるが、前記問題は、多心の光ファイバ接続器のみのみならず、二つ割り構造の開閉可能な素子を有する光ファイバ接続器であれば、単心のものにも同様に発生する。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、二つ割り構造の素子の間に光ファイバの対を突き合わせ接続して挟持するタイプの光ファイバ接続器において、素子間に挿入された光ファイバを突き合わせ接続可能に位置決め調心する調心機構や、その近傍に設けた屈折率整合剤に、水分や気泡、粉塵等を巻き込むことを確実に防止できる光ファイバ接続器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネ(64)により互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子(50)を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバ(54)を該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構(55a)によって位置決め調心した光ファイバ(54a)同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器(1)であって、前記調心機構(55a)が、前記素子に形成された調心溝(55)において、該調心溝の長手方向両端部である光ファイバガイド溝(56)の間に位置する部位であり、二つ割りの前記素子は、前記光ファイバガイド溝が形成されている領域に前記光ファイバの被覆部(54b)を挟み込み、前記調心溝の前記調心機構が形成されている領域に前記被覆部から露出された裸ファイバ(54a)を挟み込むようになっており、前記調心接続部(55a)およびその周囲に設けられた屈折率整合剤(67)が、素子の二つ割りに分離されている分離境界に塗布され、前記屈折率整合剤は、前記クランプバネのクランプ力に抗して素子間を押し広げて開放されるための楔状の開放部材(63)が挿入される開放部材挿入溝(61)や、前記素子の長手方向両端から挿入された光ファイバを前記調心接続部に導く前記光ファイバガイド溝(56)の前記調心接続部側の端部に到達されていることを特徴とする光ファイバ接続器を前記課題の解決手段とした。
本発明では、素子内部に浸入しようとする水分や粉塵等が、開放部材挿入溝や、調心機構に光ファイバを導く調心溝に到達されている屈折率整合剤に捕捉される。屈折率整合剤は、粘性を有しているため、捕捉された水分や粉塵等は、開放部材挿入溝や、調心溝に留まり、調心機構に設けられている屈折率整合剤に到達しない。また、屈折率整合剤は、その端部や縁部にて気泡を巻き込みやすい傾向があるが、気泡の巻き込みは調心機構の端部や縁部に限定され、調心機構近傍の屈折率整合剤には巻き込まれない。このため、調心機構では、水分や粉塵、気泡等が悪影響を与えることが防止され、突き合わせ接続する光ファイバ間に目的の接続損失が安定に得られる。また、素子の互いに当接される当接面の広範囲に亘って、屈折率整合剤が設けられていると、当接面間での摩擦係数が低減し、素子の開閉が円滑になる等の効果も得られる。
【0006】
請求項2記載の発明では、互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネにより互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバを該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構によって位置決め調心した光ファイバ同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器であって、前記調心機構に沿ってその側部に延在する突壁が、前記素子の互いに当接される一方または両方の当接面から突設され、前記調心機構およびその近傍に設けられた屈折率整合剤が、前記突壁およびその近傍にも到達され、しかも、一方の素子から突設された前記突壁(68)と、他方の素子に形成され前記突壁(68)を収納する突壁収納凹所(69)との間に回り込んで、前記突壁(68)と前記突壁収納凹所(69)との間を封止していることを特徴とする光ファイバ接続器を前記課題の解決手段とした。
本発明によれば、突壁によって、調心機構やそこに設けられた屈折整合剤に、水分や粉塵等が混入することが防止される。また、突壁およびその近傍に到達された屈折率整合剤によって、突壁付近が封止され、突壁から素子内部への水分や粉塵等の侵入を確実に防止できる。
【0007】
