JP4002124B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反発性能を高めうるゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ゴルフクラブヘッドの反発係数を高めると、打球の飛距離を向上させることが知られている。反発係数を高めるためには、ヘッド材料やヘッド構造を改良することが行われている。ヘッド構造の改良としては、中空のヘッドにおいて、ボールを打球するフェース部を薄肉化することが挙げられる。
【0003】
しかしながら、フェース部を均一に薄肉化すると、ボールと直接衝突するフェース面の中央部において強度が不足しやすく、耐久性を低下させるという不具合がある。このため、従来では、フェース部の背面側かつその周辺部に凹溝等を設けて薄肉化することが行われている。しかしながら、このような薄肉化を行う場合でも、凹溝の溝面積や深さにおのずと限界がある。
【0004】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、フェース部の表面をなすフェース面に、インパクトエリアの外側をフェース面の周縁に沿ってのびかつ溝巾が1mm以上の表の凹溝部を設けるとともに、前記フェース部の背面に、前記表の凹溝部に沿ってのびる裏の凹溝部を設けることを基本として、ヘッドの反発性能をさらに高め、打球の飛距離をより一層向上しうるゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、内部に中空部を有するゴルフクラブヘッドであって、フェース部の表面をなすフェース面に、インパクトエリアの外側をフェース面の周縁に沿って連続してのびる1本かつ溝巾が0.5mm以上の表の凹溝部を設けるとともに、前記フェース部の背面に、前記表の凹溝部に沿って前記周縁を連続してのびる1本の裏の凹溝部を設けたことを特徴としている。
【0006】
ここで「インパクトエリア」とは、「ゴルフ規則」の付属規則IIに記載されるように、球に当てることを意図して作った部分であって、本明細書では、図3に示すように、ヘッド1を規定のライ角β、フェース角(図示せず)で水平面HPに載置した基準状態において、フェース中心線C(フェース面2のトウ、ヒール方向の中間位置を通る垂直線)からトウ、ヒール側にそれぞれ20mm以内の領域と、フェース面2の周縁(2a、2b、2t及び2e)から6.5mmを内側に隔てる閉じた輪郭線Kで囲まれる領域との重なり部分P(ハッチングを付し部分)とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線が前記表の凹溝部と重なることなくその内側に形成されていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドである。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記表の凹溝部は、溝巾が0.5〜4.0mmであり、かつ前記裏の凹溝部は、溝巾が1.0〜15.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドである。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線のうち外周側の溝縁輪郭線が前記表の凹溝部の内周縁よりも2.5〜10mm内側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態のゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1を規定のライ角、フェース角として水平面に載置した正規状態のの斜視図、図2はその一部を切り取った破断図、図3は図1の正面図、図4は図2のA−A郭におけるフェース部3の部分断面図をそれぞれ示している。
【0011】
図において、ヘッド1は、ボールを打球するフェース面2を有するフェース部3と、前記フェース面2の上の周縁2aに連なりヘッド上面をなすクラウン部4と、前記フェース面2の下の周縁2bに連なりヘッド底面をなすソール部5と、前記クラウン部4とソール部5との間を継ぎ前記フェース面2のトウ側の周縁3tからバックフェースを通りフェース面2のヒール側の周縁2eにのびるサイド部6と、フェース部3とクラウン部4とサイド部6とがヒール側で交わりる交わり部の近傍に配されかつ図示しないシャフトの一端が装着されるネック部7とを具えている。なおヘッド1をライ角に傾ける際には、このネック部7のシャフト差込孔7aの中心線CLを基準とする。
【0012】
また本例のヘッド1は、内部に中空部iを有するドライバー(#1)などのウッド型のものが例示される。この中空部iは、中空のままでも良いが、例えばヘッドの剛性に実質的に関与しないような発泡樹脂等を充填することもできる。
