JP3990809B2 - フッ素樹脂被覆方法、定着部材の製造方法及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒または円柱基材上のへのフッ素樹脂の被覆方法及び、この方法により製造したトナー定着部材、およびこのトナー定着部材を備えた複写機・LBP等の電子写真画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真画像形成装置の定着部材として用いられる定着ローラ、定着フィルム、加圧ローラ等は、その使用上トナーの離型性が求められるため、表層にフッ素樹脂を用いることが多い。
【0003】
また、フルカラートナー画像を形成する場合には、最大4層のトナー層を定着するための、定着ローラまたは定着フィルムにおいては、表層トナー離型層であるフッ素樹脂層が熱を完全にトナーに伝え、トナーの記録材への定着性を良好にするためトナーや転写材の凹凸に追従できるような柔軟性を持つ必要がある。そのためトナー離型層であるフッ素樹脂層の下層に、柔軟性のある弾性層を設けた構成の定着部材が用いられる。
【0004】
従来電子写真画像形成装置の定着部材として用いられる定着部材としては、円筒または円柱状の金属芯上に、弾性層を形成し、その外周面にトナー離型層としてのフッ素樹脂を成膜したものが多く用いられている。また最近では、耐熱性樹脂芯上に、弾性層を形成し、その外周面にトナー離型層としてのフッ素樹脂を成膜したものも用いられている。
【0005】
円筒または円柱状の基材の周壁へフッ素樹脂を被覆する方法として、基材上にフッ素樹脂粉体またはフッ素樹脂分散液を塗装した後加熱焼成する方法が用いられていた。上記フッ素樹脂を加熱焼成する際には、フッ素樹脂の融点以上まで加熱し、焼成成膜する方法が取られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例のようなフッ素樹脂被覆方法には、次のような問題点がある。
【0007】
まず、基材が弾性体の場合弾性体上にフッ素樹脂を塗装し、加熱焼成すると、フッ素樹脂の溶融粘度が極めて高いため、フッ素樹脂の融点よりかなり高い温度で加熱焼成しても、成膜したフッ素樹脂層の平滑性が低くなる。また、上記のようなフッ素樹脂焼成条件を実行すると、その温度に耐えるような弾性体が存在しないため、弾性体に極めて大きなダメージを与える。その結果、弾性層の圧縮永久歪が悪化し、定着用部材に要求される紙搬送性が得られなくなる。またそのダメージを抑えるために、フッ素樹脂の焼成温度を低く抑えようとすると、フッ素樹脂が完全に溶融しきれず、表面に、クラックが生じたり、所望する表面性が得られないという問題点があった。
【0008】
上記の問題を解決する目的で、発明者等は、弾性体とフッ素樹脂層の外側に配した面転写部材との間で、フッ素樹脂層を加圧し面転写部材の表面模様をフッ素樹脂表面に転写しながら、フッ素樹脂の加熱焼成成膜を行なう方法を提案した。その結果、フッ素樹脂の表面模様を制御しながら、フッ素樹脂を従来よりも低い温度で成膜することが可能となり、下材である弾性体(ゴム)のダメージを比較的小さく抑えることができるようになった。しかしながら、この方法においても、弾性体(ゴム)のダメージを完全に抑えることはできなかった。
【0009】
この発明の目的は、上記諸問題を解決するフッ素樹脂の円筒または円柱の外壁への被覆方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、クラックのないフッ素樹脂層を基体に被覆できる被覆方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、所望の表面粗さを持つフッ素樹脂層を基体に被覆できる被覆方法を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的は、上記フッ素樹脂層の被覆方法を用いた定着部材の製造方法及びそれを用いた電子写真装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によるフッ素樹脂の被覆方法は、(i)周面にフッ素樹脂粉末層を有する、円筒または円柱状の、シリコーンゴムからなる弾性層を有する多層構成の基材を、赤外線の透過率が50%以上である円筒状の面転写部材の中空部に挿入し、該基材と該面転写部材とを各々の中心線が一致するように固定する工程(但し、赤外線の吸収が、該面転写部材≦フッ素樹脂<該基材表面である)と、
(ii)該面転写部材の外側に配置した赤外線ヒーターを用いて、前記工程(i)で得た、基材を固定した面転写部材を回転させつつ、赤外線の吸収が、面転写部材≦フッ素樹脂<基材表面であることを用いて融着界面を選択的に加熱することにより、該弾性層と該面転写部材との熱膨張率の差を利用して該フッ素樹脂粉末層を該弾性層と該面転写部材とで加圧した状態で加熱してフッ素樹脂層とする工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂被覆方法である。
【0014】
本発明によれば、円筒または円柱のような基材上にフッ素樹脂(FEP、PFA、PTFE等)の粉体またはそれらの水性塗料をコーティングしてフッ素樹脂粉体層を形成し、その基材の外側に配した円筒状の面転写部材との間で、基材と面転写部材の熱膨張率の差を利用しフッ素樹脂粉体層を加圧しながら加熱する。加熱方法として赤外線ヒータを用い加圧下で面転写部材の外側より加熱することにより基材表層のフッ素樹脂層を効率的に加熱することができ、面転写部材の表面模様をフッ素樹脂層表面に転写させることができるものであり、そうすることによって、任意の模様及び粗さを付与することが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、フッ素樹脂粉体層を加圧下で加熱することで、クラックのないフッ素樹脂層を形成するための加熱条件が緩和され、また、面転写部材側からの加熱により、フッ素樹脂層の下にゴム層などの他のポリマー層がある場合には、ポリマー層の熱劣化を防止することができる。
【0016】
基材の表面へのフッ素樹脂粉末の塗布は静電塗布法でもよいが、容易性の点で、フッ素樹脂粉体を含む水性塗料を用いることが好適である。
【0017】
また、基材表面のフッ素樹脂の粉末を予備加熱して焼成し、基材表面に固定化させることはハンドリングの点で好適である。
