JP3985352B2 - 導電性ペースト及びそれを用いたセラミック電子部品 - Google Patents

導電性ペースト及びそれを用いたセラミック電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、導電性ペースト及びそれを用いて形成した厚膜電極を備えたセラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
誘電体セラミック上に静電容量形成用の電極が配設された構造を有するセラミックコンデンサを製造する場合、電極は、通常、銀粉末を導電成分とし、これにガラスフリット、有機ビヒクル、さらに必要に応じて各種添加成分を含有させた導電性ペースト(銀ペースト)をスクリーン印刷などの方法でセラミック誘電体上に塗布し、焼き付けることにより形成されている。
【0003】
このように、導電性ペースト(銀ペースト)を焼き付けて形成した銀厚膜電極は、電気的性質に優れ、高周波特性が良好で、信頼性が高く、しかも、容易かつ簡便に電極を形成することができるという特徴を有している。
【0004】
しかし、銀を導電成分とする導電性ペーストは高価で、コストの増大を招くという問題点がある。
【0005】
また、銀厚膜電極にリード端子などをはんだ付けした場合、はんだ中に銀が拡散、移行する、いわゆるはんだ食われ現象が発生する場合があり、電極の密着性が低下したり、静電容量の不足を招いたりするというような問題点がある。
【0006】
さらに、銀厚膜電極は、銀のマイグレーションが発生しやすく、絶縁耐電圧の低下など信頼性を損なう事態を招く場合がある。
【0007】
特に、はんだ付け工程でのサーマルショックなどにより、セラミック誘電体にマイクロクラックが発生すると、銀がマイクロクラック内に拡散、移行して、銀のマイグレーションの進行が助長され、信頼性を低下させるという問題点がある。
【0008】
上記問題点を解消するために、電極として銅厚膜電極を用いた磁器コンデンサが特公平1−51003号に開示されている。そして、この銅厚膜電極の形成には、銅微粉末と、硼珪酸鉛、硼珪酸ビスマス、硼珪酸亜鉛の少なくとも1種を主成分とするガラスフリットを、銅微粉末に対する体積比が2〜40%の割合で含有する導電性ペースト(銅ペースト)が用いられている。
なお、銅厚膜電極の形成にあたっては、導電性ペースト(銅ペースト)を誘電体磁器素体に塗布し、銅微粉末の酸化を防止するために、中性雰囲気で焼き付けるようにしている。
【0009】
ところで、上記のように、硼珪酸ガラスの少なくとも1種を主成分とするガラスフリットは、硼酸分を少なくした組成でないと低融点を示さないことが知られているが、融点の低くないガラスフリットを用いた場合、導電性ペーストの磁器素体との接合が不完全になり、銅厚膜電極の接着強度が低下するという問題点がある。
【0010】
また、特開平5−195005号公報には、銅粉末の酸化防止法が開示されている。この方法は、銅粉末に対して、硼素原子換算で0.01〜0.1wt%の硼酸とこの硼酸が飽和濃度以下となる量のケトン系、炭化水素系、芳香族系の溶媒とを組み合わせて混合処理した後、乾燥処理して溶媒のみを蒸発させる方法であるが、焼成時の酸素濃度条件などによっては、必ずしも十分な酸化防止効果が得られないという問題点がある。また、この方法では、上記の酸化防止処理の工程において、硼珪酸ガラスと混合した場合に、酸化防止効果のある硼素が硼珪酸ガラス内に取り込まれて、弱酸化性雰囲気での酸化防止効果を失うという問題点がある。
【0011】
また、従来、導電性ペーストを構成するガラスフリットとして、鉛を含有する硼珪酸鉛などのガラスフリットが広く用いられてきたが、近年、環境問題に対する意識の高まりから、ガラスフリット対して、無鉛材料への転換が望まれるようになっている。
【0012】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、鉛を含有せず、導電成分である銅に酸化防止処理を施さなくても、弱酸化性雰囲気で、銅の酸化を引き起こすことなく焼成することが可能な導電性ペースト及びそれを用いたセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)の導電性ペーストは、
銅(Cu)粉末と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有する導電性ペーストであって、
前記ガラスフリットが、主成分として、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含有するものであること
を特徴としている。
【0014】
本願発明の導電性ペーストは、導電成分として、卑金属で安価な銅粉末を用いているので、経済性に優れた導電性ペーストを提供することが可能になる。
また、ガラスフリットとして、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を主成分とする、鉛を含有しないガラスフリットを用いているため、鉛に起因する環境汚染問題を回避することが可能になる。
【0015】
