JP4010723B2 - 組織片処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡標本を作製するために処理槽内に収納された組織片に対して複数の薬液を順次浸漬処理する組織片処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動的に組織片の固定、脱水、脱脂、置換を行う自動組織片処理装置については種々のタイプのものが開発されてきており、近年では作業環境に配慮して作業者の作業空間をクリーンな状態に保つため密閉式の処理槽を設け、この処理槽に固定、脱水、脱脂、置換を行うための複数の薬液を薬液タンクから順次供給することによって組織片を処理する密閉式の組織片処理装置が開発されている。
【0003】
組織片処理装置50の概要構成について図1を用いて説明する。
処理槽52は、内部に組織片(不図示)が収納可能であり、この組織片を浸漬処理する薬液54が後述する薬液槽から供給される。
薬液槽56は複数設けられており、組織片の固定、脱水、脱脂、置換の各処理毎に使用される異なる薬液54がそれぞれ収納されている。
薬液管路58は、処理槽52と薬液槽56との間に配され、薬液槽56内の薬液を処理槽52へ給液したり、また処理槽52内に収納された薬液54を元の薬液槽56へ排液するために使用される。
【0004】
詳細には、薬液管路58は、処理槽52と複数の薬液槽56とを切り換えて連通させるために設けられたロータリーバルブ60を挟んで、処理槽52側に配置された1本の処理槽側管路58aと、各薬液槽56側に各薬液槽56毎に配置された薬液槽56と同じ数の薬液槽側管路58bとから構成される。そして、薬液管路58と各薬液槽56との間には連結継手62が設けられ、薬液管路58に対して各薬液槽56がワンタッチで連結・切り離し可能となっている。具体的には連結継手62は、各薬液槽側管路58bの端部に取り付けられた第1の連結継手62aと、各薬液槽56に取り付けられた第2の連結継手62bとからなり、第1の連結継手62aと第2の連結継手62bとが切り離し自在に連結できる。また、各第2の連結継手62bには、第2の連結継手62bが第1の連結継手62aと連結した際に薬液管路(詳細には薬液槽側管路58b)56と連通して薬液を薬液管路58へ供給可能な給液管64が接続されている。
【0005】
ポンプ66は、空気管路68を介して処理槽52内へ空気(加圧空気)を供給したり、また処理槽52内の空気を引き抜くためのものである。
制御部70はマイクロコンピュータを用いて構成され、予めメモリ72に記憶された動作プログラムにしたがって動作し、ポンプ66の作動・停止制御、またロータリーバルブ60を切り換えるためのモータ74の制御等を行う。薬液を処理槽52内に給液する場合には、まずロータリーバルブ60を切り換え、所望の薬液が入った薬液槽56と処理槽52とを連通させ、その後にポンプ66を作動させて処理槽52内の空気を引き抜き、処理槽52内を減圧する。これにより、薬液54は薬液槽56から給液管64および薬液管路58、ロータリーバルブ60を介してを介して処理槽52内に給液される。一方、一旦処理槽52内に給液された薬液を薬液槽56に戻す場合には逆に処理槽52内へ空気を供給する。これにより、空気の圧力によって処理槽52内の薬液は薬液槽56内へ排液される。
【0006】
各薬液は、組織片の処理に使用される度に、組織片内の成分や前工程において使用された薬液が混入するため、その濃度が変化すると共に汚れる。従って、定期的に新液と交換する必要があるが、新液との交換は、交換したい薬液が収納された薬液槽56を、連結継手62部分で薬液管路58と切り離し、代わりに新液が入った薬液槽56を連結することで行われる。
なお、空気管路68には、一例として危険回避のために当該管路56、68内(または処理槽52内)の空気の圧力が所定の圧力以上にならないように圧力制御弁76が設けられており、また空気管路68内の気圧を表示できる圧力計78が取り付けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の組織片処理装置には、次のような課題がある。
上述した薬液槽56の交換作業は、作業者が手作業で行い、薬液管路に対する薬液槽の接続状態、具体的には連結継手の連結状態のチェックは目視により行われる。
