JP4002014B2 - 改質アスファルト用添加材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質アスファルト用添加材及びこれを含有する改質アスファルト組成物に関し、詳しくはアスファルトと改質材との分離が抑制され、かつ針入度、軟化点、60℃粘度などのバインダー性状に優れたアスファルト組成物を与えることができる改質アスファルト用添加材及びこれを含有する改質アスファルト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アスファルトは粘着性、加工性、防水性に優れ、また安価であるため、使いやすい材料として、道路舗装材、ルーフィング材、シーリング材、接着剤、水路ライニング材等の分野で広く使用されている。しかし、アスファルトを道路舗装材として使用した場合、夏季における舗装表面温度(約60℃以上)でアスファルトが軟化するため、交通荷重でわだち堀れが生じやすく、また冬季にはアスファルト舗装表面が硬化し、ひび割れが生じる等の問題があった。
そこで、これらの問題を解決するために高性能のアスファルトが求められ、従来より、アスファルトにゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を添加した、いわゆる改質アスファルトが製造され、道路舗装材として使用されている。
【0003】
近年、重量車両の通行量が増加し、アスファルト舗装道路の使用状況は非常に過酷なものとなっており、このため改質アスファルトのより一層の高性能化が求められている。すなわち、道路舗装の耐久性を向上させるために、軟化点や温度60℃における粘度(以下「60℃粘度」ということがある)が高く、かつ骨材への付着力及び骨材把握力に優れた高性能の改質アスファルトが要求されている。このような高性能の改質アスファルトを得るためには、従来、熱可塑性エラストマー等の改質材の添加量を増加すること、及び改質材を高分子量化することの一方又は両方の条件を満たすことが必要とされている。
一方、車輛の走行安全性の向上、降雨時の滞水防止及び交通騒音の削減について社会的要請が高まってきており、このような観点から開粒度アスファルト混合物を道路舗装材として用いた排水性舗装も、広く実施されるようになってきた。ここで、排水性舗装とは、舗装表面の空隙率を18%以上(一般に密粒度アスファルト混合物では3〜6%)に高め、舗装に透水性を持たせたものをいう。排水性舗装に使用される改質アスファルトとしては、耐久性の点から、60℃粘度、軟化点、骨材への付着力、骨材把握力が従来の改質アスファルトに比べて飛躍的に高いものであることが必要とされることから、通常、改質材の添加量を増加したり、あるいは高分子量化した改質材が使用されている。
【0004】
しかしながら、改質材の添加量増加及び高分子量化は、改質材とアスファルトとの相溶性を悪化させ、高温での貯蔵中又は移動中にアスファルトと改質材との分離が生ずるといった改質アスファルトの品質面の問題がある。この品質面での問題を改善することを目的に、アスファルトと改質材の分離を防止するための機械的な循環や攪拌のための設備を新たに設置せざるを得ず、これらが改質アスファルトのコスト増加の要因となっている。
また、アスファルト舗装の耐久性を向上させるために、改質アスファルトの60℃粘度を高くすると、これに伴って高温(120〜180℃)での粘度も高くなり、その結果、作業性が低下するため、改質アスファルト移送ポンプの能力増強、アスファルト合材製造設備の能力増強が必要となり、上記と同様に改質アスファルトのコスト増加の要因となっている。
【0005】
以上のような問題点に対し、現状では、改質材がアスファルトから分離するのを防ぐために、改質アスファルトに鉱物油が添加されている。しかし、従来の鉱物油を添加した改質アスファルトにおいては、鉱物油の添加により改質アスファルトの粘度が低下し、上記重量車両の通行に対応するために求められている、改質アスファルトの高性能化という要求に合致しなくなるという問題点があった。しかも、鉱物油の添加による改質材の分離抑制効果は必ずしも十分ではなかった。
そこで、新たな添加材を追加して添加する試みがなされている。新たな添加材の例としては、石油樹脂(特開平6−107953号公報)、特殊な固形炭化水素樹脂(特開平9−2912219号公報)、エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体と芳香族ビニル化合物を含有する単量体混合物との共重合体を水酸基含有化合物でエステル化したエステル化物又はその塩(特開平6−329919号公報)などが提案されている。