さらに、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を主成分とするガラスフリットを用いることにより、硼素などによる酸化防止処理を行うことなく、中性雰囲気で焼成した場合に限らず、弱酸化性雰囲気中で焼成した場合にも、銅粉末が酸化されることのない導電性ペーストを得ることが可能になり、セラミック上に電極を形成するような場合に、セラミックの還元を抑制して、特性の安定化を図ることが可能になる。
【0016】
また、本願発明の導電性ペーストは、従来の硼珪酸ガラスを主成分とするガラスフリットと同様に、溶融した状態で急冷することによりガラス化する溶融急冷法により効率よく製造することが可能である。
さらに、硼酸塩を構成するアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有することにより、低融点ガラスとしての特性を得ることが可能になり、また、燐酸分(P205など)が、編目形成酸化物として作用し、ガラスの還元を抑制することが可能になる。すなわち、従来の硼珪酸ガラスを用いたガラスフリットの場合のように、B2O3の濃度の調整によりガラスの軟化点を低くしたりする物性調整を行うと、ガラス還元性が増加するという問題点を生じ、銅粉末の酸化防止処理を行うことが必要になるが、本願発明の導電性ペーストにおいては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有していることにより、ガラスの軟化点を低くすることが可能になるため、B2O3の濃度の調整によりガラスの軟化点を低くすることが不要になるとともに、燐酸塩を含有していることによりガラスの還元性を抑制することが可能になる。
【0017】
また、請求項2の導電性ペーストは、前記燐酸のアルカリ金属塩がナトリウム塩であることを特徴としている。
【0018】
燐酸のアルカリ金属塩として、ナトリウム塩を用いることにより、確実にガラスの軟化点を低くすることが可能になるとともに、低融点ガラスとしての特性を得ることが可能になる。
【0019】
また、請求項3の導電性ペーストは、前記銅粉末に対する前記ガラスフリットの体積比が0.3〜6.0%の範囲にあることを特徴としている。
【0020】
銅粉末に対するガラスフリットの体積比を0.3〜6.0%の範囲にすることにより、硼素などによる酸化防止処理を施さなくても、確実に、銅粉末の酸化を防止することができるようになる。
ガラスフリットの添加量は、導電性ペーストを焼き付けて形成した電極の特性に大きな影響を与える。すなわち、ガラスフリットの銅粉末に対する体積比が0.3%未満の場合、電極の引張り強度(密着強度)が著しく低下する。また、ガラスフリットの添加量が0.3%未満になると、銅の酸化が起こりはじめ、はんだ付け性が低下する。一方、ガラスフリットの添加量が6%を超えると、電極の引張り強度は増大するが、誘電損失が大きくなり、コンデンサの場合、静電容量が小さくなる。
【0021】
なお、ガラスフリットの割合を体積比で規定しているのは、電極化した膜の緻密性が体積比により左右されることによる。すなわち、重量比表現でガラスフリットの添加量を規定した場合には、ガラスフリットの真比重の相違により、銅粉末とガラスフリットの体積比が異なり、膜の緻密性が変動して、電極のはんだ付け性、誘電損失に大きな影響を及ぼすのに対して、体積比で規定した場合には、所望のはんだ付け性、誘電損失などに関し、目標とする特性を安定して得ることが可能になることによる。
【0022】
また、請求項4の導電性ペーストは、前記ガラスフリットの軟化点が350〜550℃の範囲にあることを特徴としている。
【0023】
ガラスフリットの軟化点を350〜550℃の範囲とした場合、温度500〜700℃、焼成時間0.5〜1.5hrの、通常の焼き付け条件で導電性ペーストを確実に焼き付けることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0024】
なお、軟化点が350℃未満の場合には、ガラスが電極の焼き付け時に低粘度となり過ぎて、セラミック上に電極を形成するような場合に、セラミック内へ拡散し、電極とセラミックの接合強度が低下するため好ましくない。一方、軟化点が550℃超える場合には、電極の焼き付け時に十分に軟化せず、電極とセラミックの接合が不十分になり、誘電損失の増大と電極の引張り強度の低下を生じるため好ましくない。
【0025】
また、本願発明(請求項5)のセラミック電子部品は、
誘電体セラミックと、
前記誘電体セラミックに請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成された厚膜電極と
を具備することを特徴としている。
【0026】
本願発明のセラミック電子部品は、誘電体セラミックに、請求項1〜4のいずれかに記載の、安価な銅粉末を導電成分として用いた導電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成された厚膜電極を備えているので、経済性に優れており、かつ、十分な信頼性を有している。
【0027】
また、請求項6のセラミック電子部品は、前記導電性ペーストを500〜700℃の温度で焼き付けることにより、前記厚膜電極を形成したことを特徴としている。
【0028】
本願発明の導電性ペーストを500〜700℃で焼成することにより形成された電極は、焼成時にガラスフリットが十分に軟化するとともに、銅が十分に焼結されるため、セラミックに対する接着強度が大きく、電気的特性にも優れており、所望の特性を備えたセラミック電子部品を得ることが可能になる。