そして、人が連結作業をするわけであるから、常にこれらが確実に連結されているとは限らず、連結が不完全の場合もまったくない訳ではない。
一方、組織片の処理には長い時間を要するため、一般的には作業者は夜間に時間がかかるこの処理作業をこの組織片処理装置を用いて自動的に行わせ、翌朝まに処理が完了するようにしている。これにより、処理の済んだ組織片を用いて次の段階の標本作製処理を翌日作業者が行えるため、無駄時間を少なくできるのである。
【0008】
しかしながら、組織片処理装置は、適切な量の薬液が処理槽内に給液されない場合には組織片の不完全な処理を防止するために、組織片の処理作業を中断してしまうため、たった一つの薬液槽の接続状態が不十分であっても上述したように夜間に処理作業を完了すべき組織片の処理が完了しない状態で組織片の処理が中断されてしまう。これでは、作業者は翌日に予定していた次の標本作製処理が行えず、最終的に鏡検ができないため、患者の医療診断が延びてしまうという課題が生ずる。
また、薬液槽が薬液管路と完全に連結されている場合でも、薬液の量が何らかの原因で極端に減少する場合もあるが、この場合にも組織片処理装置は、薬液量不足を自動的に検出して処理作業を中断するため、やはり次の標本作製処理が行えないという課題がある。
このため、組織片処理装置による組織片の処理作業を開始する前に、自動的に薬液管路に対する各薬液槽の連結確認や各薬液槽内の薬液の量の適否の確認を行えれば便利である。
【0009】
従って、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、自動的に薬液管路と薬液槽との連結状態を検出することができる組織片処理装置、また自動的に薬液槽内の薬液の量の適否をチェックすることができる組織片処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1の組織片処理装置は、組織片が収納される処理槽と、該処理槽内の前記組織片を処理する薬液が収納される薬液槽と、前記処理槽と前記薬液槽との間に配された薬液管路と、該薬液管路と前記薬液槽との間に配され、薬液管路に対して薬液槽をワンタッチで連結・切り離し可能な連結継手と、前記処理槽内へ空気を供給可能なポンプと、該ポンプの動作を制御する制御部とを具備する組織片処理装置において、前記連結継手に設けられ、前記薬液槽が切り離された際には前記薬液管路を閉塞する弁と、前記薬液槽内の槽内圧力を検出する圧力センサとを具備し、前記制御部は、前記ポンプを作動させて前記処理槽内へ空気を供給しつつ前記圧力センサを介して前記槽内圧力を検出し、槽内圧力の変化の態様に基づいて前記薬液管路に対する前記薬液槽の連結状態および/または前記薬液槽内の前記薬液の量の適否を検出することを特徴とする。
【0011】
これによれば、薬液槽と薬液管路が切り離されている場合には処理槽に連通する薬液管路が薬液槽側で閉塞されておりポンプで処理槽内へ空気を供給すると槽内圧力は高くなる。また、薬液槽と薬液管路が連結されていて薬液槽の薬液が適量の場合にはポンプで処理槽内へ供給された空気は薬液管路を介して薬液槽に入り、薬液内に放出されるが、この放出の際には空気には薬液の圧力水頭が加わる。また、薬液槽と薬液管路が連結されているが薬液槽の薬液が不足している場合には薬液槽に供給される空気には全く圧力水頭が加わらなかったり、加わっても薬液が適量の場合に比べて圧力水頭が低くなる。
このようにそれぞれの場合により、槽内圧力の変化の態様が異なるために、この槽内圧力を検出することによって薬液管路に対する薬液槽の連結状態および/または薬液槽内の薬液の量の適否が検出できる。
【0012】
ここでポンプは、槽内圧力の変化を検出するための専用のものを設けるようにしても良いが、処理槽内へ空気を供給可能であると共に、処理槽内の空気を引き抜くことも可能なポンプを用い、また制御部も、前記ポンプを作動させ、前記処理槽内の空気を引き抜き処理槽内を減圧することによって前記薬液管路を介して前記薬液槽から前記薬液を処理槽内に給液し、また処理槽内へ空気を供給して処理槽内の薬液を薬液槽内へ排液するものを用いても良い。
【0013】
具体例には、前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第1圧力値以上となる場合に前記薬液管路と前記薬液槽とが切り離されていると判断する。
