JP4006246B2 - インクジェット記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、特にその最表層がキャスト処理によって塗設されるインクジェット記録シートであって、さらには画像を印字した後に最表層上に記録保護層を設けるインクジェット記録方法を適用されるインクジェット記録シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ紙等の記録シートに付着させて、画像・文字等の記録を行うものである。該記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェットによる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作製部数が少なくて済む用途では写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
更に、インクジェット方式を利用したプリンターは、市場からのさらなる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られている。これに伴い、記録媒体であるインクジェット記録シートには、優れた画像品質を発現するための高いインク受理容量の確保や発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。加えて、昨今ではデジタルカメラの普及に従い家庭で銀塩写真の代替として出力が行われるようになってきた。従って光沢、剛直、色相等の外観、質感も銀塩写真に類似することが要望されてきている。そのため、基材を銀塩写真と同様にRC(レジンコート)紙を用いるものも上市されているが、価格が高い点が指摘されている。
【0004】
そこで、例えば、特開昭63−265680号公報、特開平2−274587号公報、同5−59694号公報のように、紙基材にキャスト処理によりインクジェット記録シートを製造する方法が開示されている。この処理方法によると、キャストドラムの鏡面形状がインクジェット記録シートに転写されるために、表面の平滑性が非常に高くなり、強光沢が得られるし、RC紙基材と比べ安価である。
【0005】
こうしたキャスト処理を施したインクジェット記録シートにおいて、該シートの用途によって、支持体のインク受理層とは反対面に裏塗り層を設けて、各種機能を持たせることが一般的に行われている。例えば、プリンター搬送性改良、筆記適性付与、両面インクジェット記録可能とするための印字適性付与等を目的に、各種裏塗り層を設けることが行われている。しかしながら、キャスト処理後に、こうした裏塗り層の塗設を水性塗工液の塗工により行うと、浸透した水が紙基材を伸縮させたり、表面の光沢発現層を再湿潤させたりすることにより、折角キャスト処理で得られた光沢発現層の高い光沢感も悪影響を受け、ぼこつきや細かなしわを生じたり、光沢を落とす結果を生じせしめていた。
【0006】
また、銀塩写真への類似の観点から、画像の長期安定保存性も求められている。一般にインクジェット記録は温湿度や光、酸化性ガス等による画像耐候性が低いことが指摘されており、この改善のために画像形成後にその表面をフィルムラミネートもしくは液体ラミネートしたり、画像保存剤をスプレーコーティングすることでインク受理層上に画像形成後、記録保存層を形成することがしばしば行われている。
【0007】
しかしながら、キャスト処理を行われたインクジェット記録シートでは、キャスト処理の製法として光沢発現層を塗工後、湿潤状態にある表面を加熱した鏡面ロールに圧着し紙基材の裏面から蒸気を逃がして乾燥させるため、紙基材自身の水蒸気透過性が必要とされる。このような基材は概して透気性も高いため、上述のように画像形成後その表面をラミネートしても、裏面から特に酸化性ガスの浸透が起こり画像劣化を招いている場合があった。
【0008】
これは裏面を被覆することで対策され、RC紙同様に特開平11−3482号公報記載のように、紙基材の裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けることも可能であるが、溶融押し出しダイ等のホットメルトコータ及び面質が管理されたクーリングロールなど特殊な製造設備を必要とし、また用いる材料も比較的高価であるため製造コストが高くなる、また、被覆の影響によりせっかくのキャスト処理により得られた光沢感が低下すると言った欠点があった。
【0009】
一方で、水を分散媒あるいは溶媒とした樹脂塗工液を裏面に塗設して被覆層を形成することも可能であるが、前記したのと同様に、浸透した水が紙基材を伸縮させたり、表面の光沢発現層を再湿潤させたりすることにより、折角キャスト処理で得られた光沢発現層の高い光沢感も悪影響を受け、ぼこつきや細かなしわを生じたり、光沢を落とす結果を生じせしめていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、キャスト処理されたインクジェット記録シートであって、優れた光沢を有し、さらには、高い画像保存性、特に耐ガス性の向上が低コストでしかも簡便に図られるインクジェット記録シートおよびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
【0012】
支持体の片面に、少なくともその最表層がキャスト処理によって光沢発現処理された1層以上のインク受理層、支持体のインク受理層とは反対面に1層以上の裏塗り層を有するインクジェット記録シートにおいて、支持体上にインク受理層およびセルロースエーテルを含有する裏塗り層を設けた後、該キャスト処理を行うことを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0013】
