JP4009682B2 - アドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進組成物 - Google Patents
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Description
この発明は、スズメバチ(Vespa 属)の幼虫が分泌するだ液中に含まれるアミノ酸類で構成される組成物の知見から得られたアミノ酸組成物に関する。さらに詳しくは、アドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進作用を有するアミノ酸組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スズメバチの幼虫に関する報告、特に幼虫が分泌するだ液に関する報告はほとんどなく、その組成は全く解明されていなかった。またスズメバチの驚異的な筋持続力はどの様な栄養に由来するのかも全く不明であった。
本発明者らは、種々のスズメバチの幼虫が分泌するだ液について研究し、その組成を明らかにするとともに、その組成物が極めて有効な脂質、糖質代謝調節作用を有することを見出し、その有効成分を解明してきた。スズメバチの幼虫が分泌するアミノ酸栄養液は、経口投与により運動時の脂質および糖質代謝を調節することが明らかになっている(例えば、特願平1−150788号公報、特願平2−210895号公報、特願平2−232977号公報、特願平2−240961号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
本発明者は、種々のスズメバチの幼虫が分泌するだ液についてさらに研究してその組成をさらに明らかにするとともに、上記以外の生理作用を有するか否について検討し、下記のアミノ酸組成物がアドレナリン、ノルアドレナリンの分泌作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち本発明は、スレオニン、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リジン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、及びアルギニンを主成分として含むアドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進組成物を提供するものである。従来使用されているアドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進剤は副作用及び習慣性があるという問題点を有していたが、本発明の組成物は、血中のアドレナリン及びノルアドレナリン量を上昇させる作用を有するものの、高濃度投与においても全く副作用が見られず、又連続投与によっても習慣性や副作用が認められないものであり有用である。
【0005】
アドレナリン及びノルアドレナリンは、生体内で副腎髄質から分泌される物質であり、両者とも神経伝達物質として知られている。末梢交感神経からはノルアドレナリンが、脳カテコールアミン作動性ニューロンからはアドレナリン及びノルアドレナリンが分泌される。アドレナリンは、内臓・皮膚・粘膜・腎臓・脳に分布する小動脈の平滑筋を収縮させるが、一方、少量では骨格筋や心臓に分布する血管を拡張させる。また、心臓筋の収縮力や拍動力を増やすので、血圧を亢進させる作用があり、気管肢の平滑筋に対しては拡張的に、虹彩拡張筋・膀胱括約筋・立毛筋に対しては、収縮的に働くことが知られている。更に、アドレナリンは、肝臓及び骨格筋肉のグリコーゲン分解を促進させて血糖量を上昇させる作用を持ち、インシュリンと拮抗して血糖量の調節を担うことも知られている。ノルアドレナリンは、アドレナリンよりも強い血圧上昇作用を有する物質である。
【0006】
本発明の組成物は、アドレナリン及びノルアドレナリンの分泌、特に血中への分泌を促進する作用を有しており、運動能の向上、緊張の持続、肥満者の脂肪分解促進及び予防、高脂血症の治療剤として利用することができる。本発明の好ましい態様の一例として.VAAM(表1)を挙げることができるが、本発明はこの態様に限定されることはない。
【0007】
