JP4005587B2 - 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置,動力出力装置の制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置,動力出力装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置,動力出力装置の制御方法に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびこれを搭載し前記駆動軸が車軸に接続されて走行する自動車並びに内燃機関からの動力を入力すると共に駆動軸に動力を出力する動力伝達装置,動力出力装置の制御方法に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、遊星歯車機構の3つの回転要素にエンジンのクランクシャフト,発電機の回転軸,駆動軸がそれぞれ接続されると共に駆動軸に変速機を介して電動機が接続されたハイブリッド自動車に搭載されたものが提案されている(特許文献1参照)。この装置では、駆動軸に要求される駆動力や車速に基づいて変速機の変速段をハイの状態とローの状態とを選択的に切り替えることにより、電動機からの動力を車両の走行状態に適したものに変換して駆動軸に出力している。また、変速段を変更している最中に電動機からの駆動力が一時的に伝達されていない状態が生じた場合でも、エンジンから駆動軸に出力される駆動力により、変速時の駆動軸における駆動力の落ち込みを抑制することができるとされている。
特開2002−225578号公報
上述の動力出力装置では、エンジンと電動機とが共に駆動力を出力している最中の変速段の切替については記載されているものの、エンジンが運転停止されていると共に電動機から駆動力が出力されている最中の変速段の切替については考慮されていない。この場合、変速時の駆動軸における駆動力の落ち込みをエンジンからの駆動力で補うことができないから、この状態で変速段の切替を行なうと、変速ショックが生じ、運転者に違和感を与えてしまう。こうした変速ショックを回避するために、エンジンが運転停止されているときには変速段の変更の指示に拘わらず、変速段の変更を行なわないことも考えられるが、電動機からの駆動力が車両の走行状態に適したものとならずドライバビリティを損なう場合が生じる。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置,動力出力装置の制御方法は、内燃機関が停止されていると共に変速機を介して電動機から駆動力が出力されている最中に変速比を変更する際のショックを抑制することを目的とする。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置,動力出力装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
発電可能な電動機と、
変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する変速時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置では、内燃機関が運転停止されていると共に電動機から駆動軸に駆動力が出力されている最中に電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、内燃機関を始動するよう始動手段を制御すると共に駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が内燃機関から駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう内燃機関と電動機とを駆動制御し、駆動力を置き換えた後に指示された変速比に変更されるよう変速伝達手段を駆動制御する。したがって、電動機だけから駆動軸に駆動力が出力されている状態で変速比を切り替えるものに比して、電動機から出力される駆動力を小さくできるから、変速比を切り替える際の変速ショックを抑制することができる。
こうした本発明の動力出力装置において、前記変速時制御手段は、前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に制動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたときには、前記内燃機関の運転停止を維持しながら該指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関からの駆動力の出力によって却って電動機から出力される制動力が大きくなって変速ショックが大きくなるのを防止することができる。
また、本発明の動力出力装置において、所定の始動条件が成立したときに前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に所定の停止条件が成立したときに前記内燃機関を運転停止するよう制御する始動停止制御手段を備え、前記変速時制御手段は、前記始動停止制御手段に拘わらず前記内燃機関を始動する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記所定の停止条件が成立しているにも拘わらず前記変速時制御手段により前記内燃機関を始動させたとき、該所定の停止条件とは異なる条件が成立するまでは前記始動停止制御手段に拘わらず前記内燃機関の運転停止を禁止する停止禁止手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、変速比を切り替える際に内燃機関の始動と停止が短時間のうちに行なわれるのを防止することができる。この場合、前記所定の停止条件とは異なる条件とは、前記所定の停止条件が不成立となったときに成立する条件であるものとしたり、前記駆動軸に駆動力が要求されていないときに成立する条件であるものとしたり、前記変速時制御手段により前記内燃機関を始動させてから所定時間が経過したときに成立する条件であるものとしたりすることができる。
本発明の動力出力装置において、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段を備え、前記変速時制御手段は、前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記始動手段は、前記電力動力入出力手段を備える手段であるものとすることもできる。これらの態様の本発明の動力出力装置において、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力が決定されると残余の1軸に入出力される動力が決定される3軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、電磁的な作用による電力と動力の入出力により前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する対回転子電動機を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の自動車は、