【0013】
またヘッド1は、例えばアルミニウム合金、チタン、チタン合金、ステンレスなどの各種の金属材料により形成することができる。本例ではα+β型チタン合金であるTi−6Al−4Vが採用され、例えばロストワックス精密鋳造法によって1ないし2以上のパーツを成形し、必要に応じてこれらを一体に接合することにより製造したものを例示している。ただし、これに限られず、他の材料、他の成型法により製造することができるのは言うまでもない。
【0014】
ヘッド1は、前記フェース面2に、インパクトエリアPの外側をフェース面2の周縁E(即ち、前記上の周縁2a、下の周縁2b、トウ側の周縁2t及びヒール側の周縁2eを含む。)に沿ってのびかつ溝巾が0.5mm以上の1本の表の凹溝部9が設けられるとともに、フェース部3の背面13には、表の凹溝部9に沿ってのびる1本の裏の凹溝部10が設けられる。このようなフェース部3は、フェース面2及び背面13を利用して凹溝部9、10をそれぞれ設けることができる。従って、従来に比してより一層、フェース部3を撓み易くして反発係数を高めることが可能となり、打球の飛距離をさらに増大するのに役立つ。
【0015】
発明者らは、図8(A)に示すようにフェース面2に環状の凹溝部を2本設けたヘッド(比較例品1)と、同図(B)に示すようにフェース部3の背面13に環状の凹溝部を2本設けたヘッド(比較例品2)と、同図(C)のようにフェース面2とフェース部の背面13に各1本の凹溝部を設けたヘッド(実施例品)とを用いて種々の打撃テストを行った。図9にはその結果を示すが、凹溝部の形状は比較例品、実施例品とも同一であるにも拘わらず、意外にも実施例品が最もフェース部の撓みが大きく、かつ反発係数も大きいことが判明した。また耐久試験においても、実施例品は良好な結果を示している。これは、打球時の応力が、比較例品のヘッドではフェース面2又はフェース部3の背面13の一方に集中しやすいのに対して、実施例品のヘッドではフェース面2及び背面13でより広く分散するためと推察される。本発明は、このような種々の実験に基づく知見により得られたものである。
【0016】
ここで、フェース面2に形成される表の凹溝部9は、図3に示したインパクトエリアPの外側に設けることが必要である。インパクトエリアPは、頻繁にボールと衝突する部分であるため、この部分に表の凹溝部9を設けたときには、ボールが表の凹溝部9に当接し打球の方向性を損ねる傾向がある。また本発明では表の凹溝部9が、フェース面2の周縁Eに沿ってのびるため、より効果的にフェース部3の周辺部分の剛性を低下させるのに役立つ。なお「フェース面2の周縁Eに沿ってのびる」ものは、表の凹溝部9の長手方向が単にフェース面2の周縁Eに沿ってのびていれば良く、厳密に平行である必要はない。
【0017】
前記表の凹溝部9及び裏の凹溝部10は、いずれもフェース面2の周縁Eに沿って環状で連続する。これは、より効率良くかつ均一にフェース部3の周辺部分を低剛性化し、反発係数を高めるのに役立つ。また本実施形態では、裏の凹溝部10は、図3、図5に示すように、フェース面2に投影した内周側の溝縁輪郭線14iと外周側の溝縁輪郭線14oとからなる溝縁輪郭線14が表の凹溝部9と重なることなくその内側に形成されていることが望ましい。これにより、表の凹溝部9と裏の凹溝部10とが重なることによりフェース部3が過度に薄肉化され、耐久性が大巾に低下するのを防止しうる。
【0018】
特に好ましくは、裏の凹溝部10は、図5に示すように、フェース面2に投影した外周側の溝縁輪郭線14oが表の凹溝部9の内周縁9iよりも2.5〜10mm、さらに好ましくは2.5〜5.0mmの距離Xを隔てて内側に形成されていることが望ましい。このような形態では、表の凹溝部9と裏の凹溝部10との間に厚肉部15を確実に設けることができるため、耐久性の低下を効果的に防止しうる。
【0019】
また表の凹溝部9の溝巾W1は、少なくとも0.5mm以上で形成されるが、好ましくは0.5〜4.0mm、特に好ましくは0.5〜3.0mmとするのが望ましい。前記溝巾W1が0.5mm未満であると、反発性能の向上効果が十分に期待できない。逆に溝巾W1が4.0mmを超える場合には、該表の凹溝部9がインパクトエリアP内に入る可能性が高くなる。なお、この溝巾W1は一定であっても良く、また変化させることもできる。
【0020】
表の凹溝部9の溝深さは、特に限定はされないが、小さすぎるとフェース部3の剛性を低下させる効果が少なくなり、逆に大きすぎてもフェース部3の耐久性を損ねやすい。このような観点より、図5に示すように、前記表の凹溝部9を設けた部分のフェース部の厚さtu1が1.5〜2.5mm、より好ましくは1.8〜2.3mm程度に維持されるその深さを設定するのが望ましい。これにより、耐久性と反発性能とをバランス良く向上できる。なお表の凹溝部9の溝底は、円弧状に丸めることによって、溝底での応力集中を緩和することが望ましい。