なお、焼成温度が500℃未満の場合、ガラスフリット軟化及び銅の焼結が不十分になるため、電極のセラミックへの接着強度が低下する。また、焼成温度が700℃を超えると銅の酸化が著しくなり、電極のはんだ付け性を大きく低下させる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は、本願発明の一実施形態にかかるセラミックコンデンサを示す断面図である。このセラミックコンデンサは、いわゆる単板コンデンサであって、誘電体セラミックからなる板状のセラミック誘電体板(単板)1と、セラミック誘電体板1の両主面にセラミック誘電体板1を介して互いに対向するように配設された一対の電極(容量形成用電極)3a,3bと、一対の電極3a,3bにはんだ付けされたリード端子4a,4bと、セラミック誘電体板1を封止する外装樹脂5とを備えている。
【0030】
なお、セラミック誘電体板1は、例えばチタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミックから形成されており、電極3a,3bは、銅粉末を導電成分とし、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を主成分として含有するガラスフリットを、導電成分である銅粉末に対して所定の体積比で配合した導電性ペーストを、塗布、焼き付けすることにより形成されている。
【0031】
また、図2は、本願発明の他の実施形態にかかるセラミックコンデンサを示す断面図である。このセラミックコンデンサは、積層セラミックコンデンサであって、誘電体セラミックからなるセラミック積層体(セラミック素子)10中に、複数の内部電極11a,11bが誘電体セラミック層12を介して互いに対向するように配設されているとともに、交互に逆側の端面13a,13bに引き出されており、かつ、セラミック積層体10の端面13a,13bに、内部電極11a,11bと導通するように外部電極14a,14bが配設された構造を有している。
【0032】
なお、セラミック積層体10は、例えばチタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック材料から形成されたセラミックグリーンシートに、内部電極形成用の導電性ペーストを所定のパターンとなるように塗布したセラミックグリーンシートを複数枚積層し、さらにその上下両面側に内部電極パターンの形成されていないセラミックグリーンシートを積層し、圧着した後、所定の条件で焼成して一体化することにより形成されている。
【0033】
そして、外部電極14a,14bは、焼成、一体化されたセラミック積層体10の両端面に、本願発明の導電性ペースト、すなわち、銅粉末を導電成分とし、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を主成分として含有するガラスフリットを、導電成分である銅粉末に対して所定の体積比で配合した導電性ペーストを塗布、焼き付けすることにより形成されている。
【0034】
本願発明の導電性ペーストを用いて形成したセラミック電子部品の特性を調べるため、以下に説明するようなサンプル(セラミックコンデンサ))を作製し、静電容量、誘電損失、電極の引張り強度、はんだ付け性などを測定した。
【0035】
[特性測定試験1]
酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、燐酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)からなるガラスフリットを、微細な銅粉末に対して、体積比を変えながら、3本ロールなどの混練機により、エチルセルロース有機ビヒクル中に分散させて導電性ペーストを作成した。なお、燐酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)の代わりに、他の燐酸アルカリ金属塩や燐酸アルカリ土類金属塩を用いることも可能であり、さらに、酸化ナトリウム(Na2O)と5酸化2燐(P2O5)を別々に添加するようにしてもよい。
【0036】
それから、この導電性ペーストを、チタン酸バリウム系の高誘電率誘電体セラミックから形成され、直径が14mm、厚みが0.5mmの円板(単板)の両主面に、スクリーン印刷などの方法により塗布し、酸素濃度450ppmの弱酸化性雰囲気中、焼成温度600℃で、60分間焼成することにより、セラミックコンデンサ(サンプル)を得た。
【0037】
そして、このセラミックコンデンサについて、静電容量、誘電損失(DF)、電極の引張り強度、はんだ付け性(酸化度)などを測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003985352
【0039】
なお、表1においてサンプル番号に*印を付したものは本発明の範囲外の比較例である。
また、ガラスフリットの添加量に対する電極の引張り強度の関係を図3に、ガラスフリットの添加量に対する静電容量の関係を図4に、ガラスフリットの添加量に対する誘電損失(DF)の関係を図5に示す。
【0040】
なお、表1及び図3において、電極の引張り強度は、電極に直径0.5mmのリード線をはんだ付けし、電極面に垂直の方向に引張って電極が剥離したときの荷重を引張り強度とした。
【0041】