請求項3記載の発明では、互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネにより互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバを該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構によって位置決め調心した光ファイバ同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器であって、前記調心機構(55a)が、前記素子に形成された調心溝(55)において、該調心溝の長手方向両端部である光ファイバガイド溝(56)の間に位置する部位であり、二つ割りの前記素子は、前記光ファイバガイド溝が形成されている領域に前記光ファイバの被覆部(54b)を挟み込み、前記調心溝の前記調心機構が形成されている領域に前記被覆部から露出された裸ファイバ(54a)を挟み込むようになっており、前記素子の長手方向両端から挿入された光ファイバを前記調心機構に導く前記光ファイバガイド溝(56)と該光ファイバガイド溝よりも調心精度が高い前記調心機構との間に、該調心溝を分断するようにして窪んだ形状の凹所(55b)が形成され、前記調心機構およびその近傍に設けられた屈折率整合剤の一部が、前記凹所に貯留されるようになっていることを特徴とする光ファイバ接続器(1)を前記課題の解決手段とした。
本発明によれば、前記凹所に貯留された屈折率整合剤により、調心溝の端部から侵入してくる水分や粉塵等を捕捉することができ、これら水分や粉塵等が、調心機構に侵入することを防止できる。調心溝は、調心機構の両側に形成される。凹所は、調心機構の両側の調心溝の両方または片方に形成される。
また、請求項4記載の発明では、前記素子の側部の二つ割りに分離される分離境界に、前記クランプバネのクランプ力に抗して素子間を押し広げて開放するための楔状の開放部材が挿入される開放部材挿入溝が開口形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の光ファイバ接続器を提供する。
また、請求項5記載の発明では、前記素子は、細長形状のベース(51)と、該ベースに重ね合わせられる蓋体(52)とで構成され、前記蓋体(52)は、二つの端部蓋(52a)および一つの中央蓋(52b)からなる3分割体になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバ接続器を提供する。
また、請求項6記載の発明では、前記調心機構にて突き合わせ接続される光ファイバが、多心光ファイバテープ心線であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバ接続器を提供する。
【0008】
各請求項記載の発明の調心機構は、光ファイバを精密位置決めするものであり、例えば、V溝やU溝等の調心溝、マイクロキャピラリ、光ファイバを3以上の精密ボールや精密ロッドに担持する機構等、各種構成が採用可能である。
なお、請求項1、2、3記載の発明は、任意の2または3全てを組み合わせて、同一の光ファイバ接続器に適用することも可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の光ファイバ接続器1を示す全体斜視図、図2は光ファイバ接続器1の分解斜視図、図3はこの光ファイバ接続器1における光ファイバ54同士の接続状態を示す正断面図である。
図中符号50はコ字状のクランプバネ64内にクランプ保持される素子、51はベース、52は蓋体である。
図1に示すように、素子50は断面長方形の二つ割りロッド状であって、共に細長形状に形成されたベース51および蓋体52からなっている。
【0010】
図2に示すように、ベース51の蓋体52が重ね合わせられる当接面53には、4心、8心等の多心の光ファイバテープ心線である光ファイバ54同士を突き合わせ接続可能に位置決め調心するV溝やU溝等からなる調心溝55が、素子50の長手方向に沿って延在形成されている。この調心溝55は、具体的には、光ファイバテープ心線である光ファイバ54の端末に露出させた複数本の裸ファイバ54aを突き合わせ接続可能に位置決め調心するものであり、複数本(図2では4本)並列状態に形成されている。各調心溝55の長手方向両端部には、素子50の両端から挿入された光ファイバ54先端の裸ファイバ54aをそれぞれ受け入れる光ファイバガイド溝56が形成されている。
調心接続部55aは、径数十μm程度の裸ファイバ54aを精密に位置決め調心する調心機構である。
光ファイバガイド溝56は、調心接続部55aよりも調心精度が低いため、裸ファイバ54aを挿入することが容易であり、ここから裸ファイバ54aを挿入することで円滑に調心接続部55aに到達させることができる。光ファイバガイド溝56から調心接続部55aに至る調心溝55は、素子50の長手方向両端から挿入された光ファイバ(裸ファイバ54a)を、調心接続部55aに導く。
【0011】