上述した各態様のいずれかの本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、発電可能な電動機と、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関を始動する始動手段と、前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する変速時制御手段とを備える動力出力装置を搭載し、前記駆動軸が車軸に接続されて走行する
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が備える効果と同様の効果、例えば、変速比を切り替える際の変速ショックを抑制することができる効果や変速比を切り替える際に内燃機関の始動と停止が短時間のうちに行なわれるのを防止することができる効果などを奏することができる。
本発明の動力伝達装置は、
内燃機関からの動力を入力して駆動軸に伝達する動力伝達装置であって、
発電可能な電動機と、
変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
前記内燃機関を始動する始動手段と、
前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する変速時制御手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力伝達装置では、内燃機関が運転停止されていると共に電動機から駆動軸に駆動力が出力されている最中に電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、内燃機関を始動するよう始動手段を制御すると共に駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が内燃機関から駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう内燃機関と電動機とを駆動制御し、駆動力を置き換えた後に指示された変速比に変更されるよう変速伝達手段を駆動制御する。したがって、電動機だけから駆動軸に駆動力が出力されている状態で変速比を切り替えるものに比して、電動機から出力される駆動力を小さくできるから、変速比を切り替える際の変速ショックを抑制することができる。
本発明の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、発電可能な電動機と、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記内燃機関が運転停止していると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、
(b)該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する
ことを要旨とする。
この本発明の動力出力装置の制御方法によれば、内燃機関が運転停止されていると共に電動機から駆動軸に駆動力が出力されている最中に電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、内燃機関を始動するよう始動手段を制御すると共に駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が内燃機関から駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう内燃機関と電動機とを駆動制御し、駆動力を置き換えた後に指示された変速比に変更されるよう変速伝達手段を駆動制御する。したがって、電動機だけから駆動軸に駆動力が出力されている状態で変速比を切り替えるものに比して、電動機から出力される駆動力を小さくできるから、変速比を切り替える際の変速ショックを抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には変速機60を介してモータMG2がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32に出力する。リングギヤ32は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して車両前輪の駆動輪39a,39bに機械的に接続されている。したがって、リングギヤ32に出力された動力は、ギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力されることになる。なお、駆動系として見たときの動力分配統合機構30に接続される3軸は、キャリア34に接続されたエンジン22の出力軸であるクランクシャフト26,サンギヤ31に接続されモータMG1の回転軸となるサンギヤ軸31aおよびリングギヤ32に接続されると共に駆動輪39a,39bに機械的に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aとなる。
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1とモータMG2とにより電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達するよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフ状態としてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。なお、ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCも演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機60のブレーキB1,B2の図示しないアクチュエータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、バッテリ50の充放電を行なうか否かの差があるだけで実質的な制御における差違はない。したがって、以下、両者をまとめてエンジン・モータ運転モードと呼ぶ。
次に、こうして構成されたハイブリッド自動車20の動作、特にモータ運転モードで走行しているときに変速機60の変速要求がなされて変速機60のギヤの状態をHiギヤの状態からLoギヤの状態に切り替える際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるモータ運転モード時変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、モータ運転モードで走行しているときに変速機60のギヤの状態をHiギヤの状態からLoギヤの状態に切り替える変速要求がなされたときから所定時間毎に繰り返し実行される。なお、変速機60の変速段の切り替えの要求は、実施例では、車速Vと駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求されるトルクとに基づいて予め定められたタイミングで行なうものとした。
モータ運転モード時変速処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開