また、はんだ付け性は、各サンプルの電極の表面にロジンフラックスを塗布した後、溶融はんだに浸漬してはんだ付け性を目視により観察し、評価した。なお、はんだは融点が183℃の共晶はんだ(温度:235℃)を使用し、2〜3秒間浸漬した。
【0042】
表1及び図3に示すように、ガラスフリットの添加量が増大すると引張り強度が大きくなることがわかる。
一方、ガラスフリットの添加量が体積比で6.0%を超えるとはんだ付け性が低下する。
また、ガラスフリットの添加量が体積比で0.3%未満になると、半田くわれが生じ、電極の引張り強度も大きく低下する。
【0043】
このように、表1及び図3から、ガラスフリットの添加量を銅粉末に対して、体積比で0.3〜6.0%の範囲とすることにより、電極の引張り強度とはんだ付性を同時に満足できることがわかる。
【0044】
また、図4及び図5に示すように、ガラスフリットの添加量が、体積比で0.3〜6.0%の範囲にある場合、18nF以上の静電容量を得ることが可能になるとともに、誘電損失が4%以下となり、良好な特性を備えたセラミックコンデンサを得ることができる。
【0045】
上述のように、ガラスフリットの添加量を銅粉末に対して、体積比で0.3〜6.0%の範囲とすることにより、静電容量、誘電損失、電極の引張り強度、はんだ付け性(酸化度)に関し、所望の特性を備えたセラミックコンデンサを得ることができる。
【0046】
[特性測定試験2]
酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、燐酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)からなるガラスフリットを、微細な銅粉末に対して、体積比が0.5%となるように配合し、これを3本ロールなどの混練機により、エチルセルロース有機ビヒクル中に分散させて導電性ペーストを作成した。なお、燐酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)を添加する代わりに、酸化ナトリウム(Na2O)と5酸化2燐(P2O5)を添加するようにしてもよい。
【0047】
それから、この導電性ペーストを、チタン酸バリウム系の高誘電率誘電体セラミックから形成された、直径が14mm、厚みが0.5mmの単板の両主面に、スクリーン印刷などの方法により塗布し、酸素濃度1000ppmの弱酸化性雰囲気中で、焼成温度を変化させて60分間焼成することにより、セラミックコンデンサ(サンプル)を得た。
【0048】
そして、このセラミックコンデンサについて、静電容量、誘電損失(DF)、電極の引張り強度、はんだ付け性(酸化度)などを測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003985352
【0050】
なお、表2においてサンプル番号に*印を付したものは本発明の範囲外の比較例である。
また、焼成温度に対する電極の引張り強度の関係を図6に、焼成温度に対する静電容量の関係を図7に、焼成温度に対する誘電損失(DF)の関係を図8に示す。
【0051】
なお、表2及び図6において、電極の引張り強度は、電極に直径0.5mmのリード線をはんだ付けし、電極面に垂直の方向に引張って電極が剥離したときの荷重を引張り強度とした。
【0052】
また、はんだ付け性は、各サンプルの電極の表面にロジンフラックスを塗布した後、溶融はんだに浸漬してはんだ付け性を目視により観察し、評価した。なお、はんだは融点が183℃の共晶はんだ(温度:235℃)を使用し、2〜3秒間浸漬した。
【0053】
表2及び図6に示すように、焼成温度が500〜700℃の範囲においては、電極の引張り強度とはんだ付け性を同時に満足することがわかる。
しかし、焼成温度が800℃以上になると、電極の酸化が生じてはんだ濡れ性が低下し、電極として機能しない状態になった。
【0054】
また、図7及び図8に示すように、焼成温度が500℃以上になると、ガラスが十分に軟化して、誘電体セラミックへの接合状態が良好になり、静電容量、誘電損失などの特性を満足することがわかる。なお、焼成温度が800℃以上になっても、図7及び図8に示すように、静電容量及び誘電損失に関しては、必要な特性が得られているが、酸化抑制効果が低下して電極の酸化が生じ、はんだ濡れ性が低下するため好ましくない。
【0055】
上述のように、焼成温度を500〜700℃の範囲とすることにより、静電容量、誘電損失、電極の引張り強度、はんだ付け性(酸化度)に関し、所望の特性を備えたセラミックコンデンサを得ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、セラミックコンデンサを例にとって説明したが、本願発明の導電性ペーストは、例えば、NTCサーミスタ、バリスタなどのセラミック電子部品に電極を形成する場合などに広く用いることが可能である。
【0057】