本発明の組成物は、特にL−アミノ酸を用いることが好ましい。本発明のアミノ酸組成物は、好ましくはスレオニン(Thr)を2〜15モル、プロリン(Pro)を4〜30モル、グリシン(Gly)を7〜20モル、バリン(Val)を4〜8モル、イソロイシン(I-Leu)を3〜9モル、ロイシン(Leu)を2〜12モル、チロシン(Tyr)1〜9モル、フェニルアラニン(Phe)を0.5〜5モル、リジン(Lys)5〜11モルの割合で含有し、かつそれぞれ5モル以下の割合でメチオニン(Met)、トリプトファン(Trp)、ヒスチジン(His)、アルギニン(Arg)を含有する。その他に3モル以下の割合のタウリン(Tau)、2モル以下の割合のリン酸エタノールアミン(P-EtAm)、1モル以下の割合のアスパラギン酸(Asp)、5モル以下の割合のアスパラギン(Asn)又はセリン(Ser)、4モル以下の割合のグルタミン酸(Glu)、12モル以下の割合のアラニン(Ala)、0.5モル以下の割合のシスチン(Cys)、1モル以下の割合のβ−アラニン(β−Ala)、0.5モル以下の割合のγ−アミノ酪酸(GABA) 、3モル以下の割合のオルニチン(Orn)又はエタノールアミン(EtAm) 、2モル以下の割合のアンモニア(NH3)、3モル以下の割合の1−メチルヒスチジン(1-MeHis)、1モル以下の割合の3−メチルヒスチジン(3-MeHis)を含むことができる。
【0008】
例えば、表1を参照しつつ本発明の好ましい態様について説明すれば、本発明の組成物は、スレオニンを約6.3モル、プロリンを約15.8モル、グリシンを約16.8モル、バリンを約5.1モル、イソロイシンを約4.0モル、ロイシンを約5.4モル、チロシンを約5.2モル、フェニルアラニンを約3.4モル、リジンを約7.6モル、メチオニンを約0.47モル、トリプトファンを約1.9モル、ヒスチジンを約2.3モル、及びアルギニンを約3.1モルの割合で含む組成物としてもよく、さらに上記の組成に加えてアスパラギン酸を0.14モル、セリンを約2.2モル、グルタミン酸を約2.8モル、アラニンを約5.3モルの割合で含む組成物としてもよい。
【0009】
本発明のアミノ酸組成物を製造するにあたっては、市販の上記アミノ酸を上記の所定割合で混合すれば良い。通常は粉末状で均一に混合して組成物とすればよいが、構成成分を蒸留水に溶解し若しくは溶液状態で混合し、乾燥して組成物を製造しても良い。本発明の組成物を製造する温度は特に限定されないが、室温以下で製造することが好ましい。本発明の組成物は微弱な苦味を呈し、マウスに経口投与した場合20g/kgでも全く毒性を発現せず、LD50は20g/kgを遥かに上まわる。
【0010】
本発明の組成物は医薬又は飲料等の食品として有用である。医薬として用いる場合の投与形態は特に限定されないが、経口投与、直腸投与、注射、輸液による投与等の一般的投与経路を経ることができる。経口投与の場合には、上記組成を有する組成物自体として、あるいは医薬上許容される担体、賦形剤とともに錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤等の製剤として用いてもよい。ただし、錠剤や散剤等の固形製剤では吸収に時間がかかる場合もあるので、液剤等による経口投与が好ましい。その場合には、適当な添加物、例えば塩化ナトリウム等の塩類、緩衝剤、キレート剤等とともに水溶液として投与することが好ましい。また、注射剤としては、適当な緩衝剤、等張剤等を添加し、滅菌蒸留水に溶解したものを用いて、例えば静脈内に点滴静注すればよい。食品として用いる場合には、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料、粉末飲料とすることができる。
【0011】
本発明の組成物は極めて低毒性であり、投与量は非常に広範に設定できる。投与量は、投与方法、使用目的により異なるが、通常、1回0.5〜5g、一日の投与量として0.01〜40g、好ましくは1回に1〜2g、1日投与量として0.01〜50g、さらに好ましくは4〜10gである。これらの溶液剤とする場合には0.5〜10wt%溶液として10〜100mlを1回投与量とすればよい。注射剤としては0.5〜2wt%溶液として1回あたり10〜500ml、好ましくは100〜300mlを投与すればよい。
【0012】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
A.試験方法
動物:ddy系マウス、5週令〜8週令の雄
運動負荷:本発明の組成物の1例であるVAAMを、成分アミノ酸を室温下で蒸留水に加えて溶解することにより16mg/mlの水溶液として製造し、運動負荷試験の目的でマウスに投与した。対照として、表2に示すカゼイン・アミノ酸組成物(CAAM:表2)を用いて同様に製造した水溶液(VAAMと同窒素当量)、並びに無投与群を設けた。運動負荷は、マウスの尾に0.3gの重りを付けることにより行い、30分間にわたって35℃のリバープールで強制遊泳させた。
【0013】
採血:マウスを30分間強制遊泳させた後にエーテルで麻酔し、開復して頚動脈より採血した。