また、前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第2圧力値以下となる場合に前記薬液槽内の薬液が不足していると判断する。
【0014】
また、前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第1圧力値以上となる場合に前記薬液管路と前記薬液槽とが切り離されていると判断し、また前記所定時間経過の後、連続して前記第1圧力値未満の第2圧力値以下となる場合に前記薬液槽内の薬液が不足していると判断する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る組織片処理装置の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1と図2を用いて組織片処理装置(以下、単に「処理装置」とも言う)10の基本的な構成について説明する。なお、従来例と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
処理槽52には、組織片(不図示)が収納可能であり、またこの組織片を浸漬処理する薬液が薬液槽56から供給される。
薬液槽56は組織片の固定、脱水、脱脂、置換の各処理に使用される薬液毎に設けられ、複数個ある。
ロータリーバルブ60は薬液管路58の途中に設けられ、複数の薬液槽56の内の1つの薬液槽56を選択的に薬液管路58を介して処理槽52と連通させるためのものである。
薬液管路58は、ロータリーバルブ60と処理槽52を連結する1本の処理槽側管路58aと、ロータリーバルブ60と各薬液槽56とを連結する各薬液槽56毎に設けられた薬液槽側管路58bとから構成される。
【0016】
各薬液槽側管路58bと各薬液槽56は、連結継手62によりワンタッチで連結・切り離し可能となっている。連結継手62は詳細には、各薬液槽側管路58bの端部に取り付けられた第1の連結継手62aと、各薬液槽56に取り付けられた第2の連結継手62bとから成る。
そして本発明の組織片処理装置10では、この連結継手62には図2に示すように薬液槽56が切り離された際に薬液管路58を閉塞する弁12が設けられている。具体的には第1の連結継手62aの第2の連結継手62bとの連結部位にこの弁12が設けられており、第2の連結継手62bが連結していない場合には第1の連結継手62aの第2の連結継手62bが挿着される挿着孔(不図示)の奥部に設けられた弁座(不図示)の開口部分を弁12の弁体(不図示)がバネ(不図示)に押圧されて閉塞し、薬液管路58からの流体の漏れを防止する。一方、第2の連結継手62bが連結した際には第2の連結継手62bの挿入側の先端が弁12の弁体をバネの付勢力に抗して第1の連結継手62aの奥部へ押し込み弁体によって閉塞されていた開口部分を連通状態とし、薬液管路58と第2の連結継手62bに取り付けられた給液管64とを連通させる。
【0017】
また、本発明の組織片処理装置10では、ポンプ66から薬液槽56に至る空気管路68には、圧力制御弁76と共に従来の圧力計78に代えて、若しくは新たに圧力センサ14が取り付けられている。
そして制御部70は従来例と同様のポンプ66の作動・停止制御、またロータリーバルブ60の切換制御に加えて、圧力センサ14を介して空気管路68内の圧力つまり槽内圧力をリアルタイムで検出する機能、時間を計測するタイマ機能を有している。
また、メモリ72には、動作プログラムと共に、圧力センサ14から得られる槽内圧力と比較し、槽内圧力の変化の態様を決定(特定)するための種々の基準データ(下記に詳説する)が予め記憶されている。
【0018】
次に、組織片処理装置10の動作について詳細に説明する。
組織片処理装置10は従来例で説明したように、処理槽52に収納された組織片の薬液処理を行う組織片処理動作と共に、さらに図3に示すようにこの薬液処理の前段階として、薬液管路58に対する各薬液槽56の連結状態をチェックする連結チェック動作および/または薬液槽56内の薬液の量の適否を検出する液量チェック動作を行う。この点が本発明の特徴部分である。
薬液処理動作は従来の処理装置50と同様であるから説明は省略し、特徴部分である連結チェック動作と液量チェック動作について図3〜図4を用いて説明する。
【0019】
制御部70はまず、ロータリーバルブ60を作動させて切り換え、薬液管路58との連結状態や薬液の量をチェックするひとつの薬液槽56を処理槽52と連通させる(ステップ100)。