該インク受理層に画像を印字した後、該インク受理層の最表層上に記録保護層を設けるインクジェット記録方法を適用されるインクジェット記録シートにおいて、該裏塗り層がガスバリア性を有するインクジェット記録シートの発明である。
【0018】
裏塗り層に含有されるセルロースエーテルの比率が、乾燥固形分比率で40%以上であると好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明に於けるインクジェット記録シートは、支持体の片面に、少なくともその最表層がキャスト処理によって光沢発現処理された1層以上のインク受理層、支持体のインク受理層とは反対面に1層以上の裏塗り層を有するインクジェット記録シートであって、支持体上にインク受理層および裏塗り層を設けた後、キャスト処理を行うことを特徴とする。従来、キャスト処理後に裏塗り層を塗設していた際には、浸透した水が紙基材を伸縮させたり、表面の光沢発現層を再湿潤させたりすることにより、折角キャスト処理で得られた光沢発現層の高い光沢感も悪影響を受け、ぼこつきや細かなしわを生じたり、光沢が低下したりしていた。本発明によれば、キャスト処理が最後に行われるため、高い光沢を有するインクジェット記録シートとすることが可能となる。
【0023】
本発明に係わる裏塗り層が有する機能としては、カール調整や滑り性調整等のプリンター搬送性改良、ガスバリア性付与、筆記適性付与、両面インクジェット記録可能とするためのインクジェット記録適性付与、各種熱転写方式、感熱記録方式、電子写真方式等その他記録方式による記録適性付与、再湿型粘着性あるいはヒートシール性付与等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
近年のインクジェット記録シートは、銀塩写真への類似の観点から、高い光沢感だけではなく、画像の長期安定保存性も求められている。特に、酸化性ガスによる画像退色を防ぐため、各種方式により裏塗り層にガスバリア性を付与することが行われている。こうした裏面にガスバリア性を有したインクジェット記録シートは、インク受理層に画像を印字した後、該インク受理層の最表層上に記録保護層を設けることにより、画像を形成しているインクと酸化性ガスとの接触を完全になくすことが可能となり、酸化性ガスによる画像の退色を抑えることが可能となる。
【0025】
本発明におけるガスバリア性とは、空気やオゾン、窒素酸化物等の酸化性ガスを遮蔽する性質を指す。こうした特性は、例えば、裏塗り層を塗設したインクジェット記録シートのJIS P8117に規定される透気抵抗度を適切な範囲に設定することにより達成される。透気抵抗度は高い方がガスバリア性の観点では好ましいが、あまり高すぎると水蒸気透過性も低下しやすくなるため、鏡面ロールによる乾燥がスムーズに行われにくくなる。透気抵抗度の値は、好ましくは350秒以上10000秒以下、より好ましくは400秒以上5000秒以下、特に好ましくは500秒以上1000秒以下である。
【0026】
本発明において、裏塗り層にガスバリア性を付与する方法としては、例えば被膜形成能を有する樹脂を、水やアルコール等の有機溶剤に溶解あるいは、自己乳化もしくは分散剤を用いて分散させ、これらの溶解物あるいは分散物を主体とした塗工液を作製し、支持体のインク受理層の反対面に塗工、乾燥させる方法が挙げられ、こうすることにより裏面からの空気や酸化性ガスの支持体への侵入を防止あるいは抑制できる。
【0027】
キャスト処理により光沢を付与されたインクジェット記録シートでは、キャスト処理の製法としてインク受理層を塗工後、湿潤状態にある表面を加熱した鏡面ロールに圧着し支持体の裏面から蒸気を逃がして乾燥させる。本発明のように、裏塗り層を設けた後キャスト処理を行った場合、裏塗り層が水蒸気の透過を阻害するため、鏡面ロールによる乾燥がスムーズに行われにくくなり、逃げ道を失った水蒸気がインク受理層側から突沸して塗層剥がれやクレーター状の欠点を生じやすい。こうした水蒸気の突沸による欠点を防ぐため、鏡面ロール温度を下げて乾燥を行うことも可能であるが、乾燥効率の低下により生産速度の低下を招くことになる。特に、ガスバリア性のある裏塗り層の場合は、水蒸気の抜けがよりいっそう悪くなり、こうした傾向が顕著となる。本発明者らは、裏塗り層の構成について鋭意検討した結果、セルロース誘導体またはポリビニルアルコールを含有することにより、裏塗り層の水蒸気の抜けが大きく改善し、上記問題が起こりにくくなることを見出した。また、当初予期しなかったことであるが、本発明の方法のように、支持体のインク受理層とは反対面に、セルロース誘導体またはポリビニルアルコールを含有する裏塗り層を設けた後、キャスト処理を行った場合、該裏塗り層はガスバリア性を有することを見出した。このように、裏塗り層に主成分としてセルロース誘導体またはポリビニルアルコールを含有した塗液を用い、本発明の方法によりインクジェット記録シートを作製した場合には、キャスト時の水蒸気の抜けが良好であるため生産性が良好であり、高光沢で裏面にガスバリア性を有するインクジェット記録シートとすることが可能となる。
【0028】