【0021】
また裏の凹溝部10の溝巾W2は、特に限定はされないが、小さすぎるとフェース部3の剛性を低下させる効果が少なくなり、逆に大きすぎてもフェース部3の耐久性を損ねやすい。このような観点より、1.0〜15.0mm、より好ましくは3.0〜15.0mm、さらに好ましくは4.0〜10.0mmとするのが望ましい。なお本実施形態では、図5に拡大して示すように、裏の凹溝部10の溝巾W2を、表の凹溝部9の溝巾W1よりも大としたものを例示している。通常、打球時には、フェース部3の中央部は周辺部に比べてより大きく変形する。従って、フェース部3の内側に位置する裏の凹溝部10の溝巾W2を表の凹溝部9の溝巾W1よりも大とすることにより、フェース部3の大きな撓み促進しうる点で好ましい。特に好ましくは、表の凹溝部9の溝巾W1と、裏の凹溝部10の溝巾W2との比(W2/W1)は、例えば6〜30、より好ましくは10〜20とするのが好適である。
【0022】
また裏の凹溝部10の溝深さも、特に限定はされないが、表の凹溝部9と同様、小さすぎるとフェース部の剛性を低下させる効果が少なくなり、逆に大きすぎてもフェース部3の耐久性を損ねやすい。このため、裏の凹溝部10を設けた部分のフェース部の厚さtu2が1.5〜2.5mm、より好ましくは1.8〜2.3mmとなるようにその深さを設定するのが望ましい。また本実施形態のヘッド1では前記インパクトエリアPの厚さT(図4に示す)を2.4〜3.3mm程度の実質的に一定の厚さとしている。これにより、打球時の衝撃に耐えうる強度を維持することができる。
【0023】
なお例えば図5に示すように、表の凹溝部9及び/又は裏の凹溝部10の溝底コーナ部は、曲率半径R1が2.0〜4.0mm程度の円弧を用いて滑らかに形成するのが好ましい。これにより、打球時の応力が溝底コーナ部に集中するのを効果的に防止し、さらに耐久性の向上に役立つ。
【0024】
また表の凹溝部9、裏の凹溝部10は、図6にその溝断面形状を示すように、滑らかな円弧状の曲線を連ねて形成することもできる。この場合には、より効果的に打球時の応力集中を緩和し、耐久性において有利となる。また図7(A)、(B)は、表の凹溝部9が、フェース面2の周縁Eに沿って連続することなく途切れている場合を単に例示している。この場合、表の凹溝部9の総長さがフェース面の周縁Eの全長さの40%以上、より好ましくは50%以上である。
【0025】
以上、本発明の実施形態について、ウッド型のゴルフクラブヘッドを例に挙げ説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、中空部を有するヘッドであれば、アイアン型やユーティリティ型、さらにはパター型のヘッドなどについても適用することが可能である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明をより具現化した実施例について説明する。
チタン合金(Ti−6Al−4V)にてヘッド質量190g、ヘッド体積305cm3 に統一したウッド型ゴルフクラブヘッド(#1)を表1の仕様に基づいて複数種類試作し、各ヘッドの反発係数と耐久性とをテストした。また本発明外の構成を有するヘッドについても合わせて試作し性能を比較した。
テスト方法は、次の通りである。
【0027】
<反発係数(スプリング効果テスト USGA方式)>
ヘッドの反発特性は、U.S.G.A.の Procedure for Measureing the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (February 8, 1999) に基づき行った。具体的にはゴルフボールをボール発射装置を用いて発射し、台座上に固着することなく載置されたヘッドのフェース部のスイートスポットに衝突させ、ゴルフボールの衝突直前の入射速度Viと跳ね返り速度Voとを測定する。そして、ゴルフボールの入射速度をVi、跳ね返り速度をVo、ヘッド質量をM、ゴルフボールの平均質量をmとした場合に、次式により反発係数eを算定した。
(Vo/Vi)=(eM−m)/(M+m)
なおゴルフボールの発射口からフェース部までの距離は55インチとし、ボールがヘッドのスイートスポットの位置から5mm以上離れない位置でかつフェース面に対して直角に衝突させる。またゴルフボールはタイトリスト社製のピナクルゴールドを使用し、ボール初速は160フィート±0.5フィートに設定した。
【0028】
<耐久性>