しかし、これらの新たな添加材は、アスファルトや鉱物油と比較して非常に高価であり、改質アスファルトの製造コストが増加するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、改質アスファルトの耐流動性及び骨材への付着力を低下させることなく、アスファルトと改質材との高温における材料分離を防止し、改質アスファルトの取り扱いを容易にする効果を奏する改質アスファルト用添加材及び該添加材を含む改質アスファルト組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエキストラクト油を改質アスファルトに配合することにより、改質アスファルトの耐流動性を低下させることなく、アスファルトと改質材との高温での分離を防止することができ、かつこの分離を抑制するための高価な添加材を使用する必要がなくなることを見出した。また、上記エクストラクト油の高温での粘度を低下させることにより、取扱い性が向上し、改質アスファルト移送ポンプ、アスファルト合材製造設備の能力増強の設備改造が不要となることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、石油精製の溶剤抽出工程において得られるエキストラクト油であって、温度60℃における動粘度が6000mm2 /sec以上であり、温度120℃における動粘度が70mm2 /sec以下であり、かつ温度15℃における密度が1.03g/cm3 以上であることを特徴とする改質アスファルト用添加材を提供するものである。
また、本発明は、アスファルト、改質材、及び上記添加材を組成物中3〜40重量%含む改質アスファルト組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の改質アスファルト用添加材は、石油精製の溶剤抽出工程において得られるエキストラクト油であり、動粘度及び密度において上記要件を満たすものであれば種々のものが使用できるが、ナフテン系油精製時に溶剤抽出されるエキストラクト油が特に好ましい。ナフテン系油精製時に溶剤抽出されるエキストラクト油は、パラフィン系油などの精製時に溶剤抽出により得られるエキストラクト油と同様の組成(飽和成分、芳香族成分、レジン分等)を有していても、化学構造が異なるものと推定される。ナフテン系油精製時に溶剤抽出されるエキストラクト油は、パラフィン系油などの精製時に溶剤抽出により得られるエキストラクト油と比べて、取扱い性、分離防止性の点で優れたものであり、改質アスファルト用添加材として特に好ましいものである。
なお、溶剤抽出とは、2種以上の成分からなる混合液体を溶剤で処理分別する操作をいい、一般に溶剤に抽出されたものをエキストラクトという。石油精製における溶剤抽出法は、抽出に用いる溶剤の種類によりプロパン脱れき法、フルフラール法、フェノール法、デュオソール法などがあり、単一溶剤を使用するフルフラール法、フェノール法とプロパン脱れき法の組み合わせが一般的である。またN−メチル−2−ピロリドンを抽出溶剤として用いる方法も実施されている。本発明においては、溶剤としてフルフラールを用いて抽出されたエキストラクト油が特に好ましい。
本発明の改質アスファルト用添加材は、温度60℃における動粘度が6000mm2 /sec以上のものであるが、この動粘度は6000〜8000mm2 /secであることが好ましく、6500〜7500mm2 /secが特に好ましい。この動粘度が6000mm2 /sec未満では、この添加材を含む改質アスファルトの60℃での粘度を低下させることとなり、アスファルト舗装道路の路面の最高温度は夏季には60℃以上に達するため、アスファルト舗装としての耐久性を低下させることとなる。また、温度120℃における動粘度は70mm2 /sec以下であるが、40〜70mm2 /secであることが好ましく、40〜55mm2 /secが特に好ましい。この動粘度が70mm2 /secを超えると、改質アスファルト組成物を製造する際の温度(120〜180℃)において高粘度になり過ぎることとなるため、改質アスファルト用添加材として、また改質アスファルト組成物としての取扱い性が低下する。
【0010】
また、石油製品は、一般に、その組成が高分子量の芳香族成分である場合に高密度となる。本発明の改質アスファルト用添加材の密度は1.03g/cm3 以上であるが、1.03〜1.06g/cm3 であることが好ましく、1.04〜1.05g/cm3 が特に好ましい。この密度が1.03g/cm3 未満では、改質アスファルト組成物におけるアスファルトと改質材との高温での分離防止が不十分なものとなる。
なお、上記動粘度及び密度はそれぞれJIS K2283及びJIS K2249に準拠して求めた値である。
本発明の改質アスファルト用添加材は、上記条件に加えてさらに粘度指数が−60以下、特に−100以下であることが、改質アスファルト組成物における取扱い性及び分離防止性の点で好ましい。