本発明に係わる裏塗り層は、少なくとも被膜形成成分から構成される。具体的には以下の例が挙げられる。水溶性天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白及びコラーゲン等のタンパク質、キチン及びその誘導体等が挙げられる。また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エーテル化澱粉、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。合成品としては、ポリビニルアルコールおよび各種変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、無水マレイン酸樹脂、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等が挙げられる。非水溶性合成樹脂類としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートなどのアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミド、又は塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、ブタジエン等の各種エチレン性モノマー、スチレンなどのモノオレフィン芳香族系モノマーの重合体及び/または共重合体、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体、ポリオレフィン類、エーテル系もしくはエステル系ポリウレタン類、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂等が挙げられる。これら樹脂は1種以上用いることができる。
【0029】
これらのうちで、被膜の水蒸気透過性、ガスバリア性の点で、セルロース化合物またはポリビニルアルコールが好ましく使用される。特に、セルロース化合物はポリビニルアルコールに比べ被膜の耐水性があり、該インクジェット記録シートの手触りが良好となり、さらには巻き取り作製時の耐ブロッキング性も良好となるため好ましい。セルロース誘導体としては、例えば、天然セルロース、水和セルロース、アルカリセルロース、酸セルロース、アミンセルロース、ビスコース;アセチルセルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、ニトロセルロース、硫酸セルロース、燐酸セルロース、酢酸セルロース、脂肪酸や芳香族酸等の各種酸とセルロースとのエステル化合物、および各種酸が複数混成したセルロースのエステル化合物等のセルロースエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、アリルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースのメチレンエーテル等のセルロースのエーテル化合物、およびこれらのエーテル化が複数混成したセルロースのエーテル化合等物のセルロースエーテル等が挙げられる。これらのうち、被膜の水蒸気透過性、ガスバリア性の点で、セルロースエーテルが好ましく、特に、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびこれらのエーテル化が複数混成したセルロースのエーテル化合物が好ましく使用される。
【0030】
ポリビニルアルコールとしては、未変性のポリビニルアルコールだけでなく、各種変性を施されたポリビニルアルコールも使用可能である。変性ポリビニルアルコールの例として、例えばカルボン酸、スルホン酸等を導入したアニオン変性ポリビニルアルコール、四級アンモニウム塩等を導入したカチオン変性ポリビニルアルコール、シラノール基等を導入した珪素変性ポリビニルアルコール、三元共重合変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコール、末端チオール変性ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0031】
ポリビニルアルコールのケン化度は65%以上90%以下であることが好ましい。ケン化度が90%よりも大きいと、成膜性が向上するため、裏塗り層にガスバリア性を付与するという点では好ましいが、水蒸気の透過性も低下するため、裏塗り層を設けた後キャスト処理を行った場合、鏡面ロールによる乾燥性が低下しやすい。ケン化度が65%よりも小さいと、裏塗り層のガスバリア性が得られにくくなる。
【0032】
裏塗り層にガスバリア性を付与する場合のセルロース誘導体またはポリビニルアルコールの配合比率は、乾燥固形分比率で40%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは70%以上である。配合比率が40%より少ないとガスバリア性が得られにくい。
【0033】
本発明に係わる裏塗り層には、その他の添加剤として、有機・無機の顔料、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、摩擦抵抗調整剤等を適宜配合することもできる。
【0034】
裏塗り層の塗工量は、裏塗り層の機能によって適宜変更できる。なお、裏塗り層にガスバリア性を付与する場合には、水蒸気透過性も低下しやすくなり、鏡面ロールによる乾燥がスムーズに行われにくくなる。このため、あまり塗工量が多すぎると、逃げ道を失った水蒸気が光沢発現層側から突沸して塗層剥がれやクレーター状の欠点を生じやすい。こうした水蒸気の突沸による欠点を防ぐため、鏡面ロール温度を下げて乾燥を行うことも可能であるが、乾燥効率の低下により生産速度の低下を招くことになる。また、塗工量が少なすぎるとガスバリア性が得られにくい。裏塗り層にガスバリア性を付与する場合の塗工量は、乾燥固形分で0.3g/m2以上5g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/m2以上3g/m2以下、特に好ましくは0.8g/m2以上2g/m2以下である。
【0035】