【0018】
また、面転写部材が赤外線を50%以上透過することが、加熱を効率的に行う上で好適である。さらに、赤外線によるフッ素樹脂の加熱を効率的に行う点で、赤外線の吸収が面転写部材≦フッ素樹脂層<基層表面であることが好適である。
【0019】
本発明における円筒または円柱状の基材としては、特に制約はないが、鉄・アルミニウム等の金属芯金上にシリコーンゴム・フッ素ゴム等の耐熱性ゴムが形成された多層構成の基材を用いる。これらは定着ローラ基材として好ましい。また定着フィルム基材としては、ポリイミド等の耐熱性樹脂またはニッケル・鉄等の金属からなるフィルム上にシリコーンゴム・フッ素ゴム等の耐熱性ゴムが形成された多層構成の基材を用いる。
【0020】
実際の基材(基層)の構成は後述する実施例及び図面により詳細に記したが、例えば(1)芯金・シリコーンゴムプライマ−層・シリコーンゴム・フッ素ゴム/フッ素樹脂層(2)ポリイミドフィルム・シリコーンゴムプライマ−層・シリコーンゴム・フッ素ゴム/フッ素樹脂層
などがある。
【0021】
本発明に用いられるフッ素樹脂としては市販のパーフルオロエチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等が用いられる。
【0022】
円筒状面転写部材の材質としては、フッ素樹脂粉末の焼成成膜時に必要な温度に耐えることができれば特に制約はないが、ポリイミド・ポリフェニレンサルファイド等の耐熱性樹脂を用いることが好ましい。面転写部材としてポリイミドの薄層チューブガラスを用いると扱いやすく耐熱性および高温時の強度に優れているため繰り返し使用が可能となり面転写部材の耐久性が向上する。
【0023】
面転写部材の形状は円筒状であり、その内径は、前記基材上にフッ素樹脂層を形成した円筒または円柱状部材の外径よりも僅かに大きく、長さは少なくとも同じであることが必要である。両者を嵌合したときの隙間は、両者の組合せにおける加熱時の熱膨張係数の差にもよるができるだけ狭いことが好ましく通常5〜1000μmである。
【0024】
面転写部材の内面仕上は(1)まず除去加工で作るもの(金属型)の場合内面をドリル加工、旋盤加工、等で形成した後ホーニングで仕上所望の面粗さ迄持っていく。また荒したい場合はホーニング後のブラスト仕上等を行う。
【0025】
(2)付加加工で作るもの(金属電鋳、樹脂)の場合転写部材のマスタ棒を作りその表面に金属、樹脂を形成しマスターからはずして使用するのだが、マスタの表面を切削、研磨、磨き加工等により仕上げ所望の面粗さとしておけばよい。またマスタの表面をブラストやエッチング等により荒したり模様をつけておけばそれを面転写部材内面に転写することも可能である。
【0026】
上記面転写部材の内部にフッ素樹脂粉末をコーティングした基材を挿入し一体化したものを加熱するための赤外線ヒーターは、特に限定するものではないが、例えば上記面転写部材と同等の長さの平行光タイプのラインヒーターを用い、面転写部材から両者の軸を平行にして適当な距離に保ち、面転写部材を回転させながら加熱する。ヒーターの出力および距離等は、加熱時間が数分ないし拾数分で均一に加熱されるように適宜決定すればよい。加熱時のフッ素樹脂層の温度は、使用するフッ素樹脂の溶融温度であり使用するフッ素樹脂により異るが通常約280〜320℃である。
【0027】
またフッ素樹脂粉末層をあらかじめ予備加熱焼成成膜した後、上記操作を行ってもよい。フッ素樹脂の予備加熱焼成は、フッ素樹脂を完全に成膜させるまで行ってもよいが、特にその必要はなく、一時的にフッ素樹脂の溶融温度まで上昇させれば十分である。この際、フッ素樹脂の表面にクラック・凹凸等が存在してもよい。また予備加熱焼成後のフッ素樹脂被覆基材と面転写体を加熱する工程におけるフッ素樹脂層の温度は、200℃以上であれば特に制約はないが、溶融温度まで上昇させる必要はなく、好ましくは240℃〜290℃である。この方法を用いると予備加熱焼成を行わなかった場合より、少ない熱量でフッ素樹脂に任意の表面模様を付与することができる。基材として樹脂やゴム等の耐熱性のない材質を用いた場合、フッ素樹脂の加熱焼成時に基材の熱劣化が起こるが、この方法を用いると赤外線による急速加熱により基材の熱劣化を防止することができる。またフッ素樹脂層加圧時に高温を必要としないため作業効率も良い上に、加圧装置等の装置の軽量化が図られる。面転写体の材質は、上記したように特に制約はない。
【0028】
フッ素樹脂がコーティングされた基材の熱膨張率が、面転写部材の熱膨張率より大きい場合、フッ素樹脂のコーティングされた基材を面転写部材に挿入し赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱すると、基材の熱膨張が面転写部材の熱膨張より大きいため、基材と面転写部材との間でフッ素樹脂層が加圧され、フッ素樹脂表面に面転写部材の内面模様が転写される。
【0029】
またフッ素樹脂がコーティングされた基材の熱膨張率が、面転写部材の熱膨張率より小さい場合、フッ素樹脂のコーティングされた基材を外面を固定された面転写部材に挿入し赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱する、外面を固定された面転写部材と基材との間でフッ素樹脂層が加圧され、フッ素樹脂表面に面転写部材の内面模様が転写される。
【0030】
上記したいずれの方法においても、基材は多層構成でかつ基材の表層が耐熱性のゴムで構成されていてもよい。
【0031】
赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱し面転写部材間でフッ素樹脂を加圧成膜すると、フッ素樹脂の焼成成膜時に付与する温度を低く設定してもフッ素樹脂の成膜を容易に行うことができること、表面のフッ素樹脂を直接加熱できること、急速加熱が可能であること等により、基材の劣化を押えることができる。またその際、面転写部材の内面をフッ素樹脂表面に転写することができ、フッ素樹脂表面に所望の模様を形成することが可能となる。さらに面転写部材が赤外線を50%以上透過させる材料であれば面転写部材自体にはあまり吸収されずにそのエネルギーはフッ素樹脂に届き面転写部材の熱膨張も減ることにより、より少ないエネルギーで面転写部材の内面をフッ素樹脂表面に転写することができ、フッ素樹脂表面に所望の模様を形成することが可能となる。つまり基層の熱劣化もさらに押えることができる。また、赤外線の吸収が面転写部材≦フッ素樹脂<基層表面(融着界面)とすることで融着界面を直接加熱することができ、したがってより効率的に転写部材の内面をフッ素樹脂表面に転写し、フッ素樹脂表面に所望の模様を形成することが可能となる。