光ファイバガイド溝56の調心接続部55a側の端部の両側部には、樹脂製のベース51に一括成形された一対のガイド壁57が突設されている。これらガイド壁57は、調心接続部55a側に行くにしたがって互いの離間距離が次第に縮小するテーパ状になっている(テーパは微小であり、図示していない)。また、これらガイド壁57は、ベース51に蓋体52を重ね合わせた時に、蓋体52側の当接面58(図3参照)に形成されたガイド壁収納凹部58aに収納されて、ベース51に対して蓋体52を位置決めする機能を果たすようになっている。
ガイド壁57近傍の調心溝55は、調心接続部55a方向へ行く程、次第に調心精度が高まるテーパ状になっている。
調心接続部55aの両側の調心溝55、すなわち、調心接続部55aと光ファイバガイド溝56との間の中間に位置する調心溝55には、該調心溝55を分断するように窪んだ形状の凹所55bが形成されている。
また、光ファイバガイド溝56のベース51の長手方向両端部に開口する導入端部62は、ベース51の外側に行くにしたがって当接面53からの深度が増大するように傾斜されており、素子50の一体化時においても光ファイバ54を容易に挿入できるようになっている。
【0012】
素子50の幅方向(図2中矢印C方向)一側部では、ベース51および蓋体52の一方から突設された係合凹部59と、他方から突設された係合凸部60が係合されている。また、素子50の幅方向他側部には、開放部材63が挿入される開放部材挿入溝61が形成されている。この開放部材挿入溝61は、ベース51と蓋体52との分離境界に位置し、開放部材63の挿入先端部63aが挿入されると、ベース51と蓋体52との間が開放されるようになっている。この時、ベース51および蓋体52は、互いに係合された係合凹部59と係合凸部60とをヒンジのように機能させて、相対回転するようにして開放される。
【0013】
調心接続部55aの近傍には、ベース51の当接面53から突設された突壁68が、調心溝55に沿うようにして延在されている。図4に示すように、蓋体52(具体的には中央蓋52b)には、前記突壁68を収納する突壁収納凹所69が形成されている。突壁68は、素子50の幅方向他側部から水分や粉塵等が調心接続部55aに侵入することを防止する。因みに、前記係合凹部59および係合凸部60も、素子50の幅方向一側部から水分や粉塵等が調心接続部55aに侵入することを防止する機能を果たすため、調心接続部55aは、突壁68、係合凹部59、係合凸部60によって、両側からの水分や粉塵等の侵入が防止されている。
この突壁68は、本実施形態では、調心接続部55aから、素子50の幅方向他側部のみに形成されているが、素子50の幅方向両側に対向させて形成することも可能である。
【0014】
図1および図2に示すように、ベース51および蓋体52は、コ字状のクランプバネ64の両側のフランジ部65の間に挟み込まれることで、一体化状態が維持される。
なお、蓋体52は、クランプバネ64の両側のフランジ部65に形成されたスリット66に対応する二つの端部蓋52aおよび一つの中央蓋52bからなる3分割体であって、素子50においては、スリット66よって分割されたクランプバネ64の各部分のクランプ力が、二つの端部蓋52a、中央蓋52bに個別に作用するようになっている。
【0015】
図2に示すように、調心接続部55aおよびその周囲には、塗布、注入等により屈折率整合剤67を設けている。この屈折率整合剤67は、光ファイバガイド溝56近傍、係合凹部59および係合突部60、調心接続部55a近傍に位置する開放部材挿入溝61、突壁68に到達されている。
光ファイバガイド溝56近傍に到達された屈折率整合剤67の一部は、調心接続部55aの両側の調心溝55に形成された凹所55bに貯留される。光ファイバガイド溝56を伝って素子50中央部に侵入しようとする水分や粉塵等は、凹所55bに貯留された屈折率整合剤67に捕捉され、調心接続部55aに侵入することが防止される。なお、素子50内に設けられた屈折率整合剤67は粘性を有するため、素子50を開閉した際に変形することがあるが、凹所55b内に貯留された屈折率整合剤67は、素子50の開閉の影響を受けないため、常に、水分や粉塵等を確実に捕捉できる。
【0016】
図4に示すように、突壁68に到達された屈折率整合剤67は、突壁68と突壁収納凹所69との間に回り込んでおり、突壁68と突壁収納凹所69との間を封止することが好ましい。これにより、突壁68と突壁収納凹所69との間から素子50内に侵入しようとする水分や粉塵等は、ここを封止する屈折率整合剤67により捕捉され、屈折率整合剤67を到達させない場合に比べて、水分や粉塵等が調心接続部55aに侵入することをより確実に防止できる。
【0017】