本発明に係わるキャスト処理による光沢発現処理は、一般に印刷用キャストコート紙と同じ製造方法であり、直接法、凝固法、再湿潤法(リウェット法)等に細分されている。直接法は、インク受理層を塗工後、未乾燥の状態(湿潤状態)で加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。凝固法は、インク受理層を塗工後、未乾燥の状態の該層を凝固液により凝固させた後、加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。又、再湿潤法は、インク受理層を塗工し乾燥後、水を主体とする湿潤液にて該層を再湿潤させ、加熱された鏡面に圧接し乾燥する方法である。該法に係る該鏡面ロールの表面粗度、直径、圧接時の圧力(線圧)、処理速度は、市販の印刷用キャストコート紙の製造条件と同様に適宜選択することができる。これらの方法のうち、再湿潤法は、インク受理層に付与する湿潤液の量をコントロールしやすいため、鏡面ロールによる乾燥工程における乾燥負荷の大きい本発明のインクジェット記録シートの製造方法としては好ましく採用される。
【0036】
本発明において、インク受理層の最上層はキャスト処理により光沢発現処理される。最上層はプリンタから印字されるインクを主に保持する機能と光沢を発現する機能を併せ持ったインク受理層を単層で設けてもよいし、塗工によりインクを主に保持する機能を有するインク受理層を設け、その上層として光沢発現を主機能とする第2のインク受理層を設け、機能分離した複数の層として形成してもよい。以下、第2のインク受理層を光沢発現層として説明する。
【0037】
本発明に用いられるインク受理層および/または光沢発現層は、少なくとも白色顔料と必要に応じバインダーから構成される。バインダーとしては、上記裏塗り層で例示した被膜形成成分を使用可能である。白色顔料としては、以下の顔料或いは粒子を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0038】
支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次積層した構成とした場合、インク受理層に主体成分として含有する顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。顔料の平均粒子径は0.5〜20μmであると好ましい。
【0039】
本発明において、単層構成の場合のインク受理層および積層構成の場合の光沢発現層に要求される特性は、光沢・透明性があること、インクを速やかに通過あるいは吸収できることである。該層に主体成分として含有する顔料としては、光沢、透明性、インク吸収性の点で、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナ水和物、コロイダルアルミナ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミニウム酸化物またはその水和物、ゼオライト等一次粒子径が極めて小さい超微粒の無機顔料が好ましい。顔料の平均粒子径は0.001μm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは0.01μm以上1μm以下である。粒子径が0.001μm未満になると、インク吸収性に劣りやすく、5μmを超えると、光沢や印字濃度が低下しやすい。
【0040】
さらに、本発明のインク受理層および/または光沢発現層には、インクの定着性や耐水性を高めるため、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマー等のカチオン性樹脂を配合することが好ましい。カチオン性樹脂としては例えば、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ポリビニルアミジン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物等のジシアン系カチオン樹脂、ジメチル−ジアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン共重合物等が挙げられる。
【0041】
また、インク受理層および/または光沢発現層には、その他の添加剤として、界面活性剤、顔料分散剤、硬膜剤、可塑剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調節剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0042】
インク受理層および/または光沢発現層中に含まれる顔料とバインダーの配合比率は、顔料100質量部に対し、バインダー5質量部以上75質量部以下、好ましくは10質量部以上50質量部以下である。5質量部未満では、インク受理層および光沢発現層の塗層強度が不足しやすく、75質量部を超えるとインク吸収性が低下しやすい。インク受理層および/または光沢発現層の塗工量としては、適用する顔料やバインダーの種類及び量、インクジェット記録装置の種類により異なるが、好ましくは各々2g/m2以上30g/m2、より好ましくは4g/m2以上20g/m2以下の範囲である。
【0043】
本発明で使用される支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗工紙に、そのまま本発明に係る塗層を設けてもよいし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0044】