【0032】
また加熱の前および/または加熱中に円筒状の基材の内面を冷却しておけば基層の熱劣化を抑えることができる。
【0033】
電子写真画像形成装置に使用される定着部材はその機能上トナーの離型性が要求される。定着部材の中で特にトナーと接触する定着ローラ及び定着フィルムにおいては、印刷画像の光沢ムラを防ぐため、表層フッ素樹脂の平滑性が要求される。印刷画像の光沢ムラとは、トナー画像の表面に定着ローラ及び定着フィルムの表層フッ素樹脂の表面模様が転写されることにより発生し、ベタ画像、特に写真印刷のカラー画像を印刷する場合に顕著にあらわれる。発明者等の検討によれば、上記印刷画像の光沢ムラは、定着ローラ及び定着フィルムの表面粗さに依存し、定着ローラおよび定着フィルムの表層フッ素樹脂の表面粗さを十点平均粗さ(Rz)5μm以下にすれば防止することができる。しかしながら、上記したように、現在までフッ素樹脂表面に所望の粗さを形成することは極めて困難であり、画像光沢ムラを防止するために定着ローラ及び定着フィルムの表層フッ素樹脂を研磨して粗さを制御する手法を用いていた。
【0034】
本発明の方法を用い、定着ローラまたは定着フィルム基材上にフッ素樹脂をコーティングし、フッ素樹脂を赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱しながら定着ローラまたは定着フィルム基材を面転写部材で加圧することにより、定着ローラ及び定着フィルムの表層フッ素樹脂に所望の模様を形成することが可能となった。すなわち面転写部材内面に、粗さ5μm以下の模様をあらかじめ形成しておけば、定着ローラ及び定着フィルム表層フッ素樹脂表面に面転写部材の内面が転写され、粗さ5μm以下でかつ所望の粗さのフッ素樹脂を成膜することができる。その結果として画像光沢ムラを防止できる。加圧ローラはRz20ミクロン以下で画像荒れは認められない。
【0035】
定着部材の中で特に転写材の搬送性の要求される定着部材においては、定着部材表層フッ素樹脂に転写材の搬送能力を有するようなある程度の粗さが必要となる。発明者等の検討によれば、転写材の搬送に十分なフッ素樹脂の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で2〜20μmの範囲であることがわかっている。その範囲内で、要求される搬送性およびその他の性能(画像性能等)によって、最良の表面粗さは決定される。
【0036】
本発明の方法を用い、定着部材の基材上にフッ素樹脂をコーティングし、フッ素樹脂を赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱しながらその基材を面転写部材で加圧することにより、定着部材表層フッ素樹脂に所望の模様を形成することが可能となった。すなわち面転写部材の内面に、粗さ2〜20μmの模様をあらかじめ形成しておけば、定着部材表層フッ素樹脂表面に面転写部材の内面が転写され、粗さ2〜20μmでかつ所望の粗さのフッ素樹脂を成膜することができる。その結果として、要求される転写材の搬送性を定着部材に与えることができる。
【0037】
図10は、本発明によるトナー定着部材を適用する電子写真装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像する手段、現像したトナー像を転写材に転写する手段、および、転写材上のトナー像を定着する手段を有する電子写真装置が挙げられる。この装置の一例が図10に示される。
【0038】
5は感光体であり、軸5aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。
【0039】
感光体5はその回転過程で帯電手段6によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで電光部7にて不図示の像露光手段により光像露光L(スリット露光あるいはレーザービーム走査露光など)を受ける。これにより、感光体周面に像露光に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0040】
その静電潜像は、次いで現像手段8でトナー現像され、そのトナー現像像が転写手段9により不図示の給紙部から感光体5と転写手段9との間に感光体5の回転と同期取りされて給送された転写材Pの面に順次転写されていく。像転写を受けた転写材Pは感光体面から分離されて像定着手段2へ導入されて像定着を受けて複写物(コピー)として機外へプリントアウトされる。像転写後の感光体5の表面はクリーニング手段3にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段1により除電処理がされて繰返して像形成に使用される。感光体の均一帯電手段6としてはコロナ帯電装置や導電ローラーによる直接帯電装置が使用される。また、転写装置9もコロナ転写手段および導電ローラーによる直接帯電手段が使用される。
【0041】
【発明の実施の形態】
参考例1
本発明に係る第1の参考例について図1を参照しながら説明する。
【0042】
11は最外層にフッ素樹脂コーティングを有する円筒状基材であり、その断面図を図1Bに示す。111は円筒状基材の芯金でありアルミニウムで構成され、その外径は40mmである。芯金111上には、表層フッ素樹脂と芯金を接着するためフッ素樹脂プライマー層112が形成され、その上層にフッ素樹脂コーティング層113が形成されている。プライマー層112はフッ素樹脂プライマーの水性塗料をスプレーにより塗装した後150℃で30分乾燥させることにより形成し、その際その厚みは8μmであった。上記のようなプライマー層塗工が終わった後、フッ素樹脂(PFA)のディスパージョンをスプレーにより塗装し、150℃で30分乾燥した。フッ素樹脂層の厚みは25μmであった。
【0043】