係合凹部59と係合凸部60との間も、ここに到達された屈折率整合剤67により封止することが好ましく、これにより、素子50内への水分や粉塵等の侵入をより確実に防止できるようになっている。また、係合凹部59、係合凸部60に到達された屈折率整合剤67は、素子50を開閉した際に、係合凹部59および係合凸部60間に生じる樹脂カスを捕捉して、調心溝55に侵入することを防止する機能をも果たす。
【0018】
図2に示すように、調心接続部55a近傍の開放部材挿入溝61に到達された屈折率整合剤67は、開放部材挿入溝61からの水分や粉塵等を捕捉して、素子50内部に侵入することを防止する。しかも、この屈折率整合剤67は、開放部材挿入溝61に開放部材63を挿抜した時に発生する樹脂カスを捕捉して、素子50内部に侵入させない役割をも果たす。
【0019】
また、屈折率整合剤67は、その端部では、水分や粉塵等の他に、気泡を巻き込むことがあるが、本実施形態のように、調心接続部55aから離間した部分も含む広範囲に亘って設けられていれば、巻き込んだ水分や粉塵、気泡等は調心接続部55aから離れた屈折率整合剤67内に留まり、調心接続部55aに侵入することが防止され、調心接続部55aにて接続した光ファイバ(裸ファイバ54a)間の接続損失等に悪影響を与える懸念は無く、目的の接続損失が確実に得られる。
【0020】
この光ファイバ接続器1を用いて光ファイバ54同士を突き合わせ接続するには、まず、開放部材63を開放部材挿入溝61に挿入して素子50の開放状態を維持し、次いで、予め光ファイバ54先端に露出させた裸ファイバ54aを、素子50の両端の導入端部62から光ファイバガイド溝56に添わせるようにしてそれぞれ挿入し、調心接続部55aに至らしめ、両側から挿入された裸ファイバ54a同士を突き合わせ接続する。図3に示すように、光ファイバ54の被覆部54bは、裸ファイバ54aが所定長さ調心接続部55aに挿入されると光ファイバガイド溝56上に乗り上げる。また、光ファイバ54先端の裸ファイバ54aと、被覆部54bとの間に、各裸ファイバ54aを個別に被覆する一次被覆部が存在する場合には、この一次被覆部を、光ファイバガイド溝56内に収納する。
【0021】
両光ファイバ54同士の接続が完了したら、両光ファイバ54を押圧して突き合わせ力を確保しつつ、開放部材挿入溝61から開放部材63を引き抜く。これにより、クランプバネ64のクランプ力によって、光ファイバ54、54の被覆部54bが、ベース51と端部蓋52aとの間にクランプされ、裸ファイバ54aが中央蓋52bとベース51との間にクランプされ、裸ファイバ54a同士の突き合わせ接続状態が維持される。
また、再度、開放部材挿入溝61に開放部材63を押し込んで、ベース51と蓋体52との間を開放すれば、素子50から光ファイバ54を引き抜くことができ、その後、別の光ファイバ54を素子50内に挿入すれば、前述と同様の手順により、接続切替を容易に行うことができる。
【0022】
光ファイバ54同士の接続時、接続解除時は、いずれも、調心溝55内の屈折率整合剤67の変形を招くが、いずれの場合も、凹所55bに貯留されている屈折率整合剤67により、調心溝55の途中が封止された状態が維持され、水分、粉塵、気泡が、調心接続部55aに侵入することを防止できる。
また、素子50を開閉しても、素子50を閉じたときには、光ファイバガイド溝56近傍、係合凹部59および係合突部60、調心接続部55a近傍に位置する開放部材挿入溝61、突壁68に到達されている屈折率整合剤67によって、調心接続部55aへの水分、粉塵、気泡等の侵入が防止されるため、調心接続部55aにて突き合わせ接続した裸ファイバ54a間に目的の接続損失が確実に得られる。
【0023】
しかも、このように、素子50の互いに当接される当接面53、58間の広範囲に亘って設けられた屈折率整合剤67は、素子50の開閉動作を円滑にする役割を果たすとともに、例えば、ベース51、端部蓋52a、中央蓋52b間で、素材の違い等から温度変化に対する線膨張係数が異なる場合には、これら素子50の構成部材間の相対変位を円滑にして、無用な歪みが発生することを防止し、調心溝55による光ファイバ54(裸ファイバ54a)の調心精度を維持する。すなわち、光ファイバ54を挟み込んだ素子50では、ベース51と端部蓋52a、中央蓋52bとの間に若干の隙間が形成されることが普通であり、素材の違い等から、これらベース51、端部蓋52a、中央蓋52b間に線膨張係数の違いが存在すると、素子50に生じた歪みが、素子50に挟み込んだ光ファイバ54の剪断力として作用して、裸ファイバ54aを傷めたり、裸ファイバ54aに加わった応力によって接続損失が変動する等の悪影響が懸念されるが、この光ファイバ接続器1では、屈折率整合剤67が潤滑剤の役割を果たすため、ベース51、端部蓋52a、中央蓋52b間が円滑に相対変位し、素子50に歪みを生じることは無く、光ファイバ54に剪断力が作用することが防止され、裸ファイバ54a間の接続損失を安定に維持できる。また、プラスチック等からなる素子50と、ガラス製の裸ファイバ54aとの間にも線膨張係数の違いが存在するが、屈折率整合剤67が、素子50と裸ファイバ54aとの間の潤滑剤として作用することで、裸ファイバ54aに剪断力が発生することを防止でき、裸ファイバ54aの光特性や、突き合わせ接続した裸ファイバ54a間の接続損失を安定に維持することができる。