本発明に係わる支持体に、裏塗り層、インク受理層および/または光沢発現層を設けるための塗工方法としては、従来公知の紙塗工用の汎用塗工装置を用いることができる。例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーターが挙げられる。また、裏塗り層が2層以上からなる場合、インク受理層および/または光沢発現層が2層以上からなる場合には、相接する2層以上の層をスライドビードコーター、スライドカーテンコーター等を用いて同時多層塗布を行ってもよい。
【0045】
本発明において、インク受理層および/または光沢発現層を塗工、乾燥後、あるいはキャスト処理後、平坦化をコントロールしたり、光沢をさらに高めたりする目的で、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。本発明のインクジェット記録シートを提供する形態としては、カットシートのみならずロールでも構わず、また、裏塗り層の支持体とは反対面上に粘着剤、剥離紙を順次積層してシール、ラベルやタックの用途に使用することも可能である。
【0046】
本発明に係わる画像を印字した後に最表層上に記録保護層を設けるインクジェット記録方法としては、一般的にはインクジェットプリンタで印字後にOPPフィルムやPETフィルムによる熱ラミネートやコールドラミネートを専用あるいは汎用のラミネーターを用いて行う方法や、アクリル等の合成樹脂、場合によってはこうした樹脂に紫外線吸収剤や酸化防止剤等の耐候性向上剤、UV硬化成分等を含有する塗液を表面にコーティングもしくはスプレーする方法がある。これはインクジェットプリンタに内蔵され、印字と平行して実施される場合もある。さらには、前もってインク受理層表面に熱可塑性樹脂粒子の層を設けておき、インクジェット記録後に該樹脂を溶融する方法(特開昭59−201891号公報、特開昭62−183383号公報、特開平01−182055号公報、特開平01−182081号公報、特開平02−81663号公報、特開平07−237348号公報)も挙げられる。
【0047】
本発明におけるインクジェット記録シートは、インクジェット記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインク用紙を、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げられる。
【0048】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録用紙を使用しても構わない。
【0049】
【実施例】
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例に於いて示す「部」および「%」は、特に明示しない限り、固形分あるいは実質成分の質量部及び質量%を示す。
【0050】
<支持体の作製>
LBKP(濾水度400mlcsf)90部とNBKP(濾水度450mlcsf)10部からなる木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム5部、市販のアルキルケテンダイマー0.1部、市販のカチオン性ポリアクリルアミド0.05部、市販のカチオン化澱粉1.0部を水中に含有するスラリーを調成後、長網抄紙機を用いて坪量125g/m2に抄造した後、オンマシンのインクラインドサイズプレス装置で酸化澱粉(MS3800:日本食品加工社製)を付着させ、坪量127g/m2の紙基材を得た。
【0051】
<インク受理層の塗設>
支持体上に多孔質顔料を主成分とする塗被組成物を塗設してインク受理層を得た。塗被組成物は、多孔性顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP78D:水沢化学工業社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)40部を水に混合、溶解して得た。該塗被組成物の固形分濃度は17%であった。該塗被組成物をエアーナイフコーターで乾燥塗工量が10g/m2となるように支持体上に塗工、乾燥してインク受理層を得た。
【0052】
<光沢発現層の塗設>
上記支持体上に塗設されたインク受理層上に、以下の塗被組成物を塗設し、光沢発現処理を行う前の光沢発現層を得た。該塗被組成物は、顔料として市販のコロイダルシリカ(スノーテックスAK:日産化学社製)を100部、バインダーとして市販のシラノール変性ポリビニルアルコール(R−1115:クラレ社製)を20部、離型剤として市販のノニオン性オレイン酸乳化物1部を水に混合、溶解して得た。該塗被組成物の固形分濃度は14%であった。該塗被組成物をエアーナイフコーターで乾燥塗工量が10g/m2となるように該インク受理層上に塗工、乾燥して光沢発現処理を行う前の光沢発現層を得た。
【0053】
実施例1
メチルセルロース(メトローズSM1500:信越化学工業社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度6%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を、上記の光沢発現層を塗設されたシートの、その裏面に対して、ワイヤーバーを用いて乾燥後の塗工量が5g/m2となるように塗布、乾燥し、実施例1のシートを得た。
【0054】
実施例2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ65SH1500:信越化学工業社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度6%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のシートを得た。