12は面転写部材であり、内径40.1mm、肉厚0.05mmの円筒形をしている。面転写部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂膜に転写したい表面模様が形成されている。本参考例においては面転写部材内面を表面粗さ5μmに加工して用いた。また本実施例において面転写部材内面を表面粗さ5μmに加工して用いた。また本実施例において面転写部材12の材質としては基材11により熱膨張率の小さいNi電鋳フィルムを用いた。
【0044】
フッ素樹脂コーティングされた基材11を面転写部材12の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂コーティングされた基材11と面転写部材12の間には、約20μmの隙間がある。上記のように一体化した、フッ素樹脂コーティングされた基材11と面転写部材12を赤外線ヒータ18により面転写部材12の外側から加熱した。本参考例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約10分間加熱した。その際基材を構成するアルミの熱膨張が、面転写部材を構成するNiより大きいため、アルミがより膨張して、面転写部材と基材との間にあった約20μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(PFA)が軟化し成膜がなされる。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出す。
【0045】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で5μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。またオーブンでの加熱(約20分)より非常に短時間で加工できた。
【0046】
参考例2
本発明に係る第2の参考例について図2を参照しながら説明する。
【0047】
21は最外層にフッ素樹脂コーティングを有する円筒状基材であり、その断面図を図2Bに示す。211は円筒状基材の芯金でありアルミニウムで構成され、その外径は40mmである。芯金211上には、表層フッ素樹脂と芯金を接着するためフッ素樹脂プライマー層212が形成され、その上層にフッ素樹脂コーティング層213が形成されている。プライマー層212はフッ素樹脂プライマーの水性塗料をスプレーにより塗装した後150℃で30分乾燥させることにより形成し、その際その厚みは8μmであった。フッ素樹脂コーティング層は上記のようなプライマー層塗工が終わった後、フッ素樹脂(PFA)のディスパージョンをスプレーにより塗装し、150℃で30分乾燥した後、350℃で20分予備加熱焼成したものであり、その厚みは25μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られ表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。22は面転写部材であり、内径40.1mm、肉厚0.05mmの円筒形をしている。面転写部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂膜に転写したい表面模様が形成されている。本参考例においては面転写部材内面を表面粗さ5μmに加工して用いた。面転写部材22の材質としては基材21より熱膨張率の小さいNi電鋳フィルムを用いた。フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成のされた基材21を、面転写部材22の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂コーティングされた基材21と面転写部材22の間には、約20μmの隙間がある。上記のように一体化した、フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材21と面転写部材22を赤外線ヒータ28により面転写部材22の外側から加熱した。本参考例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約8分間加熱した。その際基材を構成するアルミの熱膨張が、面転写部材を構成するNiより大きいため、アルミがより膨張して、面転写部材と基材との間にあった約20μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(PFA)が軟化し成膜される。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を脱型する。
【0048】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で5.2μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。またオーブンでの加熱(約20分)より非常に短時間で加工できた。
【0049】
参考例3
本発明に係る第3の参考例について図3を参照しながら説明する。
【0050】
31は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状基材であり、その断面図を図3Bに示す。311は円筒状基材の芯金でありSUSで構成され、その外径は40mmである。芯金311上にはプライマー層312を介してLTVのシリコーンゴム層313が接着されておりその厚みは1mmである。上記シリコーンゴム層はプライマーを塗布した芯金を円筒状金型に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注入し、それを加熱硬化することにより形成した。314はシリコーンゴム層313と表層フッ素樹脂層を接着するためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層314はフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物から成る水性塗料をスプレーにより塗装し200℃で30分加熱硬化させて得られたもので、その厚みは25μmであった。上記プライマー層314上にはフッ素樹脂(FEP)層315が形成されている。