【0011】
本発明の改質アスファルト組成物は、アスファルト、改質材及び上記改質アスファルト用添加材を組成物中3〜40重量%含むものであるが、この添加材の含有量は10〜30重量%とすることが好ましい。この添加材の含有量が3重量%未満では改質アスファルト組成物の取扱い性及びアスファルトと改質材との分離防止性における改善効果が少なく、また40重量%を超えるとコスト高となってしまう。
本発明の改質アスファルト組成物におけるアスファルトとしては、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、プロパン脱れきアスファルト、再生アスファルト等が挙げられる。ここで、ストレートアスファルトは、原油から常圧蒸留によって石油ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油等を留出させ、さらに減圧蒸留によって潤滑油留分を分離した塔底留出物である。ブローンアスファルトは、ストレートアスファルトに高温の空気を吹き込んで酸化重合反応を行わせたものである。プロパン脱れきアスファルトは、プロパンとブタンの混合物を溶剤として用い、減圧蒸留残渣油から高粘度潤滑油留分(ブライトストック等)を抽出した残渣分である。これらのアスファルトにおいて、JIS K2207に規定される針入度グレードには特に制限はなく、改質アスファルト組成物の所望とする性状により、適当なものを使用することができる。これらのアスファルトは1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の改質アスファルト組成物におけるアスファルトの含有量は、組成物中45〜94重量%が好ましい。この含有量が94重量%を超えると、改質アスファルト組成物として所望の粘度が得られない場合があり、また45重量%未満では改質材や上記添加材の添加量が増えることとなるため、コストが増大してしまう。
【0012】
本発明の改質アスファルト組成物における改質材としては、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーなどの公知の改質材を使用することができるが、改質材として熱可塑性ポリマーを用いた場合に本発明の添加材による効果が特に顕著に発現される。熱可塑性ポリマーあるいは熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ジメチルポリシロキサン、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルスチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、フッ化ビニリデン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、メチルスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、メチルスチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。この中で、スチレンやメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物とブタジエンやイソプレン等のジエン系不飽和炭素との共重合体及びブロック共重合体が特に好ましい。
本発明の改質アスファルト組成物における改質材の含有量は、組成物中0.5〜20重量%とすることが好ましく、3〜15重量%が特に好ましい。この含有量が0.5重量%未満では改質アスファルトとして所望の粘度を得ることができない場合があり、また20重量%を超えると、粘度が高くなり過ぎる場合があるからである。
【0013】
本発明の改質アスファルト組成物には、必要に応じて、通常、改質アスファルトに添加される他の添加材、例えば各種ゴム、石油樹脂等の粘着性付与樹脂、有機系耐ブロッキング剤、無機系耐ブロッキング剤、剥離防止剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤などを添加することができる。
本発明の改質アスファルト組成物は、上記各成分を所定の割合で混合することにより製造することができ、この場合、各成分の配合順序は特に制限されない。各成分の混合には、プロペラ式攪拌機、ホモミキサー等の各種の攪拌機を使用することができるが、高剪断力をかけることができるホモミキサーを使用することが好ましい。各成分の混合温度は特に制限されるものではないが、120〜200℃が好ましく、160〜190℃が特に好ましい。