【0024】
なお、本発明の光ファイバ接続器は、前記実施形態に何ら限定されるものではなく、例えば、C形バネによって素子が一体化状態にクランプ保持される構成等、各種構成が採用可能である。また、前記実施形態では、ベース51のみに調心溝55が形成された光ファイバ接続器1を例示したが、これに限定されず、蓋体側のみ、あるいはベース側と蓋体側の双方に調心溝が形成されている構成も採用可能である。
また、前記実施形態では、多心光ファイバに対応する光ファイバ接続器1を例示したが、本発明はこれに限定されず、単心の光ファイバ同士の突き合わせ接続に対応する光ファイバ接続器にも適用可能である。また、多心の光ファイバ接続器でも、対象とする光ファイバの心数は、前記実施形態記載の4本に限定されず、4本以外のものを採用することも可能である
調心機構としては、V溝やU溝等の調心溝に限定されず、例えば、マイクロキャピラリ、光ファイバを3以上の精密ボールや精密ロッドに担持する機構等、各種構成が採用可能である。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の光ファイバ接続器によれば、調心機構を含む広範囲に亘って、素子内に設けた屈折率整合剤によって、水分、粉塵、気泡等が調心機構から離間した屈折率整合剤内に留められ、調心機構の屈折率整合剤に侵入することを防止できるため、調心機構で突き合わせ接続した光ファイバ間に目的の接続損失が確実に得られ、しかも、前記接続損失を長期に亘って安定に維持できる。素子の開閉に伴って発生する樹脂カス等の混入物も、前記屈折率整合剤に捕捉されることで、発生場所近傍に留められ、調心機構への侵入を防止できる。さらに、前記屈折率整合剤が、素子内の潤滑剤として機能するため、素子の構成部材間や、素子と光ファイバとの間に線膨張係数の違いが存在しても、光ファイバに剪断力等の悪影響が作用することを防止でき、光ファイバの光特性や光ファイバ間の接続損失を長期に亘って安定に維持できるといった優れた効果を奏する。
【0026】
請求項2記載の光ファイバ接続器によれば、前記調心機構に沿って突設され、その側部に延在する突壁によって、水分や粉塵等が調心機構やそこに設けられた屈折率整合剤に侵入することが防止される。また、突壁およびその近傍に到達された屈折率整合剤により、突壁付近が封止状態となり、突壁近傍から素子内部への水分や粉塵等の侵入をより確実に防止できる。突壁近傍の屈折率整合剤が巻き込む気泡も、突壁近傍に留められる。これにより、調心機構で突き合わせ接続した光ファイバ間に目的の接続損失が確実に得られ、しかも、前記接続損失を安定に維持できるといった優れた効果を奏する。
【0027】
請求項3記載の発明では、調心機構の両側あるいは片側の調心溝を分断するようにして窪んだ形状に形成された凹所に貯留された屈折率整合剤により、調心溝の端部から侵入してくる水分や粉塵等を捕捉することができ、これら水分や粉塵等が、調心機構に侵入することを防止できる。凹所にて屈折率整合剤が巻き込む気泡も、凹所近傍に留められる。これにより調心機構で突き合わせ接続した光ファイバ間に目的の接続損失が確実に得られ、しかも、前記接続損失を安定に維持できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ファイバ接続器の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】 図1の光ファイバ接続器を示す分解斜視図である。
【図3】 図1の光ファイバ接続器の正断面図である。
【図4】 図1の光ファイバ接続器の突壁近傍を示す断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ接続器、50…素子、53、58…当接面、54…光ファイバ(多心光ファイバテープ心線)、54a…光ファイバ(裸ファイバ)、55…調心溝、55a…調心機構(調心接続部)、55b…凹所、61…開放部材挿入溝、63…開放部材、64…クランプバネ(コ字状バネ)、67…屈折率整合剤、68…突壁。
Claims (6)
- 互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネ(64)により互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子(50)を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバ(54)を該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構(55a)によって位置決め調心した光ファイバ(54a)同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器(1)であって、