フッ素樹脂層315はフッ素樹脂(FEP)ディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成したものであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全に成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。32は面転写部材であり、内径42.2mm、肉厚0.05mmの円筒形をしている。面転写部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂膜に転写したい表面模様が形成されている。本参考例においては面転写部材内面を表面粗さ5μmに加工して用いた。面転写部材32の材質としてはNi電鋳フィルムを用いた。フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材31を、面転写部材32の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂コーティングされた基材31と面転写部材32の間には、約60μmの隙間がある。上記のように一体化したフッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材31と面転写部材32を赤外線ヒータ38により面転写部材32の外側から加熱した。本参考例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約6分間加熱した。その際基材を構成するシリコーンゴムの熱膨張が、面転写部材を構成するNiより大きいため、シリコーンゴムがより膨張して、面転写部材と基材との間にあった約60μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(FEP)が軟化し成膜される。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出す。
【0051】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4.8μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。またオーブンでの加熱(約20分)より非常に短時間で加工できた。ただし若干のシリコーンゴムの劣化が見られた。
【0052】
実施例1
本発明の第1の実施例について図4を参照しながら説明する。
【0053】
41は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状基材であり、その断面図を図4Bに示す。411は円筒状基材の芯金でありSUSで構成され、その外径は40mmである。芯金411上にはプライマー層412を介してLTVのシリコーンゴム層413が接着されておりその厚みは1mmである。上記シリコーンゴム層はプライマーを塗布した芯金を円筒状金型に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注入し、それを加熱硬化することにより形成した。414はシリコーンゴム層413と表層フッ素樹脂層を接着するためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層414はフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物から成る水性塗料をスプレーにより塗装し200℃で30分加熱硬化させて得られたもので、その厚みは25μmであった。上記プライマー層414上にはフッ素樹脂(FEP)層415が形成されている。フッ素樹脂層415はフッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成したものであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。42は面転写部材であり、内径42.2mm、肉厚1mmの円筒形をしている。本実施例において面転写部材42の材質としては耐熱ガラスを用いた。面転写部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂膜に転写したい表面模様が形成されている。本実施例においては面転写部材内面の表面粗さは5μmであった。
【0054】
この耐熱ガラスは赤外線の透過率は90%以上でありかつフッ素樹脂であるFEPの赤外線透過率はやはり約90%である。また本実施例で用いた融着界面にはプライマーとしてフッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物を用いているがこれは赤外線透過率は10%以下であった。
【0055】
フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材41を、面転写部材42の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂コーティングされた基材41と面転写部材42の間には、約60μmの隙間がある。上記のように一体化した、フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材41と面転写部材42を赤外線ヒータ48により面転写部材42の外側から加熱した。本実施例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約3分間加熱した。基材を構成するシリコーンゴムの熱膨張が面転写部材を構成する耐熱ガラスより大きく、面転写部材(耐熱ガラス)およびフッ素樹脂は赤外線をあまり吸収しないためさらに熱膨張も少なく選択的に融着界面が加熱されるため、シリコーンゴムがより膨張して、面転写部材と基材との間にあった約60μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を効率的に低エネルギーで作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(FEP)が軟化し成膜される。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出す。
【0056】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4.8μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。結果的には参考例3より短時間で加工できた。さらにシリコーンゴム上にフッ素樹脂融着する際に起こるゴム劣化を防ぐこともできた。