血中カテコールアミンの測定:動脈採血した血液に10mM EDTA を加え、遠心分離により血漿を得た。この血漿を1N PCA で変性した後に上清を分離し、中性条件でアルミナに吸着させ、酸性条件下で吸着したカテコールアミンを分離した。カテコールアミン分画をODS-カラムを用いてHPLCで分離し、フェリシアン化カリで酸化した後、アルカリ性でアドレノクロームを作り、その螢光を定量した。
B.試験結果
(1) 負荷遊泳マウスの血中アドレナリン濃度の変化
無投与無遊泳群の血中アドレナリン濃度は2.73±0.68ng/mlであった。これに対し、負荷遊泳群においては、CAAM投与群では3.10±0.46ng/mlを示し、VAAM投与群では5.06±0.93ng/mlとCAAM投与群よりも有意に高い値を示した(表3)。
【0014】
(2)負荷遊泳マウスの血中ノルアドレナリン濃度の変化
アドレナリンと同様に副腎髄質ホルモンであるノルアドレナリンの無投与、無遊泳時の血中濃度は、2.98±0.58ng/mlと低い値を示した。これに対し、負荷遊泳群においては、CAAM投与群では4.52±0.56ng/mlを示し、VAAM投与群では6.19±1.11ng/mlとCAAM投与群よりも有意に高い値を示した。ノルアドレナリンの血中濃度は、いずれの場合にもアドレナリンの濃度より高く、本発明の組成物VAAMはその値を高めることが分かった。特に、本発明の組成物VAAMは、アドレナリンよりもノルアドレナリンの血中濃度をより効果的に上昇させることが明らかとなった(表3)。
【0015】
(3) 血中アドレナリンとノルアドレナリン量の負荷遊泳時における相関性
個体別に負荷遊泳時に分泌される血中アドレナリンとノルアドレナリンの量を比較すると、VAAM投与群は高い相関性を示した(r=0.862、図1)。しかも、ノルアドレナリンの分泌がアドレナリンよりも促されることが明らかとなった。CAAM投与群では、相関性はVAAM投与群に比べて低かった(r=0.544、図2)。
【0016】
これらの結果は、本発明の組成物の1例であるVAAMが、負荷遊泳時に血中アドレナリン及びノルアドレナリン濃度を有意に増加する作用があることを示している。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】
本発明の組成物は、アドレナリン及びノルアドレナリンの血中濃度を上昇させる効果を持ち、血圧の亢進、血中血糖量の維持、運動能の向上、緊張の維持、肥満者の脂肪分解促進及び予防、高脂血症の治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、VAAM投与群における負荷遊泳後のアドレナリン血中濃度とノルアドレナリン血中濃度の相関性を示すグラフを表す図である。
【図2】図2は、CAAM投与群における負荷遊泳後のアドレナリン血中濃度とノルアドレナリン血中濃度の相関性を示すグラフを表す図である。
Claims (2)
- 下記のアミノ酸を下記のモル比で含むアドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進組成物。
アルギニン(Arg) 5モル以下、
グリシン(Gly) 7〜20モル、
ヒスチジン(His) 5モル以下、
イソロイシン(I-Leu) 3〜9モル、
ロイシン(Leu) 2〜12モル、
リジン(Lys) 5〜11モル、
メチオニン(Met) 5モル以下、
フェニルアラニン(Phe) 0.5〜5モル、
プロリン(Pro) 4〜30モル、
スレオニン(Thr) 2〜15モル、
トリプトファン(Trp) 5モル以下、
チロシン(Tyr) 1〜9モル、
バリン(Val) 4〜8モル、
アラニン(Ala) 12モル以下、
アスパラギン酸(Asp) 1モル以下、
グルタミン酸(Glu) 4モル以下、及び
セリン(Ser) 5モル以下。 - 下記のアミノ酸を下記のモル比で含有する請求項1記載のアドレナリン及びノルアドレナリン分泌促進組成物。
アルギニン(Arg) 3.09モル、
グリシン(Gly) 16.77モル、
ヒスチジン(His) 2.26モル、
イソロイシン(I-Leu) 3.97モル、
ロイシン(Leu) 5.40モル、
リジン(Lys) 7.56モル、
メチオニン(Met) 0.47モル、
フェニルアラニン(Phe) 3.37モル、
プロリン(Pro) 15.82モル、
スレオニン(Thr) 6.31モル、
トリプトファン(Trp) 1.93モル、
チロシン(Tyr) 5.23モル、
バリン(Val) 5.13モル、
アラニン(Ala) 5.30モル、
アスパラギン酸(Asp) 0.14モル、
グルタミン酸(Glu) 2.81モル、及び
セリン(Ser) 2.17モル。
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