度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどのデータを入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求トルクTr*は、同図では、駆動側が正の値で制動側が負の値となるよう正負を定めた。
続いて、運転モード変更判定フラグF1が値0であるか否かを判定する(ステップS120)。ここで、運転モード変更判定フラグF1は、運転モードをモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更したか否かを判定するためのものであり、モータ運転モードで走行しているときには値0に、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに切り替えられるときには後述する処理により値1に設定される。本ルーチンを初めて実行するときには、モータ運転モードで走行している最中であるから、運転モード変更判定フラグF1は値0であり、ステップS120で肯定的な判定がなされる。そして、要求トルクTr*の値を調べる(ステップS130)。以下、変速機60の変速処理について説明するが、説明の都合上、要求トルクTr*が正の状態(駆動側)にあるときと負の状態(制動側)にあるときとを場合を分けて説明する。
まず、要求トルクTr*が正の状態にあるときを考える。この状態では、ステップS130で肯定的な判定がなされ、要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力しながら運転モードがモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更されるようモータMG1とモータMG2とを駆動制御する処理を行なう(ステップS140)。この処理は、エンジン22がモータリングされるようモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定し、エンジン22のモータリングに伴ってリングギヤ軸32aに作用する反力をキャンセルすると共に要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm2*を設定してモータMG1とモータMG2とを駆動制御し、モータリングによってエンジン22の回転数が所定回転数以上となったときにエンジン22の燃料噴射制御や点火制御などの制御を開始することにより行なわれる。モータMG1とモータMG2との駆動制御は、具体的には、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信し、これを受信したモータECU40がトルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なうことによって行なわれる。こうして運転モードをモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更すると、運転モード変更判定フラグF1に値1を設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。
モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードへの変更が行なわれて運転モード変更判定フラグF1に値1が設定されると、次回にこのルーチンが実行されたときにステップS120で否定的な判定がなされ、エンジン・モータ運転モードによって要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22およびモータMG1,MG2を駆動制御する処理を行なうと共に(ステップS160)、変速機60の変速段を切り替える処理を行なう(ステップS170)。エンジン22およびモータMG1,MG2の駆動制御は、要求トルクTr*に基づく要求パワーPr*と残容量SOCに基づくバッテリ50の充放電要求パワーPb*との和に基づいて計算したエンジン22から出力すべき要求パワーPe*に基づいてエンジン22を効率よく運転できる運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)を設定し、設定した目標回転数Ne*でエンジン22が運転されるようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共に要求トルクTr*とエンジン22から動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに直接伝達されるトルク(以下、このトルクを直達トルクという)との偏差を変速機60の現在の変速比Grで除してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、エンジン22を駆動制御すると共にインバータ41,42を駆動制御することにより行なわれる。なお、エンジン22の駆動制御は、具体的には、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とをエンジンECU24に送信し、これを受信したエンジンECU24が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントでエンジン22が運転されるよう燃料噴射制御や点火制御などを行なうことによって行なわれる。変速機60の変速段を切り替える処理は、Hiギヤの状態からLoギヤの状態への切り替え、即ちブレーキB1がオンされブレーキB2がオフされた状態からブレーキB1がオフされブレーキB2がオンされた状態にするよう図示しない油圧式のアクチュエータを駆動制御することにより行なわれる。
このように要求トルクTr*が正のときにモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段を切り替えるのは以下の理由による。要求トルクTr*が正のときにエンジン・モータ運転モードで走行するときの動力分配統合機構30と変速機60の共線図を図5に示す。図中、S軸はモータMG1の回転数である動力分配統合機構30のサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数である動力分配統合機構30のキャリア34の回転数を示し、R,C1,C2軸は動力分配統合機構30のリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数を示すと共に変速機60のキャリア64,68の回転数を示し、S2軸はモータMG2の回転数である変速機60のサンギヤ65の回転数を示し、R1,R2軸は変速機60のリングギヤ62,66の回転数を示し、S1軸は変速機60のサンギヤ61の回転数を示す。また、同図のR,C1,C2軸において、下向きの矢印は要求トルクTr*(下向きを正とする)を示し、上向きの2つの矢印は、エンジン22からの直達トルク(−Tm1*/ρ)とモータMG2から変速機60を介してリングギヤ軸32aに伝達されるトルク(Tm2*×Gr)とを示す。変速機60のギヤの状態のHiギヤの状態(図中、実線参照)からLoギヤの状態(図中、点線参照)への切り替えは、係合力を徐々に変化させながらブレーキB1がオンでブレーキB2がオフの状態からブレーキB1がオフでブレーキB2がオンの状態へ切り替えることにより行なわれる。