各供試ヘッドにFRP製の同一のシャフトを装着し46インチのウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボットに取り付け、ヘッドスピードが51m/sとなるように調節して2ピースゴルフボールをスイートスポットで各クラブ毎に3000球づつ打撃し、フェース面の凹み量を測定した。テストの結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
テストの結果、実施例のものは従来例に比べて反発係数を増大していることが確認できる。また耐久性の面においても十分に実用しうる性能を具えることが確認された。次に、実施例1のヘッドをベースとして、距離Xを変化させたヘッド(実施例4〜6)を試作し、同様のテストを行った。テストの結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、打球時のフェース部の撓みを増大し、反発係数を高め、ひいては打球の飛距離を増大するのに役立つ。また打球時の応力が、表の凹溝部、裏の凹溝部へと広い範囲に分散するため、耐久性をも向上しうる。表の凹溝部及び前記裏の凹溝部は、いずれもフェース面の周縁に沿って環状で連続するため、より効果的に反発係数を高めるのに役立つ。
【0033】
また請求項2ないし3記載の発明のように、また裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線が前記表の凹溝部と重なることなくその内側に形成されているときには、表の凹溝部と裏の凹溝部とが重なることによるフェース部の過度に薄肉化を防止でき、耐久性の低下を確実に抑制できる。即ち、より効果的に反発係数を高めつつ耐久性を向上することができる。
【0034】
また請求項4記載の発明のように、裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線のうち外周側の溝縁輪郭線が前記表の凹溝部の内周縁よりも一定距離を隔てて内側に形成されているときには、より耐久性の向上を図りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す正規状態のヘッドの斜視図である。
【図2】その一部破断図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図3のA−A断面におけるフェース部の断面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】凹溝部の他の形態を示す断面図である。
【図7】 ヘッドの他の例を単に示す正面図である。
【図8】(A)〜(C)は、ヘッドの部分断面図である。
【図9】(A)〜(C)は、打撃テストの結果を示すグラフである。
【図10】実施例のヘッドの正面図及びフェース部の断面図である。
【図11】比較例のヘッドの正面図及びフェース部の断面図である。
【図12】比較例のヘッドの正面図及びフェース部の断面図である。
【図13】比較例のヘッドの正面図及びフェース部の断面図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド
2 フェース面
3 フェース部
4 クラウン部
5 ソール部
6 サイド部
7 ネック部
9 表の凹溝部
10 裏の凹溝部
13 フェース部の背面
14 フェース面に投影された溝縁輪郭線
14o 溝縁輪郭の外周側の溝縁
P インパクトエリア
E フェース面の周縁
Claims (4)
- 内部に中空部を有するゴルフクラブヘッドであって、
フェース部の表面をなすフェース面に、インパクトエリアの外側をフェース面の周縁に沿って連続してのびる1本かつ溝巾が0.5mm以上の表の凹溝部を設けるとともに、
前記フェース部の背面に、前記表の凹溝部に沿って前記周縁を連続してのびる1本の裏の凹溝部を設けたことを特徴とするゴルフクラブヘッド。 - 前記裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線が前記表の凹溝部と重なることなくその内側に形成されていることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記表の凹溝部は、溝巾が0.5〜4.0mmでありかつ前記裏の凹溝部は、溝巾が1.0〜15.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記裏の凹溝部は、フェース面に投影した溝縁輪郭線のうち外周側の溝縁輪郭線が前記表の凹溝部の内周縁よりも2.5〜10mm内側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
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