本発明の改質アスファルト組成物を道路舗装用として用いる場合は、通常、この組成物に骨材及びフィラーを混合したアスファルト混合物として使用される。骨材及びフィラーとしては、一般道路舗装用のものを使用することができる。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。実施例における評価は下記の方法で行った。
(評価方法)
(1)温度25℃における針入度
JIS K2207に準拠した。
(2)軟化点
JIS K2207に準拠した。
(3)エキストラクト油の動粘度
JIS K2283に準拠した。
(4)粘度指数
JIS K2283に準拠した。
(5)密度
JIS K2249に準拠した。
(6)改質アスファルトの動粘度(180℃粘度)
JIS K2207に準拠した。
(7)改質アスファルトの60℃絶対粘度
日本アスファルト協会法 JAA−001に準拠した。
(8)貯蔵試験
200ミリリットルの円筒容器に試料を約200gを採取し、150℃に設定した空気高温槽に各アスファルト組成物を7日間貯蔵した後、試料を室温まで冷却し、円筒容器を上部及び下部に分割し、それぞれの軟化点を測定し、その軟化点の差からアスファルトと熱可塑性ポリマー(改質材)との分離の有無を判断し、アスファルトと改質材の相溶性を評価した。
【0015】
実施例1及び比較例1〜3
第1表に示す原料を通常の方法により混合して改質アスファルト組成物を製造し、それぞれの組成物の性状を上記の方法により評価した。結果を第1表に示す。また、配合したエキストラクト油の性状を第2表に示す。なお、第1表において原料の欄の数値はそれぞれ重量部であり、全体で100重量部となるように配合されている。
【0016】
【表1】
Figure 0004002014
【0017】
【表2】
Figure 0004002014
【0018】
第1表の結果から、比較例1〜3の改質アスファルト組成物は、貯蔵試験においてアスファルトと改質材との分離が見られたのに対し、実施例1の改質アスファルト組成物は、貯蔵試験において上記分離が見られないことがわかる。また、比較例2,3の改質アスファルト組成物においてはエキストラクト油の添加により、改質アスファルトの物理性状が低下し、改質アスファルトが本来有する耐久性が低下していることが、比較例1における物理性状との比較からわかる。一方、実施例1の改質アスファルト組成物は、エキストラクト油の添加によっても改質アスファルト組成物の物理性状が低下することなく、エキストラクト油を添加しない比較例1と同等のものが得られたことがわかる。
実施例2,3及び比較例4
第3表に示す原料(数値は重量部を示す)を通常の方法により混合して改質アスファルト組成物を製造し、それぞれの組成物の性状を上記の方法により評価した。結果を第3表に示す。
【0019】
【表3】
Figure 0004002014
【0020】
改質アスファルトに石油樹脂を添加した比較例4の改質アスファルト組成物は、物理性状は非常に高いが、同時に180℃における粘度も高くなっており、取扱い性が非常に悪いことがわかる。また、貯蔵試験においてアスファルトと熱可塑性ポリマーとの分離が確認された。これに対し、実施例2,3の組成物の物理性状は比較例4とほぼ同等であるが、180℃における粘度が300mm2 /sec以下であり、取扱い性が大きく改善されていることがわかる。また、貯蔵試験においてもアスファルトと熱可塑性ポリマーとの分離は見られなかった。
【0021】
【発明の効果】
特定のエキストラクト油からなる本発明の改質アスファルト用添加材は、改質アスファルト組成物の耐流動性を低下させることなく、アスファルトと改質材との高温(120〜180℃)における分離を防止することができるため、この分離抑制のための高価な添加材を使用する必要がなくなり、改質アスファルト組成物のコストを低減することができる。また、本発明の添加材は、高温における改質アスファルトの粘度を低下することができるため、改質アスファルト組成物の取扱い性が向上し、このため、改質アスファルト移送ポンプ、アスファルト合材製造設備の能力増強の設備改造が不要となるという利点がある。

Claims (4)

  1. 石油精製の溶剤抽出工程において得られるエキストラクト油であって、温度60℃における動粘度が6000mm2 /sec以上であり、温度120℃における動粘度が70mm2 /sec以下であり、かつ温度15℃における密度が1.03g/cm3 以上であることを特徴とする改質アスファルト用添加材。
  2. エキストラクト油が、ナフテン系油の精製時に得られるものである請求項1記載の改質アスファルト用添加材。
  3. アスファルト、改質材、及び請求項1又は2記載の添加材を組成物中3〜40重量%含む改質アスファルト組成物。
  4. 改質材が熱可塑性ポリマーである請求項3記載の改質アスファルト組成物。
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