【0055】
参考例1
ポリビニルアルコール(PVA−117;ケン化度98.0〜99.0:クラレ社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度12%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、参考例1のシートを得た。
【0056】
参考例2
ポリビニルアルコール(PVA−235;ケン化度86.5〜89.5:クラレ社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度12%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、参考例2のシートを得た。
【0057】
参考例3
ポリビニルアルコール(L−8;ケン化度69.5〜72.5:クラレ社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度12%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、参考例3のシートを得た。
【0058】
参考例4
酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に溶解、混合し、固形分濃度8%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、参考例4のシートを得た。
【0059】
参考例5
酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルション(スミカフレックスS−470:住友化学工業社製)30部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)70部を水に混合し、固形分濃度35%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして、参考例5のシートを得た。
【0060】
実施例3
メチルセルロース(メトローズSM1500:信越化学工業社製)50部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)50部を水に溶解、混合し、固形分濃度4%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を、上記の光沢発現層を塗設されたシートの、その裏面に対して、ワイヤーバーを用いて乾燥後の塗工量が2g/m2となるように塗布、乾燥し、実施例3のシートを得た。
【0061】
参考例6
ポリビニルアルコール(PVA−235;ケン化度86.5〜89.5:クラレ社製)50部、炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)50部を水に溶解、混合し、固形分濃度10%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例6のシートを得た。
【0062】
実施例4
メチルセルロース(メトローズSM1500:信越化学工業社製)を水に溶解し、固形分濃度2%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例4のシートを得た。
【0063】
実施例5
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ65SH1500:信越化学工業社製)を水に溶解し、固形分濃度2%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例5のシートを得た。
【0064】
参考例7
ポリビニルアルコール(PVA−117;ケン化度98.0〜99.0:クラレ社製)を水に溶解し、固形分濃度8%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例7のシートを得た。
【0065】
参考例8
ポリビニルアルコール(PVA−235;ケン化度86.5〜89.5:クラレ社製)を水に溶解し、固形分濃度8%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例8のシートを得た。
【0066】
参考例9
ポリビニルアルコール(L−8;ケン化度69.5〜72.5:クラレ社製)を水に溶解し、固形分濃度10%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例9のシートを得た。
【0067】
参考例10
酸化澱粉(MS#3800:日本食品化工社製)を水に溶解し、固形分濃度6%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例10のシートを得た。
【0068】
参考例11
酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルション(スミカフレックスS−470:住友化学工業社製)を水に混合し、固形分濃度30%に調整し、裏塗り層塗液を作製した。こうして得た裏塗り層塗液を用いた以外は実施例3と同様にして、参考例11のシートを得た。
【0069】
比較例1
光沢発現層の塗設で得たシートの支持体の未塗工面に何も塗工せず、比較例1のシートとした。
【0070】
比較例2
光沢発現層の塗設で得たシートの光沢発現層について、以下に述べるキャスト作業性の評価で行うのと同じ方法にてキャスト処理を行った後、該シートの支持体の未塗工面に、実施例1で調整した裏塗り層塗液を乾燥塗工量が5g/m2となるように塗工、乾燥して裏塗り層を塗設し、比較例2のシートを得た。