【0057】
耐熱ガラスをその内径を精度よく円筒状に加工することは難しく、また繰り返し加熱冷却すると割れやすいためこの例は特殊な用途のみ適用される。
【0058】
実施例2
本発明の第2の実施例について図5を参照しながら説明する。
【0059】
51は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状基材であり、その断面図を図5Bに示す。511は円筒状基材の芯金でありSUSで構成され、その外径は40mmである。芯金511上にはプライマー層512を介してLTVのシリコーンゴム層513が接着されておりその厚みは1mmである。上記シリコーンゴム層はプライマーを塗布した芯金を円筒状金型に挿入し、LTVの未加硫シリコーンゴムを注入し、それを加熱硬化することにより形成した。514はシリコーンゴム層513と表層フッ素樹脂層を接着するためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層514はフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物から成る水性塗料をスプレーにより塗装し200℃で30分加熱硬化させて得られたもので、その厚みは25μmであった。上記プライマー層514上にはフッ素樹脂(FEP)層515が形成されている。フッ素樹脂515はフッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成したものであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。52は面転写部材であり、内径42.2mm、肉厚0.05mmの円筒形をしている。本実施例において面転写部材52の材質としてポリイミドを用いた。面転写部材内面には、基材上にコーティングされたフッ素樹脂膜に転写したい表面模様が形成されている。本実施例においては面転写部材内面の表面粗さは5μmであった。
【0060】
このポリイミドの赤外線の透過率は90%でありかつフッ素樹脂(FEP)の赤外線透過率はやはり約90%である。また本実施例で用いた融着界面にはプライマーとしてフッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物を用いているがこれは赤外線透過率は10%以下であった。
【0061】
フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材51を、面転写部材52の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂コーティングされた基材51と面転写部材52の間には、約60μmの隙間がある。上記のように一体化した、フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材51と面転写部材52を赤外線ヒータ58により面転写部材52の外側から加熱した。本実施例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約3分間加熱した。その際基材のを構成するシリコーンゴムの熱膨張が面転写部材を構成するポリイミドより大きく、面転写部材(ポリイミド)およびフッ素樹脂は赤外線をあまり吸収しないためさらに熱膨張も少なく選択的に融着界面が加熱されるため、面転写部材と基材との間にあった約60μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を効率的に低エネルギーで作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(FEP)が軟化し成膜される。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出す。
【0062】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4.8μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。もちろんシリコーンゴム上にフッ素樹脂融着する際に起こるゴム劣化を防ぐこともきた。
【0063】
ポリイミドのフィルムは精度よくそして所望の面精度を持たせたマスターを作製し、それにコーティング、硬化させはがすことにより容易に作製できる。また高温時強度にも優れるため面転写部材としての繰り返し使用の耐久性を向上できる。さらに柔軟性を持つことから取り扱いもしやすく量産に向いている。
【0064】
実施例3
本発明の第3の実施例について図6を参照しながら説明する。
【0065】
実施例2と同様の条件で加工する際、赤外線を照射する5分前から照射した後5分間の間芯金の中空部に−10℃の冷却エアー69を毎分1リットルの流速で流した。これによりそれまで加熱後10分ほどかかっていた基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出すまでの時間を減らすことができた。また赤外線の出力を3.5kwで2分半としてもこれまでと同等のフッ素樹脂の焼成膜が得られた。その表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4.8μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。もちろんシリコーンゴム上にフッ素樹脂が融着する際に起こるゴム劣化もなかった。つまり結果的には脱型までの時間を実施例2より若干ではあるが短縮できた。
【0066】
実施例4
本発明の第4の実施例について図7を参照しながら説明する。
【0067】