ブレーキB1,B2のオンオフの切り替えの際にリングギヤ軸32aに生じる変速ショックはモータMG2から出力されるトルク(絶対値)が大きいほど大きくなるから、これをできるだけ小さくすることが望ましい。ここで、モータ運転モードとエンジン・モータ運転モードとを比較すると、要求トルクTr*が正のときには、モータ運転モードでは要求トルクTr*をギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力し、エンジン・モータ運転モードでは要求トルクTr*とエンジン22からの直達トルクとの偏差をギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力するから、モータMG2から出力するトルクは、エンジン・モータ運転モードの方がモータ運転モードに比してエンジン22からの直達トルクの分小さくすることができる。したがって、要求トルクTr*が正のときには、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段の切り替えを行なうのである。これにより、変速機60の変速段を切り替える際の変速ショックを抑制することができる。
こうして変速機60の変速段を切り替えると、モータ運転モード禁止判定フラグF2に値1を設定すると共に(ステップS180)、変速完了判定フラグF3に値1を設定して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。ここで、モータ運転モード禁止判定フラグF2は、変速段の切り替えのためにモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更した直後のモータ運転モードへの再変更を禁止するために用いられるものであり、その詳細は後述する。変速完了判定フラグF3は、変速機60の変速段の切り替えを完了したか否かを判定するためのものである。変速機60の変速段の切り替えを完了して変速完了判定フラグF2に値1が設定されると、次回にモータ運転モードで走行しているときに変速機60の変速段を切り替えるよう要求がなされるまで本ルーチンは実行されない。
次に、ステップS130で要求トルクTr*が負である場合を考える。この場合は、ステップS130で否定的な判定がなされ、モータ運転モードによって要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2を駆動制御する処理を行なうと共に(ステップS200)、変速機60の変速段を切り替える処理を行ない(ステップS210)、変速完了判定フラグF3に値1を設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。モータMG2の駆動制御は、要求トルクTr*を変速機60の現在のギヤ比Grで除してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してインバータ42を駆動制御することにより行なわれる。
このように要求トルクTr*が負のときに運転モードを変更することなく変速機60の変速段を切り替えるのは以下の理由による。要求トルクTr*が負のときにエンジン・モータ運転モードで走行するときの動力分配統合機構30と変速機60の共線図を図6に示す。図示するように、要求トルクTr*が負のときには、エンジン・モータ運転モードでは、要求トルクTr*の絶対値とエンジン22からの直達トルクの絶対値との和にマイナスの符号を付した制動トルクをモータMG2からリングギヤ軸32aに作用させる必要がある。一方、モータ運転モードでは要求トルクTr*に見合う制動トルクをモータMG2からリングギヤ軸32aに作用させればよい。モータ運転モードとエンジン・モータ運転モードとを比較すると、要求トルクTr*が負のときには、モータMG2から出力するトルクは、エンジン・モータ運転モードの方がモータ運転モードに比してエンジン22からの直達トルクの分大きくなる。したがって、要求トルクTr*が負のときには、運転モードを変更することなく変速機60の変速段を切り替えるのである。
次に、ステップS180で設定されたモータ運転モード禁止判定フラグF2を用いて行なわれるハイブリッド自動車20の走行動作について説明する。図7は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速V,回転位置検出線センサ44からの回転位置に基づいてモータECU40により演算され通信により入力されたモータMG2の回転数Nm2を入力し(ステップS300)、入力したアクセル開度AccとブレーキペダルポジションBPと車速Vとに基づいて図4の要求トルク設定用マップを用いて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS310)、車両に要求される車両要求パワーP*を計算する(ステップS320)。ここで、車両要求パワーP*は、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)を乗じたものとバッテリ50の充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、バッテリ50の充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量SOCやアクセル開度Accなどに基づいて設定することができる。
こうして車両要求パワーP*を計算すると、計算した車両要求パワーP*を閾値Prefと比較する(ステップS330)。ここで、閾値Prefは、モータ運転モードとエンジン・モータ運転モードとを選択するために用いられる閾値である。いま、図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンのステップS180でモータ運転モード禁止判定フラグF2に値1が設定された直後を考える。このとき、モータ運転モードから強制的にエンジン・モータ運転モードに切り替えた直後であるから、通常はモータ運転モードを選択、即ち車両要求パワーP*は閾値Pref未満であると考えられ、エンジン22を効率よく運転できないと判断し、ステップS330で肯定的な判定がなされる。続いて、要求トルクTr*が値0以下か否かを判定し(ステップS340)、要求トルクTr*が値0以下でない、即ち正の値であると判定されたときには、モータ運転モード禁止判定フラグF2が値0か否かを判定する(ステップS360)。図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンでモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更して変速機60の変速段を切り替えた直後はモータ運転モード禁止判定フラグF2に値1が設定されているから、ステップS360では否定的な判定がなされ、エンジン・モータ運転モードによってエンジン22およびモータMG1,MG2を駆動制御する処理を行なって(ステップS390)、本ルーチンを終了する。この処理は、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速段を切り替えた直後は、車両要求パワーP*に拘わらずこのエンジン・モータ運転モードで走行している状態を維持する処理となる。これは、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速段を切り替えた直後にエンジン・モータ運転モードからモータ運転モードに切り替えると、変速段を切り替える際の短時間のうちにエンジン22の始動と停止とが行なわれ、さらにアクセルペダル83が踏み込まれている状態にあると(要求トルクTr*が値0より大きいと)、直ぐに車両要求パワーP*が閾値Pref以上となって再度エンジン22を始動する場合があるから、こうしたエンジン22の始動と停止の頻繁な繰り返しを防止するためである。