次に、処理槽52内に組織片や薬液が収納されていない空の状態において、ポンプ66を動作させて処理槽52内へ空気を供給し始める。また、それと同時にタイマ機能を作動させ、空気を供給し始めた時点からの経過時間を計測し始める(ステップ102)。
制御部70は経過時間と基準データに含まれる測定時間データとを比較し、経過時間が測定時間データの内の測定開始時間t1 に達したら圧力センサ14を介して槽内圧力Pを測定し始める(ステップ104)。
そして、制御部70は、槽内圧力Pと、基準データに含まれる圧力に関する基準データ、一例として第1圧力値P1 および第2圧力値P2 (第1圧力値P1 未満の値)とを比較し、以下のように槽内圧力の変化の態様を決定(特定)すると共に、決定した槽内圧力の変化の態様に基づいて薬液管路58に対する薬液槽56の連結状態および/または薬液槽56内の薬液の量の適否を検出する(ステップ106)。なお、検出した結果はメモリ72に記憶しておく。
【0020】
次に、制御部70の槽内圧力Pの変化の態様の決定動作と、当該態様に基づいた薬液管路58に対する薬液槽56の連結状態および/または薬液槽56内の薬液の量の適否の検出動作について図2と図4を用いて説明する。
【0021】
第1に、測定された槽内圧力Pと圧力に関する基準データを比較した結果、槽内圧力Pの変化の態様が、測定開始時間t1 以降、連続して第1圧力値P1 以上となる図4の曲線aに示す態様であると特定できた場合について述べる。なお、本実施の形態ではポンプ66、各管路56、68、処理槽52等の保護のため、ポンプ66が過負荷になったり、また管路等の内部圧力が極端に高くなることを防止すべく、空気管路68に圧力制御弁76が設けられ、所定の設定圧力Pup以上に圧力が上昇しないようにしている。従って、槽内圧力Pは設定圧力Pupで一定となる。
【0022】
このように、槽内圧力Pが連続して第1圧力値P1 を越える高い圧力となるには、ポンプ66から処理槽52内に供給された空気が外部に漏れ出ることなく処理槽52および処理槽52と連通した管路56、68に加圧されながら溜まる必要があり、このような状態は薬液管路58の連結継手62に設けられた弁12が閉塞状態となっている場合以外には採りえない状態である。
従って、制御部70では槽内圧力Pの変化の態様が、測定開始時間t1 以降、連続して第1圧力値P1 以上となる図4の曲線aに示す態様であると特定できた場合には、連結継手62に設けられた弁12が閉塞状態となっている場合、すなわち第1の連結継手62aと第2の連結継手62bとが外れている場合、つまり薬液管路58に対する薬液槽56の連結状態が不完全であると判断できる。
【0023】
第2に、測定された槽内圧力Pと圧力に関する基準データを比較した結果、槽内圧力Pの変化の態様が、測定開始時間t1 以降、連続して第2圧力値P2 以下となる図4の曲線bに示す態様であると特定できた場合について述べる。
【0024】
このように、槽内圧力Pが連続して第2圧力値P2 以下の低い圧力となるには、上述した第1の場合とは逆に、ポンプ66から処理槽52内に供給された空気がほとんど抵抗なく外部に漏れ出る必要があり、このような状態は弁12が連通し、処理槽52内に供給された空気が薬液管路58を介して給液管64から薬液槽56内に出力され、薬液槽56に設けられた通気孔16から外部に抜ける場合であって、しかも薬液槽56内に薬液54がないか、若しくはあっても量が少ない場合である。なぜなら、薬液54が規定量ある場合には薬液54内に給液管64が一定長以上浸かっているため、給液管64から薬液54内に出力しようとする空気に一定以上の圧力水頭が加わるためである。なお、この圧力水頭は給液管64が薬液54中に浸る長さに比例して増える。よって、予め薬液54が規定量に満たない場合の圧力水頭を測定しておき、第2圧力値P2 はこの圧力水頭より小さい値に予め設定しておく。
【0025】
従って、制御部70では槽内圧力Pの変化の態様が、測定開始時間t1 以降、連続して第2圧力値P2 以下の低い圧力となる態様であると特定できた場合には、連結継手62に設けられた弁12が連通状態となっている場合、すなわち第1の連結継手62aと第2の連結継手62bとの連結状態が完全であり、つまり薬液管路58に対する薬液槽56の連結状態が完全であって、しかも薬液槽56内の薬液が規定量に満たない少量であるか、若しくは空であると判断できる。