71は最外層にフッ素樹脂を有する円筒状基材であり、その断面図を図7Bに示す。711は円筒状基材の基層を形成する厚さ50μmの熱硬化型ポリイミドフィルムであり、その外径は40mmである。ポリイミドフィルム711上にはプライマー層712を介してLTVのシリコーンゴム層713が接着されておりその厚みは300μmである。上記シリコーンゴム層はプライマーを塗布したりポリイミドフィルムに、トルエンに溶解したLTV未加硫シリコーンゴムをスプレー塗装し、それを加熱硬化することにより形成した。714はシリコーンゴム層713と表層フッ素樹脂層を接着するためのプライマー層であり、フッ素ゴムとフッ素樹脂(FEP)の混合物で構成される。上記プライマー層714上にはフッ素樹脂(FEP)層715が形成されている。フッ素樹脂層715はフッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成したものであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。
【0068】
72は面転写部材であり、内径42.8mm、肉厚0.05mmの円筒形をしている。面転写部材内面には、基材上に被覆されたフッ素樹脂転写したい表面模様が形成されている。本実施例においては面転写部材内面の表面粗さ5μmに加工して用いた。また面転写部材72の材質としてはポリイミドを用いた。
【0069】
フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材71に、フィルム内径と等しい外径を持つ円筒状の内面固定治具73(アルミ製)を挿入、一体化し、面転写部材72の内部に挿入し、更に基材と面転写部材の中心線が一致するように、図示しない固定部材により固定し一体化した。その際フッ素樹脂チューブ被覆された基材71と面転写部材72の間には、約60μmの隙間がある。
【0070】
上記のように一体化した、フッ素樹脂コーティング及びフッ素樹脂の予備加熱焼成された基材71と面転写部材72を赤外線ヒータ78により面転写部材72の外側から加熱した。本実施例では基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して配置した。この状態で3kwで約3分間加熱した。その際基材を構成するシリコーンゴムの熱膨張が面転写部材を構成するポリイミドより大きく、面転写部材(ポリイミド)およびフッ素樹脂は赤外線をあまり吸収しないため、さらに熱膨張も少なく選択的に融着界面が加熱されるため、面転写部材と基材との間にあった約60μmの隙間が埋まり、さらにフッ素樹脂層が加圧された状態を効率的に低エネルギーで作り出す。また赤外線加熱により基材表層のフッ素樹脂(FEP)が軟化し成膜される。上記の工程終了後、基材及び面転写部材を冷却し、面転写部材から基材を抜き出す。
【0071】
このようにして得られたフッ素樹脂の焼成膜の表面の粗さは、十点平均粗さ(Rz)で4.9μmであり、面転写部材の表面模様がフッ素樹脂表面に転写され、かつフッ素樹脂が成膜された。またその際成膜されたフッ素樹脂層表面を電子顕微鏡で観察したところ、表面にクラック等の不良は観察されなかった。もちろんシリコーンゴム上にフッ素樹脂が融着する際に起こるゴム劣化もなかった。
つまり上記のようなフィルム状のものにもフッ素樹脂を被覆することができた。
【0072】
実施例5
実施例2と同様の方法でカラー画像形成装置の定着ローラーを作成した。
【0073】
図8にカラー画像形成装置に使用される定着ローラの断面図を示す。811は定着ローラのアルミニウム芯金であり、その外径は58mmである。その芯金上に実施例5と同様の方法で、1mmのシリコーンゴム層813、25μmのフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物から成るプライマー層814、フッ素樹脂(FEP)層815が形成されている。フッ素樹脂層815はフッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成をしたものであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。
【0074】
上記のような方法で作成した定着ローラを、内径60.2mm、肉厚0.05mmの円筒形をしているポリイミドでできた面転写部材に挿入固定、一体化して赤外線ヒータにより面転写部材の外側から基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して約3分間加熱した。その際面転写部材の内面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で10μm(実施例5.1)、5μm(実施例5.2)、2μm(実施例5.3)の3種類を用意し、それぞれ上記条件において定着ローラを作成した。それぞれの面転写部材を用いて作成した定着ローラについて、その表面粗さと、定着ローラとしての評価を表1に示す。
【0075】
比較例1
実施例5において、予備加熱焼成後のフッ素樹脂被覆定着ローラについて、面転写工程なしでの表面粗さの測定および画像評価を行い、表1に示した。ただしこの定着ローラの表面はクラック、凹凸等の不良が残ったままであった。
【0076】
【表1】
〇:光沢ムラなし
△:一部光沢ムラあり
×:光沢ムラあり
【0077】
表1より、面転写部材の内面の表面粗さを調整することにより、フッ素樹脂表面に任意の粗さを形成することが可能であることがわかる。またカラー画像形成装置において問題となる画像光沢ムラについては、上記の方法でフッ素樹脂表面の粗さを制御することにより解決される。
【0078】
実施例6
実施例2と同様の方法で加圧ローラ駆動のフィルム定着方式を用いた加圧ローラを作成した。
【0079】
図9に加圧ローラ駆動のフィルム定着方式の定着装置に用いられる加圧ローラの断面図を示す。911は加圧ローラのアルミニウム芯金であり、その外径は10mmである。その芯金上に実施例5と同様の方法で、3mmのシリコーンゴム層913、25μmのフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物から成るプライマー層914、フッ素樹脂(FEP)層915が形成されている。フッ素樹脂層915はフッ素樹脂(FEP)のディスパージョンをスプレーで塗装し、150℃で20分乾燥した後、300℃で20分の予備加熱焼成をしたもであり、厚みは15μmであった。その際フッ素樹脂層は完全には成膜されておらず、表面にクラック・凹凸等の不良が見られた。またフッ素樹脂表面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で15μmであった。
【0080】