前記調心機構(55a)が、前記素子に形成された調心溝(55)において、該調心溝の長手方向両端部である光ファイバガイド溝(56)の間に位置する部位であり、
二つ割りの前記素子は、前記光ファイバガイド溝が形成されている領域に前記光ファイバの被覆部(54b)を挟み込み、前記調心溝の前記調心機構が形成されている領域に前記被覆部から露出された裸ファイバ(54a)を挟み込むようになっており、
前記調心接続部(55a)およびその周囲に設けられた屈折率整合剤(67)が、素子の二つ割りに分離されている分離境界に塗布され、前記屈折率整合剤は、前記クランプバネのクランプ力に抗して素子間を押し広げて開放されるための楔状の開放部材(63)が挿入される開放部材挿入溝(61)や、前記素子の長手方向両端から挿入された光ファイバを前記調心接続部に導く前記光ファイバガイド溝(56)の前記調心接続部側の端部に到達されていることを特徴とする光ファイバ接続器(1)。 - 互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネ(64)により互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子(50)を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバ(54)を該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構(55a)によって位置決め調心した光ファイバ(54a)同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器(1)であって、
前記調心機構に沿ってその側部に延在する突壁(68)が、前記素子の互いに当接される一方または両方の当接面(53、58)から突設され、前記調心機構およびその近傍に設けられた屈折率整合剤(67)が、前記突壁およびその近傍にも到達され、しかも、一方の素子から突設された前記突壁(68)と、他方の素子に形成された前記突壁(68)を収納する突壁収納凹所(69)との間に回り込んで、前記突壁(68)と前記突壁収納凹所(69)との間を封止していることを特徴とする光ファイバ接続器(1)。 - 互いの長手方向を揃えて配置されかつ外側に装着されたクランプバネ(64)により互いの接近方向に付勢されている二つ割り構造の素子(50)を有し、この素子の長手方向両側から挿入された光ファイバ(54)を該素子の間に挟持し、当該素子の長手方向中央部の調心機構(55a)によって位置決め調心した光ファイバ(54a)同士を突き合わせ接続する光ファイバ接続器(1)であって、
前記調心機構(55a)が、前記素子に形成された調心溝(55)において、該調心溝の長手方向両端部である光ファイバガイド溝(56)の間に位置する部位であり、
二つ割りの前記素子は、前記光ファイバガイド溝が形成されている領域に前記光ファイバの被覆部(54b)を挟み込み、前記調心溝の前記調心機構が形成されている領域に前記被覆部から露出された裸ファイバ(54a)を挟み込むようになっており、
前記素子の長手方向両端から挿入された光ファイバを前記調心機構に導く前記光ファイバガイド溝(56)と該光ファイバガイド溝よりも調心精度が高い前記調心機構との間に、該調心溝を分断するようにして窪んだ形状の凹所(55b)が形成され、前記調心機構およびその近傍に設けられた屈折率整合剤の一部が、前記凹所に貯留されるようになっていることを特徴とする光ファイバ接続器(1)。 - 前記素子の側部の二つ割りに分離される分離境界に、前記クランプバネのクランプ力に抗して素子間を押し広げて開放するための楔状の開放部材(63)が挿入される開放部材挿入溝(61)が開口形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の光ファイバ接続器。
- 前記素子は、細長形状のベース(51)と、該ベースに重ね合わせられる蓋体(52)とで構成され、
前記蓋体(52)は、二つの端部蓋(52a)および一つの中央蓋(52b)からなる3分割体になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバ接続器。 - 前記調心機構にて突き合わせ接続される光ファイバが、多心光ファイバテープ心線であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバ接続器。
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