【0026】
第3に、測定開始時間t1 の後の槽内圧力Pの変化の態様が上述した第1、第2の態様以外であると特定できた場合(例えば図4の曲線cに示すような態様の場合)には、槽内圧力Pが第2圧力値P2 を越えないため、薬液管路58に対する薬液槽56の接続は完全であり、しかも第1圧力値P1 を一旦は越えるために、薬液槽56内には薬液が規定量収納されていると判断できる。
【0027】
次に、未だ連結チェックや液量チェックを行っていない薬液槽56が残っているか否かを判断し(ステップ108)、残りがある場合には終了するまで上述したステップ100〜ステップ108を繰り返す。
次に、全薬液槽56に対して連結チェックと液量チェックを行ったら、連結不良や液量が不足している薬液槽56が存在するか否かを判断し(ステップ110)、このような薬液槽56が存在する場合には表示部等(不図示)にエラー表示等をさせて(ステップ112)、終了する。
また、連結不良や液量が不足している薬液槽56が存在しない場合には、次のステップである組織片処理動作を開始させる(ステップ114)。
【0028】
以上、上述した連結チェック動作と液量チェック動作を、ロータリーバルブ60を切り換えながら順次、全ての薬液槽56に対して行うことによって、全ての薬液槽56の薬液管路58に対する連結状態や液量の適否の検出が自動的に行えるので、後に続く組織片処理動作を薬液管路58に対する薬液槽56の連結が完全であり、かつ各薬液槽56の薬液が十分足りる状態で行える。よって、組織片処理動作が処理槽52への薬液54の供給不足によって途中で中断されることはない。
なお、上述した実施の形態では、薬液槽56の薬液管路58に対する連結状態と液量の適否の両方の検出を行う構成としたが、例えば薬液槽56と薬液管路58との間の連結継手62に弁12を設けない場合には、基準データは第2圧力値P2 のみとして薬液の量の適否のみを判断することもできるし、また逆に弁12を設けるが基準データは第1圧力値P1 のみとして薬液槽56と薬液管路58との間の連結状態の良否のみを判断するようにしても良い。
【0029】
また、槽内圧力Pの変化の態様を特定するための基準データとしては、上述した実施の形態では、第1圧力値P1 および第2圧力値P2 (第1圧力値P1 未満の値)を設けていたが、他の方法でも槽内圧力Pの変化の態様を特定することが可能である。
例えば一例として図5に示すように、槽内圧力Pと比較する圧力の基準データは第3圧力値P3 のみとし、この第3圧力値P3 は薬液槽56内の薬液の量が規定量の範囲内の下限である場合に、ポンプ66を作動させて薬液槽56内に空気を送り込める最低の圧力値P4 よりも若干小さく設定しておく。
【0030】
これにより、制御部70が測定開始時間t1 の後の槽内圧力Pの変化を測定し、その変化の態様が、第1に、連続して第3圧力値P3 を越える場合(図5の曲線a)には薬液管路58に対する薬液槽56の接続が不完全であると判断し、第2に、連続して第3圧力値P3 未満の場合(図5の曲線b、c、d)には薬液管路58に対する薬液槽56の接続は完全であるが、薬液54の量が不足していると判断し、これら第1や第2以外の場合(図5の曲線e、fのように第3圧力値P3 以上となったり、第3圧力値P3 未満となったりする場合)には、薬液管路58に対する薬液槽56の接続も完全であり、しかも薬液も規定量以上収納されていると判断することができる。
【0031】
また、上記のように、ロータリーバルブ60を切り換えて全ての薬液槽56に対して連結状態や薬液の量の適否を検出しても良いが、特定の薬液槽56についてのみ検出するようにもできる。また、上述の第2圧力値P2 や第3圧力値P3 を設定する場合には薬液の圧力水頭を考慮する必要があるが、この圧力水頭は薬液の比重や粘度により変わるため、薬液毎、つまり薬液槽56毎に第2圧力値P2 や第3圧力値P3 を設定するようにするとより精度の良い検出が行えるようになる。