ステップS340で要求トルクTr*が値0以下であると判定されたときには、モータ運転モード禁止判定フラグF2に値0を設定する(ステップS350)。これによって次のステップS360では肯定的な判定がなされ、モータ運転モードによってモータMG2を駆動制御する処理を行なって(ステップS370)、本ルーチンを終了する。このときには、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更して変速機60の変速段の切り替えを行なってから短時間のうちにモータ運転モードに再変更する場合も生じるが、要求トルクTr*が値0以下のときには、車両要求パワーP*が閾値Pref以上となってエンジン・モータ運転モードに再変更される可能性は低いから、モータ運転モードへの変更の禁止を解除している。
ステップS330で車両要求パワーP*が閾値Pref以上と判定されたときには、エンジン22を効率よく運転できると判断し、モータ運転モード禁止判定フラグF2に値0を設定すると共に(ステップS380)、エンジン・モータ運転モードによってエンジン22およびモータMG1,MG2を駆動制御する処理を行なって(ステップS390)、本ルーチンを終了する。この処理は、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段の切り替えを行なった直後にはこのエンジン・モータ運転モードを保持する処理となるが、モータ運転モード禁止判定フラグF2に値0が設定されるから、次に車両要求パワーP*が閾値Pref未満となったときには、ステップS360で肯定的な判定がなされ、エンジン・モータ運転モードからモータ運転モードに変更されることになる。即ち、変速機60の変速段を切り替える際にモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに強制的に変更した直後はそのままエンジン・モータ運転モードを選択し、通常モータ運転モードが選択される領域(車両要求パワーP*が閾値Pref未満)を一旦外れて再び入ったときにモータ運転モードに変更するのである。
以上説明したハイブリッド自動車20によれば、モータ運転モードで走行している最中に変速機60の変速段の切り替えが要求されたときに要求トルクTr*が正のときには、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段を切り替えるから、駆動軸としてのリングギヤ軸32aにエンジン22からの直達トルクを作用させることによってモータMG2から出力するトルクの大きさをモータ運転モードに比して小さくすることができ、変速段を切り替える際の変速ショックを抑制することができる。しかも、要求トルクTr*が負のときには、運転モードを変更することなく変速機60の変速段を切り替えるから、運転モードを変更することによって却ってモータMG2から出力するトルクが大きくなって変速ショックが大きくなるのを防止することができる。もとより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求されるトルクに対応することができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更して変速機60の変速段を切り替えた直後は、車両要求パワーP*が閾値Pref未満にも拘わらずモータ運転モードへの変更を禁止するから、エンジン22の始動と停止が短時間のうちに行なわれるのを防止することができる。しかも、通常モータ運転モードを選択する領域を外れたとき(車両要求パワーP*が閾値Pref以上のとき)や要求トルクTr*が値0以下のときには、モータ運転モードへの変更の禁止を解除するから、適切なタイミングで解除することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンのステップS130で要求トルクTr*が正であるときにモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに運転モードを変更するものとしたが、要求トルクTr*が正であっても値0近傍のときには運転モードを変更しないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンのステップS130で変速機60の変速段の切り替えの際にモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更するか否かを要求トルクTr*を用いて判定するものとしたが、要求トルクTr*に代えてアクセル開度Accを用いて判定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段を切り替えたときには、モータ運転モードへの再変更を禁止(図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンのステップS180でモータ運転モード禁止判定フラグF2に値1を設定)するものとしたが、禁止しないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図3のモータ運転モード時変速処理ルーチンで要求トルクTr*が正のときに変速機60の変速段を切り替えるときには、効率よく運転できる運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)でエンジン22を駆動制御するものとしたが、効率よく運転できる運転ポイントに拘わらずこの運転ポイントからエンジン22からの直達トルクが要求トルクTr*に等しくなる方向にずらした運転ポイントでエンジン22を駆動制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図7の駆動制御ルーチンでモータ運転モードからエンジン・モータ運転モードに変更してから変速機60の変速段を切り替えてモータ運転モードへの再変更が禁止されたとき(モータ運転モード禁止判定フラグF2に値1が設定されたとき)には、モータ運転モードへの変更の禁止を解除するタイミング(モータ運転モード禁止判定フラグF2に値0を設定するタイミング)としては、ステップS330で車両要求パワーP*が閾値Pref以上のときやステップS340で要求トルクTr*が値0以下のときに行なうものとしたが、車両要求パワーP*が閾値Pref以上のときにだけ行なうものとしてもよいし、要求トルクTr*が値0以下ときにだけ行なうものとしてもよい。