【0071】
比較例3
光沢発現層の塗設で得たシートの光沢発現層について、以下に述べるキャスト作業性の評価で行うのと同じ方法にてキャスト処理を行った後、該シートの支持体の未塗工面に、溶融押し出しラミネート法により約20μmのポリエチレン樹脂層を設け、比較例3のシートを得た。
【0072】
<キャスト作業性>
実施例、参考例および比較例1で作製したシートの光沢発現層面について、再湿潤法によりキャスト作業を行い、作業性を評価した。光沢発現層に50g/m2の水を付与した後、加熱した鏡面ロールに圧接し乾燥した。表面温度を100℃から10℃刻みで下げていき、光沢発現層にクレーター状の欠陥や塗層剥がれがなく、良好な光沢面が得られる最大温度を調べた。この温度が高いほど、生産性が高い。
【0073】
<光沢発現層の光沢>
上記のようにして作製したインクジェット記録シートについて、光沢発現層面のJIS P8142で規定される75度鏡面光沢度を測定した。
【0074】
<透気抵抗度>
上記のようにして作製したインクジェット記録シートについて、JIS P8117で規定される透気抵抗度を測定した。
【0075】
<カール>
上記のようにして作製したインクジェット記録シートをA4判に断裁し、23℃50%の環境下で、光沢発現層を上にし、平滑な机上に1日間放置した。1日後、シートの4角について、机の面から浮いた高さを測定し、その最大値をカール値とした。カール値は小さいほど好ましく、5mm以下であれば実用上問題ない。
【0076】
<耐ガス画像保存性>
市販のインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製PM−800C)を用いて印字し、印字した面に市販のホットタイプのPETラミネートフィルム(厚さ38μm)により、表面ラミネートを施した。これらの印字面の黒ベタ画像の反射濃度をGretagMacbeth社製SpectroEye(TM)で測定した。また、これらを室内に3ヶ月放置した後に再度反射濃度を測定した。これらの値の差が少ないほど、耐ガス画像保存性が良好である。
【0077】
【表1】
【0078】
裏塗り層を設けていない比較例1は、光沢は高いもののカールが大きく、取り扱い性、プリンター搬送性に劣る。また、裏面にガスバリア性がないため、光沢発現層に印字後フィルムにてラミネートしても、ガスによる退色が起こる。キャスト処理後に裏塗り層の塗設を行った比較例2、裏塗り層としてポリエチレン樹脂層をラミネートした比較例3では、光沢発現層の光沢が大きく低下している。一方、本発明のように、裏塗り層を塗設後キャスト処理を行った実施例1〜5では、光沢発現層の光沢、カールとも良好となる。実施例1、2は、被膜形成成分/顔料=30/70からなる裏塗り層を設けているが、被膜形成成分としてセルロース化合物を使用している実施例1、2は、最高キャスト温度が高く、生産性向上を図れるため好ましい。特に、被膜形成成分がセルロースエーテルを使用した実施例1、2は、最高キャスト温度が100℃と高く、好ましい実施形態である。また、実施例4、5は、被膜形成成分のみからなる裏塗り層を設けているが、被膜形成成分としてセルロース化合物を使用している実施例4、5は、裏塗り層にガスバリア性があるため、光沢発現層に印字後フィルムにてラミネートすることにより、ガスによる退色のないインクジェット記録シートとすることが可能となる。実施例3からわかるように、裏塗り層のガスバリア性は、セルロース誘導体の乾燥固形分比率を40%以上とすることにより達成可能である。
【0079】
裏塗り層にセルロース化合物を塗設した実施例4、5とポリビニルアルコールを塗設した参考例7〜9とについて、裏面の手触りを比較したところ、後者は濡れた手で触るとべとついてくるが、前者はべとつきがなく良好であった。また、実施例4、5、参考例7〜9について巻き取りを作製した。1ヶ月放置後、巻き取りを使用したところ、実施例4、5の巻き取りは全くブロッキングを起こしていなかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明における効果は、支持体の片面に、少なくともその最表層がキャスト処理によって光沢発現処理された1層以上のインク受理層、支持体のインク受理層とは反対面に1層以上の裏塗り層を有するインクジェット記録シート、さらにはインク受理層に画像を印字した後に最表層上に記録保護層を設けるインクジェット記録方法を適用されるインクジェット記録シート、上述のように、キャスト処理されたインクジェット記録シートの有する高い光沢性を維持しながら、さらには高い画像保存性、特に耐ガス性の向上が、新規な設備導入を行うこと無く低コストでかつ簡便に図られる点である。
Claims (3)
- 支持体の片面に、少なくともその最表層がキャスト処理によって光沢発現処理された1層以上のインク受理層、支持体のインク受理層とは反対面に1層以上の裏塗り層を有するインクジェット記録シートにおいて、支持体上にインク受理層およびセルロースエーテルを含有する裏塗り層を設けた後、該キャスト処理を行うことを特徴とするインクジェット記録シート。
- 該インク受理層に画像を印字した後、該インク受理層の最表層上に記録保護層を設けるインクジェット記録方法を適用されるインクジェット記録シートにおいて、該裏塗り層がガスバリア性を有する請求項1記載のインクジェット記録シート。
- 裏塗り層に含有されるセルロースエーテルの比率が、乾燥固形分比率で40%以上である請求項2記載のインクジェット記録シート。
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