また、組織片処理動作の途中で、処理槽52内から薬液槽56へ薬液54を戻した際に、上述した薬液槽56の連結状態や薬液槽56内の薬液54の量の適否を検出するようにしても良い。これにより、特に組織片処理動作の途中で何らかの原因で薬液54が不足してもそれを検出し、例えば薬液の自動供給機構を設けることによって組織片処理動作を中断することなく続行できる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施の形態について種々述べてきたが、本発明は上述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る組織片処理装置によれば、制御部がポンプを介して処理槽内へ空気を供給し、その際の槽内圧力の変化の態様から薬液管路に対する薬液槽の連結状態および/または薬液槽内の薬液の量の適否を自動的に検出できる。このため、薬液槽の連結状態および/または薬液槽内の薬液の量の適否を検出してから組織片処理動作に入るようにすることによって、組織片処理動作が処理槽への薬液の供給不足によって途中で中断されることはなく、予定通りに組織片処理を完了させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】組織片処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る組織片処理装置の連結継手と薬液槽の構造を示す説明図であり、(a)は薬液管路と薬液槽とが切り離された状態を示し、(b)は薬液管路と薬液槽とが連結され、かつ薬液が規定量収納されている状態を示し、(c)は薬液管路と薬液槽とが連結され、かつ薬液が不足している状態を示す。
【図3】本発明に係る組織片処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】槽内圧力の変化の態様を示すグラフである。
【図5】槽内圧力の変化の態様を示す他のグラフである。
【符号の説明】
10 組織片処理装置
12 弁
14 圧力センサ
52 処理槽
56 薬液槽
58 薬液管路
62 連結継手
66 ポンプ
70 制御部

Claims (5)

  1. 組織片が収納される処理槽と、
    該処理槽内の前記組織片を処理する薬液が収納される薬液槽と、
    前記処理槽と前記薬液槽との間に配された薬液管路と、
    該薬液管路と前記薬液槽との間に配され、薬液管路に対して薬液槽をワンタッチで連結・切り離し可能な連結継手と、
    前記処理槽内へ空気を供給可能なポンプと、
    該ポンプの動作を制御する制御部とを具備する組織片処理装置において、
    前記連結継手に設けられ、前記薬液槽が切り離された際には前記薬液管路を閉塞する弁と、
    前記薬液槽内の槽内圧力を検出する圧力センサとを具備し、
    前記制御部は、前記ポンプを作動させて前記処理槽内へ空気を供給しつつ前記圧力センサを介して前記槽内圧力を検出し、槽内圧力の変化の態様に基づいて前記薬液管路に対する前記薬液槽の連結状態および/または前記薬液槽内の前記薬液の量の適否を検出することを特徴とする組織片処理装置。
  2. 前記ポンプは、前記処理槽内へ空気を供給可能であると共に、処理槽内の空気を引き抜くことも可能であり、
    前記制御部は、前記ポンプを作動させ、前記処理槽内の空気を引き抜き処理槽内を減圧することによって前記薬液管路を介して前記薬液槽から前記薬液を処理槽内に給液し、また処理槽内へ空気を供給して処理槽内の薬液を薬液槽内へ排液することを特徴とする請求項1記載の組織片処理装置。
  3. 前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第1圧力値以上となる場合に前記薬液管路と前記薬液槽とが切り離されていると判断することを特徴とする請求項1または2記載の組織片処理装置。
  4. 前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第2圧力値以下となる場合に前記薬液槽内の薬液が不足していると判断することを特徴とする請求項1または2記載の組織片処理装置。
  5. 前記制御部は、前記槽内圧力の変化の態様が、前記処理槽内へ空気を供給し始めてから所定時間経過の後、連続して第1圧力値以上となる場合に前記薬液管路と前記薬液槽とが切り離されていると判断し、また前記所定時間経過の後、連続して前記第1圧力値未満の第2圧力値以下となる場合に前記薬液槽内の薬液が不足していると判断することを特徴とする請求項1または2記載の組織片処理装置。
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