また、これらに代えてあるいはこれらに加えてモータ運転モードへの再変更が禁止されたときから所定時間(例えば、10secなど)経過したときに行なうものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、図7の駆動制御ルーチンのステップS340でモータ運転モードへの変更の禁止を解除するタイミング(モータ運転モード禁止判定フラグF2に値0を設定するタイミング)を要求トルクTr*を用いて判断するものとしたが、要求トルクTr*に代えてアクセル開度Accを用いて判断するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60としてLoギヤの状態とHiギヤの状態とを切り替える2段の変速段を持つものとしたが、3段以上の変速段を持つものとしてもよいし、こうした有段変速機に限られず、無段変速機としてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22の動力を変速機330により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるモータ運転モード時変速処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 要求トルクTr*が正のときにエンジン・モータ運転モードで走行するときの動力分配統合機構30と変速機60の共線図である。 要求トルクTr*が負のときにエンジン・モータ運転モードで走行するときの動力分配統合機構30と変速機60の共線図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60,330 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64,68 キャリア、67 ピニオンギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

Claims (14)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    発電可能な電動機と、
    変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する変速時制御手段と
    を備える動力出力装置。
  2. 前記変速時制御手段は、前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に制動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたときには、前記内燃機関の運転停止を維持しながら該指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。
  3. 請求項1または2記載の動力出力装置であって、
    所定の始動条件が成立したときに前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に所定の停止条件が成立したときに前記内燃機関を運転停止するよう制御する始動停止制御手段を備え、
    前記変速時制御手段は、前記始動停止制御手段に拘わらず前記内燃機関を始動する手段である
    動力出力装置。
  4. 前記所定の停止条件が成立しているにも拘わらず前記変速時制御手段により前記内燃機関を始動させたとき、該所定の停止条件とは異なる条件が成立するまでは前記始動停止制御手段に拘わらず前記内燃機関の運転停止を禁止する停止禁止手段を備える請求項3記載の動力出力装置。
  5. 前記所定の停止条件とは異なる条件とは、前記所定の停止条件が不成立となったときに成立する条件である請求項4記載の動力出力装置。
  6. 前記所定の停止条件とは異なる条件とは、前記駆動軸に駆動力が要求されていないときに成立する条件である請求項4または5記載の動力出力装置。
  7. 前記所定の停止条件とは異なる条件とは、前記変速時制御手段により前記内燃機関を始動させてから所定時間が経過したときに成立する条件である請求項4ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力により前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段
    を備え、
    前記変速時制御手段は、前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを駆動制御する手段である
    動力出力装置。
  9. 前記始動手段は、前記電力動力入出力手段を備える手段である請求項8記載の動力出力装置。
  10. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の回転軸の3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力が決定されると残余の1軸に入出力される動力が決定される3軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機とを備える手段である請求項8または9記載の動力出力装置。
  11. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、電磁的な作用による電力と動力の入出力により前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する対回転子電動機を備える手段である請求項8または9記載の動力出力装置。
  12. 請求項1ないし11いずれか記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸が車軸に接続されて走行する自動車。
  13. 内燃機関からの動力を入力して駆動軸に伝達する動力伝達装置であって、
    発電可能な電動機と、
    変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と前記駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、
    前記内燃機関を始動する始動手段と、
    前記内燃機関が運転停止されていると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する変速時制御手段と
    を備える動力伝達装置。
  14. 駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、発電可能な電動機と、変更可能な変速比をもって前記電動機の回転軸と駆動軸との動力の伝達を行なう変速伝達手段と、前記内燃機関を始動する始動手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記内燃機関が運転停止していると共に前記電動機から前記駆動軸に駆動力が出力されている最中に前記変速伝達手段における変速比の変更が指示されたとき、前記内燃機関を始動するよう前記始動手段を制御すると共に前記駆動軸に出力されている駆動力の少なくとも一部が前記内燃機関から前記駆動軸に出力される駆動力に置き換えられるよう前記内燃機関と前記電動機とを駆動制御し、
    (b)該駆動力を置き換えた後に前記指示された変速比に変更されるよう前記変速伝達手段を駆動制御する
    動力出力装置の制御方法。
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