本願発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0058】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の導電性ペーストは、導電成分として、卑金属で安価な銅粉末を用いているので、低コストの導電性ペーストを提供することが可能になるとともに、ガラスフリットとして、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を主成分として含有するものを用いており、鉛を含有していないため、鉛に起因する環境汚染の問題を回避することが可能になる。さらに、上記ガラスフリットを用いているので、硼素などによる酸化防止処理を行うことなく、中性雰囲気で焼成した場合に限らず、弱酸化性雰囲気中で焼成した場合にも、銅粉末の酸化を防止することが可能になり、セラミック上に電極を形成する場合に、セラミックの還元を抑制して特性の安定化を図ることが可能になる。 また、燐酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有させることにより、ガラスの軟化点を低くすることが可能になるとともに、ガラスの還元性を抑制することが可能になる。
【0059】
また、請求項2の導電性ペーストのように、燐酸のアルカリ金属塩として、ナトリウム塩を用いることにより、確実にガラスの軟化点を低くすることが可能になるとともに、低融点ガラスとしての特性を得ることが可能になる。
【0060】
また、請求項3の導電性ペーストのように、銅粉末に対するガラスフリットの体積比を0.3〜6.0%の範囲にした場合、硼素などによる酸化防止処理を施さなくても、確実に、銅粉末の酸化を防止することができる。
【0061】
また、請求項4の導電性ペーストのように、ガラスフリットの軟化点を350〜550℃の範囲とした場合、温度500〜700℃、焼成時間0.5〜1.5hrの、通常の焼き付け条件で導電性ペーストを確実に焼き付けることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0062】
また、本願発明(請求項5)のセラミック電子部品は、誘電体セラミックに、請求項1〜4のいずれかに記載の、安価な銅粉末を導電成分として用いた導電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成された厚膜電極を備えているので、経済性に優れており、かつ、十分な信頼性を有している。
【0063】
また、請求項6のセラミック電子部品の場合のように、本願発明の導電性ペーストを500〜700℃で焼成することにより形成された電極は、焼成時にガラスフリットが十分に軟化するとともに、銅が十分に焼結されるため、セラミックに対する接着強度が大きく、電気的特性にも優れており、所望の特性を備えたセラミック電子部品を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかるセラミックコンデンサを示す断面図である。
【図2】本願発明の他の実施形態にかかるセラミックコンデンサを示す断面図である。
【図3】導電性ペースト中のガラスフリットの添加量と電極の引張り強度の関係を示す特性図である。
【図4】導電性ペースト中のガラスフリットの添加量と静電容量の関係を示す特性図である。
【図5】導電性ペースト中のガラスフリットの添加量と誘電損失の関係を示す特性図である。
【図6】導電性ペーストの焼成温度と電極の引張り強度の関係を示す特性図である。
【図7】導電性ペーストの焼成温度と静電容量の関係を示す特性図である。
【図8】導電性ペーストの焼成温度と誘電損失の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 セラミック誘電体板(単板)
3a,3b 電極(容量形成用電極)
4a,4b リード端子
5 外装樹脂
10 セラミック積層体(セラミック素子)
11a,11 内部電極
12 セラミック層
13a,13b セラミック積層体の端面
14a,14b 外部電極

Claims (6)

  1. 銅(Cu)粉末と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有する導電性ペーストであって、
    前記ガラスフリットが、主成分として、酸化硼素(B2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び燐酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含有するものであること
    を特徴とする導電性ペースト
  2. 前記燐酸のアルカリ金属塩がナトリウム塩であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 前記銅粉末に対する前記ガラスフリットの体積比が0.3〜6.0%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性ペースト。
  4. 前記ガラスフリットの軟化点が350〜550℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 誘電体セラミックと、
    前記誘電体セラミックに請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペーストを塗布して、焼き付けることにより形成された厚膜電極と
    を具備することを特徴とするセラミック電子部品。
  6. 前記導電性ペーストを500〜700℃の温度で焼き付けることにより、前記厚膜電極を形成したことを特徴とする請求項5記載のセラミック電子部品。
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