上記のような方法で作成した加圧ローラを、内径16.6mm、肉厚0.05mmの円筒形をしているポリイミドでできた面転写部材に挿入固定、一体化して赤外線ヒータにより面転写部材の外側から基材とほぼ同等の長さ(300mm)を持つ3kw出力の赤外線ラインヒータ(平行光タイプ)を面転写部材表面より約50mm離して約3分間加熱した。その際の面転写部材の内面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で25μm(実施例6・1)、10μm(実施例6・2)、1.5μm(実施例6・3)の3種類を用意し、それぞれ上記条件において定着ローラを作成した。それぞれの面転写部材を用いて作成した加圧ローラについて、その表面粗さと、加圧ローラとしての評価を表2に示す。
【0081】
比較例2
実施例6おいて、予備加熱焼成後のフッ素樹脂被覆加圧ローラについて、面転写部材に挿入することなく、実施例6と同じ条件で約10分赤外線加熱をしてフッ素樹脂を成膜した。これは表面を完全に成膜するに必要な時間であり、このため表面粗さは良くなったが下層のシリコーンゴムが劣化しセットが落ちてしまい搬送性も悪くなってしまった。
【0082】
この加圧ローラについて表面粗さの測定搬送性および画像評価を行い、表2に示した。
【0083】
【表2】
〇:良好
△:一部不良あり
×:不良あり
【0084】
表2より、面転写部材の内面の表面粗さを調整することにより、フッ素樹脂表面に任意の粗さを形成することが可能であることがわかる。また加圧ローラの駆動のフィルム定着装置における転写材搬送性及び画像不良については、上記の方法でフッ素樹脂表面の粗さを制御することにより解決される。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、円筒または円柱基材上にフッ素樹脂の粉体またはその水性塗料をコーティングし、その基材を円筒状の面転写部材に挿入し、赤外線ヒータを用い面転写部材の外側より加熱することにより基材と面転写部材の熱膨張率の差を利用し面転写部材によりフッ素樹脂層を加圧した状態で加熱して、面転写部材の表面模様をフッ素樹脂層表面に転写させることによって、基材を劣化させずに、クラックのないフッ素樹脂を形成することができるようになった。また、フッ素樹脂層の表面への任意の模様または粗さの付与ができるようになった。
【0086】
また上記方法を用いて、画像形成装置の定着装置に用いられる、トナーと直接接する定着部材を作成した場合、表層フッ素樹脂の表面粗さを制御することができ、画像の光沢ムラを防止することが可能となった。
【0087】
また上記方法を用いて、画像形成装置の定着装置の駆動側に用いられる定着部材を作成した場合、表層フッ素樹脂の表面粗さを制御することができ、搬送性及び画像荒れ不良を防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の説明図で、Aのフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図2】 参考例2の説明図で、Aはフッ素被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図3】 参考例3の説明図で、Aはフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図4】 実施例1の説明図で、Aはフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図5】 実施例2の説明図で、Aはフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図6】 実施例3の説明図で、Aはフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図7】 実施例4の説明図で、Aはフッ素樹脂被覆方法の概略図、Bは被覆された基材の断面図である。
【図8】 実施例5の定着ローラの断面図である。
【図9】 実施例6の加圧ローラの断面図である。
【図10】 電子写真装置の概略図である。
Claims (8)
- (i)周面にフッ素樹脂粉末層を有する、円筒または円柱状の、シリコーンゴムからなる弾性層を有する多層構成の基材を、赤外線の透過率が50%以上である円筒状の面転写部材の中空部に挿入し、該基材と該面転写部材とを各々の中心線が一致するように固定する工程(但し、赤外線の吸収が、該面転写部材≦フッ素樹脂<該基材表面である)と、
(ii)該面転写部材の外側に配置した赤外線ヒーターを用いて、前記工程(i)で得た、基材を固定した面転写部材を回転させつつ、赤外線の吸収が、面転写部材≦フッ素樹脂<基材表面であることを用いて融着界面を選択的に加熱することにより、該弾性層と該面転写部材との熱膨張率の差を利用して該フッ素樹脂粉末層を該弾性層と該面転写部材とで加圧した状態で加熱してフッ素樹脂層とする工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂被覆方法。 - フッ素樹脂の水性塗料を該弾性層の周面に塗布して該フッ素樹脂粉末層を形成する工程を更に含む請求項1記載のフッ素樹脂被覆方法。
- 基材表面のフッ素樹脂の粉末を予備加熱により焼成して該弾性層の周面に固定化して該フッ素樹脂粉末層を形成する工程を更に含む請求項1記載のフッ素樹脂の被覆方法。
- 該面転写部材が、ポリイミドおよびガラスから選択された材料で形成されているチューブである請求項1記載のフッ素樹脂の被覆方法。
- 加熱前および/または加熱中に円筒基材の内面を冷却する工程を更に有する請求項1記載のフッ素樹脂の被覆方法。
- 該赤外線ヒーターが平行光タイプのラインヒータからなるものであり、且つ該面転写部材の軸と平行となるように配置されている請求項1記載のフッ素樹脂被覆方法。
- 該面転写部材の外側に配置した赤外線ヒーターの数が一つである請求項1または6に記載のフッ素樹脂被覆方法。
- 請求項1乃至7の何れかに記載のフッ素樹脂被覆方法を用いてシリコーンゴムからなる弾性層を有する多層構成の基材の周面にフッ素樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする定着部材の製造方法。
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